超音波モータ
【課題】円環構造を有し、モータ効率が改善され、配置スペ−スの制約も少ない超音波モータを提供する。
【解決手段】本超音波モータ40は、レンズ鏡筒の駆動源として組み込まれ、ステータ15と、環状のロータ16と、一対の振動子41と、振動子41を支持する振動子ホルダ22と、振動子41の支持軸46を支持する振動子押さえ23と、振動子押さえ23を介して摺動自在に振動子をロータ側に付勢する押さえバネ24と、ステータ15とロータ16の嵌合部に転動可能に挿入されるボール21とを有してなり、一対の振動子41は、ステータ15の凹部15bに振動子ホルダ22等を介して装着されており、振動子41の駆動子44は、ロータ16の外周面と内周面とを常時押圧する状態で挟持している。振動子41が励起され、駆動子44が楕円振動を行うと、ロータ16が回転駆動される。
【解決手段】本超音波モータ40は、レンズ鏡筒の駆動源として組み込まれ、ステータ15と、環状のロータ16と、一対の振動子41と、振動子41を支持する振動子ホルダ22と、振動子41の支持軸46を支持する振動子押さえ23と、振動子押さえ23を介して摺動自在に振動子をロータ側に付勢する押さえバネ24と、ステータ15とロータ16の嵌合部に転動可能に挿入されるボール21とを有してなり、一対の振動子41は、ステータ15の凹部15bに振動子ホルダ22等を介して装着されており、振動子41の駆動子44は、ロータ16の外周面と内周面とを常時押圧する状態で挟持している。振動子41が励起され、駆動子44が楕円振動を行うと、ロータ16が回転駆動される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波楕円運動を励起させる振動子を用いた超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する振動子と該振動子と付勢接触する被駆動体とを相対移動させる超音波モータの実装構造として特許文献1、または、2等に開示されたものがある。これらの超音波モータは、リニア型の駆動方式のものである。
【0003】
また、特許文献3にて開示された超音波モータは、超音波楕円振動を発生する振動子を適用した回転型超音波モータであって、中心を通る回転軸部を有するロータを適用するものである。
【特許文献1】特許文献1は、特許公報第2871768号である。
【特許文献2】特許文献2は、特許公開公報平8−182365号である。
【特許文献3】特許文献3は、特許公報第3401097号である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2等に開示されているリニア型の超音波モータは、円環型の超音波モータに比較して保持トルクの確保が困難であり、また、停止位置の分解能の向上が難しい等の課題を有している。
【0005】
一方、特許文献3に開示されている超音波モータは、回転型であるが、中心部を通る中心軸が必要であり、例えば、レンズ鏡筒などで中心部の大きな空間を必要とするものへの適用が困難である。また、振動子を固定している枠体自体が付勢バネ機能を有しているために上記枠体の剛性上の問題点があり、ロータと振動子との安定した付勢が難しかった。さらに、振動子を付勢する付勢力による摩擦損失を抑えるために振動子をロータの外側で複数対向させて配置する必要があり、振動子の配置位置の制約が生じ、また、電気配線も複雑化する。
【0006】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、超音波楕円運動を励起させる振動子を利用する超音波モータにおいて、円環構造を有し、モータ効率が改善され、配置スペ−スの制約も少ない超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の超音波モータは、超音波楕円振動を発生する少なくとも2つの振動子と、円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持し、さらに、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸方向及び周方向における位置を規制するように支持し、且つ、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに接触可能に対向させて上記ロータの径方向に移動自在に支持するステータと、少なくとも2つの上記振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに常時圧接するように、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの径方向に付勢する付勢手段とを具備する。
【0008】
本発明の請求項2に記載の超音波モータは、屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持するステータと、上記ステータに固定されるように設けられ、上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、上記振動子ホルダに対して上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押え部材と、上記振動子押え部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記一対の振動子を付勢する付勢手段とを具備し、上記一対の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造を有する。
【0009】
本発明の請求項3に記載の超音波モータは、請求項1、または、2に記載の超音波モータにおいて、上記ロータを回転可能に、上記ステータとで回転軸方向で挟持するように、上記ステータに取り付けられるロータ押さえ部材を有する。
【0010】
本発明の請求項4に記載の超音波モータは、請求項1、または、2に記載の超音波モータにおいて、上記ロータと上記ステータとの径方向の間に、双方に接触するように円周に沿って配設された複数の転動体を有する。
【0011】
本発明の請求項5に記載の超音波モータは、請求項4に記載の超音波モータにおいて、上記ステータ及び上記ロータは、上記転動体が接触する部分が上記ロータの回転軸方向位置を所定位置に規制するように形成されている。
【0012】
本発明の請求項6に記載の超音波モータは、超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、上記一対の振動子によって径方向で挟持されるように配置されて、上記振動子の楕円振動の作用を受けて、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持するステータと、上記ステータに固設されて、上記一対の振動子を作用面が対向するようにして互いに接近するように上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダとを具備する。
【0013】
本発明の請求項7に記載の超音波モータは、屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する複数の振動子と、円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持するステータと、上記ステータに固定されるように設けられ、上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、上記振動子ホルダに対して上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押さえ部材と、上記振動子押さえ部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記複数の振動子を付勢する付勢手段とを具備し、上記複数の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、超音波楕円運動を励起させる振動子を利用する超音波モータにおいて、円環構造を有し、少なくとも2つの振動子をロータ径方向に圧接することによって、モータ効率が改善され、配置スペ−スの制約も少ない超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態である超音波モータが組み込まれたレンズ鏡筒の光軸を含む縦断面図である。図2は、上記超音波モータ部の分解斜視図である。但し、光軸方向結像側からみた斜視図である。図3は、図1のA−A断面図である。図4は、図3のB部拡大図であって、上記超音波モータ部の振動子装着状態を示す。図5は、上記振動子を振動子ホルダに組み込んだ状態の振動子ブロックの斜視図である。図6は、上記振動子ブロックの分解斜視図である。図7は、図3のC−C断面拡大図であって、振動子装着状態を示す。図8は、上記超音波モータの磁気センサ部まわりの拡大断面図である。
【0016】
なお、以下の説明において、上記レンズ鏡筒の第一群〜第四群レンズからなる撮影レンズ光軸Oと平行な方向をZ方向とし、その被写体側を+,結像側を−とする。光軸Oに対するラジアル方向をR方向とし、光軸Oの周方向の接線方向をT方向とする。なお、光軸Oは、後述するステータ,ロータ等の回転軸心と略一致する。
【0017】
本実施形態のレンズ鏡筒1は、図1に示すように固定枠2と、固定枠2の外周部に支持されるカム環3と、カム環3の外周に嵌入さるズーム環4と、第一群レンズ35を保持する第一群レンズ枠5と、第一群レンズ枠5の後方にあって、第二群レンズ36を保持する第二群レンズ枠6と、第二群レンズ枠6の後方にあって、第三群レンズ37を保持する第三群レンズ枠7と、第三群レンズ枠7の後方にあって、フォーカスレンズである第四群レンズ38を保持する第四群レンズ枠8と、駆動源としての超音波モータ40とを有してなる。
【0018】
固定枠2は、環状枠部材であって、その環状部に円周ガイド溝2cと、Z方向に沿った直進ガイド溝2aと、Z方向に対して斜行するカム溝2bとを有し、さらに、後方部にステータ固着用端面部2d,フォーカス駆動アーム挿通用切り欠き2fが設けられる。そして、固定枠2の後端部には、エンドプレート31およびマウント33とがビス55によって固着される。さらに、エンドプレート31には、外枠32が固着されている。
【0019】
カム環3は、環状枠部材であって、固定枠2の外周に嵌入し、内周側突部3cが固定枠2の円周ガイド溝2cに嵌入して支持されており、固定枠2に対してZ方向に規制された状態で回動自在に支持される。円環部には、Z方向に対して斜行する2組のカム溝3a,3bが設けられる。
【0020】
ズーム環4は、環状枠部材であって、カム環3の外周に嵌入し、Z方向,回転方向ともに一体化されている。ズーム環4の外周部には操作用ゴムリング4aが装着されている。
【0021】
第一群レンズ枠5は、固定枠2の前端部に固着して支持される。
【0022】
第二,三群レンズ枠6,7は、固定枠2の内周に嵌入して支持され、外周にそれぞれカムフォロア11,12が固着されている。カムフォロア11,12は、固定枠2の直進ガイド溝2aを直進ガイド状態で挿通し、さらに、カム環3のカム溝3a,3bに摺動自在に嵌入している。従って、ズーム環4のズーム回動操作によってカム環3が回動駆動されると、カム溝3a,3bによってカムフォロア11,12を介して第二,三群レンズ枠6,7がZ方向に駆動され、光軸O方向の各ズーム位置に移動する。
【0023】
第四群レンズ枠8は、固定枠2の内周に嵌入して支持され、外周にカムフォロア13が固着されている。カムフォロア13は、固定枠2のカム溝2bに対して摺動自在に嵌入する。この第四群レンズ枠8には、Z方向に沿ったガイド溝8aが設けられている。ガイド溝8aには超音波モータ部40側のロータ16に固着されるフォーカス駆動アーム9の先端部が摺動自在に嵌入する。後述するようにフォーカス駆動時に超音波モータ部40のロータ16が回動駆動されると、フォーカス駆動アーム9を介して第四群レンズ枠8が固定枠2に対して相対的に回動駆動される。その回動によってカムフォロア13がカム溝2b上を摺動移動するので、第四群レンズ枠8は、回転しながらZ方向(光軸O方向)の各フォーカス位置に移動する。
【0024】
超音波モータ40は、第四群レンズ枠8を進退駆動するフォーカス駆動用アクチュエータであって、図1,2に示すようにステータ15と、円環状のロータ16と、ロータ押さえ部材であるロータ押さえ板18と、ステータ・ロータ径方向受け機構用の転動体である6つのベアリング用ボール21と、振動子41を含む後述の振動子ブロック(図5,6)と、センサ支持板27,磁気センサ28からなる磁気センサ部等を有してなる。
【0025】
ロータ16は、図2に示すように円環形状部材であって、耐摩耗性のよい材料で形成され、さらに、−Z側端面にポリエステルフィルムで保護されたリング状の磁気センサ用磁気テープ19が貼付されている。
【0026】
ステータ15は、図2に示すように円環形状の部材であって、内周側フランジ部15aと、−Z側面に振動子取り付け用の凹部15bと、−Z側内周部にボール挿入切り欠き15cと、+Z側面にセンサ支持板取り付け凹部15fが設けられる。ステータ15は、そのフランジ部15aの+Z端面を固定枠2の端面部2dに当接させて固着される。
【0027】
ロータ押さえ板18は、切り欠き18aを有するリング形状を有し、ビス挿通穴18aを有している。ステータ15の−Z側端面のビス穴15eにビス51を螺着して固着される。切り欠き18aは、上記振動子ブロックの逃げ部となる。
【0028】
ボール21は、ステータとロータの回動摩擦を軽減させるためのステータ・ロータ径方向受け機構を構成する部材であって、図3に示すようステータ15のボール挿入切り欠き15cに転動可能に嵌入される。そのボール外径は、ステータ15の内周側に僅かに突出しており、ロータ16の外周面16aをステータ15に挿入したとき、ボール21を介在した状態でステータ15とロータ16とがガタなく相対回動可能な状態に支持される。また、ステータ嵌入状態のロータは、ステータ15の内周側フランジ部15aとロータ押さえ板18とによって挟持された状態でZ方向の移動が規制される。なお、ボール21に代えてローラ状の転動体を適用してもよい。
【0029】
上記磁気センサ部である磁気センサ28を有するセンサ支持板27は、ステータ15の凹部15fにビス54によって固着される。上記取り付け状態で磁気センサ28は、ロータ側の磁気テープ19に摺接し、ロータ16の回転量を検出する。その摺接状態は、図8の断面図に示される。
【0030】
上記振動子ブロックは、図2,3に示すようにステータ15の振動子取り付け用の凹部15bに装着されるブロックであって、屈曲定在波振動と縦振動との合成による楕円運動を励起させ、駆動源となる一対の(2つの)振動子41と、振動子41を保持する振動子ホルダ22と、振動子押さえ部材である一対の振動子押さえ23と、振動子41を付勢するための付勢手段である押さえバネ24と、振動子駆動用プリント基板48とからなる(図5,6)。
【0031】
振動子41は、図5,6等に示すように積層圧電体42と、駆動子44と、中立軸としての支持軸46とを有してなる。
【0032】
支持軸46は、積層圧電体42の振動の節(中立軸部)を積層方向(取り付け状態でZ方向)に貫通して接着固定され、軸両端が積層圧電体42から突出している。
【0033】
駆動子44は、支持軸46と直交する方向の積層圧電体42の一方端面に長手方向(取り付け状態でT方向)の端部の固定される一対の突起よりなる。
【0034】
なお、振動子41のさらなる詳細な構成および作用は、後で図9〜15を用いて説明する。
【0035】
振動子ホルダ22は、2つの振動子41が対向して摺動挿入可能であって、中央空間部を有する状態で分割して配置されるR方向に沿った2つの挿通穴22aと、T方向両端部にビス挿通穴22dとを有している。挿通穴22aには、それぞれR方向に沿って振動子の支持軸46がガタなく回動自在に挿入される切り欠き22cが両Z側面に設けられる。また、挿通穴22aのZ方向開口幅は、支持軸46の根元段部の軸方向がガタなく挟持される幅とする。
【0036】
振動子押さえ23は、Z方向両側折り曲げ部23aとT方向両側折り曲げ部23bを有している。また、折り曲げ部23aには、支持軸46が嵌入する軸支持切り欠き23cが設けられる。この振動子押さえ23は、振動子ホルダ22の挿通穴22aの外周部に折り曲げ部23a,23bを嵌合させた状態で装着可能である。
【0037】
押さえバネ24は、バネ用板材で形成され、R方向端部に対向する状態の弾性変形可能な凸状の押さえ部24aと、T方向両端部にビス挿通穴24dを有している。
【0038】
上記振動子ブロックにおいて、2つの振動子41は、図5,6に示すように振動子ホルダ22の挿通穴22aにそれぞれの駆動子44を対向させた状態でR方向の上下外側から挿入し、支持軸46を振動子ホルダ22の切り欠き22cに嵌入させて振動子ホルダ22内に収納される。そして、振動子押さえ23を上記振動子41のR方向背面側(反駆動子側)に被せ、振動子ホルダ22の挿通穴22aの外形部に嵌め込む。そのとき、支持軸46は、振動子押さえ23の軸支持切り欠き23cに嵌入させる。さらに、押さえバネ24の押さえ部24aを振動子押さえ23の上下両外側に当接させる(図5の状態)。
【0039】
上記組み込み状態の振動子ブロックは、レンズ鏡筒側に固着されているステータ15の内周にボール21を介して嵌入されたロータ16をラジアル方向で挟むようにステータ15に組み付けられる。すなわち、ロータ16の外壁面である外周面16aに一方の振動子41の駆動子44を当接させ、かつ、ロータ16の内壁面である内周面16bに他方の振動子41の駆動子44を当接させた状態で上記振動子ブロックをステータ15の凹部15bに挿入する。ビス52をビス挿通穴24d,22dに挿通させ、ステータ15側のビス穴15dに螺着することにより上記振動子ブロックがステータ15に装着される。
【0040】
上記装着状態では、一対の振動子41の支持軸46がZ方向に沿った状態でステータ15側に固定支持される振動子押さえ23と振動子ホルダ22との切り欠き部で支持され、かつ、一対の振動子41のそれぞれの2つの駆動子44がロータ16の外周面16aおよび内周面16bにそれぞれ常時圧接し、R方向(径方向)に挟持する状態となる。その圧接力は、押さえバネ24の押圧により振動子押さえ23の軸支持切り欠き23c(底部)と振動子41の支持軸46とが当接して駆動子44側に伝達される。
【0041】
上述のように上記振動子ブロックをステータ15,ロータ16に装着することにより超音波モータ40がレンズ鏡筒1に組み込まれた状態となる。
【0042】
ここで、振動子41の構成および作用について、図9〜15を用いて説明する。
図9は、上記振動子にフレキシブル基板を固着した状態を支持軸方向からみた図である。図10は、図9のD矢視図である。図11は、図9の振動子からフレキシブル基板を外した状態を支持軸方向から見た図である。図12は、図11のE矢視図である。図13は、図11のF矢視図である。図14は、上記振動子を構成する圧電素子部と絶縁板の焼き付け処理前の分解斜視図である。図15(A)〜(D)は、上記振動子の屈曲定在波振動と縦振動との合成振動状態を拡大して示した図であって、振動子が図15(A)の屈曲状態から図15(B)の伸張状態、図15(C)の屈曲状態、図15(D)の収縮状態の順に変形する様子を示している。
【0043】
上記超音波モータ部40を構成する振動子41は、図11,14等に示すように複数の2種類の圧電シート42X,42Yと2枚の絶縁板43A,43Bからなる積層圧電体42と、導電性銀ペーストからなる電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′と、1本の支持軸46と、一対の駆動子44とを有してなる。
【0044】
2種類の圧電シート42X,42Yは、それぞれ厚さ100μm程度の矩形の圧電素子からなる。圧電シート42Xには、その前面に厚さ10μm程度の銀−パラジウム合金が塗布された第一内部電極42Xa,42Xc,42Xc′,42Xa′が絶縁された4つの領域に分割されて配置されている。圧電素子の長手方向(T方向)の端面位置まで上記各内部電極の上側端部が伸びている(図14)。
【0045】
一方、圧電シート42Yには、その前面に厚さ10μm程度の銀−パラジウム合金が塗布された第二内部電極42Yb,42Yd,42Yd′,42Yb′が絶縁された4つの領域に分割されて配置されている。圧電素子の長手方向(T方向)の端面位置まで上記内部電極の下側端部が伸びている(図14)。
【0046】
互いに隣接する上記圧電シート42X,42Y同士の第一内部電極42Xa,42Xc,42Xc′,42Xa′と第二内部電極42Yb,42Yd,42Yd′,42Yb′とは形状が同じで、電極端部が上下が逆になり、積層されたときに矩形電極面が互いに重なる位置に配置されている。このような内部電極が施された2種類の圧電シート42X,42Yを交互に40層程度積層される。
【0047】
図14に示すように積層された圧電素子の左側端面には、第一内部電極42Xa,42Xcおよび第二内部電極42Yb,42Ydの端部が積層状態で露呈した内部電極露呈部が形成されている(図示せず)。積層された圧電素子の右側端面には、第一内部電極42Xc′,42Xa′および第二内部電極42Yd′,42Yb′の端部が積層状態で端面に露呈し、内部電極露呈部が形成される(図示せず)。さらに、上記内部電極露呈部上にそれぞれ導電性銀ペーストからなる各4つの独立した外部電極が両側面部に形成され、該内部電極と導通するようになっている(図12)。
【0048】
上記積層された圧電素子の前後面に圧電シート42X,42Yと同一矩形形状の絶縁板43A,43Bが配され、直方体形状の積層圧電体42が形成される。前面側の絶縁板43Aの表面には図11に示される導電銀ペーストからなる電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′が形成される。
【0049】
上記絶縁板43A上の電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′は、上記各積層された圧電シート毎の両側に露呈した積層状態の両側面内部電極にそれぞれにより電気接続される。すなわち、電極47aには、第一内部電極42Xaが電気接続される。電極47bは、第二内部電極42Ybと電気接続される。電極47cには、第一内部電極42Xcおよび第一内部電極42Xc′が電気接続される。電極47dには、第二内部電極42Ydおよび第二内部電極42Yd′が電気接続される。電極47a′には、第一内部電極42Xa′が電気接続される。電極47b′には、第二内部電極42Yb′が電気接続される。
【0050】
上記電極接続状態の積層された圧電シート42X,42Yに絶縁板43A,43Bを重ねた状態の積層圧電体42を焼き付け処理し、上記各電極を利用して分極を行うと振動子41となる。
【0051】
振動子41のR方向(積層方向と直交する方向)端面部には、一対の駆動子44がT方向端位置に接着固着される。なお、該駆動子44は、高分子材料にアルミナを分散して形成されている。
【0052】
さらに、振動子41の略中央部、すなわち、振動子の振動中立点である節となる位置には積層方向(Z方向)に貫通穴が穿設されており、該貫通穴には、ステンレス材等よりなる中立軸としての支持軸46がZ方向に貫通して接着固定されている(図12)。
【0053】
振動子41の絶縁板43Aに設けられた各電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′上には、接続パターンを有するフレキシブル基板48が各電極と電気接続された状態で装着される。フレキシブル基板48は、振動子駆動回路を有するプリント基板49に接続される。
【0054】
なお、上記振動子駆動回路は、発振回路部,移相回路部,駆動回路部等を有してなり、駆動回路部を介して位相制御された駆動電圧が振動子41に印加される。
【0055】
フレキシブル基板48を経て駆動電圧が印加された振動子41は、図15(A),(B),(C),(D)に示す屈曲定在波振動と縦振動が合成された振動が生じ、駆動子44の先端に位相のずれた楕円振動(図9に示す軌跡E1 ,E2 の楕円振動)を発生させる。駆動子44の先端には被駆動体であるロータ16の内,外周面が押圧されているので、楕円振動の回転方向に駆動子44を介してロータ16が相対回転駆動される。
【0056】
上述した構成を有する本実施形態のレンズ鏡筒1において、ズーミングを行う場合は、ズーム環4を回動操作することよりカム環3を回動させ、カムフォロア11,12を介して第二,三群群レンズ枠6,7を光軸O方向に進退させてズーミング駆動がなされる。一方,フォーカシング駆動が行われる場合は、一対の振動子41がそれぞれ上記振動子駆動回路により駆動され、駆動子44が楕円軌跡に沿って振動駆動される。駆動子44が楕円駆動されると、駆動子44が当接するロータ16がステータ15に対して何れかの方向に相対回転駆動される。上記ロータ16の回転によりフォーカス駆動アーム9を介して第四群レンズ枠8が回動駆動され、固定枠2のカム溝2bに沿って光軸O方向に移動してフォーカシングが行われる。
【0057】
上述した本実施形態の超音波モータ40が組み込まれたレンズ鏡筒1によれば、一対の振動子41の駆動子44がロータ16の外内周面に対向した状態で当接し、かつ、上記振動子41が振動子ホルダ22によってロータ16に対して径方向に微小移動可能に支持され、押さえバネ24の付勢力で押圧されて保持されている。従って、駆動子44の当接力がロータ16に対して偏倚するような力とならないので、ロータが径方向に安定して支持され、回転駆動時の摩擦損失が抑えられる。
【0058】
上記振動子ブロックがステータ15上の一ヶ所にまとめて配置されることから該振動子ブロックの配置が容易であり、フレキシブル基板の配置も複雑化せず、レンズ鏡筒のコンパクト化が可能となる。
【0059】
また、本実施形態の超音波モータ40は、レンズ鏡筒以外の装置であってもロータ中心部に大きな中空スペ−スを必要とする回転機器に適用可能である。
【0060】
次に、第一実施形態の超音波モータ40のステータ・ロータ嵌合機構の変形例について、図16のステータ・ロータ嵌合機構部の拡大断面図、および、図17の振動子装着部拡大断面図を用いて説明する。
【0061】
本変形例は、ステータ・ロータ嵌合機構にてステータとロータの間の嵌合部に配されるボールの支持構造のみが前述の実施形態と異なっている。なお、同一の構成部材に対しては、第一の実施形態のものと同一符号を付して説明する。
【0062】
本変形例においては、図16に示すようにステータ15Aの後面(−Z側)には、リング形状の押さえ板20が固着可能であり、ステータ15Aと押さえ板20の接合部には、それぞれ周方向に沿ったカット面15Af,20fが設けられる。また、ロータ16A側には、上記接合部に対向してV溝部16Afが周方向に沿って配されている。組み付ける場合、転動体であるベアリング用ボール21AをV溝16Afに挿入した状態のロータ16Aをステータ15Aの内周部に挿入する。そこで、押さえ板20をステータ15Aの後面に当て付けビス56により固着すると、ボール21Aは、V溝16Afとカット面15Af,20fとで支持される状態となり、ロータ16Aは、ステータ15Aに対してZ方向位置が規制され、かつ、ガタなく回転可能に支持される。なお、ボール21Aは、周方向に複数個配置されており、図示しないリテーナで保持されている。
【0063】
なお、振動子ブロックは、第一の実施形態に適用したものと同様の構成を有しており、図17に示すようにステータ15A,ロータ16Aに対して該実施形態の場合と同様な方法で組み付けられる。
【0064】
上述したステータ・ロータ嵌合機構部の組み付け状態でロータ16Aは、ステータ15Aに対してボール21Aを介して回動可能に支持され、かつ、ロータ16Aのステータ15Aに対するZ方向の位置がボール21Aによって規制されて支持される。従って、ロータ16AのZ方向の規制を第一実施形態で適用したロータ押さえ板18を用いる必要はなく、図16に示すようにロータ16Aのステータ15A側には隙間を設け、ロータ16Aの−Z側(反ステータ側)を解放状態とすることができる。
【0065】
本変形例によれば、ステータ15Aに対するロータ16Aのスラスト位置決めが転動するボール21Aによって規制され、回転負荷の少ない状態で回動可能となり、摩擦ロスが軽減され、変換効率がよく、さらに、ロータの高精度の回動駆動が可能な超音波モータを提供できる。また、ロータ16Aの側方に配されるのZ方向位置規制用のロータ押さえ板が不要となる。
【0066】
次に、本発明の第二の実施形態の超音波モータについて、図18,19を用いて説明する。
図18は、第一の実施形態の図3に対応する断面図であって、本実施形態の超音波モータの振動子装着状態を示す縦断面図である。図19は、本実施形態における振動子ブロックの斜視図である。
【0067】
本実施形態の超音波モータ40Bは、前記第一の実施形態のレンズ鏡筒1に適用された超音波モータ40に対して組み込まれる振動子の個数が異なるものである。すなわち、3つの振動子をロータ16の外,内周部に当接させるように配置するものである。例えば、2つの振動子では駆動トルクが不足する様な場合に適用される。振動子を含む振動子ブロック以外の構成は、第一の実施形態の場合と略同様とであり、その同一構成部材には、同一符号を付して説明する。
【0068】
本実施形態における超音波モータ40Bの振動子ブロックは、図18,19に示すようにステータ15の振動子取り付け用の凹部15bに装着されるブロックであって、第一実施形態に適用したものと同様の振動子であって、屈曲定在波振動と縦振動との合成による楕円運動を励起させ、駆動源となる3つの振動子41と、3つの振動子41を保持する振動子ホルダ22Bと、振動子押さえ部材である3つの振動子押さえ23と、3つの振動子41を付勢するための付勢手段である押さえバネ24Bと、振動子駆動用プリント基板49とからなる。
【0069】
振動子ホルダ22Bは、それぞれ振動子41が挿入可能な3つの挿通穴であってR方向上側の挿通穴22Ba1,R方向下側の挿通穴22Ba2,22Ba3と、T方向端部にビス挿通穴22Bdを有している。上側の挿通穴22Ba1と下側の挿通穴22Ba2,22Ba3との間には、周方向に沿ってロータ16が挿入可能な空間部が形成されている。
【0070】
挿通穴22Ba1,a2,a3には、それぞれR方向に沿って振動子の支持軸46がガタなく回動自在に挿入される切り欠き22Bc1,22Bc2,22Bc3が両Z側面上に設けられる。また、挿通穴22Ba1,a2,a3のZ方向開口幅は、それぞれ支持軸46の根元段部がガタなく挟持される幅とする。
【0071】
押さえバネ24Bは、バネ用板材で形成され、挿通穴22Bc1,c2,c3対応してR方向外,内端部に弾性変形可能な凸状の3つの押さえ部24Ba1,a2,a2と、T方向端部にビス挿通穴を有している。なお、図19にはこの押さえバネ24Bは示されていない。
【0072】
上記振動子ブロックにおいて、3つの振動子41は、図19に示すように振動子ホルダ22Bの挿通穴22Ba1,a2,a3にそれぞれの駆動子44を対向させた状態でR方向の外側から挿入し、各支持軸46を振動子ホルダ22Bの切り欠き22Bc1,22Bc2,22Bc3に嵌入させて振動子ホルダ22B内に収納される。そして、3つの振動子押さえ23を上記各振動子41のR方向背面側(反駆動子側)に被せ、振動子ホルダの挿通穴22Ba1,a2,a3の外形部に嵌め込む。そのとき、各支持軸46は、振動子押さえ23の軸支持切り欠き23cに嵌入させる。さらに、押さえバネ24の押さえ部24Ba1,a2,a3を3つの振動子押さえ23の外側に当接させる。
【0073】
上記組み込み状態の振動子ブロックは、レンズ鏡筒側に固着されているステータ15と該ステータ15の内周にボール21を介して嵌入されたロータ16との間に組み付けられる。すなわち、ロータ16の外周面16aに外径側の振動子41の駆動子44を当接させ、さらに、ロータ16の内周面16bに内径側の2つの振動子41の駆動子44を当接させた状態で上記振動子ブロックをステータ15の凹部15bに挿入する。ビスを振動子ホルダ22Bと押さえバネ24Bのビス挿通穴に挿通させ、ステータ15側のビス穴15dに螺着することにより上記振動子ブロックがステータ15に装着される。
【0074】
上記装着状態では、3つの振動子41の各支持軸46がZ方向に沿った状態でステータ15側に固定支持される振動子押さえ23と振動子ホルダ22Bとの切り欠き部で支持される。そして、外径側の1つの振動子41の駆動子44がロータ16の外周面16aに、また、内径側の2つの振動子41の各駆動子44が内周面16bの周方向に沿ってそれぞれ常時圧接し、ロータ16をR方向(径方向)に挟持する状態となる。その圧接力は、押さえバネ24Bの押圧により振動子押さえ23の軸支持切り欠き23c(底部)と振動子41の支持軸46とが当接することによって駆動子44側に伝達される。
【0075】
上述のように上記振動子ブロックをステータ15,ロータ16に装着することにより超音波モータ40Bがレンズ鏡筒1に組み込まれた状態となる。
【0076】
上述した構成を有する本実施形態の超音波モータ40Bが装着されたレンズ鏡筒において、フォーカシング駆動がなされる場合は、3つの振動子41がそれぞれ振動子駆動回路により駆動され、駆動子44が楕円軌跡に沿って振動駆動される。駆動子44が楕円駆動されると、駆動子44が当接するロータ16がステータ15に対して何れかの方向に相対回転駆動される。なお、ロータ16を駆動する場合、上記3つの振動子41のうち、1つの外径側振動子41と、2つの内径側振動子41のそれぞれの駆動子44の楕円振動の方向が互いに逆方向の軌跡に沿って振動するように相異なる電圧波形の駆動電圧を上記1つの振動子41と2つの振動子41とにそれぞれ供給する必要がある。
【0077】
上述した本実施形態の超音波モータ40Bによれば、前記第一の実施形態の超音波モータ40の効果と同様の効果を奏するが、特に本実施形態では、3つの振動子を組み込むことができることから高駆動トルクを必要とするレンズ鏡筒等の装置に好適なものとなる。あるいは、より小型化の3つの振動子を用い、2つの振動子を適用するものと同等の駆動トルクが得られる駆動装置を提供することも可能である。なお、外径側振動子として複数のもの、内径側振動子として1つ、または、2つのものを組み込むことは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明による超音波モータは、超音波楕円運動を励起させる振動子を利用する超音波モータにおいて、円環構造を有し、モータ効率が改善され、配置スペ−スの制約も少ない超音波モータとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第一の実施形態である超音波モータが組み込まれたレンズ鏡筒の光軸を含む縦断面図である。
【図2】図1のレンズ鏡筒に組み込まれる超音波モータの分解斜視図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図3のB部拡大図である。
【図5】図2の超音波モータの振動子と振動子ホルダの外観を示す斜視図である。
【図6】図2の超音波モータの振動子と振動子ホルダの分解斜視図である。
【図7】図3のC−C部分拡大断面図である。
【図8】図2の超音波モータにおける磁気センサ部まわりの拡大断面図である。
【図9】図2の超音波モータの振動子にフレキシブルプリント基板を固着した状態を支持軸方向からみた図である。
【図10】図10のD矢視図である。
【図11】図9の振動子からフレキシブルプリント基板を外した状態を支持軸方向から見た図である。
【図12】図11のE矢視図である。
【図13】図11のF矢視図である。
【図14】図11の振動子を構成する圧電素子部と絶縁板の焼き付け処理前の分解斜視図である。
【図15】図11の振動子の屈曲定在波振動と縦振動との合成振動状態を拡大して示した図であって、振動子が図15(A)の屈曲状態から図15(B)の伸張状態、図15(C)の屈曲状態、図15(D)の収縮状態の順に変形する様子を示している。
【図16】図2の超音波モータのステータ・ロータ嵌合機構に対する変形例のステータ・ロータ嵌合機構部拡大断面図である。
【図17】図16の変形例のステータ・ロータ嵌合機構部を適用した超音波モータにおける振動子ブロック装着部拡大断面図である。
【図18】本発明の第二の実施形態の超音波モータの振動子装着状態を示す縦断面図である。
【図19】図18の超音波モータにおける振動子ブロックの斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
15 …ステータ
16 …ロータ(円環状ロータ)
16a…ロータ外周面(外壁面)
16b…ロータ内周面(内壁面)
18 …ロータ押さえ板(ロータ押さえ部材)
21 …ボール(転動体)
22 …振動子ホルダ
23 …振動子押さえ(振動子押さえ部材)
24 …押さえバネ(付勢手段)
40,40B
…超音波モータ
41 …振動子
代理人 弁理士 伊 藤 進
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波楕円運動を励起させる振動子を用いた超音波モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する振動子と該振動子と付勢接触する被駆動体とを相対移動させる超音波モータの実装構造として特許文献1、または、2等に開示されたものがある。これらの超音波モータは、リニア型の駆動方式のものである。
【0003】
また、特許文献3にて開示された超音波モータは、超音波楕円振動を発生する振動子を適用した回転型超音波モータであって、中心を通る回転軸部を有するロータを適用するものである。
【特許文献1】特許文献1は、特許公報第2871768号である。
【特許文献2】特許文献2は、特許公開公報平8−182365号である。
【特許文献3】特許文献3は、特許公報第3401097号である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2等に開示されているリニア型の超音波モータは、円環型の超音波モータに比較して保持トルクの確保が困難であり、また、停止位置の分解能の向上が難しい等の課題を有している。
【0005】
一方、特許文献3に開示されている超音波モータは、回転型であるが、中心部を通る中心軸が必要であり、例えば、レンズ鏡筒などで中心部の大きな空間を必要とするものへの適用が困難である。また、振動子を固定している枠体自体が付勢バネ機能を有しているために上記枠体の剛性上の問題点があり、ロータと振動子との安定した付勢が難しかった。さらに、振動子を付勢する付勢力による摩擦損失を抑えるために振動子をロータの外側で複数対向させて配置する必要があり、振動子の配置位置の制約が生じ、また、電気配線も複雑化する。
【0006】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、超音波楕円運動を励起させる振動子を利用する超音波モータにおいて、円環構造を有し、モータ効率が改善され、配置スペ−スの制約も少ない超音波モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の超音波モータは、超音波楕円振動を発生する少なくとも2つの振動子と、円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持し、さらに、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸方向及び周方向における位置を規制するように支持し、且つ、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに接触可能に対向させて上記ロータの径方向に移動自在に支持するステータと、少なくとも2つの上記振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに常時圧接するように、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの径方向に付勢する付勢手段とを具備する。
【0008】
本発明の請求項2に記載の超音波モータは、屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持するステータと、上記ステータに固定されるように設けられ、上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、上記振動子ホルダに対して上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押え部材と、上記振動子押え部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記一対の振動子を付勢する付勢手段とを具備し、上記一対の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造を有する。
【0009】
本発明の請求項3に記載の超音波モータは、請求項1、または、2に記載の超音波モータにおいて、上記ロータを回転可能に、上記ステータとで回転軸方向で挟持するように、上記ステータに取り付けられるロータ押さえ部材を有する。
【0010】
本発明の請求項4に記載の超音波モータは、請求項1、または、2に記載の超音波モータにおいて、上記ロータと上記ステータとの径方向の間に、双方に接触するように円周に沿って配設された複数の転動体を有する。
【0011】
本発明の請求項5に記載の超音波モータは、請求項4に記載の超音波モータにおいて、上記ステータ及び上記ロータは、上記転動体が接触する部分が上記ロータの回転軸方向位置を所定位置に規制するように形成されている。
【0012】
本発明の請求項6に記載の超音波モータは、超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、上記一対の振動子によって径方向で挟持されるように配置されて、上記振動子の楕円振動の作用を受けて、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持するステータと、上記ステータに固設されて、上記一対の振動子を作用面が対向するようにして互いに接近するように上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダとを具備する。
【0013】
本発明の請求項7に記載の超音波モータは、屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する複数の振動子と、円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、上記ロータを回転可能に支持するステータと、上記ステータに固定されるように設けられ、上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、上記振動子ホルダに対して上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押さえ部材と、上記振動子押さえ部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記複数の振動子を付勢する付勢手段とを具備し、上記複数の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、超音波楕円運動を励起させる振動子を利用する超音波モータにおいて、円環構造を有し、少なくとも2つの振動子をロータ径方向に圧接することによって、モータ効率が改善され、配置スペ−スの制約も少ない超音波モータを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態である超音波モータが組み込まれたレンズ鏡筒の光軸を含む縦断面図である。図2は、上記超音波モータ部の分解斜視図である。但し、光軸方向結像側からみた斜視図である。図3は、図1のA−A断面図である。図4は、図3のB部拡大図であって、上記超音波モータ部の振動子装着状態を示す。図5は、上記振動子を振動子ホルダに組み込んだ状態の振動子ブロックの斜視図である。図6は、上記振動子ブロックの分解斜視図である。図7は、図3のC−C断面拡大図であって、振動子装着状態を示す。図8は、上記超音波モータの磁気センサ部まわりの拡大断面図である。
【0016】
なお、以下の説明において、上記レンズ鏡筒の第一群〜第四群レンズからなる撮影レンズ光軸Oと平行な方向をZ方向とし、その被写体側を+,結像側を−とする。光軸Oに対するラジアル方向をR方向とし、光軸Oの周方向の接線方向をT方向とする。なお、光軸Oは、後述するステータ,ロータ等の回転軸心と略一致する。
【0017】
本実施形態のレンズ鏡筒1は、図1に示すように固定枠2と、固定枠2の外周部に支持されるカム環3と、カム環3の外周に嵌入さるズーム環4と、第一群レンズ35を保持する第一群レンズ枠5と、第一群レンズ枠5の後方にあって、第二群レンズ36を保持する第二群レンズ枠6と、第二群レンズ枠6の後方にあって、第三群レンズ37を保持する第三群レンズ枠7と、第三群レンズ枠7の後方にあって、フォーカスレンズである第四群レンズ38を保持する第四群レンズ枠8と、駆動源としての超音波モータ40とを有してなる。
【0018】
固定枠2は、環状枠部材であって、その環状部に円周ガイド溝2cと、Z方向に沿った直進ガイド溝2aと、Z方向に対して斜行するカム溝2bとを有し、さらに、後方部にステータ固着用端面部2d,フォーカス駆動アーム挿通用切り欠き2fが設けられる。そして、固定枠2の後端部には、エンドプレート31およびマウント33とがビス55によって固着される。さらに、エンドプレート31には、外枠32が固着されている。
【0019】
カム環3は、環状枠部材であって、固定枠2の外周に嵌入し、内周側突部3cが固定枠2の円周ガイド溝2cに嵌入して支持されており、固定枠2に対してZ方向に規制された状態で回動自在に支持される。円環部には、Z方向に対して斜行する2組のカム溝3a,3bが設けられる。
【0020】
ズーム環4は、環状枠部材であって、カム環3の外周に嵌入し、Z方向,回転方向ともに一体化されている。ズーム環4の外周部には操作用ゴムリング4aが装着されている。
【0021】
第一群レンズ枠5は、固定枠2の前端部に固着して支持される。
【0022】
第二,三群レンズ枠6,7は、固定枠2の内周に嵌入して支持され、外周にそれぞれカムフォロア11,12が固着されている。カムフォロア11,12は、固定枠2の直進ガイド溝2aを直進ガイド状態で挿通し、さらに、カム環3のカム溝3a,3bに摺動自在に嵌入している。従って、ズーム環4のズーム回動操作によってカム環3が回動駆動されると、カム溝3a,3bによってカムフォロア11,12を介して第二,三群レンズ枠6,7がZ方向に駆動され、光軸O方向の各ズーム位置に移動する。
【0023】
第四群レンズ枠8は、固定枠2の内周に嵌入して支持され、外周にカムフォロア13が固着されている。カムフォロア13は、固定枠2のカム溝2bに対して摺動自在に嵌入する。この第四群レンズ枠8には、Z方向に沿ったガイド溝8aが設けられている。ガイド溝8aには超音波モータ部40側のロータ16に固着されるフォーカス駆動アーム9の先端部が摺動自在に嵌入する。後述するようにフォーカス駆動時に超音波モータ部40のロータ16が回動駆動されると、フォーカス駆動アーム9を介して第四群レンズ枠8が固定枠2に対して相対的に回動駆動される。その回動によってカムフォロア13がカム溝2b上を摺動移動するので、第四群レンズ枠8は、回転しながらZ方向(光軸O方向)の各フォーカス位置に移動する。
【0024】
超音波モータ40は、第四群レンズ枠8を進退駆動するフォーカス駆動用アクチュエータであって、図1,2に示すようにステータ15と、円環状のロータ16と、ロータ押さえ部材であるロータ押さえ板18と、ステータ・ロータ径方向受け機構用の転動体である6つのベアリング用ボール21と、振動子41を含む後述の振動子ブロック(図5,6)と、センサ支持板27,磁気センサ28からなる磁気センサ部等を有してなる。
【0025】
ロータ16は、図2に示すように円環形状部材であって、耐摩耗性のよい材料で形成され、さらに、−Z側端面にポリエステルフィルムで保護されたリング状の磁気センサ用磁気テープ19が貼付されている。
【0026】
ステータ15は、図2に示すように円環形状の部材であって、内周側フランジ部15aと、−Z側面に振動子取り付け用の凹部15bと、−Z側内周部にボール挿入切り欠き15cと、+Z側面にセンサ支持板取り付け凹部15fが設けられる。ステータ15は、そのフランジ部15aの+Z端面を固定枠2の端面部2dに当接させて固着される。
【0027】
ロータ押さえ板18は、切り欠き18aを有するリング形状を有し、ビス挿通穴18aを有している。ステータ15の−Z側端面のビス穴15eにビス51を螺着して固着される。切り欠き18aは、上記振動子ブロックの逃げ部となる。
【0028】
ボール21は、ステータとロータの回動摩擦を軽減させるためのステータ・ロータ径方向受け機構を構成する部材であって、図3に示すようステータ15のボール挿入切り欠き15cに転動可能に嵌入される。そのボール外径は、ステータ15の内周側に僅かに突出しており、ロータ16の外周面16aをステータ15に挿入したとき、ボール21を介在した状態でステータ15とロータ16とがガタなく相対回動可能な状態に支持される。また、ステータ嵌入状態のロータは、ステータ15の内周側フランジ部15aとロータ押さえ板18とによって挟持された状態でZ方向の移動が規制される。なお、ボール21に代えてローラ状の転動体を適用してもよい。
【0029】
上記磁気センサ部である磁気センサ28を有するセンサ支持板27は、ステータ15の凹部15fにビス54によって固着される。上記取り付け状態で磁気センサ28は、ロータ側の磁気テープ19に摺接し、ロータ16の回転量を検出する。その摺接状態は、図8の断面図に示される。
【0030】
上記振動子ブロックは、図2,3に示すようにステータ15の振動子取り付け用の凹部15bに装着されるブロックであって、屈曲定在波振動と縦振動との合成による楕円運動を励起させ、駆動源となる一対の(2つの)振動子41と、振動子41を保持する振動子ホルダ22と、振動子押さえ部材である一対の振動子押さえ23と、振動子41を付勢するための付勢手段である押さえバネ24と、振動子駆動用プリント基板48とからなる(図5,6)。
【0031】
振動子41は、図5,6等に示すように積層圧電体42と、駆動子44と、中立軸としての支持軸46とを有してなる。
【0032】
支持軸46は、積層圧電体42の振動の節(中立軸部)を積層方向(取り付け状態でZ方向)に貫通して接着固定され、軸両端が積層圧電体42から突出している。
【0033】
駆動子44は、支持軸46と直交する方向の積層圧電体42の一方端面に長手方向(取り付け状態でT方向)の端部の固定される一対の突起よりなる。
【0034】
なお、振動子41のさらなる詳細な構成および作用は、後で図9〜15を用いて説明する。
【0035】
振動子ホルダ22は、2つの振動子41が対向して摺動挿入可能であって、中央空間部を有する状態で分割して配置されるR方向に沿った2つの挿通穴22aと、T方向両端部にビス挿通穴22dとを有している。挿通穴22aには、それぞれR方向に沿って振動子の支持軸46がガタなく回動自在に挿入される切り欠き22cが両Z側面に設けられる。また、挿通穴22aのZ方向開口幅は、支持軸46の根元段部の軸方向がガタなく挟持される幅とする。
【0036】
振動子押さえ23は、Z方向両側折り曲げ部23aとT方向両側折り曲げ部23bを有している。また、折り曲げ部23aには、支持軸46が嵌入する軸支持切り欠き23cが設けられる。この振動子押さえ23は、振動子ホルダ22の挿通穴22aの外周部に折り曲げ部23a,23bを嵌合させた状態で装着可能である。
【0037】
押さえバネ24は、バネ用板材で形成され、R方向端部に対向する状態の弾性変形可能な凸状の押さえ部24aと、T方向両端部にビス挿通穴24dを有している。
【0038】
上記振動子ブロックにおいて、2つの振動子41は、図5,6に示すように振動子ホルダ22の挿通穴22aにそれぞれの駆動子44を対向させた状態でR方向の上下外側から挿入し、支持軸46を振動子ホルダ22の切り欠き22cに嵌入させて振動子ホルダ22内に収納される。そして、振動子押さえ23を上記振動子41のR方向背面側(反駆動子側)に被せ、振動子ホルダ22の挿通穴22aの外形部に嵌め込む。そのとき、支持軸46は、振動子押さえ23の軸支持切り欠き23cに嵌入させる。さらに、押さえバネ24の押さえ部24aを振動子押さえ23の上下両外側に当接させる(図5の状態)。
【0039】
上記組み込み状態の振動子ブロックは、レンズ鏡筒側に固着されているステータ15の内周にボール21を介して嵌入されたロータ16をラジアル方向で挟むようにステータ15に組み付けられる。すなわち、ロータ16の外壁面である外周面16aに一方の振動子41の駆動子44を当接させ、かつ、ロータ16の内壁面である内周面16bに他方の振動子41の駆動子44を当接させた状態で上記振動子ブロックをステータ15の凹部15bに挿入する。ビス52をビス挿通穴24d,22dに挿通させ、ステータ15側のビス穴15dに螺着することにより上記振動子ブロックがステータ15に装着される。
【0040】
上記装着状態では、一対の振動子41の支持軸46がZ方向に沿った状態でステータ15側に固定支持される振動子押さえ23と振動子ホルダ22との切り欠き部で支持され、かつ、一対の振動子41のそれぞれの2つの駆動子44がロータ16の外周面16aおよび内周面16bにそれぞれ常時圧接し、R方向(径方向)に挟持する状態となる。その圧接力は、押さえバネ24の押圧により振動子押さえ23の軸支持切り欠き23c(底部)と振動子41の支持軸46とが当接して駆動子44側に伝達される。
【0041】
上述のように上記振動子ブロックをステータ15,ロータ16に装着することにより超音波モータ40がレンズ鏡筒1に組み込まれた状態となる。
【0042】
ここで、振動子41の構成および作用について、図9〜15を用いて説明する。
図9は、上記振動子にフレキシブル基板を固着した状態を支持軸方向からみた図である。図10は、図9のD矢視図である。図11は、図9の振動子からフレキシブル基板を外した状態を支持軸方向から見た図である。図12は、図11のE矢視図である。図13は、図11のF矢視図である。図14は、上記振動子を構成する圧電素子部と絶縁板の焼き付け処理前の分解斜視図である。図15(A)〜(D)は、上記振動子の屈曲定在波振動と縦振動との合成振動状態を拡大して示した図であって、振動子が図15(A)の屈曲状態から図15(B)の伸張状態、図15(C)の屈曲状態、図15(D)の収縮状態の順に変形する様子を示している。
【0043】
上記超音波モータ部40を構成する振動子41は、図11,14等に示すように複数の2種類の圧電シート42X,42Yと2枚の絶縁板43A,43Bからなる積層圧電体42と、導電性銀ペーストからなる電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′と、1本の支持軸46と、一対の駆動子44とを有してなる。
【0044】
2種類の圧電シート42X,42Yは、それぞれ厚さ100μm程度の矩形の圧電素子からなる。圧電シート42Xには、その前面に厚さ10μm程度の銀−パラジウム合金が塗布された第一内部電極42Xa,42Xc,42Xc′,42Xa′が絶縁された4つの領域に分割されて配置されている。圧電素子の長手方向(T方向)の端面位置まで上記各内部電極の上側端部が伸びている(図14)。
【0045】
一方、圧電シート42Yには、その前面に厚さ10μm程度の銀−パラジウム合金が塗布された第二内部電極42Yb,42Yd,42Yd′,42Yb′が絶縁された4つの領域に分割されて配置されている。圧電素子の長手方向(T方向)の端面位置まで上記内部電極の下側端部が伸びている(図14)。
【0046】
互いに隣接する上記圧電シート42X,42Y同士の第一内部電極42Xa,42Xc,42Xc′,42Xa′と第二内部電極42Yb,42Yd,42Yd′,42Yb′とは形状が同じで、電極端部が上下が逆になり、積層されたときに矩形電極面が互いに重なる位置に配置されている。このような内部電極が施された2種類の圧電シート42X,42Yを交互に40層程度積層される。
【0047】
図14に示すように積層された圧電素子の左側端面には、第一内部電極42Xa,42Xcおよび第二内部電極42Yb,42Ydの端部が積層状態で露呈した内部電極露呈部が形成されている(図示せず)。積層された圧電素子の右側端面には、第一内部電極42Xc′,42Xa′および第二内部電極42Yd′,42Yb′の端部が積層状態で端面に露呈し、内部電極露呈部が形成される(図示せず)。さらに、上記内部電極露呈部上にそれぞれ導電性銀ペーストからなる各4つの独立した外部電極が両側面部に形成され、該内部電極と導通するようになっている(図12)。
【0048】
上記積層された圧電素子の前後面に圧電シート42X,42Yと同一矩形形状の絶縁板43A,43Bが配され、直方体形状の積層圧電体42が形成される。前面側の絶縁板43Aの表面には図11に示される導電銀ペーストからなる電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′が形成される。
【0049】
上記絶縁板43A上の電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′は、上記各積層された圧電シート毎の両側に露呈した積層状態の両側面内部電極にそれぞれにより電気接続される。すなわち、電極47aには、第一内部電極42Xaが電気接続される。電極47bは、第二内部電極42Ybと電気接続される。電極47cには、第一内部電極42Xcおよび第一内部電極42Xc′が電気接続される。電極47dには、第二内部電極42Ydおよび第二内部電極42Yd′が電気接続される。電極47a′には、第一内部電極42Xa′が電気接続される。電極47b′には、第二内部電極42Yb′が電気接続される。
【0050】
上記電極接続状態の積層された圧電シート42X,42Yに絶縁板43A,43Bを重ねた状態の積層圧電体42を焼き付け処理し、上記各電極を利用して分極を行うと振動子41となる。
【0051】
振動子41のR方向(積層方向と直交する方向)端面部には、一対の駆動子44がT方向端位置に接着固着される。なお、該駆動子44は、高分子材料にアルミナを分散して形成されている。
【0052】
さらに、振動子41の略中央部、すなわち、振動子の振動中立点である節となる位置には積層方向(Z方向)に貫通穴が穿設されており、該貫通穴には、ステンレス材等よりなる中立軸としての支持軸46がZ方向に貫通して接着固定されている(図12)。
【0053】
振動子41の絶縁板43Aに設けられた各電極47a,47b,47c,47d,47a′,47b′上には、接続パターンを有するフレキシブル基板48が各電極と電気接続された状態で装着される。フレキシブル基板48は、振動子駆動回路を有するプリント基板49に接続される。
【0054】
なお、上記振動子駆動回路は、発振回路部,移相回路部,駆動回路部等を有してなり、駆動回路部を介して位相制御された駆動電圧が振動子41に印加される。
【0055】
フレキシブル基板48を経て駆動電圧が印加された振動子41は、図15(A),(B),(C),(D)に示す屈曲定在波振動と縦振動が合成された振動が生じ、駆動子44の先端に位相のずれた楕円振動(図9に示す軌跡E1 ,E2 の楕円振動)を発生させる。駆動子44の先端には被駆動体であるロータ16の内,外周面が押圧されているので、楕円振動の回転方向に駆動子44を介してロータ16が相対回転駆動される。
【0056】
上述した構成を有する本実施形態のレンズ鏡筒1において、ズーミングを行う場合は、ズーム環4を回動操作することよりカム環3を回動させ、カムフォロア11,12を介して第二,三群群レンズ枠6,7を光軸O方向に進退させてズーミング駆動がなされる。一方,フォーカシング駆動が行われる場合は、一対の振動子41がそれぞれ上記振動子駆動回路により駆動され、駆動子44が楕円軌跡に沿って振動駆動される。駆動子44が楕円駆動されると、駆動子44が当接するロータ16がステータ15に対して何れかの方向に相対回転駆動される。上記ロータ16の回転によりフォーカス駆動アーム9を介して第四群レンズ枠8が回動駆動され、固定枠2のカム溝2bに沿って光軸O方向に移動してフォーカシングが行われる。
【0057】
上述した本実施形態の超音波モータ40が組み込まれたレンズ鏡筒1によれば、一対の振動子41の駆動子44がロータ16の外内周面に対向した状態で当接し、かつ、上記振動子41が振動子ホルダ22によってロータ16に対して径方向に微小移動可能に支持され、押さえバネ24の付勢力で押圧されて保持されている。従って、駆動子44の当接力がロータ16に対して偏倚するような力とならないので、ロータが径方向に安定して支持され、回転駆動時の摩擦損失が抑えられる。
【0058】
上記振動子ブロックがステータ15上の一ヶ所にまとめて配置されることから該振動子ブロックの配置が容易であり、フレキシブル基板の配置も複雑化せず、レンズ鏡筒のコンパクト化が可能となる。
【0059】
また、本実施形態の超音波モータ40は、レンズ鏡筒以外の装置であってもロータ中心部に大きな中空スペ−スを必要とする回転機器に適用可能である。
【0060】
次に、第一実施形態の超音波モータ40のステータ・ロータ嵌合機構の変形例について、図16のステータ・ロータ嵌合機構部の拡大断面図、および、図17の振動子装着部拡大断面図を用いて説明する。
【0061】
本変形例は、ステータ・ロータ嵌合機構にてステータとロータの間の嵌合部に配されるボールの支持構造のみが前述の実施形態と異なっている。なお、同一の構成部材に対しては、第一の実施形態のものと同一符号を付して説明する。
【0062】
本変形例においては、図16に示すようにステータ15Aの後面(−Z側)には、リング形状の押さえ板20が固着可能であり、ステータ15Aと押さえ板20の接合部には、それぞれ周方向に沿ったカット面15Af,20fが設けられる。また、ロータ16A側には、上記接合部に対向してV溝部16Afが周方向に沿って配されている。組み付ける場合、転動体であるベアリング用ボール21AをV溝16Afに挿入した状態のロータ16Aをステータ15Aの内周部に挿入する。そこで、押さえ板20をステータ15Aの後面に当て付けビス56により固着すると、ボール21Aは、V溝16Afとカット面15Af,20fとで支持される状態となり、ロータ16Aは、ステータ15Aに対してZ方向位置が規制され、かつ、ガタなく回転可能に支持される。なお、ボール21Aは、周方向に複数個配置されており、図示しないリテーナで保持されている。
【0063】
なお、振動子ブロックは、第一の実施形態に適用したものと同様の構成を有しており、図17に示すようにステータ15A,ロータ16Aに対して該実施形態の場合と同様な方法で組み付けられる。
【0064】
上述したステータ・ロータ嵌合機構部の組み付け状態でロータ16Aは、ステータ15Aに対してボール21Aを介して回動可能に支持され、かつ、ロータ16Aのステータ15Aに対するZ方向の位置がボール21Aによって規制されて支持される。従って、ロータ16AのZ方向の規制を第一実施形態で適用したロータ押さえ板18を用いる必要はなく、図16に示すようにロータ16Aのステータ15A側には隙間を設け、ロータ16Aの−Z側(反ステータ側)を解放状態とすることができる。
【0065】
本変形例によれば、ステータ15Aに対するロータ16Aのスラスト位置決めが転動するボール21Aによって規制され、回転負荷の少ない状態で回動可能となり、摩擦ロスが軽減され、変換効率がよく、さらに、ロータの高精度の回動駆動が可能な超音波モータを提供できる。また、ロータ16Aの側方に配されるのZ方向位置規制用のロータ押さえ板が不要となる。
【0066】
次に、本発明の第二の実施形態の超音波モータについて、図18,19を用いて説明する。
図18は、第一の実施形態の図3に対応する断面図であって、本実施形態の超音波モータの振動子装着状態を示す縦断面図である。図19は、本実施形態における振動子ブロックの斜視図である。
【0067】
本実施形態の超音波モータ40Bは、前記第一の実施形態のレンズ鏡筒1に適用された超音波モータ40に対して組み込まれる振動子の個数が異なるものである。すなわち、3つの振動子をロータ16の外,内周部に当接させるように配置するものである。例えば、2つの振動子では駆動トルクが不足する様な場合に適用される。振動子を含む振動子ブロック以外の構成は、第一の実施形態の場合と略同様とであり、その同一構成部材には、同一符号を付して説明する。
【0068】
本実施形態における超音波モータ40Bの振動子ブロックは、図18,19に示すようにステータ15の振動子取り付け用の凹部15bに装着されるブロックであって、第一実施形態に適用したものと同様の振動子であって、屈曲定在波振動と縦振動との合成による楕円運動を励起させ、駆動源となる3つの振動子41と、3つの振動子41を保持する振動子ホルダ22Bと、振動子押さえ部材である3つの振動子押さえ23と、3つの振動子41を付勢するための付勢手段である押さえバネ24Bと、振動子駆動用プリント基板49とからなる。
【0069】
振動子ホルダ22Bは、それぞれ振動子41が挿入可能な3つの挿通穴であってR方向上側の挿通穴22Ba1,R方向下側の挿通穴22Ba2,22Ba3と、T方向端部にビス挿通穴22Bdを有している。上側の挿通穴22Ba1と下側の挿通穴22Ba2,22Ba3との間には、周方向に沿ってロータ16が挿入可能な空間部が形成されている。
【0070】
挿通穴22Ba1,a2,a3には、それぞれR方向に沿って振動子の支持軸46がガタなく回動自在に挿入される切り欠き22Bc1,22Bc2,22Bc3が両Z側面上に設けられる。また、挿通穴22Ba1,a2,a3のZ方向開口幅は、それぞれ支持軸46の根元段部がガタなく挟持される幅とする。
【0071】
押さえバネ24Bは、バネ用板材で形成され、挿通穴22Bc1,c2,c3対応してR方向外,内端部に弾性変形可能な凸状の3つの押さえ部24Ba1,a2,a2と、T方向端部にビス挿通穴を有している。なお、図19にはこの押さえバネ24Bは示されていない。
【0072】
上記振動子ブロックにおいて、3つの振動子41は、図19に示すように振動子ホルダ22Bの挿通穴22Ba1,a2,a3にそれぞれの駆動子44を対向させた状態でR方向の外側から挿入し、各支持軸46を振動子ホルダ22Bの切り欠き22Bc1,22Bc2,22Bc3に嵌入させて振動子ホルダ22B内に収納される。そして、3つの振動子押さえ23を上記各振動子41のR方向背面側(反駆動子側)に被せ、振動子ホルダの挿通穴22Ba1,a2,a3の外形部に嵌め込む。そのとき、各支持軸46は、振動子押さえ23の軸支持切り欠き23cに嵌入させる。さらに、押さえバネ24の押さえ部24Ba1,a2,a3を3つの振動子押さえ23の外側に当接させる。
【0073】
上記組み込み状態の振動子ブロックは、レンズ鏡筒側に固着されているステータ15と該ステータ15の内周にボール21を介して嵌入されたロータ16との間に組み付けられる。すなわち、ロータ16の外周面16aに外径側の振動子41の駆動子44を当接させ、さらに、ロータ16の内周面16bに内径側の2つの振動子41の駆動子44を当接させた状態で上記振動子ブロックをステータ15の凹部15bに挿入する。ビスを振動子ホルダ22Bと押さえバネ24Bのビス挿通穴に挿通させ、ステータ15側のビス穴15dに螺着することにより上記振動子ブロックがステータ15に装着される。
【0074】
上記装着状態では、3つの振動子41の各支持軸46がZ方向に沿った状態でステータ15側に固定支持される振動子押さえ23と振動子ホルダ22Bとの切り欠き部で支持される。そして、外径側の1つの振動子41の駆動子44がロータ16の外周面16aに、また、内径側の2つの振動子41の各駆動子44が内周面16bの周方向に沿ってそれぞれ常時圧接し、ロータ16をR方向(径方向)に挟持する状態となる。その圧接力は、押さえバネ24Bの押圧により振動子押さえ23の軸支持切り欠き23c(底部)と振動子41の支持軸46とが当接することによって駆動子44側に伝達される。
【0075】
上述のように上記振動子ブロックをステータ15,ロータ16に装着することにより超音波モータ40Bがレンズ鏡筒1に組み込まれた状態となる。
【0076】
上述した構成を有する本実施形態の超音波モータ40Bが装着されたレンズ鏡筒において、フォーカシング駆動がなされる場合は、3つの振動子41がそれぞれ振動子駆動回路により駆動され、駆動子44が楕円軌跡に沿って振動駆動される。駆動子44が楕円駆動されると、駆動子44が当接するロータ16がステータ15に対して何れかの方向に相対回転駆動される。なお、ロータ16を駆動する場合、上記3つの振動子41のうち、1つの外径側振動子41と、2つの内径側振動子41のそれぞれの駆動子44の楕円振動の方向が互いに逆方向の軌跡に沿って振動するように相異なる電圧波形の駆動電圧を上記1つの振動子41と2つの振動子41とにそれぞれ供給する必要がある。
【0077】
上述した本実施形態の超音波モータ40Bによれば、前記第一の実施形態の超音波モータ40の効果と同様の効果を奏するが、特に本実施形態では、3つの振動子を組み込むことができることから高駆動トルクを必要とするレンズ鏡筒等の装置に好適なものとなる。あるいは、より小型化の3つの振動子を用い、2つの振動子を適用するものと同等の駆動トルクが得られる駆動装置を提供することも可能である。なお、外径側振動子として複数のもの、内径側振動子として1つ、または、2つのものを組み込むことは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明による超音波モータは、超音波楕円運動を励起させる振動子を利用する超音波モータにおいて、円環構造を有し、モータ効率が改善され、配置スペ−スの制約も少ない超音波モータとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第一の実施形態である超音波モータが組み込まれたレンズ鏡筒の光軸を含む縦断面図である。
【図2】図1のレンズ鏡筒に組み込まれる超音波モータの分解斜視図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図3のB部拡大図である。
【図5】図2の超音波モータの振動子と振動子ホルダの外観を示す斜視図である。
【図6】図2の超音波モータの振動子と振動子ホルダの分解斜視図である。
【図7】図3のC−C部分拡大断面図である。
【図8】図2の超音波モータにおける磁気センサ部まわりの拡大断面図である。
【図9】図2の超音波モータの振動子にフレキシブルプリント基板を固着した状態を支持軸方向からみた図である。
【図10】図10のD矢視図である。
【図11】図9の振動子からフレキシブルプリント基板を外した状態を支持軸方向から見た図である。
【図12】図11のE矢視図である。
【図13】図11のF矢視図である。
【図14】図11の振動子を構成する圧電素子部と絶縁板の焼き付け処理前の分解斜視図である。
【図15】図11の振動子の屈曲定在波振動と縦振動との合成振動状態を拡大して示した図であって、振動子が図15(A)の屈曲状態から図15(B)の伸張状態、図15(C)の屈曲状態、図15(D)の収縮状態の順に変形する様子を示している。
【図16】図2の超音波モータのステータ・ロータ嵌合機構に対する変形例のステータ・ロータ嵌合機構部拡大断面図である。
【図17】図16の変形例のステータ・ロータ嵌合機構部を適用した超音波モータにおける振動子ブロック装着部拡大断面図である。
【図18】本発明の第二の実施形態の超音波モータの振動子装着状態を示す縦断面図である。
【図19】図18の超音波モータにおける振動子ブロックの斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
15 …ステータ
16 …ロータ(円環状ロータ)
16a…ロータ外周面(外壁面)
16b…ロータ内周面(内壁面)
18 …ロータ押さえ板(ロータ押さえ部材)
21 …ボール(転動体)
22 …振動子ホルダ
23 …振動子押さえ(振動子押さえ部材)
24 …押さえバネ(付勢手段)
40,40B
…超音波モータ
41 …振動子
代理人 弁理士 伊 藤 進
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波楕円振動を発生する少なくとも2つの振動子と、
円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持し、さらに、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸方向及び周方向における位置を規制するように支持し、且つ、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに接触可能に対向させて上記ロータの径方向に移動自在に支持するステータと、
少なくとも2つの上記振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに常時圧接するように、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの径方向に付勢する付勢手段と、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、
円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持するステータと、
上記ステータに固定されるように設けられ、上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、
上記振動子ホルダに対して上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押え部材と、
上記振動子押え部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記一対の振動子を付勢する付勢手段と、
を具備し、上記一対の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造にしたことを特徴とする超音波モータ。
【請求項3】
上記ロータを回転可能に、上記ステータとで回転軸方向で挟持するように、上記ステータに取り付けられるロータ押さえ部材を有することを特徴とする請求項1、または、2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
上記ロータと上記ステータとの径方向の間に、双方に接触するように円周に沿って配設された複数の転動体を有することを特徴とする請求項1、または、2に記載の超音波モータ。
【請求項5】
上記ステータ及び上記ロータは、上記転動体が接触する部分が上記ロータの回転軸方向位置を所定位置に規制するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項6】
超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、
上記一対の振動子によって径方向で挟持されるように配置されて、上記振動子の楕円振動の作用を受けて、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持するステータと、
上記ステータに固設されて、上記一対の振動子を作用面が対向するようにして互いに接近するように上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項7】
屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する複数の振動子と、
円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持するステータと、
上記ステータに固定されるように設けられ、上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、
上記振動子ホルダに対して上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押さえ部材と、
上記振動子押さえ部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記複数の振動子を付勢する付勢手段と、
を具備し、上記複数の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造にしたことを特徴とする超音波モータ。
【請求項1】
超音波楕円振動を発生する少なくとも2つの振動子と、
円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持し、さらに、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸方向及び周方向における位置を規制するように支持し、且つ、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに接触可能に対向させて上記ロータの径方向に移動自在に支持するステータと、
少なくとも2つの上記振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とに常時圧接するように、少なくとも2つの上記振動子を上記ロータの径方向に付勢する付勢手段と、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項2】
屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、
円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持するステータと、
上記ステータに固定されるように設けられ、上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、
上記振動子ホルダに対して上記一対の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押え部材と、
上記振動子押え部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記一対の振動子を付勢する付勢手段と、
を具備し、上記一対の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造にしたことを特徴とする超音波モータ。
【請求項3】
上記ロータを回転可能に、上記ステータとで回転軸方向で挟持するように、上記ステータに取り付けられるロータ押さえ部材を有することを特徴とする請求項1、または、2に記載の超音波モータ。
【請求項4】
上記ロータと上記ステータとの径方向の間に、双方に接触するように円周に沿って配設された複数の転動体を有することを特徴とする請求項1、または、2に記載の超音波モータ。
【請求項5】
上記ステータ及び上記ロータは、上記転動体が接触する部分が上記ロータの回転軸方向位置を所定位置に規制するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波モータ。
【請求項6】
超音波楕円振動を発生する一対の振動子と、
上記一対の振動子によって径方向で挟持されるように配置されて、上記振動子の楕円振動の作用を受けて、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持するステータと、
上記ステータに固設されて、上記一対の振動子を作用面が対向するようにして互いに接近するように上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、
を具備することを特徴とする超音波モータ。
【請求項7】
屈曲定在波振動と縦振動との合成による超音波楕円振動を発生する複数の振動子と、
円周上の所定箇所に配置された上記振動子の楕円振動の作用を受け、上記振動子に対して相対的に回転移動される円環状ロータと、
上記ロータを回転可能に支持するステータと、
上記ステータに固定されるように設けられ、上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分で上記ロータの回転軸方向及び周方向の位置を規制し、上記ロータの径方向に移動自在に支持する振動子ホルダと、
上記振動子ホルダに対して上記複数の振動子を合成振動の中立軸部分を支持する振動子押さえ部材と、
上記振動子押さえ部材を介して、上記ロータの径方向で互いに近接する方向に上記複数の振動子を付勢する付勢手段と、
を具備し、上記複数の振動子が上記ロータの回転軸に対して垂直な径方向におけるロータの外壁面と内壁面とを常時接触して押圧するように挟み込むような構造にしたことを特徴とする超音波モータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−14512(P2006−14512A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188748(P2004−188748)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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