超音波画像診断装置
【課題】観察部位の動作周期における特定の時相についての複数断面の超音波診断画像を確実に得る。
【解決手段】超音波探触子1は、2次元配列された複数の超音波振動子を有する。超音波送受信部2は、超音波探触子1を使用して被検体内の診断部位をそれぞれ通る複数の断面を選択的に超音波によってスキャンする。画像データ生成部3は、上記のスキャンの結果に基づいてそのスキャンの対象となった断面に関する超音波診断画像を生成する。制御処理部12は、診断部位の動作周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを複数に断面にそれぞれ割り当て、第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、第2の期間には複数の断面を一定回数ずつ順次にスキャンするように超音波送受信部2を制御する。
【解決手段】超音波探触子1は、2次元配列された複数の超音波振動子を有する。超音波送受信部2は、超音波探触子1を使用して被検体内の診断部位をそれぞれ通る複数の断面を選択的に超音波によってスキャンする。画像データ生成部3は、上記のスキャンの結果に基づいてそのスキャンの対象となった断面に関する超音波診断画像を生成する。制御処理部12は、診断部位の動作周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを複数に断面にそれぞれ割り当て、第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、第2の期間には複数の断面を一定回数ずつ順次にスキャンするように超音波送受信部2を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内の周期的な動作を伴う部位を観察するための超音波診断画像を撮像する超音波画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体内の周期的な動作を伴う部位に関して撮像された超音波診断画像に基づいて上記の部位を観察するためには、その超音波診断画像が観察部位の動作周期のどの時相において撮像されたものであるかを認識することが重要である。そして多くの場合には、特定の時相において撮像された超音波診断画像が診断に利用される。例えば循環器分野においては、ECG(electrocardiogram)波形の拡張末期、特にR波時の超音波診断画像が診断に利用されている。
【0003】
一方、近年は、2次元アレイプローブを用いて複数断面をスキャンするモード(例えばTri-plane TDIモード)が実現されている。この種のスキャンモードでは、複数の断面が順番に繰り返しスキャンされ、それぞれのスキャン結果に基づいて超音波診断画像がそれぞれ生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−200072
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数断面のスキャンするモードにおけるスキャンの繰り返しは、観察部位の動作とは無関係に行われている。このため、観察部位の動作周期における特定の時相に撮像された画像が複数の断面のそれぞれについて確実に得られる保証はなく、またそれが得られたとしても、当該画像が全て得られるまでに多くの時間を要する恐れがあった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、観察部位の動作周期における特定の時相についての複数断面の超音波診断画像を確実に得ることができる超音波画像診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様による超音波画像診断装置は、2次元配列された複数の超音波振動子を有する2次元アレイプローブと、前記2次元アレイプローブを使用して被検体内の診断部位をそれぞれ通る複数の断面を選択的に超音波によってスキャンするスキャン手段と、スキャン手段によるスキャンの結果に基づいてそのスキャンの対象となった断面に関する超音波診断画像を生成する生成手段と、前記診断部位の動作周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを前記複数に断面にそれぞれ割り当て、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、前記第2の期間には前記複数の断面を一定回数ずつ順次にスキャンするように前記スキャン手段を制御する制御手段とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、観察部位の動作周期における特定の時相についての複数断面の超音波診断画像を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波画像診断装置のブロック図。
【図2】Tri-plane TDIモードにおけるスキャン対象の断面の一例を示す図。
【図3】Tri-plane TDIモードにおいて再構成された3つの超音波診断画像を並べて表した表示画面の一例を示す図。
【図4】第1のスキャンモードにおけるスキャンシーケンスを示す図。
【図5】図1中の制御処理部による第2のスキャンモードにおける処理手順を示すフローチャート。
【図6】第2のスキャンモードにおけるシーケンスAのタイミング図。
【図7】第2のスキャンモードにおけるシーケンスBのタイミング図。
【図8】第2のスキャンモードにおけるシーケンスCのタイミング図。
【図9】第3のスキャンモードにおけるシーケンスAのタイミング図。
【図10】第3のスキャンモードにおけるシーケンスBのタイミング図。
【図11】第3のスキャンモードにおけるシーケンスCのタイミング図。
【図12】第1の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【図13】第2の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【図14】第3の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【図15】第4の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係る超音波画像診断装置100のブロック図である。
【0012】
超音波画像診断装置100は、超音波探触子1、超音波送受信部2、画像データ生成部3、画像データ収集メモリ4、生体信号センサ5、生体信号収集メモリ6、画面データ制御部7、画像メモリ8、モニタ9、操作パネル10、プリンタ11および制御処理部12を含む。なお、一般的には、超音波送受信部2、画像データ生成部3、画像データ収集メモリ4、生体信号収集メモリ6、画面データ制御部7、画像メモリ8、モニタ9、操作パネル10、プリンタ11および制御処理部12を含んだメインユニットとして、超音波探触子1および生体信号センサ5とは別体で構成される。さらには、モニタ9およびプリンタ11の少なくとも一方はメインユニットに内蔵されず、外付けされるように構成される場合もある。生体信号センサ5、モニタ9およびプリンタ11は、超音波画像診断装置100とは別の例えば既製品などを使用しても良い。
【0013】
超音波探触子1は、圧電セラミック等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を多数有する。複数の圧電振動子は2次元に配列され、超音波探触子1の先端に装備される。すなわち超音波探触子1は、いわゆる2次元アレイプローブである。超音波探触子1は、超音波送受信部2からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号(エコー信号)に変換する。
【0014】
超音波送受信部2は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を内蔵してる。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するのに必要な遅延を各レートパルスに与える。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングでパルスが生じる駆動信号を超音波探触子1に出力する。アンプ回路、A/D変換器および加算器等を内蔵している。アンプ回路は、超音波探触子1から出力されたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。加算器は、各チャネルのエコー信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延を個別に与え、その後に加算する。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。超音波送受信部2は、合成後のエコー信号を画像データ生成部3に送る。超音波送受信部2は、送信指向性および受信指向性を2次元的に変化させることができる。そして、超音波によるスキャン断面の向きを変化させることができる。
【0015】
画像データ生成部3は、超音波送受信部2から与えられたエコー信号に基づいて超音波診断画像を表した画像データを生成する。
【0016】
画像データ収集メモリ4は、画像データ生成部3で繰り返し生成される画像データを収集して記憶する。
【0017】
生体信号センサ5は、被検体のECG(electrocardiogram)信号を電気信号として検出する。生体信号センサ5は、ECG信号にデジタル化処理を含む各種の処理を施した上で出力する。
【0018】
生体信号収集メモリ6は、生体信号センサ5から出力されたECG信号を収集し、超音波スキャンの実施タイミングに関連付けて記憶する。
【0019】
画面データ制御部7は、画像データ収集メモリ4に記憶されている画像データが表す超音波診断画像をモニタ9にて表示するための表示画面を表した画面データを生成する。画面データ制御部7は、生体信号収集メモリ6に記憶されたECG信号が表すECG波形を、必要に応じて表示画面に含めることができる。例えば画面データ制御部7は、超音波診断画像に、その超音波診断画像が被検体の心拍周期のどの時相で撮像されたかを表すタイミング画像を重畳した表示画面の画面データを生成する。画面データ制御部7は、制御処理部12から指定された表示モードに応じた表示画面の画面データを生成する。
【0020】
画像メモリ8は、画面データ制御部7により生成された画面データを記憶する。
【0021】
モニタ9は、画像メモリ8に記憶された画面データが表す画面を表示する。
【0022】
操作パネル10は、制御処理部12に対するユーザによる各種の指示を入力する。
【0023】
プリンタ11は、モニタ9に表示されている画面やその他の情報をプリントする。
【0024】
制御処理部12は、超音波画像診断装置100の各部の動作を総括的に制御する。制御処理部12は、次のような各種の機能を実現する。この機能のいくつかは、既存の超音波画像診断装置が備える各種の機能を実現するように超音波画像診断装置100の各部を制御する。上記の機能の1つは、Tri-plane TDIモードでの撮像の際に、被検体の心拍周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを複数に断面にそれぞれ割り当て、第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、第2の期間には複数の断面を順次にスキャンするように超音波送受信部2を制御する。
【0025】
次に以上のように構成された超音波画像診断装置100の動作について説明する。
【0026】
超音波画像診断装置100は、従来より存在する同種の他の超音波画像診断装置における動作と同様な動作を行うことが可能であるが、その説明は省略する。そしてここでは、3つの断面をスキャンするTri-plane TDIモードでの動作について詳細に説明する。
【0027】
超音波画像診断装置100では基本的には、被検体からの反射波を受けて超音波探触子1から出力されたエコー信号に基づいて超音波送受信部2および画像データ生成部3によって生成された超音波診断画像は、画面データ制御部7によって表示画面に編集されてモニタ9にて表示される。
【0028】
Tri-plane TDIモードにおいては、例えば図2に示すような互いに異なる3つの断面P1,P2,P3をそれぞれ時分割にスキャンする。なお図2において符号1aを付して示しているのは超音波探触子1に備えられた圧電振動子群である。そしてTri-plane TDIモードにおいては、断面P1,P2,P3のそれぞれについてのスキャン結果に基づいてそれぞれ再構成された3つの超音波診断画像を例えば図3に示すように並べて表した表示画面が画面データ制御部7により生成されてモニタ9で表示される。
【0029】
さて、超音波画像診断装置100は以上のようなTri-plane TDIモードに関して、さらに以下に詳述するような3つのスキャンモードを備えている。そしてこれら3つのスキャンモードは、ユーザの要求に応じて選択的に有効とされる。制御処理部12は、有効とされたスキャンモードに応じたスキャンシーケンスで超音波スキャンを行うように超音波送受信部2に指示する。なお、以下に説明する各スキャンモードは、循環器や心臓などをスキャンの対象部位とする超音波診断に適する。
【0030】
(第1のスキャンモード)
第1のスキャンモードにおいて超音波送受信部2は、Tri-plane TDIモードにおける周知の一般的なスキャンシーケンスである図4に示すようなスキャンシーケンスを適用する。すなわち超音波送受信部2は、断面P1,P2,P3のそれぞれを1フレームずつ順次に繰り返しスキャンする。1つの断面についてのスキャンの繰り返し周期は、1フレームのスキャンに要する時間により決まり、被検体の心拍周期とは無関係である。
【0031】
かくして第1のスキャンモードにおいては、3つの断面P1,P2,P3を完全に均等な割合にてスキャンすることが可能である。
【0032】
しかしながら第1のスキャンモードにおいては、心拍周期中の特定の時相においてどの断面のスキャンが行われるかは不定である。例えば図4に示した例では、R波が生じる時相において断面P1のスキャンが繰り返されている。つまり第1のスキャンモードにおいては、心拍周期中の特定の時相に関して、3つの断面P1,P2,P3のそれぞれの超音波診断画像が均等な割合で得られる保証はない。
【0033】
(第2のスキャンモード)
第2のスキャンモードにおいて制御処理部12は、図5に示すような処理によって1心拍毎に超音波送受信部2で適用するスキャンシーケンスを変更させる。
【0034】
ステップSa1において制御処理部12は、回数Nminをユーザの指示に応じて設定するとともに、カウント値m1,m2,m3をそれぞれ0に初期化する。なお回数Nminは、デフォルト値を使用しても良い。
【0035】
ステップSa2において制御処理部12は、カウント値m1が回数Nminを上回っているか否かを確認する。そしてカウント値m1が回数Nminを上回っていなければ、制御処理部12はステップSa2からステップSa3へ進む。
【0036】
ステップSa3において制御処理部12は、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされたか否かを確認する。
【0037】
まだスキャンを実行していない場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3をスキャンした場合、制御処理部12はステップSa3からステップSa4へ進む。
【0038】
ステップSa4において制御処理部12は、次のR波のタイミングを心拍数に基づいて予測する。例えば制御処理部12は、心拍数から1心拍期間を求め、当該期間が前回のR波のタイミングから経過したタイミングとして次のR波のタイミングを予測する。より具体的には、心拍数が60回/分であるならば、制御処理部12は前回のR波のタイミングから1秒後のタイミングとして次のR波のタイミングを予測する。
【0039】
ステップSa5において制御処理部12は、ステップSa4において予測したR波のタイミングから一定時間を遡ったタイミングとして開始タイミングを設定する。
【0040】
ステップSa6において制御処理部12は、シーケンスAでのスキャンをステップSa5にて設定した開始タイミングから実行する。
【0041】
図6は第2のスキャンモードにおけるシーケンスAのタイミング図である。ただし図6は予測されたR波のタイミングと実際のR波のタイミングとが一致する場合を示している。
【0042】
シーケンスAでは、開始タイミングから断面P1について3フレーム分連続してスキャンしたのちに、断面P2,P3のそれぞれについて1フレームずつ順次にスキャンする。そしてさらにこの後に、断面P1,P2,P3のそれぞれについて順次に繰り返しスキャンする。なお、開始タイミングの直後における断面P1のスキャンフレーム数は、上記の一定時間を1フレームのスキャンに要する時間で除算して求まる値よりも大きな整数として定められれば、任意であって良い。
【0043】
シーケンスAでの全てのスキャンを実行し終えたならば制御処理部12は、ステップSa6からステップSa7へ進む。
【0044】
ステップSa7において制御処理部12は、直近のR波の実際のタイミングにおいていずれの断面がスキャンされたのかを確認する。つまり、心拍の変動によって、予測したR波のタイミングと実際のR波のタイミングとがずれることがある。このため、例えばシーケンスAによりスキャンを実行しても、実際のR波のタイミングで断面P1のスキャンが行われる保証はないので、いずれの断面がスキャンされたのかを確認するのである。そして制御処理部12は、断面P1がスキャンされたならばステップSa8へ、断面P2がスキャンされたならばステップSa9へ、そして断面P3がスキャンされたならばステップSa10へそれぞれ進む。
【0045】
ステップSa8において制御処理部12は、カウント値m1を1つカウントアップする。ステップSa9において制御処理部12は、カウント値m2を1つカウントアップする。ステップSa10において制御処理部12は、カウント値m3を1つカウントアップする。かくしてカウント値m1,m2,m3は、実際のR波のタイミングで断面P1,P2,P3がスキャンされる毎にそれぞれ1つずつカウントアップされる。
【0046】
そして制御処理部12は、ステップSa8乃至ステップSa10からステップSa2に以降し、ステップSa2以降の処理を繰り返す。
【0047】
さて制御処理部12は、ステップSa3において1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1をスキャンしたと判断した場合、ステップSa3からステップSa11へ進む。
【0048】
ステップSa11において制御処理部12は、カウント値m2が回数Nminを上回っているか否かを確認する。そしてカウント値m2が回数Nminを上回っていなければ、制御処理部12はステップSa11からステップSa12へ進む。
【0049】
ステップSa12において制御処理部12は、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされたか否かを確認する。1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1をスキャンした場合、制御処理部12はステップSa12からステップSa13へ進む。
【0050】
ステップSa13において制御処理部12は、ステップSa4と同様にして、次のR波のタイミングを心拍数に基づいて予測する。
【0051】
ステップSa14において制御処理部12は、ステップSa13において予測したR波のタイミングから一定時間を遡ったタイミングとして開始タイミングを設定する。
【0052】
ステップSa15において制御処理部12は、シーケンスBでのスキャンをステップSa14にて設定した開始タイミングから実行する。
【0053】
図7は第2のスキャンモードにおけるシーケンスBのタイミング図である。ただし図7は予測されたR波のタイミングと実際のR波のタイミングとが一致する場合を示している。
【0054】
シーケンスBでは、開始タイミングから断面P2について3フレーム分連続してスキャンしたのちに、断面P3,P1のそれぞれについて1フレームずつ順次にスキャンする。そしてさらにこの後に、断面P2,P3,P1のそれぞれについて順次に繰り返しスキャンする。なお、開始タイミングの直後における断面P2のスキャンフレーム数は、上記の一定時間を1フレームのスキャンに要する時間で除算して求まる値よりも大きな整数として定められれば、任意であって良い。
【0055】
シーケンスBでの全てのスキャンを実行し終えたならば制御処理部12は、ステップSa15からステップSa7へ進む。
【0056】
さて制御処理部12は、ステップSa12において1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2をスキャンしたと判断した場合、ステップSa12からステップSa16へ進む。
【0057】
ステップSa16において制御処理部12は、カウント値m3が回数Nminを上回っているか否かを確認する。そしてカウント値m3が回数Nminを上回っていなければ、制御処理部12はステップSa16からステップSa17へ進む。
【0058】
ステップSa17において制御処理部12は、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされたか否かを確認する。1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2をスキャンした場合、制御処理部12はステップSa17からステップSa18へ進む。
【0059】
ステップSa18において制御処理部12は、ステップSa4と同様にして、次のR波のタイミングを心拍数に基づいて予測する。
【0060】
ステップSa19において制御処理部12は、ステップSa18において予測したR波のタイミングから一定時間を遡ったタイミングとして開始タイミングを設定する。
【0061】
ステップSa20において制御処理部12は、シーケンスCでのスキャンをステップSa19にて設定した開始タイミングから実行する。
【0062】
図8は第2のスキャンモードにおけるシーケンスCのタイミング図である。ただし図8は予測されたR波のタイミングと実際のR波のタイミングとが一致する場合を示している。
【0063】
シーケンスCでは、開始タイミングから断面P3について3フレーム分連続してスキャンしたのちに、断面P1,P2のそれぞれについて1フレームずつ順次にスキャンする。そしてさらにこの後に、断面P3,P1,P2のそれぞれについて順次に繰り返しスキャンする。なお、開始タイミングの直後における断面P3のスキャンフレーム数は、上記の一定時間を1フレームのスキャンに要する時間で除算して求まる値よりも大きな整数として定められれば、任意であって良い。
【0064】
シーケンスCでの全てのスキャンを実行し終えたならば制御処理部12は、ステップSa20からステップSa7へ進む。
【0065】
以上のように第2のスキャンモードにおいては、いずれのシーケンスにおいても、1心拍期間が開始タイミングから3フレーム分の第1の期間とその後の第2の期間とに区分され、第1の期間にはいずれか1つの断面のみがスキャンされ、第2の期間には断面P1,P2,P3が1フレームずつ順次にスキャンされる。そしてシーケンスAでは第1の期間にて断面P1がスキャンされるから、R波のタイミングにて断面P1がスキャンされる可能性が高い。シーケンスBでは第1の期間にて断面P2がスキャンされるから、R波のタイミングにて断面P2がスキャンされる可能性が高い。そしてシーケンスCでは第1の期間にて断面P3がスキャンされるから、R波のタイミングにて断面P3がスキャンされる可能性が高い。一方、R波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされたならば、その次の心拍においてはシーケンスAが適用される。R波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされたならば、その次の心拍においてはシーケンスBが適用される。そして、R波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされたならば、その次の心拍においてはシーケンスCが適用される。従って、被検体の心拍がある程度安定していれば、シーケンスA,B,Cが1心拍毎に順次に適用されて、R波のタイミングでは断面P1,P2,P3が1心拍毎に順次にスキャンされることになる。
【0066】
被検体の心拍が不安定である場合、断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合に偏りが生じる恐れがある。そしてR波のタイミングでのスキャンの頻度が高い断面に対応するカウント値がそれ以外のカウント値よりも先に回数Nminを超えることになる。例えば、R波のタイミングでのスキャンの頻度が、断面P1について断面P2,P3よりも高いとするならば、ステップSa8がステップSa9,10よりも高頻度に行われる結果として、カウント値m1がカウント値m2,m3よりも先に回数Nminを超えることになる。同様にして、断面P2についての頻度が他の断面よりも高い場合にはカウント値m2が他のカウント値よりも先に、また断面P3についての頻度が他の断面よりも高い場合にはカウント値m3が他のカウント値よりも先にそれぞれ回数Nminを超えることになる。
【0067】
そして制御処理部12は、カウント値m1が回数Nminを超えているならばステップSa2からステップSa11に移行することにより、シーケンスAを次の心拍への適用対象から除く。制御処理部12は、カウント値m2が回数Nminを超えているならばステップSa11からステップSa16に移行することにより、シーケンスBを次の心拍への適用対象から除く。そしてカウント値m3が回数Nminを超えているか、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされていなければ、制御処理部12はステップSa16またはステップSa17からステップSa21に移行する。
【0068】
ステップSa21において制御処理部12は、カウント値m1が回数Nmin以下であるか否かを確認する。そしてカウント値m1が回数Nmin以下であるならば、制御処理部12はステップSa21からステップSa4に移行する。かくして、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされているが、カウント値m3が回数Nminを超えている場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされているが、カウント値m2,m3がいずれも回数Nminを超えている場合には、シーケンスAでのスキャンを強制的に実行する。
【0069】
カウント値m1が回数Nminを超えているならば、制御処理部12はステップSa21からステップSa22へ進む。そしてステップSa22において制御処理部12は、カウント値m2が回数Nmin以下であるか否かを確認する。そしてカウント値m2が回数Nmin以下であるならば、制御処理部12はステップSa22からステップSa13に移行する。かくして、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされているが、カウント値m1が回数Nminを超えている場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされているが、カウント値m3,m1がいずれも回数Nminを超えている場合には、シーケンスBでのスキャンを強制的に実行する。
【0070】
カウント値m2が回数Nminを超えているならば、制御処理部12はステップSa22からステップSa23へ進む。そしてカウント値m2が回数Nmin以下であるならば、制御処理部12はステップSa22からステップSa18に移行する。かくして、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされたことによってカウント値m1が回数Nminを超え、さらにカウント値m2が回数Nminを超えている場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされているが、カウント値m1,m2がいずれも回数Nminを超えている場合には、シーケンスCでのスキャンを強制的に実行する。
【0071】
カウント値m1,m2,m3のいずれもが回数Nminを超えているならば、制御処理部12はステップSa23からステップSa24へ進む。そしてステップSa24において制御処理部12は、カウント値m1,m2,m3を全て0にクリアする。この後に制御処理部12は、ステップSa2以降の処理を繰り返す。
【0072】
このようにして、被検体の心拍が不安定であるために断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合に偏りが生じたとしても、R波のタイミングでのスキャン回数がNmin回を超えた断面を優先するシーケンスを適用せず、その他のシーケンスを適用する。この結果、R波のタイミングでのスキャン回数が比較的少ない断面についてR波のタイミングでスキャンされる確率を向上して断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合の平均化を図ることができる。なお、回数Nminによって、断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合の偏りに対する許容量を調整することができる。
【0073】
(第3のスキャンモード)
第3のスキャンモードにおいても制御処理部12は、図5に示すような処理によって1心拍毎に超音波送受信部2で適用するスキャンシーケンスを変更させる。そして第3のスキャンモードが第2のスキャンモードと異なるのは、シーケンスA,B,Cの内容である。
【0074】
図9乃至図11は第3のスキャンモードにおけるシーケンスA,B,Cのそれぞれのタイミング図である。
【0075】
このように第3のスキャンモードにおけるシーケンスA,B,Cはいずれも、被検体のECG波形におけるQ波から一定の待機時間が経過したタイミングを開始タイミングとする。そしてシーケンスAでは断面P1、断面P2、断面P3の順序で、シーケンスBでは断面P2、断面P3、断面P1の順序で、さらにシーケンスCでは断面P3、断面P1、断面P2の順序で、それぞれ1フレームずつ繰り返しスキャンする。なお、待機時間は、Q波からR波までの間隔と、1フレームのスキャンに要する時間とを考慮して、開始タイミングから開始したフレームのスキャン途中にR波が生じるような時間に設定する。
【0076】
以上のように第3のスキャンモードにおいては、いずれのシーケンスにおいても、1心拍期間が開始タイミングから1フレーム分の第1の期間とその後の第2の期間とに区分され、第1の期間には各心拍に割り当てられたいずれか1つの断面がスキャンされ、第2の期間には断面P1,P2,P3が1フレームずつ順次にスキャンされる。そして第3のスキャンモードでは、R波に先立って生じるQ波に基づいて、1心拍における最初のフレームのスキャンタイミングがR波のタイミングとなるように開始タイミングが決定される。この結果、第1の期間でのスキャンは高確率でR波のタイミングでのスキャンとなる。そしてさらに各心拍における最初の1フレームには断面P1、断面P2、断面P3が順次に割り当てられるから、R波のタイミングでは断面P1,P2,P3が1心拍毎に順次にスキャンされることになる。
【0077】
さて、第2のスキャンモードにおいては、1心拍内でスキャンするフレーム数が1つの断面について他の断面よりも多くなっていた。しかしながら第3のスキャンモードでは、1心拍内でのスキャンフレーム数を各断面で均一にすることができる。
【0078】
次にTri-plane TDIモードで撮像される超音波診断画像の表示に関する動作について説明する。
【0079】
超音波画像診断装置100は以下のような表示モードを備えている。そしてこれらの表示モードは、ユーザの要求に応じて制御処理部12が選択的に有効とする。制御処理部12は、有効とした表示モードを画面データ制御部7に指定する。そうすると画面データ制御部7は、以下に説明するような各表示モードに応じた表示画面の画面データを生成する。
【0080】
(第1の表示モード)
図12は第1の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。
【0081】
図12に示した表示画面には、1つの断面についての1フレームの超音波診断画像21とECG波形22とを並べて配置している。またECG波形22に重ねて、超音波診断画像21の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すようにタイミングバー23を配置している。
【0082】
この第1の表示モードでは、表示対象とする断面やフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、表示画面中の超音波診断画像21を指示された断面やフレームに関するものに更新するとともに、更新後の超音波診断画像21の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すように必要に応じてタイミングバー23を移動させる。
【0083】
また第1の表示モードでは、拡大表示がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、タイミングバー23およびその配置位置周辺のECG波形を拡大して示す拡大画像24を表示画面中に含める。
【0084】
(第2の表示モード)
図13は第2の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。
【0085】
図13に示した表示画面には、断面P1,P2,P3のそれぞれについての1フレームずつの超音波診断画像31,32,33とECG波形34とを並べて配置している。超音波診断画像31,32,33は、ユーザによって断面P1,P2,P3のいずれか1つが選択され、かつその選択断面について表示対象とするフレームが指定されたならば、その指定フレームの選択断面についての超音波診断画像と、選択断面とは異なる2つの断面の指定フレームに直近のタイミングでスキャンされたフレームの超音波診断画像とする。具体的には断面P2が選択断面であるとするならば、断面P2についての指定フレームの超音波診断画像が超音波診断画像32として表示画面に含められる。そして指定フレームの直前に断面P1についてスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像31として、また指定フレームの直後に断面P3についてスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像33としてそれぞれ表示画面に含められる。
【0086】
また図13に示した表示画面には、ECG波形34に重ねて、超音波診断画像31,32,33の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われた大まかなタイミングを示すようにタイミングバー35を配置している。さらにこの表示画面には、タイミングバー35の配置位置周辺のECG波形を拡大して示す拡大画像36を配置している。この拡大画像36には、タイミングバー37,38,39を含む。これらのタイミングバー37,38,39は、超音波診断画像31,32,33のそれぞれの生成のために使用したエコー信号を得るためのそれぞれのスキャンが行われた具体的なタイミングを示す。タイミングバー37,38,39は、図13に示すように線種を異ならせたり、あるいは色を異ならせるなどして、断面P1,P2,P3のいずれに関するかを一目で区別できるようにしておく。
【0087】
この第2の表示モードでは、選択断面についての表示対象とするフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、表示画面中の選択断面についての超音波診断画像を指示されたフレームに関するものに更新するとともに、他の断面についての超音波診断画像も上記の条件を満たすものに更新する。さらに画面データ制御部7は、更新後の超音波診断画像31,32,33の生成のためにそれぞれ使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングをそれぞれ示すように必要に応じてタイミングバー35,37〜39を移動させる。さらに必要があれば、拡大画像36に示されるECG波形も更新する。
【0088】
(第3の表示モード)
図14は第3の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。
【0089】
図14に示した表示画面には、断面P1,P2,P3のそれぞれについての1フレームずつの超音波診断画像41,42,43とECG波形44とを並べて配置している。超音波診断画像41,42,43は、ユーザによって断面P1,P2,P3のそれぞれについて個別に表示対象とするフレームが指定されたならば、それらの各断面についての指定フレームのそれぞれの超音波診断画像とする。
【0090】
また図14に示した表示画面には、ECG波形44に重ねて、超音波診断画像41,42,43のそれぞれの生成のために使用したエコー信号を得るためのそれぞれのスキャンが行われたタイミングを示すようにタイミングバー45,46,47が配置される。タイミングバー45,46,47は、図14に示すように線種を異ならせたり、あるいは色を異ならせるなどして、断面P1,P2,P3のいずれに関するかを一目で区別できるようにしておく。
【0091】
この第3の表示モードでは、断面P1,P2,P3のいずれかについての表示対象とするフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、変更が指定された断面に関する超音波診断画像を指示されたフレームに関するものに更新する。さらに画面データ制御部7は、更新した超音波診断画像の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すように必要に応じてタイミングバー45,46,47のいずれかを移動させる。
【0092】
なお、この第3の表示モードにおいても、第1の表示モードにおける拡大画像24と同様な画像を必要にユーザ指示に応じて、あるいは常時的に表示画面に配置しても良い。
【0093】
(第4の表示モード)
図15は第4の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。この第4の表示モードは、第2および第3のスキャンモードによるスキャンで得られたエコー信号に基づいて生成される超音波診断画像を表示するのに特に適する。
【0094】
図15に示した表示画面には、断面P1,P2,P3のそれぞれについての1フレームずつの超音波診断画像51,52,53とECG波形54とを並べて配置している。超音波診断画像51,52,53は、ユーザによって断面P1,P2,P3のいずれか1つが選択されたならば、その選択断面についてR波のタイミングでスキャンされたフレームの超音波診断画像と、選択断面とは異なる2つの断面についてできるだけ近い心拍のR波のタイミングでそれぞれスキャンされたフレームの超音波診断画像とする。具体的には断面P2が選択断面であるとするならば、断面P2についてR波のタイミングでスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像52として表示画面に含められる。そして断面P1,P3について例えば1つ前の心拍および1つ後の心拍のR波のタイミングでそれぞれスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像51,53としてそれぞれ表示画面に含められる。
【0095】
また図15に示した表示画面には、ECG波形54に重ねて、超音波診断画像51,52,53の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すようにタイミングバー55,56,57を配置している。タイミングバー55,56,57は、図15に示すように線種を異ならせたり、あるいは色を異ならせるなどして、断面P1,P2,P3のいずれに関するかを一目で区別できるようにしておく。
【0096】
この第4の表示モードでは、選択断面についての表示対象とするフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、表示画面中の選択断面についての超音波診断画像を指示されたフレームに関するものに更新するとともに、他の断面についての超音波診断画像も上記の選択断面の更新後のフレームと同じ心拍時相にスキャンされたフレームのものに更新する。さらに画面データ制御部7は、更新後の超音波診断画像51,52,53の生成のためにそれぞれ使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングをそれぞれ示すように必要に応じてタイミングバー55,56,57を移動させる。
【0097】
なお、この第4の表示モードにおいても、第1の表示モードにおける拡大画像24と同様な画像を必要にユーザ指示に応じて、あるいは常時的に表示画面に配置しても良い。
【0098】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0099】
(1) スキャン対象とする断面は、2面または4面以上であっても良く、第2または第3のスキャンモードにおいては、それらの断面のそれぞれを優先させるシーケンスをそれぞれ用意しておき、それらのシーケンスを予め定められたルールに従って各心拍において選択的に使用すれば良い。
【0100】
(2) 第2または第3のスキャンモードにおいて各心拍で適用するシーケンスを選択するルール、すなわち複数心拍のそれぞれの第1の期間に各断面を割り当てるルールは、任意で良い。特に第3のスキャンモードは、第2のスキャンモードに比べて心拍変動の影響を受けにくいので、シーケンスA,B,Cを予め定められた順序(例えば1回ずつ)で単純に適用しても各断面毎のR波のタイミングでスキャンされる比率は大きくは偏らない。
【0101】
(3) スキャンの対象部位は、周期的に動作する部位であれば良い。なお、スキャンの対象部位の動作が心拍に同期しない場合には、スキャンの対象部位の動作周期に同期した生体信号をECG信号に代えて使用する。
【0102】
(4) 第2のスキャンモードにおいて、第1の期間にスキャンするフレーム数は、1フレームまたは2フレームであっても良いし、あるいは4フレーム以上であっても良い。
【0103】
(5) 第1または第2のスキャンモードを備えていれば、他のスキャンモードを省略することも可能である。
【0104】
(6) 第1乃至第4の表示モードは、それぞれ省略されても良い。
【0105】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…超音波探触子、1a…圧電振動子群、2…超音波送受信部、3…画像データ生成部、4…画像データ収集メモリ、5…生体信号センサ、6…生体信号収集メモリ、7…画面データ制御部、8…画像メモリ、9…モニタ、10…操作パネル、11…プリンタ、12…制御処理部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内の周期的な動作を伴う部位を観察するための超音波診断画像を撮像する超音波画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体内の周期的な動作を伴う部位に関して撮像された超音波診断画像に基づいて上記の部位を観察するためには、その超音波診断画像が観察部位の動作周期のどの時相において撮像されたものであるかを認識することが重要である。そして多くの場合には、特定の時相において撮像された超音波診断画像が診断に利用される。例えば循環器分野においては、ECG(electrocardiogram)波形の拡張末期、特にR波時の超音波診断画像が診断に利用されている。
【0003】
一方、近年は、2次元アレイプローブを用いて複数断面をスキャンするモード(例えばTri-plane TDIモード)が実現されている。この種のスキャンモードでは、複数の断面が順番に繰り返しスキャンされ、それぞれのスキャン結果に基づいて超音波診断画像がそれぞれ生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−200072
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数断面のスキャンするモードにおけるスキャンの繰り返しは、観察部位の動作とは無関係に行われている。このため、観察部位の動作周期における特定の時相に撮像された画像が複数の断面のそれぞれについて確実に得られる保証はなく、またそれが得られたとしても、当該画像が全て得られるまでに多くの時間を要する恐れがあった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、観察部位の動作周期における特定の時相についての複数断面の超音波診断画像を確実に得ることができる超音波画像診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様による超音波画像診断装置は、2次元配列された複数の超音波振動子を有する2次元アレイプローブと、前記2次元アレイプローブを使用して被検体内の診断部位をそれぞれ通る複数の断面を選択的に超音波によってスキャンするスキャン手段と、スキャン手段によるスキャンの結果に基づいてそのスキャンの対象となった断面に関する超音波診断画像を生成する生成手段と、前記診断部位の動作周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを前記複数に断面にそれぞれ割り当て、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、前記第2の期間には前記複数の断面を一定回数ずつ順次にスキャンするように前記スキャン手段を制御する制御手段とを備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、観察部位の動作周期における特定の時相についての複数断面の超音波診断画像を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波画像診断装置のブロック図。
【図2】Tri-plane TDIモードにおけるスキャン対象の断面の一例を示す図。
【図3】Tri-plane TDIモードにおいて再構成された3つの超音波診断画像を並べて表した表示画面の一例を示す図。
【図4】第1のスキャンモードにおけるスキャンシーケンスを示す図。
【図5】図1中の制御処理部による第2のスキャンモードにおける処理手順を示すフローチャート。
【図6】第2のスキャンモードにおけるシーケンスAのタイミング図。
【図7】第2のスキャンモードにおけるシーケンスBのタイミング図。
【図8】第2のスキャンモードにおけるシーケンスCのタイミング図。
【図9】第3のスキャンモードにおけるシーケンスAのタイミング図。
【図10】第3のスキャンモードにおけるシーケンスBのタイミング図。
【図11】第3のスキャンモードにおけるシーケンスCのタイミング図。
【図12】第1の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【図13】第2の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【図14】第3の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【図15】第4の表示モードにおける表示画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は本実施形態に係る超音波画像診断装置100のブロック図である。
【0012】
超音波画像診断装置100は、超音波探触子1、超音波送受信部2、画像データ生成部3、画像データ収集メモリ4、生体信号センサ5、生体信号収集メモリ6、画面データ制御部7、画像メモリ8、モニタ9、操作パネル10、プリンタ11および制御処理部12を含む。なお、一般的には、超音波送受信部2、画像データ生成部3、画像データ収集メモリ4、生体信号収集メモリ6、画面データ制御部7、画像メモリ8、モニタ9、操作パネル10、プリンタ11および制御処理部12を含んだメインユニットとして、超音波探触子1および生体信号センサ5とは別体で構成される。さらには、モニタ9およびプリンタ11の少なくとも一方はメインユニットに内蔵されず、外付けされるように構成される場合もある。生体信号センサ5、モニタ9およびプリンタ11は、超音波画像診断装置100とは別の例えば既製品などを使用しても良い。
【0013】
超音波探触子1は、圧電セラミック等の音響/電気可逆的変換素子としての圧電振動子を多数有する。複数の圧電振動子は2次元に配列され、超音波探触子1の先端に装備される。すなわち超音波探触子1は、いわゆる2次元アレイプローブである。超音波探触子1は、超音波送受信部2からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号(エコー信号)に変換する。
【0014】
超音波送受信部2は、トリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を内蔵してる。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するのに必要な遅延を各レートパルスに与える。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングでパルスが生じる駆動信号を超音波探触子1に出力する。アンプ回路、A/D変換器および加算器等を内蔵している。アンプ回路は、超音波探触子1から出力されたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。加算器は、各チャネルのエコー信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延を個別に与え、その後に加算する。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。超音波送受信部2は、合成後のエコー信号を画像データ生成部3に送る。超音波送受信部2は、送信指向性および受信指向性を2次元的に変化させることができる。そして、超音波によるスキャン断面の向きを変化させることができる。
【0015】
画像データ生成部3は、超音波送受信部2から与えられたエコー信号に基づいて超音波診断画像を表した画像データを生成する。
【0016】
画像データ収集メモリ4は、画像データ生成部3で繰り返し生成される画像データを収集して記憶する。
【0017】
生体信号センサ5は、被検体のECG(electrocardiogram)信号を電気信号として検出する。生体信号センサ5は、ECG信号にデジタル化処理を含む各種の処理を施した上で出力する。
【0018】
生体信号収集メモリ6は、生体信号センサ5から出力されたECG信号を収集し、超音波スキャンの実施タイミングに関連付けて記憶する。
【0019】
画面データ制御部7は、画像データ収集メモリ4に記憶されている画像データが表す超音波診断画像をモニタ9にて表示するための表示画面を表した画面データを生成する。画面データ制御部7は、生体信号収集メモリ6に記憶されたECG信号が表すECG波形を、必要に応じて表示画面に含めることができる。例えば画面データ制御部7は、超音波診断画像に、その超音波診断画像が被検体の心拍周期のどの時相で撮像されたかを表すタイミング画像を重畳した表示画面の画面データを生成する。画面データ制御部7は、制御処理部12から指定された表示モードに応じた表示画面の画面データを生成する。
【0020】
画像メモリ8は、画面データ制御部7により生成された画面データを記憶する。
【0021】
モニタ9は、画像メモリ8に記憶された画面データが表す画面を表示する。
【0022】
操作パネル10は、制御処理部12に対するユーザによる各種の指示を入力する。
【0023】
プリンタ11は、モニタ9に表示されている画面やその他の情報をプリントする。
【0024】
制御処理部12は、超音波画像診断装置100の各部の動作を総括的に制御する。制御処理部12は、次のような各種の機能を実現する。この機能のいくつかは、既存の超音波画像診断装置が備える各種の機能を実現するように超音波画像診断装置100の各部を制御する。上記の機能の1つは、Tri-plane TDIモードでの撮像の際に、被検体の心拍周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを複数に断面にそれぞれ割り当て、第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、第2の期間には複数の断面を順次にスキャンするように超音波送受信部2を制御する。
【0025】
次に以上のように構成された超音波画像診断装置100の動作について説明する。
【0026】
超音波画像診断装置100は、従来より存在する同種の他の超音波画像診断装置における動作と同様な動作を行うことが可能であるが、その説明は省略する。そしてここでは、3つの断面をスキャンするTri-plane TDIモードでの動作について詳細に説明する。
【0027】
超音波画像診断装置100では基本的には、被検体からの反射波を受けて超音波探触子1から出力されたエコー信号に基づいて超音波送受信部2および画像データ生成部3によって生成された超音波診断画像は、画面データ制御部7によって表示画面に編集されてモニタ9にて表示される。
【0028】
Tri-plane TDIモードにおいては、例えば図2に示すような互いに異なる3つの断面P1,P2,P3をそれぞれ時分割にスキャンする。なお図2において符号1aを付して示しているのは超音波探触子1に備えられた圧電振動子群である。そしてTri-plane TDIモードにおいては、断面P1,P2,P3のそれぞれについてのスキャン結果に基づいてそれぞれ再構成された3つの超音波診断画像を例えば図3に示すように並べて表した表示画面が画面データ制御部7により生成されてモニタ9で表示される。
【0029】
さて、超音波画像診断装置100は以上のようなTri-plane TDIモードに関して、さらに以下に詳述するような3つのスキャンモードを備えている。そしてこれら3つのスキャンモードは、ユーザの要求に応じて選択的に有効とされる。制御処理部12は、有効とされたスキャンモードに応じたスキャンシーケンスで超音波スキャンを行うように超音波送受信部2に指示する。なお、以下に説明する各スキャンモードは、循環器や心臓などをスキャンの対象部位とする超音波診断に適する。
【0030】
(第1のスキャンモード)
第1のスキャンモードにおいて超音波送受信部2は、Tri-plane TDIモードにおける周知の一般的なスキャンシーケンスである図4に示すようなスキャンシーケンスを適用する。すなわち超音波送受信部2は、断面P1,P2,P3のそれぞれを1フレームずつ順次に繰り返しスキャンする。1つの断面についてのスキャンの繰り返し周期は、1フレームのスキャンに要する時間により決まり、被検体の心拍周期とは無関係である。
【0031】
かくして第1のスキャンモードにおいては、3つの断面P1,P2,P3を完全に均等な割合にてスキャンすることが可能である。
【0032】
しかしながら第1のスキャンモードにおいては、心拍周期中の特定の時相においてどの断面のスキャンが行われるかは不定である。例えば図4に示した例では、R波が生じる時相において断面P1のスキャンが繰り返されている。つまり第1のスキャンモードにおいては、心拍周期中の特定の時相に関して、3つの断面P1,P2,P3のそれぞれの超音波診断画像が均等な割合で得られる保証はない。
【0033】
(第2のスキャンモード)
第2のスキャンモードにおいて制御処理部12は、図5に示すような処理によって1心拍毎に超音波送受信部2で適用するスキャンシーケンスを変更させる。
【0034】
ステップSa1において制御処理部12は、回数Nminをユーザの指示に応じて設定するとともに、カウント値m1,m2,m3をそれぞれ0に初期化する。なお回数Nminは、デフォルト値を使用しても良い。
【0035】
ステップSa2において制御処理部12は、カウント値m1が回数Nminを上回っているか否かを確認する。そしてカウント値m1が回数Nminを上回っていなければ、制御処理部12はステップSa2からステップSa3へ進む。
【0036】
ステップSa3において制御処理部12は、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされたか否かを確認する。
【0037】
まだスキャンを実行していない場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3をスキャンした場合、制御処理部12はステップSa3からステップSa4へ進む。
【0038】
ステップSa4において制御処理部12は、次のR波のタイミングを心拍数に基づいて予測する。例えば制御処理部12は、心拍数から1心拍期間を求め、当該期間が前回のR波のタイミングから経過したタイミングとして次のR波のタイミングを予測する。より具体的には、心拍数が60回/分であるならば、制御処理部12は前回のR波のタイミングから1秒後のタイミングとして次のR波のタイミングを予測する。
【0039】
ステップSa5において制御処理部12は、ステップSa4において予測したR波のタイミングから一定時間を遡ったタイミングとして開始タイミングを設定する。
【0040】
ステップSa6において制御処理部12は、シーケンスAでのスキャンをステップSa5にて設定した開始タイミングから実行する。
【0041】
図6は第2のスキャンモードにおけるシーケンスAのタイミング図である。ただし図6は予測されたR波のタイミングと実際のR波のタイミングとが一致する場合を示している。
【0042】
シーケンスAでは、開始タイミングから断面P1について3フレーム分連続してスキャンしたのちに、断面P2,P3のそれぞれについて1フレームずつ順次にスキャンする。そしてさらにこの後に、断面P1,P2,P3のそれぞれについて順次に繰り返しスキャンする。なお、開始タイミングの直後における断面P1のスキャンフレーム数は、上記の一定時間を1フレームのスキャンに要する時間で除算して求まる値よりも大きな整数として定められれば、任意であって良い。
【0043】
シーケンスAでの全てのスキャンを実行し終えたならば制御処理部12は、ステップSa6からステップSa7へ進む。
【0044】
ステップSa7において制御処理部12は、直近のR波の実際のタイミングにおいていずれの断面がスキャンされたのかを確認する。つまり、心拍の変動によって、予測したR波のタイミングと実際のR波のタイミングとがずれることがある。このため、例えばシーケンスAによりスキャンを実行しても、実際のR波のタイミングで断面P1のスキャンが行われる保証はないので、いずれの断面がスキャンされたのかを確認するのである。そして制御処理部12は、断面P1がスキャンされたならばステップSa8へ、断面P2がスキャンされたならばステップSa9へ、そして断面P3がスキャンされたならばステップSa10へそれぞれ進む。
【0045】
ステップSa8において制御処理部12は、カウント値m1を1つカウントアップする。ステップSa9において制御処理部12は、カウント値m2を1つカウントアップする。ステップSa10において制御処理部12は、カウント値m3を1つカウントアップする。かくしてカウント値m1,m2,m3は、実際のR波のタイミングで断面P1,P2,P3がスキャンされる毎にそれぞれ1つずつカウントアップされる。
【0046】
そして制御処理部12は、ステップSa8乃至ステップSa10からステップSa2に以降し、ステップSa2以降の処理を繰り返す。
【0047】
さて制御処理部12は、ステップSa3において1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1をスキャンしたと判断した場合、ステップSa3からステップSa11へ進む。
【0048】
ステップSa11において制御処理部12は、カウント値m2が回数Nminを上回っているか否かを確認する。そしてカウント値m2が回数Nminを上回っていなければ、制御処理部12はステップSa11からステップSa12へ進む。
【0049】
ステップSa12において制御処理部12は、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされたか否かを確認する。1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1をスキャンした場合、制御処理部12はステップSa12からステップSa13へ進む。
【0050】
ステップSa13において制御処理部12は、ステップSa4と同様にして、次のR波のタイミングを心拍数に基づいて予測する。
【0051】
ステップSa14において制御処理部12は、ステップSa13において予測したR波のタイミングから一定時間を遡ったタイミングとして開始タイミングを設定する。
【0052】
ステップSa15において制御処理部12は、シーケンスBでのスキャンをステップSa14にて設定した開始タイミングから実行する。
【0053】
図7は第2のスキャンモードにおけるシーケンスBのタイミング図である。ただし図7は予測されたR波のタイミングと実際のR波のタイミングとが一致する場合を示している。
【0054】
シーケンスBでは、開始タイミングから断面P2について3フレーム分連続してスキャンしたのちに、断面P3,P1のそれぞれについて1フレームずつ順次にスキャンする。そしてさらにこの後に、断面P2,P3,P1のそれぞれについて順次に繰り返しスキャンする。なお、開始タイミングの直後における断面P2のスキャンフレーム数は、上記の一定時間を1フレームのスキャンに要する時間で除算して求まる値よりも大きな整数として定められれば、任意であって良い。
【0055】
シーケンスBでの全てのスキャンを実行し終えたならば制御処理部12は、ステップSa15からステップSa7へ進む。
【0056】
さて制御処理部12は、ステップSa12において1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2をスキャンしたと判断した場合、ステップSa12からステップSa16へ進む。
【0057】
ステップSa16において制御処理部12は、カウント値m3が回数Nminを上回っているか否かを確認する。そしてカウント値m3が回数Nminを上回っていなければ、制御処理部12はステップSa16からステップSa17へ進む。
【0058】
ステップSa17において制御処理部12は、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされたか否かを確認する。1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2をスキャンした場合、制御処理部12はステップSa17からステップSa18へ進む。
【0059】
ステップSa18において制御処理部12は、ステップSa4と同様にして、次のR波のタイミングを心拍数に基づいて予測する。
【0060】
ステップSa19において制御処理部12は、ステップSa18において予測したR波のタイミングから一定時間を遡ったタイミングとして開始タイミングを設定する。
【0061】
ステップSa20において制御処理部12は、シーケンスCでのスキャンをステップSa19にて設定した開始タイミングから実行する。
【0062】
図8は第2のスキャンモードにおけるシーケンスCのタイミング図である。ただし図8は予測されたR波のタイミングと実際のR波のタイミングとが一致する場合を示している。
【0063】
シーケンスCでは、開始タイミングから断面P3について3フレーム分連続してスキャンしたのちに、断面P1,P2のそれぞれについて1フレームずつ順次にスキャンする。そしてさらにこの後に、断面P3,P1,P2のそれぞれについて順次に繰り返しスキャンする。なお、開始タイミングの直後における断面P3のスキャンフレーム数は、上記の一定時間を1フレームのスキャンに要する時間で除算して求まる値よりも大きな整数として定められれば、任意であって良い。
【0064】
シーケンスCでの全てのスキャンを実行し終えたならば制御処理部12は、ステップSa20からステップSa7へ進む。
【0065】
以上のように第2のスキャンモードにおいては、いずれのシーケンスにおいても、1心拍期間が開始タイミングから3フレーム分の第1の期間とその後の第2の期間とに区分され、第1の期間にはいずれか1つの断面のみがスキャンされ、第2の期間には断面P1,P2,P3が1フレームずつ順次にスキャンされる。そしてシーケンスAでは第1の期間にて断面P1がスキャンされるから、R波のタイミングにて断面P1がスキャンされる可能性が高い。シーケンスBでは第1の期間にて断面P2がスキャンされるから、R波のタイミングにて断面P2がスキャンされる可能性が高い。そしてシーケンスCでは第1の期間にて断面P3がスキャンされるから、R波のタイミングにて断面P3がスキャンされる可能性が高い。一方、R波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされたならば、その次の心拍においてはシーケンスAが適用される。R波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされたならば、その次の心拍においてはシーケンスBが適用される。そして、R波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされたならば、その次の心拍においてはシーケンスCが適用される。従って、被検体の心拍がある程度安定していれば、シーケンスA,B,Cが1心拍毎に順次に適用されて、R波のタイミングでは断面P1,P2,P3が1心拍毎に順次にスキャンされることになる。
【0066】
被検体の心拍が不安定である場合、断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合に偏りが生じる恐れがある。そしてR波のタイミングでのスキャンの頻度が高い断面に対応するカウント値がそれ以外のカウント値よりも先に回数Nminを超えることになる。例えば、R波のタイミングでのスキャンの頻度が、断面P1について断面P2,P3よりも高いとするならば、ステップSa8がステップSa9,10よりも高頻度に行われる結果として、カウント値m1がカウント値m2,m3よりも先に回数Nminを超えることになる。同様にして、断面P2についての頻度が他の断面よりも高い場合にはカウント値m2が他のカウント値よりも先に、また断面P3についての頻度が他の断面よりも高い場合にはカウント値m3が他のカウント値よりも先にそれぞれ回数Nminを超えることになる。
【0067】
そして制御処理部12は、カウント値m1が回数Nminを超えているならばステップSa2からステップSa11に移行することにより、シーケンスAを次の心拍への適用対象から除く。制御処理部12は、カウント値m2が回数Nminを超えているならばステップSa11からステップSa16に移行することにより、シーケンスBを次の心拍への適用対象から除く。そしてカウント値m3が回数Nminを超えているか、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされていなければ、制御処理部12はステップSa16またはステップSa17からステップSa21に移行する。
【0068】
ステップSa21において制御処理部12は、カウント値m1が回数Nmin以下であるか否かを確認する。そしてカウント値m1が回数Nmin以下であるならば、制御処理部12はステップSa21からステップSa4に移行する。かくして、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされているが、カウント値m3が回数Nminを超えている場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされているが、カウント値m2,m3がいずれも回数Nminを超えている場合には、シーケンスAでのスキャンを強制的に実行する。
【0069】
カウント値m1が回数Nminを超えているならば、制御処理部12はステップSa21からステップSa22へ進む。そしてステップSa22において制御処理部12は、カウント値m2が回数Nmin以下であるか否かを確認する。そしてカウント値m2が回数Nmin以下であるならば、制御処理部12はステップSa22からステップSa13に移行する。かくして、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされているが、カウント値m1が回数Nminを超えている場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P2がスキャンされているが、カウント値m3,m1がいずれも回数Nminを超えている場合には、シーケンスBでのスキャンを強制的に実行する。
【0070】
カウント値m2が回数Nminを超えているならば、制御処理部12はステップSa22からステップSa23へ進む。そしてカウント値m2が回数Nmin以下であるならば、制御処理部12はステップSa22からステップSa18に移行する。かくして、1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P1がスキャンされたことによってカウント値m1が回数Nminを超え、さらにカウント値m2が回数Nminを超えている場合、あるいは1つ前の心拍におけるR波の実際のタイミングにて断面P3がスキャンされているが、カウント値m1,m2がいずれも回数Nminを超えている場合には、シーケンスCでのスキャンを強制的に実行する。
【0071】
カウント値m1,m2,m3のいずれもが回数Nminを超えているならば、制御処理部12はステップSa23からステップSa24へ進む。そしてステップSa24において制御処理部12は、カウント値m1,m2,m3を全て0にクリアする。この後に制御処理部12は、ステップSa2以降の処理を繰り返す。
【0072】
このようにして、被検体の心拍が不安定であるために断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合に偏りが生じたとしても、R波のタイミングでのスキャン回数がNmin回を超えた断面を優先するシーケンスを適用せず、その他のシーケンスを適用する。この結果、R波のタイミングでのスキャン回数が比較的少ない断面についてR波のタイミングでスキャンされる確率を向上して断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合の平均化を図ることができる。なお、回数Nminによって、断面P1,P2,P3がR波のタイミングでそれぞれスキャンされる割合の偏りに対する許容量を調整することができる。
【0073】
(第3のスキャンモード)
第3のスキャンモードにおいても制御処理部12は、図5に示すような処理によって1心拍毎に超音波送受信部2で適用するスキャンシーケンスを変更させる。そして第3のスキャンモードが第2のスキャンモードと異なるのは、シーケンスA,B,Cの内容である。
【0074】
図9乃至図11は第3のスキャンモードにおけるシーケンスA,B,Cのそれぞれのタイミング図である。
【0075】
このように第3のスキャンモードにおけるシーケンスA,B,Cはいずれも、被検体のECG波形におけるQ波から一定の待機時間が経過したタイミングを開始タイミングとする。そしてシーケンスAでは断面P1、断面P2、断面P3の順序で、シーケンスBでは断面P2、断面P3、断面P1の順序で、さらにシーケンスCでは断面P3、断面P1、断面P2の順序で、それぞれ1フレームずつ繰り返しスキャンする。なお、待機時間は、Q波からR波までの間隔と、1フレームのスキャンに要する時間とを考慮して、開始タイミングから開始したフレームのスキャン途中にR波が生じるような時間に設定する。
【0076】
以上のように第3のスキャンモードにおいては、いずれのシーケンスにおいても、1心拍期間が開始タイミングから1フレーム分の第1の期間とその後の第2の期間とに区分され、第1の期間には各心拍に割り当てられたいずれか1つの断面がスキャンされ、第2の期間には断面P1,P2,P3が1フレームずつ順次にスキャンされる。そして第3のスキャンモードでは、R波に先立って生じるQ波に基づいて、1心拍における最初のフレームのスキャンタイミングがR波のタイミングとなるように開始タイミングが決定される。この結果、第1の期間でのスキャンは高確率でR波のタイミングでのスキャンとなる。そしてさらに各心拍における最初の1フレームには断面P1、断面P2、断面P3が順次に割り当てられるから、R波のタイミングでは断面P1,P2,P3が1心拍毎に順次にスキャンされることになる。
【0077】
さて、第2のスキャンモードにおいては、1心拍内でスキャンするフレーム数が1つの断面について他の断面よりも多くなっていた。しかしながら第3のスキャンモードでは、1心拍内でのスキャンフレーム数を各断面で均一にすることができる。
【0078】
次にTri-plane TDIモードで撮像される超音波診断画像の表示に関する動作について説明する。
【0079】
超音波画像診断装置100は以下のような表示モードを備えている。そしてこれらの表示モードは、ユーザの要求に応じて制御処理部12が選択的に有効とする。制御処理部12は、有効とした表示モードを画面データ制御部7に指定する。そうすると画面データ制御部7は、以下に説明するような各表示モードに応じた表示画面の画面データを生成する。
【0080】
(第1の表示モード)
図12は第1の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。
【0081】
図12に示した表示画面には、1つの断面についての1フレームの超音波診断画像21とECG波形22とを並べて配置している。またECG波形22に重ねて、超音波診断画像21の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すようにタイミングバー23を配置している。
【0082】
この第1の表示モードでは、表示対象とする断面やフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、表示画面中の超音波診断画像21を指示された断面やフレームに関するものに更新するとともに、更新後の超音波診断画像21の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すように必要に応じてタイミングバー23を移動させる。
【0083】
また第1の表示モードでは、拡大表示がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、タイミングバー23およびその配置位置周辺のECG波形を拡大して示す拡大画像24を表示画面中に含める。
【0084】
(第2の表示モード)
図13は第2の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。
【0085】
図13に示した表示画面には、断面P1,P2,P3のそれぞれについての1フレームずつの超音波診断画像31,32,33とECG波形34とを並べて配置している。超音波診断画像31,32,33は、ユーザによって断面P1,P2,P3のいずれか1つが選択され、かつその選択断面について表示対象とするフレームが指定されたならば、その指定フレームの選択断面についての超音波診断画像と、選択断面とは異なる2つの断面の指定フレームに直近のタイミングでスキャンされたフレームの超音波診断画像とする。具体的には断面P2が選択断面であるとするならば、断面P2についての指定フレームの超音波診断画像が超音波診断画像32として表示画面に含められる。そして指定フレームの直前に断面P1についてスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像31として、また指定フレームの直後に断面P3についてスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像33としてそれぞれ表示画面に含められる。
【0086】
また図13に示した表示画面には、ECG波形34に重ねて、超音波診断画像31,32,33の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われた大まかなタイミングを示すようにタイミングバー35を配置している。さらにこの表示画面には、タイミングバー35の配置位置周辺のECG波形を拡大して示す拡大画像36を配置している。この拡大画像36には、タイミングバー37,38,39を含む。これらのタイミングバー37,38,39は、超音波診断画像31,32,33のそれぞれの生成のために使用したエコー信号を得るためのそれぞれのスキャンが行われた具体的なタイミングを示す。タイミングバー37,38,39は、図13に示すように線種を異ならせたり、あるいは色を異ならせるなどして、断面P1,P2,P3のいずれに関するかを一目で区別できるようにしておく。
【0087】
この第2の表示モードでは、選択断面についての表示対象とするフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、表示画面中の選択断面についての超音波診断画像を指示されたフレームに関するものに更新するとともに、他の断面についての超音波診断画像も上記の条件を満たすものに更新する。さらに画面データ制御部7は、更新後の超音波診断画像31,32,33の生成のためにそれぞれ使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングをそれぞれ示すように必要に応じてタイミングバー35,37〜39を移動させる。さらに必要があれば、拡大画像36に示されるECG波形も更新する。
【0088】
(第3の表示モード)
図14は第3の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。
【0089】
図14に示した表示画面には、断面P1,P2,P3のそれぞれについての1フレームずつの超音波診断画像41,42,43とECG波形44とを並べて配置している。超音波診断画像41,42,43は、ユーザによって断面P1,P2,P3のそれぞれについて個別に表示対象とするフレームが指定されたならば、それらの各断面についての指定フレームのそれぞれの超音波診断画像とする。
【0090】
また図14に示した表示画面には、ECG波形44に重ねて、超音波診断画像41,42,43のそれぞれの生成のために使用したエコー信号を得るためのそれぞれのスキャンが行われたタイミングを示すようにタイミングバー45,46,47が配置される。タイミングバー45,46,47は、図14に示すように線種を異ならせたり、あるいは色を異ならせるなどして、断面P1,P2,P3のいずれに関するかを一目で区別できるようにしておく。
【0091】
この第3の表示モードでは、断面P1,P2,P3のいずれかについての表示対象とするフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、変更が指定された断面に関する超音波診断画像を指示されたフレームに関するものに更新する。さらに画面データ制御部7は、更新した超音波診断画像の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すように必要に応じてタイミングバー45,46,47のいずれかを移動させる。
【0092】
なお、この第3の表示モードにおいても、第1の表示モードにおける拡大画像24と同様な画像を必要にユーザ指示に応じて、あるいは常時的に表示画面に配置しても良い。
【0093】
(第4の表示モード)
図15は第4の表示モードにおける表示画面の一例を示す図である。この第4の表示モードは、第2および第3のスキャンモードによるスキャンで得られたエコー信号に基づいて生成される超音波診断画像を表示するのに特に適する。
【0094】
図15に示した表示画面には、断面P1,P2,P3のそれぞれについての1フレームずつの超音波診断画像51,52,53とECG波形54とを並べて配置している。超音波診断画像51,52,53は、ユーザによって断面P1,P2,P3のいずれか1つが選択されたならば、その選択断面についてR波のタイミングでスキャンされたフレームの超音波診断画像と、選択断面とは異なる2つの断面についてできるだけ近い心拍のR波のタイミングでそれぞれスキャンされたフレームの超音波診断画像とする。具体的には断面P2が選択断面であるとするならば、断面P2についてR波のタイミングでスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像52として表示画面に含められる。そして断面P1,P3について例えば1つ前の心拍および1つ後の心拍のR波のタイミングでそれぞれスキャンされたフレームの超音波診断画像が超音波診断画像51,53としてそれぞれ表示画面に含められる。
【0095】
また図15に示した表示画面には、ECG波形54に重ねて、超音波診断画像51,52,53の生成のために使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングを示すようにタイミングバー55,56,57を配置している。タイミングバー55,56,57は、図15に示すように線種を異ならせたり、あるいは色を異ならせるなどして、断面P1,P2,P3のいずれに関するかを一目で区別できるようにしておく。
【0096】
この第4の表示モードでは、選択断面についての表示対象とするフレームの変更がユーザによって指示された場合に、その旨が制御処理部12から画面データ制御部7に通知される。そうすると画面データ制御部7は、表示画面中の選択断面についての超音波診断画像を指示されたフレームに関するものに更新するとともに、他の断面についての超音波診断画像も上記の選択断面の更新後のフレームと同じ心拍時相にスキャンされたフレームのものに更新する。さらに画面データ制御部7は、更新後の超音波診断画像51,52,53の生成のためにそれぞれ使用したエコー信号を得るためのスキャンが行われたタイミングをそれぞれ示すように必要に応じてタイミングバー55,56,57を移動させる。
【0097】
なお、この第4の表示モードにおいても、第1の表示モードにおける拡大画像24と同様な画像を必要にユーザ指示に応じて、あるいは常時的に表示画面に配置しても良い。
【0098】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0099】
(1) スキャン対象とする断面は、2面または4面以上であっても良く、第2または第3のスキャンモードにおいては、それらの断面のそれぞれを優先させるシーケンスをそれぞれ用意しておき、それらのシーケンスを予め定められたルールに従って各心拍において選択的に使用すれば良い。
【0100】
(2) 第2または第3のスキャンモードにおいて各心拍で適用するシーケンスを選択するルール、すなわち複数心拍のそれぞれの第1の期間に各断面を割り当てるルールは、任意で良い。特に第3のスキャンモードは、第2のスキャンモードに比べて心拍変動の影響を受けにくいので、シーケンスA,B,Cを予め定められた順序(例えば1回ずつ)で単純に適用しても各断面毎のR波のタイミングでスキャンされる比率は大きくは偏らない。
【0101】
(3) スキャンの対象部位は、周期的に動作する部位であれば良い。なお、スキャンの対象部位の動作が心拍に同期しない場合には、スキャンの対象部位の動作周期に同期した生体信号をECG信号に代えて使用する。
【0102】
(4) 第2のスキャンモードにおいて、第1の期間にスキャンするフレーム数は、1フレームまたは2フレームであっても良いし、あるいは4フレーム以上であっても良い。
【0103】
(5) 第1または第2のスキャンモードを備えていれば、他のスキャンモードを省略することも可能である。
【0104】
(6) 第1乃至第4の表示モードは、それぞれ省略されても良い。
【0105】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…超音波探触子、1a…圧電振動子群、2…超音波送受信部、3…画像データ生成部、4…画像データ収集メモリ、5…生体信号センサ、6…生体信号収集メモリ、7…画面データ制御部、8…画像メモリ、9…モニタ、10…操作パネル、11…プリンタ、12…制御処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元配列された複数の超音波振動子を有する2次元アレイプローブと、
前記2次元アレイプローブを使用して被検体内の診断部位をそれぞれ通る複数の断面を選択的に超音波によってスキャンするスキャン手段と、
スキャン手段によるスキャンの結果に基づいてそのスキャンの対象となった断面に関する超音波診断画像を生成する生成手段と、
前記診断部位の動作周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを前記複数に断面にそれぞれ割り当て、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、前記第2の期間には前記複数の断面を一定回数ずつ順次にスキャンするように前記スキャン手段を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする超音波画像診断装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記動作周期のうちの所定の時相を含んだ一部期間とそれ以外の期間とをそれぞれ前記第1および第2の期間とし、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のスキャンを複数回繰り返すように前記スキャン手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記動作周期内の所定の時相から一定時間が経過した時点から始まる一部期間とそれ以外の期間とをそれぞれ前記第1および第2の期間とし、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のスキャンを少なくとも1回行うように前記スキャン手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項4】
前記生成手段により生成された超音波診断画像の1つと、当該超音波診断画像を生成するために利用されたスキャン結果が得られた前記スキャンのスキャンタイミングを複数の前記動作周期についての前記診断部位の動作を表した波形上で表すタイミング画像と、前記タイミング画像のうちの前記スキャンタイミング付近の一部を拡大して表す拡大画像とをそれぞれ表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項5】
前記複数の断面のうちの1つの断面について前記生成手段により生成された超音波診断画像の1つを基準超音波診断画像を生成するために利用されたスキャン結果が得られた前記スキャンのタイミングを基準タイミングとし、前記複数の断面のうちの他の一部または全ての断面について前記生成手段により生成された超音波診断画像のうちで前記基準タイミングに最も近いタイミングに行われたスキャンの結果に基づいて生成された超音波診断画像と前記基準超音波画像とをそれぞれ表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項6】
前記複数の断面のうちの2つ以上について前記第1の期間になされたスキャンの結果に基づいて前記生成手段により生成された超音波診断画像をそれぞれ表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項1】
2次元配列された複数の超音波振動子を有する2次元アレイプローブと、
前記2次元アレイプローブを使用して被検体内の診断部位をそれぞれ通る複数の断面を選択的に超音波によってスキャンするスキャン手段と、
スキャン手段によるスキャンの結果に基づいてそのスキャンの対象となった断面に関する超音波診断画像を生成する生成手段と、
前記診断部位の動作周期を第1の期間および第2の期間に区分し、互いに異なる複数の第1の期間のそれぞれを前記複数に断面にそれぞれ割り当て、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のみをスキャンし、前記第2の期間には前記複数の断面を一定回数ずつ順次にスキャンするように前記スキャン手段を制御する制御手段とを具備したことを特徴とする超音波画像診断装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記動作周期のうちの所定の時相を含んだ一部期間とそれ以外の期間とをそれぞれ前記第1および第2の期間とし、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のスキャンを複数回繰り返すように前記スキャン手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記動作周期内の所定の時相から一定時間が経過した時点から始まる一部期間とそれ以外の期間とをそれぞれ前記第1および第2の期間とし、前記第1の期間にはそれに割り当てられた断面のスキャンを少なくとも1回行うように前記スキャン手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項4】
前記生成手段により生成された超音波診断画像の1つと、当該超音波診断画像を生成するために利用されたスキャン結果が得られた前記スキャンのスキャンタイミングを複数の前記動作周期についての前記診断部位の動作を表した波形上で表すタイミング画像と、前記タイミング画像のうちの前記スキャンタイミング付近の一部を拡大して表す拡大画像とをそれぞれ表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項5】
前記複数の断面のうちの1つの断面について前記生成手段により生成された超音波診断画像の1つを基準超音波診断画像を生成するために利用されたスキャン結果が得られた前記スキャンのタイミングを基準タイミングとし、前記複数の断面のうちの他の一部または全ての断面について前記生成手段により生成された超音波診断画像のうちで前記基準タイミングに最も近いタイミングに行われたスキャンの結果に基づいて生成された超音波診断画像と前記基準超音波画像とをそれぞれ表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【請求項6】
前記複数の断面のうちの2つ以上について前記第1の期間になされたスキャンの結果に基づいて前記生成手段により生成された超音波診断画像をそれぞれ表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波画像診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−4949(P2011−4949A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151136(P2009−151136)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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