説明

超音波探傷方法

【課題】被検査領域内の広い範囲において欠陥を効率よく検出することができる超音波探傷方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、発信探触子12aと受信探触子12bとを欠陥CL1と直交する方向に並べ、被検査領域55に沿って移動させつつ発信探触子12aから超音波を発信させると共に欠陥CL1が生じていた場合にこの欠陥CL1で回折又は反射した超音波を受信探触子12bで受信して、欠陥CL1の有無又は欠陥CL1の生じている領域を検出する第1の探傷工程と、斜角探触子13を欠陥CL1の生じている領域に対して直交する方向に配置し、欠陥CL1の生じている領域に対して直交する方向に表面53上を移動させつつ、傾斜した方向に超音波を発信させると共に欠陥CL1で回折又は反射した超音波を受信することにより欠陥高さHを検出する第2の探傷工程と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を用い、被検査物の表面割れ、内部割れ、融合不良、溶込み不良等の欠陥を検出する超音波探傷方法に関する。特に、厚肉圧力容器と、当該厚肉圧力容器に取り付くノズルやマンホール等との接合部のように複雑な形状を有する接合部における欠陥を検出及び定量するのに有利な超音波探傷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、互いに接合された第1部材及び第2部材の接合部を含む被検査領域内の欠陥、例えば、溶接によって接合された2つの鋼材(第1の鋼材及び第2の鋼材)における溶接部及びその周辺部内の欠陥(表面割れ、内部割れ、融合不良、溶込み不良等)を精度よく検出する超音波探傷方法として斜角探触子を用いた探傷方法が知られている。
【0003】
この斜角探触子を用いた超音波探傷方法として、特許文献1に記載された方法が知られている。具体的に、図23に示されるような検査対象部材150の表面153における法線方向に対して被検査領域155側に傾斜した方向に超音波を発信させる斜角探触子113を用い、この斜角探触子113を検査対象部材150の表面153に配置し、被検査領域155に対して当該被検査領域155が延びる方向と直交する方向に移動させる。そして、被検査領域155内に欠陥160が生じていた場合にこの欠陥160で回折又は反射した超音波を斜角探触子113で受信し、この受信した超音波の波形を解析することにより、被検査領域155内の欠陥160の位置及び大きさを精度よく検出することができる。
【0004】
この斜角探触子113を用いた探傷方法では、検査対象部材150の表面153に対して発信する超音波の発散角を小さくする、即ち、超音波のビームを細く絞ることによって超音波の信号強度を高め、これにより欠陥160で反射又は回折して受信する超音波の受信強度を大きくすることで、より高分解能での欠陥160の検出が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−141705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記の斜角探触子113を用いた超音波探傷方法においては、細く絞った超音波が到達する範囲しか探傷できないため探傷範囲が狭く、被検査領域155の広い範囲を探傷する場合、探傷作業に時間がかかるうえに被検査領域155内を漏れなく探傷するには細心の注意が必要となる。特に、欠陥160の検出精度向上を目的として発信超音波を絞るほど、作業時間は長くなり、また、探傷が漏れやすくなり、探傷作業が極めて煩雑となる。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、被検査領域内の広い範囲において欠陥を効率よく検出することができる超音波探傷方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、互いに接合された第1部材及び第2部材における接合部を含んだ被検査領域内に超音波を伝播させ、この伝播させた超音波を受信することで前記被検査領域内の欠陥を検出する超音波探傷方法であって、互いに交差するように前記接合部を介して連接された前記第1部材における第1の特定の表面及び第2部材における第2の特定の表面によって形成される表面上において、当該表面に対して超音波を発信する発信探触子とこの発信された超音波を前記表面から受信する受信探触子とを、前記被検査領域内で欠陥が検出される場合に予想される当該欠陥の前記表面に沿って延びる方向と直交若しくは略直交する方向に並べて配置し、このときの前記第1及び第2の特定の表面同士が交差する部位からの距離及び互いの間隔をそれぞれ維持した状態で両探触子を前記被検査領域に沿って前記表面上を移動させつつ、前記両探触子の並び方向に沿うと共に前記被検査領域に向けて前記発信探触子から超音波を発信させ、且つ前記被検査領域内に欠陥が生じていた場合にこの欠陥で回折又は反射した超音波を前記受信探触子で受信することにより、前記欠陥の有無又は前記両探触子の移動方向における前記被検査領域内での前記欠陥の生じている領域を検出する第1の探傷工程と、前記第1の探傷工程で前記欠陥が検出されたときに、前記表面に対して超音波を発信すると共にこの発信した超音波を前記表面から受信する斜角探触子を、前記欠陥の生じている領域に対して当該領域と直交若しくは略直交する方向における前記表面上の位置に配置し、この直交若しくは略直交する方向に沿って前記表面上を移動させつつ、当該斜角探触子が配置されている表面の部位における法線方向に対して前記欠陥の生じている領域側に傾斜した方向に超音波を発信させると共に前記検出された欠陥で回折又は反射した超音波を受信することにより、前記表面の法線方向における前記検出された欠陥の長さを検出する第2の探傷工程と、を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、接合部を介して互いに接続された2つの部材において、接合部に沿って延びる被検査領域内の広い範囲において欠陥を効率よく確実に検出することができる。
【0010】
即ち、探傷範囲の広い発信探触子と受信探触子とを用いた走査によって、被検査領域内の広い範囲を探傷して被検査領域内の欠陥の有無又は欠陥の生じている領域を検出し、この欠陥の生じている領域に対してのみ、探傷範囲が狭いが分解能の高い斜角探触子による走査を行うことにより、被検査領域内における欠陥の位置及び大きさを効率よく確実に且つ精度よく検出することができる。
【0011】
本発明に係る超音波探傷方法においては、前記第1の探傷工程では、前記発信探触子及び前記受信探触子が前記接合部に沿って延びる被検査領域に対して直交若しくは略直交する方向に並べられてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、被検査領域内において当該被検査領域に沿って延びる欠陥である所謂縦割れの位置及び大きさを効率よく高精度に検出することができる。即ち、発信探触子と受信探触子とが被検査領域と直交若しくは略直交する方向に並べられ、当該被検査領域に沿って表面上を移動(走査)することにより、被検査領域の延びる方向に沿って順に走査され、これにより被検査領域の延びる方向における欠陥の位置、及び当該被検査領域に沿った欠陥の長さ(以下、単に「欠陥幅」とも称する。)を精度よく検出することができる。一方、この欠陥幅の検出された欠陥に対して、斜角探触子が欠陥幅に対して直交する方向に沿って表面上を走査することにより、被検査領域を表面からの深さ方向に沿って順に走査され、これにより表面からの深さ方向の欠陥の長さ(以下、単に「欠陥高さ」とも称する。)を精度よく検出することができる。
【0013】
前記第1の探傷工程では、前記発信探触子と前記受信探触子とが共に前記第1の特定の表面又は第2の特定の表面上に配置されるのが好ましい。
【0014】
この場合、発信探触子と受信探触子とが共通の面上を走査するため、異なる面に発信探触子と受信探触子とを配置する場合に比べ、両探触子の相対位置を維持しつつ表面上を走査するのが容易になる。
【0015】
尚、前記第1の探傷工程では、前記発信探触子と前記受信探触子との一方が前記第1の特定の表面上に配置されると共に他方が前記第2の特定の表面上に配置されてもよい。両探触子がこのように配置されても、接合部を介して互いに接続された2つの部材において、複雑な形状の接合部を含み当該接合部に沿って延びる被検査領域内の広い範囲において当該被検査領域に沿って延びる欠陥を効率よく確実に且つ精度よく検出することができる。
【0016】
前記第1の探傷工程で検出された前記欠陥の生じている領域の接線方向若しくは略接線方向に前記発信探触子及び前記受信探触子を並べて前記表面上に配置し、これら両探触子をその相対位置を保った状態で前記欠陥の生じている領域と直交若しくは略直交する方向に沿って前記表面上を移動させつつ、前記欠陥の生じている領域に向けて前記発信探触子から超音波を発信させると共に前記検出された欠陥で回折又は反射した超音波を前記受信探触子で受信することにより、前記両探触子の移動方向における前記欠陥の長さを検出する幅方向探傷工程を前記第1の探傷工程と前記第2の探傷工程との間にさらに備え、前記第1の探傷工程では、前記発信探触子及び前記受信探触子が前記接合部に沿って延びる被検査領域に対して接線方向若しくは略接線方向に並べられてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、被検査領域内において当該被検査領域と直交若しくは略直交する方向に延びる欠陥である所謂横われの位置及び大きさを効率よく確実に且つ高精度に検出することができる。即ち、第1の探傷工程によって横割れ(欠陥)の有無とその横割れの生じている領域とを確実に検出することができるため、幅方向探傷工程と第2の探傷工程とを行うことにより、横割れの被検査領域における位置及び大きさを効率よく高精度に検出することができる。
【0018】
具体的に、発信探触子と受信探触子とが被検査領域と直交若しくは略直交する方向に並べられ当該被検査領域に沿って表面上を走査することでは検出し難い横割れの有無及び位置を、前記発信探触子及び前記受信探触子が前記接合部に沿って延びる被検査領域に対して接線方向若しくは略接線方向に並べられ被検査領域に沿って走査されることで確実に検出することができる。これは、発信探触子と受信探触子とが被検査領域と直交若しくは略直交する方向に並べられると、横割れに対し当該横割れの延びる方向と平行に超音波を照射することになるため、横割れで反射及び回折される超音波が少なくなり、これにより検出し難くなるからである。
【0019】
前記斜角探触子は、前記表面に対して縦波の超音波を発信するのが好ましい。
【0020】
この場合、横波の超音波を発信する斜角探触子に比べ、面状に広がる欠陥からの回折波の信号が高く且つノイズが低く抑えられるため、高S/Nでの探傷が可能となり、面状に広がる欠陥の欠陥高さの高精度の検出が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明によれば、被検査領域内の広い範囲において欠陥を効率よく検出することができる超音波探傷方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態における超音波探傷装置の概略構成図である。
【図2】前記超音波探傷装置の発信(又は受信)探触子の側面図である。
【図3】前記超音波探傷装置の集束斜角探触子における(a)はケーブルが接続された状態の側面図であり、(b)は検査対象部材の表面に配置され超音波を発信した状態の概念図である。
【図4】同実施形態に係る超音波探傷方法における(a)は両探触子をシェル表面に配置した検査対象部材の部分斜視図であり、(b)は図4(a)の両探触子の配置位置における部分拡大断面図であり、(c)は図4(a)の平面図である。
【図5】同実施形態に係る超音波探傷方法における(a)は第1の探傷工程での受信波形を示す図であり、(b)は第1の探傷工程における探傷画像の図である。
【図6】同実施形態に係る超音波探傷方法において、解析用計算機が行う第1の探傷工程での欠陥位置の解析処理を説明するための図である。
【図7】同実施形態に係る超音波探傷方法における(a)は集束斜角探触子をシェル表面に配置した検査対象部材の部分拡大平面図であり、(b)は図7(a)のA−A拡大断面図である。
【図8】同実施形態に係る超音波探傷方法における(a)は第2の探傷工程での受信波形を示す図であり、(b)は第2の探傷工程での探傷画像を示す図である。
【図9】同実施形態に係る超音波探傷方法における(a)は第3の探傷工程での両探触子の配置位置及び走査方向を示す検査対象部材の部分拡大平面図であり、(b)は欠陥を挟んで図9(a)と反対側に両探触子が配置された検査対象部材の部分拡大平面図である。
【図10】同実施形態に係る超音波探傷方法における第3の探傷工程での探傷画像を示す図である。
【図11】導実施形態に係る超音波探傷方法における第4の探傷工程での両探触子の配置及び走査方向を示す検査対象部材の部分拡大平面図である。
【図12】試験体における人工欠陥の位置を示す部分拡大断面図である。
【図13】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、図13(a)及び図13(b)に示す縦割れの第1の探傷工程での探傷画像を示す図であり、(d)は、図13(a)及び図13(b)に示す縦割れに対する第1の探傷工程と第2の探傷工程との探傷結果から求めた縦割れの位置及び大きさを表す被検査領域に沿った断面図である。
【図14】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、図14(a)及び図14(b)に示す縦割れの第1の探傷工程での探傷画像を示す図であり、(d)は、図14(a)及び図14(b)に示す縦割れに対する第1の探傷工程と第2の探傷工程との探傷結果から求めた縦割れの位置及び大きさを表す被検査領域に沿った断面図である。
【図15】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、図15(a)及び図15(b)に示す縦割れの第1の探傷工程での探傷画像を示す図であり、(d)は、図15(a)及び図15(b)に示す縦割れに対する第1の探傷工程と第2の探傷工程との探傷結果から求めた縦割れの位置及び大きさを表す被検査領域に沿った断面図である。
【図16】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた縦割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、図16(a)及び図16(b)に示す縦割れの第1の探傷工程での探傷画像を示す図であり、(d)は、図16(a)及び図16(b)に示す縦割れに対する第1の探傷工程と第2の探傷工程との探傷結果から求めた縦割れの位置及び大きさを表す被検査領域に沿った断面図である。
【図17】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、第3の探傷工程において、図17(a)及び図17(b)に示す横割れを時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図であり、(d)は、第3の探傷工程において、図17(a)及び図17(b)に示す横割れを反時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図である。
【図18】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、第3の探傷工程において、図18(a)及び図18(b)に示す横割れを時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図であり、(d)は、第3の探傷工程において、図18(a)及び図18(b)に示す横割れを反時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図である。
【図19】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、第3の探傷工程において、図19(a)及び図19(b)に示す横割れを時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図であり、(d)は、第3の探傷工程において、図19(a)及び図19(b)に示す横割れを反時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図である。
【図20】(a)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域と直交する方向の断面図であり、(b)は、検査対象部材の所定の深さ位置に生じた横割れを示す被検査領域に沿った方向の断面図であり、(c)は、第3の探傷工程において、図20(a)及び図20(b)に示す横割れを時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図であり、(d)は、第3の探傷工程において、図20(a)及び図20(b)に示す横割れを反時計回りに両探触子で走査したとき得られる探傷画像の図である。
【図21】他実施形態に係る超音波探傷方法において一方の探触子をノズル表面に配置し、他方の探触子をシェル表面に配置した検査対象部材の部分斜視図である。
【図22】(a)乃至(g)は、本発明に係る超音波探傷方法で探傷可能な検査対象部材を例示する図である。
【図23】従来の斜角探触子を用いた探傷方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態に係る超音波探傷方法に用いられる超音波探傷装置は、超音波を用い、互いに接合された2つの部材(検査対象部材)の接合部を含んだ被検査部内の欠陥(表面割れ、内部割れ、融合不良、溶込み不良等)を検出する装置である。本実施形態において検査対象部材は、円筒の周面形状に形成されたシェルに円筒形状のノズルが溶接(接合)されたもので、被検査領域は、これらシェルとノズルとの溶接部と当該溶接部の周辺を含んで溶接部に沿って延びる部位である(図4(a)参照)。
【0025】
具体的に、本実施形態に係る超音波探傷装置は、図1に示されるように、一対の探触子12a,12bと、集束斜角探触子(斜角探触子)13と、これら一対の探触子12a,12b及び斜角探触子13がそれぞれケーブルk1、k2を介して接続された超音波探傷器30と、この超音波探傷器30で得られた検査情報に基づき欠陥の有無等を解析するための解析用計算機40と、を備える。
【0026】
一対の探触子12a,12bは、図2にも示されるように、発信探触子12aと受信探触子12bとで構成されている。発信探触子12aは、先端に設けられた発信部14aから検査対象部材の表面(探傷面)53(図4(a)参照)に対して超音波を発信するためのものである。本実施形態の発信探触子12aは、発信部14aからパルス状の超音波の縦波を発信する。また、受信探触子12bは、先端に設けられた受信部14bで表面53から超音波、詳細には、発信探触子12aから発信され、検査対象部材50の表面53及び内部を伝播してきた超音波を受信するためのものである。
【0027】
これら発信探触子12a及び受信探触子12b(以下、単に「両探触子12」と称することもある。)は、前記表面53に対して0〜90°、即ち、表面53に対して法線方向から平行な方向までの範囲内で超音波を発信又は受信できるように構成されている。そのため、両探触子12の探傷範囲が広く、被検査領域の広い範囲を効率よく探傷することができる。
【0028】
また、両探触子12の先端部には当該探触子12a又は12bが表面53上を滑らかに移動できるようにシュー20が取り付けられている。シュー20は、表面53と接する当接面22を有する。このシュー20は、探触子12a(又は12b)に対して着脱自在であり、検査対象部材50における超音波の屈折角や探触子寸法に合わせて交換される。
【0029】
尚、本実施形態において、発信探触子12aと受信探触子12bとはそれぞれ独立しているが、発信探触子12aと受信探触子12bとの相対位置を固定して高精度な探傷を行うために、互いが連結機構(図示省略)によって連結されていてもよい。
【0030】
集束斜角探触子(以下、単に「斜角探触子」とも称する。)13は、表面53に対して超音波を発信すると共に、表面53から超音波を受信するためのものである。具体的に、斜角探触子13は、図3(a)及び図3(b)にも示されるように、超音波を表面53に対して発信すると共に、表面53から超音波を受信する振動子13aを備える。本実施形態の斜角探触子13は、縦波の超音波を発信する。この斜角探触子13は、下端に表面53と接する当接面15を有し、表面53に当接面15が接した状態で超音波を発信及び受信する。斜角探触子13は、当該探触子13が配置されている表面53の部位における法線方向に対して前方側(図3(b)においては左側)に傾斜した方向に超音波を発信する。この斜角探触子13により発信される超音波は、検査対象部材の内部を細いビーム状に伝播する(図3(b)参照)。このように、斜角探触子13においては、探傷範囲が狭くなるが、発信する超音波のビーム径を絞ることによって信号強度を高め、これにより高分解能での欠陥CL1(図4(b)参照)の検出が可能となる。
【0031】
斜角探触子13では、検査対象部材の表面53からの深さ方向の探傷範囲が限られている。そのため、検査対象部材50の厚みによって、深さ方向の探傷範囲が異なる複数の斜角探触子13を用いる必要がある。この場合、欠陥の探傷漏れをなくすために、深さ方向の探傷範囲が上下にずれた斜角探触子13、13において、一方の斜角探触子13の探傷範囲の下端側と、他方の斜角探触子13の探傷範囲の上端側とが重なるような斜角探触子13、13を用いる。本実施形態では、厚さ350mmの検査対象部材に対して探傷を行うため、例えば、深さ方向の探傷範囲が1)0〜40mm、2)5〜100mm、3)15〜200mm、4)50〜350mm、5)100〜400mmの5種類の斜角探触子13が用いられる。
【0032】
超音波探傷器30は、CRT、LCD等で構成される表示手段(モニタ)32が接続され、発信探触子12a及び斜角探触子13に超音波を発生させるための信号を生成してそれぞれ送信すると共に受信探触子12b及び斜角探触子13からの超音波の受信信号(受信波形)をそれぞれ受信し、表示手段32に探傷結果を表示(例えば、図5(a)、図5(b)、図8(a)及び図8(b)参照)させるものである。また、超音波探傷器30は、受信波形を格納する探傷結果記憶手段(図示省略)も備える。
【0033】
解析用計算機40は、CRT、LCD等で構成される表示手段(モニタ)42が接続され、超音波探傷器30の探傷結果記憶手段から探傷結果情報を読み取り、欠陥存在置位の解析を行うものである。解析用計算機40は、汎用の計算器(いわゆるパソコン)と同様に、CPU、RAM、ROM、HDD、FDD、CDR、キーボード、マウス等を備え(図示省略)、ハードディスク(又はROM、RAM等)には、OS及び欠陥の位置を解析するための解析プログラムが予め記憶されている。尚、ハードディスクに代えて、CD、LD、メモリーカード等の他の外部記憶手段に解析プログラムが記憶されており、解析を実行する際にRAMに読み込む形態でもよい。
【0034】
次に、以上の構成からなる超音波探傷装置10の両探触子12及び斜角探触子13を用いた探傷方法について図4(a)乃至図4(c)も参照しつつ説明する。
【0035】
本実施形態における検査対象部材50は、互いに接合された第1部材51及び第2部材52で構成されている。具体的には、円筒の周面形状のシェル(第1部材)51に円筒形状のノズル(第2部材)52が溶接(接合)されたものである。この検査対象部材50において超音波探傷装置10によって探傷が行われる被検査領域55は、シェル51とノズル52との溶接部We及びこの溶接部Weの周辺を含み、溶接部Weに沿って延びる領域である。
【0036】
本実施形態の超音波探傷方法では、縦割れの探傷を行ったあとに横割れの探傷を行っているが、これに限定されない。即ち、必要に応じて縦割れの探傷のみが行われてもよく、横割れの探傷のみが行われてもよい。ここで、縦割れCL1とは、被検査領域55に沿って延びる欠陥のことをいい(図4(c)参照)、横割れCL2とは、被検査領域55の延びる方向と直交若しくは略直交する方向に延びる欠陥のことをいう(図9(a)参照)。尚、本実施形態のような溶接部We内及びその周囲に欠陥が生じる場合には、通常、縦割れ又は/及び横割れが生じ、他の方向に延びる欠陥が生じることは極めて稀であるため、本実施形態では、縦割れ及び横割れの探傷のみを行っている。
【0037】
まず、縦割れCL1の探傷方法と、横割れCL2の探傷方法との概略を説明する。
【0038】
縦割れCL1の検出には、下記の第1〜第2の探傷工程が行われる。また、横割れCL2の検出には、下記の第3〜第5の探傷工程が行われる。
【0039】
第1の探傷工程とは、表面53において被検査領域55と直交する方向に発信探触子12aと受信探触子12bとを並べて配置し、これら両探触子12を被検査領域55に沿って移動させることにより、被検査領域55内において縦割れCL1が生じていれば、その生じている領域を検出することができる工程である。
【0040】
第2の探傷工程とは、第1の探傷工程において検出された縦割れCL1の生じている領域に対して直交(若しくは略直交)する方向に斜角探触子13を配置し、前記直交する方向に斜角探触子13を移動させることにより、縦割れCL1の表面53からの深さ方向の上端位置と下端位置とを検出することができる工程である。
【0041】
第3の探傷工程とは、表面53において被検査領域55の接線方向(若しくは略接線方向)に発信探触子12aと受信探触子12bとを並べて配置し、これら両探触子12を被検査領域55に沿って移動させることにより、被検査領域55内における横割れCL2の有無及び被検査領域における横割れCL2の生じているおおよその領域を検出することができる工程である。
【0042】
第4の探傷工程とは、第3の探傷工程において検出された横割れCL2の生じている領域の接線方向(若しくは略接線方向)に発信探触子12aと受信探触子12bとを並べて配置し、これら両探触子12を横割れCL2の生じている領域と直交(若しくは略直交)する方向に沿って移動させることにより、両探触子12の移動方向における横割れCL2の長さを検出することができる工程である。
【0043】
第5の探傷工程とは、第3の探傷工程において検出された横割れCL2に対して直交(若しくは略直交)する方向に斜角探触子13を配置し、前記直交する方向に斜角探触子13を移動させることにより、横割れCL2の表面53からの深さ方向の上端位置と下端位置とを検出することができる工程である。
【0044】
以下、詳細に説明するが、まず、縦割れCL1の探傷(第1の探傷工程及び第2の探傷工程)について説明する。
【0045】
<第1の探傷工程>
検査対象部材50の表面53上に一対の探触子12a,12bが配置される。ここで、探触子12a(又は12b)が配置される表面53は、互いに交差するように溶接部Weを介して連接されたシェル51の表面(第1部材における第1の特定の表面)及びノズル52の表面(第2部材における第2の特定の表面)によって形成される面である。尚、本実施形態において、表面53におけるシェル51の表面に対応する部位をシェル表面51a、ノズル52の表面に対応する部位をノズル表面52aと称する場合もある。
【0046】
このとき、図4(a)乃至図4(c)にも示されるように、両探触子12(発信探触子12a及び受信探触子12b)は、溶接部Weに沿って延びる被検査領域55に対して直交する方向に並べて配置される。詳しくは、両探触子12は、共にシェル表面51a上に配置される。尚、本実施形態において、両探触子12が並べられる方向は、被検査領域55と直交する方向であるが、略直交(前記直交する方向に対して10°以内が好ましい。)する方向であってもよい。また、本実施形態では、被検査領域55に対して前側(被検査領域55側)に発信探触子12aが配置され、後側(被検査領域55と反対側)に受信探触子12bが配置されるが、逆の配置、即ち、被検査領域55に対して前側に受信探触子12bが配置され、後側に発信探触子12aが配置されてもよい。
【0047】
このように配置された後、シェル表面51a及びノズル表面52a同士が交差する部位(溶接部We)からの距離及び互いの間隔をそれぞれ維持した状態で両探触子12は、被検査領域55に沿って表面53(詳しくは、シェル表面51a)上を移動する。このとき、発信探触子12aは、両探触子12の並び方向に沿うと共に被検査領域55に向けて超音波を発信しつつ移動する。一方、受信探触子12bは、発信探触子12aが発信して検査対象部材50内を伝播し、被検査領域55内に縦割れ(欠陥)CL1が生じていた場合にこの縦割れCL1で回折又は反射した超音波を表面53から受信しつつ移動する。
【0048】
このように被検査領域55と直交する方向に並べられた両探触子12は、当該探触子12a,12bを結ぶ方向との交差部付近の被検査領域55内の縦割れCL1を検出することができる。従って、前記のように両探触子12が被検査領域55に沿って移動しつつ当該被検査領域55内の縦割れCL1の検出を行うことで、縦割れCL1が生じていた場合には、被検査領域55内での両探触子12の移動(走査)方向における縦割れCL1の生じている領域を検出することができる。
【0049】
また、第1の探傷工程では、縦割れCL1の延びる方向と両探触子12での走査方向とが平行若しくは略平行であるため、被検査領域55内における縦割れCL1の生じている領域だけでなく、当該被検査領域55に沿った縦割れの長さ(欠陥幅)Lを精度よく検出することもできる(図4(c)及び図5(b)参照)。
【0050】
尚、第1の探傷工程における両探触子12による探傷では、表面53からの深さ方向、及び両探触子12の並び方向における探傷範囲が広いため、前記のように両探触子12の並び方向と直交する方向に走査することによって、広い範囲を探傷することができる。しかし、走査方向における欠陥CL1の長さである欠陥幅Lの検出精度は高いが、後述するように表面からの深さ方向における欠陥CL1の長さである欠陥高さH、及び欠陥深さDの検出精度は低いため、第1の探傷工程だけでは縦割れCL1の大きさ及び位置を精度よく検出することができない。
【0051】
このように両探触子12で走査したときに得られた受信波形(図5(a)参照)は、超音波探傷器30に送信される。超音波探傷器30は、この受信波形を両探触子12の表面53上での走査距離と対応付けて探傷結果記憶手段に記憶する。また、この受信波形を超音波探傷器30から受け取った解析用計算機40によって当該受信波形に表れる欠陥上端信号Sig1及び欠陥下端信号Sig2と走査距離等とに対応して導出された探傷画像(図5(b)参照)が超音波探傷器30の表示手段32に表示される。
【0052】
ここで、欠陥上端信号Sig1(又は欠陥下端信号Sig2)とは、発信探触子12aから発信されて検査対象部材50内を伝播し、欠陥上端CLa(又は欠陥下端CLb)で回折又は反射した後、他の部位で回折や反射されることなく受信探触子12bで受信された超音波の受信信号(受信波形)をいう。
【0053】
以上のように両探触子12で走査を行うことで得られた受信波形が超音波探傷器30及び解析用計算機40によって解析されることにより、被検査領域55内の縦割れCL1の有無、縦割れCL1の欠陥幅Lが精度よく検出される。
【0054】
具体的に、解析用計算機40は、受信探触子12bからの走査において得られた受信波形に縦割れCL1からの信号が含まれているか否かを判定する。縦割れCL1からの信号が含まれていると判定した場合には、走査距離と欠陥信号が含まれていると判定されている時間とに基づき、縦割れCL1の被検査領域55に沿った長さ、即ち、欠陥幅Lが求められる。詳細には、解析用計算機40は、超音波探傷器30の表示手段32の探傷画像上に欠陥の上端と下端とを表示させる(図5(b)参照)。この欠陥上端CLa及び下端CLbの探傷画像上の左右両端部は円弧状となり、この円弧状部分を除いた直線部の長さが欠陥幅Lとなる。
【0055】
詳細には、解析用計算機40では、以下のようにして解析が行われる。
【0056】
まず、受信探触子12bで受信した受信波形(超音波)に基づき発信探触子12aから縦割れCL1の所定の部位を経て受信探触子12bに至る超音波の伝播距離(欠陥伝播距離)を求める。即ち、発信探触子12aから縦割れCL1の所定の部位(本実施形態においては、縦割れCL1の上端CLa又は下端CLb)で回折又は反射されて受信探触子12bに至る超音波の欠陥信号伝播時間t1又はt2(図5(a)参照)を求め、この欠陥信号伝播時間t1又はt2と検査対象部材50内の超音波の伝播速度とから欠陥伝播距離を求める。
【0057】
そして、発信探触子12aから検査対象部材50(詳細には、被検査領域55)内の仮想点Vp(図6参照)で回折して受信探触子12bに至る超音波の伝播距離(PS1+PS2)が欠陥信号伝播距離と一致した状態で発信探触子12aが表面53に対して種々の方向の超音波を発信したときの仮想点の軌跡で構成される回転楕円面を求める。
【0058】
この回転楕円面と両探触子12a,12bを通り且つ表面53に直交する面(ローカス解析平面(図6における紙面))との交線であるローカスRc1を求める。このローカスRc1は、楕円曲線で構成され、被検査領域55内における縦割れCL1の所定の部位(本実施形態においては、縦割れCL1の上端CLa又は下端CLb)が存在する可能性のある点の軌跡であり、縦割れCL1の上端CLa及び下端CLbに対応した2本のローカスRc1が求められる。このローカスRc1が処理され、探傷画像上に表示される。
【0059】
以上のように、第1の探傷工程での両探触子12による探傷では、被検査領域55内における縦割れCL1の生じている領域と、縦割れCL1の欠陥幅Lを精度よく検出することができるが、表面53からの深さ方向においては縦割れCL1の存在する可能性がある範囲としての2本のローカスRc1しか求めることができないため、縦割れCL1の欠陥高さHと欠陥深さDとは精度よく検出することができない。
【0060】
そこで、両探触子12での走査により縦割れCL1が検出されると、この縦割れCL1の欠陥高さHと欠陥深さDとを精度よく求めるために、斜角探触子13を用いた第2の探傷工程が行われる。一方、両探触子12による走査で縦割れCL1が検出されなかった場合は、斜角探触子13を用いた第2の探傷工程が行われずに、横割れCL2の探傷が行われる。
【0061】
<第2の探傷工程>
まず、表面53上に斜角探触子13が配置される。このとき斜角探触子13は、図7(a)及び図7(b)にも示されるように、第1の探傷工程で検出された縦割れCL1が生じている領域に対し、被検査領域55が延びる方向の略中央で当該縦割れCL1の生じている領域と直交(又は略直交)する線上に配置される。尚、本実施形態では、縦割れCL1の形状が略矩形状の面状欠陥であるため、斜角探触子13は、前記の略中央位置を走査するが、縦割れCL1の形状が歪な形状である場合は、2本のローカスRc1の間隔が最も大きくなった位置を走査する(図16(c)参照)。
【0062】
このように配置された後、斜角探触子13は、縦割れのCL1の延びる方向、即ち、縦割れCL1の生じている領域と直交(若しくは略直交)する方向に表面53上を移動する。このとき斜角探触子13は、当該斜角探触子13が配置されている表面53の部位における法線方向に対して縦割れCL1が生じている領域側に傾斜した方向に超音波を発信させると共に、発信して検査対象部材50内を伝播し、被検査領域55内の縦割れCL1で回折又は反射した超音波を受信しつつ移動する。
【0063】
以上のように斜角探触子13により走査を行うことで得られた受信波(図8(a)参照)は、超音波探傷器30に送信される。超音波探傷器30は、この受信波形を斜角探触子13の表面53上での走査距離と対応付けて探傷結果記憶手段に記憶する。この受信波形を超音波探傷器30から受け取った解析用計算機40により当該受信波形に表れる欠陥上端信号Sig3及び欠陥下端信号Sig4と走査距離等とに対応して導出された探傷画像(図8(b)参照)が超音波探傷器30の表示手段32に表示される。また、解析用計算機40によって解析されることにより、被検査領域55内の縦割れCL1の上端CLaと下端CLbとの位置が精度よく検出される。
【0064】
尚、斜角探触子13は、前記のように探傷可能な深さ範囲が決まっているため、2本のローカスRc1間を1つの斜角探触子13による走査で探傷できない場合には、探傷可能な深さ範囲の異なる複数の斜角探触子13による走査を繰り返す。これにより、2本のローカスRc1間を全て探傷することができ、縦割れCL1の欠陥高さH及び欠陥深さDを精度よく且つ確実に検出することができる。
【0065】
しかも、本実施形態の斜角探触子13は、縦波の超音波を発信するため、横波の超音波を発信する斜角探触子に比べ、面状に広がる欠陥からの回折波の信号が高く且つノイズが低く抑えられる。そのため、当該斜角探触子13を用いることで、高S/Nでの探傷が可能となり、面状に広がる欠陥(縦割れや横割れ)の上端CLa及び下端CLb位置の高精度での検出が可能となる。その結果、縦割れCL1の欠陥高さH及び欠陥深さDが高精度に検出される。
【0066】
具体的に、解析用計算機40は、斜角探触子13から走査において得られた受信波形に縦割れCL1からの欠陥信号が含まれている時間と走査距離等とに基づき、欠陥高さHが求められる。詳細には、解析用計算機40は、探傷画像上に縦割れCL1の上端CLaと下端CLbとを表示させる(図8(b)参照)。この縦割れCL1の上端CLa及び下端CLbからの欠陥上端信号及び欠陥下端信号との間隔、及び第1の探傷工程で検出された縦割れCL1の上端CLaと下端CLbとに基づき、解析用計算機40によって欠陥高さHが求められる。
【0067】
このとき、解析用計算機40では、以下のようにして解析が行われる。
【0068】
まず、斜角探触子13で受信した受信波形(超音波)に基づき、当該斜角探触子13から縦割れCL1の所定の部位を経て戻ってくる超音波の伝播距離(欠陥伝播距離)を求める。詳細には、斜角探触子13から縦割れCL1の所定の部位(本実施形態においては、欠陥CLの上端CLa又は下端CLb)で回折又は反射されて戻ってくる超音波の欠陥信号伝播時間t3又はt4(図8(a)参照)を求め、この欠陥信号伝播時間t3又はt4と検査対象部材50内の超音波の伝播速度とから欠陥伝播距離を求める。
【0069】
超音波が発信される方向は固定されているため、この方向と欠陥伝播距離と走査距離とから縦割れCL1の上端CLaと下端CLbとの位置がそれぞれ求められる。そして、これら上端CLa及び下端CLbの位置、及び第1の探傷工程で検出された縦割れCL1の上端CLaと下端CLbとから、欠陥高さH及び欠陥深さDが精度よく求められる。
【0070】
以上のような第1の探傷工程と第2の探傷工程によって被検査領域55の全域における縦割れCL1の検出が行われる。
【0071】
このように両探触子12を用いた第1の探傷工程によって被検査領域55内の縦割れCL1が生じている領域を検出し、斜角探触子13を用いた第2の探傷工程によって、被検査領域のうち第1の探傷工程で検出された縦割れCL1の生じている領域のみを走査することにより、接合部Weを介して互いに接続された2つの部材51、52において、接合部Weに沿って延びる被検査領域55内の広い範囲において縦割れCL1を効率よく確実に且つ高精度に検出することができる。
【0072】
即ち、探傷範囲の広い発信探触子12aと受信探触子12bとを用いた第1の探傷工程での走査によって、被検査領域55内の広い範囲を探傷して被検査領域55内の縦割れCL1の生じている領域を検出し、第2の探傷工程において、この縦割れCL1の生じている領域に対してのみ、探傷範囲が狭いが分解能の高い斜角探触子13による走査を行うことにより、被検査領域55内における縦割れCL1の位置及び大きさを効率よく確実に且つ精度よく検出することができる。
【0073】
尚、欠陥幅Lの方向において複数箇所で斜角探触子13による走査を行うことにより、より高精度に縦割れCL1の形状を検出することができるが、本実施形態では、効率よく欠陥(縦割れCL1)の検出を行うために、縦割れCL1の欠陥幅Lの方向において1箇所だけで斜角探触子13による走査(探傷)を行っている。この場合、例えば、図16(b)に示す形状の欠陥を探傷するときに、第1の探傷工程で求められたローカスRc1の間隔が最も大きくなった位置だけを斜角探触子13により走査することで、実際の縦割れCL1が内部に含まれる大きさの欠陥が検出されるが(図16(c)及び図16(d)参照)、欠陥寸法の測定において、実測値(実際の寸法)より測定値の方が大きな値となることは、工業分野では安全側に評価されるため問題がない。そのため、本実施形態では探傷効率を優先し、第2の探傷工程では1箇所のみで斜角探触子13による走査が行われる。同様の理由から、第5の探傷工程においても、斜角探触子13による走査は、1箇所のみで行われる。
【0074】
次に、横割れCL2の探傷(第3〜第5の探傷工程)について説明する。
【0075】
<第3の探傷工程>
検査対象部材50の表面53上に一対の探触子12a,12bが配置される。このとき、図9(a)に示されるように、両探触子12(発信探触子12a及び受信探触子12b)は、溶接部Weに沿って延びる被検査領域55に対し、接線方向(若しくは略接線方向)に並べて配置される。尚、本実施形態では、被検査領域55に対して前側(被検査領域側:図9(a)においては上側)に発信探触子12aが配置され、後側(被検査領域と反対側:図9(a)においては下側)に受信探触子12bが配置されているが、逆の配置、即ち、被検査領域55に対して前側に受信探触子12bが配置され、後側に発信探触子12aが配置されてもよい。
【0076】
このように配置された後、シェル表面51a及びノズル表面52a同士が交差する部位(溶接部We)からの距離及び互いの間隔をそれぞれ維持した状態で両探触子12は、被検査領域55に沿って表面53(シェル表面51a)上を移動する。本実施形態では、両探触子12は図9(a)において反時計回りに移動する。尚、両探触子12の走査方向は、図9(a)において反時計回りでなく、時計回りであってもよい。また、両探触子12は、図9(b)に示すように、横割れCLに対して図9(a)と反対側の接線上に配置されてもよい。
【0077】
このとき、発信探触子12aは、両探触子12の並び方向に沿うと共に被検査領域55に向けて超音波を発信しつつ移動する。一方、受信探触子12bは、発信探触子12aが発信して検査対象部材50内を伝播し、被検査領域55内に横割れCL2が生じていた場合にこの横割れCL2で回折又は反射した超音波を表面53から受信しつつ移動する。
【0078】
このように被検査領域55に対して接線方向に並べられた両探触子12は、前記のように両探触子12が被検査領域55に沿って移動しつつ探傷を行うことで、横割れCL2の有無及び被検査領域55における横割れCL2の生じている領域を検出することができる。
【0079】
具体的に、両探触子12で走査したときに得られた受信波形は、超音波探傷器30に送信される。超音波探傷器30は、この受信波形を両探触子12の表面53上での走査距離と対応付けて探傷結果記憶手段に記憶する。また、被検査領域55内に横割れCL2が生じていた場合には、受信波形を超音波探傷器30から受け取った解析用計算機40により当該受信波形に表れる欠陥上端信号及び欠陥下端信号と走査距離等とに対応して導出された探傷画像(図10)参照)が超音波探傷器30の表示手段32に表示される。
【0080】
このように、両探触子12が被検査領域55に対して接線方向(若しくは略接線方向)に並べられ被検査領域55に沿って走査されることで、両探触子12が被検査領域55と直交若しくは略直交する方向に並べられ当該被検査領域55に沿って表面53上を走査することでは検出し難い横割れの有無及び位置を検出することが可能となる。しかし、図10に示されるように、この探傷工程における走査によっては、横割れCL2の有無や、横割れCL2が生じている被検査領域55内の走査方向におけるおおよその領域の検出は可能であるが、横割れCL2の欠陥幅Lや欠陥高さHを精度よく検出することができない。そこで、以下の第4及び第5の探傷工程によって、横割れCL2の欠陥幅Lや欠陥高さH等の検出が行われる。
【0081】
<第4の探傷工程>
第3の探傷工程において、被検査領域55内に横割れCL2が検出された場合には、図11に示されるように、両探触子12が前記被検査領域55における横割れCL2の生じている領域の接線(若しくは略接線)方向に沿って両探触子12を並べて表面53上に配置する。
【0082】
このように配置された後、互いの間隔をそれぞれ維持した状態で両探触子12は、被検査領域55における横割れCL2の生じている領域と直交(若しくは略直交)する方向に沿って走査する。このとき、発信探触子12aは、両探触子12の並び方向に沿うと共に横割れCL2に向けて超音波を発信しつつ移動する。一方、受信探触子12bは、発信探触子12aが発信して検査対象部材50内を伝播し、被検査領域55内の横割れCL2で回折又は反射した超音波を表面53から受信しつつ移動する。
【0083】
これは、前記のように、通常、被検査領域55内には縦割れか横割れしか発生しないため、横割れが被検査領域55内に在ることが分れば、走査方向を決めることができるからである。即ち、このように両探触子12を配置して被検査領域55における横割れCL2の生じている領域と直交(若しくは略直交)する方向に走査することにより、横割れCL2の延びる方向に沿って走査することになり、その結果、欠陥幅Lを精度よく検出することができる。
【0084】
<第5の探傷工程>
このようにして、第4の探傷工程で横割れCL2の欠陥幅Lが検出されると、縦割れCL1の探傷を行った第2の探傷工程と同様にして、横割れCL2の欠陥高さHを斜角探触子13を用いて探傷する。
【0085】
以上のように第3〜第5の探傷工程によって、被検査領域55内において当該被検査領域55と直交若しくは略直交する方向に延びる欠陥である横割れCL2の大きさを効率よく確実に且つ高精度に検出することができる。即ち、被検査領域55の接線方向に両探触子12を並べて走査する第3の探傷工程によって横割れ(欠陥)の有無とその横割れCL2の生じている領域とを確実に検出することができるため、第4の探傷工程と第5の探傷工程とを行うことにより、横割れCL2の被検査領域55における位置及び大きさを効率よく高精度に検出することができる。
【0086】
具体的に、発信探触子12aと受信探触子12bとが第1の探傷工程のように被検査領域55と直交する方向に並べられ当該被検査領域55に沿って表面53上を走査することでは検出し難い横割れCL2の有無及び位置を、発信探触子12a及び受信探触子12bが被検査領域55に対して接線方向に並べられ被検査領域55に沿って走査されることで確実に検出することができる。これは、発信探触子12aと受信探触子12bとが被検査領域55と直交する方向に並べられると、横割れCL2に対し当該横割れCL2の延びる方向と平行に超音波を照射することになるため、横割れCL2で反射及び回折される超音波が少なくなり、これにより検出し難くなるからである。
【実施例1】
【0087】
超音波探傷装置10を用いて前記実施形態に係る超音波探傷方法を行った。図12に示されるように、試験体Exとしてノズル溶接部を模擬した350mm厚さのものを用いた。この試験体Exは、材質が炭素鋼で、その内表面がステンレス鋼の肉盛溶接にて形成され、前記の実施形態におけるノズル52に相当する部分の厚さが225mm(但し、下記の人工欠陥の位置からノズルに相当する部分の内面位置までの距離:図12参照)、シェル51に相当する部分の厚さが350mmに形成されている。前記の実施形態における溶接部Weに相当する部分には人工欠陥ACL1乃至ACL3が形成されている。
【0088】
この人工欠陥ACL1乃至ACL3は、試験体Ex内に形成された縦割れを模擬したスリット状の人工欠陥で、前記の実施形態における溶接部Weに相当する部分の外表面、内表面及び内部にそれぞれ設けられている。
【0089】
外表面及び内表面に設けられた外表面欠陥ACL1と内表面欠陥ACL2との大きさ(寸法)は、高さが10mm、長さが20mmである。また、内部に設けられた内部欠陥ACL3の大きさは、高さが20mm、長さが20mmである。尚、人工欠陥ACL1乃至ALC3の高さは、欠陥高さ方向の長さであり、人工欠陥ACL1乃至ACL3の長さは、欠陥長さ方向の長さである。
【0090】
この試験体Exに対し、第1の探傷工程と第2の探傷工程とを行い、欠陥の検出を行った。その結果を表1に示す。尚、内部欠陥ACL3の検出では、第1の探傷工程での両探触子12の間隔や、各探触子12a、12bの被検査領域からの距離を変更して3回の検出を行った。
【0091】
【表1】

【0092】
この結果から、全ての欠陥が検出されていることが確認できる。
【0093】
上記結果において、欠陥長さ及び欠陥高さは、いずれも測定値の方が実際の人工欠陥ACL1乃至ACL3の大きさ(実測値)よりも大きな値となっている。欠陥寸法の測定において、実測値(実際の寸法)より測定値の方が大きな値となることは、工業分野では安全側に評価される。
【0094】
以上より、当該超音波探傷方法におけるノズル溶接部の欠陥検出能力及び寸法測定能力の有用性が確認できた。
【実施例2】
【0095】
次に、超音波探傷装置10を用いた前記実施形態に係る超音波探傷方法により、深さ位置、及び異なる形状の欠陥の検出を行った。
【0096】
図13(a)、図14(a)、図15(a)及び図16(a)、並びに図13(b)、図14(b)、図15(b)及び図16(b)は、検査対象部材50の各深さ位置に生じた縦割れCL1を示す模式図であって、図13(a)、図14(a)、図15(a)及び16(a)は、被検査領域と直交する方向の断面図であり、図13(b)、図14(b)、図15(b)及び図16(b)は、被検査領域に沿った方向の断面図である。図13(c)、図14(c)、図15(c)及び図16(c)は、第1の探傷工程での探傷画像、及び第2の探傷工程において斜角探触子13により探傷(走査)する位置を示す図である。図13(d)、図14(d)、図15(d)及び図16(d)は、第1の探傷工程と第2の探傷工程とにおける探傷結果から求めた縦割れCL1の位置及び大きさを表す被検査領域に沿った断面図である。
【0097】
また、図17(a)、図18(a)、図19(a)及び20(a)、並びに図17(b)、図18(b)、図19(b)及び図20(b)は、検査対象部材50の各深さ位置に生じた横われCL2を示す模式図であって、図17(a)、図18(a)、図19(a)及び20(a)は、被検査領域と直交する方向の断面図であり、図17(b)、図18(b)、図19(b)及び図20(b)は、被検査領域に沿った方向の断面図である。図17(c)、図18(c)、図19(c)及び図20(c)、及び図17(d)、図18(d)、図19(d)及び図20(d)は、第3の探傷工程での探傷画像を示す図であって、図17(c)、図18(c)、図19(c)及び図20(c)は、図9(a)において被検査領域55に沿って時計回りに両探触子12で走査したときの図であり、図17(d)、図18(d)、図19(d)及び図20(d)は、図9(a)において被検査領域55に沿って反時計回りに両探触子12で走査したときの図である。
【0098】
以上の各図から、縦割れCL1や横割れCL2、また、形状に関わりなく、いずれの深さ位置に欠陥が生じていても検出されている。
【0099】
また、欠陥CL1、CL2の欠陥幅Lの方向において、1箇所しか斜角探触子13による探傷を行っていないが、検出されたいずれの欠陥(図13(d)、図14(d)、図15(d)及び図16(d)参照)も、実際の欠陥よりも大きいため問題がない。これは、欠陥寸法の測定において、実測値(実際の寸法)より測定値の方が大きな値となることは、工業分野では安全側に評価されるからである。
【0100】
以上より、第2の探傷工程及び第5の探傷工程において斜角探触子13による探傷を1箇所しか行わなくても、当該超音波探傷方法における欠陥検出能力及び寸法測定能力の有用性が確認できた。
【0101】
尚、本発明に係る超音波探傷方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0102】
上記の実施形態における縦割れCL1の検出では、第1の工程において、両探触子12が共にシェル表面51aに配置されているが、この配置に限定されず、図21に示されるように、一方の探触子12a(又は12b)がノズル表面52aに配置され、他方の探触子12b(又は12a)がシェル表面51aに配置されてもよい。この場合も、被検査領域55と直交若しくは略直交する方向に並ぶように両探触子12が表面53上に配置され、被検査領域55に沿って走査することで、縦割れCL1の有無及び欠陥幅Lを精度よく検出することができる。
【0103】
また、上記の実施形態においては、検査対象部材50として円筒の周面形状のシェル51に円筒形状のノズル52を前記シェル51の表面と直交する方向に接合(溶接)された部材が用いられているが、これに限定される必要はない。例えば、図22(a)及び図22(b)に示されるように、ノズル52の軸がシェル51の軸方向及び円周方向にオフセットするように接合された部材であってもよい。また、図22(c)及び図22(d)に示されるように、表面が球面形状(曲面形状)のシェル51であってもよいし、ノズルの軸心がオフセットされていてもよい。また、図22(e)乃至図22(g)に示されるように、いわゆるT継手、角継手又は十字継手で構成される部材であってもよい。
【0104】
即ち、本発明に係る超音波探傷方法によれば、例えば、図22(a)乃至図22(g)に記載の部材における溶接部We及びこの溶接部Weを含んで当該溶接部Weに沿って延びる被検査領域のような接合部を介して互いに接続された2つの部材において、複雑な形状の接合部を含み当該接合部に沿って延びる被検査領域内の広い範囲において欠陥を効率よく確実に且つ精度よく検出することができる。
【符号の説明】
【0105】
12a 発信探触子
12b 受信探触子
13 集束斜角探触子(斜角探触子)
50 検査対象部材
51 シェル(第1部材)
51a シェル表面(第1の特定の表面)
52 ノズル(第2部材)
52a ノズル表面(第2の特定の表面)
53 表面
55 被検査領域
CL1 縦割れ(欠陥)
CL2 横割れ(欠陥)
H 欠陥高さ
L 欠陥幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合された第1部材及び第2部材における接合部を含んだ被検査領域内に超音波を伝播させ、この伝播させた超音波を受信することで前記被検査領域内の欠陥を検出する超音波探傷方法であって、
互いに交差するように前記接合部を介して連接された前記第1部材における第1の特定の表面及び第2部材における第2の特定の表面によって形成される表面上において、当該表面に対して超音波を発信する発信探触子とこの発信された超音波を前記表面から受信する受信探触子とを、前記被検査領域内で欠陥が検出される場合に予想される当該欠陥の前記表面に沿って延びる方向と直交若しくは略直交する方向に並べて配置し、このときの前記第1及び第2の特定の表面同士が交差する部位からの距離及び互いの間隔をそれぞれ維持した状態で両探触子を前記被検査領域に沿って前記表面上を移動させつつ、前記両探触子の並び方向に沿うと共に前記被検査領域に向けて前記発信探触子から超音波を発信させ、且つ前記被検査領域内に欠陥が生じていた場合にこの欠陥で回折又は反射した超音波を前記受信探触子で受信することにより、前記欠陥の有無又は前記両探触子の移動方向における前記被検査領域内での前記欠陥の生じている領域を検出する第1の探傷工程と、
前記第1の探傷工程で前記欠陥が検出されたときに、前記表面に対して超音波を発信すると共にこの発信した超音波を前記表面から受信する斜角探触子を、前記欠陥の生じている領域に対して当該領域と直交若しくは略直交する方向における前記表面上の位置に配置し、この直交若しくは略直交する方向に沿って前記表面上を移動させつつ、当該斜角探触子が配置されている表面の部位における法線方向に対して前記欠陥の生じている領域側に傾斜した方向に超音波を発信させると共に前記検出された欠陥で回折又は反射した超音波を受信することにより、前記表面の法線方向における前記検出された欠陥の長さを検出する第2の探傷工程と、を備えることを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波探傷方法において、
前記第1の探傷工程では、前記発信探触子及び前記受信探触子が前記接合部に沿って延びる被検査領域に対して直交若しくは略直交する方向に並べられることを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の超音波探傷方法において、
前記第1の探傷工程では、前記発信探触子と前記受信探触子とが共に前記第1の特定の表面又は第2の特定の表面上に配置されることを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の超音波探傷方法において、
前記第1の探傷工程では、前記発信探触子と前記受信探触子との一方が前記第1の特定の表面上に配置されると共に他方が前記第2の特定の表面上に配置されることを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波探傷方法において、
前記第1の探傷工程で検出された前記欠陥の生じている領域の接線方向若しくは略接線方向に前記発信探触子及び前記受信探触子を並べて前記表面上に配置し、これら両探触子をその相対位置を保った状態で前記欠陥の生じている領域と直交若しくは略直交する方向に沿って前記表面上を移動させつつ、前記欠陥の生じている領域に向けて前記発信探触子から超音波を発信させると共に前記検出された欠陥で回折又は反射した超音波を前記受信探触子で受信することにより、前記両探触子の移動方向における前記欠陥の長さを検出する幅方向探傷工程を前記第1の探傷工程と前記第2の探傷工程との間にさらに備え、
前記第1の探傷工程では、前記発信探触子及び前記受信探触子が前記接合部に沿って延びる被検査領域に対して接線方向若しくは略接線方向に並べられることを特徴とする超音波探傷方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波探傷方法において、
前記斜角探触子は、前記表面に対して縦波の超音波を発信することを特徴とする超音波探傷方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−47705(P2011−47705A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194552(P2009−194552)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【出願人】(594126159)神鋼検査サービス株式会社 (9)
【Fターム(参考)】