説明

超音波振動子および超音波流量計

【課題】 精度の高い測定が可能であり、かつ、検出誤差が生じうるような超音波振動子の異常を検知することのできる超音波流量計を提供する。
【解決手段】 圧電素子および圧電素子を密封状態で収納するケースを有し、超音波を送受信することによって流体の流路中に超音波が伝播する経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子1、2と、圧電素子の電気的特性値を計測する測定部22と、電気的特性値に基づき、第1および第2の超音波振動子の異常を判定する異常判定部23と、第1および第2の超音波振動子間で超音波を送受信し、経路間を伝播する超音波の伝播時間を検知することにより流体の流量を計測する流量計測モードと、測定部に電気的特性値を測定させ、異常判定部に第1および第2の超音波振動子の異常を判定させる監視モードとを切り替える制御部30とを備え、超音波の伝播時間に基づき、流体が流路を流れる流量を計測する超音波流量計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波を用いて流体の流量を測定する超音波流量計およびガスメータに関する。また、本発明は、計測機器等に用いられる超音波振動子にも関する。
【背景技術】
【0002】
超音波流量計は、構造が簡単である、機械的可動部分が少ない、流量の測定可能な範囲が広い、流量計による圧力損失がないなどの特徴を備えている。また、近年のエレクトロニクス技術の進歩によって、超音波流量計の計測精度を向上させることも可能になってきた。このため、ガスメータをはじめ、気体や液体の流量の計測が必要なさまざまな分野において超音波流量計を用いる研究がなされている。
【0003】
以下、従来の超音波流量計の構造および測定原理を説明する。図16は、従来の超音波流量計の一例を示すブロック図である。図16に示す超音波流量計は、たとえば非特許文献1に開示されている。図16に示すように、流体が流れる流路12を挟むように超音波振動子1および2が配置される。超音波振動子1および2は、それぞれ、送信器および受信器として機能する。具体的には、超音波振動子1を送信器として用いる場合には超音波振動子2を受信器として用い、超音波振動子2を送信器として用いる場合には超音波振動子1を受信器として用いる。図16に示すように、超音波振動子1および2の間に形成される超音波の伝搬路は流体の流れる方向に対して角度θだけ傾いている。
【0004】
超音波振動子1から超音波振動子2へ超音波を伝搬させる場合、超音波は流体の流れに対して順方向に進むため、その速度は速くなる。一方、超音波振動子2から超音波振動子1へ超音波を伝搬させる場合、超音波は流体の流れに対して逆方向に進むため、その速度は遅くなる。従って、超音波振動子1から超音波振動子2へ超音波が伝搬する時間と超音波振動子2から超音波振動子1へ超音波が伝搬する時間との差から、流体の速度を求めることができる。また、流路12の断面積と流速との積から流量を求めることができる。
【0005】
上述の原理に従って流体の流量を求める具体的な方法として、シングアラウンド法による計測方法を具体的に説明する。
【0006】
図16に示すように、超音波流量計は送信部3および受信部6を備え、超音波振動子1は切り替え部10によって送信部3または受信部6の一方と選択的に接続される。この時、超音波振動子2は、超音波振動子1が接続されなかった送信部3または受信部6の他方と接続される。
【0007】
送信部3と超音波振動子1とが接続される場合、送信部3が超音波振動子1を駆動し、発生した超音波は流体の流れを横切って超音波振動子2に到達する。超音波振動子2によって受信された超音波は、電気信号に変換され、受信信号が受信部6によって増幅される。受信信号のレベルをレベル検知部5で検知する。
【0008】
図17は、従来の超音波流量計におけるゼロクロス検知の一例を示している。ピークホールド部13は、受信信号19からピークホールド信号15を生成する。レベル検知部5は、ピークホールド信号15が所定のレベル16に達したことを検知し、検知信号17を生成する。ゼロクロス検知部7は、検知信号17が生成された直後におけるゼロクロスポイントを検知し、ゼロクロス検知信号18を生成する。ゼロクロスポイントとは受信信号の振幅が正から負または負から正へ変化する点をいう。このゼロクロスポイントを超音波振動子2において超音波が到達した時刻としている。ゼロクロス検知信号18に基づいて、遅延部4にて所定の時間遅らせたタイミングでトリガ信号を生成し、繰り返し部8にて繰り返すかどうかを判断し、繰り返す場合には送信部3へ入力する。ゼロクロス検知信号18の生成からトリガ信号の生成までの時間を遅延時間と呼ぶ。
【0009】
送信部3はトリガ信号に基づいて超音波振動子1を駆動し、次の超音波を発生させる。このように超音波の送信−受信−増幅・遅延−送信のループを繰り返すことをシングアラウンドと呼び、ループの回数をシングアラウンド回数と呼ぶ。
【0010】
計時部9では、所定の回数、ループを繰り返すのに要した時間を計測し、測定結果が流量算出部11へ送られる。次に、切り替え部10を切り換えて、超音波振動子2を送信器として用い、超音波振動子1を受信器として用いて、同様に計測を行う。
【0011】
上述の方法によって計測した時間から遅延時間とシングアラウンド回数とを乗じた値を引き、さらにシングアラウンド回数で除した値が超音波の伝搬時間となる。
【0012】
超音波振動子1を送信側にしたときの伝搬時間をt1とし、超音波振動子2を送信側にしたときの伝搬時間をt2とする。また、図16に示すように、超音波振動子1と超音波振動子2との間の距離をLとし、流体の流速および超音波の音速をそれぞれVおよびCとする。この時、t1およびt2は以下の式で表される。
【0013】
【数1】

【0014】
これらの式から流速Vは以下の式で表される。
【0015】
【数2】

【0016】
流体の流速Vが求まれば、流路14の断面積と流速Vとの積から流量Qが求まる。
【非特許文献1】日本電気計測器工業会規格、JEMIS 5032「超音波による流量測定法」(社)日本電気計測工業会、1987年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一般に計測機器においては、用いる検出素子の特性変化が計測結果に影響を与えるため、検出素子の特性が変化しないことが好ましい。上述の超音波流量計の場合、超音波振動子1および超音波振動子2が接する外気の湿度等が変化すると、超音波振動子1および超音波振動子2の特性が変動するため、図17に示す超音波の受信信号19の波形が変化し、ゼロクロスポイントがシフトする。このことは、流体の流速に変化がなくても超音波の伝播時間t1およびt2が変動し、計測誤差が生じることを意味する。
【0018】
このような計測誤差を防止するため、超音波振動子をケースに収納し、ケース内を不活性ガスなどで充填して封止することにより、外気から超音波振動子を遮断することが考えられている。この構造を採用することにより、超音波振動子が外気から隔絶されるため、超音波振動子の耐候性も向上する。また、超音波振動子の防爆性も向上するため、超音波流量計により計測する流体が可燃性を備えている場合でも、好適に用いることができる。つまり超音波流量計の信頼性が向上する。
【0019】
しかしながら、超音波振動子を収納しているケースの溶接部分に亀裂が生じるなどにより、封止が破れた場合、外気がケース内に流入し、超音波振動子の特性を変化させてしまう。特に、超音波振動子が圧電セラミックを含む場合、多孔質体からなる圧電セラミックが水分を吸収するため、超音波振動子の電気的特性が大幅に変化する可能性がある。また、水分による超音波振動子の電極の腐食が生じ、超音波振動子の劣化や故障を生じる可能性もある。
【0020】
したがって、従来の超音波流量計を用いてガスメータを作製した場合、超音波振動子を収納しているケースに亀裂が入り、封止が破れることにより、ガス流量の計測に多くの誤差が含まれてしまう。また、超音波振動子の劣化や故障が生じている場合には、超音波振動子を交換する必要がある。特に超音波流量計の計測精度を向上させるために、特性がほぼ等しい2つの超音波振動子を用いている場合には、一方の超音波振動子が劣化あるいは故障しても、両方の超音波振動子を交換する必要がある。
【0021】
本発明は、このような従来の問題を解決し、精度の高い測定を維持することが可能であり、かつ、検出誤差が生じうるような異常を検知することのできる超音波流量計を提供することを目的とする。また、本発明は、特性の変化を知ることのできる超音波振動子にも関する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の超音波流量計は、圧電素子および前記圧電素子を密封状態で収納するケースをそれぞれ有し、超音波を送受信することによって流体の流路中に超音波が伝播する経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子と、前記圧電素子の電気的特性値を計測する測定部と、前記電気的特性値に基づき、前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定する異常判定部とを備え、超音波の伝播時間に基づき、流体が流路を流れる流量を計測する。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の超音波振動子の各圧電素子は、圧電体および前記圧電体に設けられた網状構造を有する電極を含む。
【0024】
また、本発明の超音波流量計は、圧電体を含む圧電素子、湿度センサ、および、前記圧電素子と湿度センサとを密封状態で収納するケースをそれぞれ有し、超音波を送受信することによって流体の流路中に超音波が伝播する経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子と、前記湿度センサの電気的特性値を計測する測定部と、前記電気的特性値に基づき、前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定する異常判定部とを備え、超音波の伝播時間に基づき、流体が流路を流れる流量を計測する。
【0025】
ある好ましい実施形態において、前記湿度センサは絶対湿度を検出する。
【0026】
ある好ましい実施形態において、前記湿度センサは相対湿度を検出する。
【0027】
また、本発明の超音波流量計は、対向する第1および第2の主面を有する圧電体、前記第1の主面に設けられた電気音響変換用の第1の電極、前記第1の主面に設けられており、前記圧電体の電気的特性を計測するための第2の電極、および、前記第2の主面に設けられた共通電極を有する圧電素子、ならびに、前記圧電素子を密封状態で収納するケースをそれぞれ有し、超音波を送受信することによって流体の流路中に超音波が伝播する経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子と、前記圧電素子の共通電極および第2の電極間の電気的特性値を計測する測定部と、前記電気的特性値に基づき、前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定する異常判定部とを備え、超音波の伝播時間に基づき、流体が流路を流れる流量を計測する。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記第2の電極は前記第1の電極を囲むように前記第1の主面に設けられている。
【0029】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の電極のうち、少なくとも第2の電極は網状構造を有している。
【0030】
ある好ましい実施形態において、超音波流量計は、前記第1および第2の超音波振動子を用いて超音波の音速を求め、前記音速から前記流体の温度を推定する温度推定部をさらに備え、前記異常判定部は、前記温度推定部から得られる温度を用いて、前記電気的特性値を補正し、補正した値を用いて前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定する。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の超音波振動子のそれぞれは、前記ケースに収納された温度センサをさらに含み、前記異常判定部は、前記温度センサにより求められる温度を用いて、前記電気的特性値を補正し、補正した値を用いて前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定する。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記圧電体は、少なくも1つの溝を有する。
【0033】
ある好ましい実施形態において、前記電気的特性値は、抵抗値または容量値である。
【0034】
本発明のガスメータは、ガスが流れる流路に設けられた上記いずれかの超音波流量計と、前記流路を流れるガスを遮断する遮断弁と、前記異常判定部の検出結果に基づき、前記遮断弁を制御する制御装置とを備える。
【0035】
また、本発明の超音波振動子は、圧電素子と、温度検出素子と、前記圧電素子および前記温度検出素子を密封状態で収納するケースとを備える。
【0036】
ある好ましい実施形態において、前記圧電素子は、圧電体および前記圧電体に設けられた網状構造を有する電極を含む。
【0037】
また、本発明の他の超音波振動子は、圧電素子と、湿度検出素子と、前記圧電素子および前記温度検出素子を密封状態で収納するケースとを備える。
【0038】
また、本発明の他の超音波振動子は、対向する第1および第2の主面を有する圧電体および前記第1の主面に設けられた第1および第2の電極を有する圧電素子と、前記圧電素子を密封状態で収納するケースとを備える。
【0039】
ある好ましい実施形態において、前記第2の電極は前記第1の電極を囲むように前記第1の主面に設けられている。
【0040】
ある好ましい実施形態において、前記第1の電極および前記第2の電極のうち、すくなくとも前記第2の電極は網目構造を有している。
【0041】
ある好ましい実施形態において、前記圧電体は少なくとも1つの溝を有している。
【0042】
本発明の超音波流量計の制御方法は、圧電素子および前記圧電素子を密封状態で収納するケースをそれぞれ有し、流体の流路中に超音波が伝播する経路を形成するよう配置された第1および第2の超音波振動子を備え、前記第1および第2の超音波振動子間で超音波を送受信し、前記経路間を伝播する超音波の伝播時間を検知することにより流体の流量を計測する。この制御方法は、前記第1および第2の超音波振動子のケース内の湿度に関する情報を取得するステップと、前記情報に基づき、前記第1および第2の超音波振動子が異常であるかどうかを判断するステップとを包含する。
【0043】
ある好ましい実施形態において、前記情報を取得するステップは、前記第1および第2の超音波振動子の圧電素子の電気的特性に関する情報を取得する。
【0044】
ある好ましい実施形態において、前記第1および第2の超音波振動子はケース内に湿度センサをそれぞれ有し、前記情報を取得するステップは、前記湿度センサを用いて前記ケース内の湿度を測定する。
【0045】
ある好ましい実施形態において、前記湿度センサは絶対湿度を測定する。
【0046】
ある好ましい実施形態において、超音波流量計の制御方法は、前記第1および第2の超音波振動子を用いて前記流体の流量を計測するステップと、前記計測した流量に基づき、前記流体の温度を推定するステップと、前記推定した温度に基づき、前記湿度に関する情報を補正するステップとをさらに包含し、前記補正した湿度に関する情報を用いて、前記判断するステップを実行する。
【0047】
ある好ましい実施形態において、超音波流量計の制御方法は、前記判断するステップの判断結果に基づき、前記流体の移動を停止させるステップをさらに包含する。
【0048】
また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記いずれかの超音波流量計の制御方法に規定した各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録している。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、外気等の影響を受けにくいが、ケースの損傷が生じるような想定外の環境変化に対しては、敏感にその変化を検知することが可能な超音波振動子が得られる。この超音波振動子をもちいることにより、精度の高い測定を維持することが可能であり、かつ、検出誤差が生じうるような異常を検知することのできる超音波流量計が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
(第1の実施形態)
まず、本発明による超音波流量計の第1の実施形態で用いる超音波振動子81を説明する。図1(a)および(b)は、それぞれ超音波振動子81の斜視図および断面図である。超音波振動子81は、圧電体82と、ケース本体83および端子板84からなるケース85とを含む。ケース本体83は、円筒状の空間85sを有する凸形状を備え、圧電体82は空間85s内に収納される。空間85sの上方にはケース本体83のケース天部83aが位置している。圧電体82は対向する第1の主面82bおよび第2の主面82aを有し、第1の主面82bには電極91が形成されている。第2の主面はケース天部83aに固定されている。円筒状の空間85sの下方には半径方向に伸びる支持部83bが設けられ、支持部83bと端子板87とが接合することにより、空間85sが塞がれている。ケース本体83に溶接などの接合部分が生じないよう、ケース本体83は好ましくは深絞りなどにより形成される。空間85sには、窒素などの不活性ガスが充填される。
【0051】
端子板87の中央付近には貫通孔87hが設けられており、貫通孔に端子88aおよび端子88の先端に接続された導電性ゴム90が挿入されている。導電性ゴム90は電極91と接触している。端子88aおよび導電性ゴム部が端子板87と電気的に接触しないよう貫通孔87hは絶縁物89により塞がれている。ケース本体83および端子板87は金属などの導電性材料で形成されている。端子板87に端子88bが接続されている。ケース天部83aの外側には音響整合層86を設けてもよい。
【0052】
ケース本体83のケース天部83aは圧電体82の第2の主面に設けられた電極として機能し、ケース本体83および端子板87を介して端子88bから圧電体82の第2の主面82aに電圧を印加することができる。一方、第1の主面82bには、電極91および導電性ゴム10を介して端子8aから電圧を印加することができる。これにより、ケース天部83a、圧電体82および電極91からなる圧電素子が構成される。
【0053】
超音波振動子81によれば、圧電素子が密閉された空間に収納されているため、超音波振動子81が接する外気の影響を受けることがない。このため、外気の湿度が変化しても、超音波振動子81の特性は一定に保たれる。また、外気に圧電体82や電極91などを腐食や変質させるガスが含まれていても、圧電素子の特性が変動することなく、長い期間にわたって、一定の特性を保ち続けることができる。
【0054】
特に、ケース本体83を深絞りで形成することにより、圧電素子を収納するケースの接合部分を減らすことができ、また、ケース本体83に支持部3bをもうけることにより、ケース本体83と端子板7との接合部分の面積を広くして、接合を確実にすることができる。このため、ケース85の強度を増すことができる。
【0055】
しかし図1(b)において、矢印Xで示す箇所は、加工歪が生じる可能性があったり、異なる材質の部材が接合されているため、ケース85の他の箇所に比べて相対的に強度が弱い。このため、想定外の衝撃を受け、ケース2が損傷するとすれば、矢印Xで示す箇所において、亀裂等が生じる。そして、空間85sに外気が侵入し、圧電素子の特性が変化する恐れがある。
【0056】
このような圧電素子の特性変化は、空間85sに外気が侵入し、空間85sの湿度が上昇することにより、圧電素子の圧電体が水分を吸収することにより生じる。圧電体が水分を吸収すると、電気的特性が変化する。このため、本実施形態の超音波流量計は、流量を計測するために用いる超音波振動子81の圧電素子の電気的特性を監視し、電気的特性値の変化を検出することにより、超音波振動子81のケース85が損傷して、特性が変動したことを検出する。特に、圧電体が水分を吸収することにより生じる圧電素子の誘電率を監視することが好ましく、誘電率の変化は、圧電素子の抵抗値または容量値の変化として好適に検出できる。したがって、圧電素子の抵抗値または容量値の変化はケース85内の湿度に関する情報を表していると言える。
【0057】
図2は本実施形態の超音波流量計101の構成を示すブロック図である。超音波流量計101は、流体の流路12中に超音波が双方向に伝搬する経路を形成するように配置される第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2と、送信部3と、受信部6とを備えている。
【0058】
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2は、それぞれが送信器および受信器として機能する。第1の超音波振動子1から送信された超音波は第2の超音波振動子2により受信され、第2の超音波振動子2から送信された超音波は第1の超音波振動子1により受信する。これら双方向の伝搬路は、流路12を流れる流体の流れる方向に対して角度θをなしている。角度θの大きさは、10〜40度の範囲内から選択される。
【0059】
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2には図1で説明した超音波振動子81を用いる。たとえば、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2は、厚み振動モード、横すべり振動モード、縦振動モード等の振動モードにより、おおよそ20kHz以上の周波数で駆動される。また、圧電体82の振動を効率よく流路12を流れる流体に伝播させるために、音響整合層86を設けている。空間85sには窒素ガスを充填する。
【0060】
超音波流量計101は、送受信切り替え部10、第1のモード切り替え部20、第2のモード切り替え部21測定部22、異常本底部23、ピークホールド部13、レベル検知部5、ゼロクロス検知部7、遅延部4、繰り返し部8および流量算出部11をさらに備える。以下において詳述するように、超音波流量計101は、流量計測モードおよび超音波振動子監視モードを備え、第1のモード切り替え部20および第2のモード切り替え部21によってこれら2つのモードを切り替える。流量計測モードでは、流路12を移動する流体の流量を計測することができるよう、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2は送受信切り替え部10に接続される。また、超音波振動子監視モードでは、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性を測定することができるよう、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2は測定部22に接続される。
【0061】
送受信切り替え部10は、送信部3および受信部6を選択的に第1のモード切り替え部20および第2のモード切り替え部21に接続する。たとえば、送信部3と第1のモード切り替え部20が接続される場合には、受信部6と第2のモード切り替え部21とが接続される。したがって、流量計測モードでは、第1の超音波振動子1は、送信部3または受信部6の一方と選択的に接続される。この時、第2の超音波振動子2は、第1の超音波振動子1が接続されなかった受信部6または送信部3の他方と接続される。
【0062】
送受信切り替え部10、第1のモード切り替え部20および第2のモード切り替え部21は、トグルスイッチのような機械的なものであってもよいし、電子部品等により構成されるものであってもよい。
【0063】
送信部3により駆動された第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2は流路12の流体に超音波を送信する。第2の超音波振動子2または第1の超音波振動子1に到達した超音波は電気信号に変換され、受信信号が受信部6によって増幅される。第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2に到達した超音波による電気信号が十分大きい場合には必ずしも受信部6は受信信号を増幅しなくてもよい。
【0064】
受信部6によって増幅された受信信号は、ゼロクロス検知部7とピークホールド部13とへ送られる。ピークホールド部13は、受信信号18のピーク値を保持しその値をピークホールド信号として出力を生成する。レベル検知部5は、ピークホールド信号が所定のレベルに達したことを検知し、ゼロクロス指令信号を生成する。ゼロクロス検知部7は、ゼロクロス指令信号が生成された直後におけるゼロクロスポイントを検知し、ゼロクロス検知信号を遅延部4へ出力する。このゼロクロスポイントを受信信号の伝播時間とし、この時点で受信信号を検知したとする。ゼロクロス検知信号はピークホールド部13にも入力される。ピークホールド部13は、ゼロクロス検知信号に基づいてピークホールド信号をリセットする。
【0065】
遅延部4は、ゼロクロス検知信号に基づいて、所定の時間遅らせたタイミングで出力信号を生成する。繰り返し部8は、遅延部4の出力信号をカウントし、所定回数以下であれば遅延部4の出力信号をトリガ信号として送信部3へ出力する。送信部3は、トリガ信号に基づいて、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2を駆動する。
【0066】
計時部9は、所定の回数だけ、シングアラウンドを繰り返すのに要した時間を計測し、測定結果を流量算出部11へ送る。流量算出部11は、計時部9から出力されるシングアラウンドを繰り返すのに要した時間に関するデータ、遅延時間およびシングアラウンド回数から、流速および流量を求める。
【0067】
超音波振動子監視モードでは、第1のモード切り替え部20および第2のモード切り替え部21によって、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が選択的に測定部21に接続される。測定部21は、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2の圧電体の抵抗値または容量値を測定し、測定した値を異常判定部23へ出力する。
【0068】
また、このとき、温度推定部14は、流量算出部11から、直前に求められた流量V、伝播時間t1またはt2および第1の超音波振動子1と第2の超音波振動子2との距離Lを用いて式(1)から流体中を伝播する超音波の音速を求める。温度推定部14は、音速の温度依存性に関するデータを保持しており、このデータに基づいて、直前に流量を計測したときの流体の温度を推定する。
【0069】
異常判定部23は、抵抗値または容量値を測定部22から受け取り、温度推定部14から受け取る温度を用いて、基準温度における抵抗値または容量値を求める。抵抗値または容量値が、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2の初期値から所定のレベル以上異なっている場合には、異常判定部23は、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が異常であると判断し、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が異常であることを示す信号を出力する。この信号に基づいて、たとえば警報が発生される。あるいは、流路12に遮断弁を設け、この信号に基づいて、遮断弁を動作させても良い。
【0070】
図3は、測定部22の具体的な構成の一例を示すブロック図である。測定部22は、三角波発生部31、抵抗電圧変換部32、微分部33および積分部34を含む。三角波発生部31は、たとえば、1kHz程度の周波数の三角波(交流)信号を発生し、発生した信号を第1のモード切り替え部20を介して第1の超音波振動子1に印加する。抵抗電圧変換部32は、第1の超音波振動子1の抵抗値を電圧値として検出し、検出した信号を微分部33で微分したあとに積分部34で積分することにより、第1の超音波振動子1の圧電素子の抵抗値が得られる。交流電圧を印加して求める抵抗値は一般にインピーダンスと呼ばれる。このように、圧電素子の抵抗値は交流電圧を印加することによって求めてもよいし、直流電圧を印加して求めてもよい。
【0071】
上述の各部は、電子部品等を用いたハードウエアにより構成することもソフトウエアにより構成することもできる。超音波流量計101は、これら各部を制御するマイコン30を備えている。
【0072】
次に、超音波流量計101を用いて流体の流量を計測する手順を説明する。以下に説明する手順はマイコン30により、各構成要素を順次制御することによって行われ、その手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが、ROMやRAM、ハードディスク、磁気記録媒体などの情報記録媒体に保存されている。
【0073】
上述したように超音波流量計101は、流量計測モードおよび超音波振動子監視モードで動作する。まず流量計測モードにおける超音波流量計101の動作を説明する。流量計測モードに超音波流量計101を設定するため、マイコン30は、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2が送受信切り替え部10と接続されるように第1のモード切り替え部20および第2のモード切り替え部21を制御する。
【0074】
図2に示すように、送受信切り替え部10を用いて、まず、送信部3を第1の超音波振動子1へ接続し、受信部4を第2の超音波振動子2に接続する。
【0075】
図4に示すように、トリガ信号39を送信部3に入力し、駆動信号を生成させ、第1の超音波振動子1から超音波を発生させる。流路12を伝搬した超音波は、第2の超音波振動子2によって受信され、受信信号が受信部6へ送られ、受信信号18として増幅される。
【0076】
ピークホールド部13およびレベル検知部5によって、受信信号18が所定のレベルを超えた直後のゼロクロスポイントがゼロクロス検知部7で検知される。遅延部4は、ゼロクロス検知部7から出力されるゼロクロス検知信号に基づいて、所定の遅延時間40を経た後に、送信部3へトリガ信号39'を出力する。これにより、シングアラウンドの1ループを構成する。所定の回数(例えば50〜1000回)、シングアラウンドを繰り返した後、計時部9は、ループを繰り返すのに要した全時間41を計測し、測定結果を流量算出部11へ送る。流量算出部において、全時間41をシングアラウンド回数で除し、その値から遅延時間40を引いた値が、式(1)に示すt1となる。
【0077】
次に、送受信切り替え部10を用いて、送信部3を第2の超音波振動子2へ接続し、受信部を第1の超音波振動子1へ接続する。そして上述の手順と同様の手順により、第2の超音波振動子2から超音波を発生させ、第1の超音波振動子1で超音波を受信する。所定の回数、シングアラウンドを繰り返した後、計時部9では、ループを繰り返すのに要した全時間41を計測し、測定結果を流量算出部11へ送る。流量算出部において、全時間41をシングアラウンド回数で除し、その値から遅延時間40を引いた値が、式(1)に示すt2となる。
【0078】
式(2)に、t1およびt2の値と角度θを代入することによって、流体の流速Vが求まる。さらに流路12の断面積をSとすれば、流量QはV×Sによって求めることができる。この流量Qは、単位時間あたりに流量が移動する量であり、流量Qを積分することによって流体の量を求めることができる。
【0079】
次に、超音波振動子監視モードにおける超音波流量計101の動作を説明する。超音波流量計101は、通常、流量計測モードで動作しており、所定の時間間隔で第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性に変動が生じていないかどうかを測定するため、超音波振動子監視モードで動作する。超音波振動子監視モードで動作させる時間間隔は、毎日一回、周に一回、月に一回など任意の間隔を設定することができる。
【0080】
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性を測定すべき時刻になれば、マイコン30は、流量の計測を中断し、超音波振動子監視モードで超音波流量計101を動作させる。まず、マイコン30は、第1の超音波振動子1が測定部22に接続されるように第1のモード切り替え部20を制御する。測定部22は、第1の超音波振動子1の圧電体の抵抗値を測定し、測定した値を異常判定部23へ出力する。また、異常判定部23は、超音波振動子監視モードとなる直前の流量計測モードにおいて流量を計測したときの超音波の伝播時間に基づく流体の推定温度を温度推定部14から受け取る。
【0081】
異常判定部23は、推定温度を用いて測定部22から受け取った抵抗値を基準温度における抵抗値に換算する。抵抗値が、第1の超音波振動子1の初期値から所定のレベル以上異なっている場合には、異常判定部23は、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が異常であることを示す信号を出力する。
【0082】
図5は、第1の超音波振動子1に用いられている圧電素子のその周囲の相対湿度に対するインピーダンス変化を示すグラフである。図5に示すように、圧電体素子の周囲の相対湿度が高くなるにつれて圧電体が吸湿して、誘電率が変化し、インピーダンスが低下する。したがって、インピーダンスが大きく低下した場合には、第1の超音波振動子1のケースが破損し、ケースの外空気が流入することによって圧電素子の周囲の相対湿度が上昇したことがわかる。
【0083】
たとえば、第1の超音波振動子1において、基準温度において相対湿度RH0の不活性ガス中で封入された圧電素子がインピーダンスR0の初期値を有している場合において、第1の超音波振動子1のインピーダンスが初期値R0の1/10あるいは1/100にまで低下した場合には、異常判定部23は、第1の超音波振動子1が異常であると判定する。このとき、ケース内の相対湿度はRH1に増大している。これは、ケースの損傷により、相対湿度が高い外気がケース内へ流入したからである。
【0084】
次にマイコン30は、第2の超音波振動子2が測定部22に接続されるように第1のモード切り替え部20および第2のモード切り替え部22を制御し、上述と同様にして第2の超音波振動子2のインピーダンスを測定し、第2の超音波振動子2が異常であるかどうかを判定する。
【0085】
第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の少なくとも一方が異常である場合に、異常判定部23は、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が異常であることを示す信号を出力する。このとき、いずれの超音波振動子が異常であるかを示す情報も同時に出力してもよい。
【0086】
このように、超音波流量計101において、第1および第2の超音波振動子1、2の圧電素子は不活性ガスを封入したケースに収納されている。このため、外気の湿度が変化しても、第1および第2の超音波振動子1、2の特性は一定に保たれ、誤差の少ない流量計測が可能となる。また、外気に圧電体82や電極91などを腐食や変質させるガスが含まれていても、圧電素子の特性が変動することないので、そのような環境下であっても、超音波流量計101は、長い期間にわたって、精度の高い測定を行うことがきる。つまり、超音波流量計101は信頼性に優れる。
【0087】
一方、地震などにより、想定外の衝撃あるいは環境変化が生じ、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2のケースが損傷した場合、外気がケース内に流入し、圧電素子の周囲の湿度が変化するため、圧電体の誘電率が変化する。このため、超音波振動子監視モードにおいて、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2のインピーダンスを定期的に監視し、インピーダンス変化を検知することにより、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性が変化し、計測誤差が生じていることを知ることができる。
【0088】
なお、超音波流量計101に感震機を設け、感震機が所定の大きさ以上の地震があったことを検知した場合には、ただちに超音波振動子監視モードを実行し、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2に異常が生じていないかを確認するようにしてもよい。
【0089】
特に、本実施形態では第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の圧電素子自体の特性が、周囲の湿度変化に対して敏感に変化することを利用している。つまり、湿度の検出を行う素子を第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の圧電素子が兼ねている。このため、湿度検出素子等を新たに設け必要がない。また、図1(b)に示すように、圧電体82に溝2gが設けられている場合には、圧電体82の表面積が増大し、圧電体82の周囲の湿度変化に対して、より圧電体の誘電率が変化しやすくなる。このため、ケース85の損傷をより敏感に検知しやすくなる。
【0090】
つまり、超音波流量計101によれば、第1および第2の超音波振動子1、2の圧電素子が不活性ガスを封入したケースに収納されているため、外気等の影響を受けにくいが、ケースの損傷が生じるような想定外の環境変化に対しては、敏感にその変化を検知することが可能である。したがって、一定の環境変化に対し、計測誤差を含むことなく安定して流量の計測が可能であり、第1および第2の超音波振動子1、2の圧電素子の圧電特性が変化した場合には確実にその変化を検出して測定誤差が生じる可能性があることを知ることができる。
【0091】
なお、本実施形態において第1および第2の超音波振動子1、2の圧電素子は圧電体の第2の主面の一部を完全に覆う電極26を備えていたが、図6に示すように、圧電素子は、網目状の電極26'を備えていてもよい。図6に示す圧電素子では電極26'の網目から圧電体82の表面が露出するため、圧電体82が露出している表面積が大きくなり、周囲の湿度変化に対して、より敏感に誘電率が変化する。このため、図6に示す圧電素子を不活性ガスが封入されたケースに収納することによって、ケースの損傷が生じるような想定外の環境変化に対しては、より高い感度で第1および第2の超音波振動子1、2の圧電素子の圧電特性の変化を検出できる。この場合であっても、ケースが封止状態を保っている限り、圧電素子の周りを覆う不活性ガスに変化はないため、圧電素子は安定した特性を示す。
【0092】
(第2の実施形態)
以下、本発明による超音波流量計の第2の実施形態を説明する。図7は、本実施形態で用いる超音波振動子51の構造を模式的に示している。超音波振動子51は、圧電体82を含む圧電素子を封止するケース85内に温度センサ53を有している。圧電素子および温度センサ53は配線52に接続されており、配線52はケース85の外部に引き出されている。第1の実施形態と同様ケース85の空間85sには不活性ガスが充填されている。
【0093】
図8は、本実施形態の超音波流量計102の構成を示すブロック図である。超音波流量計102は、第1の超音波振動子55および第2の超音波振動子56を備える。第1の超音波振動子55および第2の超音波振動子56には図7に示す超音波振動子51が用いられる。
【0094】
超音波流量計102は、第1の実施形態の超音波流量計101の温度推定部14に換えて、温度計測部41を備えており、第1の超音波振動子55および第2の超音波振動子56のケース85内に設けられた温度センサ53は温度計測部41に接続される。温度計測部41の出力は以上判定部23に入力される。
【0095】
超音波流量計102の他の構成要素は第1の実施形態の超音波流量計101と同じであり、流量計測モードでは、第1の実施形態で説明した手順と同じ手順により流体の流量を計測する。
【0096】
一方、超音波振動子監視モードにおいて、超音波流量計102は、温度センサ53および温度計測部41を用いて、第1の超音波振動子55および第2の超音波振動子56のケース85内温度を直接測定する。異常判定部23は、測定した温度を用いて測定部22から受け取った抵抗値を基準温度における抵抗値に換算する。抵抗値が、第1の超音波振動子55または第2の超音波振動子56の初期値から所定のレベル以上異なっている場合には、異常判定部23は、第1の超音波振動子55または第2の超音波振動子56が異常であることを示す信号を出力する。
【0097】
このように、本実施形態によれば、ケース85内の温度を直接測定する。ケース85内の温度は、第1の超音波振動子55および第2の超音波振動子56の圧電素子の温度とほぼ一致するため、温度の変動による圧電素子の抵抗値の変化を補正し、より正確に第1の超音波振動子55および第2の超音波振動子56の特性の変化を知ることができる。
【0098】
また、流量の計測と独立してケース85内の温度を直接測定することができる。このため、超音波流量計102を用いてしばらく流量計測を行っていなかった場合に、まず、超音波振動子監視モードに超音波流量計102を設定し、第1の超音波振動子55および第2の超音波振動子56が正常であるかどうかを判定した後、流量を計測することも可能である。
【0099】
(第3の実施形態)
以下、本発明による超音波流量計の第3の実施形態を説明する。図9は、本実施形態で用いる超音波振動子57の構造を模式的に示している。超音波振動子57は、圧電体82を含む圧電素子を封止するケース85内に湿度センサ58を有している。圧電素子および湿度センサ58は配線52に接続されており、配線52にはケース85の外部に引き出されている。第1の実施形態と同様、ケース85の空間85sには不活性ガスが充填されている。
【0100】
第1および第2の実施形態では、圧電素子の抵抗値または容量値を測定することにより、圧電素子の特性の変化を直接計測していたが、本実施形態では、湿度センサ58を用いてケース85内の湿度を直接測定する。
【0101】
図10は、本実施形態の超音波流量計103の構成を示すブロック図である。超音波流量計103は、第1の超音波振動子61および第2の超音波振動子62を備える。第1の超音波振動子61および第2の超音波振動子62には図9に示す超音波振動子57が用いられる。
【0102】
超音波流量計103は、第1の超音波振動子61および第2の超音波振動子62の湿度センサ58の配線に接続された素子切り替え部63を備え、素子切り替え部63は測定部22'に接続される。また、第1の実施形態と同様、計測した流量から流体の温度を推定する温度推定部14を備え、異常判定部23は温度推定部から推定温度の信号を受け取る。第1の超音波振動子61および第2の超音波振動子62の湿度センサ58が絶対湿度を検出するのであれば、温度推定部14はなくてもよい。また、第2の実施形態で説明したように、温度推定部14に換えて第1の超音波振動子61および第2の超音波振動子62に温度センサ53を設け、ケース内の温度を直接測定してもよい。
【0103】
また、湿度センサ58は抵抗型であってもよいし、静電容量型であってもよい。湿度センサ58が抵抗型である場合には、図3に示す測定部と同じ構成の測定部22'を用いることができる。一方、湿度センサ58が静電容量型である場合には、図3に示す測定部22において、抵抗電圧変換部32に換えて容量電圧変換部を採用した測定部を測定部22'に採用する。
【0104】
本実施形態では、第1の超音波振動子61および第2の超音波振動子62の圧電素子は流量計測にのみ用い、ケース内の湿度は湿度センサ58で測定する。流量の計測中であってもケース内の湿度を湿度センサ58で測定することが可能であるため、流量計測モードおよび超音波振動子監視モードの2つの動作を切り替える必要がなく、これら2つの動作を並行して行うことができる。
【0105】
具体的には、超音波流量計103は、流量を計測しているかどうかにかかわらず、所定の時間間隔で素子切り替え部63により選択した超音波振動子の湿度センサ58を用いて、ケース内の湿度を測定する。湿度センサ58が絶対湿度を計測できる場合には計測した値を温度補正する必要はない。測定した値が湿度センサ58の初期値から所定のレベル以上異なっている場合、異常判定部23は、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が異常であることを示す信号を出力する。湿度センサ58が相対湿度を計測する場合には、異常判定部23において、計測した値を温度推定部14から受け取る推定温度を用いて基準温度における抵抗値または容量値に変換する。測定した値が湿度センサ58の初期値から所定のレベル以上異なっている場合には、異常判定部23は、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が異常であることを示す信号を出力する。
【0106】
図10は、第1の超音波振動子1に用いられている圧電素子のその周囲の相対湿度に対する静電容量の変化を示すグラフである。図10に示すように、圧電体素子の周囲の相対湿度が高くなるにつれて圧電体が吸湿して誘電率が変化し、静電容量が増加する。したがって、たとえば、第1の超音波振動子1において、基準温度において相対湿度RH0の不活性ガス中で封入された圧電素子が容量C0の初期値を有しており、第1の超音波振動子1の容量が初期値C0に対して5%増加した場合、異常判定部23は、第1の超音波振動子1が異常であると判定する。このとき、ケース85内の相対湿度は基準温度においてRH1に増加している。このような相対湿度の変化は、ケース85に亀裂等の損傷が生じ、相対湿度の高い外気が流入したことを示している。
【0107】
本実施形態によれば、封止された超音波振動子のケース内に設けた湿度センサによりケース内の湿度を測定するため、流量の計測と独立してケース内の湿度を測定することができる。このため、流量計測を中断することなく超音波振動子の監視が可能となり、特に、流量を常に計測する必要がある用途に本実施形態の超音波流量計を好適に用いることができる。また、流量の計測動作と超音波振動子の監視動作を切り替える必要がないため、モード切り替え部が不要となり、超音波流量計の構成を簡単なものにすることができる。さらに、絶対湿度を検出する湿度センサを採用することにより、温度による補正を行う必要がなくなる。
【0108】
(第4の実施形態)
以下、本発明による超音波流量計の第4の実施形態を説明する。図12は、本実施形態で用いる超音波振動子66の構造を模式的に示している。また、図13は超音波振動子66の主要部である圧電素子67の構造を示している。図13に示すように、圧電素子67は、対向する第1の主面2bおよび第2の主面2aを有する圧電体82と、第1の主面に設けられた第1の電極26aおよび第2の電極26bと、第2の主面82aに設けられた共通電極27とを含む。
【0109】
第1の電極26aは第1の主面2bの中央に設けられており、第2の電極26bは第1の電極26aを囲むように第1の主面2bの周囲に設けられている。共通電極27は第2の主面2aのおおよそ全部を覆っている。図13に示すように、好ましくは、第2の電極26bは網目状構造を備えている。第1の電極26aも網目状構造を備えていてもよい。各電極には配線52a、52bおよび52cが接続される。
【0110】
第1の電極26aは圧電体82に電圧を印加し、また、圧電体82の振動により生じた電圧を検出する電気音響変換に用いられる。一方、第2の電極26bは圧電体82の電気的特性を計測するために用いられる。より具体的には、第1の電極26aおよび共通電極27とこれらに挟まれる圧電体82により、超音波を送受信するための電気音響変換素子部67aが構成される。また、第2の電極26bおよび共通電極27とこれらに挟まれる圧電体82により、湿度センサ部67bが構成される。圧電素子67は、ケース85内に収納され、ケース内の空間85sを不活性ガスで充填した状態で封止される。
【0111】
圧電体82において、第2の電極26bが形成されている領域は、圧電体82が振動状態にあるときに変位が少なく、超音波が第1の主面82bあるいは第2の主面82aに対して垂直に射出しにくい。このため、圧電体82の周辺部分に電気音響変換用の電極を形成しても、正確な流量の計測には寄与しにくく、この部分の電極を圧電体82の特性を検出するために用いても、流量の計測に大きな影響を与えることはない。
【0112】
図14は、本実施形態の超音波流量計104の構造を示すブロック図である。超音波流量計104は、第1の超音波振動子68および第2の超音波振動子69を備え、第1の超音波振動子68および第2の超音波振動子69には図12および図13に示す超音波振動子66が用いられる。第1の超音波振動子68および第2の超音波振動子69の第1の電極26aはそれぞれ切り替え部10に接続される。また、第2の電極26bはそれぞれ素子切り替え部63に接続される。超音波流量計104の他の部分は第3の実施形態の超音波流量計103と同じように構成されている。
【0113】
超音波流量計104において、第1の超音波振動子68および第2の超音波振動子69の圧電素子67は、超音波を送受信するための電気音響変換素子部67aと湿度センサ部67bとを含む。これらは独立して動作させることが可能であり、図9に示す超音波振動子57と同様、流量の計測を行いながら超音波振動子の特性を監視することができる。
【0114】
具体的には、第1の超音波振動子68および第2の超音波振動子69の圧電素子67の電気音響変換素子部67aを用いて流量の計測を行う。この手順は第1の実施形態で説明した流量計測モードにおける手順と同じである。
【0115】
一方、電気音響変換素子部67aを用いて流量を計測しているかどうかにかかわらず所定の時間間隔で素子切り替え部63により選択した超音波振動子の湿度センサ部67bを用いて、ケース85内の湿度を測定する。測定部22'は、湿度センサ部67bの抵抗値あるいは容量値を測定し、その値を異常判定部23へ出力する。異常判定部23は計測した値を温度推定部14から受け取る推定温度を用いて基準温度における抵抗値または容量値に変換する。測定した値が湿度センサ58の初期値から所定のレベル以上異なっている場合には、異常判定部23は、第1の超音波振動子1または第2の超音波振動子2が異常であることを示す信号を出力する。
【0116】
このように本実施形態によれば、圧電素子の一部を超音波の送受信をするための電気音響変換素子として用い、一部を湿度センサとして用いるため、超音波振動子の外形を小さくすることができる。しかも、これら2つの素子を同時に動作させること可能であるため、流量の計測を行いながら、圧電素子の特性の監視も同時に行うことができる。
【0117】
なお、本実施形態の超音波振動子69において、圧電体82には溝を設けていないが、図1(b)に示すような溝を圧電体82に設けてもよい。また、本実施形態では電気音響変換素子部67aおよび湿度センサ部67bに配線を接続し、ケースの外部へ引き出していたが、図1(b)に示す構造を採用してもよい。
【0118】
(第5の実施形態)
以下、本発明の超音波流量計を備えたガスメータを説明する。
【0119】
図15は、配管70内を流れるガスの流量を計測するためのガスメータ106のブロック図を示している。配管70内を流れるガスは、天然ガスやプロパンガスなど一般家庭で用いられるもののほか、水素や酸素等、その他の気体であってもよい。
【0120】
ガスメータ106は、配管70内を流れるガスの流量を計測するための超音波流量計71と、緊急時に配管70を流れるガスを遮断する遮断弁72と、超音波流量計71および遮断弁72を制御するマイコン73と、超音波流量計106を用いて計測した流量や流量の積算値およびその他の情報を表示する表示部74とを備える。超音波流量計71には、第1から第4の実施形態の超音波流量計を用いることができる。マイコン73は超音波流量計71のマイコン(図2等のマイコン30)を用いてもよい。図に示すように、ガスメータ106は、ガス会社などへ計測した流量に関するデータを送信したり、ガス会社からガスメータ106を制御するための通信部75を備えていてもよい。
【0121】
マイコン73は超音波流量計71によって計測される流量に関するデータを表示部74に表示するとともに、計測する流量に異常がないかを監視する。例えば、突然、大流量のガスが流れ始めた場合には、ガス漏れが生じていると判断して、遮断弁72を動作させ、ガスの供給を停止する。
【0122】
また、第1から第4の実施形態において説明したように、超音波流量計71は所定の時間間隔で超音波振動子の特性に変化が生じていないか監視を行う。所定の時間間隔ではなく、地震などがあった場合にガス会社などから通信部75を通じて制御信号を受け取り、制御信号に基づいて超音波振動子の特性の測定を行ってもよい。第1から第4の実施形態において説明した手順で超音波振動子の抵抗値または容量値を測定し、異常判定部23が2つの超音波振動子のうちのいずれかが異常であることを示す信号を出力した場合、マイコン73は異常判定部23の信号に基づいて、遮断弁72を動作させ、ガスの供給を停止する。
【0123】
ガスメータ106によれば、第1および第2の超音波振動子の圧電素子は不活性ガスを封入したケースに収納されている。このため、外気の湿度が変化しても、第1および第2の超音波振動子1、2の特性は一定に保たれ、誤差の少ない流量計測が可能となる。また、外気に圧電体82や電極91などを腐食や変質させるガスが含まれていても、圧電素子の特性が変動することないので、そのような環境下であっても、ガスメータ106は、長い期間にわたって、精度の高い測定を行うことがきる。つまり、ガスメータ106は信頼性に優れる。
【0124】
一方、地震などにより、想定外の衝撃あるいは環境変化が生じ、第1の超音波振動子または第2の超音波振動子のケースが損傷した場合、外気がケース内に流入し、圧電素子の周囲の湿度が変化するため、圧電体の誘電率が変化する。このため、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の抵抗値または容量値を定期的に監視し、これらを検知することにより、第1の超音波振動子1および第2の超音波振動子2の特性が変化し、計測誤差が生じていることを知ることができる。
【0125】
なお、上記第1から第5の実施形態において説明した超音波振動子は、超音波流量計以外の距離計、スピードメータなどの計測機器等にも好適に用いることができる。これらの計測機器に本発明の超音波振動子を用いることによって、外気の変化に対して計測誤差が生じにくく、想定外の衝撃あるいは環境変化により、超音波振動子の特性が変化した場合には、その異常を知ることができる計測機器が実現する。
【0126】
また、上記第1から第5の実施形態では圧電素子の誘電率の変化を検知するために計測する特性として、抵抗値および容量値を示した。しかし、抵抗値および容量値以外に、電流値や電圧値などを計測し、その変化に基づいて、超音波振動子のケースが破損して外気が流入したと判断してもよい。
【0127】
また、上記第1から第5の実施形態では第1の超音波振動子および第2の超音波振動子を用いて双方向に超音波を伝播させ、その伝播時間差により、流体の流速および流量を求めていた。しかし、式(1)から明らかなように、流体中の超音波の音速Cがわかっている場合には、第1の超音波振動子から第2の超音波振動子への伝播時間t1または第2の超音波振動子から第1の超音波振動子への伝播時間t2を計測することにより、流体の流速Vを求めることができる。つまり、第1から第5の実施形態において、第1の超音波振動子および第2の超音波振動子間の一方向の超音波の伝播時間を計測することにより、流体の流速および流量を求めもよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明によれば、外気等の影響を受けにくいが、ケースの損傷が生じるような想定外の環境変化に対しては、敏感にその変化を検知することが可能な超音波振動子が得られる。この超音波振動子をもちいることにより、精度の高い測定を維持することが可能であり、かつ、検出誤差が生じうるような異常を検知することのできる超音波流量計が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】(a)および(b)は本発明による超音波流量計の第1の実施形態で用いる超音波振動子の構造を示す斜視図および断面図である。
【図2】本発明による超音波流量計の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図3】図2に示す測定部の具体的な構成を示すブロック図である。
【図4】シングアラウンド法による計測を説明する図である。
【図5】圧電素子のその周囲の相対湿度に対するインピーダンス変化を示すグラフである。
【図6】超音波流量計の圧電素子の電極構造の別な例を示す図である。
【図7】本発明による超音波流量計の第2の実施形態で用いる超音波振動子の構造を示す断面図である。
【図8】本発明による超音波流量計の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図9】本発明による超音波流量計の第3の実施形態で用いる超音波振動子の構造を示す断面図である。
【図10】本発明による超音波流量計の第3の実施形態を示すブロック図である。
【図11】圧電素子のその周囲の相対湿度に対する静電容量変化を示すグラフである。
【図12】本発明による超音波流量計の第4の実施形態で用いる超音波振動子の構造を示す断面図である。
【図13】本発明による超音波流量計の第4の実施形態で用いる超音波振動子の主要部を示す斜視図である。
【図14】本発明による超音波流量計の第4の実施形態を示すブロック図である。
【図15】本発明のガスメータの構成を示すブロック図である。
【図16】従来の超音波流量計を示すブロック図である。
【図17】受信信号のゼロクロスポイントを説明するグラフである。
【符号の説明】
【0130】
1 第1の超音波振動子
2 第2の超音波振動子
3 送信部
4 遅延部
5 レベル検知部
6 受信部
7 ゼロクロス検知部
8 繰り返し部
9 計時部
10 送受信切り替え部
11 流量算出部
13 ピークホールド部
14 温度推定部
20 第1のモード切り替え部
21 第2のモード切り替え部
22 測定部
23 異常判定部
82 圧電体
85 ケース
86 整合層
101、102、103、104、105 超音波流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波の伝播時間に基づき、流体が流路を流れる流量を計測する超音波流量計であって、
圧電素子および前記圧電素子を密封状態で収納するケースを有し、超音波を送受信することによって流体の流路中に超音波が伝播する経路を形成するように配置される第1および第2の超音波振動子と、
前記圧電素子の電気的特性値を計測する測定部と、
前記電気的特性値に基づき、前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定する異常判定部と、
前記第1および第2の超音波振動子間で超音波を送受信し、前記経路間を伝播する超音波の伝播時間を検知することにより流体の流量を計測する流量計測モードと、前記測定部に前記電気的特性値を測定させ、前記異常判定部に前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定させる監視モードとを切り替える制御部と
を備える超音波流量計。
【請求項2】
所定の大きさ以上の揺れを検知する感震機をさらに備え、
前記感震機が所定の大きさ以上の揺れを検知した場合に、前記制御部は、前記測定部に前記電気的特性値を測定させ、前記異常判定部に前記第1および第2の超音波振動子の異常を判定させる監視モードに切り替える請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記超音波流量計は、前記流路を流れるガスを遮断する遮断弁をさらに備え、
前記遮断弁がガスを遮断した場合、前記制御部が前記監視モードに切り替える請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記電気的特性値は、抵抗値または容量値である請求項1から3のいずれかに記載の超音波流量計。
【請求項5】
圧電素子および前記圧電素子を密封状態で収納するケースを有し、流体の流路中に超音波が伝播する経路を形成するよう配置された第1および第2の超音波振動子を備え、前記第1および第2の超音波振動子間で超音波を送受信し、前記経路間を伝播する超音波の伝播時間を検知することにより流体の流量を計測する超音波流量計の制御方法であって、
前記第1および第2の超音波振動子間で超音波を送受信し、前記経路間を伝播する超音波の伝播時間を検知することにより流体の流量を計測する流量計測モードと、
前記圧電素子の電気的特性値の情報を取得する取得し、前記情報に基づき、前記第1および第2の超音波振動子が異常であるかどうかを判断する監視モードと
を切り換えて前記超音波流量計を制御する超音波流量計の制御方法。
【請求項6】
所定の大きさ以上の揺れを検知する感震ステップをさらに包含し、
前記感震ステップで所定の大きさ以上の揺れを検知した場合に、前記監視モードに切り替えて前記超音波流量計を制御する請求項5に記載の超音波流量計の制御方法。
【請求項7】
前記超音波流量計は、前記流路を流れるガスを遮断する遮断弁をさらに備え、
前記遮断弁がガスを遮断した場合、前記監視モードを実行する請求項5に記載の超音波流量計の制御方法。
【請求項8】
前記電気的特性値は、前記第1および第2の超音波振動子の圧電素子の抵抗値または容量値である請求項5から7のいずれかに記載の超音波流量計の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−298802(P2008−298802A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−236854(P2008−236854)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【分割の表示】特願2003−142377(P2003−142377)の分割
【原出願日】平成15年5月20日(2003.5.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】