説明

超音波計測方法および超音波工作物径測定装置

【課題】簡便で正確な音速補正が可能な超音波計測方法および超音波工作物径測定装置を提供する。
【解決手段】センサ82から出力された超音波が円筒形状の被測定物Wの表面から反射してセンサ82で受信されるまでの時間tを測定した後、センサ82と被測定物表面の距離をΔLだけ減少させて、センサ82から出力された超音波が被測定物Wの表面から反射してセンサ82で受信されるまでの時間tを測定し、超音波伝達媒体の音速vを式v=ΔL/(t−t)を用いて算出する。基準被測定物Wの直径Dをセンサ82と被測定物中心の距離Lと、音速vを用いて超音波計測したLから算出し、超音波が直径Dの間を往復する時間から基準工作物Wの音速vを演算する。工作物の表面からの反射波と裏面からの反射波のセンサ82への到達時間差と、音速vを用いて工作物直径Dを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波測定装置に関するものであり、詳しくは音速測定手段を備えた距離を測定する超音波計測方法および工作物の外径を計測する超音波工作物径測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波を用いて工作物や工具の位置を測定する場合に超音波伝達媒体の音速変化を補償するため、音速校正用の超音波センサを備えた従来技術1(例えば、特許文献1参照)や、超音波反射用の基準物を備え基準物からの反射時間を測定して補正をする従来技術2(例えば、特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−55414号公報
【特許文献2】特開平8−145763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術1では、測定用の超音波センサと校正用の超音波センサの2個が必要であり高価となる、さらに2個のセンサの個体差による誤差を生じる可能性がある。
従来技術2では、基準物と超音波センサ間の距離を正確に知る必要があり、環境温度にかかわらず距離を一定にするか、補正のたびに距離を測定する必要がある。前者は低熱膨張材を用いることで実現可能であり、後者も専用の測定手段を備えることで可能であるがいずれも高価である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡便に音速補正が可能な超音波計測方法および超音波工作物径測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、センサと被測定物表面間の距離が所定距離で、前記センサから出力された超音波が前記被測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第1反射時間t11を測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程に対して前記センサと前記被測定物表面の距離を所定の増減距離ΔLだけ増加または減少して、前記センサから出力された超音波が前記被測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第2反射時間t12を測定する第2測定工程と、
前記増減距離ΔLと前記第1反射時間t11と前記第2反射時間t12を用い、超音波伝達媒体の音速vを式v=ΔL/|t11−t12|を用いて算出する音速演算工程と、を備えることである。
【0006】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1に係る発明において、前記超音波伝達媒体の音速vと、前記センサから出力された超音波が円筒形状の前記被測定物である円筒被測定物の表面から反射して前記センサに到達するまでの時間tを用い、前記円筒被測定物の表面と前記センサ間の距離Lを式L=v・t/2を用いて算出し、
前記センサと前記円筒被測定物の円筒中心との距離Lと、距離Lを用い、前記円筒被測定物の直径Dを式D=2・(L−L)を用いて算出することである。
【0007】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2に係る発明において、前記円筒被測定物の直径Dと、前記センサから出力された超音波の前記円筒被測定物表面からの反射波と前記円筒被測定物裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記円筒被測定物内を伝播する音速である円筒被測定物音速vを式v=2・D/Δtを用いて算出することである。
【0008】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項3に係る発明において、前記円筒被測定物音速vと、前記センサから出力された超音波の測定工作物の表面からの反射波と前記測定工作物の裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記測定工作物の直径Dを式D=v・Δt/2を用いて算出することである。
【0009】
請求項5に係る発明の特徴は、円筒形状の工作物を回転保持する主軸と、
超音波を出力・受信するセンサと、
前記工作物の半径方向の前記主軸回転中心と前記センサの距離を増減させる距離増減手段と、
前記センサと前記主軸に保持された超音波反射物体の間に超音波伝達媒体を供給する媒体供給手段と、
前記センサと前記超音波反射物体の距離が所定距離のときのセンサから出力された超音波が測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第1反射時間t11と、前記センサと前記超音波反射物体の距離を前記所定距離から所定の増減距離ΔLだけ増加または減少した後のセンサから出力された超音波が測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第2反射時間t12と、前記増減距離ΔLを用い、超音波伝達媒体の音速vを式v=ΔL/|t11−t12|を用いて算出し、
前記センサと前記主軸回転中心の間の距離Lと、前記音速vと、前記センサから出力された超音波が基準工作物の表面から反射して前記センサに到達するまでの時間tを用い、前記基準工作物の表面と前記センサ間の距離Lを式L=v・t/2を用いて算出し、
前記基準工作物の直径Dを式D=2・(L−L)を用いて算出し、
前記基準工作物の直径Dと、前記センサから出力された超音波の前記基準工作物の表面からの反射波と前記基準工作物の裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記基準工作物内を伝播する音速である工作物音速vを式v=2・D/Δtを用いて算出し、
前記工作物音速vと、前記センサから出力された超音波の工作物の表面からの反射波と前記工作物の裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記工作物の直径Dを式D=v・Δt/2を用いて算出する工作物径演算装置と、
前記工作物の直径Dを出力・表示する出力表示装置と、を備えることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、センサと測定物表面間距離の増減距離ΔLと第1反射時間t11と第2反射時間t12を用い、超音波伝達媒体の音速vを算出するので、増減距離ΔLと反射時間t11、t12以外の誤差を含まない。増減距離ΔLの設定装置と反射時間の測定装置は容易に高精度化できるので高精度な超音波伝達媒体の音速測定が可能である。
【0011】
請求項2、請求項3、請求項4に係る発明によれば、円筒被測定物内を伝播する音速である円筒被測定物音速vを正確に測定可能となる。工作物音速の変動が予想された場合に工作物を円筒被測定物と見なして工作物の音速を測定する。その後の所定本数の工作物は、この音速と、センサから出力された超音波の工作物表面からの反射波と工作物裏面からの反射波の到達時間差を用いて工作物径の測定ができる。このため、温度変化による音速変化の影響を受けない高精度の工作物径の測定を短時間で実現できる。
【0012】
請求項5に係る発明によれば、高精度に超音波伝達媒体音速と工作物音速の測定が可能となる。これらの音速と、センサから出力された超音波の工作物表面からの反射波と工作物裏面からの反射波の到達時間差を用いて工作物径の測定ができる。このため、温度変化による音速変化の影響を受けない高精度の超音波工作物径測定装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の超音波工作物径測定装置を研削盤に設置した例を示す図である。
【図2】本実施形態の超音波工作物径測定装置の全体構成を示す概略図である。
【図3】測定原理を示す概念図である。
【図4】本実施形態の工作物径測定工程を用いた研削工程を示すフローチャート図である。
【図5】本実施形態の冷却媒体の音速測定工程を示すフローチャート図である。
【図6】本実施形態の基準工作物径測定工程を示すフローチャート図である。
【図7】本実施形態の基準工作物音速測定工程を示すフローチャート図である。
【図8】本実施形態の工作物径測定工程を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の超音波計測方法を円筒研削盤1に適用した事例により図1〜図7を参照しつつ説明する。
図1に示すように、円筒研削盤1は、ベッド2を備え、ベッド2上にX軸方向に往復可能な砥石台3と、X軸に直交するZ軸方向に往復可能なテーブル4を備えている。砥石台3は砥石車7を回転自在に支持し、砥石車7を回転させる砥石回転モータ(図示省略する)を備えている。テーブル4上には、工作物Wの一端を把持して回転自在に支持し主軸モータ(図示省略する)により回転駆動される主軸5と、工作物Wの他端を回転自在に支持する心押し台6を備えており、工作物Wは主軸5と心押し台6により支持されて、研削加工時に回転駆動される。超音波工作物径測定装置8が工作物Wの研削位置のテーブル4上に固定されている。
【0015】
この円筒研削盤1は、所定のプログラムを実行することで研削加工を実行する制御装置30を備えている。制御装置30の機能的構成として、砥石台3の送りを制御するX軸制御手段31、テーブル4の送りを制御するZ軸制御手段32、超音波工作物径測定装置8を制御する測定装置制御手段33、砥石車7の回転を制御する砥石車制御手段34、主軸5の回転を制御する主軸制御手段35などを具備している。
また、研削熱を除去するために冷却液供給装置9を備え、研削点、超音波工作物径測定装置8などの必要部へ冷却液を供給する配管を備えている。
【0016】
図2に基づき、超音波工作物径測定装置8の詳細について説明する。
超音波工作物径測定装置8はテーブル4に固定されたベース80の上部にベース80に一端を固定された圧電素子81を備え、圧電素子81の他端には超音波を送受信するセンサ82が固定されている。また、ベース80上部の工作物Wに対抗する側には内部に空孔83aを備えた冷却液供給部材83が固定されている。センサ82の超音波送受信部82aは空孔83a内に非接触で挿入されており、工作物Wと冷却液供給部材83を接近させることで、超音波送受信部82aと工作物Wの間に密閉性のある液密空間を構成できる。冷却液供給部材83は空孔83aに導通する管路83bを備え、冷却液供給装置9から冷却液を空孔83aに供給できる。
また、測定装置制御手段33の機能的構成として、超音波を送受信する信号送受信装置331、圧電素子の伸縮を制御する圧電素子制御装置332、各種の演算を行う演算装置333、デジタルデータまたは所定直径に到達した場合に接点信号として工作物径を出力または表示を行う出力表示装置334を備えている。
上記の構成により、センサ82と工作物W間の距離は圧電素子81により増減可能となり、冷却液を空孔83aに供給することで超音波は冷却液を伝達媒体としてセンサ82と工作物W間を往復する。
【0017】
図3に基づき、超音波工作物径測定装置8による工作物Wの径測定の原理について説明する。超音波を用いた距離測定は、超音波が測定区間を通過する時間と超音波の音速の積として算出する。音速は超音波伝達媒体の温度、密度等により変動する、このため正確な音速の把握が重要である。
図3で、センサ82から工作物Wの中心方向に出力された超音波は工作物Wの表面までは冷却液を超音波伝達媒体として伝達し、その一部は工作物Wの表面で反射し、残りの超音波は工作物Wの内部を伝達し工作物Wの裏面で反射され、夫々の反射波はセンサ82で受信される。
【0018】
冷却液の音速vを把握するためには、センサ82と工作物表面の距離Lが既知であれば、超音波がセンサ82から出力されてから工作物Wの表面からの反射波がセンサ82で受信されるまでの時間tを測定し、式v=2・L/tにより算出できる。しかしながら、Lの正確な測定をするのは所定の計測機器が必要でかつ手間がかかる。そこで、計測の容易なセンサ82と工作物Wの表面間の距離の増減量ΔLと、距離の増減の前後における反射波がセンサ82で受信されるまでの時間tの差を用いて算出する。実施例では初めに距離Lで反射時間t11を測定し、その後センサ82を圧電素子81によりΔLだけ前進させて距離L−ΔLで反射時間t12を測定する。冷却液の音速をvとすると、式v・t11=2・Lと式v・t12=2・(L−ΔL)の2式が成り立ち、両式の差をとると、v・(t11−t12)=2・L−2・(L−ΔL)となり、vは式v=2・ΔL/(t11−t12)と表される。
【0019】
工作物Wの音速vは、工作物Wの表面から裏面までの距離である工作物Wの直径Dと、超音波の工作物内の通過時間である裏面からの反射時間tから表面からの反射時間tを引いたt−tを用い、式v=2・D/(t−t)により算出できる。
【0020】
図3において、工作物の回転中心とセンサ間の距離LはL=L+D/2であるから工作物Wの直径Dは式D=2・(L−L)で表される。Lは冷却液音速の測定値vを用いた超音波計測により正確に測定でき、Lは所定の値としてあらかじめ設定することが可能である。このため、工作物Wの音速vはv=2・D/(t−t)=4・(L−L)/(t−t)となり、本式を用いて工作物Wの音速vを算出できる。
【0021】
工作物Wの音速vが既知であれば、工作物Wの直径Dは超音波の工作物内の通過時間である裏面からの反射時間tから表面からの反射時間tを引いたt−tを測定し、式D=v・(t−t)/2により算出できる。
通常の円筒工作物の研削加工において、初めに工作物Wの音速を算出し、音速の変化が所定値以下の期間はこの音速と、測定した反射時間差を用いて算出することで工作物径Dの測定を行う。
【0022】
円筒研削盤1による研削工程に本発明の超音波工作物径測定方法を適用した工程を図4〜図8のメイン工程とサブ工程のフローチャートに基づき説明する。
はじめに、研削のメイン工程を図4に基づき説明する。
円筒研削盤1の主軸5と心押台6の間に工作物Wを搬入する(S1)。砥石車7を回転させ、冷却液を研削点に供給しながら、砥石車7を所定の速度で所定の量だけ工作物Wに切込む粗研削工程を実行する(S2)。研削本数Nが所定の本数Kに到達した否かを判定する、N≧KならばS4へ移動、そうでないならS9へ移動する(S3)。冷却液音速測定工程を実行する(S4)。基準工作物径測定工程を実行する(S5)。基準工作物音速測定工程を実行する(S6)。定寸研削工程を実行する(S7)。研削本数Nの値を1とする(S8)。定寸研削工程を実行する(S9)。研削本数Nの値に1を加算する(S10)。
【0023】
以下に、サブ工程の詳細を説明する。
冷却液の音速を測定する冷却液音速測定工程について図5のフローチャートに基づき説明する。
工作物Wを主軸5と心押台6の間に装着した状態で、冷却液供給部材83に冷却液を供給する(S1)。センサ82を所定位置に位置決めする(S2)。超音波を出力する(S3)。工作物表面からの反射波の到達時間t11を測定する(S4)。センサ82を所定距離ΔLだけ前進させる(S5)。超音波を出力する(S6)。工作物表面からの反射波の到達時間t12を測定する(S7)。冷却液音速vを式v=2・ΔL/(t11−t12)により演算する(S8)。
【0024】
基準工作物Wの直径Dを測定する基準工作物径測定工程について図6のフローチャートに基づき説明する。
基準工作物Wを主軸5と心押台6の間に装着した状態で、冷却液供給部材83に冷却液を供給する(S1)。センサ82と主軸回転中心間の距離Lと冷却液の音速vの値を読み込む(S2)。超音波を出力する(S3)。基準工作物表面からの反射波の到達時間tを測定する(S4)。基準工作物Wの直径Dを式D=2・L−v・tにより演算する(S5)。
【0025】
基準工作物Wの音速vを測定する基準工作物音速測定工程について図7のフローチャートに基づき説明する。
基準工作物Wを主軸5と心押台6の間に装着した状態で、冷却液供給部材83に冷却液を供給する(S1)。基準工作物Wの直径Dの値を読み込む(S2)。超音波を出力する(S3)。基準工作物表面からの反射波の到達時間tを測定する(S4)。基準工作物裏面からの反射波の到達時間tを測定する(S5)。基準工作物音速vを式v=2・D/(t−t)により演算する(S6)。
【0026】
工作物径を測定しながら工作物を研削し所定の工作物径になれば研削を終了する定寸研削工程について、図8に示すフローチャートに基づき説明する。
はじめに、砥石車7を回転させ冷却液を吐出した状態で、砥石車7を速度vtでfだけ工作物Wに切込む(S1)。基準工作物音速vを読み込む(S2)。超音波を出力する(S3)。工作物表面からの反射波の到達時間tを測定する(S4)。工作物裏面からの反射波の到達時間tを測定する(S5)。工作物Wの直径Dを式D=v・(t−t)/2により演算する(S6)。工作物Wの直径Dが所定の直径Dk以下になったか判定する。Dk≧Dなら終了し、Dk<DならS1へ移動する(S7)。
【0027】
以上のように、本発明によれば、超音波距離計測で重要な超音波伝達媒体の音速の測定を容易にかつ正確にできる。
また、円筒形状の工作物を回転させながら加工する場合に、上記の超音波測定方法を用いることで、工作物に非接触で加工中の工作物径を測定することができる。
同一種類の工作物の加工中に所望の工作物を基準工作物として選定し、その加工中に超音波伝達媒体である冷却液と工作物の音速を実測することで、温度変化による音速の変化に起因する誤差の少ない工作物径測定が可能となる。
【0028】
上記の事例では、センサ82をテーブル4上に固定した圧電素子81により移動させたが、センサ82を砥石台3の工作物Wと対抗する側に固定し、砥石台3の送りによりセンサ82と工作物間Wの距離を増減させてもよい。この場合、研削後の工作物径を測定するポストプロセス計測として使用できる。
超音波伝達媒体として冷却液を用いたが、温度制御を行うことで音速が不変で既知の伝達媒体を使用することで、伝達媒体の音速測定を省略してもよい。
【符号の説明】
【0029】
W:工作物 8:超音波工作物径測定装置 9:冷却液供給装置 80:ベース 81:圧電素子 82:センサ 83:冷却液供給部材 33:測定装置制御手段 331:信号受信装置 332:圧電素子制御装置 333:距離演算装置 334:出力表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと被測定物表面間の距離が所定距離で、前記センサから出力された超音波が前記被測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第1反射時間t11を測定する第1測定工程と、
前記第1測定工程に対して前記センサと前記被測定物表面の距離を所定の増減距離ΔLだけ増加または減少して、前記センサから出力された超音波が前記被測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第2反射時間t12を測定する第2測定工程と、
前記増減距離ΔLと前記第1反射時間t11と前記第2反射時間t12を用い、超音波伝達媒体の音速vを式v=ΔL/|t11−t12|を用いて算出する音速演算工程と、を備える超音波計測方法。
【請求項2】
前記超音波伝達媒体の音速vと、前記センサから出力された超音波が円筒形状の前記被測定物である円筒被測定物の表面から反射して前記センサに到達するまでの時間tを用い、前記円筒被測定物の表面と前記センサ間の距離Lを式L=v・t/2を用いて算出し、
前記センサと前記円筒被測定物の円筒中心との距離Lと、距離Lを用い、前記円筒被測定物の直径Dを式D=2・(L−L)を用いて算出する、請求項1に記載の超音波計測方法。
【請求項3】
前記円筒被測定物の直径Dと、前記センサから出力された超音波の前記円筒被測定物表面からの反射波と前記円筒被測定物裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記円筒被測定物内を伝播する音速である円筒被測定物音速vを式v=2・D/Δtを用いて算出する、請求項2記載の超音波計測方法。
【請求項4】
前記円筒被測定物音速vと、前記センサから出力された超音波の測定工作物の表面からの反射波と前記測定工作物の裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記測定工作物の直径Dを式D=v・Δt/2を用いて算出する、請求項3記載の超音波計測方法。
【請求項5】
円筒形状の工作物を回転保持する主軸と、
超音波を出力・受信するセンサと、
前記工作物の半径方向の前記主軸回転中心と前記センサの距離を増減させる距離増減手段と、
前記センサと前記主軸に保持された超音波反射物体の間に超音波伝達媒体を供給する媒体供給手段と、
前記センサと前記超音波反射物体の距離が所定距離のときのセンサから出力された超音波が測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第1反射時間t11と、前記センサと前記超音波反射物体の距離を前記所定距離から所定の増減距離ΔLだけ増加または減少して、センサから出力された超音波が測定物表面から反射して前記センサで受信されるまでの時間である第2反射時間t12と、前記増減距離ΔLを用い、超音波伝達媒体の音速vを式v=ΔL/|t11−t12|を用いて算出し、
前記センサと前記主軸回転中心の間の距離Lと、前記音速vと、前記センサから出力された超音波が基準工作物の表面から反射して前記センサに到達するまでの時間tを用い、前記基準工作物の表面と前記センサ間の距離Lを式L=v・t/2を用いて算出し、
前記基準工作物の直径Dを式D=2・(L−L)を用いて算出し、
前記基準工作物の直径Dと、前記センサから出力された超音波の前記基準工作物の表面からの反射波と前記基準工作物の裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記基準工作物内を伝播する音速である工作物音速vを式v=2・D/Δtを用いて算出し、
前記工作物音速vと、前記センサから出力された超音波の工作物の表面からの反射波と前記工作物の裏面からの反射波の到達時間差Δtと、を用いて前記工作物の直径Dを式D=v・Δt/2を用いて算出する工作物径演算装置と、
前記工作物の直径Dを出力・表示する出力表示装置と、を備える超音波工作物径測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−233722(P2012−233722A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100757(P2011−100757)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】