説明

超音波ヘッド

【課題】 超音波振動を規制することなく、熱効率を向上させた超音波ヘッドを提供する。
【解決手段】 超音波ヘッド10aは、超音波振動によりLSIチップと基板とを接合させる超音波接合装置に用いられるものであって、LSIチップに当接して超音波振動を行う共振器15を構成する突出部13aと、共振器15を構成する主軸部12の表面に配置される熱伝導性弾性体17aと、熱伝導性弾性体17aの表面に配置され、発熱して熱伝導性弾性体17a、共振器15を構成する主軸部12及び突出部13aを介してLSIチップと基板の接合部分の近傍に熱を与えるヒータ16aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における超音波ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIチップに超音波振動を与えることによって基板に接合させる超音波接合装置が用いられている。このような超音波接合装置は、LSIチップの下面に配置されるバンプと、基板の上面に配置されるパッドとを接触させた上で、超音波ヘッドによってLSIチップに超音波振動を与える。これにより、バンプとパッドとが擦れ合い、これらの接合面が固相結合する。
【0003】
ところで、LSIチップと基板との接合部分近傍には、一般に樹脂等のアンダーフィルが形成される。このアンダーフィルとして熱硬化性のものを使用する場合には、当該アンダーフィルの形成においてLSIチップと基板との接合部分近傍が加熱される。このため、当該加熱の際に、アンダーフィルとLSIチップ及び基板との熱膨張率の違いによってLSIチップと基板との接合破断が生じることを防止すべく、LSIチップと基板との接合時において、アンダーフィルの硬化時における加熱温度と同等の温度で接合部分を加熱させる必要がある。
【0004】
このように、LSIチップと基板との接合において、その接合部分を加熱する従来の技術としては、例えば特許文献1に記載されるものがある。この特許文献1に記載された技術では、図7に示すように、作用面410を有する共振器407が支持部408に支持されている。支持部408内には、ヒータ416が設けられ、対向板部415を加熱し、その輻射熱によって共振器407の作用面410を加熱するように構成されている。これにより、接合対象である、例えば、LSIチップと基板との接合部分が加熱される。
この技術では、輻射熱で共振器407および作用面410を加熱するため、ヒータ416の設置箇所に制限がないという利点を有するものの、輻射熱による熱の伝達効率はよくない。
一方、他の先行技術の例としては、図8(a)の上面図及び図8(b)のX−X線断面図に示すように、超音波ヘッド300がある。この先行技術では、超音波振動子311に接合されて超音波振動を行う主軸部302において、当該主軸部302に取り付けられた突出部303a及び303bの近傍に形成された穴310に、棒状のヒータ304が挿入される。
ヒータ304は、本来、主軸部302に接触することで熱を伝達するように構成されている。しかし、従来の技術では、熱応力の発生を低減するために、ヒータ304の外径が穴310の内周径よりも小さく構成される必要ある。このため、ヒータ304と主軸部302との間には隙間が生じており、熱効率が低下する。
さらに、このように主軸部302に接触する構成のヒータ304は、超音波ヘッド300の主軸部302上で定在波の節が構成される箇所にしか設置できない。ヒータ304が超音波振動を規制するからである。このため、必ずしも十分な熱効率で突出部303a及び303b、ひいては、接合対象の接合箇所を加熱することができなかった。
【特許文献1】特開2003−282644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、上述した従来の技術では、輻射熱による場合には、超音波振動がヒータによって規制されることがないという利点を有してはいるものの、輻射熱を利用してLSI
チップと基板との接合部分を加熱するものであるため、熱効率が悪いという問題があった。
また、共振体にヒータを接触させる構成では、ヒータの設置個所が定在波の節に相当する箇所に限定される上に、熱応力の発生を低減するために隙間が生じ、熱効率を低下させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は従来の問題を解決するためになされたもので、超音波振動を規制することなく、熱効率を向上させた超音波接合技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の共振器は、超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置に用いられるものであって、少なくとも前記第1の対象物に当接して超音波振動を行う共振部と、前記共振部の表面に配置される熱伝導性弾性体と、前記熱伝導性弾性体の表面に配置され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する。
【0008】
この構成により、共振部とヒータ体との間に熱伝導性弾性体が介在するため、ヒータ体によって共振部の超音波振動が規制されることなく、熱効率の低下を防止することができる。
【0009】
また、本発明の共振器は、前記熱伝導性弾性体が、前記共振部の所定の面上に充填されて板状体を構成し、前記ヒータ体が、板状であって前記熱伝導性弾性体における前記共振部との接触面の反対側の面上に配置される。
【0010】
また、本発明の共振器は、前記熱伝導性弾性体が、前記共振部に形成される穴の内周面上に充填されて筒体を形成し、前記ヒータ体が、棒状であって前記熱伝導性弾性体の筒体内に配置される。
【0011】
また、本発明の共振器は、前記ヒータ体又は前記ヒータ体を組み込んだ放熱部材が、前記共振部を覆う形状である。
【0012】
また、本発明の共振器は、超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置に用いられるものであって、少なくとも前記第1の対象物に接触して振動する共振部と、前記共振部の表面に前記共振部と一体成形され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する。
【0013】
この構成により、共振部とヒータ体とが一体成形されるため、ヒータ体によって共振部の超音波振動が規制されることなく、熱効率の低下を防止することができる。
また、本発明に係る超音波ヘッドは、前述したいずれかの共振器に超音波振動子を結合した構成となる。さらに、本発明に係る超音波接合装置は、前述した超音波ヘッドを有し、前記共振部が前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に対向する面の突出部を前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に押圧する押圧機構を備え、前記対象物に超音波振動を与えるようにした構成となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、第1の対象物の第2の対象物の接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体を有するが、このヒータ体によって共振部の超音波振動が規制されることなく、かつ、ヒータ体が共振部に熱を伝達する際の熱効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態の超音波ヘッドを用いた超音波接合装置について、図面を用いて説明する。超音波接合装置の構成を図1に示す。
【0016】
図1において超音波接合装置は、加圧機構110、アライメント機構120、ステージ121、撮影ユニット移動機構130及び撮像ユニット131を有している。加圧機構110の先端部には超音波ヘッド10が装着され、加圧機構110(本発明の押圧機構に相当)は、超音波ヘッド10を垂直方向(Z軸方向)に昇降させる。超音波ヘッド10には、不図示の吸着機構が設けられており、第1の対象物としてのLSIチップを吸着する。加圧機構110は、超音波ヘッド10に吸着されたLSIチップをステージ121上に保持された第2の対象物である基板に押圧する。
アライメント機構120の上端部にはステージ121が固定されており、アライメント機構120は、ステージ121を水平面(X−Y平面)内で移動させる。これにより、ステージ121は、Z軸に対して傾きを変動することなく移動される。撮像ユニット131は、ステージ121の上方所定領域を撮像範囲とするように撮影ユニット移動機構130に固定される。撮像ユニット移動機構130は、撮像ユニット131を水平面(X−Y平面)内で移動させる。
【0017】
超音波接合装置は、更に加圧制御部210、超音波発振器220、撮像ユニット移動機構制御部240及び画像処理部250と、これらを制御するメインコントローラ200とを有している。メインコントローラ200の制御のもと、超音波発振器220は、所定周波数の超音波駆動信号を超音波ヘッド10に対して出力する。
ステージ121上にはチップを接合される基板がセットされる。撮像ユニット移動機構制御部230は、超音波ヘッド10とステージ121とが離間した状態で、撮像ユニット131を超音波ヘッド10とステージ121との間に進入させる。そして、撮像ユニット131は、超音波ヘッド10に吸着されたLSIチップとステージ121上にセットされた基板とを撮影し、対応する画像信号を出力する。画像処理部250は、撮像ユニット131からの画像信号に対して所定の画像処理を施し、前記接合されるべきLSIチップと基板とのZ軸方向の重ね合わせ状態を表す状態信号を生成する。
【0018】
アライメント機構制御部230は、メインコントローラ200の制御のもと、上記重ね合わせ状態を表す状態信号にしたがい、超音波ヘッド10に吸着されたLSIチップとステージ121上にセットされた基板とが所定の位置関係となるようにアライメント機構120の駆動制御(位置合わせ)を行う。位置合わせが完了すると、撮像ユニット移動機構制御部230は、撮像ユニット131を超音波ヘッド10とステージ121との間から所定の待機位置へ後退させる。このような位置合わせの後、加圧制御部210は、メインコントローラ200の制御のもと、超音波ヘッド10に吸着されたLSIチップを接合対象となる基板に当接させ、さらに所定の圧力にてLSIチップを基板に押圧するように加圧機構110の駆動制御を行う。
【0019】
以下、超音波ヘッド10の詳細な構成について説明する。まず、超音波ヘッド10の第1の構成について説明する。図2は、超音波ヘッド10の第1の構成を示す図であり、図2(a)は斜視図、図2(b)は側面図、図2(c)は図2(b)のX−X線断面図である。
【0020】
図2に示す超音波ヘッド10aにおいて、超音波振動子11は、超音波振動を発生する。さらに、主軸部12と、突出部13a及び13bとは、この超音波振動の共振器15(本発明の共振部に相当)を構成する。主軸部12は、超音波振動子11に結合されて当該超音波振動子11から発生する超音波振動の進行方向に延在する。突出部13a及び13bは、主軸部12の長手方向の中央部からその長手方向と垂直な方向に突出する。このう
ち、突出部13aには、LSIチップを吸着保持する吸着機構(例えば、空気を吸引して負圧を発生する開口部)が設けられている。超音波ヘッド10aは突出部13aにLSIチップを吸着保持した状態で基板に押圧する。そして、超音波振動子11から発生する超音波振動(縦波)が共振器15において共振し、共振状態にある主軸部12の超音波振動が突出部13aから接合対象となるLSIチップに与えられる。
【0021】
図3は、LSIチップと基板の接合部分を示す図である。同図において、LSIチップ20の下面には、複数の電極端子21が配置されており、更に、これら電極端子21のそれぞれには、バンプ22が形成されている。一方、基板30の上面には、バンプ22と対向するように複数のパッド31が配置されている。超音波接合装置では、LSIチップ20の各電極端子21が形成された面と逆側の面に超音波ヘッド10aが押圧されるように上記画像処理部250およびアライメント機構制御部230による位置合わせがなされる。この状態で、超音波ヘッド10aがLSIチップ20との接合面に平行な方向(図1に示す矢印参照)に超音波周波数(例えば、40kHz)にて振動すると、その超音波振動により、バンプ22とパッド31とが擦れ合い、それらの接触面が平滑化されて一体化(固相結合)する。これにより、LSIチップ20の各バンプ22が基板30上のパッド31に接合し、LSIチップ20と基板30との電気的接続が確実になされる。そして、バンプ22がパッド31に接合した状態で、LSIチップ20と基板30との間にアンダーフィル35が満たされる。
【0022】
再び、図2に戻って説明する。熱伝導性弾性体17aは、板状の形状を有し、主軸部12の2つの側面のそれぞれにおける突出部13a及び13bの近傍に配置される。これら熱伝導性弾性体17aは、熱伝導性の高い、例えば、シート状、ペースト状等のシリコンゲルや、シート状、ペースト状、接着剤、ポッティング剤、シール剤等のシリコンゴムによって構成される。
【0023】
2つのヒータ16aは、板状であり、アンダーフィル35を硬化させる際の加熱時において、当該アンダーフィル35とLSIチップ20及び基板30との熱膨張率の違いによってLSIチップ20と基板30との接合破断が生じることを防止するために、LSIチップ20と基板30との接合前に予めアンダーフィル35の硬化時における加熱温度と同等の温度で接合部分を加熱させるものである。これら2つのヒータ16aは、熱伝導性弾性体17aにおける主軸部12との接触面の反対側の面上に配置される。
【0024】
すなわち、主軸部12とヒータ16aとの間には、熱伝導性弾性体17aが介在する構成となっている。従って、ヒータ16aが他の部材等によって固定され、動くことができないものであっても、熱伝導性弾性体17aの弾性力によって主軸部12及び突出部13aの超音波振動が規制されることがない。更には、熱伝導性弾性体17aの熱伝導性により、ヒータ16aからの熱を当該熱伝導性弾性体17a、主軸部12及び突出部13aを介して、LSIチップ20と基板30との接合部分に効率よく伝達させることができる。
【0025】
次に、超音波ヘッド10の第2の構成について説明する。図4は、超音波ヘッド10の第2の構成を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は図4(a)のX−X線断面図である。
【0026】
図4に示す超音波ヘッド10bにおいて、超音波振動子11、主軸部12、突出部13a及び13bは、図2に示す超音波ヘッド10aにおける超音波振動子11、主軸部12、突出部13a及び13bと同様であるので、その説明は省略する。
【0027】
但し、主軸部12には、2つの穴14が形成されている。これら穴14のそれぞれの内周面には、筒状の熱伝導性弾性体17bが充填され、筒状に配置される(本発明の筒体に
相当)。これら筒状の熱伝導性弾性体17bは、例えば、シリコンゲルやシリコンゴムによって構成される。ヒータ16bは、図2に示す超音波ヘッド10aにおけるヒータ16aと同様、LSIチップ20と基板30との接合前に予め、アンダーフィル35の硬化時における加熱温度と同等の温度で接合部分を加熱させるものであり、円柱状の形状を有し、熱伝導性弾性体17aの筒内のそれぞれに配置される。
【0028】
すなわち、主軸部12とヒータ16bとの間には、熱伝導性弾性体17aが介在する構成となっている。従って、ヒータ16bが固定されていても、主軸部12及び突出部13aの超音波振動が規制されることがなく、更には、ヒータ16bからの熱を、熱伝導性弾性体17b、主軸部12及び突出部13aを介して、LSIチップ20と基板30との接合部分に効率よく伝達させることができる。
【0029】
次に、超音波ヘッド10の第3の構成について説明する。図5は、超音波ヘッド10の第3の構成を示す図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は図5(a)のX−X線断面図である。
【0030】
図5に示す超音波ヘッド10cにおいて、超音波振動子11、主軸部12、突出部13a及び13bは、図2に示す超音波ヘッド10aにおける超音波振動子11、主軸部12、突出部13a及び13bと同様であるので、その説明は省略する。
【0031】
主軸部12の2つの側面のそれぞれには、熱伝導性弾性体17cが充填される。これら熱伝導性弾性体17cは、シリコンゲルやシリコンゴムによって構成される。放熱部材18は、コ字状の形状を有し、ヒータ(図示せず)を組み込んでいる。この放熱部材18は、主軸部12を覆うように配置され、内壁面が熱伝導性弾性体17cにおける主軸部12との接触面の反対側の面と接触する。
【0032】
すなわち、主軸部12とヒータを組み込んだ放熱部材18との間には、熱伝導性弾性体17cが介在する構成となっている。従って、放熱部材18が固定されていても、主軸部12及び突出部13aの超音波振動が規制されることがなく、更には、放熱部材18内のヒータからの熱を、熱伝導性弾性体17c、主軸部12及び突出部13aを介して、LSIチップ20と基板30との接合部分に効率よく伝達させることができる。なお、放熱部材18の代わりに、当該放熱部材18と同様の形状を有し、同様に配置されるヒータを用いても良い。
【0033】
次に、超音波ヘッド10の第4の構成について説明する。図6は、超音波ヘッド10の第4の構成を示す図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は図6(a)のX−X線断面図である。
【0034】
図6に示す超音波ヘッド10dにおいて、超音波振動子11、主軸部12、突出部13a及び13bは、図2に示す超音波ヘッド10aにおける超音波振動子11、主軸部12、突出部13a及び13bと同様であるので、その説明は省略する。
主軸部12の2つの側面のそれぞれには、ヒータパターン16dが形成されたヒータ19が配置される。これらヒータ19は、主軸部12と一体成形されており、当該主軸部12とともに超音波振動を行う共振器を構成する。
【0035】
従って、ヒータ19によって主軸部12及び突出部13aの超音波振動が規制されることがなく、更には、ヒータ19におけるヒータパターン16dからの熱を、主軸部12及び突出部13aを介して、LSIチップ20と基板30との接合部分に効率よく伝達させることができる。
【0036】
なお、上述した実施形態では、超音波接合装置が半導体チップと基板とを接合する場合について説明したが、他の2つの対象物を接合する場合においても、本発明を適用することができる。
【0037】
《その他》
更に、本発明の実施の形態は以下の発明を開示する。また、以下の各発明(以下、付記と称する)のいずれかに含まれる構成要素を他の付記の構成要素と組み合わせても良い。(付記1)超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における共振器であって、
少なくとも前記第1の対象物に当接して超音波振動を行う共振部と、
前記共振部の表面に配置される熱伝導性弾性体と、
前記熱伝導性弾性体の表面に配置され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する共振器。(1)
(付記2)前記熱伝導性弾性体は、前記共振部の所定の面上に充填されて板状体を構成し、
前記ヒータ体は、板状であって前記熱伝導性弾性体における前記共振部との接触面の反対側の面上に配置される付記1に記載の共振器。(2)
(付記3)前記熱伝導性弾性体は、前記共振部に形成される穴の内周面上に充填されて筒体を形成し、
前記ヒータ体は、棒状であって前記熱伝導性弾性体の筒体内に配置される付記1に記載の共振器。
(付記4)前記ヒータ体又は前記ヒータ体を組み込んだ放熱部材は、前記共振部を覆う形状である付記1に記載の共振器。
(付記5)超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における共振器であって、
少なくとも前記第1の対象物に接触して振動する共振部と、
前記共振部の表面に前記共振部と一体成形され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する共振器。(3)
(付記6) 前記熱伝導性弾性体は、シリコンゲル又はシリコンゴムであることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の共振器。
(付記7)超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における超音波ヘッドであって、
超音波振動子と、
前記超音波振動子に接続され、前記第1の対象物に当接して超音波振動を行う共振部と、
前記共振部の表面に配置される熱伝導性弾性体と、
前記熱伝導性弾性体の表面に配置され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物の接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する超音波ヘッド。(4)
(付記8)前記熱伝導性弾性体は、板状であって前記共振部の所定の面上に配置され、
前記ヒータ体は、板状であって前記熱伝導性弾性体における前記共振部との接触面の反対側の面上に配置される付記7に記載の超音波ヘッド。
(付記9)前記熱伝導性弾性体は、筒状であって前記共振部に形成される穴の内周面上に配置され、
前記ヒータ体は、棒状であって前記熱伝導性弾性体の筒内に配置される付記7に記載の超音波ヘッド。
(付記10)前記ヒータ体又は前記ヒータ体を組み込んだ放熱部材は、前記共振部を覆う形状である付記7に記載の超音波ヘッド。
(付記11)超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における超音波ヘッドであって、
超音波振動子と、
前記超音波振動子に接続され、前記第1の対象物に接触して振動する共振部と、
前記共振部の表面に前記共振部と一体成形され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物の接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する超音波ヘッド。
(付記12) 前記熱伝導性弾性体は、シリコンゲル又はシリコンゴムであることを特徴とする付記7乃至11のいずれかに記載の超音波ヘッド。
(付記13)超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置であって、
超音波振動子と、
前記超音波振動子に接続され、前記第1の対象物及び第2の対象物の少なくとも一方に当接して超音波振動を行う共振部と、
前記共振部の表面に配置される熱伝導性弾性体と、
前記熱伝導性弾性体の表面に配置され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物の接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体と、
前記共振部が前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に対向する面の突出部を前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に押圧する押圧機構と、を備える超音波接合装置。
(付記14)前記熱伝導性弾性体は、板状であって前記共振部の所定の面上に配置され、
前記ヒータ体は、板状であって前記熱伝導性弾性体における前記共振部との接触面の反対側の面上に配置される付記13に記載の超音波接合装置。
(付記15)前記熱伝導性弾性体は、筒状であって前記共振部に形成される穴の内周面上に配置され、
前記ヒータ体は、棒状であって前記熱伝導性弾性体の筒内に配置される付記13に記載の超音波接合装置。
(付記16)前記ヒータ体又は前記ヒータ体を組み込んだ放熱部材は、前記共振部を覆う形状である付記13に記載の超音波接合装置。
(付記17)超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置であって、
超音波振動子と、
前記超音波振動子に接続され、前記第1の対象物に接触して振動する共振部と、
前記共振部の表面に前記共振部と一体成形され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物の接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体と、
前記共振部が前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に対向する面の突出部を前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に押圧する押圧機構と、を備える超音波接合装置。
(付記18) 前記熱伝導性弾性体は、シリコンゲル又はシリコンゴムであることを特徴とする付記13乃至17のいずれかに記載の超音波接合装置。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明にかかる超音波ヘッドは、超音波振動を規制することなく、熱効率を向上させることが可能となるという効果を有し、超音波ヘッドとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】超音波接合装置の構成を示す図
【図2】超音波ヘッドの第1の構成を示す図
【図3】半導体チップと基板の接合部分を示す図
【図4】超音波ヘッドの第2の構成を示す図
【図5】超音波ヘッドの第3の構成を示す図
【図6】超音波ヘッドの第4の構成を示す図
【図7】従来の輻射熱による加熱機構を有する超音波ヘッドの構成を示す図
【図8】従来のヒータの接触による加熱機構を有する超音波ヘッドの構成を示す図
【符号の説明】
【0040】
10、10a、10b、10c、10d 超音波ヘッド
11 超音波振動子
12 主軸部
13a、13b 突出部
14 穴
15 共振器
16a、16b、16c ヒータ
16d ヒータパターン
17a、17b、17c 熱伝導弾性体
18 放熱部材
19 ヒータ
20 LSIチップ
21 電極端子
22 バンプ
30 基板
31 パッド
35 アンダーフィル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における共振器であって、
少なくとも前記第1の対象物に当接して超音波振動を行う共振部と、
前記共振部の表面に配置される熱伝導性弾性体と、
前記熱伝導性弾性体の表面に配置され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する共振器。
【請求項2】
前記熱伝導性弾性体は、前記共振部の所定の面上に充填されて板状体を構成し、
前記ヒータ体は、板状であって前記熱伝導性弾性体における前記共振部との接触面の反対側の面上に配置される請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における共振器であって、
少なくとも前記第1の対象物に接触して振動する共振部と、
前記共振部の表面に前記共振部と一体成形され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する共振器。
【請求項4】
超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置における超音波ヘッドであって、
超音波振動子と、
前記超音波振動子に接続され、少なくとも前記第1の対象物に当接して超音波振動を行う共振部と、
前記共振部の表面に配置される熱伝導性弾性体と、
前記熱伝導性弾性体の表面に配置され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体とを有する超音波ヘッド。
【請求項5】
超音波振動により第1の対象物と第2の対象物とを接合させる超音波接合装置であって、
超音波振動子と、
前記超音波振動子に接続され、少なくとも前記第1の対象物に当接して超音波振動を行う共振部と、
前記共振部の表面に配置される熱伝導性弾性体と、
前記熱伝導性弾性体の表面に配置され、発熱して前記熱伝導性弾性体及び前記共振部を介して前記第1の対象物と前記第2の対象物との接合部分の近傍に熱を与えるヒータ体と、
前記共振部が前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に対向する面の突出部を前記第1および第2の対象物の少なくとも一方に押圧する押圧機構と、を備える超音波接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−156756(P2006−156756A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345951(P2004−345951)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】