超音波画像処理装置
【課題】3次元超音波画像における画質を向上する。あるいは、ボリュームレンダリングにおいて設定されるレイの本数を削減できるようにする。
【解決手段】ボリュームレンダリング法に基づいてボリュームデータから原イメージが生成される。表示イメージ中の注目画素に対応する対応点が原イメージ上に定められる。対応点を通過する複数の候補方向が定められ、各候補方向ごとに分散値が演算される。最大分散値をとる法線方向の直交方向として、あるいは、最小分散値をとる方向として、組織輪郭に沿った参照方向が定められる。当該方向における複数の画素値に基づいて注目画素の補間画素値が演算される。方向性補間処理に続いてコントラスト強調処理が適用される。
【解決手段】ボリュームレンダリング法に基づいてボリュームデータから原イメージが生成される。表示イメージ中の注目画素に対応する対応点が原イメージ上に定められる。対応点を通過する複数の候補方向が定められ、各候補方向ごとに分散値が演算される。最大分散値をとる法線方向の直交方向として、あるいは、最小分散値をとる方向として、組織輪郭に沿った参照方向が定められる。当該方向における複数の画素値に基づいて注目画素の補間画素値が演算される。方向性補間処理に続いてコントラスト強調処理が適用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波画像処理装置に関し、特に、三次元超音波画像の画質を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像処理装置は、超音波の送受波によって得られたデータに基づいて超音波画像を形成し、あるいは、そのような超音波画像を処理する装置である。超音波画像処理装置は、超音波診断装置や情報処理装置として構成される。後者は例えば超音波診断装置から転送されるデータを処理するコンピュータである。形成対象又は処理対象となる超音波診断画像は、二次元超音波画像、三次元超音波画像、等である。
【0003】
生体内三次元空間から取得されたボリュームデータ(エコーデータ集合体)に対してボリュームレンダリング法を適用することにより、三次元超音波画像(ボリュームレンダリング画像)が形成される。具体的には、ボリュームデータに対して視点から伸びる複数のレイ(仮想的な視線であって演算経路に相当するもの)が設定される。次に、各レイ上に存在するサンプル点に対して順番に所定演算が繰り返し実行される。これにより、各レイごとに画素値が求められる。最終的に、複数のレイに対応する複数の画素値の集合体として三次元超音波画像が構成される(例えば特許文献1参照)。
【0004】
一般的なボリュームレンダリングのアルゴリズムは次式で表される。以下のIは画素値(輝度値)を示し、e(i)はレイ上サンプル点のエコー強度(エコー値)であり、o(e(i))はオパシティ(不透明度)である。iはサンプル点の番号を示している。
I = Σ[e(i) * o(e(i)) * (1 - o#out(i - 1))] …(1)
但し、o#out(i) = Σo(e(i)) * (1 - o#out(i - 1))
なお、オパシティの総和が1に到達した場合、あるいは、サンプル点が演算範囲を超えた場合に演算終了となり、その時点でのIの値が投影面上にマッピングされる。上記(1)式は例示であって、様々なアルゴリズムが知られている。
【0005】
ところで、三次元画像表示方式として、1画面内に4つのイメージを表示する4ビュー表示(直交3断面イメージ+3Dイメージ)、1画面内に2つのイメージを表示する2ビュー表示(断面イメージ+3Dイメージ)、1画面内に1つのイメージを表示する1ビュー表示(3Dイメージ)、等が知られている。一般には、1つのボリュームデータを処理する時間は、投影面上の画素数(つまりレイ数)に比例するから、上記3つの方式の中では、1ビュー表示が最も処理時間を要する。モニタサイズが大きくなった場合は表示イメージを構成する画素数が増大するので、その分だけ処理時間が増大する。すなわち、一般に、三次元イメージの生成に際しては、演算量が多く、CPUの負担が大きいという問題がある。高速のプロセッサを利用することも考えられるが、コストアップという別の問題が生じる。
【0006】
そこで、レイの本数を少なくして演算量を削減するのが望ましいが、単純にレイの本数を削減すると三次元画像が粗い画像となってしまう。あるいは、三次元画像が小さな画像になってしまう。そこで、レンダリング後の画像に対して、線形補間(リニア補間)処理により見かけ上の画素数あるいは分解能を向上させることも可能ではあるが、そのような処理によると、画像がぼやけてしまい画質低下が問題となる。画像を単純に拡大する場合にも画質低下という問題が生じる。
【0007】
一般に、ボリュームレンダリングにより生成された三次元超音波画像については、尖鋭さが乏しく、輪郭がはっきりしない、という傾向が指摘されている。なお、従来の一般的な補間処理は、注目画素の周囲に存在する例えば4個、8個、16個の近傍画素を参照するものである。すなわち、参照範囲が注目画素の全周囲に等しく及んでいる。従来技術では、組織構造に応じて補間条件を変化させることはできない。
【0008】
なお、特許文献2には、実施形態として、膝関節に含まれる軟骨の画像を形成する装置が開示されている。その第0042段落以下には、軟骨画像形成処理に先立って実行される前処理の内容が記載されている。その前処理はスライスデータ(二次元フレーム)単位で実行されるものである。具体的には、注目画素を通過する複数の線分の中から、分散値が最大となる線分が特定され、当該線分に対して直交する線分が特定される。その直交する線分上に存在する複数の画素値の平均値が演算され、それが注目画素についての更新画素値とされる。この処理は、軟骨画像形成前の各スライスデータに対して適用されるものである。つまり、ボリュームレンダリング後の3Dイメージに対する処理ではない。また、特許文献2には、倍率変更機能(分解能変更機能)をもった方向性補間処理については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−33538号公報
【特許文献2】特開2010−125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、三次元超音波画像の画質を高め、あるいは、三次元超音波画像を生成する際の演算量を削減することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、レイの本数が少ない場合であっても良好な画質を有する三次元超音波画像を表示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る装置は、生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成するレンダリング手段と、前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する手段であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理手段と、を含み、前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に補間画素値演算用の画素参照方向が定められる。
【0013】
上記構成によれば、まずボリュームレンダリング処理によって三次元画像としての原イメージが生成され、それに対して方向性補間処理が適用されて、原イメージに基づく表示イメージが生成される。方向性補間処理は、対応点(関心点)から等しく周囲を参照するものではなく、組織の流れ方向に画素参照方向を定め、当該方向に並ぶ複数の画素値を使って補間画素値を演算するものである。よって、組織の輪郭をはっきりさせることが可能となり、つまり三次元画像のぼけを改善することが可能となる。逆に言えば、レイ本数を削減して低解像度の三次元画像を構成した上で、それに対する後処理によって高解像度の三次元画像を生成することが可能となるから、演算量の削減と同時に画質向上を図れる。望ましくは、前記表示イメージは前記原イメージとは倍率又は解像度が異なるイメージであり、前記方向性補間処理に際して倍率又は解像度が変更される。
【0014】
望ましくは、前記方向性補間処理手段は、前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する評価値演算手段と、前記演算された複数の評価値に基づいて前記画素参照方向を決定する方向決定手段と、前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する補間画素値演算手段と、を含む。画素参照方向は組織の輪郭(境界)に沿った方向である。最初に輪郭に対する法線方向を求め、その直交方向として画素参照方向を定めてもよいし、最初から輪郭に平行な方向としての画素参照方向を定めてもよい。前者の場合には、複数の候補方向の中から分散値最大となる候補方向を特定し、その直交方向として画素参照方向を定めるようにしてもよい。その場合、複数の候補方向の中の1つの方向として画素参照方向が定められてもよいし、2つの候補方向の間に画素参照方向が定められてもよい。複数の候補方向の中から分散値最小となる方向として画素参照方向を定めるようにしてもよい。
【0015】
望ましくは、前記表示イメージを構成する各画素に対して方向性補間処理を適用した結果として、前記原イメージの拡大イメージに相当する前記表示イメージが生成され、前記表示イメージの拡大率が、前記原イメージを生成するために設定されたレイの本数に基づいて定められる。1画面内に同時表示するイメージ数(ビュー数)に応じて、三次元画像の構成画素数が定められるので、例えば、もっとも小さな画像に合わせてレイの本数を定めておき、大きな画像を表示する必要が生じた場合には、そのサイズ変更率に応じて方向性補間処理での倍率を上げるようにするのが望ましい。すなわち、ビュー数によらずにレイ数を一定とし、ビュー数に応じて倍率を変化させてもよい。
【0016】
望ましくは、前記方向性補間処理により生成された表示イメージに対して後処理を適用する後処理手段を含み、前記後処理は前記表示イメージのコントラストを調整する処理である。望ましくは、前記コントラスト調整処理では、背景平均輝度値よりも入力画素値が大きい場合に当該入力画素値をより大きくした出力画素値が出力され、且つ、背景平均輝度よりも入力画素値が小さい場合に当該入力画素値をより小さくした出力画素値が出力される。
【0017】
本発明に係るプログラムは、情報処理装置において実行される画像処理プログラムであって、生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成する機能と、前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する機能であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理機能と、を含み、前記方向性補間処理は、前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する処理と、前記演算された複数の評価値に基づいて前記複数の候補方向の中から補間画素値演算用の画素参照方向を決定する処理と、前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する処理と、を含み、前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に前記画素参照方向が定められる、ことを特徴とする。情報処理装置はコンピュータ、超音波診断装置、等である。方向性補間処理の部分だけが単体で取引対象となってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、三次元超音波画像の画質を高め、あるいは、三次元超音波画像を生成する際の演算量を削減できる。あるいは、レイの本数が少ない場合であっても良好な画質を有する三次元超音波画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】ボリュームレンダリング及び方向性補間処理を概念的に示す図である。
【図3】方向性補間処理の内容を示す概念図である。
【図4】対応点に対して設定される複数の候補ラインを示す図である。
【図5】輪郭方向に対して直交する法線ラインを示す図である。
【図6】法線ラインに対して直交する参照ラインを示す図である。
【図7】方向性補間処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】後処理としての方向性補間処理とコントラスト強調処理とを示す図である。
【図9】分散値に基づく重みKの決定を説明するための図である。
【図10】原イメージを示す図である。
【図11】従来の線形補間処理の結果を示す図である。
【図12】本実施形態に係る方向性補間処理の結果を示す図である。
【図13】本実施形態に係る方向性補間処理の作用を説明するための図である。
【図14】4ビュー表示を示す図である。
【図15】2ビュー表示を示す図である。
【図16】1ビュー表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1には、本発明に係る超音波画像処理装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。本実施形態において、超音波画像処理装置は超音波診断装置として構成されている。
【0022】
図1において、超音波診断装置は医療の分野において用いられ、生体に対する超音波の送受波により超音波画像を形成する装置である。本実施形態においては、生体内の3次元領域に対して超音波が送受波され、これによってボリュームデータが取得されている。そのボリュームデータに基づいて、ボリュームレンダリング画像としての3次元超音波画像や、1又は複数の断層画像が形成されている。以下に、具体的に説明する。
【0023】
3Dプローブ10は、3次元エコーデータ取込用超音波探触子であり、本実施形態において、3Dプローブ10は、1Dアレイ振動子とそれを機械的に走査する機械走査機構とを備えている。1Dアレイ振動子は複数の振動素子からなるものであり、それによって超音波ビームが形成される。素子配列方向に超音波ビームが電子的に走査されて走査面が形成される。そのような1Dアレイ振動子を機械的に走査すると、走査面が揺動運動することになり、これによって3次元空間が形成される。図1においてrは深さ方向を示しており、θは超音波ビームの電子走査方向を示しており、φ方向は走査面の機械走査方向を示している。Sは走査面を示しており、Vは3次元空間を表している。以上のような機械操作方式ではなく、2Dアレイ振動子を利用して2次元の電子走査方式を適用するようにしてもよい。
【0024】
3Dプローブ10は送受波面を有し、その送受波面が生体表面上に当接される。本実施形態においては、妊婦における腹部上に3Dプローブ10が当接される。送信部12は送信ビームフォーマーであり、送信時において、複数の送信信号が所定の遅延関係をもって複数の振動素子へ供給される。これによって送信ビームが形成される。受信時において、生体内からのエコーが複数の振動素子にて受波され、それによってアレイ振動子から複数の受信信号が受信部14へ出力される。受信部14は受信ビームフォーマーであり、すなわち整相加算処理部である。複数の受信信号に対しては遅延処理が適用され、遅延処理後の複数の受信信号が加算される。これによって電子的に受信ビームが形成され、その受信ビームに相当する整相加算後の受信信号(ビームデータ)が出力される。そのビームデータは3Dメモリ15へ格納される。
【0025】
3Dメモリ15は、生体内の3次元空間(実空間)に対応した記憶空間(データ処理空間)を有している。すなわちビームデータを構成する各エコーデータは記憶空間内における各アドレスにマッピングされる。3Dメモリ15へのデータの書き込みに伴って座標変換処理が適用され、あるいは3Dメモリ15からのデータの読み出しに伴って座標変換処理が適用される。
【0026】
断層画像形成部16は、3次元空間に対して設定された1又は複数の切断面に対応する1又は複数の断層画像を形成するモジュールである。各断層画像は白黒のBモード画像である。各切断面の位置についてはユーザーにより任意に設定することが可能である。断層画像形成部16は、そのように設定された切断面に対応するエコーデータ群を3Dメモリ15から読み出し、それらのデータに基づいて断層画像を形成する。形成された断層画像のデータは画像処理部18を経て表示処理部20へ出力される。画像処理部18は、各種の画像処理機能を有し、その中には以下に説明する方向性補間処理が含まれてもよい。表示処理部20は複数の画像を合成することにより1枚の表示画像を構成し、それを表す画像データを表示部26へ出力する。
【0027】
レンダリング部22は、いわゆるボリュームレンダリング処理を実行するモジュールである。すなわち、3Dメモリ15から読み出されるボリュームデータを用いて3次元画像を構成する処理を実行する。レンダリング方法としては各種のアルゴリズムが提案されている。レンダリング部22は、より具体的には、ボリュームデータに対して複数のレイを設定し、各レイごとにレンダリング演算を実行することにより画素値を演算する。これによって3次元画像(原イメージ)が生成される。その際において、倍率Wが参照され、その倍率Wに基づいてレイの本数が定められる。本実施形態においては基本的には、レイが間引かれており、少ないレイの本数をもって低分解能の原イメージが生成され、それに対する後処理により高分解能の表示イメージが構成されている。
【0028】
画像処理部24は、方向性補間処理を実行するモジュールである。具体的には、方向性をもった補間処理と同時に倍率(分解能)の変更を行っている。これに関しては後に詳述する。いずれにしても、このような方向性補間処理を原イメージに適用することにより、分解能あるいは倍率が変更された、しかも輪郭がはっきりと強調された表示イメージを生成することが可能となる。そのような表示イメージに対しては必要に応じて更に後処理が適用され、本実施形態においてはコントラスト強調処理が適用されている。そのような処理を経た画像のデータが表示処理部20に送られる。画像処理部24の演算にあたっては必要に応じて倍率Wが参照される。
【0029】
ちなみに、図1においては、3Dメモリ15よりも後段の各機能がソフトウェアの処理として実現されている。図1においてはCPU及び動作プログラムからなる制御部については図示省略されている。方向性補間処理や上述したレンダリング処理がコンピュータなどの情報処理装置において実行されてもよく、その場合においては超音波診断装置からオンラインあるいはオフラインによって提供されたボリュームデータがそのような情報処理装置で処理される。
【0030】
図2にはレンダリング処理及び方向性補間処理が示されている。符号30は記憶空間を表しており、その内部にはボリュームデータ31が存在している。本実施形態においては胎児についてのボリュームデータが存在している。記憶空間30あるいはボリュームデータ31に対して任意の位置に視点28が設定される。そして、その視線から出る複数のレイ(視線)34が定められる。この場合においてはボリュームデータ31を通過するように複数のレイ34が設定される。スクリーン32は投影面であり、スクリーン32上における複数のピクセルが複数のレイに対応している。具体的には1対1に対応している。ここでは符号32aがピクセルを表している。各レイに沿ってそのレイ上に存在する複数のボクセル(サンプル点)について順番にレンダリング演算すなわちボクセル演算が実行され、最終的な演算結果としての輝度値が当該レイに対応するピクセルの画素値として定められる。これを各レイごとに繰り返すことにより複数の画素値の集合としての原イメージ(3次元画像)が合成される。
【0031】
本実施形態においては、そのような原イメージに対して符号36に示される方向性補間処理すなわち後処理が適用される。これによって表示プレーン38上に表示イメージを構成することが可能となる。ここで符号38aは表示プレーン38を構成するピクセルを表している。表示プレーン38上には拡大されたあるいは分解能が高められた3次元画像としての表示イメージが生成される。本実施形態においては、このような後処理として方向性補間処理によって見掛け上の分解能を高められ、しかも輪郭をはっきりと表すことが可能であるから、そのような後処理を前提として、ボリュームレンダリングにおけるレイの本数を削減して処理負担を軽減し迅速なレンダリング演算を行うことが可能となる。すなわち後に説明するように、4ビュー表示における小さな3次元画像を前提としてレイの本数を設定した上で、大きな画像が必要となる場合には方向性補間処理における倍率を上げることによりそのような大きな画像を生成することが可能となる。これによれば1ビュー表示であっても4ビュー表示と同様の3次元演算量とすることが可能となる。
【0032】
図3には、方向性補間処理36Aの概念が示されている。図3において、左側には原イメージ32Aが示されており、右側には表示イメージ(表示プレーン)38が示されている。原イメージ32Aを基礎とした方向性補間処理36Aによって、拡大されたあるいは分解能が向上された表示イメージ38を構成することが可能となる。具体的には、表示イメージ38を構成する各画素が注目点40として順番に定められる。符号44で示されるように、注目点40に対応する対応点(関心点)42が原イメージ32A上において定められる。そして以下に示す図4乃至図6の処理が適用されて、最終的に注目点40についての補間画素値が求められ、その補間画素値が注目点40の値としてマッピングされる。
【0033】
これについて具体的に説明すると、図4には原イメージが示されており、ここには対応点42を通過する複数の候補ライン群46が示されている。候補ライン群46は放射状に配列された複数の候補ラインにより構成され、隣接するライン間の角度ピッチは同一であり、それぞれのラインは互いに同じ長さを有している。もちろん非均等のピッチや長さの適応的設定といった技術を利用することも可能である。このように候補ライン群46が設定されると、各候補ライン48ごとに当該候補ライン上に存在する複数の画素値が参照され、それらに基づいて分散値が演算される。すなわち画素値のばらつき度合いを表す評価値が演算される。複数の候補ラインに対応する複数の分散値が演算された上、その中から図5に示されるように最大値をとる候補ラインが定められる。図5においてはそれが法線ライン48Aとして表わされている。すなわち組織49の辺縁49Aにおよそ直交する方向として法線ライン48Aが設定されており、それは対応点42を通過している。そして、図6に示されるように、そのような法線ライン48Aに直交するラインとして参照ライン48Bが定められる。参照ライン48Bは辺縁49Aに沿った(平行な)ラインである。そして、そのような参照ライン48B上に存在する複数のサンプリング点すなわちサンプリング点列50が定められ、それらが有する複数の画素値が参照され、その平均値あるいは重み付け平均値として補間画素値が演算される。すなわち、そのような補間画素値は対応点42に対応する輝度値であり、より詳しくは図3に示した注目点40の補間画素値である。
【0034】
以上のように、注目点あるいは対応点の周囲をまんべんなく参照するのではなく、組織の流れの方向に沿って複数の画素値を参照し、それらに基づいて補間画素値を求めることにより、輪郭を強調した、あるいは輪郭をはっきりとさせた3次元超音波画像を構成することが可能となる。更に言えば、上述したようにレイ本数を削減して低解像度の原イメージを生成した場合であっても、そこから高解像度の3次元画像を構成できるという利点が得られる。上述した説明においては、複数の候補ラインの中からまず法線ラインを決定した上で、それに直交するラインとして参照ラインが求められていたが、複数の分散値の中で最小の分散値を特定することにより、当該最小の分散値を有する候補ラインを参照ラインとして定めるようにしてもよい。いずれにしても、対応点あるいは注目点を中心として複数の探索ラインを設定した上でそれらの個々を評価し、その評価結果として組織の流れの方向を判定するのが望ましい。
【0035】
図7には、以上を説明した内容がフローチャートとして示されている。すなわちS10においては、表示イメージにおける注目点が設定され、S12においては原イメージ上において対応点が定められ、すなわち注目点に対応する点が定められ、その対応点を通過する複数の候補方向が設定される。S14においては、各候補方向について分散値が演算される。S16においては最大分散値をとる方向が法線方向として特定され、更にS18においてはその法線方向に直交する方向として参照方向が定められることになる。当該参照方向は組織輪郭に沿った方向となる。もちろん上述したようにS14の次に最小分散値をとる方向を見定めることにより、直接的に参照方向を特定するようにしてもよい。S20においては参照方向に存在する複数のサンプリング点についての複数の画素値が参照され、それらの平均値あるいは重み付け平均値として補間画素値が演算される。この場合においては参照方向に存在する1つの画素値列を参照するようにしてもよいし複数列を参照するようにしてもよい。すなわち長方形に伸長したウィンドウを設定し、その中の画素値を参照することにより補間画素値を求めてもよい。
【0036】
図8には、段階的に適用される複数の後処理の内容が示されている。第1段階においては方向性補間処理が適用され、それが方向性補間処理部52として表されている。第2においてはコントラスト強調処理が適用され、それがコントラスト強調処理部54として表されている。コントラスト強調処理部54は、濃淡判定部56、鮮明度判定部58、鮮明化実行部60を有している。濃淡判定部56は例えばm画素×m画素のウィンドウ内における平均値を演算するモジュールである。鮮明度判定部58は、当該ウィンドウ内における分散値に基づいて重みKを演算するモジュールである。重みKを演算するための関数については後に図9を用いて説明する。鮮明化実行部60は、現在注目している画素の画素値Iとウィンド内の平均値I’とに基づき、更に重みKを考慮して、出力値としての画素値を求めている。具体的にはI+K×(I−I’)が演算されている。この演算は、背景平均輝度値よりも注目している画素値の輝度値が大きければその値をより大きくし、逆に小さければその値をより小さくする処理である。ただし、分散値が大きいような状況にあっては、輝度値をあまり変更しない方が望ましいため、抑圧係数として重みKが与えられている。
【0037】
具体的には、例えば図9に示される関数62Aに従って重みKが定められる。横軸は分散値であり縦軸は重みKである。分散値がa1以下においては例えば重みとしてK=1.0が設定され、a1からa2にかけては重みKが徐々に小さくされている。そして分散値a2以上においては重みKが0とされている。このような構成によれば、分散値が低い場合にあってはコントラストを強調させ、分散値が高くなればなるほどそのような強調処理を低減し、最終的には強調処理が行われないようになる。もちろんこのような関数62Aは一例であって、例えば62Bで示されるような関数を利用することも可能である。ちなみに、図8に示されるように重みKの演算にあたってはパラメータkを作用させ、そのkを大小させることにより関数形状をユーザーに可変させるようにしてもよい。例えばそのようなパラメータkは分散値に対して乗算される係数である。
【0038】
図10には原イメージが例示されている。図11には原イメージに対して従来の線形補間処理を適用した結果が示されている。線形補間処理に際しては倍率が変更されている。図11に示されるように、方向性をもたない一般的な線形補間処理を適用した場合、画質がかなり低下する。すなわち画像内容がぼけている。図12には原イメージに対して方向性補間処理を適用した結果が示されている。図12に示されるように、原イメージの画質が倍率変更によっても維持され、むしろその内容は優良化されており、胎児の輪郭がはっきりと表れている。逆に言えば、このような後処理を前提とすれば、レイの本数を少なくして演算量を削減し、迅速な三次元画像形成を行うことが可能となる。
【0039】
図13には、上述した後処理の作用が示されている。横軸はピクセルの位置を表しており縦軸は輝度値を表している。符号100は位置方向における輝度値の変化を表しており、符号100は従来の方向性をもたない線形補間処理の結果を表している。符号102は本実施形態に係る方向性補間処理の結果を表している。そこでは図示のように凹凸が強調されており、特に輪郭が強調されており、これによって画質が向上している。
【0040】
図14には表示画面104内に表示される画像としての4ビュー表示が示されている。4ビュー表示は、3D画像と、3つのBモード画像とにより構成されるものである。図15には2ビュー表示が示されている。これは3D画像と1つのBモード画像とにより構成される。図16には1ビュー表示が示されている。これは1つの3次元画像により構成されるものである。本実施形態においては、例えば図14に示される3次元画像を常に構築した上で、後処理によって図15に示される少し大きな3次元画像や図16に示される大きな3次元画像を構成することが可能である。すなわちレイの本数を増大させずに拡大されたあるいは分解能が向上された3次元画像を容易に生成することが可能となる。ビュー数に応じて拡大率を自動的に変更するように制御されている。
【0041】
上記実施形態においては胎児の3次元画像に対して方向性補間処理が適用されたが、他の組織に対して同様の処理が適用されてもよい。例えば血流を表す3次元ドプラ画像に対して上記のような処理が適用されてもよい。この場合においては3原色を構成する各カラー情報ごとに方向性補間処理が適用されてもよい。上記の実施形態においては方向性補間処理の後にコントラスト処理が適用されていたが、後者の処理は必ずしも適用されなくてもよい。必要に応じて適用されればよい。
【符号の説明】
【0042】
10 3Dプローブ、12 送信部、14 受信部、15 3Dメモリ、22 レンダリング部、24 画像処理部、28 視点、32 スクリーン、34 レイ、38 表示プレーン、46 候補ライン群、48 候補ライン。
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波画像処理装置に関し、特に、三次元超音波画像の画質を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像処理装置は、超音波の送受波によって得られたデータに基づいて超音波画像を形成し、あるいは、そのような超音波画像を処理する装置である。超音波画像処理装置は、超音波診断装置や情報処理装置として構成される。後者は例えば超音波診断装置から転送されるデータを処理するコンピュータである。形成対象又は処理対象となる超音波診断画像は、二次元超音波画像、三次元超音波画像、等である。
【0003】
生体内三次元空間から取得されたボリュームデータ(エコーデータ集合体)に対してボリュームレンダリング法を適用することにより、三次元超音波画像(ボリュームレンダリング画像)が形成される。具体的には、ボリュームデータに対して視点から伸びる複数のレイ(仮想的な視線であって演算経路に相当するもの)が設定される。次に、各レイ上に存在するサンプル点に対して順番に所定演算が繰り返し実行される。これにより、各レイごとに画素値が求められる。最終的に、複数のレイに対応する複数の画素値の集合体として三次元超音波画像が構成される(例えば特許文献1参照)。
【0004】
一般的なボリュームレンダリングのアルゴリズムは次式で表される。以下のIは画素値(輝度値)を示し、e(i)はレイ上サンプル点のエコー強度(エコー値)であり、o(e(i))はオパシティ(不透明度)である。iはサンプル点の番号を示している。
I = Σ[e(i) * o(e(i)) * (1 - o#out(i - 1))] …(1)
但し、o#out(i) = Σo(e(i)) * (1 - o#out(i - 1))
なお、オパシティの総和が1に到達した場合、あるいは、サンプル点が演算範囲を超えた場合に演算終了となり、その時点でのIの値が投影面上にマッピングされる。上記(1)式は例示であって、様々なアルゴリズムが知られている。
【0005】
ところで、三次元画像表示方式として、1画面内に4つのイメージを表示する4ビュー表示(直交3断面イメージ+3Dイメージ)、1画面内に2つのイメージを表示する2ビュー表示(断面イメージ+3Dイメージ)、1画面内に1つのイメージを表示する1ビュー表示(3Dイメージ)、等が知られている。一般には、1つのボリュームデータを処理する時間は、投影面上の画素数(つまりレイ数)に比例するから、上記3つの方式の中では、1ビュー表示が最も処理時間を要する。モニタサイズが大きくなった場合は表示イメージを構成する画素数が増大するので、その分だけ処理時間が増大する。すなわち、一般に、三次元イメージの生成に際しては、演算量が多く、CPUの負担が大きいという問題がある。高速のプロセッサを利用することも考えられるが、コストアップという別の問題が生じる。
【0006】
そこで、レイの本数を少なくして演算量を削減するのが望ましいが、単純にレイの本数を削減すると三次元画像が粗い画像となってしまう。あるいは、三次元画像が小さな画像になってしまう。そこで、レンダリング後の画像に対して、線形補間(リニア補間)処理により見かけ上の画素数あるいは分解能を向上させることも可能ではあるが、そのような処理によると、画像がぼやけてしまい画質低下が問題となる。画像を単純に拡大する場合にも画質低下という問題が生じる。
【0007】
一般に、ボリュームレンダリングにより生成された三次元超音波画像については、尖鋭さが乏しく、輪郭がはっきりしない、という傾向が指摘されている。なお、従来の一般的な補間処理は、注目画素の周囲に存在する例えば4個、8個、16個の近傍画素を参照するものである。すなわち、参照範囲が注目画素の全周囲に等しく及んでいる。従来技術では、組織構造に応じて補間条件を変化させることはできない。
【0008】
なお、特許文献2には、実施形態として、膝関節に含まれる軟骨の画像を形成する装置が開示されている。その第0042段落以下には、軟骨画像形成処理に先立って実行される前処理の内容が記載されている。その前処理はスライスデータ(二次元フレーム)単位で実行されるものである。具体的には、注目画素を通過する複数の線分の中から、分散値が最大となる線分が特定され、当該線分に対して直交する線分が特定される。その直交する線分上に存在する複数の画素値の平均値が演算され、それが注目画素についての更新画素値とされる。この処理は、軟骨画像形成前の各スライスデータに対して適用されるものである。つまり、ボリュームレンダリング後の3Dイメージに対する処理ではない。また、特許文献2には、倍率変更機能(分解能変更機能)をもった方向性補間処理については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−33538号公報
【特許文献2】特開2010−125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、三次元超音波画像の画質を高め、あるいは、三次元超音波画像を生成する際の演算量を削減することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、レイの本数が少ない場合であっても良好な画質を有する三次元超音波画像を表示できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る装置は、生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成するレンダリング手段と、前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する手段であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理手段と、を含み、前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に補間画素値演算用の画素参照方向が定められる。
【0013】
上記構成によれば、まずボリュームレンダリング処理によって三次元画像としての原イメージが生成され、それに対して方向性補間処理が適用されて、原イメージに基づく表示イメージが生成される。方向性補間処理は、対応点(関心点)から等しく周囲を参照するものではなく、組織の流れ方向に画素参照方向を定め、当該方向に並ぶ複数の画素値を使って補間画素値を演算するものである。よって、組織の輪郭をはっきりさせることが可能となり、つまり三次元画像のぼけを改善することが可能となる。逆に言えば、レイ本数を削減して低解像度の三次元画像を構成した上で、それに対する後処理によって高解像度の三次元画像を生成することが可能となるから、演算量の削減と同時に画質向上を図れる。望ましくは、前記表示イメージは前記原イメージとは倍率又は解像度が異なるイメージであり、前記方向性補間処理に際して倍率又は解像度が変更される。
【0014】
望ましくは、前記方向性補間処理手段は、前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する評価値演算手段と、前記演算された複数の評価値に基づいて前記画素参照方向を決定する方向決定手段と、前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する補間画素値演算手段と、を含む。画素参照方向は組織の輪郭(境界)に沿った方向である。最初に輪郭に対する法線方向を求め、その直交方向として画素参照方向を定めてもよいし、最初から輪郭に平行な方向としての画素参照方向を定めてもよい。前者の場合には、複数の候補方向の中から分散値最大となる候補方向を特定し、その直交方向として画素参照方向を定めるようにしてもよい。その場合、複数の候補方向の中の1つの方向として画素参照方向が定められてもよいし、2つの候補方向の間に画素参照方向が定められてもよい。複数の候補方向の中から分散値最小となる方向として画素参照方向を定めるようにしてもよい。
【0015】
望ましくは、前記表示イメージを構成する各画素に対して方向性補間処理を適用した結果として、前記原イメージの拡大イメージに相当する前記表示イメージが生成され、前記表示イメージの拡大率が、前記原イメージを生成するために設定されたレイの本数に基づいて定められる。1画面内に同時表示するイメージ数(ビュー数)に応じて、三次元画像の構成画素数が定められるので、例えば、もっとも小さな画像に合わせてレイの本数を定めておき、大きな画像を表示する必要が生じた場合には、そのサイズ変更率に応じて方向性補間処理での倍率を上げるようにするのが望ましい。すなわち、ビュー数によらずにレイ数を一定とし、ビュー数に応じて倍率を変化させてもよい。
【0016】
望ましくは、前記方向性補間処理により生成された表示イメージに対して後処理を適用する後処理手段を含み、前記後処理は前記表示イメージのコントラストを調整する処理である。望ましくは、前記コントラスト調整処理では、背景平均輝度値よりも入力画素値が大きい場合に当該入力画素値をより大きくした出力画素値が出力され、且つ、背景平均輝度よりも入力画素値が小さい場合に当該入力画素値をより小さくした出力画素値が出力される。
【0017】
本発明に係るプログラムは、情報処理装置において実行される画像処理プログラムであって、生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成する機能と、前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する機能であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理機能と、を含み、前記方向性補間処理は、前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する処理と、前記演算された複数の評価値に基づいて前記複数の候補方向の中から補間画素値演算用の画素参照方向を決定する処理と、前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する処理と、を含み、前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に前記画素参照方向が定められる、ことを特徴とする。情報処理装置はコンピュータ、超音波診断装置、等である。方向性補間処理の部分だけが単体で取引対象となってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、三次元超音波画像の画質を高め、あるいは、三次元超音波画像を生成する際の演算量を削減できる。あるいは、レイの本数が少ない場合であっても良好な画質を有する三次元超音波画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】ボリュームレンダリング及び方向性補間処理を概念的に示す図である。
【図3】方向性補間処理の内容を示す概念図である。
【図4】対応点に対して設定される複数の候補ラインを示す図である。
【図5】輪郭方向に対して直交する法線ラインを示す図である。
【図6】法線ラインに対して直交する参照ラインを示す図である。
【図7】方向性補間処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】後処理としての方向性補間処理とコントラスト強調処理とを示す図である。
【図9】分散値に基づく重みKの決定を説明するための図である。
【図10】原イメージを示す図である。
【図11】従来の線形補間処理の結果を示す図である。
【図12】本実施形態に係る方向性補間処理の結果を示す図である。
【図13】本実施形態に係る方向性補間処理の作用を説明するための図である。
【図14】4ビュー表示を示す図である。
【図15】2ビュー表示を示す図である。
【図16】1ビュー表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1には、本発明に係る超音波画像処理装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。本実施形態において、超音波画像処理装置は超音波診断装置として構成されている。
【0022】
図1において、超音波診断装置は医療の分野において用いられ、生体に対する超音波の送受波により超音波画像を形成する装置である。本実施形態においては、生体内の3次元領域に対して超音波が送受波され、これによってボリュームデータが取得されている。そのボリュームデータに基づいて、ボリュームレンダリング画像としての3次元超音波画像や、1又は複数の断層画像が形成されている。以下に、具体的に説明する。
【0023】
3Dプローブ10は、3次元エコーデータ取込用超音波探触子であり、本実施形態において、3Dプローブ10は、1Dアレイ振動子とそれを機械的に走査する機械走査機構とを備えている。1Dアレイ振動子は複数の振動素子からなるものであり、それによって超音波ビームが形成される。素子配列方向に超音波ビームが電子的に走査されて走査面が形成される。そのような1Dアレイ振動子を機械的に走査すると、走査面が揺動運動することになり、これによって3次元空間が形成される。図1においてrは深さ方向を示しており、θは超音波ビームの電子走査方向を示しており、φ方向は走査面の機械走査方向を示している。Sは走査面を示しており、Vは3次元空間を表している。以上のような機械操作方式ではなく、2Dアレイ振動子を利用して2次元の電子走査方式を適用するようにしてもよい。
【0024】
3Dプローブ10は送受波面を有し、その送受波面が生体表面上に当接される。本実施形態においては、妊婦における腹部上に3Dプローブ10が当接される。送信部12は送信ビームフォーマーであり、送信時において、複数の送信信号が所定の遅延関係をもって複数の振動素子へ供給される。これによって送信ビームが形成される。受信時において、生体内からのエコーが複数の振動素子にて受波され、それによってアレイ振動子から複数の受信信号が受信部14へ出力される。受信部14は受信ビームフォーマーであり、すなわち整相加算処理部である。複数の受信信号に対しては遅延処理が適用され、遅延処理後の複数の受信信号が加算される。これによって電子的に受信ビームが形成され、その受信ビームに相当する整相加算後の受信信号(ビームデータ)が出力される。そのビームデータは3Dメモリ15へ格納される。
【0025】
3Dメモリ15は、生体内の3次元空間(実空間)に対応した記憶空間(データ処理空間)を有している。すなわちビームデータを構成する各エコーデータは記憶空間内における各アドレスにマッピングされる。3Dメモリ15へのデータの書き込みに伴って座標変換処理が適用され、あるいは3Dメモリ15からのデータの読み出しに伴って座標変換処理が適用される。
【0026】
断層画像形成部16は、3次元空間に対して設定された1又は複数の切断面に対応する1又は複数の断層画像を形成するモジュールである。各断層画像は白黒のBモード画像である。各切断面の位置についてはユーザーにより任意に設定することが可能である。断層画像形成部16は、そのように設定された切断面に対応するエコーデータ群を3Dメモリ15から読み出し、それらのデータに基づいて断層画像を形成する。形成された断層画像のデータは画像処理部18を経て表示処理部20へ出力される。画像処理部18は、各種の画像処理機能を有し、その中には以下に説明する方向性補間処理が含まれてもよい。表示処理部20は複数の画像を合成することにより1枚の表示画像を構成し、それを表す画像データを表示部26へ出力する。
【0027】
レンダリング部22は、いわゆるボリュームレンダリング処理を実行するモジュールである。すなわち、3Dメモリ15から読み出されるボリュームデータを用いて3次元画像を構成する処理を実行する。レンダリング方法としては各種のアルゴリズムが提案されている。レンダリング部22は、より具体的には、ボリュームデータに対して複数のレイを設定し、各レイごとにレンダリング演算を実行することにより画素値を演算する。これによって3次元画像(原イメージ)が生成される。その際において、倍率Wが参照され、その倍率Wに基づいてレイの本数が定められる。本実施形態においては基本的には、レイが間引かれており、少ないレイの本数をもって低分解能の原イメージが生成され、それに対する後処理により高分解能の表示イメージが構成されている。
【0028】
画像処理部24は、方向性補間処理を実行するモジュールである。具体的には、方向性をもった補間処理と同時に倍率(分解能)の変更を行っている。これに関しては後に詳述する。いずれにしても、このような方向性補間処理を原イメージに適用することにより、分解能あるいは倍率が変更された、しかも輪郭がはっきりと強調された表示イメージを生成することが可能となる。そのような表示イメージに対しては必要に応じて更に後処理が適用され、本実施形態においてはコントラスト強調処理が適用されている。そのような処理を経た画像のデータが表示処理部20に送られる。画像処理部24の演算にあたっては必要に応じて倍率Wが参照される。
【0029】
ちなみに、図1においては、3Dメモリ15よりも後段の各機能がソフトウェアの処理として実現されている。図1においてはCPU及び動作プログラムからなる制御部については図示省略されている。方向性補間処理や上述したレンダリング処理がコンピュータなどの情報処理装置において実行されてもよく、その場合においては超音波診断装置からオンラインあるいはオフラインによって提供されたボリュームデータがそのような情報処理装置で処理される。
【0030】
図2にはレンダリング処理及び方向性補間処理が示されている。符号30は記憶空間を表しており、その内部にはボリュームデータ31が存在している。本実施形態においては胎児についてのボリュームデータが存在している。記憶空間30あるいはボリュームデータ31に対して任意の位置に視点28が設定される。そして、その視線から出る複数のレイ(視線)34が定められる。この場合においてはボリュームデータ31を通過するように複数のレイ34が設定される。スクリーン32は投影面であり、スクリーン32上における複数のピクセルが複数のレイに対応している。具体的には1対1に対応している。ここでは符号32aがピクセルを表している。各レイに沿ってそのレイ上に存在する複数のボクセル(サンプル点)について順番にレンダリング演算すなわちボクセル演算が実行され、最終的な演算結果としての輝度値が当該レイに対応するピクセルの画素値として定められる。これを各レイごとに繰り返すことにより複数の画素値の集合としての原イメージ(3次元画像)が合成される。
【0031】
本実施形態においては、そのような原イメージに対して符号36に示される方向性補間処理すなわち後処理が適用される。これによって表示プレーン38上に表示イメージを構成することが可能となる。ここで符号38aは表示プレーン38を構成するピクセルを表している。表示プレーン38上には拡大されたあるいは分解能が高められた3次元画像としての表示イメージが生成される。本実施形態においては、このような後処理として方向性補間処理によって見掛け上の分解能を高められ、しかも輪郭をはっきりと表すことが可能であるから、そのような後処理を前提として、ボリュームレンダリングにおけるレイの本数を削減して処理負担を軽減し迅速なレンダリング演算を行うことが可能となる。すなわち後に説明するように、4ビュー表示における小さな3次元画像を前提としてレイの本数を設定した上で、大きな画像が必要となる場合には方向性補間処理における倍率を上げることによりそのような大きな画像を生成することが可能となる。これによれば1ビュー表示であっても4ビュー表示と同様の3次元演算量とすることが可能となる。
【0032】
図3には、方向性補間処理36Aの概念が示されている。図3において、左側には原イメージ32Aが示されており、右側には表示イメージ(表示プレーン)38が示されている。原イメージ32Aを基礎とした方向性補間処理36Aによって、拡大されたあるいは分解能が向上された表示イメージ38を構成することが可能となる。具体的には、表示イメージ38を構成する各画素が注目点40として順番に定められる。符号44で示されるように、注目点40に対応する対応点(関心点)42が原イメージ32A上において定められる。そして以下に示す図4乃至図6の処理が適用されて、最終的に注目点40についての補間画素値が求められ、その補間画素値が注目点40の値としてマッピングされる。
【0033】
これについて具体的に説明すると、図4には原イメージが示されており、ここには対応点42を通過する複数の候補ライン群46が示されている。候補ライン群46は放射状に配列された複数の候補ラインにより構成され、隣接するライン間の角度ピッチは同一であり、それぞれのラインは互いに同じ長さを有している。もちろん非均等のピッチや長さの適応的設定といった技術を利用することも可能である。このように候補ライン群46が設定されると、各候補ライン48ごとに当該候補ライン上に存在する複数の画素値が参照され、それらに基づいて分散値が演算される。すなわち画素値のばらつき度合いを表す評価値が演算される。複数の候補ラインに対応する複数の分散値が演算された上、その中から図5に示されるように最大値をとる候補ラインが定められる。図5においてはそれが法線ライン48Aとして表わされている。すなわち組織49の辺縁49Aにおよそ直交する方向として法線ライン48Aが設定されており、それは対応点42を通過している。そして、図6に示されるように、そのような法線ライン48Aに直交するラインとして参照ライン48Bが定められる。参照ライン48Bは辺縁49Aに沿った(平行な)ラインである。そして、そのような参照ライン48B上に存在する複数のサンプリング点すなわちサンプリング点列50が定められ、それらが有する複数の画素値が参照され、その平均値あるいは重み付け平均値として補間画素値が演算される。すなわち、そのような補間画素値は対応点42に対応する輝度値であり、より詳しくは図3に示した注目点40の補間画素値である。
【0034】
以上のように、注目点あるいは対応点の周囲をまんべんなく参照するのではなく、組織の流れの方向に沿って複数の画素値を参照し、それらに基づいて補間画素値を求めることにより、輪郭を強調した、あるいは輪郭をはっきりとさせた3次元超音波画像を構成することが可能となる。更に言えば、上述したようにレイ本数を削減して低解像度の原イメージを生成した場合であっても、そこから高解像度の3次元画像を構成できるという利点が得られる。上述した説明においては、複数の候補ラインの中からまず法線ラインを決定した上で、それに直交するラインとして参照ラインが求められていたが、複数の分散値の中で最小の分散値を特定することにより、当該最小の分散値を有する候補ラインを参照ラインとして定めるようにしてもよい。いずれにしても、対応点あるいは注目点を中心として複数の探索ラインを設定した上でそれらの個々を評価し、その評価結果として組織の流れの方向を判定するのが望ましい。
【0035】
図7には、以上を説明した内容がフローチャートとして示されている。すなわちS10においては、表示イメージにおける注目点が設定され、S12においては原イメージ上において対応点が定められ、すなわち注目点に対応する点が定められ、その対応点を通過する複数の候補方向が設定される。S14においては、各候補方向について分散値が演算される。S16においては最大分散値をとる方向が法線方向として特定され、更にS18においてはその法線方向に直交する方向として参照方向が定められることになる。当該参照方向は組織輪郭に沿った方向となる。もちろん上述したようにS14の次に最小分散値をとる方向を見定めることにより、直接的に参照方向を特定するようにしてもよい。S20においては参照方向に存在する複数のサンプリング点についての複数の画素値が参照され、それらの平均値あるいは重み付け平均値として補間画素値が演算される。この場合においては参照方向に存在する1つの画素値列を参照するようにしてもよいし複数列を参照するようにしてもよい。すなわち長方形に伸長したウィンドウを設定し、その中の画素値を参照することにより補間画素値を求めてもよい。
【0036】
図8には、段階的に適用される複数の後処理の内容が示されている。第1段階においては方向性補間処理が適用され、それが方向性補間処理部52として表されている。第2においてはコントラスト強調処理が適用され、それがコントラスト強調処理部54として表されている。コントラスト強調処理部54は、濃淡判定部56、鮮明度判定部58、鮮明化実行部60を有している。濃淡判定部56は例えばm画素×m画素のウィンドウ内における平均値を演算するモジュールである。鮮明度判定部58は、当該ウィンドウ内における分散値に基づいて重みKを演算するモジュールである。重みKを演算するための関数については後に図9を用いて説明する。鮮明化実行部60は、現在注目している画素の画素値Iとウィンド内の平均値I’とに基づき、更に重みKを考慮して、出力値としての画素値を求めている。具体的にはI+K×(I−I’)が演算されている。この演算は、背景平均輝度値よりも注目している画素値の輝度値が大きければその値をより大きくし、逆に小さければその値をより小さくする処理である。ただし、分散値が大きいような状況にあっては、輝度値をあまり変更しない方が望ましいため、抑圧係数として重みKが与えられている。
【0037】
具体的には、例えば図9に示される関数62Aに従って重みKが定められる。横軸は分散値であり縦軸は重みKである。分散値がa1以下においては例えば重みとしてK=1.0が設定され、a1からa2にかけては重みKが徐々に小さくされている。そして分散値a2以上においては重みKが0とされている。このような構成によれば、分散値が低い場合にあってはコントラストを強調させ、分散値が高くなればなるほどそのような強調処理を低減し、最終的には強調処理が行われないようになる。もちろんこのような関数62Aは一例であって、例えば62Bで示されるような関数を利用することも可能である。ちなみに、図8に示されるように重みKの演算にあたってはパラメータkを作用させ、そのkを大小させることにより関数形状をユーザーに可変させるようにしてもよい。例えばそのようなパラメータkは分散値に対して乗算される係数である。
【0038】
図10には原イメージが例示されている。図11には原イメージに対して従来の線形補間処理を適用した結果が示されている。線形補間処理に際しては倍率が変更されている。図11に示されるように、方向性をもたない一般的な線形補間処理を適用した場合、画質がかなり低下する。すなわち画像内容がぼけている。図12には原イメージに対して方向性補間処理を適用した結果が示されている。図12に示されるように、原イメージの画質が倍率変更によっても維持され、むしろその内容は優良化されており、胎児の輪郭がはっきりと表れている。逆に言えば、このような後処理を前提とすれば、レイの本数を少なくして演算量を削減し、迅速な三次元画像形成を行うことが可能となる。
【0039】
図13には、上述した後処理の作用が示されている。横軸はピクセルの位置を表しており縦軸は輝度値を表している。符号100は位置方向における輝度値の変化を表しており、符号100は従来の方向性をもたない線形補間処理の結果を表している。符号102は本実施形態に係る方向性補間処理の結果を表している。そこでは図示のように凹凸が強調されており、特に輪郭が強調されており、これによって画質が向上している。
【0040】
図14には表示画面104内に表示される画像としての4ビュー表示が示されている。4ビュー表示は、3D画像と、3つのBモード画像とにより構成されるものである。図15には2ビュー表示が示されている。これは3D画像と1つのBモード画像とにより構成される。図16には1ビュー表示が示されている。これは1つの3次元画像により構成されるものである。本実施形態においては、例えば図14に示される3次元画像を常に構築した上で、後処理によって図15に示される少し大きな3次元画像や図16に示される大きな3次元画像を構成することが可能である。すなわちレイの本数を増大させずに拡大されたあるいは分解能が向上された3次元画像を容易に生成することが可能となる。ビュー数に応じて拡大率を自動的に変更するように制御されている。
【0041】
上記実施形態においては胎児の3次元画像に対して方向性補間処理が適用されたが、他の組織に対して同様の処理が適用されてもよい。例えば血流を表す3次元ドプラ画像に対して上記のような処理が適用されてもよい。この場合においては3原色を構成する各カラー情報ごとに方向性補間処理が適用されてもよい。上記の実施形態においては方向性補間処理の後にコントラスト処理が適用されていたが、後者の処理は必ずしも適用されなくてもよい。必要に応じて適用されればよい。
【符号の説明】
【0042】
10 3Dプローブ、12 送信部、14 受信部、15 3Dメモリ、22 レンダリング部、24 画像処理部、28 視点、32 スクリーン、34 レイ、38 表示プレーン、46 候補ライン群、48 候補ライン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成するレンダリング手段と、
前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する手段であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理手段と、
を含み、
前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に補間画素値演算用の画素参照方向が定められる、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記表示イメージは前記原イメージとは倍率又は解像度が異なるイメージであり、
前記方向性補間処理に際して倍率又は解像度が変更される、
ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、
前記方向性補間処理手段は、
前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する評価値演算手段と、
前記演算された複数の評価値に基づいて前記画素参照方向を決定する方向決定手段と、
前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する補間画素値演算手段と、
を含むことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
前記表示イメージを構成する各画素に対して方向性補間処理が適用された結果として、前記原イメージの拡大イメージに相当する前記表示イメージが生成され、
前記表示イメージの拡大率が、前記原イメージを生成するために設定されたレイの本数に基づいて定められる、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置において、
前記方向性補間処理により生成された表示イメージに対して後処理を適用する後処理手段を含み、
前記後処理は前記表示イメージのコントラストを調整する処理である、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記コントラスト調整処理では、背景平均輝度値よりも入力画素値が大きい場合に当該入力画素値をより大きくした出力画素値が出力され、且つ、背景平均輝度よりも入力画素値が小さい場合に当該入力画素値をより小さくした出力画素値が出力される、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項7】
情報処理装置において実行される超音波画像処理プログラムであって、
生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成する機能と、
前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する機能であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理機能と、
を含み、
前記方向性補間処理は、
前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する処理と、
前記演算された複数の評価値に基づいて前記複数の候補方向の中から補間画素値演算用の画素参照方向を決定する処理と、
前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する処理と、
を含み、
前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に前記画素参照方向が定められる、ことを特徴とする超音波画像処理プログラム。
【請求項1】
生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成するレンダリング手段と、
前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する手段であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理手段と、
を含み、
前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に補間画素値演算用の画素参照方向が定められる、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記表示イメージは前記原イメージとは倍率又は解像度が異なるイメージであり、
前記方向性補間処理に際して倍率又は解像度が変更される、
ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、
前記方向性補間処理手段は、
前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する評価値演算手段と、
前記演算された複数の評価値に基づいて前記画素参照方向を決定する方向決定手段と、
前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する補間画素値演算手段と、
を含むことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
前記表示イメージを構成する各画素に対して方向性補間処理が適用された結果として、前記原イメージの拡大イメージに相当する前記表示イメージが生成され、
前記表示イメージの拡大率が、前記原イメージを生成するために設定されたレイの本数に基づいて定められる、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置において、
前記方向性補間処理により生成された表示イメージに対して後処理を適用する後処理手段を含み、
前記後処理は前記表示イメージのコントラストを調整する処理である、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、
前記コントラスト調整処理では、背景平均輝度値よりも入力画素値が大きい場合に当該入力画素値をより大きくした出力画素値が出力され、且つ、背景平均輝度よりも入力画素値が小さい場合に当該入力画素値をより小さくした出力画素値が出力される、ことを特徴とする超音波画像処理装置。
【請求項7】
情報処理装置において実行される超音波画像処理プログラムであって、
生体内三次元空間から取得されたボリュームデータに対して複数のレイを設定すると共に各レイに沿ってレンダリング演算を実行することにより、三次元画像としての原イメージを生成する機能と、
前記原イメージに基づいて表示イメージを生成する機能であって、前記表示イメージを構成する注目画素ごとに前記原イメージを基礎とした方向性補間処理を適用することにより、前記注目画素の補間画素値を生成する方向性補間処理機能と、
を含み、
前記方向性補間処理は、
前記原イメージ上において、前記注目画素に対応する対応点を基準として互いに異なる複数の候補方向を設定し、各候補方向について画素値のばらつきを示す評価値を演算する処理と、
前記演算された複数の評価値に基づいて前記複数の候補方向の中から補間画素値演算用の画素参照方向を決定する処理と、
前記画素参照方向に並ぶ複数の画素が有する複数の画素値に基づいて前記補間画素値を演算する処理と、
を含み、
前記方向性補間処理では、前記原イメージにおいて三次元表現されている組織の流れ方向に前記画素参照方向が定められる、ことを特徴とする超音波画像処理プログラム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−45065(P2012−45065A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187874(P2010−187874)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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