説明

超音波式ガスメーター

【課題】ガスメーター内に水分が浸入した場合でも、間違った計量を行わない超音波式ガスメーターを提供する。
【解決手段】超音波送受信器5を計測管4の下側に設けると共に、超音波送受信器5の端子10a〜10b間の抵抗を検出する抵抗値検出手段11を有し、抵抗値検出手段11で所定の抵抗値を検出したら、ガスメーター1内に水分が浸入したと判断し、遮断弁3を閉動作しガスを遮断することにより間違った計量が継続することを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波式ガスメーターの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波送受信器を用いたガスメーターとして、ガスを上から下、水平方向、下から上の順に通過させるガス流路をガスメーター内に有し、ガス流路のうち上から下に向かう部分を入口側流路とし、水平方向に向かう部分をガスの流量を計測する計測流路とし、下から上に向かう部分を出口通路とするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下に従来の超音波式ガスメーターについて説明する。
【0004】
この特許文献1に記載の超音波式ガスメーターは、図3に示したように、ガスメーター101の入口側通路102にはガスを開閉する遮断弁103が配設されており、水平方向に計測流路である計測管104が配設されており、計測管104の側面には一対の超音波送受信器105が対向するように配設されている。さらに計測管104に続いて出口側通路106が配設されており、全体として略U字型の流路部材107でガスメーターが構成されている。
【0005】
以上のように構成されたガスメーターの動作について説明する。
【0006】
ガス使用において危険性のない通常状態においては、遮断弁103は復帰(開弁)状態であり、ガスメーター101の下流の図示していないガス器具などにガスを供給可能である。そして、ガス器具でガスを使用している場合、計測管104内を流れるガス量を計測管104で計量している。
【0007】
計測管104には一対の超音波送受信器5が付設されており、計測管104内を流れるガスに超音波を伝播させた際に、超音波の伝播時間あるいは伝播速度がガスの流速によって変化することを利用してガスの流量を計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−333202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の超音波式ガスメーターにおいて、ガス配管中にある水分がガスメーター101内に浸入した場合、図3のように水を貯める貯水部8の容量が小さい構造のため、水分がすぐに計測管104内に侵入してしまうことになる。そして、計測管104内に水分が浸入すると超音波の伝播時間に差異が生じたり、流路管において実際にガス我流れる断面積が小さくなることによりガス流量が正確に計測できず、間違った計量を継続してしまうという課題があった。
【0010】
また、計測管内に水分を入りにくくするために、図4に示すように貯水部108’を大きくする方法もあるが、その場合、ガスメーター101’の筺体が大きくなりすぎてしまうという課題があった。
【0011】
本発明はかかる従来の課題に鑑み、ガスメーターの筺体を大型化せずに、ガスメーター
内に水分が浸入した場合でも、間違った計量を継続しない超音波式ガスメーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために、本発明の流体遮断装置は、入口と出口を有し略U字型の筒状に形成された流路部材と、前記流路部材の入口近傍に設置されガスの開閉を行う遮断弁と、前記流路部材の底面に近接し水平に設けた計測管と、前記計測管における上流側と下流側とに設けた一対の超音波送受信器と、前記一対の超音波送受信器間の超音波の伝播時間から前記計測管内を流れるガスの流量を算出する流量算出手段とを備え、前記一対の超音波送受信器の少なくとも一つを前記計測管の下側に配設すると共に、前記計測管の下側に配設された超音波送受信器の端子間抵抗を計測する抵抗値検出手段を有し、前記抵抗値検出手段が所定の抵抗値を検出した場合、前記遮断弁を閉動作するものである。
【0013】
これにより、一対の超音波送受信器の一方又は両方を計測管の下側に配設し、超音波送受信器の端子間抵抗を検出することで、ガスメーター内に水分が浸入したことを検知することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の超音波式ガスメーターによれば、ガスメーター内に水分が浸入した場合でも、即座にガス流量計測を停止させることができ、間違った計量を継続することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1の超音波式ガスメーターの断面図
【図2】本発明の実施の形態2の超音波式ガスメーターの断面図
【図3】従来の超音波式ガスメーターの断面図
【図4】従来の超音波式ガスメーターの断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、入口と出口を有し略U字型の筒状に形成された流路部材と、前記流路部材の入口近傍に設置されガスの開閉を行う遮断弁と、前記流路部材の底面に近接し水平に設けた計測管と、前記計測管における上流側と下流側とに設けた一対の超音波送受信器と、前記一対の超音波送受信器間の超音波の伝播時間から前記計測管内を流れるガスの流量を算出する流量算出手段とを備え、前記一対の超音波送受信器の少なくとも一つを前記計測管の下側に配設すると共に、前記計測管の下側に配設された超音波送受信器の端子間抵抗を計測する抵抗値検出手段を有し、前記抵抗値検出手段が所定の抵抗値を検出した場合、前記遮断弁を閉動作するもので、計測管内に水分が浸入する前にガスメーター内に水分が浸入したことを検知できるため、間違ったガス流量を計量することを防止することができる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明において、ガスメーターの底部にガスメーター内に貯留した水を排出する排水弁を有し、抵抗値検出手段が所定の抵抗値を検出した場合、前記遮断弁を閉動作した後、前記排水弁を所定時間開弁してガスメーター内の貯留した水を排水した後、更に前記遮断弁を開動作させ、ガスの流量計測を再開するもので、ガスメーター内に水分が侵入したことを検知すると直ちにガスメーター外に水分を排出するため、計測管内に水分が浸入することがなく、正確にガス流量を計量し続けることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の超音波式ガスメーターの断面図である。
【0020】
図1において、略U字型の筒状に形成された流路部材7の上方向から下方向へ入口側通路2の途中に弁座7cを設けると共に、弁座7cを開閉する弁3aを有するソレノイド式あるいはPM型ステッピングモーター式などの遮断弁3が配設されている。流路部材7の入口側通路2に続く下方の水平部にはガス流量の計測を行う計測管4が配設されている。計測管4には計測管4の上流側と下流側に一対の超音波送受信器5が配設され、超音波の伝播時間あるいは伝播速度の変化によりガス流量を計測するようになっている。そして、計測管4から流出したガスを略U字型の流路部材7の下方向から上方向へガスメーター1外に排出する出口通路6が構成されている。
【0021】
なお、仕切り7bは、超音波送受信器5の配置空間を確保するため計測管4を路部材7の底部7aから上方に位置させた際に入口側通路2と出口通路6とを仕切るもので、この仕切り7bにより、入口側通路2から流入したガスは、全て計測管4を通過して出口通路6からメータ外に排出される。
【0022】
計測管4の下側には超音波送受信器5が上流側と下流側に1対設けられており、超音波送受信器5の端子5a〜5dとコントローラ9とはリード線10a〜10dで接続されている。コントローラ9には超音波送受信器5の端子間(5aと5b及び/又は5cと5d)の抵抗を測定する抵抗値検知手段11を有しており、超音波送受信器5の端子間抵抗を計測することができる。
【0023】
コントローラ9は超音波送受信器5間の超音波の伝播時間をもとにガス流量を演算したり、圧力センサー(図示せず)からの信号をもとに、ガスメーター内のガス圧を計測したり、状況に応じて遮断弁3を開閉するなどの機能を有する。
【0024】
以上のように構成された超音波式ガスメーターの動作について説明する。
【0025】
通常、ガスメーター1内に水分が侵入していない状態においては、超音波送受信器5の端子(5a〜5d)部はガス雰囲気中にあるため、超音波送受信器5の端子間抵抗は無限大を示す。
【0026】
一方、ガスメーター1内に水分が侵入した場合、徐々に貯水部8に水が溜まっていき、超音波送受信器5の端子5a、5bが共に水没すると、超音波送受信器5の端子間抵抗は水の抵抗値とほぼ等しい値(数k〜数十kΩ程度)を示すことになり、抵抗検出手段11は、この抵抗値を検出し、コントローラ9は、貯水部8に水が溜まっていると判断する事ができる。
【0027】
この時点でコントローラ9は、遮断弁3を閉動作しガスを遮断することで、計測管内に水分が侵入することがなく、間違った計量を行うのを防ぐことができる。
【0028】
このように、本発明の実施の形態1の超音波式ガスメーターは、超音波送受信器5の端子間抵抗を測ることにより、ガスメーター1内に水分が浸入したことを検出でき、遮断弁3を閉動作させるため、計測管内4に水が入ったまま間違った計量を継続することを防止できる。
【0029】
なお、本実施の形態では、入口側の底部に水が溜まった場合について説明したが、出口側についても同様に構成できることは言うまでも無い。
【0030】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施例2の超音波式ガスメーターの断面図である。
【0031】
図2において、ガスメーター1の底部7aにはガスメーター1内に貯留した水を排出するための排水口7dを設け、この排水口7dを開閉する弁12aを有する排水弁12が配設されており、コントローラ9とリード線13a、13bで接続されている。
【0032】
その他の部分は、図1の超音波式ガスメーターと同様であり説明を省略する。
【0033】
以上のように構成された超音波式ガスメーターの動作について説明する。
【0034】
ガスメーター1内に水分が浸入していない場合は、実施の形態1と同様であり説明を省略する。
【0035】
ガスメーター1内に水分が浸入した場合、徐々に貯水部8に水が溜まっていき、超音波送受信器5の端子5a、5bが水没すると、超音波送受信器5の端子間抵抗は水の抵抗値とほぼ等しい値(数k〜数十kΩ程度)を示すことになり、抵抗検出手段11は、この抵抗値を検出し、コントローラ9は、貯水部8に水が溜まっていると判断する事ができる。
【0036】
この時点でコントローラ9は、まず、遮断弁3を閉動作させることによりガスを遮断する。その後、排水弁12を開動作して所定時間排水口7dを開放した状態に保持してガスメーター1内に溜まった水分を排水した後、排水弁12を閉動作させて、弁12aで排水口を閉止する。その後、遮断弁3を開動作する。
【0037】
すなわち、ガスメーター1内に水分が溜まっても、計測管4内に水分が侵入する前にガスメーター1外へ排水し、ガス流量の計測を再開できるものである。なお、排水弁12を閉動作するタイミングは、超音波送受信器5の端子5a、5b間の抵抗が、無限大になったことを抵抗検出手段11が検出した時点としても良い。
【0038】
このように、本発明の実施の形態2の超音波式ガスメーターは、ガスメーター1内に水分が浸入しても、計測管4内に水分が浸入する前にガスメーター1外に水分を排出するので、間違った計量をすることをなくすことができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、入口側の底部に水が溜まった場合について説明したが、出口側についても同様に構成できることは言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる超音波式ガスメーターは、ガスメーター内に水分が侵入したことを検出できるので、あらゆる超音波式ガスメーターへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ガスメーター
3 遮断弁
4 計測管
5 超音波送受信器
5a〜5d 端子
7 流路部材
7a 底部
9 コントローラ(流量算出手段)
11 抵抗値検出手段
12 排水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と出口を有し略U字型の筒状に形成された流路部材と、前記流路部材の入口近傍に設置されガスの開閉を行う遮断弁と、前記流路部材の底面に近接し水平に設けた計測管と、前記計測管における上流側と下流側とに設けた一対の超音波送受信器と、前記一対の超音波送受信器間の超音波の伝播時間から前記計測管内を流れるガスの流量を算出する流量算出手段とを備え、前記一対の超音波送受信器の少なくとも一つを前記計測管の下側に配設すると共に、前記計測管の下側に配設された超音波送受信器の端子間抵抗を計測する抵抗値検出手段を有し、前記抵抗値検出手段が所定の抵抗値を検出した場合、前記遮断弁を閉動作する超音波式ガスメーター。
【請求項2】
ガスメーターの底部にガスメーター内に貯留した水を排出する排水弁を有し、抵抗値検出手段が所定の抵抗値を検出した場合、前記遮断弁を閉動作した後、前記排水弁を所定時間開弁してガスメーター内の貯留した水を排水した後、更に前記遮断弁を開動作させ、ガスの流量計測を再開する請求項1に記載の超音波式ガスメーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−180055(P2011−180055A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46180(P2010−46180)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】