超音波振動検知センサによる生体情報の検出装置及び生体情報を用いた室内環境制御方法並びに室内環境制御装置
【課題】 超音波振動検知センサを用いて人の睡眠時や安静時の心拍や脈拍等の生体情報を高精度で検知し、これを遠隔地へ迅速且つ確実に無線又は有線方式により伝送できると共に、検出した生体情報を用いて環境調整装置等を遠隔制御できるようにする。
【解決手段】 超音波振動検知センサと、超音波振動検知センサで検出した振動データを送信路を形成するLAN及びPHS回線を介して通信するPHSモジュール又はPHSモデム及びデータ通信基地局と、受信した超音波振動検知センサからのデータを処理して心拍数等の生体情報を演算するコンピュータとからシステムを構成する。
【解決手段】 超音波振動検知センサと、超音波振動検知センサで検出した振動データを送信路を形成するLAN及びPHS回線を介して通信するPHSモジュール又はPHSモデム及びデータ通信基地局と、受信した超音波振動検知センサからのデータを処理して心拍数等の生体情報を演算するコンピュータとからシステムを構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の脈拍数や心拍数等の生体情報を、ベッドに取り付けした超音波振動検知センサを用いて人に知覚されることなしに検出すると共に、検出した生体情報を用いて室内温度等の環境条件を、睡眠等に最適な環境に自動的に制御できるようにした超音波振動検知センサによる生体情報の検出装置と、生体情報を用いた室内環境制御方法及び環境制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、病院や高齢者施設等においては、患者の夜間における動静や脈拍数、心拍数等の生体情報を管理室等で集中的に検知並びに管理することにより、看護効率を高めたり、或いは看護の質を高めることが強く要望されている。
また、各病室等の夜間の睡眠環境等を患者の身体状態に応じた最適条件下に細かく調整・保持することにより、健康の回復及び増進をより一層促進させることが要望されている。
【0003】
即ち、従前の病室等の睡眠環境は、一般に室温を検出して空調設備の運転制御を行い、室温や湿度を設定値に保持する方法が採られている。
しかし、人に最適な睡眠環境は患者毎に千差万別であり、予めプログラムされたスケジュールに従って空調設備の運転制御を行う方法では、所謂個室の病室であっても、最適な睡眠環境を確保することが困難である。何故なら、最適な睡眠環境は患者一人一人の生体条件によって時々刻々変化するものであり、単に温度や湿度に基づいて空調設備の運転制御を行うだけでは、生体条件の変化に対応することが出来ないからである。
【0004】
而して、高度な睡眠に最適な環境を得るためには、人の体温や心拍数等の生体情報を検出し、検出した生体情報に基づいて空調設備等の運転制御を行うのが最良の方策である。何故なら、脈拍数や心拍数等の生体情報と温度や湿度等の睡眠環境との間には密接な関係が存在し、睡眠環境が悪化すると、心拍数等の生体情報に大きな変化が生ずることが判明しているからである。従って、心拍数等の生体情報に基づいて室内温度や温度の制御を行うのが、最も確実な最適睡眠環境の達成方法となる。
【0005】
しかし、人の生態情報、例えば体温や心拍数等を検出するために、常時体温検出センサや心拍計を身体に装着することは、人に拘束感や圧迫感を与えることになり、外面的に最適な睡眠環境を得ることができても、心理的若しくは内面的には、睡眠環境が逆に大きく悪化若しくは阻害されると云う結果になる。
【0006】
一方、本願発明者等は、先にベッド上における患者の状態を遠隔地において制御するため、超音波振動検知センサを用いた人の状態判別装置を開発し、これを特開2004−216006号として公開している。
即ち、当該装置は、図22に示す如く、ベッドAの適宜箇所に超音波振動感知センサのセンサ本体Bを取り付け、ベッドA上における患者Cの動作や呼吸、心拍数等に起因する微小振動を超音波振動感知センサのセンサ本体Bにより検出し、当該検出した振動信号を送受信制御装置Vにおいて解析することにより、患者Cの状態、例えば睡眠中であるとか安静中、何かの動作中、死亡等を判別して遠隔の管理室へ伝達するようにしたものである。
【0007】
尚、図22において、V1は超音波送受信部、V2はA/D変換部、V3はマイクロコンピュータである。
【0008】
また、図23は超音波感知センサのセンサ本体Bの基本構成を示すものであり、B1は容器本体、B2は水、B3は超音波振動子、B4はケーブル、aは送信信号、bは受信信号、B5は水液面、cは送信超音波、dは受信超音波、ap′、ap、b′、bpは送受信制御装置V内の各種処理信号である。
【0009】
前記特開2004−216006号に係る装置では、人(患者)CのベッドA上における動態(即ち、安静中、動作中、睡眠中或いは死亡)を比較的正確に判別することができると共に、その結果を遠隔地へ有線又は無線方式により正確に伝達することができ、優れた実用的効用を奏するものである。
【0010】
しかし、上記特開2004−216006号の装置では、人(患者)Cの睡眠中や安静中に於けるより詳しい動態、例えば心拍数や脈拍数等を正確に検知することが困難であり、現実にも特開2004−216006号に於いては、患者の生・死やベッドにおける患者の在・不在を判別するのが、限度となっている。
【0011】
このように、従前のこの種の人の生体判別装置には、睡眠中の人の心拍数等のような詳細な生体情報を検出することが不可能なうえ、検出した生体情報に基づいて室内温度や湿度等を個々の患者等の睡眠に最適な値に制御することが出来ないと云う問題が存在する。
【0012】
【特許文献1】特開2004−216006
【特許文献2】特開2003−315030
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従前の超音波振動感知センサを用いた人の状態判別装置における上述の如き問題、即ち、人が睡眠中か安静中か、或いは人の生・死等の判別は可能であるものの、人の心拍数等のような詳細な生体データの検知が困難なこと、及び人に不快感や不安感を与えることなしに心拍数等を検出する事が困難なこと、並びに検出した心拍数等を睡眠環境の制御基準として環境制御装置等を制御することがされていないと云う問題を解決せんとするものであり、構造が簡単で安価な超音波振動感知センサを用いて、人に不快感や違和感を全く与えることなしに、人の睡眠中の心拍数等を間接的に連続して高精度で検出すると共に、当該検出した生体情報を用いて人の睡眠環境をより最適な睡眠環境に制御することを可能にした超音波振動検知センサによる生体情報の検出装置と、生体情報を用いた室内環境制御方法及び室内環境制御装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記発明の課題を解決するため、本願請求項1の発明は、ベッド11に取付けしたセンサ本体5eと超音波送受信器9及び制御用マイコ10から成る制御部5fとを具備し、前記制御部5fにおいて一定時間間隔t1毎のサンプリングにより振動データXoを得ると共に、当該振動データXOから前記時間t1より長い時間t2毎のサンプリングにより得た振動データX1の上部包路線U及び下部包路線Dを演算して両者の振幅差Pwを出力する超音波振動検知センサ5と,前記超音波振動検知センサ5からの演算された振幅差PWを出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム4と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム4と通信をするデータ通信基地局2と,前記データ通信基地局2にLAN3を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム4を介して入力された前記時間t2毎の振幅差PWを直線近似により時間t1毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータRからFn=AO+A1+A2+An-1/n但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データTに0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータTdから10秒間における各ピーク点P間の時間の平均時間Mを算出し、当該平均時間Mから心拍数XaをXa=60/M(回/min)として演算するコンピュータ1と,から構成したことを発明の基本構成とするものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1の生体情報の検出装置を用いてベッド11上で就寝中の人間の心拍数若しくは脈拍数を検出すると共に、当該心拍数若しくは脈拍数の検出値が80回/分以上になれば生体情報検出装置のコンピュータ1から環境制御装置7へ制御信号を発信し、当該制御信号により環境制御装置7を介して室内の環境条件を調整することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、ベッド11に取付けしたセンサ本体5eと超音波送受信器9及び制御用マイコ10から成る制御部5fとを具備し、前記制御部5fにおいて一定時間間隔t1毎のサンプリングにより振動データXoを得ると共に、当該振動データXOから前記時間t1より長い時間t2毎の前記振動データX1の上部包路線U及び下部包路線Dを演算して両者の振幅差Pwを出力する超音波振動検知センサ5と,前記超音波振動検知センサ5からの演算された振幅差PWを出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム4と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム4と通信をするデータ通信基地局2と,前記データ通信基地局2にLAN3を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム4を介して入力された前記時間t2毎の振幅差PWを直線近似により時間t1毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータRからFn=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データTに0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータTdから10秒間における各ピーク点P間の時間の平均時間Mを算出し、当該平均時間Mから心拍数XaをXa=60/M(回/min)として演算し、演算した前記心拍数Xaが80回/minを越えると環境制御信号Eを発信するコンピュータ1と、前記LAN3を介してコンピュータ1に接続され、環境制御信号Eにより環境装置の運転を調整する環境制御装置7とから構成したことを発明の基本構成とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本願発明では、ベッド11に取付けしたセンサ本体5eにより検知したベッド上の被験者の生体活動に基づく振動を時間t1毎にサンプリングし、このサンプリングした振動データXOを時間t2毎のサンプリングデータX1に変換すると共に、その上限包括線Uと下限包括線Dを求めて両者間の振幅差PWを出力する振動検知センサ5を用い、当該振動検知センサ5から前記検知した振幅差PWをコンピュータ1へ送信し、コンピュータ1において、前記振幅差PWを時間t1毎の振動データRにリサンプリングし、これにnポイント数毎の移動平均を行って平滑化した振幅データTを得ると共に、所定周波数のバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施してデータTdを求め、当該データTdからデータピーク間の平均時間Mを算出して、当該算出した平均時間Mに基づいて被験者の心拍数(又は脈拍数)を検出するようにしている。
【0018】
その結果、心電計や脈拍計による検出値にほぼ近い値の心拍数等を、前記振動データXOのデータ処理によって得ることができると共に、PHS及びLANシステムとの組み合せにより各種データの受・発信を正確且つ確実に行うことができる。
【0019】
また、得られた心拍数を基準にして、被験者の室内環境を睡眠に最適な環境条件に調整することが可能となり、被験者に心理的な圧迫感を全く与えることなしに、検知した心拍数等に基づく新規な環境調整システムを構成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明で使用する生体情報検出システム及び生体情報を用いた室内環境制御システムの全体構成図である。また、図2は超音波振動検知センサ5のセンサ本体5eの斜面図であり、図3は受信波形の一例を示すものである。更に、図4はセンサ本体5eで検出したデータの処理方法の一部を示す説明図であり、図5は超音波振動検知センサの制御回路構成図である。
【0021】
図1を参照して、本発明に係る生体情報検出システム及び生体情報を用いた室内環境制御システムは、後述する各種の演算処理やデータ処理を行うパソコン1と、No1データ通信基地局(生体情報検出関係)2A及びNo2データ通信基地局(汎用PLC(シーケンサ)(室内環境調整関係))2Bと、前記パソコン1とデータ通信基地局2A、2Bとを連絡するLAN3と、PHSモジュール4A及び又はPHSモデム4Bと、超音波振動検知センサ5A、5Bと、PHS回線6Aと、制御回線6Bと、熱源、照明、空調、温度等の環境制御装置7、ケーブル8等から構成されている。
【0022】
尚、PHSモジュール4Aと超音波検知センサ5Aとは、両者を所謂一体的に組付けした状態に形成されており、またPHSモデム4Bと超音波検知センサ5Bとは別体として形成され、両者間をケーブル8により連結するようにしている。
また、図1では、3基の超音波検知センサ5の使用及び3基の環境制御装置7の制御を行うようにしているが、検知対象数に応じて、検知センサ数等が増加されることは勿論である。
更に、システムそのものの各構成部材は、パソコン1における超音波検知センサからの振動検出信号の処理方式を除いて何れも公知であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0023】
図2を参照して、超音波振動感知センサ5は、センサ本体5eと制御部5fとから構成されている。また、センサ本体5eは、本体容器5aと、その底部に配置された超音波振動子5bと、本体容器5aの中に液面5cを形成するように密封された水等の液体5dとから構成されている。液面5cの上側は空間部になっている。更に、前記制御部5fは超音波送受信器9と制御用マイコン10とから形成されている。
超音波は、超音波送受信器9により超音波振動子5dを駆動(中心周波数:2MHz)することにより発生され、水槽底面から水槽本体5a内に送信され、水面5cで反射した後、再び超音波振動子5bで受信される。図3は受信波形の一例を示すものであり、同図において、Sで示す波形は水面からの反射波であり、本発明ではその最大値を解析の対象とするものである。
【0024】
前記反射波Sの最大振幅値は、公知のように同じ振動強さでも水面5cと振動子5bとの交又角によって変化し、交又角が大きくなるほど反射超音波Sの減衰が大となり、最大振幅値が低下する。また、水面5cが振動によって波打ち状態になると、受信波形Sの最大振幅値も大きく変動する。
換言すれば、当該超音波振動検知センサ5で取得するデータは、受信波形の最大振幅値の時間的変化であり、センサ5による受信波形の取得は、2ms〜100ms間隔で行うことが可能である。また、所定の時間間隔例えば0.1sec毎に取得された受信波形の最大振幅値は、振動感知の時系列データS1としてプロットされ(図4(a))、その後引き続き各プロットデータS1を正規化することにより、解析データS2(図4(b))が得られる。
【0025】
図5は、本発明に係る超音波振動検知センサ5の制御系統のブロック構成図であり、超音波振動検知センサ5に付属する制御部5fのマイコン10から超音波送受信器9の送信回路9aへ、送信のタイミングで送信パルスaoを発生する。また、送信パルスaoの発生の後で、受信許可パルスboを発生する。
これは、受信回路9bが送信パルスaoで飽和することなく、受信信号bを受信出来るようにするためである。
次に、受信信号bの強度信号eをアナログ/デジタル変換してマイコン10の内部に取り込むが、このとき、基準設定動作で受信信号bを規定値に合わせる動作を行う。具体的には、受信強度eを基準と比較して、その差で自動利得調整をして利得を変化させ、出力を基準に合わせる。尚、このための受信利得制御信号fは、マイコンのD/A出力を利用して利得設定電圧として出力される。その結果微小な変化も確実に検出することが可能になる。
【0026】
制御用マイコン10のA/Dのポートを通して取り込んだ信号強度eは、予め決めたアルゴリズムに沿って制御用マイコン10内で処理される。
この処理は、振動センサ5からの振動データを20msごとに収集し、収集した2つのデータの平均を基に、下記の何れかのデータを求め、これを通信出力する。
1.振幅(AD)値(周期:20ms)
2.最大−最小の差PW値(以降P−P平均)と平均値(周期:100ms〜2s指定(*20ms底とした量子的))。
また、処理の結果は、各種の信号としてPHSモジュールにより外部へ出力されて行く。
【実施例1】
【0027】
超音波振動検知センサ5として日本医療機器(株)製のANC−01型を2台(5B)及び日本医療機器(株)製のANC−01型にPHSモジュール(PS)を一体化した新製品(5A)1台を使用し、また、データ通信基地局2と各PHSモデム相互間6AをTCP/IP接続とし、更に、パソコン1とデータ通信基地局2間を10BASE−TにてLAN接続とした図1のシステムを構成し、パソコン1に於ける受信データのチェックを行った。
【0028】
超音波振動検知センサ5のポーレート設定が38400bpsであって、1データが5bytesであることから、サンプリングデータ間隔は2msより短くすることができない。そのため、データ間隔2msで3台同時接続の最速条件下で、パソコン1に測定用のプログラムを作成してインストールし、超音波振動検知センサ5からの受信データの入手欠落の有無を調査した。表1〜表5は調査結果を示すものであり、この条件下で受信データの欠落を生ずることなく、図1のシステムを作動させ得ることが確認できた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
尚、前記表1乃至表5のデータ受信数から算出した装置1(PHSモジュール4Aと超音波振動検知センサ5Aとの一体型)のデータ受信数の誤差率の最大値は+0.072%であり、十分に実用に耐えるものであることが判明した。
【0035】
また、パソコン1側からの接続を行う場合、パソコン1上のアプリケーションをクライアントモードで動かし、接続要求を出す。この場合、要求の出されたIPアドレスに対応するPHSモデム4をデータ通信基地局2が認識していれば、データ通信基地局2はConnectを返す。この時点でアプリケーションは接続が完了したと認識する。
パソコン1側からは見えないが、実際にはその後、データ通信基地局2が対象になるPHSモデム4に内線電話をかけ、回線がつながった後に通信が始まる。このため、アプリケーションが接続完了と認識してから実際の通信が始まるまで、数秒の誤差がある。今回のテストの結果、その誤差はおよそ5秒、遅くても10秒に収まることが判明した。
今回の測定用プログラムでは、Connectを認識した後MODコマンドを発行、そのレスポンスを受信して、実際の接続の完了とした。図6は本発明に係るシステム作動用のPHS通信システムの制御フローを示すものである。
【0036】
尚、図6の制御フローには、データ通信基地局2B及び環境制御装置7等の作動について記載されていないが、後述するように被験者(患者)の心拍数等が設定値以上になれば、パソコン1から空調設備の制御信号Eが送出され、各環境制御装置7の作動状況が調整される。
【実施例2】
【0037】
図7は、超音波振動検知センサ5をベッド11に取り付け、当該検知センサ5によってベッド11上に就寝中の被験者(人12)の生体活動によって生じた振動を検出し、得られたベッド11の検知振動データから人の発する脈波(脈拍)を検出する状態を示すものであり、心拍計との相関関係を主として調査したものである。
【0038】
図7において、5は超音波検知センサであり、ベッド11の床面裏側に固定されている。また、9は超音波送受信器、10は制御用マイコン10であり、両部材9、10で超音波振動検知センサ5の制御部5fが形成されている。更に13は心拍計、14は脈波計、15は心拍計のAD変換器、16は心拍計の電極、17は脈波検出用マイク、18はケーブルである。
尚、本実施例2においては、超音波検知センサ5の制御用マイコン10からの信号をPHSモジュール4を通してパソコン1へ伝達するのではなしに、ケーブル18を介して直接パソコン1へ伝達するようにしているが、ケーブル18に替えてLAN3及びPHS回路6を用いてパソコン1と超音波振動検知センサ5間の通信が可能なことは勿論である。
また、心拍計13には心電計(日本光電(株)、ECG−9552)を、脈波計14にはCCI(株)のバックス・ディテクターを、超音波検出センサ5には日本医療機器(株)のANC−01型センサを夫々使用しており、心電計は単極肢誘導の第2誘導方式により右手と左足の電位差を検出している。
【0039】
被験者には、35才の男子(163cm、57kg)であり、安静時に200sec間の測定を行い、各検出器5、13、14からのデータを直接パソコン1に収集した。尚、超音波振動検知センサ5においては、サンプリング間隔を20msとしている。
【0040】
試験の結果、安静時には心拍等の脈波の検出が可能であるが、被験者12が会話等の体動状態にあるときには、脈波の検出が不可能であることが判明した。
【0041】
尚、図8は、被験者12の安静時における超音波振動検知センサ5の検出波形(a)、心電計13の検出波形(b)、脈波計14の検出波形(c)を夫々示すものである。
【0042】
次に、本発明における超音波振動検知センサ5による検出データからの心拍数の演算について説明する。
先ず、本発明においては、前述の通り超音波振動検知センサ5からt1=20ms間隔のサンプリングにより振動データXOが得られる(図9参照)。
【0043】
次に、上記20ms間隔のサンプリング原データXOから、制御用マイコン10において、t2=0.1s間隔のサンプリング振動データX1の上限包括線Uと下限包括線Dが演算され(図10)、その後上限包括線Uと下限包括線Dとの差分PW値(P−P平均)が演算され、0.1s間隔のP−P値がPHSモジュール4を介してパソコン1へ伝達される(図11)。
【0044】
一方、前記パソコン1に於いては、上記PHSモジュール4を介して入力された0.1s間隔のデータPW(P−P値)を用いて、0.1s毎のデータPW(P−P値)の間を直線近似によって20ms毎の振動データにリサンプリングする処理が行われ、図12に示す如きリサンプリングデータRが求められる。
【0045】
また、コンピュータ1では、上記図12に示した20ms毎のリサンプリングデータRから、下記の(1)式を用いて15ポイント毎の移動平均を実施することにより、リサンプリングデータRの平滑化が行われる。
F(n)=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値) ・・・・(1)
尚、図13は、15ポイント毎の移動平均により平滑化を行った結果であるデータTを示すものである。
【0046】
次に、移動平均により平滑化した振幅データ(T)に、周波数0.5Hz〜1.8Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施する。
図14は、図13の移動平均により平滑化した振幅データTに積和演算によるデジタルフィルタを実施したデータTdを示すものである。
尚、図15は、前記ディジタルフイルタの実施に使用したバンドパスフイルタの減衰特性を示すものであり、実質的には0〜10Hzの周波数を含有するものである。また、演算処理に於けるディジタルフイルタは、バンドパスフイルタの指定された周波数特性からフイルタの係数列を計算しておき、入力された信号に対して積和演算を行なうことで、実施したものである。
【0047】
最後に、前記デジタルフィルタを実施したデータTdから、10秒間における各ピーク点P間の時間の平均時間Mを算出し、心拍数Xaを60/Mとして演算する。
図16は、ピーク点Pの抽出状態を示す線図である。
【0048】
尚、本実施例においては、同じ被験者12について、超音波振動検知センサ5のセンサ本体5eの取付角度を3種類に変えて、夫々心拍数の算出を行った。即ち、安静時における20msサンプリングの原波形のPW(P−P値)(平均)が350、600、800とした場合(センサ本体5eの取付角度が0°(液面水平)の時のP−P値平均が最大となり、取付角度が大きくなると(液面の傾斜角大)PW(P−P値)が低下する)の夫々について、上記各演算処理により超音波振動検知センサ5の検知信号から演算した心拍数Xaと、心拍計(心電計B)からの検出値Yaとの対比を行った。
【0049】
その結果、図17及び図18に示す如く、超音波振動検知センサ5のセンサ本体5eの液面5cに少しの傾斜を持たせ、被験者12の安静時における原波形XOのPW値(P−P平均)が600レベルの時の心拍演算値Xa2が、心拍計13による検出値Yaに最も近くなり、誤差の少ない心拍測定が可能なことが判明した。
尚、図17及び図18においてXは超音波振動検知センサの原波形、Yは心拍計の原波形、Xaは超音波振動検知センサによる心拍数、Yaは心拍計による心拍数、Xa3はPW(P−P平均値)レベル350の時の検出心拍数、Xa2はPW(P−P平均レベル)600の時の検出心拍数、Xa1はPW(P−P平均値)レベル800の時の検出心拍数である。
【0050】
図17及び図18からも明らかなように、心電計から求めた心拍数と、超音波振動検知センサのデータから求めた心拍数の差において、角度を表すPP平均レベルごとの平均誤差は、PP平均レベル350は3.6回/分、PP平均レベル600は1.4回/分、PP平均レベル800は3.6回/分であった。
このように、一時的に10回/分以上の差が発生しているが、全体を通じてほぼ心電計と同期した結果が得られていることが判るだけでなく、超音波振動検知センサの取り付けは、液面5cに小さな傾斜角を持たせ、安静時の検出振動原波形XOのPW値(P−P平均)が600程度となるように取り付けするのが、最良であることが判明した。
【実施例3】
【0051】
図19は、本発明の第3実施例を示すものであり、ベッド11上の被験者12の脈拍の検知状態を示す説明図である。
図19に於いて、使用する超音波振動検知センサ5(センサ本体5eや制御部5fを形成する超音波送受信器9及び制御用マイコン10)は、前記図7の場合と同一であり、使用する心電計13のみが日本電気(株)製のBiomulti1000型に変更されている。また、電極16は胸部に取付けされており、無線により送信器13bから心電計13の本体13aへデータが転送される型式となっている。
【0052】
本第3実施例では、就寝中の2人の被験者12について、夫々超音波振動検知センサ5と心電計13とにより8時間連続して脈拍を検出し、検知センサ5と心電計13の検出値の対比を行った。
尚、超音波振動検知センサ5による検知振動データからの心拍数の演算は、前記実施例2の場合と同一の方法により行っている。
【0053】
試験の結果、22時から6時まで、8時間に亘って熟睡の出来た一方の被験者については、超音波振動検知センサ5の振動データXOから演算した心拍数(脈数)Xaと、心電計13による脈拍数Yaの検出値とが22時〜6時の間連続してほぼ一致することが判明した。
【0054】
これに対して、室温が高いために22時から6時までの8時間の間連続して熟睡することが出来ず、途中で目を醒ました他方の被験者の場合には、超音波振動検知センサ5による検出した振動データXOのPW値(P−P平均)の振幅が大きくなり、これによって原振動データXOから算出した脈拍Xaと心電計から得られた脈拍Yaとの差が大きくなることが判明した。
【0055】
図20の(a)及び(b)は、後者の被験者(暑さのために熟睡できなかった被験者)のAM1時及び2時における脈拍の時間推移を示すものであり、就寝時に室温が上昇して被験者が所謂寝苦しい状態になると、超音波振動検知センサ5による検出拍数Xaが約70〜80回/min以上の範囲に上昇すると共に、現実の心電計による拍数Yaも約90〜100回/min以上になることが判明した。
【0056】
即ち、超音波振動検知センサ5により検出したベッド11上の被験者12の脈拍数Xaが約70〜80回/min以上になれば、室温の上昇によって被験者12が寝苦しい状態に陥っていると云うことができ、当該脈拍数(若しくは心拍数)Xaを基準として室内用の環境制御装置7を作動させるための制御信号EをPHSモジュールその他を介して発信し、必要とする環境制御装置7の作動状態が制御される。
【実施例4】
【0057】
前記図20からも判るように、脈拍数が約90回/min以上になると、超音波振動検知センサ5による脈拍検出値Xaと心電計13による脈拍検出値Yaとの差が大きくなる。そのため、脈拍検出値Xaの演算によってこれを修正すべく、前記「移動平均15及び周波数0.5Hz〜1.8Hzのバンドパスフィルタ」の条件を、「移動平均11及び周波数0.9Hz〜2.0Hzのバンドパスフィルタ」に変更した。
【0058】
上記新たな解析条件に基づいて算出した超音波振動検知センサ5による脈拍Xaと心電計13による脈拍Yaとの1時間の平均差異は、表6の通りとなり、バンドパスフィルタの周波数を高くすると共に抽出条件を変更することで、高い脈拍領域に於ける両検出値Xa、Yaの一致度を改善することができ、前記室温等の環境条件の制御をより高精度で行うことが可能となることが判明した。
【0059】
【表6】
【実施例5】
【0060】
前記実施例3の2人の被験者12について、昼間の覚醒時における超音波振動検知センサ5と心電計13とによる5分毎の脈拍の平均差と、ベッド上での動作の大きさを示すPP値標準偏差との関係を調査した。その結果、PP値標準偏差が大きいほど、前記超音波振動検知センサ5と心電計13とによる5分毎の脈拍の平均差が大きくなることが、判った。これは、被験者の少しの動きによる体動や呼吸による横隔膜の動き等の生理的な動きの影響で、心臓のみによる振動が阻害されるためであると考えられる。
【0061】
そこで、ベッド上における被験者の動作等による影響、即ちPP値標準偏差の大きさによる影響を考慮して、PP値標準偏差を50以下に限定した場合に於ける前記超音波振動検知センサ5と心電計13とによる5分毎の脈拍の平均差を調査した。
図21はその結果を示すものであり、PP値標準偏差を50以下に限定した場合には、両者の脈拍の検出値に高い一致性の得られることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、病院及び老人介護施設等の人の睡眠設備を備えた施設全般に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明で使用する生体情報検出システム及び生体情報を用いた室内環境制御システムの全体構成図である。
【図2】超音波振動検知センサの本体部の斜面図である。
【図3】超音波振動検知センサの受信波形の一例を示すものである。
【図4】超音波振動検知センサで検知したデータ処理説明図であり、(a)は0.1秒間隔で取得した各回のデータの最大振幅値を振動感知の時系列データとしてプットした場合を示すものであり、また(b)は各プロットデータを正規化した場合の解析データを示すものである。
【図5】超音波振動検知センサの制御系統のブロック構成の一例を示すものである。
【図6】本発明に係るシステムの作動用のPHS通信システム制御フローの一例を示すものである。
【図7】超音波振動検知センサによるベッド上の人の脈波(心拍)の検出状態を示す説明図である。
【図8】図7の試験における被験者の安静時における各検出器の検波形を示すものであり、(a)は超音波振動検出センサの、(b)は心電計(心拍計)の、(c)は脈波計の出力波形を示すものである。
【図9】超音波振動検出センサからの振動検出信号(サンプリング間隔20ms)の一例を示すものである。
【図10】20ms間隔のサンプリングデータから超音波振動検出センサの制御用マイコンにより0.1s間隔サンプリングの上限包路線Uと下限包路線Dを示す図面である。
【図11】図10に基づいて演算した0.1s間隔のPW値(P−P平均)の演算値を示す図面である。
【図12】図11の0.1s間隔のPW値(P−P平均)を20mse毎のデータにリサンプリングをした波形を示すものである。
【図13】図12のリサンプリングデータに、15ポイント毎の移動平均により平滑化を行った結果を示す線図である。
【図14】図13のデータにデジタルフィルタ処理を行った結果を示す線図である。
【図15】ディジタルフイルタ処理に用いたフイルタの減衰特性を示すものである。
【図16】図14に基づいて、そのピーク点Pの抽出状態を示す線図である。
【図17】(a)は、PW値(P−P平均)が600レベルの時の超音波振動検出センサの20msサンプリングの原波形と心拍計波形とを示すものであり、(b)は心拍数の対比を示すものである。
【図18】超音波振動検出センサによる振動検出データのPW値(P−P平均)レベルと心拍数の誤差との関係を示す線図である。
【図19】本発明の第4実施例に係る脈拍の検知状態の説明図である。
【図20】図19の(a)及び(b)は室温が上昇して被験者が寝苦しくなった場合の超音波振動検知センサによる脈拍数と心電計による脈拍数等の関係を示す線図(一方の被験者AM1時及びAM2時における時間推移)である。
【図21】PP値標準偏差を50以下とした場合の超音波検知センサによる検知脈拍と、心電計による検知脈拍との差異を示すものである。
【図22】従前の人の状態判別装置の説明図である。
【図23】図20で使用している従前の超音波振動検知センサの構成説明図である。
【符号の説明】
【0064】
Sは反射波形の最大値
S1は波形Sの時系列データ
S2は時系列データS1の解析データ
aは送信信号
aoは送信パルス
bは受信信号
boは受信許可パルス
eは受信信号の強度信号
fは受信利得制御信号
t1・t2はサンプリング時間
XOは時間t1毎のサンプリング振動データ
X1は時間t2毎のサンプリング振動データ
Uは上部包路線
Dは下部包路線
Rはリサンプリングデータ
Pはピーク点
Tは平滑化した振幅値
Tdはデジタルフィルタを実施したデータ
Xは超音波振動検知センサの原波形(振動データ)
Yは心拍計の原波形
Xaは超音波振動検知センサによる検出心拍数
Yaは心拍計の心拍数
Xa1はレベル800の時の検出心拍数
Xa2はレベル600の時の検出心拍数
Xa3はレベル350の時の検出心拍数
PWは振幅差(P−P平均値)
Mはピーク間時間の平均値
Eは環境制御装置への制御信号
1はパソコン
2はデータ通信基地局
3はLAN回線
4はPHSモジュール又はPHSモデム
5は超音波振動検知センサ
5aは容器本体
5bは超音波振動子
5cは液面
5dは液体(水)
5eはセンサ本体
5fは制御部
6はPHS回線
7は環境制御装置
8はケーブル
9は超音波送受信器
10は制御用マイコン(超音波振動検知センサのマイコン)
11はベッド
12は被験者
13は心拍計(心電計)
14は脈波計
15はAD変換器
16は電極
17は脈波検出センサ
18はケーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の脈拍数や心拍数等の生体情報を、ベッドに取り付けした超音波振動検知センサを用いて人に知覚されることなしに検出すると共に、検出した生体情報を用いて室内温度等の環境条件を、睡眠等に最適な環境に自動的に制御できるようにした超音波振動検知センサによる生体情報の検出装置と、生体情報を用いた室内環境制御方法及び環境制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、病院や高齢者施設等においては、患者の夜間における動静や脈拍数、心拍数等の生体情報を管理室等で集中的に検知並びに管理することにより、看護効率を高めたり、或いは看護の質を高めることが強く要望されている。
また、各病室等の夜間の睡眠環境等を患者の身体状態に応じた最適条件下に細かく調整・保持することにより、健康の回復及び増進をより一層促進させることが要望されている。
【0003】
即ち、従前の病室等の睡眠環境は、一般に室温を検出して空調設備の運転制御を行い、室温や湿度を設定値に保持する方法が採られている。
しかし、人に最適な睡眠環境は患者毎に千差万別であり、予めプログラムされたスケジュールに従って空調設備の運転制御を行う方法では、所謂個室の病室であっても、最適な睡眠環境を確保することが困難である。何故なら、最適な睡眠環境は患者一人一人の生体条件によって時々刻々変化するものであり、単に温度や湿度に基づいて空調設備の運転制御を行うだけでは、生体条件の変化に対応することが出来ないからである。
【0004】
而して、高度な睡眠に最適な環境を得るためには、人の体温や心拍数等の生体情報を検出し、検出した生体情報に基づいて空調設備等の運転制御を行うのが最良の方策である。何故なら、脈拍数や心拍数等の生体情報と温度や湿度等の睡眠環境との間には密接な関係が存在し、睡眠環境が悪化すると、心拍数等の生体情報に大きな変化が生ずることが判明しているからである。従って、心拍数等の生体情報に基づいて室内温度や温度の制御を行うのが、最も確実な最適睡眠環境の達成方法となる。
【0005】
しかし、人の生態情報、例えば体温や心拍数等を検出するために、常時体温検出センサや心拍計を身体に装着することは、人に拘束感や圧迫感を与えることになり、外面的に最適な睡眠環境を得ることができても、心理的若しくは内面的には、睡眠環境が逆に大きく悪化若しくは阻害されると云う結果になる。
【0006】
一方、本願発明者等は、先にベッド上における患者の状態を遠隔地において制御するため、超音波振動検知センサを用いた人の状態判別装置を開発し、これを特開2004−216006号として公開している。
即ち、当該装置は、図22に示す如く、ベッドAの適宜箇所に超音波振動感知センサのセンサ本体Bを取り付け、ベッドA上における患者Cの動作や呼吸、心拍数等に起因する微小振動を超音波振動感知センサのセンサ本体Bにより検出し、当該検出した振動信号を送受信制御装置Vにおいて解析することにより、患者Cの状態、例えば睡眠中であるとか安静中、何かの動作中、死亡等を判別して遠隔の管理室へ伝達するようにしたものである。
【0007】
尚、図22において、V1は超音波送受信部、V2はA/D変換部、V3はマイクロコンピュータである。
【0008】
また、図23は超音波感知センサのセンサ本体Bの基本構成を示すものであり、B1は容器本体、B2は水、B3は超音波振動子、B4はケーブル、aは送信信号、bは受信信号、B5は水液面、cは送信超音波、dは受信超音波、ap′、ap、b′、bpは送受信制御装置V内の各種処理信号である。
【0009】
前記特開2004−216006号に係る装置では、人(患者)CのベッドA上における動態(即ち、安静中、動作中、睡眠中或いは死亡)を比較的正確に判別することができると共に、その結果を遠隔地へ有線又は無線方式により正確に伝達することができ、優れた実用的効用を奏するものである。
【0010】
しかし、上記特開2004−216006号の装置では、人(患者)Cの睡眠中や安静中に於けるより詳しい動態、例えば心拍数や脈拍数等を正確に検知することが困難であり、現実にも特開2004−216006号に於いては、患者の生・死やベッドにおける患者の在・不在を判別するのが、限度となっている。
【0011】
このように、従前のこの種の人の生体判別装置には、睡眠中の人の心拍数等のような詳細な生体情報を検出することが不可能なうえ、検出した生体情報に基づいて室内温度や湿度等を個々の患者等の睡眠に最適な値に制御することが出来ないと云う問題が存在する。
【0012】
【特許文献1】特開2004−216006
【特許文献2】特開2003−315030
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、従前の超音波振動感知センサを用いた人の状態判別装置における上述の如き問題、即ち、人が睡眠中か安静中か、或いは人の生・死等の判別は可能であるものの、人の心拍数等のような詳細な生体データの検知が困難なこと、及び人に不快感や不安感を与えることなしに心拍数等を検出する事が困難なこと、並びに検出した心拍数等を睡眠環境の制御基準として環境制御装置等を制御することがされていないと云う問題を解決せんとするものであり、構造が簡単で安価な超音波振動感知センサを用いて、人に不快感や違和感を全く与えることなしに、人の睡眠中の心拍数等を間接的に連続して高精度で検出すると共に、当該検出した生体情報を用いて人の睡眠環境をより最適な睡眠環境に制御することを可能にした超音波振動検知センサによる生体情報の検出装置と、生体情報を用いた室内環境制御方法及び室内環境制御装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記発明の課題を解決するため、本願請求項1の発明は、ベッド11に取付けしたセンサ本体5eと超音波送受信器9及び制御用マイコ10から成る制御部5fとを具備し、前記制御部5fにおいて一定時間間隔t1毎のサンプリングにより振動データXoを得ると共に、当該振動データXOから前記時間t1より長い時間t2毎のサンプリングにより得た振動データX1の上部包路線U及び下部包路線Dを演算して両者の振幅差Pwを出力する超音波振動検知センサ5と,前記超音波振動検知センサ5からの演算された振幅差PWを出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム4と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム4と通信をするデータ通信基地局2と,前記データ通信基地局2にLAN3を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム4を介して入力された前記時間t2毎の振幅差PWを直線近似により時間t1毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータRからFn=AO+A1+A2+An-1/n但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データTに0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータTdから10秒間における各ピーク点P間の時間の平均時間Mを算出し、当該平均時間Mから心拍数XaをXa=60/M(回/min)として演算するコンピュータ1と,から構成したことを発明の基本構成とするものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1の生体情報の検出装置を用いてベッド11上で就寝中の人間の心拍数若しくは脈拍数を検出すると共に、当該心拍数若しくは脈拍数の検出値が80回/分以上になれば生体情報検出装置のコンピュータ1から環境制御装置7へ制御信号を発信し、当該制御信号により環境制御装置7を介して室内の環境条件を調整することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、ベッド11に取付けしたセンサ本体5eと超音波送受信器9及び制御用マイコ10から成る制御部5fとを具備し、前記制御部5fにおいて一定時間間隔t1毎のサンプリングにより振動データXoを得ると共に、当該振動データXOから前記時間t1より長い時間t2毎の前記振動データX1の上部包路線U及び下部包路線Dを演算して両者の振幅差Pwを出力する超音波振動検知センサ5と,前記超音波振動検知センサ5からの演算された振幅差PWを出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム4と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム4と通信をするデータ通信基地局2と,前記データ通信基地局2にLAN3を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム4を介して入力された前記時間t2毎の振幅差PWを直線近似により時間t1毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータRからFn=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データTに0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータTdから10秒間における各ピーク点P間の時間の平均時間Mを算出し、当該平均時間Mから心拍数XaをXa=60/M(回/min)として演算し、演算した前記心拍数Xaが80回/minを越えると環境制御信号Eを発信するコンピュータ1と、前記LAN3を介してコンピュータ1に接続され、環境制御信号Eにより環境装置の運転を調整する環境制御装置7とから構成したことを発明の基本構成とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本願発明では、ベッド11に取付けしたセンサ本体5eにより検知したベッド上の被験者の生体活動に基づく振動を時間t1毎にサンプリングし、このサンプリングした振動データXOを時間t2毎のサンプリングデータX1に変換すると共に、その上限包括線Uと下限包括線Dを求めて両者間の振幅差PWを出力する振動検知センサ5を用い、当該振動検知センサ5から前記検知した振幅差PWをコンピュータ1へ送信し、コンピュータ1において、前記振幅差PWを時間t1毎の振動データRにリサンプリングし、これにnポイント数毎の移動平均を行って平滑化した振幅データTを得ると共に、所定周波数のバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施してデータTdを求め、当該データTdからデータピーク間の平均時間Mを算出して、当該算出した平均時間Mに基づいて被験者の心拍数(又は脈拍数)を検出するようにしている。
【0018】
その結果、心電計や脈拍計による検出値にほぼ近い値の心拍数等を、前記振動データXOのデータ処理によって得ることができると共に、PHS及びLANシステムとの組み合せにより各種データの受・発信を正確且つ確実に行うことができる。
【0019】
また、得られた心拍数を基準にして、被験者の室内環境を睡眠に最適な環境条件に調整することが可能となり、被験者に心理的な圧迫感を全く与えることなしに、検知した心拍数等に基づく新規な環境調整システムを構成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明で使用する生体情報検出システム及び生体情報を用いた室内環境制御システムの全体構成図である。また、図2は超音波振動検知センサ5のセンサ本体5eの斜面図であり、図3は受信波形の一例を示すものである。更に、図4はセンサ本体5eで検出したデータの処理方法の一部を示す説明図であり、図5は超音波振動検知センサの制御回路構成図である。
【0021】
図1を参照して、本発明に係る生体情報検出システム及び生体情報を用いた室内環境制御システムは、後述する各種の演算処理やデータ処理を行うパソコン1と、No1データ通信基地局(生体情報検出関係)2A及びNo2データ通信基地局(汎用PLC(シーケンサ)(室内環境調整関係))2Bと、前記パソコン1とデータ通信基地局2A、2Bとを連絡するLAN3と、PHSモジュール4A及び又はPHSモデム4Bと、超音波振動検知センサ5A、5Bと、PHS回線6Aと、制御回線6Bと、熱源、照明、空調、温度等の環境制御装置7、ケーブル8等から構成されている。
【0022】
尚、PHSモジュール4Aと超音波検知センサ5Aとは、両者を所謂一体的に組付けした状態に形成されており、またPHSモデム4Bと超音波検知センサ5Bとは別体として形成され、両者間をケーブル8により連結するようにしている。
また、図1では、3基の超音波検知センサ5の使用及び3基の環境制御装置7の制御を行うようにしているが、検知対象数に応じて、検知センサ数等が増加されることは勿論である。
更に、システムそのものの各構成部材は、パソコン1における超音波検知センサからの振動検出信号の処理方式を除いて何れも公知であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0023】
図2を参照して、超音波振動感知センサ5は、センサ本体5eと制御部5fとから構成されている。また、センサ本体5eは、本体容器5aと、その底部に配置された超音波振動子5bと、本体容器5aの中に液面5cを形成するように密封された水等の液体5dとから構成されている。液面5cの上側は空間部になっている。更に、前記制御部5fは超音波送受信器9と制御用マイコン10とから形成されている。
超音波は、超音波送受信器9により超音波振動子5dを駆動(中心周波数:2MHz)することにより発生され、水槽底面から水槽本体5a内に送信され、水面5cで反射した後、再び超音波振動子5bで受信される。図3は受信波形の一例を示すものであり、同図において、Sで示す波形は水面からの反射波であり、本発明ではその最大値を解析の対象とするものである。
【0024】
前記反射波Sの最大振幅値は、公知のように同じ振動強さでも水面5cと振動子5bとの交又角によって変化し、交又角が大きくなるほど反射超音波Sの減衰が大となり、最大振幅値が低下する。また、水面5cが振動によって波打ち状態になると、受信波形Sの最大振幅値も大きく変動する。
換言すれば、当該超音波振動検知センサ5で取得するデータは、受信波形の最大振幅値の時間的変化であり、センサ5による受信波形の取得は、2ms〜100ms間隔で行うことが可能である。また、所定の時間間隔例えば0.1sec毎に取得された受信波形の最大振幅値は、振動感知の時系列データS1としてプロットされ(図4(a))、その後引き続き各プロットデータS1を正規化することにより、解析データS2(図4(b))が得られる。
【0025】
図5は、本発明に係る超音波振動検知センサ5の制御系統のブロック構成図であり、超音波振動検知センサ5に付属する制御部5fのマイコン10から超音波送受信器9の送信回路9aへ、送信のタイミングで送信パルスaoを発生する。また、送信パルスaoの発生の後で、受信許可パルスboを発生する。
これは、受信回路9bが送信パルスaoで飽和することなく、受信信号bを受信出来るようにするためである。
次に、受信信号bの強度信号eをアナログ/デジタル変換してマイコン10の内部に取り込むが、このとき、基準設定動作で受信信号bを規定値に合わせる動作を行う。具体的には、受信強度eを基準と比較して、その差で自動利得調整をして利得を変化させ、出力を基準に合わせる。尚、このための受信利得制御信号fは、マイコンのD/A出力を利用して利得設定電圧として出力される。その結果微小な変化も確実に検出することが可能になる。
【0026】
制御用マイコン10のA/Dのポートを通して取り込んだ信号強度eは、予め決めたアルゴリズムに沿って制御用マイコン10内で処理される。
この処理は、振動センサ5からの振動データを20msごとに収集し、収集した2つのデータの平均を基に、下記の何れかのデータを求め、これを通信出力する。
1.振幅(AD)値(周期:20ms)
2.最大−最小の差PW値(以降P−P平均)と平均値(周期:100ms〜2s指定(*20ms底とした量子的))。
また、処理の結果は、各種の信号としてPHSモジュールにより外部へ出力されて行く。
【実施例1】
【0027】
超音波振動検知センサ5として日本医療機器(株)製のANC−01型を2台(5B)及び日本医療機器(株)製のANC−01型にPHSモジュール(PS)を一体化した新製品(5A)1台を使用し、また、データ通信基地局2と各PHSモデム相互間6AをTCP/IP接続とし、更に、パソコン1とデータ通信基地局2間を10BASE−TにてLAN接続とした図1のシステムを構成し、パソコン1に於ける受信データのチェックを行った。
【0028】
超音波振動検知センサ5のポーレート設定が38400bpsであって、1データが5bytesであることから、サンプリングデータ間隔は2msより短くすることができない。そのため、データ間隔2msで3台同時接続の最速条件下で、パソコン1に測定用のプログラムを作成してインストールし、超音波振動検知センサ5からの受信データの入手欠落の有無を調査した。表1〜表5は調査結果を示すものであり、この条件下で受信データの欠落を生ずることなく、図1のシステムを作動させ得ることが確認できた。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】
尚、前記表1乃至表5のデータ受信数から算出した装置1(PHSモジュール4Aと超音波振動検知センサ5Aとの一体型)のデータ受信数の誤差率の最大値は+0.072%であり、十分に実用に耐えるものであることが判明した。
【0035】
また、パソコン1側からの接続を行う場合、パソコン1上のアプリケーションをクライアントモードで動かし、接続要求を出す。この場合、要求の出されたIPアドレスに対応するPHSモデム4をデータ通信基地局2が認識していれば、データ通信基地局2はConnectを返す。この時点でアプリケーションは接続が完了したと認識する。
パソコン1側からは見えないが、実際にはその後、データ通信基地局2が対象になるPHSモデム4に内線電話をかけ、回線がつながった後に通信が始まる。このため、アプリケーションが接続完了と認識してから実際の通信が始まるまで、数秒の誤差がある。今回のテストの結果、その誤差はおよそ5秒、遅くても10秒に収まることが判明した。
今回の測定用プログラムでは、Connectを認識した後MODコマンドを発行、そのレスポンスを受信して、実際の接続の完了とした。図6は本発明に係るシステム作動用のPHS通信システムの制御フローを示すものである。
【0036】
尚、図6の制御フローには、データ通信基地局2B及び環境制御装置7等の作動について記載されていないが、後述するように被験者(患者)の心拍数等が設定値以上になれば、パソコン1から空調設備の制御信号Eが送出され、各環境制御装置7の作動状況が調整される。
【実施例2】
【0037】
図7は、超音波振動検知センサ5をベッド11に取り付け、当該検知センサ5によってベッド11上に就寝中の被験者(人12)の生体活動によって生じた振動を検出し、得られたベッド11の検知振動データから人の発する脈波(脈拍)を検出する状態を示すものであり、心拍計との相関関係を主として調査したものである。
【0038】
図7において、5は超音波検知センサであり、ベッド11の床面裏側に固定されている。また、9は超音波送受信器、10は制御用マイコン10であり、両部材9、10で超音波振動検知センサ5の制御部5fが形成されている。更に13は心拍計、14は脈波計、15は心拍計のAD変換器、16は心拍計の電極、17は脈波検出用マイク、18はケーブルである。
尚、本実施例2においては、超音波検知センサ5の制御用マイコン10からの信号をPHSモジュール4を通してパソコン1へ伝達するのではなしに、ケーブル18を介して直接パソコン1へ伝達するようにしているが、ケーブル18に替えてLAN3及びPHS回路6を用いてパソコン1と超音波振動検知センサ5間の通信が可能なことは勿論である。
また、心拍計13には心電計(日本光電(株)、ECG−9552)を、脈波計14にはCCI(株)のバックス・ディテクターを、超音波検出センサ5には日本医療機器(株)のANC−01型センサを夫々使用しており、心電計は単極肢誘導の第2誘導方式により右手と左足の電位差を検出している。
【0039】
被験者には、35才の男子(163cm、57kg)であり、安静時に200sec間の測定を行い、各検出器5、13、14からのデータを直接パソコン1に収集した。尚、超音波振動検知センサ5においては、サンプリング間隔を20msとしている。
【0040】
試験の結果、安静時には心拍等の脈波の検出が可能であるが、被験者12が会話等の体動状態にあるときには、脈波の検出が不可能であることが判明した。
【0041】
尚、図8は、被験者12の安静時における超音波振動検知センサ5の検出波形(a)、心電計13の検出波形(b)、脈波計14の検出波形(c)を夫々示すものである。
【0042】
次に、本発明における超音波振動検知センサ5による検出データからの心拍数の演算について説明する。
先ず、本発明においては、前述の通り超音波振動検知センサ5からt1=20ms間隔のサンプリングにより振動データXOが得られる(図9参照)。
【0043】
次に、上記20ms間隔のサンプリング原データXOから、制御用マイコン10において、t2=0.1s間隔のサンプリング振動データX1の上限包括線Uと下限包括線Dが演算され(図10)、その後上限包括線Uと下限包括線Dとの差分PW値(P−P平均)が演算され、0.1s間隔のP−P値がPHSモジュール4を介してパソコン1へ伝達される(図11)。
【0044】
一方、前記パソコン1に於いては、上記PHSモジュール4を介して入力された0.1s間隔のデータPW(P−P値)を用いて、0.1s毎のデータPW(P−P値)の間を直線近似によって20ms毎の振動データにリサンプリングする処理が行われ、図12に示す如きリサンプリングデータRが求められる。
【0045】
また、コンピュータ1では、上記図12に示した20ms毎のリサンプリングデータRから、下記の(1)式を用いて15ポイント毎の移動平均を実施することにより、リサンプリングデータRの平滑化が行われる。
F(n)=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値) ・・・・(1)
尚、図13は、15ポイント毎の移動平均により平滑化を行った結果であるデータTを示すものである。
【0046】
次に、移動平均により平滑化した振幅データ(T)に、周波数0.5Hz〜1.8Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施する。
図14は、図13の移動平均により平滑化した振幅データTに積和演算によるデジタルフィルタを実施したデータTdを示すものである。
尚、図15は、前記ディジタルフイルタの実施に使用したバンドパスフイルタの減衰特性を示すものであり、実質的には0〜10Hzの周波数を含有するものである。また、演算処理に於けるディジタルフイルタは、バンドパスフイルタの指定された周波数特性からフイルタの係数列を計算しておき、入力された信号に対して積和演算を行なうことで、実施したものである。
【0047】
最後に、前記デジタルフィルタを実施したデータTdから、10秒間における各ピーク点P間の時間の平均時間Mを算出し、心拍数Xaを60/Mとして演算する。
図16は、ピーク点Pの抽出状態を示す線図である。
【0048】
尚、本実施例においては、同じ被験者12について、超音波振動検知センサ5のセンサ本体5eの取付角度を3種類に変えて、夫々心拍数の算出を行った。即ち、安静時における20msサンプリングの原波形のPW(P−P値)(平均)が350、600、800とした場合(センサ本体5eの取付角度が0°(液面水平)の時のP−P値平均が最大となり、取付角度が大きくなると(液面の傾斜角大)PW(P−P値)が低下する)の夫々について、上記各演算処理により超音波振動検知センサ5の検知信号から演算した心拍数Xaと、心拍計(心電計B)からの検出値Yaとの対比を行った。
【0049】
その結果、図17及び図18に示す如く、超音波振動検知センサ5のセンサ本体5eの液面5cに少しの傾斜を持たせ、被験者12の安静時における原波形XOのPW値(P−P平均)が600レベルの時の心拍演算値Xa2が、心拍計13による検出値Yaに最も近くなり、誤差の少ない心拍測定が可能なことが判明した。
尚、図17及び図18においてXは超音波振動検知センサの原波形、Yは心拍計の原波形、Xaは超音波振動検知センサによる心拍数、Yaは心拍計による心拍数、Xa3はPW(P−P平均値)レベル350の時の検出心拍数、Xa2はPW(P−P平均レベル)600の時の検出心拍数、Xa1はPW(P−P平均値)レベル800の時の検出心拍数である。
【0050】
図17及び図18からも明らかなように、心電計から求めた心拍数と、超音波振動検知センサのデータから求めた心拍数の差において、角度を表すPP平均レベルごとの平均誤差は、PP平均レベル350は3.6回/分、PP平均レベル600は1.4回/分、PP平均レベル800は3.6回/分であった。
このように、一時的に10回/分以上の差が発生しているが、全体を通じてほぼ心電計と同期した結果が得られていることが判るだけでなく、超音波振動検知センサの取り付けは、液面5cに小さな傾斜角を持たせ、安静時の検出振動原波形XOのPW値(P−P平均)が600程度となるように取り付けするのが、最良であることが判明した。
【実施例3】
【0051】
図19は、本発明の第3実施例を示すものであり、ベッド11上の被験者12の脈拍の検知状態を示す説明図である。
図19に於いて、使用する超音波振動検知センサ5(センサ本体5eや制御部5fを形成する超音波送受信器9及び制御用マイコン10)は、前記図7の場合と同一であり、使用する心電計13のみが日本電気(株)製のBiomulti1000型に変更されている。また、電極16は胸部に取付けされており、無線により送信器13bから心電計13の本体13aへデータが転送される型式となっている。
【0052】
本第3実施例では、就寝中の2人の被験者12について、夫々超音波振動検知センサ5と心電計13とにより8時間連続して脈拍を検出し、検知センサ5と心電計13の検出値の対比を行った。
尚、超音波振動検知センサ5による検知振動データからの心拍数の演算は、前記実施例2の場合と同一の方法により行っている。
【0053】
試験の結果、22時から6時まで、8時間に亘って熟睡の出来た一方の被験者については、超音波振動検知センサ5の振動データXOから演算した心拍数(脈数)Xaと、心電計13による脈拍数Yaの検出値とが22時〜6時の間連続してほぼ一致することが判明した。
【0054】
これに対して、室温が高いために22時から6時までの8時間の間連続して熟睡することが出来ず、途中で目を醒ました他方の被験者の場合には、超音波振動検知センサ5による検出した振動データXOのPW値(P−P平均)の振幅が大きくなり、これによって原振動データXOから算出した脈拍Xaと心電計から得られた脈拍Yaとの差が大きくなることが判明した。
【0055】
図20の(a)及び(b)は、後者の被験者(暑さのために熟睡できなかった被験者)のAM1時及び2時における脈拍の時間推移を示すものであり、就寝時に室温が上昇して被験者が所謂寝苦しい状態になると、超音波振動検知センサ5による検出拍数Xaが約70〜80回/min以上の範囲に上昇すると共に、現実の心電計による拍数Yaも約90〜100回/min以上になることが判明した。
【0056】
即ち、超音波振動検知センサ5により検出したベッド11上の被験者12の脈拍数Xaが約70〜80回/min以上になれば、室温の上昇によって被験者12が寝苦しい状態に陥っていると云うことができ、当該脈拍数(若しくは心拍数)Xaを基準として室内用の環境制御装置7を作動させるための制御信号EをPHSモジュールその他を介して発信し、必要とする環境制御装置7の作動状態が制御される。
【実施例4】
【0057】
前記図20からも判るように、脈拍数が約90回/min以上になると、超音波振動検知センサ5による脈拍検出値Xaと心電計13による脈拍検出値Yaとの差が大きくなる。そのため、脈拍検出値Xaの演算によってこれを修正すべく、前記「移動平均15及び周波数0.5Hz〜1.8Hzのバンドパスフィルタ」の条件を、「移動平均11及び周波数0.9Hz〜2.0Hzのバンドパスフィルタ」に変更した。
【0058】
上記新たな解析条件に基づいて算出した超音波振動検知センサ5による脈拍Xaと心電計13による脈拍Yaとの1時間の平均差異は、表6の通りとなり、バンドパスフィルタの周波数を高くすると共に抽出条件を変更することで、高い脈拍領域に於ける両検出値Xa、Yaの一致度を改善することができ、前記室温等の環境条件の制御をより高精度で行うことが可能となることが判明した。
【0059】
【表6】
【実施例5】
【0060】
前記実施例3の2人の被験者12について、昼間の覚醒時における超音波振動検知センサ5と心電計13とによる5分毎の脈拍の平均差と、ベッド上での動作の大きさを示すPP値標準偏差との関係を調査した。その結果、PP値標準偏差が大きいほど、前記超音波振動検知センサ5と心電計13とによる5分毎の脈拍の平均差が大きくなることが、判った。これは、被験者の少しの動きによる体動や呼吸による横隔膜の動き等の生理的な動きの影響で、心臓のみによる振動が阻害されるためであると考えられる。
【0061】
そこで、ベッド上における被験者の動作等による影響、即ちPP値標準偏差の大きさによる影響を考慮して、PP値標準偏差を50以下に限定した場合に於ける前記超音波振動検知センサ5と心電計13とによる5分毎の脈拍の平均差を調査した。
図21はその結果を示すものであり、PP値標準偏差を50以下に限定した場合には、両者の脈拍の検出値に高い一致性の得られることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、病院及び老人介護施設等の人の睡眠設備を備えた施設全般に適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明で使用する生体情報検出システム及び生体情報を用いた室内環境制御システムの全体構成図である。
【図2】超音波振動検知センサの本体部の斜面図である。
【図3】超音波振動検知センサの受信波形の一例を示すものである。
【図4】超音波振動検知センサで検知したデータ処理説明図であり、(a)は0.1秒間隔で取得した各回のデータの最大振幅値を振動感知の時系列データとしてプットした場合を示すものであり、また(b)は各プロットデータを正規化した場合の解析データを示すものである。
【図5】超音波振動検知センサの制御系統のブロック構成の一例を示すものである。
【図6】本発明に係るシステムの作動用のPHS通信システム制御フローの一例を示すものである。
【図7】超音波振動検知センサによるベッド上の人の脈波(心拍)の検出状態を示す説明図である。
【図8】図7の試験における被験者の安静時における各検出器の検波形を示すものであり、(a)は超音波振動検出センサの、(b)は心電計(心拍計)の、(c)は脈波計の出力波形を示すものである。
【図9】超音波振動検出センサからの振動検出信号(サンプリング間隔20ms)の一例を示すものである。
【図10】20ms間隔のサンプリングデータから超音波振動検出センサの制御用マイコンにより0.1s間隔サンプリングの上限包路線Uと下限包路線Dを示す図面である。
【図11】図10に基づいて演算した0.1s間隔のPW値(P−P平均)の演算値を示す図面である。
【図12】図11の0.1s間隔のPW値(P−P平均)を20mse毎のデータにリサンプリングをした波形を示すものである。
【図13】図12のリサンプリングデータに、15ポイント毎の移動平均により平滑化を行った結果を示す線図である。
【図14】図13のデータにデジタルフィルタ処理を行った結果を示す線図である。
【図15】ディジタルフイルタ処理に用いたフイルタの減衰特性を示すものである。
【図16】図14に基づいて、そのピーク点Pの抽出状態を示す線図である。
【図17】(a)は、PW値(P−P平均)が600レベルの時の超音波振動検出センサの20msサンプリングの原波形と心拍計波形とを示すものであり、(b)は心拍数の対比を示すものである。
【図18】超音波振動検出センサによる振動検出データのPW値(P−P平均)レベルと心拍数の誤差との関係を示す線図である。
【図19】本発明の第4実施例に係る脈拍の検知状態の説明図である。
【図20】図19の(a)及び(b)は室温が上昇して被験者が寝苦しくなった場合の超音波振動検知センサによる脈拍数と心電計による脈拍数等の関係を示す線図(一方の被験者AM1時及びAM2時における時間推移)である。
【図21】PP値標準偏差を50以下とした場合の超音波検知センサによる検知脈拍と、心電計による検知脈拍との差異を示すものである。
【図22】従前の人の状態判別装置の説明図である。
【図23】図20で使用している従前の超音波振動検知センサの構成説明図である。
【符号の説明】
【0064】
Sは反射波形の最大値
S1は波形Sの時系列データ
S2は時系列データS1の解析データ
aは送信信号
aoは送信パルス
bは受信信号
boは受信許可パルス
eは受信信号の強度信号
fは受信利得制御信号
t1・t2はサンプリング時間
XOは時間t1毎のサンプリング振動データ
X1は時間t2毎のサンプリング振動データ
Uは上部包路線
Dは下部包路線
Rはリサンプリングデータ
Pはピーク点
Tは平滑化した振幅値
Tdはデジタルフィルタを実施したデータ
Xは超音波振動検知センサの原波形(振動データ)
Yは心拍計の原波形
Xaは超音波振動検知センサによる検出心拍数
Yaは心拍計の心拍数
Xa1はレベル800の時の検出心拍数
Xa2はレベル600の時の検出心拍数
Xa3はレベル350の時の検出心拍数
PWは振幅差(P−P平均値)
Mはピーク間時間の平均値
Eは環境制御装置への制御信号
1はパソコン
2はデータ通信基地局
3はLAN回線
4はPHSモジュール又はPHSモデム
5は超音波振動検知センサ
5aは容器本体
5bは超音波振動子
5cは液面
5dは液体(水)
5eはセンサ本体
5fは制御部
6はPHS回線
7は環境制御装置
8はケーブル
9は超音波送受信器
10は制御用マイコン(超音波振動検知センサのマイコン)
11はベッド
12は被験者
13は心拍計(心電計)
14は脈波計
15はAD変換器
16は電極
17は脈波検出センサ
18はケーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド(11)に取付けしたセンサ本体(5e)と超音波送受信器(9)及び制御用マイコ(10)から成る制御部(5f)とを具備し、前記制御部(5f)において一定時間間隔(t1)毎のサンプリングにより振動データ(Xo)を得ると共に、当該振動データ(XO)から前記時間(t1)より長い時間(t2)毎のサンプリングにより得た振動データ(X1)の上部包路線(U)及び下部包路線(D)を演算して両者の振幅差(Pw)を出力する超音波振動検知センサ(5)と,前記超音波振動検知センサ(5)からの演算された振幅差(PW)を出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と通信をするデータ通信基地局(2)と,前記データ通信基地局(2)にLAN(3)を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム(4)を介して入力された前記時間(t2)毎の振幅差(PW)を直線近似により時間(t1)毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータ(R)からF(n)=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データ(T)に0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータ(Td)から10秒間における各ピーク点(P)間の時間の平均時間(M)を算出し、当該平均時間(M)から心拍数(Xa)をXa=60/M(回/min)として演算するコンピュータ(1)と,から構成したことを特徴とする超音波振動検知センサを用いた生体情報の検出装置。
【請求項2】
超音波振動検知センサ(5)におけるサンプリング時間(t1)を20msに及びサンプリング時間(t2)を0.1sに夫々するようにした請求項1に記載の生体情報の検出装置。
【請求項3】
ポイントnを15とすると共に、バンドパスフィルタの周波数を0.5Hz〜1.8Hzとするようにした請求項1に記載の生体情報の検出装置。
【請求項4】
ポイント数nを11とすると共にバンドパスフィルタの周波数を0.9Hz〜2.0Hzとするようにした請求項1に記載の生体情報の検出装置。
【請求項5】
請求項1の生体情報の検出装置を用いてベッド(11)上で就寝中の人間の心拍数若しくは脈拍数を検出すると共に、当該心拍数若しくは脈拍数の検出値が80回/分以上になれば生体情報検出装置のコンピュータ(1)から環境制御装置(7)へ制御信号を発信し、当該制御信号により環境制御装置(7)を介して室内の環境条件を調整することを特徴とする生体情報を用いた室内環境制御方法。
【請求項6】
ベッド(11)に取付けしたセンサ本体(5e)と超音波送受信器(9)及び制御用マイコ(10)から成る制御部(5f)とを具備し、前記制御部(5f)において一定時間間隔(t1)毎のサンプリングにより振動データ(Xo)を得ると共に、当該振動データ(XO)から前記時間(t1)より長い時間(t2)毎の前記振動データ(X1)の上部包路線(U)及び下部包路線(D)を演算して両者の振幅差(Pw)を出力する超音波振動検知センサ(5)と,前記超音波振動検知センサ(5)からの演算された振幅差(PW)を出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と通信をするデータ通信基地局(2)と,前記データ通信基地局(2)にLAN(3)を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム(4)を介して入力された前記時間(t2)毎の振幅差(PW)を直線近似により時間(t1)毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータ(R)からF(n)=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データ(T)に0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータ(Td)から10秒間における各ピーク点(P)間の時間の平均時間(M)を算出し、当該平均時間(M)から心拍数(Xa)をXa=60/M(回/min)として演算し、演算した前記心拍数(Xa)が80回/minを越えると環境制御信号(E)を発信するコンピュータ(1)と、前記LAN(3)を介してコンピュータ(1)に接続され、環境制御信号(E)により環境装置の運転を調整する環境制御装置(7)とから構成したことを特徴とする生体情報を用いた室内環境制御装置。
【請求項7】
超音波振動検知センサ(5)におけるサンプリング時間(t1)を20msに及びサンプリング時間(t2)を0.1sに、ポイント数nを11に及びバンドパスフィルタの周波数を0.9Hz〜2.0Hzとするようにした請求項6に記載の生体情報を用いた室内環境制御装置。
【請求項1】
ベッド(11)に取付けしたセンサ本体(5e)と超音波送受信器(9)及び制御用マイコ(10)から成る制御部(5f)とを具備し、前記制御部(5f)において一定時間間隔(t1)毎のサンプリングにより振動データ(Xo)を得ると共に、当該振動データ(XO)から前記時間(t1)より長い時間(t2)毎のサンプリングにより得た振動データ(X1)の上部包路線(U)及び下部包路線(D)を演算して両者の振幅差(Pw)を出力する超音波振動検知センサ(5)と,前記超音波振動検知センサ(5)からの演算された振幅差(PW)を出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と通信をするデータ通信基地局(2)と,前記データ通信基地局(2)にLAN(3)を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム(4)を介して入力された前記時間(t2)毎の振幅差(PW)を直線近似により時間(t1)毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータ(R)からF(n)=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データ(T)に0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータ(Td)から10秒間における各ピーク点(P)間の時間の平均時間(M)を算出し、当該平均時間(M)から心拍数(Xa)をXa=60/M(回/min)として演算するコンピュータ(1)と,から構成したことを特徴とする超音波振動検知センサを用いた生体情報の検出装置。
【請求項2】
超音波振動検知センサ(5)におけるサンプリング時間(t1)を20msに及びサンプリング時間(t2)を0.1sに夫々するようにした請求項1に記載の生体情報の検出装置。
【請求項3】
ポイントnを15とすると共に、バンドパスフィルタの周波数を0.5Hz〜1.8Hzとするようにした請求項1に記載の生体情報の検出装置。
【請求項4】
ポイント数nを11とすると共にバンドパスフィルタの周波数を0.9Hz〜2.0Hzとするようにした請求項1に記載の生体情報の検出装置。
【請求項5】
請求項1の生体情報の検出装置を用いてベッド(11)上で就寝中の人間の心拍数若しくは脈拍数を検出すると共に、当該心拍数若しくは脈拍数の検出値が80回/分以上になれば生体情報検出装置のコンピュータ(1)から環境制御装置(7)へ制御信号を発信し、当該制御信号により環境制御装置(7)を介して室内の環境条件を調整することを特徴とする生体情報を用いた室内環境制御方法。
【請求項6】
ベッド(11)に取付けしたセンサ本体(5e)と超音波送受信器(9)及び制御用マイコ(10)から成る制御部(5f)とを具備し、前記制御部(5f)において一定時間間隔(t1)毎のサンプリングにより振動データ(Xo)を得ると共に、当該振動データ(XO)から前記時間(t1)より長い時間(t2)毎の前記振動データ(X1)の上部包路線(U)及び下部包路線(D)を演算して両者の振幅差(Pw)を出力する超音波振動検知センサ(5)と,前記超音波振動検知センサ(5)からの演算された振幅差(PW)を出力するPHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と,前記PHSモジュール若しくはPHSモデム(4)と通信をするデータ通信基地局(2)と,前記データ通信基地局(2)にLAN(3)を介して接続され、前記PHSモジュール又はPHSモデム(4)を介して入力された前記時間(t2)毎の振幅差(PW)を直線近似により時間(t1)毎の振動データにリサンプリングすると共に、当該リサンプリングデータ(R)からF(n)=AO+A1+A2+An-1/n(但し、nは適宜のポイント数、AO〜Anは各ポイントにおける振幅値)によるn個のポイント毎の移動平均によって振幅データを平滑化したあと、当該平滑化した振幅データ(T)に0Hz〜10Hzのバンドパスフィルタに相当する積和演算によるデジタルフィルタを実施すると共に、当該デジタルフィルタを実施したデータ(Td)から10秒間における各ピーク点(P)間の時間の平均時間(M)を算出し、当該平均時間(M)から心拍数(Xa)をXa=60/M(回/min)として演算し、演算した前記心拍数(Xa)が80回/minを越えると環境制御信号(E)を発信するコンピュータ(1)と、前記LAN(3)を介してコンピュータ(1)に接続され、環境制御信号(E)により環境装置の運転を調整する環境制御装置(7)とから構成したことを特徴とする生体情報を用いた室内環境制御装置。
【請求項7】
超音波振動検知センサ(5)におけるサンプリング時間(t1)を20msに及びサンプリング時間(t2)を0.1sに、ポイント数nを11に及びバンドパスフィルタの周波数を0.9Hz〜2.0Hzとするようにした請求項6に記載の生体情報を用いた室内環境制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−307309(P2007−307309A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−141975(P2006−141975)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000163419)株式会社きんでん (37)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(000163419)株式会社きんでん (37)
【Fターム(参考)】
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