説明

超音波プローブ用治具及び超音波プローブ装置、並びに、超音波プローブ用治具の製造方法

【課題】超音波プローブ装置の信頼性を高めると共に超音波検査を長時間安定して行う。
【解決手段】超音波検査装置の超音波プローブP1に装着される超音波プローブ用治具J1であって、一方向において一方側から他方側に貫通する貫通孔23が形成され、貫通孔23の前記一方側の開口部23aに超音波プローブ10が挿入される治具本体20と、貫通孔23内に充填され、貫通孔23内に挿入された超音波プローブ10に密着する充填部31、及び、充填部31に連続すると共に治具本体20から前記他方側に向けて突出して設けられ、弾性変形した状態で超音波照射対象Bに密着可能な弾性突出部32を有し、超音波プローブ10と超音波照射対象Bとの間で超音波を伝達させる媒質体30と、を備え、媒質体30は、非流動性の材料で形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブ用治具及び超音波プローブ装置、並びに、超音波プローブ用治具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば、原子力プラントの配管や配管接続部の溶接部の内部欠陥を検出するために、超音波検査が広く用いられている。
【0003】
この超音波検査には、超音波を送受信する送受信面が平坦な超音波プローブを用いるのが一般的であるが、超音波プローブの送受信面を、溶接部や配管のエルボ部に対して隙間なく沿わせることは困難である。
【0004】
そこで、超音波プローブの送受信面と試験対象物とを音響的に確実に接続するために、超音波プローブの送受信面と試験対象物との間に液状の媒質を介在させるのが通常である。このような技術としては、試験対象物全体を水没して超音波探傷する全没水浸法や、試験対象物の検査部位を局部的に水没させて超音波探傷する局部水浸法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−215877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、全没水浸法は、超音波プローブと試験対象物全体を水没させるために、水没装置が大掛かりで現地での実施が容易ではなく、一方、局部水浸法は、探傷する検査部位を局部的に水没させる水槽と試験対象物との間を液密にシールさせる必要があることから実施が容易ではない。
【0007】
これらの試験方法よりも実施が容易な試験方法としては、局部液浸型の超音波プローブ装置を用いて行うものがある。この種の超音波プローブ装置は、治具本体の一方向の一方側から他方側に貫通孔を形成し、貫通孔の一方側の開口部に超音波プローブを挿入すると共に、他方側の開口部を薄膜ゴムで被覆し、薄膜ゴムと超音波プローブとの間に液状の媒質(水やひまし油)を貯留している。つまり、この超音波プローブ装置を用いた検査方法では、超音波プローブと薄膜ゴムとの間に貯留された液状の媒質を介在させて、超音波プローブと試験対象物の検査部位とを音響的に接続している。
しかしながら、上記の装置構成の場合には、薄膜が破れた場合に液状の媒質が流出してしまって検査ができなくなるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、超音波プローブ装置の信頼性を高めると共に超音波検査を長時間安定して行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る超音波プローブ用治具は、超音波検査装置の超音波プローブに装着される超音波プローブ用治具であって、一方向において一方側から他方側に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔の前記一方側の開口部に前記超音波プローブが挿入される治具本体と、前記貫通孔内に充填され、前記貫通孔内に挿入された前記超音波プローブに密着する充填部、及び、前記充填部に連続すると共に前記治具本体から前記他方側に向けて突出して設けられ、弾性変形した状態で超音波照射対象に密着可能な弾性突出部を有し、前記超音波プローブと前記超音波照射対象との間で超音波を伝達させる媒質体と、を備え、前記媒質体は、非流動性の材料で形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、超音波プローブと超音波照射対象との間で超音波を伝達させる媒質体が非流動性の材料で形成されているので、媒質体が流出することがない。これにより、超音波プローブ装置の信頼性を高めることができ、超音波検査を長時間安定して行うことができる。
なお、媒質体の充填部と弾性突出部とは一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0010】
また、前記弾性突出部は、ゲル材料で形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、弾性突出部がゲル材料で形成されているので、超音波照射対象に対して良好に密着が可能になると共に超音波を良好に伝達させることができる。
なお、この明細書において、ゲル材料とは、液体と固体との中間の形態を持ち、柔軟性と弾力性を兼ね備えた性質を示す物質からなる部材をいい、多量の水分を含む含水ゲル(ハイドロゲル)の他、水分や他の分散媒を含まない成分からなるゲル(例えば、セグメント化ポリウレタンゲル)を含む概念である。
【0011】
また、充填部は、前記弾性突出部と同一材料で形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、充填部が弾性突出部と同一材料であるので、充填部と弾性突出部とのそれぞれの音の伝達速度を同一にすることができる。これにより、充填部及び弾性突出部の音響インピーダンスが同一となって、擬似エコーが生じることを防止することができる。
【0012】
また、前記充填部は、音の伝達速度が前記ゲル材料と近似する加工容易性材料で形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、充填部が、音の伝達速度がゲル材料と近似する加工容易性材料で形成されているので、充填部及び弾性突出部の音響インピーダンスの差を小さくすることができ、擬似エコーを低減することができる。
【0013】
また、前記充填部は、前記一方側における一端面の中央側が、前記一方側に盛り上がって形成されていることを特徴とする。
このようにすれば、超音波プローブを貫通孔の開口部に挿入した場合に一端面の盛り上がりが押し潰されて、一端面が超音波プローブに密着する。これにより、超音波プローブから充填部に対して超音波を良好に伝達させることができる。
【0014】
また、前記弾性突出部の表面に設けられた薄膜体を備えることを特徴とする。
このようにすれば、弾性突出部の表面に薄膜体を備えるので、弾性突出部の磨耗を防ぐことができる。
【0015】
また、前記充填部と前記貫通孔の内周面との間に設けられた吸音体を備えることを特徴とする
このようにすれば、充填部と貫通孔の内周面との間に吸音体を備えるので、治具本体の貫通孔内において、超音波の回り込みや散乱を防ぐことが可能であるので、超音波検査装置が検出する類似エコーを低減することができる。
【0016】
また、前記超音波プローブを前記挿入孔内において前記治具本体に対して揺動可能に支持する回動支持部を備えることを特徴とする。
このようにすれば、超音波プローブを揺動可能な支持機構を有しているので、超音波照射方向を変更することが可能であり、様々な屈折角での検査が可能となる。
【0017】
また、本発明に係る超音波プローブ装置は、上記のうちいずれか一の超音波プローブ用治具と、前記治具本体の前記貫通孔の一方側の開口部に挿入された超音波プローブと、を具備することを特徴とする。
このようにすれば、上記のうちいずれか一の超音波プローブ用治具を備えるので、装置の信頼性を高めることができると共に、超音波検査を長時間安定して行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る超音波プローブ用治具の製造方法は、超音波検査装置の超音波プローブに装着される超音波プローブ用治具の製造方法であって、一方向において一方側から他方側に貫通する貫通孔が形成された治具本体に対して凹部が形成された第一型体を装着して、前記貫通孔に対して前記凹部を対向させる型装着工程と、前記第一型体の凹部と前記治具本体の貫通孔とに流動性を有する媒質材料を充填する充填工程と、前記治具本体の貫通孔の前記一方側の開口部に閉塞体を挿入した状態で、前記媒質材料が非流動性を有するまで固化させることにより、前記超音波プローブと前記超音波照射対象との間で超音波を伝達させる媒質体を得る固化工程と、を有することを特徴とする。
このようにすれば、弾性突出部の形状が複雑な形状であっても容易に形成することができる。
【0019】
また、本発明に係る超音波プローブ用治具の製造方法は、超音波検査装置の超音波プローブに装着される超音波プローブ用治具の製造方法であって、治具本体において一方向の一方側から他方側に貫通する貫通孔の前記一方側の開口部に閉塞体を挿入する挿入工程と、前記貫通孔に挿入した前記閉塞体に密着するように、超音波を伝達させる非流動性の充填部を、前記貫通孔内の前記他方側に充填する充填工程と、超音波を伝達させるゲル材料を前記貫通孔の他方側に位置させるゲル材料配置工程と、前記ゲル材料を治具本体に向けて薄膜体で押さえ付けて前記薄膜体を固定することにより、前記充填部に対して連続すると共に前記治具本体から前記他方側に突出する弾性突出部を形成する弾性突出部形成工程と、を有することを特徴とする。
このようにすれば、塊状のゲル材料を薄膜体で押さえ付けることで、複雑な形状の弾性突出部を容易に形成することができる。
【0020】
また、前記閉塞体は、前記超音波プローブの形状を模した第二型体であることを特徴とする。
このようにすれば、閉塞体に第二型体を用いるので、超音波プローブを用いなくても超音波プローブ用治具を製造することができる。
【0021】
また、前記閉塞体は、前記超音波プローブであることを特徴とする。
このようにすれば、閉塞体に超音波プローブを用いるので、媒質体と超音波プローブとの密着性を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る超音波プローブ用治具によれば、超音波プローブ装置の信頼性を高めることができ、超音波検査の長時間安定して行うことができる。
本発明に係る超音波プローブ装置によれば、装置の信頼性を高めることができると共に、超音波検査を長時間安定して行うことができる。
本発明に係る超音波プローブ用治具の製造方法によれば、複雑な形状の弾性突出部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態に係る超音波プローブ装置P1の縦断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るシュー20の部品図であって、(a)が平面図であり、(b)が(a)におけるI−I線断面図であり、(c)が下面図である。
【図3】本発明の第一実施形態において、超音波検査における超音波プローブ装置P1の使用状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る超音波プローブ装置P1の製造方法の各工程の概略を示す工程図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る超音波プローブ装置P1の製造方法のフローチャートである。
【図6】本発明の第一実施形態の超音波プローブ装置P1の製造方法の変更例1を示す縦断面図である。
【図7】本発明の第一実施形態の超音波プローブ装置P1の製造方法の変更例2を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第一実施形態の超音波プローブ装置P1の改良例を示す縦断面図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る超音波プローブ装置P2の縦断面図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る超音波プローブ装置P2の製造方法の各工程の概略を示す工程図である。
【図11】本発明の第二実施形態に係る超音波プローブ装置P2の製造方法のフローチャートである。
【図12】本発明の各実施形態の第一変形例に係る超音波プローブ装置P3の縦断面図である。
【図13】本発明の各実施形態の第一変形例に係る超音波プローブ装置P3の製造方法の一工程を示した縦断面図である
【図14】本発明の各実施形態の第二変形例に係る超音波プローブ装置P4の縦断面図である。
【図15】本発明の各実施形態の第三変形例に係る超音波プローブ装置P5の縦断面図である。
【図16】本発明の各実施形態の第三変形例に係る超音波プローブ装置P5の要部拡大平面図である。
【図17】本発明の各実施形態の第四変形例に係る超音波プローブ装置P6の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
「第一実施形態」
図1は、本発明の第一実施形態に係る超音波プローブ装置P1の縦断面図である。
超音波プローブ装置P1は、超音波プローブ10と、超音波プローブ用治具J1とを備えている。
【0025】
超音波プローブ10は、略円柱状に形成されており、超音波検査装置(不図示)に対して信号線11を介して接続されている。この超音波プローブ10は、超音波検査装置(不図示)から供給されたパルス信号に基づいて円形の送受信面10aから超音波を照射すると共に、その反射波を送受信面10aで受信して超音波検査装置(不図示)に出力するようになっている。
【0026】
超音波プローブ用治具J1は、超音波プローブ10が装着されるシュー(治具本体)20と、超音波プローブ10と配管B(図3参照,超音波照射対象)との間で超音波を伝達させる媒質体30とを備えている。
【0027】
図2は、シュー20の部品図であって、(a)が平面図であり、(b)が(a)におけるI−I線断面図であり、(c)が下面図である。
シュー20は、円盤状に形成されており、シュー20の厚さ方向の一方側に形成されたフランジ部21と、厚さ方向の他方側に形成された対向部22とを有している。
フランジ部21の一端面21aには、シュー20の厚さ方向に直交する仮想中心線Qの片側において、テーパ部21bが形成されている。このテーパ部21bは、仮想中心線Q及び厚さ方向に直交する第一直交方向において、仮想中心線Qに沿って延びる始端21cからフランジ部21の外周21dに向かうに従って、厚さ方向の他方側に向かうように直線状に傾斜している。
【0028】
対向部22は、下面側から見て、方形状に形成されている。より具体的には、対向部22の外周を弓形状に切り欠くようにして形成された切欠部22bが周方向に等しい間隔を空けて四つ形成されており、隣り合う二つの切欠部22bの間に形成された角部が、仮想中心線Qの延在方向及び第一直交方向のそれぞれにおいて一対ずつ形成されている。
【0029】
このシュー20には、図2(b)に示すように、厚さ方向の一方側から他方側に貫通する貫通孔23が形成されている。この貫通孔23は、フランジ部21の一端面21aと対向部22の他端面22aとの間を貫通している。この貫通孔23は、その孔軸をテーパ部21bの法線方向に向けるようにして、シュー20の厚さ方向に対して傾斜させている。この貫通孔23は、図2(a)(b)に示すように、一方側開口部(開口部)23aが、フランジ部21の一端面21aとテーパ部21bとの間に亘って開口しており、一方側開口部23aよりも僅かに小径に形成された小径部23bが、対向部22の他端面22aに開口している。
図1に示すように、一方側開口部23aには、超音波プローブ10が挿入されて嵌合している。
このようなシュー20は、本実施形態においてはアクリル樹脂で形成しているが、金属やFRP、シリコン等を用いて形成してもよい。
なお、この超音波プローブ10は、シュー20に対する拘束方法は任意の方法を採用できるが、例えばシュー20にボルト止めされた押付部材(不図示)により、超音波プローブ10をシュー20に対して押し付けて、シュー20に対する変位を拘束する方法を採用することができる。
【0030】
媒質体30は、充填部31と弾性突出部32とが一体的に形成されてなる。この媒質体30は、非流動性のゲル材料で形成された柔軟なものである。このゲル材料としては、本実施形態においては、超音波音波の減衰が小さい医療用超音波ゲルを用いており、具体的な製品名としては、タキロン株式会社製の「ソナゲル」を用いているが、株式会社エクシールコーポレーション製の「アスカーC」を用いることもできるし、「ゼラチン」や「寒天」を用いることもできる。
【0031】
充填部31は、シュー20の貫通孔23の小径部23bに充填されており、図1に示すように、超音波プローブ10の送受信面10aが貫通孔23において小径部23b側に露出させた面の全面に対して密着している。この充填部31は、貫通孔23の内壁面23c及び超音波プローブ10の送受信面10aに対して隙間なく密着している。
【0032】
弾性突出部32は、充填部31に連続すると共にシュー20から、シュー20の厚さ方向の他方側に向けて突出している。より詳細には、対向部22の他端面22aから、シュー20の厚さ方向の他方側に向けて半球状に突出(膨出)している。
このような媒質体30は、シュー20に対して摩擦によって変位が拘束されているが、シュー20と媒質体30との間に接着剤を浸透させたり、他の固定手段を用いたりしてシュー20に対して固定してもよい。
【0033】
図3は、超音波検査における超音波プローブ装置P1の使用状態を示す縦断面図である。
図3に示すように、弾性突出部32が弾性変形した状態で配管Bに密着する。すなわち、弾性突出部32が柔軟性を有することから、配管Bの形状(配管の溶接凹凸部やエルボ部)に倣って弾性変形して密着する。この状態において、超音波プローブ10の送受信面10aから超音波が照射されると、媒質体30及び弾性突出部32を介して配管Bに超音波が伝達される。そして、配管Bから反射した反射波が、媒質体30及び弾性突出部32を介して送受信面10aに伝達される。
【0034】
以上説明したように、超音波プローブ装置P1においては、媒質体30が非流動性のゲル材料からなっていることから、液状の媒質(例えば水やひまし油)を用いた場合のように、媒質が流出して検査が中断されることがない。これにより、超音波プローブ装置P1の信頼性を高めることができ、超音波検査を長時間安定して行うことができる。
また、仮に、長期間の使用により媒質体30が磨耗等した場合には、新たな媒質体30をシュー20に付け替えたり、あるいはシュー20ごと媒質体30を交換したりするだけで超音波プローブ装置P1を再構成できるので、液状の媒質を交換する場合に比べて、交換時間を短縮することができると共に交換に要する労力を軽減することができる。
【0035】
「第一実施形態の製造方法」
図4は、超音波プローブ装置P1の製造方法の各工程の概略を示す工程図である。
図4(a)に示すように、本製造方法は、シュー20と、第一型体40と、第二型体(閉塞体)50とを用いて行う。
【0036】
第一型体40は、シュー20の対向部22を嵌め入れ可能に形成された嵌入穴部41を有している。
嵌入穴部41には、嵌入穴部41にシュー20の対向部22に嵌め入れた状態で他端面22aに密着する底面41aの中央側において、凹部41bが形成されている。
凹部41bは、弾性突出部32を模した(模った)形状となっており、底面41aから半球状に窪んでいる。
【0037】
図4(d)に示すように、第二型体50は、貫通孔23の一方側開口部23aに挿入される超音波プローブ10の送受信面10a側を模して略円柱状に形成された型部51と、型部51の基端部から径方向外周側に延出するフランジ部52とを有している。
型部51は、貫通孔23の一方側開口部23aに嵌め入れることが可能であり、円形に形成された先端面51aを、一方側開口部23aと小径部23bとの間に形成された段差面23dに当接可能である。
フランジ部52は、型部51を貫通孔23の一方側開口部23aに嵌め入れた場合において、テーパ部21bに当接するように形成されている。
これら第一型体40及び第二型体50は、本実施形態においてはテフロン(登録商標)で形成しているが、金属やFRP、シリコン等を用いて形成してもよい。
【0038】
続いて、超音波プローブ装置P1の製造方法について、図4と図5に示すフローチャートとを用いて説明する。
【0039】
まず、図4(a)及び図5に示すように、シュー20に対して第一型体40を装着する(型装着工程S11)。具体的には、シュー20の対向部22を嵌入穴部41に嵌め入れる。
この状態において、シュー20の対向部22の他端面22aと、第一型体40の嵌入穴部41の底面41aとを密着させると共に、シュー20の貫通孔23に対して第一型体40の凹部41bを対向させる。
【0040】
次に、図4(b)及び図5に示すように、第一型体40の凹部41bとシュー20の貫通孔23とに流動性を有する媒質材料液L(例えば、タキロン株式会社製の「ソナゲル」)を充填する(充填工程S12)。
この媒質材料液Lの具体例としては、例えば、ポリオール成分とポリイソシアネート成分をOH/NCOが所定の価(1以上3.5以下が望ましい。)となるように混合すると共に、必要に応じて適量の触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレートや、トリアルキルアミン、トリエチレンジアミンなどの第3級アミン)を混合して調製して得ている(詳しくは、特開2007−143946号公報参照)。
この工程においては、シュー20の貫通孔23に対して、小径部23bに媒質材料液Lを隙間なく充填するのが望ましく、貫通孔23の孔軸が鉛直方向に向くようにシュー20を傾けることが望ましい。
【0041】
次に、図4(c)及び図5に示すように、シュー20の貫通孔23の一方側開口部23aに第二型体50を挿入して貫通孔23を閉塞する(閉塞工程S13)。より具体的には、第二型体50の型部51を貫通孔23の一方側開口部23aに嵌め入れる。
【0042】
次に、図5に示すように、シュー20の貫通孔23の一方側開口部23aに第二型体50を挿入した状態で、媒質材料液Lが非流動性を有するまで固化させることにより、媒質体30を得る(固化工程S14)。
すなわち、上記具体例においては、材料液を型内に注入して常温ないし加温下に反応させることにより、セグメント化ポリウレタンゲルを作製する。なお、このセグメント化ポリウレタンゲルには、液体の前記有機系ゲル膨張媒を浸透、含有させるのが望ましい。
【0043】
次に、図4(d)及び図5に示すように、シュー20から第一型体40と第二型体50とを取り外して、超音波プローブ用治具J1の製作を完了させる(型取り外し工程S15)。
【0044】
最後に、図5に示すように、シュー20の貫通孔23の一方側開口部23aに超音波プローブ10を挿入して(嵌め入れて)、超音波プローブ装置P1の製作を完了させる(プローブ取付口定S16)。
【0045】
以上説明したように、この超音波プローブ装置P1の製造方法においては、媒質体30をゲル材料で構成する場合であっても媒質体30を良好に形成することができる。特に、超音波プローブ装置P1においては、弾性突出部32の形状が半球状であり、例えば既製品のブロック状のゲル材料から形成するのが困難であるが、上記製造方法によって容易に得ることができる。
また、弾性突出部32がゲル材料(例えばソナゲル)で形成されているので、配管Bに対して良好に密着が可能になると共に超音波を良好に伝達させることができる。
また、充填部31が弾性突出部32と同一材料であるので、充填部31と弾性突出部32とのそれぞれの音の伝達速度vを同一にすることができる。これにより、充填部31及び弾性突出部32の音響インピーダンスが同一となって、擬似エコーが生じることを防止することができる。
【0046】
なお、上述した製造方法においては、二液を混合して常温ないし加温下で固化させる媒質材料液Lを用いたが(タキロン株式会社製の「ソナゲル」)、例えば株式会社エクシールコーポレーション製の「アスカーC」を用いた場合にも同様の手順で固化させることができる。また、粉末を水に溶かして固化させる媒質材料(例えば「ゼラチン」)や固形物を加温した後に冷まして固化させる媒質材料(例えば「寒天」)を用いてもよい。
【0047】
なお、上述した製造方法においては、閉塞工程S13において貫通孔23を閉塞させる閉塞体として第二型体50を用いたが、図6に示すように、第二型体50に代えて超音波プローブ10で貫通孔23を閉塞させる構成にしてもよい(閉塞工程S13A)。この方法によれば、超音波プローブ10を貫通孔23の一方側開口部23aに挿入され、送受信面10aと媒質材料液Lとが接触した状態で媒質材料液Lが固化して媒質体30が形成されるので、超音波プローブ10を一方側開口部23aに嵌め入れた場合に、送受信面10aが媒質体30に接触する位置関係となるので、密着性を高めることができる。これにより、超音波プローブ10の送受信面10aと媒質体30との間に接触媒質(例えばグリセリン)を塗布する作業と第二型体50を準備する作業とを省略することができる。
また、超音波プローブ10の送受信面10aと媒質体30との密着性を高めることができるので、作業性及びメンテナンス性に優れた超音波プローブ用治具J1を得ることができる。
【0048】
また、上述した製造方法においては、充填工程S12の経た後に閉塞工程S13を経る構成としたが、例えば、図7に示すように、シュー20の貫通孔23の内部と外部とを連通させる充填孔53と空気逃がし孔54とを形成した第二型体50Aで貫通孔23を閉塞した後に(閉塞工程)、充填孔43から媒質材料液Lを充填してもよい(充填工程S13B)。同様に、シュー20に充填孔や空気逃がし孔を形成し、閉塞工程を経た後に充填工程を経てもよい。
【0049】
また、上述した超音波プローブ装置P1においては、弾性突出部32を配管Bに直接接触させる構成にしたが、図8に示すように、弾性突出部32の外表面を保護薄膜体(薄膜体)33で被覆して、保護薄膜体33を介して配管Bに接触させる構成にしてもよい。
この構成によれば、例えば、保護薄膜体33を配管Bに対して摩擦係数の少ない材料(例えばPETフィルム)にすることで、配管Bに対して超音波プローブ装置P1の滑りを良くすることができ、弾性突出部32の磨耗を防止することができる。
【0050】
「第二実施形態」
続いて、本発明の第二実施形態について説明する。なお、以下の説明及びこの説明に用いる図面においては、上述した構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複説明を省略する。
【0051】
図9は、本発明の第二実施形態に係る超音波プローブ装置P2の縦断面図である。
図9に示すように、超音波プローブ装置P2は、超音波プローブ10と、超音波プローブ用治具J2とを備えている。
【0052】
超音波プローブ用治具J2は、シュー20と、超音波プローブ10と配管Bとの間で超音波を伝達させる媒質体60と、押さえ薄膜体(薄膜体)63とを備えている。
【0053】
媒質体60は、互いに別体に形成された、充填部61と、上述した媒質体30と同一材料(ゲル材料)で形成された弾性突出部62とを有している。
【0054】
充填部61は、弾性突出部62よりも硬くて加工及び充填が容易な非流動性のドライカプラント(例えばオリンパス株式会社製のAEC材、加工容易性材料)で形成されており、シュー20の貫通孔23の小径部23bに充填されている。この充填部61をなすドライカプラントは、音響インピーダンスの差を小さくして擬似エコーを低減させるために、弾性突出部62をなすゲル材料に対して音の伝達速度vが近似するものを用いている。
本実施形態においては、ゲル材料(例えばソナゲル)の音の伝達速度vが約1550m/sであるのに対して、ドライカプラント(例えばAEC材)の音の伝達速度vが約1590m/sとなっている。
なお、本実施形態においては、充填部61の材質としてドライカプラントを用いたが、他の加工容易性材料としては、天然ゴム(v≒1500m/s)やスチレン−ブタジエン−ゴム(v≒1760m/s)、硬めの寒天(v≒1500m/s)を用いてもよい。
【0055】
弾性突出部62は、第一実施形態と同様の材料を用いたブロック状(塊状)のゲル材料65(図10参照)で形成されており、押さえ薄膜体63がシュー20(他端面22a)に向けて押さえ付けることで、図9に示すように、半球状となっている。
【0056】
押さえ薄膜体63は、本実施形態においてはゴム膜からなっており、ブロック状のゲル材料65をシュー20に対して押さえ付けることで、半球状の弾性突出部62を形成している。この押さえ薄膜体63は、周縁部63aを他端面22aに接着されている。
なお、押さえ薄膜体63は、接着する他に、係止機構等によってシュー20に固定してもよい。
【0057】
「第二実施形態の製造方法」
続いて、超音波プローブ装置P2の製造方法について図10及び図11を用いて説明する。図10は、超音波プローブ装置P2の製造方法の各工程の概略を示す工程図であり、図11は、超音波プローブ装置P2の製造方法のフローチャートである。
【0058】
まず、図10(a)及び図11に示すように、シュー20の貫通孔23の一方側開口部23aに超音波プローブ10を挿入する(挿入工程S21)。
【0059】
次に、図10(a)及び図11に示すように、シュー20の貫通孔23に挿入した超音波プローブ10の送受信面10aに密着するように、充填部61を貫通孔23内の小径部23bに充填する(充填工程S22)。
【0060】
次に、図10(b)及び図11に示すように、ブロック状のゲル材料65を、シュー20の他端面22aにおける小径部23bの開口に位置させる(ゲル材料配置工程S23)。
【0061】
次に、図10(c)及び図11に示すように、押さえ薄膜体63をシュー20の他端面22aに向けて引っ張ることにより、ブロック状のゲル材料65をシュー20に向けて押さえ付ける。そして、図10(d)に示すように、押さえ薄膜体63をシュー20に固定することにより、半球状の弾性突出部62を形成する(弾性突出部形成工程S24)。具体的には、押さえ薄膜体63の周縁部63aをシュー20の対向部22の他端面22aに接着する。この状態においては、押さえ薄膜体63の張力によって、弾性突出部62が充填部61に向けて付勢されて双方が密着すると共に、充填部61が超音波プローブ10に向けて付勢されての送受信面10aと充填部61とが密着する。そして、押さえ薄膜体63の接着が完了すると、上記構成部材間の密着が保持される。
このようにして、超音波プローブ装置P2を得る。なお、本実施形態の場合においては、超音波プローブ用治具J2は超音波プローブ装置P2と同時に得られることとなる。
【0062】
以上説明したように、超音波プローブ装置P2によれば、上述した超音波プローブ装置P1と同様の効果得ることができる。
また、超音波プローブ装置P2の製造方法によれば、ブロック状のゲル材料65を用いたとしても、このブロック状のゲル材料65を押さえ薄膜体63で押さえ付けることで、半球状の弾性突出部62を容易に得ることができる。
また、押さえ薄膜体63の反力によって、弾性突出部62と充填部61とが密着すると共に、超音波プローブ10の送受信面10aと充填部61とが密着するので、媒質体60を介して、超音波プローブ装置P2と配管Bとの間で超音波を良好に伝達させることができる。
これらにより、弾性突出部62の形成に単純な形状の非流動性のゲル材料(65)を用いることができる。
【0063】
なお、上述した保護薄膜体33(図8参照)と同様に、押さえ薄膜体63を、保護薄膜体33を配管Bに対して摩擦係数の少ないものにすることで、配管Bに対して超音波プローブ装置P1の滑りを良くすることができ、弾性突出部32の磨耗を防止することができる。
【0064】
また、上述した製造方法においては、挿入工程S21においてシュー20の一方側開口部23aに超音波プローブ10を挿入する構成としたが、超音波プローブ10に代えて第二型体50を挿入してもよい。
【0065】
「超音波プローブ装置P1,P2の第一変形例」
図12は、上述した超音波プローブ装置P1の第一変形例である超音波プローブ装置P3の要部拡大断面図である。
超音波プローブ装置P3は、超音波プローブ10と超音波プローブ用治具J3とを有している。超音波プローブ用治具J3は、シュー20を有する点で超音波プローブ用治具J2と同様であるが、媒質体30に代えて媒質体30Aを有する点で超音波プローブ用治具J2と相違する。
【0066】
媒質体30Aは、充填部31Aと弾性突出部32とを有している。
充填部31Aは、超音波プローブ10の送受信面10aに対向する一端面31aの中央側が(外周側から中心側に向かうに従って)盛り上がって形成されている。この構成によれば、充填部31Aの一端面31aが盛り上がって形成されているので、超音波プローブ10を一方側開口部25bに挿入した場合に一端面31aの盛り上がりが押し潰されて、一端面31aが超音波プローブ10の送受信面10aに密着する。従って、超音波プローブ10から充填部31Aに対して超音波を良好に伝達させることができる。
また、超音波プローブ10から充填部31に対して超音波を良好に伝達させることができるので、充填部31Aの一端面31aと超音波プローブ10の送受信面10aとに塗布する接触媒質(グリセリン等)を省略することができ、多重エコーを効果的に防止することができる。
【0067】
なお、盛り上がった一端面31aは、例えば図13に示すように、第二型体50の先端面50aを窪んだ形状にすることで、容易に形成することができる。
また、超音波プローブ装置P2においても、充填部61の一端面を機械加工等することによって、一端面を容易に盛り上がらせることができる。
【0068】
「超音波プローブ装置P1,P2の第二変形例」
図14は、上述した超音波プローブ装置P1の第二変形例である超音波プローブ装置P4の要部拡大断面図である。
図14に示すように、超音波プローブ装置P4は、超音波プローブ10と超音波プローブ用治具J4とを有している。超音波プローブ用治具J4は、シュー20と媒質体30とを有する点で超音波プローブ用治具J2と同様であるが、充填部31と貫通孔23の内壁面23cとの間に、吸音体70を有する点で超音波プローブ用治具J2と相違する。
【0069】
吸音体70は、筒状に形成されており、シュー20の貫通孔23の内壁面23cの全面に貼付されている。本実施形態においては、吸音体70をテフロン(登録商標)で形成しているが、他の材料(例えばコルク等)を用いて形成してもよい。
【0070】
この構成によれば、シュー20の貫通孔23内において、超音波の回り込みや散乱を防ぐことが可能であるので、超音波検査装置(不図示)が検出する類似エコーを低減することができる。
【0071】
なお、吸音体70は、シュー20の貫通孔23の内壁面23cに接着した後に、媒質材料液Lを貫通孔23に充填することで、容易に超音波プローブ用治具J4に組み込むことが可能である。
また、超音波プローブ装置P2においても、充填部61の外周に吸音体70を巻いてから小径部23bに充填することで、容易に組み込むことができる。
【0072】
「超音波プローブ装置P1,P2の第三変形例」
図15は、上述した超音波プローブ装置P1の第三変形例である超音波プローブ装置P5の要部拡大断面図であり、図16は、超音波プローブ装置P5の要部拡大平面図である。
図15及び図16に示すように、超音波プローブ装置P5は、超音波プローブ10と超音波プローブ用治具J5とを有している。超音波プローブ用治具J5は、シュー20に代えてシュー治具本体)20Aを有する点と、媒質体30に代えて媒質体30Bを有する点と、超音波プローブ10を揺動可能に支持する支持機構80を有する点で、超音波プローブ用治具J2と相違する。
【0073】
シュー20Aは、シュー20に形成されていた貫通孔23に代えて、貫通孔25が形成されている。
貫通孔25は、シュー20Aの厚さ方向の一方側から他方側に向かうに従って漸次単調に縮径する一方側開口部(開口部)25aと、シュー20Aの厚さ方向の一方側から他方側に向かうに従って漸次単調に拡径する拡径部25bとを有している。
一方側開口部25aは、最小の径(拡径部25b側)が、超音波プローブ10よりも大きく形成されている。この一方側開口部25aには、支持機構80に支持された超音波プローブ10を、遊びを持った状態で収容している。
【0074】
媒質体30Bは、充填部31Bと弾性突出部32とを有している。
充填部31Bは、弾性突出部32と同一の材料(ゲル材料)からなっており、シュー20Aの拡径部25bに充填されていると共に、一方側開口部25aに僅かに突出しており、超音波プローブ10の送受信面10aに密着している。
【0075】
支持機構80は、一対のピン81A,81Bと、一対のピン81を収容する一対の遊孔82A,82Bとからなっている。
一対の一対のピン81A,81Bは、それぞれ、超音波プローブ10の外周に接合され、仮想中心線Q(図2参照)の延在方向において互いに離間する方向に延びている。
一対の遊孔82A,82Bは、それぞれ、シュー20の一方側開口部25aの内壁面25cにおいて、仮想中心線Qの延在方向において互いに対向する位置に、ピン81(81A,81B)の外径よりも大きい内径で形成されている。
支持機構80は、一対のピン81A,81Bが一対の遊孔82A,82B内で変位可能であり、かつ、一方側開口部25aの内壁面25cが超音波プローブ10の変位に干渉しない大きさに設定されている。このため、支持機構80は、超音波プローブ10を揺動可能に支持している。
【0076】
この構成によれば、超音波プローブ10を揺動可能な支持機構80を有しているので、超音波照射方向を変更することが可能であり、様々な屈折角での検査が可能となる。
【0077】
「超音波プローブ装置P1,P2の第四変形例」
図17は、上述した超音波プローブ装置P1の第四変形例である超音波プローブ装置P6の概略斜視図である。なお、図17においては、超音波プローブ10の図示を省略している。
【0078】
図17に示すように、超音波プローブ装置P6は、超音波プローブ10と超音波プローブ用治具J6とを有している。超音波プローブ用治具J6は、シュー20に代えて左右分割型のシュー(治具本体)20Bを有する点で、超音波プローブ用治具J2と相違する。
シュー20Bは、貫通孔23の孔軸の延在方向に向けて配置された音響吸収壁90を有している。
音響吸収壁90は、コルクやテフロン(登録商標)からなっており、貫通孔23内において充填部31を二分していると共に、弾性突出部32のシュー20側を二分している。
この構成によっても、上述した第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
なお、音響吸収壁90は、貫通孔23の内部に配置した後に、媒質材料液Lを貫通孔23に充填することで、容易に超音波プローブ用治具J6に組み込むことが可能である。
また、超音波プローブ装置P2においても、充填部61とブロック状のゲル材料65とを分断して、それぞれ分断片の間に音響吸収壁90を位置させることで、容易に組み込むことができる。
【0080】
なお、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上述した実施の形態においては、配管Bに対して超音波検査を行ったが、他の検査対象物に対して本発明を適用してもよい。
また、フェイズドアレイ式の超音波プローブ装置に本発明を適用してもよい。この場合には、各素子からのビームの指向性が広いので、ビームの経路となる媒質体のサイズは多少広げて製作するのが好ましい。
【符号の説明】
【0081】
10…超音波プローブ
20,20A,20B…シュー(治具本体)
23,25…貫通孔
23a,25a…一方側開口部(開口部)
23c,25c…内壁面
30,30A,30B,60…媒質体
31,31A,31B,61…充填部
31a…一端面
32,62…弾性突出部
33…保護薄膜体(薄膜体)
40…第一型体
41b…凹部
50,50A…第二型体
63…押さえ薄膜体(薄膜体)
70…吸音体
80…支持機構
J1,J2,J3,J4,J5,J6…超音波プローブ用治具
P1,P2,P3,P4,P5,P6…超音波プローブ装置
B…配管(超音波照射対象)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波検査装置の超音波プローブに装着される超音波プローブ用治具であって、
一方向において一方側から他方側に貫通する貫通孔が形成され、前記貫通孔の前記一方側の開口部に前記超音波プローブが挿入される治具本体と、
前記貫通孔内に充填され、前記貫通孔内に挿入された前記超音波プローブに密着する充填部、及び、前記充填部に連続すると共に前記治具本体から前記他方側に向けて突出して設けられ、弾性変形した状態で超音波照射対象に密着可能な弾性突出部を有し、前記超音波プローブと前記超音波照射対象との間で超音波を伝達させる媒質体と、を備え、
前記媒質体は、非流動性の材料で形成されていることを特徴とする超音波プローブ用治具。
【請求項2】
前記弾性突出部は、ゲル材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波プローブ用治具。
【請求項3】
前記充填部は、前記弾性突出部と同一材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波プローブ用治具。
【請求項4】
前記充填部は、音の伝達速度が前記ゲル材料と近似する加工容易性材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波プローブ用治具。
【請求項5】
前記充填部は、前記一方側における一端面の中央側が、前記一方側に盛り上がって形成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の超音波プローブ用治具。
【請求項6】
前記弾性突出部の表面に設けられた薄膜体を備えることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の超音波プローブ用治具。
【請求項7】
前記充填部と前記貫通孔の内周面との間に設けられた吸音体を備えることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の超音波プローブ用治具。
【請求項8】
前記超音波プローブを前記挿入孔内において前記治具本体に対して揺動可能に支持する回動支持部を備えることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の超音波プローブ用治具。
【請求項9】
請求項1から8のうちいずれか一項に記載の超音波プローブ用治具と、
前記治具本体の前記貫通孔の一方側の開口部に挿入された超音波プローブと、を具備することを特徴とする超音波プローブ装置。
【請求項10】
超音波検査装置の超音波プローブに装着される超音波プローブ用治具の製造方法であって、
一方向において一方側から他方側に貫通する貫通孔が形成された治具本体に対して凹部が形成された第一型体を装着して、前記貫通孔に対して前記凹部を対向させる型装着工程と、
前記第一型体の凹部と前記治具本体の貫通孔とに流動性を有する媒質材料を充填する充填工程と、
前記治具本体の貫通孔の前記一方側の開口部に閉塞体を挿入した状態で、前記媒質材料が非流動性を有するまで固化させることにより、前記超音波プローブと前記超音波照射対象との間で超音波を伝達させる媒質体を得る固化工程と、を有することを特徴とする超音波プローブ用治具の製造方法。
【請求項11】
超音波検査装置の超音波プローブに装着される超音波プローブ用治具の製造方法であって、
治具本体において一方向の一方側から他方側に貫通する貫通孔の前記一方側の開口部に閉塞体を挿入する挿入工程と、
前記貫通孔に挿入した前記閉塞体に密着するように、超音波を伝達させる非流動性の充填部を、前記貫通孔内の前記他方側に充填する充填工程と、
超音波を伝達させるゲル材料を前記貫通孔の他方側に位置させるゲル材料配置工程と、
前記ゲル材料を治具本体に向けて薄膜体で押さえ付けて前記薄膜体を固定することにより、前記充填部に対して連続すると共に前記治具本体から前記他方側に突出する弾性突出部を形成する弾性突出部形成工程と、を有することを特徴とする超音波プローブ用治具の製造方法。
【請求項12】
前記閉塞体は、前記超音波プローブの形状を模した第二型体であることを特徴とする請求項10又は11に記載の超音波プローブ用治具の製造方法。
【請求項13】
前記閉塞体は、前記超音波プローブであることを特徴とする請求項10又は11に記載の超音波プローブ用治具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−173259(P2012−173259A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38379(P2011−38379)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】