超音波診断装置及び超音波送受信方法
【課題】並列同時受信における画質の向上。
【解決手段】受信部17は、エコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成する。複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含む。複数の受信ビームデータセットの各々は、複数の振動子のうちの、対応する受信位置に関する振動子からのエコー信号に基づいて生成される。走査制御部13は、複数の受信ビームの空間的配置を設定する。複数の受信ビームは、不等間隔に配置される。加算合成部19は、複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成する。複数の合成ビームデータセットの各々は、同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成である。画像生成部21は、複数の合成ビームデータセットに基づいて超音波画像データを生成する。
【解決手段】受信部17は、エコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成する。複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含む。複数の受信ビームデータセットの各々は、複数の振動子のうちの、対応する受信位置に関する振動子からのエコー信号に基づいて生成される。走査制御部13は、複数の受信ビームの空間的配置を設定する。複数の受信ビームは、不等間隔に配置される。加算合成部19は、複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成する。複数の合成ビームデータセットの各々は、同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成である。画像生成部21は、複数の合成ビームデータセットに基づいて超音波画像データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置及び超音波送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置では、フレームレートを向上させるため、並列同時受信法が提案されている。並列同時受信法において超音波診断装置は、超音波の送信ビームを送信方向に送波する。送信ビームは、被検体により反射される。そして超音波診断装置は、反射された超音波を受波し、受波された超音波に応じたエコー信号を生成する。超音波診断装置は、生成されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを生成している。このように並列同時受信において超音波診断装置は、1回の送信ビームの送信に対して、複数の受信ビームを同時に受信している。これにより単位時間あたりのデータ量を増大させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2831719号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】河野俊彦他、“循環器用超音波診断装置のハイフレームレート化の検討”、日本超音波医学会論文集、日本超音波医学会、1989年、第55巻、第727―第728頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11は、標準的な並列同時受信の走査方式における受信ビームの位置を示す図である。なお以下の説明において、8ビーム同時受信を例に挙げて説明する。なお、8ビーム同時受信は、1本の送信ビームの送信に対し、8本の受信ビームを同時に受信する走査方式である。横軸は送受信ビームの走査方向を示し、縦軸は送受信ビームの深さ方向を示している。ここで一度に並列同時受信される8つの受信ビームをまとめて並列同時受信ビーム群と呼ぶことにする。並列同時受信ビーム群に関する複数の受信ビームデータセットをまとめて並列同時受信ビームデータセット群と呼ぶことにする。また、1つの送信ビームを送信してから、受信ビームを受信するまでの一連の処理を1回の送受信と呼ぶことにする。
【0006】
図11においては、1回目の送受信において並列同時受信する8つの受信ビームRBを“1”の数字で表し、並列同時受信ビーム群PR内の受信ビームを走査順に左から“a”、 “b”、“c”、“d”、“e”、“f”、“g”、“h”で示す。図11の(1)に示すように、1回目の送受信において、送信ビームTBが送信される。1回目の送受信における送信ビームTB1の中心軸は、“1d”と“1e”との中心に位置する。そして“1a”、“1b”、“1c”、“1d”、“1e”、“1f”、“1g”、“1h”の8つの受信ビームRBが並列同時受信される。8つの受信ビームRBは、走査方向に等間隔に配置されている。具体的には、隣り合う受信ビームRBの中心位置間隔(中心軸の間隔)は、1受信ビーム分に設定されている。ここで、プローブ上における受信ビームRBの中心軸の位置を受信位置と呼ぶことにする。換言すれば、受信位置は、受信ビームRBの受信に利用される受信開口の中心に規定される。図11の(2)に示すように、2回目の送信ビームTB2の中心軸は、1回目の送信ビームTB1の中心軸から走査方向に8受信ビーム分だけずらした“2d”と“2e”との中心に位置する。2回目の送受信において、“2a”、 “2b”、“2c”、“2d”、“2e”、“2f”、“2g”、“2h”の8つの受信ビームが並列同時受信される。なお、隣り合う2つの並列同時受信ビーム群の中心軸間隔が8受信ビーム分である走査方式は、「8ビーム飛ばし」と呼ばれている。この場合、隣り合う2つの並列同時受信ビーム群PR1及びPR2は、空間的にオーバラップしないので、後述するビーム合成は行われない。
【0007】
しかしながら、並列同時受信では、送信ビームの中心軸の位置と各受信ビームの中心軸の位置とが異なるため、送受信感度が劣化し、均一な送受信感度を得ることができない。
【0008】
図12と図13とは、図11の走査方式における受信感度の不均一を説明するための図である。図12の(2)や図13の(2)に示すように、送信ビームTBの走査方向に関する端部における送信音場の音圧は、中央部における送信音場の音圧よりも小さい。このため、並列同時受信ビーム数3本以上設定された場合、送受信音場の大きさ(すなわち、受信感度)は、走査方向で不均一となってしまう。従って図12の(2)や図13の(2)に示すように、並列同時受信ビーム群PRの中央部分の受信ビームと端部の受信ビームとにおいて受信感度に斑(ムラ)が生じてしまう。受信感度にムラが生じることにより、超音波画像の画質が劣化してしまう。
【0009】
並列同時受信においては、先行する送受信によって得られる並列同時受信ビーム群と後続する送受信によって得られる並列同時受信ビーム群とで時相差が発生してしまう。図14は、図11の走査方式における並列同時受信ビーム群間の時相差を説明するための図である。図14に示すように、並列同時受信ビーム群が切り替わる毎、すなわち、8受信ビーム毎に受信ビームの時相が切り替わる。ここでビームの時相とは、ビームが発生される送受信の順番(番号)と同義である。例えば、1回目の送受信による複数の受信ビームは、全て同一の時相に属する。1回目の並列同時受信ビーム群と2回目の送受信による並列同時受信ビーム群とで時相が異なっている。
【0010】
図15は、図11の走査方式(8ビーム同時受信&ビーム合成無し&8ビーム飛ばし)を説明するための図である。図15に示すように、1回目の送受信により8つの受信ビーム(“1a”、“1b”、“1c”、“1d”、“1e”、“1f”、“1g”、“1h”)が受信される。この8つの受信ビームは、並列同時受信ビーム群PB1を構成している。以下同様に、2回目の送受信により並列同時受信ビーム群PB2が受信され、3回目の送受信により並列同時受信ビーム群PB3が受信され、4回目の送受信により並列同時受信ビーム群PB4が受信される。各受信ビームは、走査方向順(受信順)に合成無しに出力される。また、位置“a”と位置“h”との受信ビームの感度を7、位置“b”と位置“g”との受信ビームの感度を8、位置“c”と位置“f”との受信ビームの感度を9、位置“d”と位置“e”との受信ビームの感度を10と仮定している。図15に示すように、各並列同時受信ビーム群PBの受信ビーム間で、各並列同時受信ビーム群の中心軸からの距離に応じた送受信感度の不均一(受信感度のムラ)が生じている。また、隣り合う並列同時受信ビーム群が空間的にオーバラップしないので、並列同時受信ビーム群単位で出力ビーム(受信ビーム)の時相が切り替わる。このような送受信感度の不均一や時相差により、超音波画像に濃淡の縞模様のアーチファクトが発生して画質が劣化してしまう。この画質劣化は、並列同時受ビーム数が増えるほど増加してしまう。
【0011】
この問題を解決するために、送信遅延加算及び送信波面合成の技術が提案されている。図16は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし)における受信ビームの位置を示す図である。図17は、図16の走査方式を説明するための図である。図16と図17とに示すように、1回目の送信ビームTB1の中心軸は、“1d”と“1e”との中心に位置する。2回目の送信ビームTB2の中心軸は、1回目の送信ビームTB1の中心軸から走査方向に1受信ビーム分だけずれた“2d”と“2e”との中心に位置する。この時、例えば、“1h”の受信ビームRBと“2g”の受信ビームRBとは、空間的に同一の受信位置にある。8回目の送受信が終了すると、各受信位置において、並列同時受信ビーム群が異なる(換言すれば、受信時刻が異なる)8本の受信ビームRBが得られる。例えば、受信位置PZにおいて“1h”、“2g”、“3f”、“4e”、“5d”、“6c”、“7b”、“8a”の8本の受信ビームが得られる。このような空間的同一位置の8本の受信ビームを加算合成することで、合成ビームが生成される。例えば、“1h”、“2g”、“3f”、“4e”、“5d”、“6c”、“7b”、“8a”の受信ビームが加算合成された場合、合成ビームO1が生成される。このように送信ビームTBの中心軸を1受信ビームずつずらしながら送受信を繰り返すことで、空間的同一位置に関する8本の受信ビームを受信し、8本の受信ビームに基づいて合成ビームを生成している。これにより合成後の出力ビーム(合成ビーム)の受信感度が走査方向で均一になる。また、並列同時受信ビーム群が空間的にオーバラップすることに伴う受信ビームの加算合成により、合成ビームの時相が1本単位で切り替わる。従って、並列同時受信ビーム群単位の時相差に起因する縞模様のアーチファクトを低減することができる。
【0012】
しかしながら、複数の受信ビームを合成して1つの合成ビームを生成するために、合成対象の受信ビームの本数が多い場合、フレームレートが低下してしまう。また、合成対象の受信ビームの本数が多い場合、合成対象の受信ビーム間において時相差が広がるため、心臓のような動きが速い部位には適用し難い。
【0013】
図18は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし)を説明するための図である。図18の走査方式に係る合成対象の受信ビーム数は、フレームレート向上のため、8本から4本に減少されている。この場合、フレームレートの向上と並列同時受信ビーム群単位の時相差に起因する縞模様のアーチファクトの低減とを同時に実現することができる。しかしながら、走査方向に2受信ビームずつ飛ばしているため、合成ビームの時相が1本単位ではなく、2本単位で切り替わってしてしまう。従って、超音波画像には、画像ずれが発生し、不自然な画像になってしまう。
【0014】
実施形態の目的は、並列同時受信において、画質の向上を実現可能な超音波診断装置及び超音波送受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本実施形態に係る超音波診断装置は、被検体に送信ビームを繰り返し送波し、前記被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生する複数の振動子を含むプローブと、前記発生されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成するものであって、前記複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含み、前記複数の受信ビームデータセットの各々は、前記複数の振動子のうちの、対応する受信位置に関する振動子からのエコー信号に基づいて生成される受信部と、前記複数の受信ビームの空間的配置を設定するものであって、前記複数の受信ビームを不等間隔に配置する制御部と、前記複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成するものであって、前記複数の合成ビームデータセットの各々は、前記複数の受信ビームデータセット群に含まれる受信ビームデータセットのうちの同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成である合成部と、前記複数の合成ビームデータセットに基づいて前記被検体に関する超音波画像データを生成する生成部と、を具備する超音波診断装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る受信開口を説明するための図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る受信開口を説明するための他の図である。
【図4】図4は、図1の受信部により受信される、並列同時受信ビーム群に含まれる受信ビームの配置例を示す図である。
【図5】図5は、図4の受信ビームの配置における並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端1空隙配置)を説明するための図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例1に係る走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置)を説明するための図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例2に係る走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置)を説明するための図である。
【図8】図8は、本実施形態の変形例3に係る走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端1空隙配置)を説明するための図である。
【図9】図9は、本実施形態の変形例4に係る走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置)を説明するための図である。
【図10】図10は、本実施形態の変形例5に係る走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置)を説明するための図である。
【図11】図11は、標準的な並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&ビーム合成無し&8ビーム飛ばし)における受信ビームの位置を示す図である。
【図12】図12は、図11の走査方式における受信感度の不均一を説明するための図である。
【図13】図13は、図11の走査方式における受信感度の不均一を説明するための他の図である。
【図14】図14は、図11の走査方式における並列同時受信ビーム群間の時相差を説明するための図である。
【図15】図15は、図11の走査方式を説明するための図である。
【図16】図16は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし)における受信ビームの位置を示す図である。
【図17】図17は、図16の走査方式を説明するための図である。
【図18】図18は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置及び超音波送受信方法を説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置は、プローブ11、走査制御部13、送信部15、受信部17、受信ビーム記憶部18、加算合成部19、合成ビーム記憶部20、画像生成部21、画像データ記憶部22、画像処理部23、表示部25、及びシステム制御部29を有する。
【0019】
プローブ11は、電子走査型である。プローブ11は、2次元状に配列された複数の振動子を有する。各振動子は、送信部15からの駆動パルスを受け、被検体に超音波を送波する。超音波は、被検体の体内組織の音響インピーダンスの不連続点で次々と反射される。反射された超音波は、振動子により受波される。振動子は、受波された超音波の強度に応じたエコー信号を発生する。エコー信号は、アナログの電気信号である。複数の振動子から発生された超音波は、送信部15から各振動子への駆動パルスの供給タイミングに応じて決定される送信位置に送波される送信ビームを形成する。このようにプローブ11は、被検体に送信ビームを繰り返し送波し、被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生する。発生されたエコー信号は、受信部17に供給される。
【0020】
走査制御部13は、システム制御部29からの指示に従って走査条件を決定する。システム制御部29からの指示としては、フレームレートやフレーム数、ビーム数が挙げられる。また、システム制御部29からの指示としては、図示しない入力部からの走査条件に関する操作者の指示であってもよい。走査条件としては、例えば、PRF(パルス繰り返し周波数:pulse repetition frequency)や送信位置、受信位置(受信ビームの空間位置)、受信開口、並列同時受信ビーム群の中心軸間隔(ビーム飛ばし数)、空隙位置、空隙幅、加算合成情報等が挙げられる。なおビーム位置は、プローブ11に対するビームの中心軸の位置に規定される。走査制御部13は、これら走査条件に従って送信部15、受信部17、及び加算合成部19を制御する。なお本実施形態に係る走査制御部13は、Bモード走査を実行するものとする。
【0021】
送信部15は、プローブ11から所望の送信位置に送信ビームが送信されるように、走査制御部13からの走査条件に従ってプローブ11に駆動パルスを供給する。より詳細には、送信部15は、既定のPRFに従ってレートパルスをチャンネル毎に繰り返し発生する。送信部15は、発生された各レートパルスに対して、既定の送信位置に関する送信ビームを形成するのに必要な遅延時間を与える。この遅延時間は、例えば、送信位置に応じて振動子毎に決定される。そして送信部15は、各遅延されたレートパルスに基づくタイミングで駆動パルスを発生し、発生された駆動パルスを各振動子に供給する。駆動パルスの供給を受けた各振動子は、超音波を発生する。これによりプローブ11は、既定の送信位置に送信ビームを送波する。
【0022】
受信部17は、走査制御部13からの走査条件に従って、プローブ11からのエコー信号に並列同時受信処理を実行し、互いに中心位置が異なる複数の並列同時受信ビーム群に対応する複数の並列同時受信ビームデータセット群を生成する。なお並列同時受信ビーム群の中心位置は、プローブ11に対する並列同時受信ビーム群の中心軸の位置に規定される。1つの並列同時受信ビーム群は、複数の受信ビームを含んでいる。典型的には、並列同時受信ビーム群の中心軸と、対応する送信ビームの中心軸とは、一致される。すなわち、受信部17は、各並列同時受信ビーム群について、複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを生成する。生成された受信ビームデータセットは、受信ビーム記憶部18または加算合成部19に即時的に供給される。並列同時受信ビーム群における各受信ビームの配置については後述する。
【0023】
受信ビームデータセットの生成方法について詳細に説明する。受信部17は、プローブ11の各振動子からエコー信号を受信し、受信されたエコー信号を増幅し、増幅されたエコー信号をアナログからデジタルに変換する。次に受信部17は、デジタルに変換されたエコー信号をデジタルメモリに記憶する。例えば、デジタルメモリは、振動子毎に設けられている。エコー信号は、受信した振動子に対応するデジタルメモリ上の、そのエコー信号の受信時刻に応じたアドレスに記憶される。そして受信部17は、既定の受信位置に対応するアドレスからエコー信号を読み出して加算し、受信位置に関する受信ビームに対応する受信ビームデータセットを生成する。生成された受信ビームデータセットは、受信ビーム記憶部18または加算合成部19に即時的に供給される。なお「受信ビームに対応する受信信号を生成する」は、「受信ビームを受信する」と同義である。1つの受信ビームの受信に利用される複数の振動子のセットは、受信開口と呼ばれている。
【0024】
図2と図3とは、受信開口Aについて説明するための図である。図2と図3とに示すように、1つの受信ビームRBの受信に利用される複数の振動子31のセットは、受信開口Aを構成する。例えば、図2に示すように、受信ビームRB1の受信には受信開口A1が利用され、図3に示すように、受信ビームRB2の受信には受信開口A1とは異なる位置の受信開口A2が利用される。このように受信部17は、1回の送受信において、受信開口Aを走査方向に沿って移動させながら、複数の受信ビームRBを受信する。換言すれば、受信部17は、受信対象の受信ビームRBに対応する受信開口Aを構成する複数の振動子31のエコー信号に基づいて、受信対象の受信ビームRBに関する受信ビームデータセットを生成する。典型的には、受信開口Aを構成する振動子31の数は、受信開口Aの位置に応じて変化せず、固定されている。受信開口Aを構成する振動子の数は、典型的には、プローブ11に含まれる振動子の数よりも少ない。なお、受信開口Aを構成する振動子の数は、任意に設定可能である。
【0025】
受信ビーム記憶部18は、受信部17からの受信ビームデータを記憶する。受信ビームデータは、例えば、受信位置と送受信番号とに関連付けて記憶される。なお、送受信番号は、超音波走査の開始時点からの送受信回数に規定される。
【0026】
加算合成部19は、走査制御部13からの走査条件に従って、受信部17または受信ビーム記憶部18からの受信ビームデータセットに加算合成処理を施し、合成ビームに関する合成ビームデータセットを生成する。より詳細には、同一受信位置に関する複数の受信ビームデータセットに基づいて、この受信位置に関する合成ビームデータセットを生成する。生成された合成ビームデータセットは、合成ビーム記憶部20または画像生成部21に即時的に供給される。
【0027】
合成ビーム記憶部20は、加算合成部19からの合成ビームデータセットを記憶する。合成ビームデータセットは、例えば、加算合成部19からの出力時間と空間位置とに関連付けて記憶される。典型的には、合成ビーム記憶部20は、加算合成部19からの出力順序に応じた記憶アドレスに合成ビームデータセットを記憶する。
【0028】
画像生成部21は、システム制御部29による制御に従って、加算合成部19または合成ビーム記憶部20からの合成ビームデータセットに基づいて被検体に関する超音波画像データを生成する。生成された超音波画像データは、画像データ記憶部22と画像処理部23とに即時的に供給される。
【0029】
画像データ記憶部22は、画像生成部21からの超音波画像データ、画像処理部23からの超音波画像データを記憶する。
【0030】
画像処理部23は、システム制御部29による制御に従って、画像生成部21または画像データ記憶部22からの超音波画像データにフィルタ処理等の画像処理を施す。画像処理が施された超音波画像データは、画像データ記憶部22と表示部25とに供給される。
【0031】
表示部25は、システム制御部29による制御に従って、画像処理部23からの超音波画像データに対応する超音波画像を画面に表示する。
【0032】
システム制御部29は、超音波診断装置の中枢として機能する。システム制御部29は、本実施形態に係る超音波検査のための専用プログラムを展開し、専用プログラムが表す指示に従って各部を制御し、本実施形態に係る超音波検査を実行する。
【0033】
以下、システム制御部29の制御のもとに行われる超音波検査について詳細に説明する。本実施形態に係る超音波検査は、並列同時受信ビーム群に含まれる受信ビームの配置に工夫を有している。
【0034】
走査制御部13は、上述の走査条件に従って受信ビームの空間的配置を設定する。具体的には、走査制御部13は、各並列同時受信ビーム群について、複数の受信ビームを不等間隔に配置する。
【0035】
図4は、並列同時受信ビーム群に含まれる受信ビームの配置例を示す図である。図5は、図4の受信ビーム配置における並列同時受信の走査方式を説明するための図である。なお、以下の説明を具体的に行うため、並列同時受信ビーム数は8本であるとする。なお本実施形態に係る並列同時受信ビーム数は8本に限定されず、3本以上の任意の本数に設定可能である。また、ビーム飛ばし数は、2本であるとする。しかしながら、本実施形態に係るビーム飛ばし数は、2本に限定されず、2本以上の任意の本数に設定可能である。
【0036】
図4や図5に示すように、各並列同時受信ビーム群PRは、複数の受信ビームRBを含んでいる。受信ビームRBは、互いに受信開口が異なる。隣り合う受信ビームRBの中心位置間隔は、不等間隔に設定されている。なお、中心位置間隔は、隣り合う受信ビームRBの中心軸の走査方向に関する間隔に規定される。換言すれば、中心位置間隔は、隣り合う受信開口中心の走査方向に関する間隔に規定される。以下、中心位置間隔を中心軸間隔と呼ぶことにする。隣り合う受信ビームRBの中心軸間隔は、第1の間隔と第2の間隔とを有している。
【0037】
第1の間隔は、1本の受信ビームRB分の幅に設定されている。換言すれば、第1の間隔は、走査方向に沿って空間的に連続して隣接する2本の受信ビームの中心軸間隔を有する。図4や図5に示すように、“b”の受信ビームRBと“c”の受信ビームRBとの間、“c”の受信ビームRBと“d”の受信ビームRBとの間、“d”の受信ビームRBと“e”の受信ビームRBとの間、“e”の受信ビームRBと“f”の受信ビームRBとの間、“f”の受信ビームRBと“g”の受信ビームRBとの間は、第1の間隔に設定されている。第1の間隔は、図15、図17、及び図18の実施形態における受信ビームの中心軸間隔と同一である。
【0038】
第2の間隔は、空隙間隔を意味する。空隙間隔は、第1の間隔よりも長い値に設定されている。典型的には、空隙間隔は、図4や図5に示すように、2本の受信ビーム分の幅を有する。換言すれば、空隙間隔は、走査方向に沿って空間的に連続して隣接する3本の受信ビームのうちの両端の受信ビームの中心軸間隔を有する。例えば、並列同時受信ビーム群の端部分における“a”の受信ビームRBと“b”の受信ビームRBとの間には、受信ビーム2本分の空隙が設けられている。同様に受信位置“g”の受信ビームと受信位置“h”の受信ビームとの間にも、受信ビーム2本分の空隙が設けられている。このように、並列同時受信ビーム群のうちの両端の受信ビーム(“a”と“h”)は、隣の受信ビーム(“b”と“g”)から、走査方向に沿って外側にそれぞれ1受信ビーム分ずつずれている。空隙間隔は、受信ビーム2本分に限定されず、受信ビーム2本分以上の任意の値に設定可能である。空隙位置は、並列同時受信ビーム群の端部分(“a”と“b”との間、“g”と“h”との間)のみに限定されず、並列同時受信ビーム群内の任意の位置に設けられても良い。
【0039】
このように、並列同時受信ビーム群の両端部に1箇所ずつ空隙間隔が設けられる走査方式を、「両端1空隙配置」と呼ぶことにする。
【0040】
空隙間隔と空隙位置とは、走査制御部13により任意に設定される。受信ビームの中心軸間隔のうちの空隙間隔以外の間隔は、走査制御部13により任意に第1の間隔に設定される。第1の間隔と第1の間隔の位置とは、走査制御部13により任意に設定される。
【0041】
次に、受信部17による並列同時受信ビーム群の並列同時受信について説明する。
【0042】
図4や図5に示すように、受信部17は、並列同時受信ビーム群毎に走査方向に沿って順番に受信ビームデータセットを生成する。まず、1回目の送信において送信部15は、中心軸が“1d”と“1e”との中心に位置する送信ビームを送波する。受信部17は、反射された超音波に由来するエコー信号に基づいて並列同時受信ビーム群を受信する。並列同時受信ビーム群PR1の中心軸は、送信ビームの中心軸と同様に位置P1に設定される。そして1回目の送信に対して、“1a”、“1b”、“1c”、“1d”、“1e”、“1f”、“1g”、“1h”の8つの受信ビームを受信する。“空”の位置の受信ビームは受信部17により受信されない。
【0043】
具体的には、受信部17は、“1a”の受信位置に対応する受信開口に属する複数の振動子からのエコー信号に基づいて“1a”に関する受信ビームデータセットを生成する。次に受信部17は、“1a”の隣の“1b”の受信位置に対応する受信開口に属する複数の振動子からのエコー信号に基づいて“1b”に関する受信ビームデータセットを生成する。“1a”の受信位置と“1b”の受信位置とは、受信ビーム2本分の空隙を介して隣り合っている。次に受信部17は、“1b”の隣の“1c”の受信位置に対応する受信開口に属する複数のエコー信号に基づいて“1c”に関する受信ビームデータセットを生成する。“1b”の受信位置と“1c”の受信位置との間には、受信ビーム1本分の空隙が設けられていない。このようにして受信部17は、位置“1a”、位置“1b”、位置“1c”、位置“1d”、位置“1e”、位置“1f”、位置“1g”、及び位置“1h”の8つの受信ビームデータセットを生成する。これにより1回目の送受信に関する並列同時受信ビームデータセット群が生成される。
【0044】
1回目の送受信が行われると2回目の送受信が行われる。2回目の送信において送信部15は、中心軸が“2d”と“2e”との中心に位置する送信ビームを送波する。受信部17は、1回目の送受信と同様にして、“2a”、“2b”、“2c”、“2d”、“2e”、“2f”、“2g”、“2h”の8つの受信ビームを受信する。2回目の送信ビームの中心軸は、1回目の送信ビームの中心軸よりも走査方向に沿って空間的に2受信ビーム分だけずらされている。従って、2回目の並列同時受信ビーム群の中心軸も同様に、1回目の並列同時受信ビーム群の中心軸よりも走査方向に沿って空間的に2受信ビーム分だけずれている。
【0045】
なお、“1h”の受信位置と“2g”の受信位置とは空間的に同一位置に設定されている。“1g”の受信位置は、“2f”の受信位置とは空間的に同一位置になく、“2e”の受信位置と空間的に同一位置にある。
【0046】
このようにして受信部17は、並列同時受信ビーム群を2受信ビーム分ずつ走査方向にずらしながら、1枚の走査面を構成するための全ての並列同時受信ビーム群を生成する。換言すれば、走査制御部13は、複数の並列同時受信ビーム群の位置を、互いに2受信ビーム分だけ走査方向に沿ってずれるように配置している。
【0047】
次に図5を参照しながら、加算合成部19による受信ビームデータセットの加算合成について説明する。なお、受信部17により生成された受信ビームデータセットは、即時的に受信ビーム記憶部18に記憶されるとする。
【0048】
加算合成処理において加算合成部19は、複数の並列同時受信ビームデータセット群に基づいて、複数の合成ビームにそれぞれ対応する複数の合成ビームデータセットを生成する。より詳細には、加算合成部19は、受信ビーム記憶部18から加算合成対象の受信ビームデータセットを読み出し、読み出された受信ビームデータセットに加算合成を施す。加算合成対象は、予め設定されている所定数の受信ビームデータセットが揃っている受信位置に関する受信ビームデータセットである。合成対象の受信ビームの本数は、例えば、並列同時受信ビーム数とビーム飛ばし数とに応じて決定される。それは、並列同時受信ビーム数とビーム飛ばし数とに応じて、1つの空間位置における受信ビームの最大数が一意に決定されるからである。例えば、並列同時受信ビーム数が8本、ビーム飛ばし数が2本の場合、1つの空間位置において最大4本の受信ビームが受信される。従ってこの場合、合成対象の受信ビームの本数は、4本に設定される。このようにして、加算合成部19は、複数の受信ビームのうちの、同一の受信位置に関する所定数の受信ビームを加算合成し、合成ビームを生成する。換言すれば、加算合成部19は、同一の受信位置に関する所定数の受信ビームデータセットを加算合成し、合成ビームに対応する合成ビームデータセットを生成する。
【0049】
具体的には、加算合成部19は、同一の受信位置の受信ビームが4本揃ったことを契機として、この4本の受信ビームを加算合成する。例えば、受信位置PAにおいて“2f”、“3d”、“4b”、“5a”の4本の受信ビームデータセットが生成される。加算合成部19は、4本目の“5a”の受信ビームデータセットが生成されたことを契機として、“2f”、“3d”、“4b”、“5a”の4つの受信ビームデータセットを加算合成し、受信位置PAに関する合成ビームデータセットO1を生成する。また、受信位置PBにおいて“1h”、“2g”、“3e”、“4c”の4本の受信ビームデータセットが生成される。加算合成部19は、4本目の“4c”の受信ビームデータセットが生成されたことを契機として、“1h”、“2g”、“3e”、“4c”の4つの受信ビームデータセットに基づいて、受信位置PBに関する合成ビームデータセットO2を生成する。生成された合成ビームデータセットは、合成ビーム記憶部20に記憶される。
【0050】
図5に示すように、“1a”や“1h”は、図18の“1a”や“1h”よりも並列同時受信ビーム群の中心軸から遠い位置に配置されている。従って図5の“1a”の受信ビームの受信感度は、図18の“1a”の受信ビームの受信感度よりも低下する。しかし、この受信感度の低下は、後述するように加算合成処理により無視することができる。
【0051】
なお、受信位置POのような走査面の両端部分においては、受信ビームデータセットが4本揃わない。4本未満の受信ビームデータセットしか揃わない場合、その受信位置に関する合成ビームデータセットは、画像生成部21部により画像生成に利用されない。あるいは、4本未満の受信ビームデータセットしか揃わない場合、その受信位置に関する合成ビームデータセットは、加算合成部19により生成されなくても良い。逆に言えば、4本の受信ビームデータセットが揃っている場合、その受信位置に関する合成ビームデータセットは、画像生成部21により画像生成に利用される。
【0052】
受信位置PO1のような走査面の両端部分近傍においては、受信ビームデータセットが4本揃う。しかし、受信位置PO1よりも1受信ビーム分だけ走査面の内側の受信位置PO2においては、受信ビームデータセットが4本揃わない。このような受信位置POと受信位置PO1とに挟まれた受信位置PO2に関する合成ビームデータセットも画像生成部21により画像生成に利用されないか、あるいは、加算合成部19により生成されない。換言すれば、受信ビームデータセットが4本揃わない受信位置PO2よりも走査面の端側に位置する受信位置P0,PO1に関する合成ビームデータセットは、画像生成に利用されないか、あるいは、生成されない。
【0053】
すなわち、4本の受信ビームデータセットが空間的に連続して揃っている空間範囲内に属する合成ビームデータセットが画像生成に利用される。このような空間範囲内に属する合成ビームデータセットは、画像生成部21に供給される。この空間範囲外に属する合成ビームデータセットは、上記のように、画像生成部21により画像生成に利用されないか、あるいは、加算合成部19により生成されない。
【0054】
例えば、画像生成部21は、画像生成に利用する合成ビームデータセットを合成ビーム記憶部20から読み出し、読み出された合成ビームデータセットを画像生成に利用する。一方、画像生成部21は、画像生成に利用しない合成ビームデータセットを合成ビーム記憶部20から読み出さない。画像生成処理において画像生成部21は、読み出された複数の合成ビームデータセットに基づいて超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部21は、読み出された合成ビームデータセットを出力時間に従って画像生成部21内の画像メモリ上に配置する。この配置処理により、表示部25に表示可能な超音波画像データが生成される。
【0055】
なお、合成ビームデータセットの出力順序と空間的な配置とが逆転する場合がある。例えば、受信位置PBに関する合成ビームデータセットO2は、4回目の送受信において出力される。一方、受信位置PBよりも走査方向手前側(すなわち、受信時刻が早い)の受信位置PAに関する合成ビームO1は、5回目の送受信において出力される。このように、合成ビームの出力順序と空間的な配置とが逆転している状態で超音波画像データが生成される場合、生成された超音波画像データにおいて2つの合成ビームデータセットに関する走査線が画像上で逆転してしまう。従って、画像生成部21は、出力順序と空間的な配置とが逆転している合成ビームデータセットを、出力順序と空間配置とが整合するように、受信位置に従って並べ替える。例えば、画像生成部21は、合成ビームデータセットを受信位置に従って順番に記憶アドレスに配列する。あるいは、画像生成部21は、合成ビーム記憶部20における合成ビームデータセットの記憶アドレスを受信位置に従って並び替える。あるいは、走査方向に沿って順番に出力されるように、加算合成部19からの合成ビームデータセットの出力順序が並べ替えられてもよい。
【0056】
なお上記において、4本未満の受信ビームデータセットに基づく合成ビームデータセットは、画像生成に利用されないとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、画像生成部21は、4本未満の受信ビームデータセットに基づく合成ビームデータセットを画像生成に利用してもよい。例えば、加算合成部19は、欠落受信位置の合成ビームデータセットを周囲の非欠落受信位置の受信ビームデータセットから補間して生成してもよい。なお、欠落受信位置は、受信ビームが4本揃っていない受信位置であり、非欠落受信位置は、受信ビームが4本揃っている受信位置である。周囲の非欠落受信位置は、例えば、受信位置PO2を挟んで隣り合う受信位置である。補間により生成された受信ビームデータセットを補間ビームデータセットと呼ぶ。補間ビームデータセットは、合成ビーム記憶部20に記憶される。画像生成部21は、合成ビーム記憶部20から補間ビームデータセットを読み出し、画像生成に利用することも可能である。
【0057】
ここで、超音波画像の画質を説明するため、受信ビームの感度を模擬的に設定する。受信ビームの感度は、並列同時受信ビーム群の中心軸からの距離に応じて線形的に減少するとする。具体的には、“a”と“h”との受信ビームの感度を“6”、“b”と“g”との受信ビームの感度を“8”、“c”と“f”との受信ビームの感度を“9”、“d”と “e”との受信ビームの感度を“10”と仮定する。
【0058】
この場合、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“33”を有している。従って超音波画像には、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0059】
また本実施形態においては、ビーム飛ばし数は、複数受信ビーム分(図5の場合、2本)に設定されている。従って、本実施形態においては、並列同時受信ビーム数よりも少ない本数の受信ビームを合成すれば超音波画像データを生成可能である。これにより、本実施形態は、並列同時受信ビーム数と同数の受信ビームを合成していた図17の場合に比して、フレームレートが向上する。
【0060】
そして本実施形態においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームは、不等間隔に配置されている。従って本実施形態においては、合成ビームの時相は、一本単位に切り替わる。従って、複数本単位(具体的には、2本単位)で時相が切り替わっていた図18の場合に比して、本実施形態は、超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0061】
これら効果により、本実施形態に係る超音波診断装置及び超音波送受信方法は、ハイフレームレートのリアルタイム性を保ちながら、心臓等の動きが速い部位でも画質に優れた超音波画像データを生成することができる。従って本実施形態に係る超音波診断装置及び超音波送受信方法は、超音波検査の診断能を向上させることができる。
【0062】
かくして本実施形態によれば、並列同時受信において、フレームレートの向上と画質の向上とを同時に実現可能な超音波診断装置及び超音波送受信方法を提供することができる。
【0063】
なお、本実施形態に係る走査方式は、図5に示す8ビーム同時受信&4ビーム合成及び2ビーム飛ばし&両端1空隙配置のみに限定されない。以下、複数の変形例において、本実施形態に係る他の走査方式について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0064】
(変形例1)
図6は、変形例1に係る走査方式を説明するための図である。図6に示すように、変形例1に係る走査方式は、8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置である。「両端2空隙離散配置」においては、並列同時受信ビーム群の各端部に2つの空隙が離散的に配置される。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により2受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0065】
このような変形例1に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“31”を有している。従って変形例1に係る走査方式により生成される超音波画像は、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0066】
また、変形例1に係る走査方式においては、ビーム飛ばし数が2本分に設定されている。従って、変形例1に係る超音波診断装置は、並列同時受信ビーム数よりも少ない本数の受信ビームを合成することにより超音波画像データを生成することができる。これにより、変形例1に係る走査方式は、図17の走査方式に比してフレームレートを向上することができる。
【0067】
また、変形例1に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例1に係る走査方式は、図18の走査方式に比して超音波画像の画質の劣化を低減することができる。
【0068】
図6と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、送受信回数が同じ場合、「両端2空隙離散配置」よりも画像生成に利用可能な合成ビーム数が多い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも広範囲の超音波画像データを得ることができる。
【0069】
また、図6と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも合成ビームの感度が高い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも高画質の超音波画像データを得ることができる。
【0070】
(変形例2)
図7は、変形例2に係る走査方式を説明するための図である。図7に示すように、変形例2に係る走査方式は、8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置である。「両端2空隙連続配置」においては、並列同時受信ビーム群の各端部に2つの空隙が連続的に配置される。換言すれば、「両端2空隙連続配置」においては、並列同時受信ビーム群の各端部に2つの空隙間隔分の空隙が配置されている。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により4受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0071】
このような変形例2に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“32”を有している。従って変形例2に係る走査方式により生成される超音波画像は、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0072】
また、変形例2に係る走査方式においては、ビーム飛ばし数が2本分に設定されている。従って、変形例2に係る超音波診断装置は、並列同時受信ビーム数よりも少ない本数の受信ビームを合成することにより超音波画像データを生成することができる。これにより、変形例2に係る超音波診断装置は、図17の走査方式に比してフレームレートを向上することができる。
【0073】
また、変形例2に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例2に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0074】
図7と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、送受信回数が同じ場合、「両端2空隙連続配置」よりも画像生成に利用可能な合成ビーム数が多い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙連続配置」よりも広範囲の超音波画像データを得ることができる。また、図7と図6とを比較すれば明らかなように、「両端2空隙連続配置」は、送受信回数が同じ場合、「両端2空隙離散配置」と画像生成に利用可能な合成ビーム数が同じである。従って、「両端2空隙連続配置」は、「両端2空隙離散配置」と略同範囲の超音波画像データを得ることができる。
【0075】
また、図7と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙連続配置」よりも合成ビームの感度が高い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空連続散配置」よりも高画質の超音波画像データを得ることができる。また、図7と図6とを比較すれば明らかなように、「両端2空隙連続配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも合成ビームの感度が高い。従って、「両端2空隙連続配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも高画質の超音波画像データを得ることができる。
【0076】
(変形例3)
図8は、変形例3に係る走査方式を説明するための図である。図8に示すように、変形例3に係る走査方式は、8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端1空隙配置である。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により4受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。なお、「8ビーム合成」においては、8本の受信ビームが揃っている受信位置において合成ビームが形成される。
【0077】
このような変形例3に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“66”を有している。従って変形例3に係る走査方式により生成される超音波画像データは、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0078】
また、変形例3に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例3に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0079】
図8と図5とを比較すれば明らかなように、「2ビーム飛ばし」は、送受信回数が同じ場合、「1ビーム飛ばし」よりも画像生成に利用可能な合成ビーム数が多い。従って、「2ビーム飛ばし」は、「1ビーム飛ばし」よりも広範囲の超音波画像データを得ることができる。
【0080】
また、図8と図5とを比較すれば明らかなように、「4ビーム合成」は、「8ビーム合成」よりも一本の合成ビームの生成に必要な受信ビームの本数が少ない。従って、「4ビーム合成」は、「8ビーム合成」よりも短時間で超音波画像データを生成することができ、超音波画像データのリアルタイム性が良い。これに伴い、「4ビーム合成」は、「8ビーム合成」よりも、心臓のような移動体の描出能が高い。
【0081】
(変形例4)
図9は、変形例4に係る走査方式を説明するための図である。図9に示すように、変形例4に係る走査方式は、8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置である。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により2受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0082】
このような変形例4に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“62”を有している。従って変形例4に係る走査方式により生成される超音波画像は、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0083】
また、変形例4に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例4に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0084】
図9と図8とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」よりも一本の合成ビームの生成に必要な送受信回数が少ない。従って「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」よりもリアルタイム性が良い。
【0085】
(変形例5)
図10は、変形例5に係る走査方式を説明するための図である。図10に示すように、変形例5に係る走査方式は、8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置である。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により4受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0086】
このような変形例5に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“64”を有している。従って変形例5に係る走査方式により生成される超音波画像データは、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0087】
また、変形例5に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例5に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0088】
図10と図8とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙連続配置」よりも一本の合成ビームの生成に必要な送受信回数が少ない。従って「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙連続配置」よりもリアルタイム性が良い。また、図10と図9とを比較すれば明らかなように、「両端2空隙連続配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」と一本の合成ビームの生成に必要な送受信回数が同じである。従って「両端2空隙連続配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」と略同等のリアルタイム性を有している。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
11…プローブ、13…走査制御部、15…送信部、17…受信部、18…受信ビーム記憶部、19…加算合成部、20…合成ビーム記憶部、21…画像生成部、22…画像データ記憶部、23…画像処理部、25…表示部、29…システム制御部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置及び超音波送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置では、フレームレートを向上させるため、並列同時受信法が提案されている。並列同時受信法において超音波診断装置は、超音波の送信ビームを送信方向に送波する。送信ビームは、被検体により反射される。そして超音波診断装置は、反射された超音波を受波し、受波された超音波に応じたエコー信号を生成する。超音波診断装置は、生成されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを生成している。このように並列同時受信において超音波診断装置は、1回の送信ビームの送信に対して、複数の受信ビームを同時に受信している。これにより単位時間あたりのデータ量を増大させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2831719号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】河野俊彦他、“循環器用超音波診断装置のハイフレームレート化の検討”、日本超音波医学会論文集、日本超音波医学会、1989年、第55巻、第727―第728頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11は、標準的な並列同時受信の走査方式における受信ビームの位置を示す図である。なお以下の説明において、8ビーム同時受信を例に挙げて説明する。なお、8ビーム同時受信は、1本の送信ビームの送信に対し、8本の受信ビームを同時に受信する走査方式である。横軸は送受信ビームの走査方向を示し、縦軸は送受信ビームの深さ方向を示している。ここで一度に並列同時受信される8つの受信ビームをまとめて並列同時受信ビーム群と呼ぶことにする。並列同時受信ビーム群に関する複数の受信ビームデータセットをまとめて並列同時受信ビームデータセット群と呼ぶことにする。また、1つの送信ビームを送信してから、受信ビームを受信するまでの一連の処理を1回の送受信と呼ぶことにする。
【0006】
図11においては、1回目の送受信において並列同時受信する8つの受信ビームRBを“1”の数字で表し、並列同時受信ビーム群PR内の受信ビームを走査順に左から“a”、 “b”、“c”、“d”、“e”、“f”、“g”、“h”で示す。図11の(1)に示すように、1回目の送受信において、送信ビームTBが送信される。1回目の送受信における送信ビームTB1の中心軸は、“1d”と“1e”との中心に位置する。そして“1a”、“1b”、“1c”、“1d”、“1e”、“1f”、“1g”、“1h”の8つの受信ビームRBが並列同時受信される。8つの受信ビームRBは、走査方向に等間隔に配置されている。具体的には、隣り合う受信ビームRBの中心位置間隔(中心軸の間隔)は、1受信ビーム分に設定されている。ここで、プローブ上における受信ビームRBの中心軸の位置を受信位置と呼ぶことにする。換言すれば、受信位置は、受信ビームRBの受信に利用される受信開口の中心に規定される。図11の(2)に示すように、2回目の送信ビームTB2の中心軸は、1回目の送信ビームTB1の中心軸から走査方向に8受信ビーム分だけずらした“2d”と“2e”との中心に位置する。2回目の送受信において、“2a”、 “2b”、“2c”、“2d”、“2e”、“2f”、“2g”、“2h”の8つの受信ビームが並列同時受信される。なお、隣り合う2つの並列同時受信ビーム群の中心軸間隔が8受信ビーム分である走査方式は、「8ビーム飛ばし」と呼ばれている。この場合、隣り合う2つの並列同時受信ビーム群PR1及びPR2は、空間的にオーバラップしないので、後述するビーム合成は行われない。
【0007】
しかしながら、並列同時受信では、送信ビームの中心軸の位置と各受信ビームの中心軸の位置とが異なるため、送受信感度が劣化し、均一な送受信感度を得ることができない。
【0008】
図12と図13とは、図11の走査方式における受信感度の不均一を説明するための図である。図12の(2)や図13の(2)に示すように、送信ビームTBの走査方向に関する端部における送信音場の音圧は、中央部における送信音場の音圧よりも小さい。このため、並列同時受信ビーム数3本以上設定された場合、送受信音場の大きさ(すなわち、受信感度)は、走査方向で不均一となってしまう。従って図12の(2)や図13の(2)に示すように、並列同時受信ビーム群PRの中央部分の受信ビームと端部の受信ビームとにおいて受信感度に斑(ムラ)が生じてしまう。受信感度にムラが生じることにより、超音波画像の画質が劣化してしまう。
【0009】
並列同時受信においては、先行する送受信によって得られる並列同時受信ビーム群と後続する送受信によって得られる並列同時受信ビーム群とで時相差が発生してしまう。図14は、図11の走査方式における並列同時受信ビーム群間の時相差を説明するための図である。図14に示すように、並列同時受信ビーム群が切り替わる毎、すなわち、8受信ビーム毎に受信ビームの時相が切り替わる。ここでビームの時相とは、ビームが発生される送受信の順番(番号)と同義である。例えば、1回目の送受信による複数の受信ビームは、全て同一の時相に属する。1回目の並列同時受信ビーム群と2回目の送受信による並列同時受信ビーム群とで時相が異なっている。
【0010】
図15は、図11の走査方式(8ビーム同時受信&ビーム合成無し&8ビーム飛ばし)を説明するための図である。図15に示すように、1回目の送受信により8つの受信ビーム(“1a”、“1b”、“1c”、“1d”、“1e”、“1f”、“1g”、“1h”)が受信される。この8つの受信ビームは、並列同時受信ビーム群PB1を構成している。以下同様に、2回目の送受信により並列同時受信ビーム群PB2が受信され、3回目の送受信により並列同時受信ビーム群PB3が受信され、4回目の送受信により並列同時受信ビーム群PB4が受信される。各受信ビームは、走査方向順(受信順)に合成無しに出力される。また、位置“a”と位置“h”との受信ビームの感度を7、位置“b”と位置“g”との受信ビームの感度を8、位置“c”と位置“f”との受信ビームの感度を9、位置“d”と位置“e”との受信ビームの感度を10と仮定している。図15に示すように、各並列同時受信ビーム群PBの受信ビーム間で、各並列同時受信ビーム群の中心軸からの距離に応じた送受信感度の不均一(受信感度のムラ)が生じている。また、隣り合う並列同時受信ビーム群が空間的にオーバラップしないので、並列同時受信ビーム群単位で出力ビーム(受信ビーム)の時相が切り替わる。このような送受信感度の不均一や時相差により、超音波画像に濃淡の縞模様のアーチファクトが発生して画質が劣化してしまう。この画質劣化は、並列同時受ビーム数が増えるほど増加してしまう。
【0011】
この問題を解決するために、送信遅延加算及び送信波面合成の技術が提案されている。図16は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし)における受信ビームの位置を示す図である。図17は、図16の走査方式を説明するための図である。図16と図17とに示すように、1回目の送信ビームTB1の中心軸は、“1d”と“1e”との中心に位置する。2回目の送信ビームTB2の中心軸は、1回目の送信ビームTB1の中心軸から走査方向に1受信ビーム分だけずれた“2d”と“2e”との中心に位置する。この時、例えば、“1h”の受信ビームRBと“2g”の受信ビームRBとは、空間的に同一の受信位置にある。8回目の送受信が終了すると、各受信位置において、並列同時受信ビーム群が異なる(換言すれば、受信時刻が異なる)8本の受信ビームRBが得られる。例えば、受信位置PZにおいて“1h”、“2g”、“3f”、“4e”、“5d”、“6c”、“7b”、“8a”の8本の受信ビームが得られる。このような空間的同一位置の8本の受信ビームを加算合成することで、合成ビームが生成される。例えば、“1h”、“2g”、“3f”、“4e”、“5d”、“6c”、“7b”、“8a”の受信ビームが加算合成された場合、合成ビームO1が生成される。このように送信ビームTBの中心軸を1受信ビームずつずらしながら送受信を繰り返すことで、空間的同一位置に関する8本の受信ビームを受信し、8本の受信ビームに基づいて合成ビームを生成している。これにより合成後の出力ビーム(合成ビーム)の受信感度が走査方向で均一になる。また、並列同時受信ビーム群が空間的にオーバラップすることに伴う受信ビームの加算合成により、合成ビームの時相が1本単位で切り替わる。従って、並列同時受信ビーム群単位の時相差に起因する縞模様のアーチファクトを低減することができる。
【0012】
しかしながら、複数の受信ビームを合成して1つの合成ビームを生成するために、合成対象の受信ビームの本数が多い場合、フレームレートが低下してしまう。また、合成対象の受信ビームの本数が多い場合、合成対象の受信ビーム間において時相差が広がるため、心臓のような動きが速い部位には適用し難い。
【0013】
図18は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし)を説明するための図である。図18の走査方式に係る合成対象の受信ビーム数は、フレームレート向上のため、8本から4本に減少されている。この場合、フレームレートの向上と並列同時受信ビーム群単位の時相差に起因する縞模様のアーチファクトの低減とを同時に実現することができる。しかしながら、走査方向に2受信ビームずつ飛ばしているため、合成ビームの時相が1本単位ではなく、2本単位で切り替わってしてしまう。従って、超音波画像には、画像ずれが発生し、不自然な画像になってしまう。
【0014】
実施形態の目的は、並列同時受信において、画質の向上を実現可能な超音波診断装置及び超音波送受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本実施形態に係る超音波診断装置は、被検体に送信ビームを繰り返し送波し、前記被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生する複数の振動子を含むプローブと、前記発生されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成するものであって、前記複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含み、前記複数の受信ビームデータセットの各々は、前記複数の振動子のうちの、対応する受信位置に関する振動子からのエコー信号に基づいて生成される受信部と、前記複数の受信ビームの空間的配置を設定するものであって、前記複数の受信ビームを不等間隔に配置する制御部と、前記複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成するものであって、前記複数の合成ビームデータセットの各々は、前記複数の受信ビームデータセット群に含まれる受信ビームデータセットのうちの同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成である合成部と、前記複数の合成ビームデータセットに基づいて前記被検体に関する超音波画像データを生成する生成部と、を具備する超音波診断装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る受信開口を説明するための図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る受信開口を説明するための他の図である。
【図4】図4は、図1の受信部により受信される、並列同時受信ビーム群に含まれる受信ビームの配置例を示す図である。
【図5】図5は、図4の受信ビームの配置における並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端1空隙配置)を説明するための図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例1に係る走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置)を説明するための図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例2に係る走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置)を説明するための図である。
【図8】図8は、本実施形態の変形例3に係る走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端1空隙配置)を説明するための図である。
【図9】図9は、本実施形態の変形例4に係る走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置)を説明するための図である。
【図10】図10は、本実施形態の変形例5に係る走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置)を説明するための図である。
【図11】図11は、標準的な並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&ビーム合成無し&8ビーム飛ばし)における受信ビームの位置を示す図である。
【図12】図12は、図11の走査方式における受信感度の不均一を説明するための図である。
【図13】図13は、図11の走査方式における受信感度の不均一を説明するための他の図である。
【図14】図14は、図11の走査方式における並列同時受信ビーム群間の時相差を説明するための図である。
【図15】図15は、図11の走査方式を説明するための図である。
【図16】図16は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし)における受信ビームの位置を示す図である。
【図17】図17は、図16の走査方式を説明するための図である。
【図18】図18は、他の並列同時受信の走査方式(8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし)を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置及び超音波送受信方法を説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置は、プローブ11、走査制御部13、送信部15、受信部17、受信ビーム記憶部18、加算合成部19、合成ビーム記憶部20、画像生成部21、画像データ記憶部22、画像処理部23、表示部25、及びシステム制御部29を有する。
【0019】
プローブ11は、電子走査型である。プローブ11は、2次元状に配列された複数の振動子を有する。各振動子は、送信部15からの駆動パルスを受け、被検体に超音波を送波する。超音波は、被検体の体内組織の音響インピーダンスの不連続点で次々と反射される。反射された超音波は、振動子により受波される。振動子は、受波された超音波の強度に応じたエコー信号を発生する。エコー信号は、アナログの電気信号である。複数の振動子から発生された超音波は、送信部15から各振動子への駆動パルスの供給タイミングに応じて決定される送信位置に送波される送信ビームを形成する。このようにプローブ11は、被検体に送信ビームを繰り返し送波し、被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生する。発生されたエコー信号は、受信部17に供給される。
【0020】
走査制御部13は、システム制御部29からの指示に従って走査条件を決定する。システム制御部29からの指示としては、フレームレートやフレーム数、ビーム数が挙げられる。また、システム制御部29からの指示としては、図示しない入力部からの走査条件に関する操作者の指示であってもよい。走査条件としては、例えば、PRF(パルス繰り返し周波数:pulse repetition frequency)や送信位置、受信位置(受信ビームの空間位置)、受信開口、並列同時受信ビーム群の中心軸間隔(ビーム飛ばし数)、空隙位置、空隙幅、加算合成情報等が挙げられる。なおビーム位置は、プローブ11に対するビームの中心軸の位置に規定される。走査制御部13は、これら走査条件に従って送信部15、受信部17、及び加算合成部19を制御する。なお本実施形態に係る走査制御部13は、Bモード走査を実行するものとする。
【0021】
送信部15は、プローブ11から所望の送信位置に送信ビームが送信されるように、走査制御部13からの走査条件に従ってプローブ11に駆動パルスを供給する。より詳細には、送信部15は、既定のPRFに従ってレートパルスをチャンネル毎に繰り返し発生する。送信部15は、発生された各レートパルスに対して、既定の送信位置に関する送信ビームを形成するのに必要な遅延時間を与える。この遅延時間は、例えば、送信位置に応じて振動子毎に決定される。そして送信部15は、各遅延されたレートパルスに基づくタイミングで駆動パルスを発生し、発生された駆動パルスを各振動子に供給する。駆動パルスの供給を受けた各振動子は、超音波を発生する。これによりプローブ11は、既定の送信位置に送信ビームを送波する。
【0022】
受信部17は、走査制御部13からの走査条件に従って、プローブ11からのエコー信号に並列同時受信処理を実行し、互いに中心位置が異なる複数の並列同時受信ビーム群に対応する複数の並列同時受信ビームデータセット群を生成する。なお並列同時受信ビーム群の中心位置は、プローブ11に対する並列同時受信ビーム群の中心軸の位置に規定される。1つの並列同時受信ビーム群は、複数の受信ビームを含んでいる。典型的には、並列同時受信ビーム群の中心軸と、対応する送信ビームの中心軸とは、一致される。すなわち、受信部17は、各並列同時受信ビーム群について、複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを生成する。生成された受信ビームデータセットは、受信ビーム記憶部18または加算合成部19に即時的に供給される。並列同時受信ビーム群における各受信ビームの配置については後述する。
【0023】
受信ビームデータセットの生成方法について詳細に説明する。受信部17は、プローブ11の各振動子からエコー信号を受信し、受信されたエコー信号を増幅し、増幅されたエコー信号をアナログからデジタルに変換する。次に受信部17は、デジタルに変換されたエコー信号をデジタルメモリに記憶する。例えば、デジタルメモリは、振動子毎に設けられている。エコー信号は、受信した振動子に対応するデジタルメモリ上の、そのエコー信号の受信時刻に応じたアドレスに記憶される。そして受信部17は、既定の受信位置に対応するアドレスからエコー信号を読み出して加算し、受信位置に関する受信ビームに対応する受信ビームデータセットを生成する。生成された受信ビームデータセットは、受信ビーム記憶部18または加算合成部19に即時的に供給される。なお「受信ビームに対応する受信信号を生成する」は、「受信ビームを受信する」と同義である。1つの受信ビームの受信に利用される複数の振動子のセットは、受信開口と呼ばれている。
【0024】
図2と図3とは、受信開口Aについて説明するための図である。図2と図3とに示すように、1つの受信ビームRBの受信に利用される複数の振動子31のセットは、受信開口Aを構成する。例えば、図2に示すように、受信ビームRB1の受信には受信開口A1が利用され、図3に示すように、受信ビームRB2の受信には受信開口A1とは異なる位置の受信開口A2が利用される。このように受信部17は、1回の送受信において、受信開口Aを走査方向に沿って移動させながら、複数の受信ビームRBを受信する。換言すれば、受信部17は、受信対象の受信ビームRBに対応する受信開口Aを構成する複数の振動子31のエコー信号に基づいて、受信対象の受信ビームRBに関する受信ビームデータセットを生成する。典型的には、受信開口Aを構成する振動子31の数は、受信開口Aの位置に応じて変化せず、固定されている。受信開口Aを構成する振動子の数は、典型的には、プローブ11に含まれる振動子の数よりも少ない。なお、受信開口Aを構成する振動子の数は、任意に設定可能である。
【0025】
受信ビーム記憶部18は、受信部17からの受信ビームデータを記憶する。受信ビームデータは、例えば、受信位置と送受信番号とに関連付けて記憶される。なお、送受信番号は、超音波走査の開始時点からの送受信回数に規定される。
【0026】
加算合成部19は、走査制御部13からの走査条件に従って、受信部17または受信ビーム記憶部18からの受信ビームデータセットに加算合成処理を施し、合成ビームに関する合成ビームデータセットを生成する。より詳細には、同一受信位置に関する複数の受信ビームデータセットに基づいて、この受信位置に関する合成ビームデータセットを生成する。生成された合成ビームデータセットは、合成ビーム記憶部20または画像生成部21に即時的に供給される。
【0027】
合成ビーム記憶部20は、加算合成部19からの合成ビームデータセットを記憶する。合成ビームデータセットは、例えば、加算合成部19からの出力時間と空間位置とに関連付けて記憶される。典型的には、合成ビーム記憶部20は、加算合成部19からの出力順序に応じた記憶アドレスに合成ビームデータセットを記憶する。
【0028】
画像生成部21は、システム制御部29による制御に従って、加算合成部19または合成ビーム記憶部20からの合成ビームデータセットに基づいて被検体に関する超音波画像データを生成する。生成された超音波画像データは、画像データ記憶部22と画像処理部23とに即時的に供給される。
【0029】
画像データ記憶部22は、画像生成部21からの超音波画像データ、画像処理部23からの超音波画像データを記憶する。
【0030】
画像処理部23は、システム制御部29による制御に従って、画像生成部21または画像データ記憶部22からの超音波画像データにフィルタ処理等の画像処理を施す。画像処理が施された超音波画像データは、画像データ記憶部22と表示部25とに供給される。
【0031】
表示部25は、システム制御部29による制御に従って、画像処理部23からの超音波画像データに対応する超音波画像を画面に表示する。
【0032】
システム制御部29は、超音波診断装置の中枢として機能する。システム制御部29は、本実施形態に係る超音波検査のための専用プログラムを展開し、専用プログラムが表す指示に従って各部を制御し、本実施形態に係る超音波検査を実行する。
【0033】
以下、システム制御部29の制御のもとに行われる超音波検査について詳細に説明する。本実施形態に係る超音波検査は、並列同時受信ビーム群に含まれる受信ビームの配置に工夫を有している。
【0034】
走査制御部13は、上述の走査条件に従って受信ビームの空間的配置を設定する。具体的には、走査制御部13は、各並列同時受信ビーム群について、複数の受信ビームを不等間隔に配置する。
【0035】
図4は、並列同時受信ビーム群に含まれる受信ビームの配置例を示す図である。図5は、図4の受信ビーム配置における並列同時受信の走査方式を説明するための図である。なお、以下の説明を具体的に行うため、並列同時受信ビーム数は8本であるとする。なお本実施形態に係る並列同時受信ビーム数は8本に限定されず、3本以上の任意の本数に設定可能である。また、ビーム飛ばし数は、2本であるとする。しかしながら、本実施形態に係るビーム飛ばし数は、2本に限定されず、2本以上の任意の本数に設定可能である。
【0036】
図4や図5に示すように、各並列同時受信ビーム群PRは、複数の受信ビームRBを含んでいる。受信ビームRBは、互いに受信開口が異なる。隣り合う受信ビームRBの中心位置間隔は、不等間隔に設定されている。なお、中心位置間隔は、隣り合う受信ビームRBの中心軸の走査方向に関する間隔に規定される。換言すれば、中心位置間隔は、隣り合う受信開口中心の走査方向に関する間隔に規定される。以下、中心位置間隔を中心軸間隔と呼ぶことにする。隣り合う受信ビームRBの中心軸間隔は、第1の間隔と第2の間隔とを有している。
【0037】
第1の間隔は、1本の受信ビームRB分の幅に設定されている。換言すれば、第1の間隔は、走査方向に沿って空間的に連続して隣接する2本の受信ビームの中心軸間隔を有する。図4や図5に示すように、“b”の受信ビームRBと“c”の受信ビームRBとの間、“c”の受信ビームRBと“d”の受信ビームRBとの間、“d”の受信ビームRBと“e”の受信ビームRBとの間、“e”の受信ビームRBと“f”の受信ビームRBとの間、“f”の受信ビームRBと“g”の受信ビームRBとの間は、第1の間隔に設定されている。第1の間隔は、図15、図17、及び図18の実施形態における受信ビームの中心軸間隔と同一である。
【0038】
第2の間隔は、空隙間隔を意味する。空隙間隔は、第1の間隔よりも長い値に設定されている。典型的には、空隙間隔は、図4や図5に示すように、2本の受信ビーム分の幅を有する。換言すれば、空隙間隔は、走査方向に沿って空間的に連続して隣接する3本の受信ビームのうちの両端の受信ビームの中心軸間隔を有する。例えば、並列同時受信ビーム群の端部分における“a”の受信ビームRBと“b”の受信ビームRBとの間には、受信ビーム2本分の空隙が設けられている。同様に受信位置“g”の受信ビームと受信位置“h”の受信ビームとの間にも、受信ビーム2本分の空隙が設けられている。このように、並列同時受信ビーム群のうちの両端の受信ビーム(“a”と“h”)は、隣の受信ビーム(“b”と“g”)から、走査方向に沿って外側にそれぞれ1受信ビーム分ずつずれている。空隙間隔は、受信ビーム2本分に限定されず、受信ビーム2本分以上の任意の値に設定可能である。空隙位置は、並列同時受信ビーム群の端部分(“a”と“b”との間、“g”と“h”との間)のみに限定されず、並列同時受信ビーム群内の任意の位置に設けられても良い。
【0039】
このように、並列同時受信ビーム群の両端部に1箇所ずつ空隙間隔が設けられる走査方式を、「両端1空隙配置」と呼ぶことにする。
【0040】
空隙間隔と空隙位置とは、走査制御部13により任意に設定される。受信ビームの中心軸間隔のうちの空隙間隔以外の間隔は、走査制御部13により任意に第1の間隔に設定される。第1の間隔と第1の間隔の位置とは、走査制御部13により任意に設定される。
【0041】
次に、受信部17による並列同時受信ビーム群の並列同時受信について説明する。
【0042】
図4や図5に示すように、受信部17は、並列同時受信ビーム群毎に走査方向に沿って順番に受信ビームデータセットを生成する。まず、1回目の送信において送信部15は、中心軸が“1d”と“1e”との中心に位置する送信ビームを送波する。受信部17は、反射された超音波に由来するエコー信号に基づいて並列同時受信ビーム群を受信する。並列同時受信ビーム群PR1の中心軸は、送信ビームの中心軸と同様に位置P1に設定される。そして1回目の送信に対して、“1a”、“1b”、“1c”、“1d”、“1e”、“1f”、“1g”、“1h”の8つの受信ビームを受信する。“空”の位置の受信ビームは受信部17により受信されない。
【0043】
具体的には、受信部17は、“1a”の受信位置に対応する受信開口に属する複数の振動子からのエコー信号に基づいて“1a”に関する受信ビームデータセットを生成する。次に受信部17は、“1a”の隣の“1b”の受信位置に対応する受信開口に属する複数の振動子からのエコー信号に基づいて“1b”に関する受信ビームデータセットを生成する。“1a”の受信位置と“1b”の受信位置とは、受信ビーム2本分の空隙を介して隣り合っている。次に受信部17は、“1b”の隣の“1c”の受信位置に対応する受信開口に属する複数のエコー信号に基づいて“1c”に関する受信ビームデータセットを生成する。“1b”の受信位置と“1c”の受信位置との間には、受信ビーム1本分の空隙が設けられていない。このようにして受信部17は、位置“1a”、位置“1b”、位置“1c”、位置“1d”、位置“1e”、位置“1f”、位置“1g”、及び位置“1h”の8つの受信ビームデータセットを生成する。これにより1回目の送受信に関する並列同時受信ビームデータセット群が生成される。
【0044】
1回目の送受信が行われると2回目の送受信が行われる。2回目の送信において送信部15は、中心軸が“2d”と“2e”との中心に位置する送信ビームを送波する。受信部17は、1回目の送受信と同様にして、“2a”、“2b”、“2c”、“2d”、“2e”、“2f”、“2g”、“2h”の8つの受信ビームを受信する。2回目の送信ビームの中心軸は、1回目の送信ビームの中心軸よりも走査方向に沿って空間的に2受信ビーム分だけずらされている。従って、2回目の並列同時受信ビーム群の中心軸も同様に、1回目の並列同時受信ビーム群の中心軸よりも走査方向に沿って空間的に2受信ビーム分だけずれている。
【0045】
なお、“1h”の受信位置と“2g”の受信位置とは空間的に同一位置に設定されている。“1g”の受信位置は、“2f”の受信位置とは空間的に同一位置になく、“2e”の受信位置と空間的に同一位置にある。
【0046】
このようにして受信部17は、並列同時受信ビーム群を2受信ビーム分ずつ走査方向にずらしながら、1枚の走査面を構成するための全ての並列同時受信ビーム群を生成する。換言すれば、走査制御部13は、複数の並列同時受信ビーム群の位置を、互いに2受信ビーム分だけ走査方向に沿ってずれるように配置している。
【0047】
次に図5を参照しながら、加算合成部19による受信ビームデータセットの加算合成について説明する。なお、受信部17により生成された受信ビームデータセットは、即時的に受信ビーム記憶部18に記憶されるとする。
【0048】
加算合成処理において加算合成部19は、複数の並列同時受信ビームデータセット群に基づいて、複数の合成ビームにそれぞれ対応する複数の合成ビームデータセットを生成する。より詳細には、加算合成部19は、受信ビーム記憶部18から加算合成対象の受信ビームデータセットを読み出し、読み出された受信ビームデータセットに加算合成を施す。加算合成対象は、予め設定されている所定数の受信ビームデータセットが揃っている受信位置に関する受信ビームデータセットである。合成対象の受信ビームの本数は、例えば、並列同時受信ビーム数とビーム飛ばし数とに応じて決定される。それは、並列同時受信ビーム数とビーム飛ばし数とに応じて、1つの空間位置における受信ビームの最大数が一意に決定されるからである。例えば、並列同時受信ビーム数が8本、ビーム飛ばし数が2本の場合、1つの空間位置において最大4本の受信ビームが受信される。従ってこの場合、合成対象の受信ビームの本数は、4本に設定される。このようにして、加算合成部19は、複数の受信ビームのうちの、同一の受信位置に関する所定数の受信ビームを加算合成し、合成ビームを生成する。換言すれば、加算合成部19は、同一の受信位置に関する所定数の受信ビームデータセットを加算合成し、合成ビームに対応する合成ビームデータセットを生成する。
【0049】
具体的には、加算合成部19は、同一の受信位置の受信ビームが4本揃ったことを契機として、この4本の受信ビームを加算合成する。例えば、受信位置PAにおいて“2f”、“3d”、“4b”、“5a”の4本の受信ビームデータセットが生成される。加算合成部19は、4本目の“5a”の受信ビームデータセットが生成されたことを契機として、“2f”、“3d”、“4b”、“5a”の4つの受信ビームデータセットを加算合成し、受信位置PAに関する合成ビームデータセットO1を生成する。また、受信位置PBにおいて“1h”、“2g”、“3e”、“4c”の4本の受信ビームデータセットが生成される。加算合成部19は、4本目の“4c”の受信ビームデータセットが生成されたことを契機として、“1h”、“2g”、“3e”、“4c”の4つの受信ビームデータセットに基づいて、受信位置PBに関する合成ビームデータセットO2を生成する。生成された合成ビームデータセットは、合成ビーム記憶部20に記憶される。
【0050】
図5に示すように、“1a”や“1h”は、図18の“1a”や“1h”よりも並列同時受信ビーム群の中心軸から遠い位置に配置されている。従って図5の“1a”の受信ビームの受信感度は、図18の“1a”の受信ビームの受信感度よりも低下する。しかし、この受信感度の低下は、後述するように加算合成処理により無視することができる。
【0051】
なお、受信位置POのような走査面の両端部分においては、受信ビームデータセットが4本揃わない。4本未満の受信ビームデータセットしか揃わない場合、その受信位置に関する合成ビームデータセットは、画像生成部21部により画像生成に利用されない。あるいは、4本未満の受信ビームデータセットしか揃わない場合、その受信位置に関する合成ビームデータセットは、加算合成部19により生成されなくても良い。逆に言えば、4本の受信ビームデータセットが揃っている場合、その受信位置に関する合成ビームデータセットは、画像生成部21により画像生成に利用される。
【0052】
受信位置PO1のような走査面の両端部分近傍においては、受信ビームデータセットが4本揃う。しかし、受信位置PO1よりも1受信ビーム分だけ走査面の内側の受信位置PO2においては、受信ビームデータセットが4本揃わない。このような受信位置POと受信位置PO1とに挟まれた受信位置PO2に関する合成ビームデータセットも画像生成部21により画像生成に利用されないか、あるいは、加算合成部19により生成されない。換言すれば、受信ビームデータセットが4本揃わない受信位置PO2よりも走査面の端側に位置する受信位置P0,PO1に関する合成ビームデータセットは、画像生成に利用されないか、あるいは、生成されない。
【0053】
すなわち、4本の受信ビームデータセットが空間的に連続して揃っている空間範囲内に属する合成ビームデータセットが画像生成に利用される。このような空間範囲内に属する合成ビームデータセットは、画像生成部21に供給される。この空間範囲外に属する合成ビームデータセットは、上記のように、画像生成部21により画像生成に利用されないか、あるいは、加算合成部19により生成されない。
【0054】
例えば、画像生成部21は、画像生成に利用する合成ビームデータセットを合成ビーム記憶部20から読み出し、読み出された合成ビームデータセットを画像生成に利用する。一方、画像生成部21は、画像生成に利用しない合成ビームデータセットを合成ビーム記憶部20から読み出さない。画像生成処理において画像生成部21は、読み出された複数の合成ビームデータセットに基づいて超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部21は、読み出された合成ビームデータセットを出力時間に従って画像生成部21内の画像メモリ上に配置する。この配置処理により、表示部25に表示可能な超音波画像データが生成される。
【0055】
なお、合成ビームデータセットの出力順序と空間的な配置とが逆転する場合がある。例えば、受信位置PBに関する合成ビームデータセットO2は、4回目の送受信において出力される。一方、受信位置PBよりも走査方向手前側(すなわち、受信時刻が早い)の受信位置PAに関する合成ビームO1は、5回目の送受信において出力される。このように、合成ビームの出力順序と空間的な配置とが逆転している状態で超音波画像データが生成される場合、生成された超音波画像データにおいて2つの合成ビームデータセットに関する走査線が画像上で逆転してしまう。従って、画像生成部21は、出力順序と空間的な配置とが逆転している合成ビームデータセットを、出力順序と空間配置とが整合するように、受信位置に従って並べ替える。例えば、画像生成部21は、合成ビームデータセットを受信位置に従って順番に記憶アドレスに配列する。あるいは、画像生成部21は、合成ビーム記憶部20における合成ビームデータセットの記憶アドレスを受信位置に従って並び替える。あるいは、走査方向に沿って順番に出力されるように、加算合成部19からの合成ビームデータセットの出力順序が並べ替えられてもよい。
【0056】
なお上記において、4本未満の受信ビームデータセットに基づく合成ビームデータセットは、画像生成に利用されないとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されず、画像生成部21は、4本未満の受信ビームデータセットに基づく合成ビームデータセットを画像生成に利用してもよい。例えば、加算合成部19は、欠落受信位置の合成ビームデータセットを周囲の非欠落受信位置の受信ビームデータセットから補間して生成してもよい。なお、欠落受信位置は、受信ビームが4本揃っていない受信位置であり、非欠落受信位置は、受信ビームが4本揃っている受信位置である。周囲の非欠落受信位置は、例えば、受信位置PO2を挟んで隣り合う受信位置である。補間により生成された受信ビームデータセットを補間ビームデータセットと呼ぶ。補間ビームデータセットは、合成ビーム記憶部20に記憶される。画像生成部21は、合成ビーム記憶部20から補間ビームデータセットを読み出し、画像生成に利用することも可能である。
【0057】
ここで、超音波画像の画質を説明するため、受信ビームの感度を模擬的に設定する。受信ビームの感度は、並列同時受信ビーム群の中心軸からの距離に応じて線形的に減少するとする。具体的には、“a”と“h”との受信ビームの感度を“6”、“b”と“g”との受信ビームの感度を“8”、“c”と“f”との受信ビームの感度を“9”、“d”と “e”との受信ビームの感度を“10”と仮定する。
【0058】
この場合、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“33”を有している。従って超音波画像には、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0059】
また本実施形態においては、ビーム飛ばし数は、複数受信ビーム分(図5の場合、2本)に設定されている。従って、本実施形態においては、並列同時受信ビーム数よりも少ない本数の受信ビームを合成すれば超音波画像データを生成可能である。これにより、本実施形態は、並列同時受信ビーム数と同数の受信ビームを合成していた図17の場合に比して、フレームレートが向上する。
【0060】
そして本実施形態においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームは、不等間隔に配置されている。従って本実施形態においては、合成ビームの時相は、一本単位に切り替わる。従って、複数本単位(具体的には、2本単位)で時相が切り替わっていた図18の場合に比して、本実施形態は、超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0061】
これら効果により、本実施形態に係る超音波診断装置及び超音波送受信方法は、ハイフレームレートのリアルタイム性を保ちながら、心臓等の動きが速い部位でも画質に優れた超音波画像データを生成することができる。従って本実施形態に係る超音波診断装置及び超音波送受信方法は、超音波検査の診断能を向上させることができる。
【0062】
かくして本実施形態によれば、並列同時受信において、フレームレートの向上と画質の向上とを同時に実現可能な超音波診断装置及び超音波送受信方法を提供することができる。
【0063】
なお、本実施形態に係る走査方式は、図5に示す8ビーム同時受信&4ビーム合成及び2ビーム飛ばし&両端1空隙配置のみに限定されない。以下、複数の変形例において、本実施形態に係る他の走査方式について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0064】
(変形例1)
図6は、変形例1に係る走査方式を説明するための図である。図6に示すように、変形例1に係る走査方式は、8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置である。「両端2空隙離散配置」においては、並列同時受信ビーム群の各端部に2つの空隙が離散的に配置される。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により2受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0065】
このような変形例1に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“31”を有している。従って変形例1に係る走査方式により生成される超音波画像は、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0066】
また、変形例1に係る走査方式においては、ビーム飛ばし数が2本分に設定されている。従って、変形例1に係る超音波診断装置は、並列同時受信ビーム数よりも少ない本数の受信ビームを合成することにより超音波画像データを生成することができる。これにより、変形例1に係る走査方式は、図17の走査方式に比してフレームレートを向上することができる。
【0067】
また、変形例1に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例1に係る走査方式は、図18の走査方式に比して超音波画像の画質の劣化を低減することができる。
【0068】
図6と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、送受信回数が同じ場合、「両端2空隙離散配置」よりも画像生成に利用可能な合成ビーム数が多い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも広範囲の超音波画像データを得ることができる。
【0069】
また、図6と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも合成ビームの感度が高い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも高画質の超音波画像データを得ることができる。
【0070】
(変形例2)
図7は、変形例2に係る走査方式を説明するための図である。図7に示すように、変形例2に係る走査方式は、8ビーム同時受信&4ビーム合成&2ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置である。「両端2空隙連続配置」においては、並列同時受信ビーム群の各端部に2つの空隙が連続的に配置される。換言すれば、「両端2空隙連続配置」においては、並列同時受信ビーム群の各端部に2つの空隙間隔分の空隙が配置されている。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により4受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0071】
このような変形例2に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“32”を有している。従って変形例2に係る走査方式により生成される超音波画像は、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0072】
また、変形例2に係る走査方式においては、ビーム飛ばし数が2本分に設定されている。従って、変形例2に係る超音波診断装置は、並列同時受信ビーム数よりも少ない本数の受信ビームを合成することにより超音波画像データを生成することができる。これにより、変形例2に係る超音波診断装置は、図17の走査方式に比してフレームレートを向上することができる。
【0073】
また、変形例2に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例2に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0074】
図7と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、送受信回数が同じ場合、「両端2空隙連続配置」よりも画像生成に利用可能な合成ビーム数が多い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙連続配置」よりも広範囲の超音波画像データを得ることができる。また、図7と図6とを比較すれば明らかなように、「両端2空隙連続配置」は、送受信回数が同じ場合、「両端2空隙離散配置」と画像生成に利用可能な合成ビーム数が同じである。従って、「両端2空隙連続配置」は、「両端2空隙離散配置」と略同範囲の超音波画像データを得ることができる。
【0075】
また、図7と図5とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「両端2空隙連続配置」よりも合成ビームの感度が高い。従って、「両端1空隙配置」は、「両端2空連続散配置」よりも高画質の超音波画像データを得ることができる。また、図7と図6とを比較すれば明らかなように、「両端2空隙連続配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも合成ビームの感度が高い。従って、「両端2空隙連続配置」は、「両端2空隙離散配置」よりも高画質の超音波画像データを得ることができる。
【0076】
(変形例3)
図8は、変形例3に係る走査方式を説明するための図である。図8に示すように、変形例3に係る走査方式は、8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端1空隙配置である。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により4受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。なお、「8ビーム合成」においては、8本の受信ビームが揃っている受信位置において合成ビームが形成される。
【0077】
このような変形例3に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“66”を有している。従って変形例3に係る走査方式により生成される超音波画像データは、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0078】
また、変形例3に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例3に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0079】
図8と図5とを比較すれば明らかなように、「2ビーム飛ばし」は、送受信回数が同じ場合、「1ビーム飛ばし」よりも画像生成に利用可能な合成ビーム数が多い。従って、「2ビーム飛ばし」は、「1ビーム飛ばし」よりも広範囲の超音波画像データを得ることができる。
【0080】
また、図8と図5とを比較すれば明らかなように、「4ビーム合成」は、「8ビーム合成」よりも一本の合成ビームの生成に必要な受信ビームの本数が少ない。従って、「4ビーム合成」は、「8ビーム合成」よりも短時間で超音波画像データを生成することができ、超音波画像データのリアルタイム性が良い。これに伴い、「4ビーム合成」は、「8ビーム合成」よりも、心臓のような移動体の描出能が高い。
【0081】
(変形例4)
図9は、変形例4に係る走査方式を説明するための図である。図9に示すように、変形例4に係る走査方式は、8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙離散配置である。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により2受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0082】
このような変形例4に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“62”を有している。従って変形例4に係る走査方式により生成される超音波画像は、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0083】
また、変形例4に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例4に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0084】
図9と図8とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」よりも一本の合成ビームの生成に必要な送受信回数が少ない。従って「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」よりもリアルタイム性が良い。
【0085】
(変形例5)
図10は、変形例5に係る走査方式を説明するための図である。図10に示すように、変形例5に係る走査方式は、8ビーム同時受信&8ビーム合成&1ビーム飛ばし&両端2空隙連続配置である。具体的には、並列同時受信ビーム群の端部に位置する受信位置“a”と受信位置“b”との間、受信位置“g”と受信位置“h”との間の間隔は、走査制御部13により4受信ビーム分の間隔に設定される。一方、並列同時受信ビーム群の中央部に位置する受信位置“b”と受信位置“c”との間、受信位置“c”と受信位置“d”との間、受信位置“d”と受信位置“e”との間、受信位置“e”と受信位置“f”との間、受信位置“f”と受信位置“g”との間の間隔は、走査制御部13により1受信ビーム分の間隔に設定される。
【0086】
このような変形例5に係る走査方式においては、画像生成に利用される合成ビームの感度は、全て同一の値“64”を有している。従って変形例5に係る走査方式により生成される超音波画像データは、受信ビームの受信感度ムラに起因する画質劣化はない。
【0087】
また、変形例5に係る走査方式においては、並列同時受信ビーム群に含まれる複数の受信ビームが不等間隔に配置されている。すなわち、合成ビームの時相は一本単位で切り替わる。従って変形例5に係る超音波診断装置は、図18の走査方式に比して超音波画像データの画質の劣化を低減することができる。
【0088】
図10と図8とを比較すれば明らかなように、「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙連続配置」よりも一本の合成ビームの生成に必要な送受信回数が少ない。従って「両端1空隙配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙連続配置」よりもリアルタイム性が良い。また、図10と図9とを比較すれば明らかなように、「両端2空隙連続配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」と一本の合成ビームの生成に必要な送受信回数が同じである。従って「両端2空隙連続配置」は、「8ビーム合成&1ビーム飛ばし」の場合、「両端2空隙離散配置」と略同等のリアルタイム性を有している。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
11…プローブ、13…走査制御部、15…送信部、17…受信部、18…受信ビーム記憶部、19…加算合成部、20…合成ビーム記憶部、21…画像生成部、22…画像データ記憶部、23…画像処理部、25…表示部、29…システム制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に送信ビームを繰り返し送波し、前記被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生する複数の振動子を含むプローブと、
前記発生されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成するものであって、前記複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含み、前記複数の受信ビームデータセットの各々は、前記複数の振動子のうちの、対応する受信位置に関する振動子からのエコー信号に基づいて生成される受信部と、
前記複数の受信ビームの空間的配置を設定するものであって、前記複数の受信ビームを不等間隔に配置する制御部と、
前記複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成するものであって、前記複数の合成ビームデータセットの各々は、前記複数の受信ビームデータセット群に含まれる受信ビームデータセットのうちの同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成である合成部と、
前記複数の合成ビームデータセットに基づいて前記被検体に関する超音波画像データを生成する生成部と、
を具備する超音波診断装置。
【請求項2】
前記複数の受信ビームのうちの隣り合う2つの受信ビームの中心位置間隔は、第1の間隔と前記第1の間隔に比して長い第2の間隔とを有する、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の受信ビームのうちの端に位置する受信ビームと前記端に位置する受信ビームの隣の受信ビームとの中心位置間隔を前記第2の間隔に設定し、前記複数の受信ビームのうちの他の受信ビームの中心位置間隔を前記第1の間隔に設定する、請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の受信ビーム群を互いに2受信ビーム分だけ位置を走査方向に沿ってずらして配置する、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第1の受信位置について、前記第1の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成部により画像生成に利用され、
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第2の受信位置について、前記第2の受信位置に関する受信ビームデータセットまたは合成ビームデータセットは前記生成部により画像生成に利用されない、または、前記合成部により生成されない、
請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記第2の受信位置よりも走査面の端側に位置する第3の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成部により画像生成に利用されない、または、前記合成部により生成されない、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記合成部は、前記第2の受信位置に関する合成データセットを前記第2の受信位置の周囲の受信位置に関する受信データセットに基づいて補間データを合成する、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記合成部から出力された前記複数の合成ビームデータセットを受信位置に従って並べ替える、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項9】
プローブを利用して、被検体に送信ビームを繰り返し送波し、前記被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生し、
前記発生されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成することであって、前記複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含み、前記複数の受信ビームデータセットの各々は、対応する受信位置に関するエコー信号に基づいて生成され、
前記複数の受信ビームの空間的配置を設定することであって、前記複数の受信ビームを不等間隔に配置し、
前記複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成することであって、前記複数の合成ビームデータセットの各々は、前記複数の受信ビームデータセット群に含まれる受信ビームデータセットのうちの同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成であり、
前記複数の合成ビームデータセットに基づいて前記被検体に関する超音波画像データを生成すること、
を具備する超音波送受信方法。
【請求項10】
前記複数の受信ビームのうちの隣り合う2つの受信ビームの中心位置間隔は、第1の間隔と前記第1の間隔に比して長い第2の間隔とを有する、請求項9記載の超音波送受信方法。
【請求項11】
前記設定することは、前記複数の受信ビームのうちの端に位置する受信ビームと前記端に位置する受信ビームの隣の受信ビームとの中心位置間隔を前記第2の間隔に設定し、前記複数の受信ビームのうちの他の受信ビームの中心位置間隔を前記第1の間隔に設定する、請求項10記載の超音波送受信方法。
【請求項12】
前記設定することは、前記複数の受信ビーム群を互いに2受信ビーム分だけ位置をずらして配置する、請求項9記載の超音波送受信方法。
【請求項13】
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第1の受信位置について、前記第1の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成することにおいて画像生成に利用され、
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第2の受信位置について、前記第2の受信位置に関する受信ビームデータセットまたは合成ビームデータセットは前記生成することにおいて画像生成に利用されない、または、前記合成することにおいて生成されない、
請求項9記載の超音波送受信方法。
【請求項14】
前記第2の受信位置よりも走査面の端側に位置する第3の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成することにおいて画像生成に利用されない、または、前記合成することにおいて生成されない、請求項13記載の超音波送受信方法。
【請求項15】
前記合成することは、前記第2の受信位置に関する合成データセットを前記第2の受信位置の周囲の受信位置に関する受信データセットに基づいて補間データを合成する、請求項13記載の超音波送受信方法。
【請求項16】
前記生成することは、前記複数の合成ビームデータセットを受信位置に従って並べ替える、請求項9記載の超音波送受信方法。
【請求項1】
被検体に送信ビームを繰り返し送波し、前記被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生する複数の振動子を含むプローブと、
前記発生されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成するものであって、前記複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含み、前記複数の受信ビームデータセットの各々は、前記複数の振動子のうちの、対応する受信位置に関する振動子からのエコー信号に基づいて生成される受信部と、
前記複数の受信ビームの空間的配置を設定するものであって、前記複数の受信ビームを不等間隔に配置する制御部と、
前記複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成するものであって、前記複数の合成ビームデータセットの各々は、前記複数の受信ビームデータセット群に含まれる受信ビームデータセットのうちの同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成である合成部と、
前記複数の合成ビームデータセットに基づいて前記被検体に関する超音波画像データを生成する生成部と、
を具備する超音波診断装置。
【請求項2】
前記複数の受信ビームのうちの隣り合う2つの受信ビームの中心位置間隔は、第1の間隔と前記第1の間隔に比して長い第2の間隔とを有する、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の受信ビームのうちの端に位置する受信ビームと前記端に位置する受信ビームの隣の受信ビームとの中心位置間隔を前記第2の間隔に設定し、前記複数の受信ビームのうちの他の受信ビームの中心位置間隔を前記第1の間隔に設定する、請求項2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の受信ビーム群を互いに2受信ビーム分だけ位置を走査方向に沿ってずらして配置する、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第1の受信位置について、前記第1の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成部により画像生成に利用され、
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第2の受信位置について、前記第2の受信位置に関する受信ビームデータセットまたは合成ビームデータセットは前記生成部により画像生成に利用されない、または、前記合成部により生成されない、
請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記第2の受信位置よりも走査面の端側に位置する第3の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成部により画像生成に利用されない、または、前記合成部により生成されない、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記合成部は、前記第2の受信位置に関する合成データセットを前記第2の受信位置の周囲の受信位置に関する受信データセットに基づいて補間データを合成する、請求項5記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記合成部から出力された前記複数の合成ビームデータセットを受信位置に従って並べ替える、請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項9】
プローブを利用して、被検体に送信ビームを繰り返し送波し、前記被検体により反射された超音波を繰り返し受波し、前記受波された超音波に応じたエコー信号を繰り返し発生し、
前記発生されたエコー信号に基づいて複数の受信ビームデータセット群を生成することであって、前記複数の受信ビームデータセット群の各々は、並列同時受信に関する複数の受信ビームにそれぞれ対応する複数の受信ビームデータセットを含み、前記複数の受信ビームデータセットの各々は、対応する受信位置に関するエコー信号に基づいて生成され、
前記複数の受信ビームの空間的配置を設定することであって、前記複数の受信ビームを不等間隔に配置し、
前記複数の受信ビームデータセット群に基づいて複数の受信位置に関する複数の合成ビームデータセットを生成することであって、前記複数の合成ビームデータセットの各々は、前記複数の受信ビームデータセット群に含まれる受信ビームデータセットのうちの同一の受信位置に関する受信ビームデータセットの合成であり、
前記複数の合成ビームデータセットに基づいて前記被検体に関する超音波画像データを生成すること、
を具備する超音波送受信方法。
【請求項10】
前記複数の受信ビームのうちの隣り合う2つの受信ビームの中心位置間隔は、第1の間隔と前記第1の間隔に比して長い第2の間隔とを有する、請求項9記載の超音波送受信方法。
【請求項11】
前記設定することは、前記複数の受信ビームのうちの端に位置する受信ビームと前記端に位置する受信ビームの隣の受信ビームとの中心位置間隔を前記第2の間隔に設定し、前記複数の受信ビームのうちの他の受信ビームの中心位置間隔を前記第1の間隔に設定する、請求項10記載の超音波送受信方法。
【請求項12】
前記設定することは、前記複数の受信ビーム群を互いに2受信ビーム分だけ位置をずらして配置する、請求項9記載の超音波送受信方法。
【請求項13】
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第1の受信位置について、前記第1の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成することにおいて画像生成に利用され、
前記複数の受信位置のうちの所定数の受信ビームデータセットが揃っている第2の受信位置について、前記第2の受信位置に関する受信ビームデータセットまたは合成ビームデータセットは前記生成することにおいて画像生成に利用されない、または、前記合成することにおいて生成されない、
請求項9記載の超音波送受信方法。
【請求項14】
前記第2の受信位置よりも走査面の端側に位置する第3の受信位置に関する合成ビームデータセットは前記生成することにおいて画像生成に利用されない、または、前記合成することにおいて生成されない、請求項13記載の超音波送受信方法。
【請求項15】
前記合成することは、前記第2の受信位置に関する合成データセットを前記第2の受信位置の周囲の受信位置に関する受信データセットに基づいて補間データを合成する、請求項13記載の超音波送受信方法。
【請求項16】
前記生成することは、前記複数の合成ビームデータセットを受信位置に従って並べ替える、請求項9記載の超音波送受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−105959(P2012−105959A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219254(P2011−219254)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
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