説明

超音波探傷試験による欠陥検出確率の解析方法

【課題】擬似欠陥を溶接金属内に有する非破壊試験用溶接試験片を用いて、超音波探傷試験による欠陥検出確率を高い精度で解析することができる解析方法を提供する。
【解決手段】(A)母材1を溶接する溶接金属2内に擬似欠陥3を有する非破壊試験用溶接試験片10を製作し、(B)溶接試験片10を用い、擬似欠陥3の寸法と放射線透過試験による測定値との関係を示す放射線透過試験データ12を取得し、(C)溶接試験片10を用い、擬似欠陥3の寸法と超音波探傷試験による信号の大きさとの関係を示す超音波探傷試験データ14を取得し、(D)超音波探傷試験データ14から超音波探傷試験による擬似欠陥3の検出確率を示すPOD曲線16を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷試験による欠陥検出確率の解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の内部欠陥を試験する体積的な非破壊試験(Non−destructive Testing:NDT)として、放射線透過試験や超音波探傷試験が知られている。ここで、「体積的な試験」とは、内部欠陥の試験を意味する。
また、非破壊試験(NDT)は、非破壊検査(Non−destructive Inspection:NDI)又は非破壊評価(Non−destructive Evaluation:NDE)とも呼ばれる。
【0003】
上述した非破壊試験は、通常、内部に欠陥を有する試験片(以下、標準試験片と呼ぶ)を用いた比較試験であり、標準試験片を用いて放射線透過試験や超音波探傷試験の欠陥検出能力を調査する。また標準試験片は、検査条件の設定や品質レベルの確認にも用いられる。
【0004】
従って、非破壊試験において検出可能な欠陥寸法を定量化することは極めて重要であり、その手段として欠陥検出確率の利用が提案されている(例えば、特許文献1,2、非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−134524号公報、「媒体欠陥検出・登録方法及びこれを用いた装置」
【特許文献2】特開2005−221265号公報、「原子力発電プラント機器検査方法および原子力発電プラント機器検査システム」
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“NONDESTRUCTIVE EVALUATION SYSTEM RELIABILITY ASSESSMENT”MIL−HDBK−1823A, 7 April 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
欠陥検出確率(POD:Probability of Detection)は、横軸が欠陥の寸法、縦軸が特定の非破壊検査による欠陥の検出確率を示すS字形の曲線として表現される。以下、この曲線をPOD曲線と呼ぶ。
超音波探傷試験のPOD曲線は、以下のような用途に適用することができる。
(1)構造物の非破壊検査における合否基準の設定、点検頻度の設定。
(2)新しい非破壊検査技術又は装置の定量的性能把握。
(3)異なった非破壊試験方法の定量的な比較。
(4)使用中の装置における劣化度合いの定量的評価。
(5)検査技術者の能力把握。
【0008】
内部に欠陥を有する試験片(標準試験片)の場合、非特許文献1には拡散接合による標準試験片の製作が例示されている。
しかし、内部欠陥については従来、自然欠陥に近い欠陥を作製する手段がなかった。そのため体積的な試験方法ではその能力を評価するには自然欠陥に近い欠陥を用いた試験が必要であるが、従来は適切に試験方法を評価できなかった。
【0009】
ティグ溶接(TIG溶接)では、タングステン電極を用いるため、溶接後の溶接金属内に異物としてタングステンが混入する場合がある。またその他の溶接法、例えば被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、ミグ溶接(MIG溶接)、等でも溶接後の溶接金属内に異物が混入する場合がある。
しかし、従来の試験片は、溶接後の溶接金属内に異物が存在しないため、実際の自然欠陥とは大きく相違し、溶接部の非破壊試験用試験片としては問題があった。
【0010】
また、金属片同士を実際に溶接し、その溶接中の溶融池に異物(例えばタングステン)を混入させた場合、異物の界面(特に裏側)にミクロ的な隙間ができ、実際の自然欠陥と相違する問題があった。また、この場合、異物の位置を正確に位置決めできない問題点もあった。
【0011】
そのため、従来、溶接後の溶接金属内に異物が存在する場合に、超音波探傷試験による欠陥検出確率を示すPOD曲線の作成は非常に困難であった。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、擬似欠陥を溶接金属内に有する非破壊試験用溶接試験片を用いて、超音波探傷試験による欠陥検出確率を高い精度で解析することができる解析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、(A)母材を溶接する溶接金属内に擬似欠陥を有する非破壊試験用溶接試験片を製作し、
(B)前記溶接試験片を用い、擬似欠陥の寸法と放射線透過試験による測定値との関係を示す放射線透過試験データを取得し、
(C)前記溶接試験片を用い、擬似欠陥の寸法と超音波探傷試験による信号の大きさとの関係を示す超音波探傷試験データを取得し、
(D)超音波探傷試験データから前記超音波探傷試験による擬似欠陥の検出確率を示すPOD曲線を作成する、ことを特徴とする超音波探傷試験による欠陥検出確率の解析方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上記本発明の方法によれば、母材を溶接する溶接金属内に擬似欠陥を有する非破壊試験用溶接試験片を製作するので、実際の自然欠陥に近い擬似欠陥を有し、かつ異物の位置を正確に位置決めした溶接試験片を用いることができる。
【0015】
また、溶接試験片を製作するので、擬似欠陥の寸法と位置は予め既知であり、放射線透過試験により精度の高い放射線透過試験データを取得することができる。
【0016】
さらに、寸法と位置が既知の擬似欠陥に対して超音波探傷試験により信号の大きさを検出するので、精度の高い超音波探傷試験データを容易に取得することができる。
【0017】
欠陥の寸法と超音波探傷試験による信号の大きさとの関係を示すデータ(超音波探傷試験データ)から、欠陥の検出確率を示すPOD曲線を作成するソフトウェア(mh1823 POD software)は、非特許文献1に開示されている。
従って、このソフトウェアを用いて擬似欠陥の検出確率を示すPOD曲線を作成することにより、超音波探傷試験による欠陥検出確率を高い精度で解析することができる。
【0018】
従って、本発明の方法によれば、溶接部内部の異物欠陥に対する超音波探傷試験のPOD曲線を容易に取得することができ、装置或いは方法の能力把握などが定量化できる。
【0019】
言い換えれば、従来の超音波探傷試験でもサイジング評価を行っているが、確率的にどの程度の正確さでサイジング評価を行っているかが不明であった。しかし、本発明によりPOD曲線を取得できるので、POD曲線を用いて所望の確率で異物の大きさを推定することができる。

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の解析方法を示す全体フロー図である。
【図2】非破壊試験用溶接試験片の製作方法を示す説明図である。
【図3】製作した溶接試験片を示す図である。
【図4】溶接試験片を用いた放射線透過試験の試験結果を示す図である。
【図5】溶接試験片を用いた超音波探傷試験により得られたデータを示す図である。
【図6】超音波探傷試験による擬似欠陥の検出確率を示すPOD曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の解析方法を示す全体フロー図である。
この図に示すように、本発明の解析方法は、S1〜S6の各ステップ(工程)からなる。
【0023】
S1では、母材1を溶接する溶接金属2内に擬似欠陥3を有する非破壊試験用溶接試験片10(以下、単に「溶接試験片」と呼ぶ)を製作する。
S2では、製作した溶接試験片10を用い、擬似欠陥3の寸法と放射線透過試験による測定値との関係を示す放射線透過試験データ12を取得する。
S3では、製作した溶接試験片10を用い、擬似欠陥3の寸法と超音波探傷試験による信号の大きさとの関係を示す超音波探傷試験データ14を取得する。
S4では、取得した超音波探傷試験データ14から超音波探傷試験による擬似欠陥3の検出確率を示すPOD曲線16を作成する。
S5では、放射線透過試験データ12から、特定の寸法に対する測定結果の標準偏差σを求める。
S6では、標準偏差σを用いてPOD曲線16を安全サイドに補正する。
【0024】
図2は、溶接試験片10の製作方法を示す説明図である。この図に示すように、非破壊試験用溶接試験片(溶接試験片)は、(a)〜(i)の順で製作する。
【0025】
この方法は、図2(i)に示すように、母材1を溶接する溶接金属2内に擬似欠陥3を有する非破壊試験用溶接試験片10を製作する方法である。
母材1は、溶接可能な金属材料、例えば、鉄鋼材料、チタン材料、ニッケル合金等の超合金、又はステンレス鋼である。
溶接金属2は、母材1を溶接するために用いる金属材料であり、好ましくは母材1と同一の金属材料2aである。
【0026】
擬似欠陥3は、母材1より融点が高く、溶融金属2と互いに拡散する金属、金属間化合物、酸化物、又は炭化物である。擬似欠陥3として、例えば、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、炭化チタン(TiC)、炭化モリブデン(MoC)などを用いることができる。
擬似欠陥3の形状は任意であるが、擬似欠陥3と溶接金属2の間にミクロ的な隙間を作らないことが重要である。従って、このような隙間ができにくい球形、楕円体、平板、直方体、等が好ましい。
また、擬似欠陥3の大きさは任意であるが、実際の自然欠陥を模擬して最大径が1〜8mmの範囲、更に好ましくは3〜4mmであるのがよい。
【0027】
図2(a)において、初めに溶接金属2と同一金属2aからなり擬似欠陥3を位置決めする位置決め治具4を準備し、擬似欠陥3を位置決め治具4に位置決めする。
位置決め治具4の形状は任意であるが、後述する溶接(図2(b))において、擬似欠陥3の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接できるように、擬似欠陥3の支持部4aは溶接により溶け込む厚さに設定し、かつ擬似欠陥3の全体が溶接金属2で囲まれるように位置決め治具4の上下に凹み4bがあることが好ましい。
【0028】
次いで、図2(b)において、溶接金属2と同一金属2aを用いて、擬似欠陥3の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接する。この溶接はTIG溶接又はMAG溶接であるのが好ましい。
【0029】
次に、図2(c)において、溶接金属2a内に擬似欠陥3を有する埋め込み片5を製作する。このステップでは、埋め込み片5の外面を機械加工する。
埋め込み片5の形状は任意であるが、後述する溶接(図2(e))において、埋め込み片5の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接できるように、埋め込み片5の金属片6(後述する)との接合部5aは溶接により溶け込む厚さに設定し、かつ金属片6との溶接部分に開先を設けることが好ましい。この開先角度は、例えば金属片6の接合面に対して30〜45°であるのがよい。
【0030】
埋め込み片5の外面を機械加工後、最初に予備試験を行うこととし、切断し、ミクロ評価で隙間が無いことを確認することが好ましい。以下この予備試験を「切断ミクロ評価」と呼ぶ。ミクロ的隙間が無いことが確認できたら、製造工程を固定して、予備試験と同じ条件で溶接を行う。
【0031】
次いで、図2(d)において、埋め込み片5を母材1と同じ母材金属からなる金属片6に位置決めする。この位置決めは、例えば、擬似欠陥3を金属片6の厚さの中心に位置決めし、埋め込み片5を母材1に溶接金属2と同一金属2aを用いて仮付けする。
【0032】
次に、図2(e)(f)において、溶接金属2と同一金属2aを用いて、埋め込み片5の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接する。この溶接はTIG溶接又はMAG溶接であるのが好ましい。
【0033】
次に、図2(g)において、溶接金属2a内に擬似欠陥3を有する溶接試験片7を製作する。このステップでは、溶接試験片7の外面を機械加工する。
溶接試験片7の形状は任意であるが、この例では、2つの溶接試験片7を突き合わせ溶接できるように、製作した2つ溶接試験片7の擬似欠陥3を有する溶接金属部に開先面8を加工する。この開先角度は、例えば溶接試験片7の表面に直交する平面に対して30〜45°であるのがよい。
この機械加工後、上述した切断ミクロ評価を行うことが好ましい。ミクロ的隙間が無いことが確認できたら、製造工程を固定して、予備試験と同じ条件で溶接を行う。
【0034】
次に、図2(h)において、溶接金属2と同一金属2aを用いて、2つの溶接試験片7の開先面8同士を突合せ溶接する。この溶接はTIG溶接又はMAG溶接であるのが好ましい。
この溶接後、上述した切断ミクロ評価を行うことが好ましい。ミクロ的隙間が無いことが確認できたら、製造工程を固定して、予備試験と同じ条件で溶接を行う。
【0035】
次いで、図2(i)に示すように、突合せ溶接後の溶接試験片7の外面を機械加工して非破壊試験用溶接試験片10が完成する。
なお、突合せ溶接は、必須ではなく、上述した溶接試験片7を非破壊試験用溶接試験片10として用いてもよい。
【実施例1】
【0036】
図3は、製作した非破壊試験用溶接試験片10を示す図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。溶接試験片10の大きさは、幅235mm×長さ360mm×厚さ38mmである。
この実施例では、母材1として鉄鋼材料(SM490)を用い、溶接金属2として、母材1と同じ鉄鋼材料(SM490)を用いた。
また擬似欠陥3としてタングステン球を用いた。タングステン球の直径は、1〜16mmの範囲とした。
各擬似欠陥3(タングステン球)は、厚さの中心位置に、図3(A)の上端から直径5,6,7,8mmの順で配置した。
【0037】
図3において、A,Bは基準面、X,Yは溶接試験片10に設定してX軸とY軸、a〜hは擬似欠陥3の位置、図中の1〜4の数字は、超音波探傷試験における探傷方向を示している。
【0038】
図4は、溶接試験片10を用いた放射線透過試験の試験結果を示す図である。この図において、横軸は擬似欠陥3(タングステン球)に寸法であり、縦軸はX線法(放射線透過試験)による寸法測定結果である。この図は、擬似欠陥3の寸法と放射線透過試験による測定値との関係を示す放射線透過試験データ12である。
【0039】
この放射線透過試験の撮影条件は以下の通りである。
(1)電圧:950kV
(2)X線フィルム:FUJI#50(寸法:10インチ×12インチ)
(3)焦点−フィルム間距離:1500mm
(4)増感紙
Front(線源側)Pb:0.5mm、Back(フィルム側)Pb:1.0mm
(5)SF50によるX線フィルムのデータ取り込み(取り込みピッチ50μm)
(6)画像処理:Rhythm Flash Filter
【0040】
図4から、製作した溶接試験片10は、界面にミクロ的な隙間がない自然に近い擬似欠陥3を溶接金属2内に有し、かつ擬似欠陥3を溶接金属2内に正確に位置決めすることができることが確認された。
【0041】
図5は、溶接試験片10を用いた超音波探傷試験により得られたデータを示す図である。この図は擬似欠陥3の寸法(横軸)と超音波探傷試験による信号の大きさ(縦軸)との関係を示す超音波探傷試験データ14である。
【0042】
この超音波探傷試験の試験条件は以下の通りである。
(1)探傷器 TomoScan Focus LT TomoView 2.7R6
(2)探触子 5L32A11 32チャンネル
(3)周波数 5MHz
(4)感度設定 JIS Z 3060 RB41 No.2を80%に設定
【0043】
図6は、超音波探傷試験による擬似欠陥3の検出確率を示すPOD曲線16を示す図である。この図において、横軸は欠陥寸法a(mm)、縦軸はPOD(欠陥検出確率)である。
POD曲線16は、上述した放射線透過試験データ12(放射線透過試験の寸法結果)と超音波探傷試験データ14(超音波探傷試験のエコー高さのデータ)を非特許文献1のMILハンドブックに基づくソフトウェア(mh1823 POD software)によって解析することにより、得ることができる。
【0044】
一般的に、欠陥検出限界は95%信頼度で90%検出確率の値a90/95の値で示す。また、本発明では、S5において放射線透過試験データ12から、特定の寸法(例えば2mm)に対する測定結果の標準偏差σを求め、S6において、標準偏差σを用いてPOD曲線16を安全サイドに補正している。
すなわち、放射線透過試験データ12から得られた誤差3σ(この例では0.58mm)を考慮し、a90/95+0.58を超音波探傷試験による欠陥検出限界とすることにより、より安全サイドにPOD曲線16を用いてPOD解析を行うことができる。
【0045】
上述した本発明の方法によれば、母材1を溶接する溶接金属2内に擬似欠陥3を有する非破壊試験用溶接試験片10を製作するので、実際の自然欠陥に近い擬似欠陥3を有し、かつ異物の位置を正確に位置決めした溶接試験片10を用いることができる。
【0046】
また、溶接試験片10を製作するので、擬似欠陥3の寸法と位置は予め既知であり、放射線透過試験により精度の高い放射線透過試験データ12を取得することができる。
【0047】
さらに、寸法と位置が既知の擬似欠陥3に対して超音波探傷試験により信号の大きさを検出するので、精度の高い超音波探傷試験データ14を容易に取得することができる。
【0048】
欠陥の寸法と超音波探傷試験による信号の大きさとの関係を示すデータ(超音波探傷試験データ14)から、欠陥の検出確率を示すPOD曲線を作成するソフトウェア(mh1823 POD software)は、非特許文献1に開示され既知である。
従って、このソフトウェアを用いて擬似欠陥3の検出確率を示すPOD曲線16を作成することにより、超音波探傷試験による欠陥検出確率(POD)を高い精度で解析することができる。
従って、本発明の方法によれば、溶接部内部の異物欠陥に対する超音波探傷試験のPOD曲線16を容易に取得することができ、装置或いは方法の能力把握などが定量化できる。
【0049】
言い換えれば、従来の超音波探傷試験でもサイジング評価を行っているが、確率的にどの程度の正確さでサイジング評価を行っているかが不明であった。しかし、本発明によりPOD曲線16を取得できるので、POD曲線16を用いて所望の確率で異物の大きさを推定することができる。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することができることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
1 母材、
2 溶接金属、2a 溶接金属と同一金属、
3 擬似欠陥、4 位置決め治具、
4a 支持部、4b 凹み、
5 埋め込み片、5a 接合部、
6 金属片、7 溶接試験片、
8 開先面、
10 非破壊試験用溶接試験片(溶接試験片)、
12 放射線透過試験データ、
14 超音波探傷試験データ、
16 POD曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)母材を溶接する溶接金属内に擬似欠陥を有する非破壊試験用溶接試験片を製作し、
(B)前記溶接試験片を用い、擬似欠陥の寸法と放射線透過試験による測定値との関係を示す放射線透過試験データを取得し、
(C)前記溶接試験片を用い、擬似欠陥の寸法と超音波探傷試験による信号の大きさとの関係を示す超音波探傷試験データを取得し、
(D)超音波探傷試験データから前記超音波探傷試験による擬似欠陥の検出確率を示すPOD曲線を作成する、ことを特徴とする超音波探傷試験による欠陥検出確率の解析方法。
【請求項2】
前記擬似欠陥の寸法と放射線透過試験による測定結果との関係から、特定の寸法に対する前記測定結果の標準偏差σを求め、
前記標準偏差σを用いてPOD曲線を安全サイドに補正する、ことを特徴とする請求項1に記載の解析方法。
【請求項3】
前記(A)において、
(A1)溶接金属と同一金属からなり擬似欠陥を位置決めする位置決め治具を準備して擬似欠陥を位置決めし、
(A2)前記溶接金属と同一金属を用いて、前記擬似欠陥の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属内に擬似欠陥を有する埋め込み片を製作し、
(A3)前記埋め込み片を前記母材と同じ母材金属からなる金属片に位置決めし、
(A4)前記溶接金属と同一金属を用いて、前記埋め込み片の外面全体をミクロ的な隙間なく溶接して、溶接金属内に擬似欠陥を有する溶接試験片を製作する、ことを特徴とする請求項1に記載の解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−64668(P2013−64668A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204009(P2011−204009)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000198318)株式会社IHI検査計測 (132)
【Fターム(参考)】