超音波探傷方法
【課題】超音波の入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法を提供する。
【解決手段】被検査物に超音波を入射して、当該入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法であって、被検査物に超音波を入射し、入射面の反対面で反射した反射波を前記入射面の検査対象部に入射させる入射ステップと、前記検査対象部からの反射エコーを検出する検出ステップと、を有し、入射ステップにおいて、反射波が検査対象部で収束するように超音波を入射する。
【解決手段】被検査物に超音波を入射して、当該入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法であって、被検査物に超音波を入射し、入射面の反対面で反射した反射波を前記入射面の検査対象部に入射させる入射ステップと、前記検査対象部からの反射エコーを検出する検出ステップと、を有し、入射ステップにおいて、反射波が検査対象部で収束するように超音波を入射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて被検査物の欠陥を検査する方法に関するものであり、特に超音波の入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、橋梁のデッキプレートとUリブとの溶接部にルート亀裂が生ずる事例が報告されている。このような亀裂は、舗装下のデッキプレートに生ずるため、舗装を剥がさない限り目視による発見は不可能である。
こうした亀裂を外部から検査するため、鋼中屈折角の大きい超音波を用いた斜角探傷法が研究されている(非特許文献1)。
【0003】
また、超音波探傷に関し、『炉心板の挿入穴に対する燃料案内ピンの嵌合度に関係なく、ねじ逃げ溝部及びねじ部基端を含めた燃料案内ピンの構造健全性の検査が的確に可能な方法を提供する。』ことを目的とした技術として、『燃料案内ピン1のピン首下部1a’の亀裂検出を目的とするピン外周面からの入射の直射法に加えて、ねじ逃げ溝部1b’及びねじ部基端1c’の亀裂検出を目的とするピン外周面からの入射の一回反射法と炉心板3からの入射法とを併用する。直射法によりねじ部1b近傍の肩部1gを反射源とする形状エコーを検知して、燃料案内ピンと同一形状・寸法の対比試験片についての形状エコーと比較し、冷やし嵌めによる燃料案内ピンと炉心板の挿入穴3aとの圧接度合を予め検知する。圧接度合の検知結果は、一回反射法及び入射法の使い分け、探傷感度の補正に用いる。』というものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、欠陥の端部エコーを検出することにより欠陥を評価する手法(端部エコー法)や、欠陥の上端部・下端部のビーム路程を同時に測定して欠陥の高さを測定する手法(同時端部エコー法)が研究されている(非特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−297190号公報(要約)
【非特許文献1】”鋼床版縦リブ溶接部のルート亀裂に対する超音波伝播解析”、土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)、1−604
【非特許文献2】”同時端部エコー法を用いた柱梁溶接始終端部の欠陥評価に関する実験的研究”、2006年度日本建築学会大会(関東)学術講演会、22491〜22492
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなルート亀裂の検知が困難であるのは、(1)舗装を剥がさない限り目視による発見は不可能であることに加え、(2)超音波による探傷を行おうとしても、欠陥が超音波探傷装置と同一面上に存在するため、直射法等の従来用いられてきた探傷手法がそのまま適用できないこと、が原因である。
そこで、上述の非特許文献1に記載の研究報告では、鋼中屈折角85°の横波(SV波)を用いた斜角探傷法の解析結果が示されているが、その適用性等については必ずしも明らかではない。
【0007】
そこで、本発明では、上記特許文献1に記載の一回反射法のような一回反射波を用いて、超音波の入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波探傷方法は、被検査物に超音波を入射して、当該入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法であって、被検査物に超音波を入射し、入射面の反対面で反射した反射波を前記入射面の検査対象部に入射させる入射ステップと、前記検査対象部からの反射エコーを検出する検出ステップと、を有し、前記入射ステップにおいて、前記反射波が検査対象部で収束するように前記超音波を入射するものである。
【0009】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、欠陥の端部エコー及び開口部エコーを検出することにより、その欠陥の高さを検知するものである。
【0010】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、欠陥の端部エコーと開口部エコーを同時に検出するように、前記入射ステップで入射する超音波の収束距離を調節するものである。
【0011】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、反射エコーの波形を画面表示する表示部を設け、前記検出ステップで検出した反射エコーの波形を前記表示部に画面表示するステップを有するものである。
【0012】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、前記検出ステップで検出した反射エコーの波形データと、健全部における反射エコーの波形データとの差分を求めることにより、妨害エコーの影響を除去して欠陥を特定するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る超音波探傷方法によれば、超音波探傷装置と同一面上に存在する欠陥を精度よく検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、デッキプレートとUリブの溶接部に生じるルート亀裂の例を示すものである。図1(a)は斜視図、図1(b)は側断面図である。
橋梁の舗装の下には、基板となるデッキプレートが敷設されており、その強度を増強するため、底面にUリブを溶接することがしばしば行われる。このデッキプレートとUリブの溶接ルート部において亀裂が生じる事例が、近年報告されている。
【0015】
亀裂が生じる箇所に関し、Uリブの外面側に生じた亀裂であれば、裏面からの目視確認等により検知できる可能性があるが(ただし現実的ではない)、図1(b)に示すように、Uリブの内面側に亀裂が生じた場合には、舗装やデッキプレート等をすべて剥がさない限り、目視確認は不可能である。
そこで、溶接部の欠陥検知によく用いられる超音波探傷法を用いることを考える。
【0016】
図2は、従来の超音波探傷法と、本発明に係る超音波探傷法との差異を説明するものである。以下、図2の各図について説明する。
【0017】
図2(a)は、斜角探傷法と呼ばれる従来の超音波探傷法を説明するものである。
超音波探傷装置4は、欠陥部に向けて超音波を入射し、その反射エコーを検出することにより、欠陥やその大きさ等を計測する。
斜角探傷法における超音波の入射手法には、(1)欠陥に向けて直接超音波を入射する手法(直射法)と、(2)入射面の反対面で超音波を一回反射させ、反射した超音波を欠陥に入射させる手法(一回反射法)がある。
同図に示すように、斜角探傷法は、超音波探傷装置4の走査面と反対側の面に存在する欠陥を検知する際に用いられる手法である。
【0018】
図2(b)は、斜角探傷法を用いて図1のようなルート亀裂を検知する様子を示すものである。
デッキプレート1の上には舗装がなされているため、図2(b)の上側から超音波探傷を実施することはできない。したがって、同図に示すように、亀裂3が存在する側の面に超音波探傷装置4を配設して探傷を実施することになる。
すると、亀裂3の深さにも依拠するが、入射面とほぼ平行に進行する超音波を亀裂3に入射させることとなる。
このような波は、伝播状態が必ずしも明らかではなく、したがってその反射エコーにより亀裂3を検知することへの適用性は、同様に必ずしも明らかではない(非特許文献1参照)。
【0019】
図2(c)は、本発明に係る超音波探傷法の様子を示すものである。
本発明に係る超音波探傷法では、入射面の反対面で超音波を一回反射させ、反射した超音波を亀裂3に入射させる。亀裂3からの反射エコーを検出することにより、亀裂3やその大きさを特定することができる。
【0020】
図3は、本発明における超音波の収束について説明するものである。
上述のように、Uリブの溶接ルート部に生じる亀裂は、亀裂が存在する側の面に超音波探傷装置を配設して探傷を実施することとなるが、本発明では、反対面からの反射波を利用することにより、あたかも亀裂の反対面から超音波を入射したかのような効果を狙う。
例えば、亀裂3の端部における反射エコーを検出する場合は、反対面からの反射波が端部にて収束するように、入射波を調整する。
このように入射波を調整することで、図2(a)で説明したような従来の斜角探傷法により探傷を実施しているものと同様の手順により、亀裂3を検知することができる。
【0021】
なお、図3のように端部で反射波を収束させているのは、端部における反射波の強度を強くして端部エコーの検出精度を上げるためであるが、検査対象部材の形状や材質によっては、反対面における収束を最も強くした方が、検出精度がよくなるような場合も考えられる。
このように、いずれの箇所にて収束を最も強くするかは、検査環境に応じて適宜適切に設計すればよい。
【0022】
図4は、亀裂3における端部反射エコーを検出して亀裂3の高さdを計測する様子を示すものである。以下、ステップ毎に説明する。
【0023】
(1)図3で説明したような、あたかも亀裂3の反対面側に存在するかのように仮想的に設定した探傷装置を、仮想探傷装置4aとする。
(2)仮想探傷装置4aから入射角θで入射した超音波を亀裂3の開口部で収束させ、その反射エコー(開口部エコー)を検出する。また、このときのビーム路程W1を読み取っておく。
(3)仮想探傷装置4aを移動させ、入射角θで入射した超音波を亀裂3の端部で収束させて、その反射エコー(端部エコー)を検出する。また、このときのビーム路程W2を読み取っておく。
(4)次式(1)により、亀裂3の高さdを求める。
d=(W1−W2)cosθ ・・・(1)
【0024】
なお、仮想探傷装置4aを「移動させる」とは、実際には超音波探傷装置4を移動させることに他ならない。超音波探傷装置4の位置を調整することにより、反射波を収束させる位置を開口部〜端部へと移動させることができる。
各部からの反射エコーを検出することにより、上記式(1)に基づき、亀裂3の高さdを求めることができる。
【0025】
以上のように、本実施の形態1によれば、超音波探傷装置4を配設する面と同一面に存在する亀裂3やその高さを、精度良く検知することができる。
したがって、橋梁のデッキプレートとUリブの溶接部に生じるルート亀裂のように、従来の斜角探傷法などの手法では検知することが難しかった亀裂についても、舗装等を剥がして目視確認することなく、外部から検査することができる。
【0026】
実施の形態2.
実施の形態1では、超音波探傷装置4を配設する面とは反対の面からの反射波を亀裂3に収束させることにより、亀裂3とその高さを検知する手法について説明した。
本発明の実施の形態2では、さらに亀裂3の長さを検知する手法について説明する。
【0027】
図5は、仮想探傷装置4aを亀裂3に沿って走査することにより、亀裂3の長さを検知する様子を示すものである。なお、仮想探傷装置4aの走査とは、実施の形態1で説明したように、実際には超音波探傷装置4を走査することである。
【0028】
(1)図5において、y軸方向に仮想探傷装置4aを走査することにより、実施の形態1で説明したように、亀裂3とその高さを検知することができる。
(2)亀裂3を検知した位置において、仮想探傷装置4aを亀裂3に沿って(図5のx軸方向)走査することにより、亀裂3がx軸方向にどこまで続いているか、即ち亀裂3の長さを検知することができる。
(3)例えば、端部エコーや開口部エコーが検知される間は、亀裂3がその位置に存在していることが分かる。エコーが検知されなくなった時点で、亀裂3がその位置で終了していることが分かる。
(4)亀裂3がx軸に対して斜めに走っているのであれば、仮想探傷装置4aをx軸方向に移動した後、再度y軸方向に走査を行って再検知を実施すればよい。
【0029】
図6は、仮想探傷装置4aの走査による反射エコーの検出結果をx軸方向に連結して3次元描画したものである。図6のように3次元描画することにより、亀裂3の大まかな形状等を推測することができる。
例えば図6のように描画された場合には、以下のことが分かる。
【0030】
(1)端部エコー又は開口部エコーが検出されなくなった地点で、亀裂3が終了していることが分かる。
(2)端部エコーのピークと開口部エコーのピークの間の間隔は、亀裂3の高さdを間接的に表している。したがって、例えばこの間隔が一定であれば、亀裂3の高さdは均一であることが分かる。
(3)端部エコーと開口部エコーの検出位置が、x座標が進むにつれて次第にy座標の正方向に遠ざかっている。したがって、亀裂3はx軸に対してやや斜めに傾いて走っていることが分かる。
【0031】
また、図6では端部エコーと開口部エコーのみが検出された例を示しているが、溶接部等の形状に起因する形状エコーがこれらと同時に検出される場合もある。
このような場合に、形状エコーと端部エコー・開口部エコーを区別するためにも、図6のような視覚化をする意義は大きい。例えば、溶接部の形状に起因するエコーは、溶接部に沿って継続的に検出されるが、亀裂3に起因するエコーは亀裂3の終端で途切れる。
即ち、エコーの視覚化により、形状エコーと欠陥エコーの識別が容易となるのである。
【0032】
なお、図6のように端部エコーと開口部エコーの検出結果をそのまま3次元描画してもよいが、演算により亀裂3の推測形状を求め、その結果を描画するようにしてもよい。
ただし、形状エコーが同時に検出される可能性がある場合には、あらかじめ検査対象部の形状をデータ入力する等して、形状エコーの検出に備えておく必要がある。
【0033】
以上のように、本実施の形態2によれば、y軸方向の走査により亀裂3やその高さを特定するとともに、x軸方向の走査により亀裂3の長さを検知することができる。
また、端部エコー及び開口部エコーの検出結果を3次元描画することにより、亀裂3の形状を容易に推測することができる。亀裂3の形状を推測するために3次元描画は必ずしも必須ではないが、視覚的に表示するほうが判断が容易であるため、図6のように描画して画面表示することが好ましい。
【0034】
実施の形態3.
実施の形態1〜2において、超音波探傷装置4を配設する面とは反対の面からの反射波を亀裂3に収束させることにより、亀裂3を検知する手法について説明した。しかし、妨害エコーの存在により、端部エコーや開口部エコーを識別することができない場合が存在する。
図6のような視覚化により、端部エコーや開口部エコーと妨害エコーの区別はある程度可能であるが、妨害エコーの存在による精度低下の可能性はある。
そこで、本発明の実施の形態3では、妨害エコーの影響を低減させる構成について説明する。
【0035】
(1)適切な探触子の選択
妨害エコーが存在することにより、端部エコーや開口部エコーが妨害エコーに埋もれてしまう場合がある。そこで、エコーの検出感度を上げるため、コンポジット振動子等の高感度の探触子を用いた超音波探傷装置により探傷を実施する。
【0036】
(2)データ処理による妨害エコーの除去
健全部からの反射エコーとの差分を求めることにより、妨害エコーの影響をキャンセルすることができる。
【0037】
(3)超音波ビームの収束を強くする
亀裂3の端部や開口部からのエコーを検出しやすくするため、これら各部において超音波が正確に収束するように、収束手段を工夫する。例えば音響レンズ、曲面付振動子、フェーズドアレー探触子等を用いることが考えられる。
【0038】
以上のように、本実施の形態3によれば、妨害エコーの影響を除去し、精度良く欠陥の検知を行うことができる。
【0039】
実施の形態4.
以上の実施の形態1〜3において、非特許文献2に記載のような同時端部エコー法を用いて欠陥の評価を行ってもよい。
この場合、超音波探傷装置4を配設する面とは反対の面からの反射波の収束距離を調節し、亀裂3の開口部と端部に同時に反射波が入射するようにする。
【0040】
図7は、本実施の形態4における反射エコーの波形例と、探傷装置の走査例を示すものである。
図7(a)に示すように、同時端部エコー法を用いた超音波探傷の場合には、走査位置毎に、端部エコーと開口部エコーをともに検出して、その検出エコーを同時に画面描画する。エコーの波形ピーク間の間隔は、亀裂3の高さを表す。
図7(b)は、仮想探傷装置4aの走査例である。端部エコーと開口部エコーを同時に検出するy軸方向の走査位置を決定した後、x軸方向に走査を実行し、亀裂3のx軸方向の長さを検知する。
x軸方向の走査結果を連結することにより、図6と同様の視覚化を行うことができる。
【0041】
なお、以上の実施の形態1〜4において、超音波探傷装置4は1つで送受信を兼ねるように記載したが、送信側の探傷装置(探触子)と受信側の探傷装置(探触子)を別個に構成してもよい。
【0042】
また、以上の実施の形態において、超音波探傷装置4を走査することにより、仮想探傷装置4aを走査させることを説明したが、このような走査は、超音波探傷装置4を実際に移動させることによるのみならず、例えばフェーズドアレイ探触子等を用いて超音波の入射方向を自在に設定し、超音波探傷装置4を実際に移動させることなく、入射方向や強度の調整により仮想探傷装置4aの走査を実施してもよい。
【0043】
また、超音波探傷装置4自体に反射エコーのデータ記録部とデータ処理演算部を備えさせてもよいし、超音波探傷装置4には超音波の入射・検出手段のみ備え、データ記録部とデータ処理演算部を外部のコンピュータ等により構成して、検出データを超音波探傷装置4から外部コンピュータに出力するように構成してもよい。
【0044】
また、超音波探傷装置4の動作を制御する制御部は、超音波探傷装置4自体に備えていてもよいし、外部のコンピュータに格納した制御プログラムからの指示により動作を制御するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】デッキプレートとUリブの溶接部に生じるルート亀裂の例である。
【図2】従来の超音波探傷法と、本発明に係る超音波探傷法との差異を説明するものである。
【図3】本発明における超音波の収束について説明するものである。
【図4】亀裂3における端部反射エコーを検出して亀裂3の高さdを計測する様子を示すものである。
【図5】仮想探傷装置4aを亀裂3に沿って走査することにより、亀裂3の長さを検知する様子を示すものである。
【図6】仮想探傷装置4aの走査による反射エコーの検出結果を3次元描画したものである。
【図7】実施の形態4における反射エコーの波形例と、探傷装置の走査例を示すものである。
【符号の説明】
【0046】
1 デッキプレート、2 Uリブ、3 亀裂、4 超音波探傷装置、4a 仮想探傷装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用いて被検査物の欠陥を検査する方法に関するものであり、特に超音波の入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、橋梁のデッキプレートとUリブとの溶接部にルート亀裂が生ずる事例が報告されている。このような亀裂は、舗装下のデッキプレートに生ずるため、舗装を剥がさない限り目視による発見は不可能である。
こうした亀裂を外部から検査するため、鋼中屈折角の大きい超音波を用いた斜角探傷法が研究されている(非特許文献1)。
【0003】
また、超音波探傷に関し、『炉心板の挿入穴に対する燃料案内ピンの嵌合度に関係なく、ねじ逃げ溝部及びねじ部基端を含めた燃料案内ピンの構造健全性の検査が的確に可能な方法を提供する。』ことを目的とした技術として、『燃料案内ピン1のピン首下部1a’の亀裂検出を目的とするピン外周面からの入射の直射法に加えて、ねじ逃げ溝部1b’及びねじ部基端1c’の亀裂検出を目的とするピン外周面からの入射の一回反射法と炉心板3からの入射法とを併用する。直射法によりねじ部1b近傍の肩部1gを反射源とする形状エコーを検知して、燃料案内ピンと同一形状・寸法の対比試験片についての形状エコーと比較し、冷やし嵌めによる燃料案内ピンと炉心板の挿入穴3aとの圧接度合を予め検知する。圧接度合の検知結果は、一回反射法及び入射法の使い分け、探傷感度の補正に用いる。』というものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、欠陥の端部エコーを検出することにより欠陥を評価する手法(端部エコー法)や、欠陥の上端部・下端部のビーム路程を同時に測定して欠陥の高さを測定する手法(同時端部エコー法)が研究されている(非特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−297190号公報(要約)
【非特許文献1】”鋼床版縦リブ溶接部のルート亀裂に対する超音波伝播解析”、土木学会第59回年次学術講演会(平成16年9月)、1−604
【非特許文献2】”同時端部エコー法を用いた柱梁溶接始終端部の欠陥評価に関する実験的研究”、2006年度日本建築学会大会(関東)学術講演会、22491〜22492
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなルート亀裂の検知が困難であるのは、(1)舗装を剥がさない限り目視による発見は不可能であることに加え、(2)超音波による探傷を行おうとしても、欠陥が超音波探傷装置と同一面上に存在するため、直射法等の従来用いられてきた探傷手法がそのまま適用できないこと、が原因である。
そこで、上述の非特許文献1に記載の研究報告では、鋼中屈折角85°の横波(SV波)を用いた斜角探傷法の解析結果が示されているが、その適用性等については必ずしも明らかではない。
【0007】
そこで、本発明では、上記特許文献1に記載の一回反射法のような一回反射波を用いて、超音波の入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る超音波探傷方法は、被検査物に超音波を入射して、当該入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法であって、被検査物に超音波を入射し、入射面の反対面で反射した反射波を前記入射面の検査対象部に入射させる入射ステップと、前記検査対象部からの反射エコーを検出する検出ステップと、を有し、前記入射ステップにおいて、前記反射波が検査対象部で収束するように前記超音波を入射するものである。
【0009】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、欠陥の端部エコー及び開口部エコーを検出することにより、その欠陥の高さを検知するものである。
【0010】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、欠陥の端部エコーと開口部エコーを同時に検出するように、前記入射ステップで入射する超音波の収束距離を調節するものである。
【0011】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、反射エコーの波形を画面表示する表示部を設け、前記検出ステップで検出した反射エコーの波形を前記表示部に画面表示するステップを有するものである。
【0012】
また、本発明に係る超音波探傷方法は、前記検出ステップで検出した反射エコーの波形データと、健全部における反射エコーの波形データとの差分を求めることにより、妨害エコーの影響を除去して欠陥を特定するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る超音波探傷方法によれば、超音波探傷装置と同一面上に存在する欠陥を精度よく検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、デッキプレートとUリブの溶接部に生じるルート亀裂の例を示すものである。図1(a)は斜視図、図1(b)は側断面図である。
橋梁の舗装の下には、基板となるデッキプレートが敷設されており、その強度を増強するため、底面にUリブを溶接することがしばしば行われる。このデッキプレートとUリブの溶接ルート部において亀裂が生じる事例が、近年報告されている。
【0015】
亀裂が生じる箇所に関し、Uリブの外面側に生じた亀裂であれば、裏面からの目視確認等により検知できる可能性があるが(ただし現実的ではない)、図1(b)に示すように、Uリブの内面側に亀裂が生じた場合には、舗装やデッキプレート等をすべて剥がさない限り、目視確認は不可能である。
そこで、溶接部の欠陥検知によく用いられる超音波探傷法を用いることを考える。
【0016】
図2は、従来の超音波探傷法と、本発明に係る超音波探傷法との差異を説明するものである。以下、図2の各図について説明する。
【0017】
図2(a)は、斜角探傷法と呼ばれる従来の超音波探傷法を説明するものである。
超音波探傷装置4は、欠陥部に向けて超音波を入射し、その反射エコーを検出することにより、欠陥やその大きさ等を計測する。
斜角探傷法における超音波の入射手法には、(1)欠陥に向けて直接超音波を入射する手法(直射法)と、(2)入射面の反対面で超音波を一回反射させ、反射した超音波を欠陥に入射させる手法(一回反射法)がある。
同図に示すように、斜角探傷法は、超音波探傷装置4の走査面と反対側の面に存在する欠陥を検知する際に用いられる手法である。
【0018】
図2(b)は、斜角探傷法を用いて図1のようなルート亀裂を検知する様子を示すものである。
デッキプレート1の上には舗装がなされているため、図2(b)の上側から超音波探傷を実施することはできない。したがって、同図に示すように、亀裂3が存在する側の面に超音波探傷装置4を配設して探傷を実施することになる。
すると、亀裂3の深さにも依拠するが、入射面とほぼ平行に進行する超音波を亀裂3に入射させることとなる。
このような波は、伝播状態が必ずしも明らかではなく、したがってその反射エコーにより亀裂3を検知することへの適用性は、同様に必ずしも明らかではない(非特許文献1参照)。
【0019】
図2(c)は、本発明に係る超音波探傷法の様子を示すものである。
本発明に係る超音波探傷法では、入射面の反対面で超音波を一回反射させ、反射した超音波を亀裂3に入射させる。亀裂3からの反射エコーを検出することにより、亀裂3やその大きさを特定することができる。
【0020】
図3は、本発明における超音波の収束について説明するものである。
上述のように、Uリブの溶接ルート部に生じる亀裂は、亀裂が存在する側の面に超音波探傷装置を配設して探傷を実施することとなるが、本発明では、反対面からの反射波を利用することにより、あたかも亀裂の反対面から超音波を入射したかのような効果を狙う。
例えば、亀裂3の端部における反射エコーを検出する場合は、反対面からの反射波が端部にて収束するように、入射波を調整する。
このように入射波を調整することで、図2(a)で説明したような従来の斜角探傷法により探傷を実施しているものと同様の手順により、亀裂3を検知することができる。
【0021】
なお、図3のように端部で反射波を収束させているのは、端部における反射波の強度を強くして端部エコーの検出精度を上げるためであるが、検査対象部材の形状や材質によっては、反対面における収束を最も強くした方が、検出精度がよくなるような場合も考えられる。
このように、いずれの箇所にて収束を最も強くするかは、検査環境に応じて適宜適切に設計すればよい。
【0022】
図4は、亀裂3における端部反射エコーを検出して亀裂3の高さdを計測する様子を示すものである。以下、ステップ毎に説明する。
【0023】
(1)図3で説明したような、あたかも亀裂3の反対面側に存在するかのように仮想的に設定した探傷装置を、仮想探傷装置4aとする。
(2)仮想探傷装置4aから入射角θで入射した超音波を亀裂3の開口部で収束させ、その反射エコー(開口部エコー)を検出する。また、このときのビーム路程W1を読み取っておく。
(3)仮想探傷装置4aを移動させ、入射角θで入射した超音波を亀裂3の端部で収束させて、その反射エコー(端部エコー)を検出する。また、このときのビーム路程W2を読み取っておく。
(4)次式(1)により、亀裂3の高さdを求める。
d=(W1−W2)cosθ ・・・(1)
【0024】
なお、仮想探傷装置4aを「移動させる」とは、実際には超音波探傷装置4を移動させることに他ならない。超音波探傷装置4の位置を調整することにより、反射波を収束させる位置を開口部〜端部へと移動させることができる。
各部からの反射エコーを検出することにより、上記式(1)に基づき、亀裂3の高さdを求めることができる。
【0025】
以上のように、本実施の形態1によれば、超音波探傷装置4を配設する面と同一面に存在する亀裂3やその高さを、精度良く検知することができる。
したがって、橋梁のデッキプレートとUリブの溶接部に生じるルート亀裂のように、従来の斜角探傷法などの手法では検知することが難しかった亀裂についても、舗装等を剥がして目視確認することなく、外部から検査することができる。
【0026】
実施の形態2.
実施の形態1では、超音波探傷装置4を配設する面とは反対の面からの反射波を亀裂3に収束させることにより、亀裂3とその高さを検知する手法について説明した。
本発明の実施の形態2では、さらに亀裂3の長さを検知する手法について説明する。
【0027】
図5は、仮想探傷装置4aを亀裂3に沿って走査することにより、亀裂3の長さを検知する様子を示すものである。なお、仮想探傷装置4aの走査とは、実施の形態1で説明したように、実際には超音波探傷装置4を走査することである。
【0028】
(1)図5において、y軸方向に仮想探傷装置4aを走査することにより、実施の形態1で説明したように、亀裂3とその高さを検知することができる。
(2)亀裂3を検知した位置において、仮想探傷装置4aを亀裂3に沿って(図5のx軸方向)走査することにより、亀裂3がx軸方向にどこまで続いているか、即ち亀裂3の長さを検知することができる。
(3)例えば、端部エコーや開口部エコーが検知される間は、亀裂3がその位置に存在していることが分かる。エコーが検知されなくなった時点で、亀裂3がその位置で終了していることが分かる。
(4)亀裂3がx軸に対して斜めに走っているのであれば、仮想探傷装置4aをx軸方向に移動した後、再度y軸方向に走査を行って再検知を実施すればよい。
【0029】
図6は、仮想探傷装置4aの走査による反射エコーの検出結果をx軸方向に連結して3次元描画したものである。図6のように3次元描画することにより、亀裂3の大まかな形状等を推測することができる。
例えば図6のように描画された場合には、以下のことが分かる。
【0030】
(1)端部エコー又は開口部エコーが検出されなくなった地点で、亀裂3が終了していることが分かる。
(2)端部エコーのピークと開口部エコーのピークの間の間隔は、亀裂3の高さdを間接的に表している。したがって、例えばこの間隔が一定であれば、亀裂3の高さdは均一であることが分かる。
(3)端部エコーと開口部エコーの検出位置が、x座標が進むにつれて次第にy座標の正方向に遠ざかっている。したがって、亀裂3はx軸に対してやや斜めに傾いて走っていることが分かる。
【0031】
また、図6では端部エコーと開口部エコーのみが検出された例を示しているが、溶接部等の形状に起因する形状エコーがこれらと同時に検出される場合もある。
このような場合に、形状エコーと端部エコー・開口部エコーを区別するためにも、図6のような視覚化をする意義は大きい。例えば、溶接部の形状に起因するエコーは、溶接部に沿って継続的に検出されるが、亀裂3に起因するエコーは亀裂3の終端で途切れる。
即ち、エコーの視覚化により、形状エコーと欠陥エコーの識別が容易となるのである。
【0032】
なお、図6のように端部エコーと開口部エコーの検出結果をそのまま3次元描画してもよいが、演算により亀裂3の推測形状を求め、その結果を描画するようにしてもよい。
ただし、形状エコーが同時に検出される可能性がある場合には、あらかじめ検査対象部の形状をデータ入力する等して、形状エコーの検出に備えておく必要がある。
【0033】
以上のように、本実施の形態2によれば、y軸方向の走査により亀裂3やその高さを特定するとともに、x軸方向の走査により亀裂3の長さを検知することができる。
また、端部エコー及び開口部エコーの検出結果を3次元描画することにより、亀裂3の形状を容易に推測することができる。亀裂3の形状を推測するために3次元描画は必ずしも必須ではないが、視覚的に表示するほうが判断が容易であるため、図6のように描画して画面表示することが好ましい。
【0034】
実施の形態3.
実施の形態1〜2において、超音波探傷装置4を配設する面とは反対の面からの反射波を亀裂3に収束させることにより、亀裂3を検知する手法について説明した。しかし、妨害エコーの存在により、端部エコーや開口部エコーを識別することができない場合が存在する。
図6のような視覚化により、端部エコーや開口部エコーと妨害エコーの区別はある程度可能であるが、妨害エコーの存在による精度低下の可能性はある。
そこで、本発明の実施の形態3では、妨害エコーの影響を低減させる構成について説明する。
【0035】
(1)適切な探触子の選択
妨害エコーが存在することにより、端部エコーや開口部エコーが妨害エコーに埋もれてしまう場合がある。そこで、エコーの検出感度を上げるため、コンポジット振動子等の高感度の探触子を用いた超音波探傷装置により探傷を実施する。
【0036】
(2)データ処理による妨害エコーの除去
健全部からの反射エコーとの差分を求めることにより、妨害エコーの影響をキャンセルすることができる。
【0037】
(3)超音波ビームの収束を強くする
亀裂3の端部や開口部からのエコーを検出しやすくするため、これら各部において超音波が正確に収束するように、収束手段を工夫する。例えば音響レンズ、曲面付振動子、フェーズドアレー探触子等を用いることが考えられる。
【0038】
以上のように、本実施の形態3によれば、妨害エコーの影響を除去し、精度良く欠陥の検知を行うことができる。
【0039】
実施の形態4.
以上の実施の形態1〜3において、非特許文献2に記載のような同時端部エコー法を用いて欠陥の評価を行ってもよい。
この場合、超音波探傷装置4を配設する面とは反対の面からの反射波の収束距離を調節し、亀裂3の開口部と端部に同時に反射波が入射するようにする。
【0040】
図7は、本実施の形態4における反射エコーの波形例と、探傷装置の走査例を示すものである。
図7(a)に示すように、同時端部エコー法を用いた超音波探傷の場合には、走査位置毎に、端部エコーと開口部エコーをともに検出して、その検出エコーを同時に画面描画する。エコーの波形ピーク間の間隔は、亀裂3の高さを表す。
図7(b)は、仮想探傷装置4aの走査例である。端部エコーと開口部エコーを同時に検出するy軸方向の走査位置を決定した後、x軸方向に走査を実行し、亀裂3のx軸方向の長さを検知する。
x軸方向の走査結果を連結することにより、図6と同様の視覚化を行うことができる。
【0041】
なお、以上の実施の形態1〜4において、超音波探傷装置4は1つで送受信を兼ねるように記載したが、送信側の探傷装置(探触子)と受信側の探傷装置(探触子)を別個に構成してもよい。
【0042】
また、以上の実施の形態において、超音波探傷装置4を走査することにより、仮想探傷装置4aを走査させることを説明したが、このような走査は、超音波探傷装置4を実際に移動させることによるのみならず、例えばフェーズドアレイ探触子等を用いて超音波の入射方向を自在に設定し、超音波探傷装置4を実際に移動させることなく、入射方向や強度の調整により仮想探傷装置4aの走査を実施してもよい。
【0043】
また、超音波探傷装置4自体に反射エコーのデータ記録部とデータ処理演算部を備えさせてもよいし、超音波探傷装置4には超音波の入射・検出手段のみ備え、データ記録部とデータ処理演算部を外部のコンピュータ等により構成して、検出データを超音波探傷装置4から外部コンピュータに出力するように構成してもよい。
【0044】
また、超音波探傷装置4の動作を制御する制御部は、超音波探傷装置4自体に備えていてもよいし、外部のコンピュータに格納した制御プログラムからの指示により動作を制御するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】デッキプレートとUリブの溶接部に生じるルート亀裂の例である。
【図2】従来の超音波探傷法と、本発明に係る超音波探傷法との差異を説明するものである。
【図3】本発明における超音波の収束について説明するものである。
【図4】亀裂3における端部反射エコーを検出して亀裂3の高さdを計測する様子を示すものである。
【図5】仮想探傷装置4aを亀裂3に沿って走査することにより、亀裂3の長さを検知する様子を示すものである。
【図6】仮想探傷装置4aの走査による反射エコーの検出結果を3次元描画したものである。
【図7】実施の形態4における反射エコーの波形例と、探傷装置の走査例を示すものである。
【符号の説明】
【0046】
1 デッキプレート、2 Uリブ、3 亀裂、4 超音波探傷装置、4a 仮想探傷装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物に超音波を入射して、当該入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法であって、
被検査物に超音波を入射し、入射面の反対面で反射した反射波を前記入射面の検査対象部に入射させる入射ステップと、
前記検査対象部からの反射エコーを検出する検出ステップと、
を有し、
前記入射ステップにおいて、
前記反射波が検査対象部で収束するように前記超音波を入射する
ことを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項2】
欠陥の端部エコー及び開口部エコーを検出することにより、その欠陥の高さを検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷方法。
【請求項3】
欠陥の端部エコーと開口部エコーを同時に検出するように、前記入射ステップで入射する超音波の収束距離を調節する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波探傷方法。
【請求項4】
反射エコーの波形を画面表示する表示部を設け、
前記検出ステップで検出した反射エコーの波形を前記表示部に画面表示するステップを有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波探傷方法。
【請求項5】
前記検出ステップで検出した反射エコーの波形データと、
健全部における反射エコーの波形データとの差分を求めることにより、
妨害エコーの影響を除去して欠陥を特定する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波探傷方法。
【請求項1】
被検査物に超音波を入射して、当該入射面における、超音波の入射位置とは異なる場所に存在する欠陥を検査する方法であって、
被検査物に超音波を入射し、入射面の反対面で反射した反射波を前記入射面の検査対象部に入射させる入射ステップと、
前記検査対象部からの反射エコーを検出する検出ステップと、
を有し、
前記入射ステップにおいて、
前記反射波が検査対象部で収束するように前記超音波を入射する
ことを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項2】
欠陥の端部エコー及び開口部エコーを検出することにより、その欠陥の高さを検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷方法。
【請求項3】
欠陥の端部エコーと開口部エコーを同時に検出するように、前記入射ステップで入射する超音波の収束距離を調節する
ことを特徴とする請求項2に記載の超音波探傷方法。
【請求項4】
反射エコーの波形を画面表示する表示部を設け、
前記検出ステップで検出した反射エコーの波形を前記表示部に画面表示するステップを有する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波探傷方法。
【請求項5】
前記検出ステップで検出した反射エコーの波形データと、
健全部における反射エコーの波形データとの差分を求めることにより、
妨害エコーの影響を除去して欠陥を特定する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の超音波探傷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−14513(P2009−14513A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176635(P2007−176635)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】
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