説明

超音波洗浄装置

【課題】 従来の超音波洗浄装置では、常に棒状ホーン1の傾斜面1aとワークの微小間隙の間に洗浄液を流入しなければ、被洗浄体の回転による遠心力で外側に洗浄液が流れてしまうという問題があつた。
【解決手段】 1は棒状ホーン、1aは傾斜面、1bは膨大部、2は圧電体振動子、3は振動子ケース、5はネジ、6はケーブル、6aはコードで、これらの構成は上記従来例と同じであるので、説明は省略するが、本実施例では、棒状ホーン1に微少間隙を開けて囲むように構成された洗浄液ケース7が形成され、この洗浄液ケース7の上端7aは膨大部1bの上部に固着された支持部8にねじ9によりねじ止めされ、又、洗浄液ケース7の下端7bは棒状ホーン1の傾斜面1aより僅かに長く形成され、さらに、洗浄液ケース7の側部に洗浄液供給口10が固着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状ホーンの周囲の洗浄液ケースに洗浄液を供給し、棒状ホーンの傾斜面から超音波を照射するようにしてワークを洗浄する超音波洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図2に示すように、棒状ホーン1の一端が斜めに切断されて、傾斜面1aが形成され、棒状ホーン1の他端に膨大部1bが構成されて、この膨大部1bに圧電体振動子2が装着され、この圧電体振動子2を覆うように振動子ケース3が棒状ホーン1の膨大部1bにパッキン4を介して固定され、振動子ケース3の端部をケーブル5が貫通し、ケーブル5のコード5aが圧電体振動子2に接続されている。
【0003】
このように構成された従来の超音波洗浄装置では、棒状ホーン1の傾斜面1aを基板等の被洗浄体に微小間隙を開けて対向して装着し、棒状ホーン1の傾斜面1aと被洗浄体の微小間隙の間に洗浄液を流入して、図示しない発振器から発振出力を圧電体振動子2に印加すると、圧電体振動子2から照射された超音波は棒状ホーン1の傾斜面1aに伝達され、この傾斜面1aからワークとの間に流入された洗浄液を介してワークの表面に付着している汚物や汚れを洗浄することができる。
【0004】
しかしながら、従来の超音波洗浄装置では、常に棒状ホーン1の傾斜面1aとワークの微小間隙の間に洗浄液を流入しなければ、被洗浄体の回転による遠心力で外側に洗浄液が流れてしまうという欠点があつた。
【特許文献1】特開2006−326486
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、従来の超音波洗浄装置では、常に棒状ホーン7の傾斜面7aと被洗浄体の微小間隙の間に洗浄液を流入しなければ、被洗浄体の回転による遠心力で外側に洗浄液が流れてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、一端に超音波放射面としての傾斜面が形成され、他端に圧電体振動子を装着した超音波伝播体の棒状ホーンと、前記圧電体振動子を覆うように装着された振動子ケースと、該振動子ケースの端部に通され、前記圧電体振動子に接続するケーブルと、前記棒状ホーンに微少間隙を開けて周囲を囲み、前記棒状ホーンの傾斜面側の一端部が開放されて前記棒状ホーンの長さより僅かに長く、前記棒状ホーンと同じ傾斜面を有し、他端は前記振動子ケース近傍の前記棒状ホーンに固定された洗浄液ケースとからなり、前記洗浄液ケースの端部をワークに接触させることにより、該ワークに対向して棒状ホーンの傾斜面が微小間隔を保って装着され、前記洗浄液ケースに洗浄液を供給し、前記洗浄液ケース内を通って、前記棒状ホーンの前記傾斜面に洗浄液を流入し、前記ワークを洗浄するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の超音波洗浄装置では、洗浄液ケースの端部をワークに接触させることにより、棒状ホーンの傾斜面がワークに対向して微小間隔を保って装着することができ、洗浄液ケースに洗浄液を供給することにより、洗浄液ケース内を通って棒状ホーンの傾斜面に洗浄液が流入され、棒状ホーンの傾斜面に洗浄液が保持されて、ワークを洗浄することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例の超音波洗浄装置の側面断面図である。
【図2】従来の超音波洗浄装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明では、洗浄液ケースは棒状ホーンに微少間隙を開けて周囲を囲み、棒状ホーンの傾斜面側の一端部が開放されて棒状ホーンの長さより僅かに長く、棒状ホーンと同じ傾斜面を有し、他端は振動子ケース近傍の前記棒状ホーンに固定されることにより、洗浄液ケース内を通って棒状ホーンの傾斜面に洗浄液が流入され、棒状ホーンの傾斜面に洗浄液が保持されて、ワークが洗浄される。
【実施例】
【0010】
図1は本発明の実施例の超音波洗浄装置の側面断面図で、1は棒状ホーン、1aは傾斜面、1bは膨大部、3は振動子ケース、5はケーブルで、これらの構成は上記従来例と同じであるので、説明は省略するが、本実施例では、棒状ホーン1に微少間隙を開けて囲むように構成された洗浄液ケース7が形成され、この洗浄液ケース7の上端7aは膨大部1bの上部に固着された支持部8にねじ9によりねじ止めされ、又、洗浄液ケース7の下端7bは棒状ホーン1の傾斜面1aより僅かに長く形成され、さらに、洗浄液ケース7の側部に洗浄液供給口10が固着されている。
【0011】
このように構成した本実施例の超音波洗浄装置では、図1に示すように、台11の上に載置したワーク12の上に洗浄液ケース7の下端7bを接触させて、洗浄液供給口10より洗浄液13を供給すると、洗浄液13は棒状ホーン1の傾斜面1aとワーク12の間に溜まり、過剰な洗浄液13は洗浄液ケース7の下端7bとワーク12の間から流れる。
【0012】
本発明は、このように洗浄液ケース7の内部に洗浄液13を供給することにより、洗浄液ケース7と棒状ホーン1の下端1bの周囲に洗浄液が溜まるので、この洗浄液に向けて棒状ホーン1の傾斜面1aから超音波を照射することにより、ワーク12を洗浄することができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
なお、本発明の上記実施例では、ワーク12を平らな面として示したが、湾曲した面であっても、洗浄液13は棒状ホーン1の傾斜面1aとワーク12の間に溜めることができ、過剰な洗浄液13は洗浄液ケース7の下端7bとワーク12の間から流すことができる。
【符号の説明】
【0014】
1 棒状ホーン
2 圧電体振動子
3 振動子ケース
6 ケーブル
7 洗浄液ケース
8 支持部
9 ねじ
10 洗浄液供給口
11 台
12 ワーク
13 洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に超音波放射面としての傾斜面が形成され、他端に圧電体振動子を装着した超音波伝播体の棒状ホーンと、前記圧電体振動子を覆うように装着された振動子ケースと、該振動子ケースの端部に通され、前記圧電体振動子に接続するケーブルと、前記棒状ホーンに微少間隙を開けて周囲を囲み、前記棒状ホーンの傾斜面側の一端部が開放されて前記棒状ホーンの長さより僅かに長く、前記棒状ホーンと同じ傾斜面を有し、他端は前記振動子ケース近傍の前記棒状ホーンに固定された洗浄液ケースとからなり、前記洗浄液ケースの端部をワークに接触させることにより、該ワークに対向して棒状ホーンの傾斜面が微小間隔を保って装着され、前記洗浄液ケースに洗浄液を供給し、前記洗浄液ケース内を通って、前記棒状ホーンの前記傾斜面に洗浄液を流入し、前記ワークを洗浄することを特徴とする超音波洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−260016(P2010−260016A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114088(P2009−114088)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】