説明

超音波診断装置用プローブ及びその製造方法

【課題】超音波診断装置用プローブ及びその製造方法に対する発明の提供。
【解決手段】開示された発明の超音波診断装置用プローブは、第1電極部を備える吸音層と、第1電極部に連結される圧電体と、圧電体に連結される第2電極部を備える音響整合層と、第1電極部及び第2電極部に連結されるPCBとを含む。本発明によると、圧電体とPCBとの接続作業が迅速かつ容易に行われるので、製造時間が短縮され、製造が容易であるとともに、接続部位の耐久性及び均一性が向上し、圧電体とPCBとの間の接合不良による性能低下を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローブに関するもので、より詳しくは、超音波を用いて対象体の内部の映像を生成するための超音波診断装置用プローブ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、対象体の体表から体内の所望の部位に向かって超音波信号を照射し、反射された超音波信号(超音波エコー信号)の情報を用いて、軟部組織の単層や血流に関するイメージを無侵襲で得る装置である。この装置は、X線診断装置、CTスキャナー(Computerized Tomography Scanner)、MRI(Magnetic Resonance Image)、核医学診断装置などの他の映像診断装置と比較するとき、小型でかつ低廉であり、リアルタイムで表示可能であり、X線などの被爆なしに安全性が高いという長所を有しており、心臓、腹部、泌尿器、及び産婦人科診断のために広く用いられている。
【0003】
特に、超音波診断装置は、対象体の超音波映像を得るために、超音波信号を対象体に送信し、対象体から反射される超音波エコー信号を受信するプローブを含む。
【0004】
プローブは、トランスデューサと、上端が開放されたケースと、開放されたケースの上端に結合されて対象体の表面と直接接触するカバーとを含む。
【0005】
ここで、トランスデューサは、圧電物質が振動しながら、電気的な信号と音響信号とを相互変換させる圧電層と、圧電層から発生した超音波が対象体に最大限に伝達されるように、圧電層と対象体との間の音響インピ−ダンス差を減少させる音響整合層と、圧電層の前方に進行する超音波を特定の地点に集束させるレンズ層と、超音波の圧電層の後方への進行を遮断することで、映像のわい曲を防止する吸音層とを含む。
【0006】
前記圧電層は、圧電体及び電極を含み、電極は、圧電体の上端及び下端にそれぞれ提供される。そして、圧電層には、PCB(Printed Circuit Board)が接合される。PCBは、圧電体の電極に連結される配線電極を備えており、圧電体の信号伝達の役割をする。PCBと圧電体は、PCBの配線電極と圧電層の電極とが連結されることで互いに接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなプローブによると、PCBの配線電極と圧電層の電極とを連結するための接続作業時に手間がかかり、結果として製造時間が増加するという問題点がある。また、接続作業が手作業で行われるので、接続部位の低い耐久性及び不均一性によって性能が低下するという問題点がある。したがって、これを改善する必要性が要請される。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を改善するためになされたもので、その目的は、製造が容易であり、圧電層とPCBとの間の接合不良による性能低下を防止できるように構造を改善した超音波診断装置用プローブ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面による超音波診断装置用プローブは、第1電極部を備える吸音層と、前記第1電極部に連結される圧電体と、前記圧電体に連結される第2電極部を備える音響整合層と、前記第1電極部及び前記第2電極部に連結されるPCBとを含む。
【0010】
また、前記第1電極部及び前記第2電極部は、互いに離隔して配置され、前記圧電体よりも大きく形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記PCBは、その一側面に形成される第1配線電極と、その他側面に形成される第2配線電極とを備えることが好ましい。
【0012】
また、前記第1配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記第1電極部に連結され、前記第2配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記第2電極部に連結されることが好ましい。
【0013】
本発明の一側面による超音波診断装置用プローブは、電極部を備える吸音層と、前記電極部に連結される圧電体と、前記圧電体に連結される音響整合層と、前記電極部及び前記音響整合層に連結されるPCBとを含む。
【0014】
また、前記電極部及び前記音響整合層は、互いに離隔して配置され、前記圧電体よりも大きく形成されることが好ましい。
【0015】
また、前記PCBは、その一側面に形成される第1配線電極と、その他側面に形成される第2配線電極とを備えることが好ましい。
【0016】
また、前記第1配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記電極部に連結され、前記第2配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記音響整合層に連結されることが好ましい。
【0017】
また、前記音響整合層の前記圧電体及び前記PCBに連結される部分は、伝導性材料で製作されることが好ましい。
【0018】
また、前記超音波診断装置用プローブは、リニアタイプのプローブまたはコンベックスタイプのプローブであることが好ましい。
【0019】
本発明の他の側面による超音波診断装置用プローブの製造方法は、吸音層に第1電極部を形成する段階と、音響整合層に第2電極部を形成する段階と、前記第1電極部及び前記第2電極部に圧電体を連結する段階と、前記第1電極部及び前記第2電極部にPCBを連結する段階とを含む。
【0020】
また、前記吸音層に第1電極部を形成する段階では、前記第1電極部が前記圧電体よりも大きくなるように形成されることが好ましい。
【0021】
また、前記音響整合層に第2電極部を形成する段階では、前記第2電極部が前記圧電体よりも大きくなるように形成されることが好ましい。
【0022】
また、前記第1電極部及び前記第2電極部にPCBを連結する段階では、前記PCBの一方の側に形成された第1配線電極を前記第1電極部に連結し、前記PCBの他方の側に形成された第2配線電極を前記第2電極部に連結することが好ましい。
【0023】
本発明の更に他の側面による超音波診断装置用プローブは、吸音層に電極部を形成する段階と、音響整合層を形成する段階と、前記電極部及び前記音響整合層に圧電体を連結する段階と、前記電極部及び前記音響整合層にPCBを連結する段階とを含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る超音波診断装置用プローブ及びその製造方法によると、圧電体とPCBとの接続作業が迅速かつ容易に行われるので、製造時間が短縮され、製造が容易である。
【0025】
また、本発明は、PCBが安定的に位置した状態で圧電体とPCBとの接続作業を行える構造をとるので、接続部位の耐久性及び均一性が向上し、圧電体とPCBとの間の接合不良による性能低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例に係る超音波診断装置用プローブの構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した超音波診断装置用プローブの構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る超音波診断装置用プローブの製造方法を示したフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施例に係る超音波診断装置用プローブの構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示した超音波診断装置用プローブの構成を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施例に係る超音波診断装置用プローブの製造方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された各図面を参照して、本発明に係る超音波診断装置用プローブ及びその製造方法の一実施例を説明する。図面に示した各線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜のために、誇張して図示されることがある。また、後述する各用語は、本発明での機能を考慮して定義された用語で、これは、使用者、運用者の意図又は慣例によって変わり得る。したがって、このような各用語は、本明細書の全般的な内容に基づいて定義されるべきである。
【0028】
図1は、本発明の一実施例に係る超音波診断装置用プローブの構成を示す斜視図で、図2は、図1に示した超音波診断装置用プローブの構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、図1および図2中、圧電層から発生した超音波が進行する方向を「前方」、その反対方向を「後方」とする。
【0029】
図1及び図2を参照すると、本発明の一実施例に係る超音波診断装置用プローブは、吸音層110、圧電体120、音響整合層130及びPCB140を含む。
【0030】
吸音層110は、圧電体120の後方に配置される。吸音層110は、圧電体120の自由振動を抑制することで、超音波のパルス幅を減少させ、超音波が不必要に圧電層の後方に伝播されることを遮断することで、映像のわい曲を防止する。この吸音層110は、エポキシ樹脂及びタングステンパウダーなどが添加されたゴムを含む材質で形成される。
【0031】
前記吸音層110は、第1電極部115を備えている。第1電極部115は、吸音層110上に形成され、吸音層110と圧電体120との間に配置される。第1電極部115は、金、銀または銅などの高伝導性金属で形成され、蒸着、スパッタリング、めっきまたはスプレーなどの方法で形成される。
【0032】
圧電体120は、第1電極部115に“連結”される。圧電体120は、共振現象を用いて超音波を発生させるもので、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のセラミック、亜鉛ニオブ酸鉛及びチタン酸鉛(PZNT)の固溶体で作られるPZNT単結晶、マグネシウムニオブ酸鉛及びチタン酸鉛(PZMT)の固溶体で作られるPZMT単結晶などで形成される。
【0033】
ここで、前記“連結”は、相互配線(Interconnection)されるように電気的に連結することを意味し、前記圧電体120は、吸音層110(第1電極部115)上に積層され、吸音層110に形成された第1電極部115と相互配線されるように電気的に連結される。
【0034】
このために、圧電体120には、第1電極122及び第2電極124が形成される。第1電極122及び第2電極124は、圧電体120の一側及び他側、好ましくは圧電体120の前方及び後方にそれぞれ配置される(図2において、圧電体120の上側及び下側)。このうち、第1電極122は、第1電極部115と相互配線されるように電気的に連結され、第2電極124は、後述する第2電極部135と相互配線されるように電気的に連結される。
【0035】
このような第1電極122及び第2電極124は、金、銀、又は銅のような高伝導性金属で形成される。ここで、第1電極122及び第2電極124のうちのいずれか一つは、圧電体120の正極(または信号電極)に該当し、他の一つは、圧電体120の負極(または接地電極)に該当する。前記第1電極122及び第2電極124は、正極と負極とが互いに分離されるように形成される。本実施例においては、第1電極122が正極に該当し、第2電極124が負極に該当するものとして例示される。
【0036】
音響整合層130は、圧電体120の前方に配置される。音響整合層130は、圧電体120の音響インピーダンスと対象体の音響インピーダンスとを整合させ、圧電体120から発生する超音波信号を対象体に効率的に伝達させる役割をするもので、圧電体120の音響インピーダンスと対象体の音響インピーダンスとの中間値を有するように備えられる。このような音響整合層130は、ガラスまたは樹脂材質で形成され、音響インピーダンスが圧電体120から対象体に向かって段階的に変化するように、互いに異なる材質で形成される第1音響整合層132及び第2音響整合層134を備えている。
【0037】
前記音響整合層130は第2電極部135を備えている。第2電極部135は、音響整合層130、より具体的には第2音響整合層134上に形成され、圧電体120と音響整合層130との間に配置される。第2電極部135は、第1電極部115の場合と同様に、金、銀または銅などの高伝導性金属で形成され、蒸着、スパッタリング、めっきまたはスプレーなどの方法で形成される。
【0038】
本実施例によると、圧電体120は、吸音層110及び音響整合層130より小さい幅を有するように備えられる。また、第1電極部115は、圧電体120の第1電極122に連結され、吸音層110の幅に対応するように圧電体120の外側(図2において左側)に延長される。すなわち、第1電極部115は、吸音層110上に形成される。第2電極部135は、第1電極部115と離隔して配置されるように圧電体120の第2電極124に連結され、音響整合層130の幅に対応するように圧電体120の外側(図2において左側)に延長される。すなわち、第2電極部135は、第2音響整合層134上に形成される。
【0039】
その結果、圧電体120の外側(側面側)には、第1電極部115、圧電体120の側部及び第2電極部135によって3面が囲まれた空間部Sが形成される。
【0040】
PCB140は、第1電極部115及び第2電極部135に連結される。このようなPCB140は、フレキシブル印刷回路基板(Flexible Printed Circuit Board;FPCB)、及び信号や電気を供給可能な全ての構成を含む。
【0041】
本実施例によると、PCB140は、第1配線電極142及び第2配線電極144を含む。第1配線電極142はPCB140の一側面に形成され、第2配線電極144はPCB140の他側面に形成される。すなわち、PCB140は、その両面の全てに配線電極142、144を有する。各配線電極142、144は、第1電極部115または第2電極部135にそれぞれ対応する形態でPCB140の一側面(吸音層110側面)または他側面(音響層130側面)にそれぞれ複数個が形成される。
【0042】
前記PCB140は、その一部分が空間部Sに挿入される。このようにPCB140の一部分が空間部Sに挿入された状態で、第1配線電極142は、圧電体120の外側に延長された第1電極部115に連結され、第2配線電極144は、圧電体120の外側に延長された第2電極部135に連結される。
【0043】
一方、図示していないが、本実施例の超音波診断装置用プローブは、音響整合層130の前方に配置され、前方に進行する超音波信号を特定の地点に収束させるレンズ層をさらに備えることができる。
【0044】
このような本実施例の超音波診断装置用プローブは、線形の表面形状を有するリニアタイプのプローブ形態であるか、曲面として凸状の表面形状を有するコンベックス(Convex)タイプのプローブ形態である。
【0045】
図3は、本発明の一実施例に係る超音波診断装置用プローブの製造方法を示したフローチャートである。
【0046】
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の一実施例に係る超音波診断装置用プローブの製造方法に対して説明する。
【0047】
本実施例の超音波診断装置用プローブを製造するためには、まず、吸音層110に第1電極部115を形成する(S10)。
【0048】
吸音層110に第1電極部115を形成するためには、まず、エポキシ樹脂及びタングステンパウダーなどが添加されたゴムを含む材質で吸音層110を成形する。このとき、吸音層110は、圧電体120より大きい幅を有するように成形される。
【0049】
このように成形された吸音層110には、吸音層110と第1電極部115との接着力を向上させるための補強物質(図示せず)を塗布することができる。補強物質は、クロム、ニッケルなどを含む物質からなる。
【0050】
その次に、補強物質が塗布された吸音層110に第1電極部115を形成する。第1電極部115は、金、銀または銅などの高伝導性金属で形成され、蒸着、スパッタリング、めっきまたはスプレーなどの方法で形成される。このような第1電極部115は、吸音層110の幅に対応するように圧電体120の外側に延長(よりも大きく形成)される。すなわち、第1電極部115は、吸音層110上に形成される。
【0051】
さらに、音響整合層130には第2電極部135を形成する(S20)。音響整合層130に第2電極部135を形成するために、まず、音響整合層130を圧電体120より大きい幅、好ましくは吸音層110と同一の幅を有するように成形する。
【0052】
このように成形された音響整合層130の一方の面には、音響整合層130と第2電極部135との接着力を向上させるための補強物質(図示せず)を塗布し、補強物質が塗布された音響整合層130の一方の面に第2電極部135を形成する。第2電極部135の材質及び形成方法は、上述した第1電極部115の場合と類似しているので、これに対する詳細な説明は省略する。このような第2電極部135は、音響整合層130の幅に対応するように圧電体120の外側に延長(よりも大きく形成)される。すなわち、第2電極部135は、音響整合層130上に形成される。
【0053】
そして、第1電極部115及び第2電極部135に圧電体120を連結する(S30)。具体的に、圧電体120が吸音層110の前方(上方)に積層され、圧電体120に形成された第1電極122が、吸音層110に形成された第1電極部115と相互配線されるように電気的に連結されることで、圧電体120が第1電極部115に連結される。
【0054】
さらに、音響整合層130が圧電体120の前方(上方)に積層され、圧電体120に形成された第2電極124が、音響整合層130に形成された第2電極部135と相互配線されるように電気的に連結されることで、圧電体120が第2電極部135に連結される。このとき、第1電極122と第1電極部115、第2電極124と第2電極部135は、それぞれ伝導性接着剤を媒介にして接合されることで電気的に連結される。
【0055】
その結果、第1電極部115及び第2電極部135は、前後側方向に並んで互いに離隔して配置される。このような第1電極部115及び第2電極部135によって、圧電体120の外側(側面側)には、第1電極部115、圧電体120の側部及び第2電極部135によって3面が囲まれた空間部Sが形成される。
【0056】
第1電極部115及び第2電極部135に圧電体120が連結されると、PCB140を第1電極部115及び第2電極部135に連結する(S40)。
【0057】
PCB140は、その一部分が空間部Sに挿入される。そして、PCB140の一側面には第1配線電極142が形成され、他側面には第2配線電極144が形成される。
【0058】
PCB140の一部分が空間部Sに挿入された状態で、第1配線電極142は、圧電体120の外側に延長された第1電極部115に連結され、第2配線電極144は、圧電体120の外側に延長された第2電極部135に連結される。第1配線電極142及び第2配線電極144は、鉛などのはんだ付け材料や異方性伝導体などによって第1電極部115及び第2電極部135にそれぞれ連結される。
【0059】
上記のような過程によって、PCB140は、第1電極部115を媒介にして圧電体120の第1電極122に電気的に連結され、第2電極部135を媒介にして圧電体120の第2電極124に電気的に連結される。これによって、圧電体120とPCB140とが互いに電気的に連結される。
【0060】
一方、本実施例では、吸音層110及び音響整合層130に第1電極部115及び第2電極部135をそれぞれ形成し、圧電体120を第1電極部115及び第2電極部135に連結した後、PCB140を第1電極部115及び第2電極部135に連結することを例示しているが、本発明は、必ず上述した順に実施されるべきものでなく、異なる順序で実施されたり、同時に実施されてもかまわない。
【0061】
上述したような本実施例の超音波診断装置用プローブの製造方法によると、PCB140の位置が安定的でない状態で、PCB140の各配線電極142、144を圧電体120の各電極122、124に一々直接接続させる難しくて手間のかかる接続作業の代わりに、PCB140が空間部Sに安定的に位置した状態で、第1電極部115及び第2電極部135を媒介にしてPCB140を圧電体120の第1電極122及び第2電極124に連結する単純な接続作業を行うだけで、PCB140を圧電体120に連結することができる。
【0062】
上記のような製造方法によって製造される本実施例の超音波診断装置用プローブによると、圧電体120とPCB140との接続作業が迅速かつ容易に行われるので、製造時間が短縮し、製造が容易である。
【0063】
また、本実施例の超音波診断装置用プローブは、PCB140が安定的に位置した状態で圧電体120とPCB140との接続作業を行える構造をとることで、接続部位の耐久性及び均一性が向上し、圧電体120とPCB140との間の接合不良による性能低下を防止することができる。
【0064】
図4は、本発明の他の実施例に係る超音波診断装置用プローブの構成を示す斜視図で、図5は、図4に示した超音波診断装置用プローブの構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、図4および図5中、圧電層から発生した超音波が進行する方向を「前方」、その反対方向を「後方」とする。
【0065】
説明の便宜のために、上述した実施例の構成及び機能と同一の構造または類似した構造には、同一の図面番号を引用し、これに対する詳細な説明は省略する。
【0066】
図4及び図5を参照すると、本発明の他の実施例に係る超音波診断装置用プローブは、吸音層210、圧電体120、音響整合層230及びPCB140を含む。
【0067】
吸音層210は、圧電体120の後方に配置され、電極部215を備えている。電極部215は、吸音層210上に形成され、吸音層210と圧電体120との間に配置される。吸音層210及び電極部215の構成及び作用は、本発明の一実施例に例示した吸音層115(図1参照)及び第1電極部115(図1参照)の構成及び作用と類似しているので、これに対する詳細な説明は省略する。
【0068】
音響整合層230は、圧電体120の前方に配置され、圧電体120の音響インピーダンスと対象体の音響インピーダンスとの中間値を有するように備えられる。音響整合層230は、音響インピーダンスが圧電体120から対象体に向かって段階的に変化するように、異なる材質で形成される第1音響整合層232及び第2音響整合層234を備えている。
【0069】
本実施例によると、第1音響整合層232及び第2音響整合層234を含む音響整合層230は、圧電体120と直接連結される。すなわち、音響整合層230は、金、銀または銅などの伝導性材質で形成され、圧電体120の第2電極124と相互配線されるように電気的に連結される。一実施例として、音響整合層230のうち圧電体120及びPCB140に連結される部分である第2音響整合層234は、伝導性材料で製作される。このように第2音響整合層234を伝導性材料で製作すると、音響整合層230に電極を別途に形成する必要がなくなる。
【0070】
圧電体120は、本発明の第1実施例の場合と同様に、吸音層210及び音響整合層230より小さい幅を有するように備えられる。また、電極部215は、圧電体120の第1電極122に連結され、吸音層210の幅に対応するように圧電体120の外側(図5において左側)に延長される。すなわち、電極部215は、吸音層210上に形成される。音響整合層230は、電極部215と離隔して配置されるように圧電体120の第2電極124に連結され、吸音層210の幅に対応するように圧電体120の外側(図5において左側)に延長される。すなわち、音響整合層230は、図6に示すように、圧電体120よりも大きく形成される。
【0071】
その結果、圧電体120の外側(側面側)には、電極部215、圧電体120の側部及び音響整合層230によって3面が囲まれた空間部S’が形成される。
【0072】
PCB140は、電極部215または音響整合層230にそれぞれ対応する形態でPCB140の一側面(吸音層210側面)または他側面(音響整合層230側面)にそれぞれ複数個が形成される第1配線電極142及び第2配線電極144を含む。
【0073】
このようなPCB140は、その一部分が空間部S’に挿入される。このようにPCB140の一部分が空間部S’に挿入された状態で、第1配線電極142は、圧電体120の外側に延長された電極部215に連結され、第2配線電極144は、圧電体120の外側に延長された音響整合層230に連結される。
【0074】
図6は、本発明の他の実施例に係る超音波診断装置用プローブの製造方法を示したフローチャートである。
【0075】
以下、図4乃至図6を参照して、本発明の他の実施例に係る超音波診断装置用プローブの製造方法に対して説明する。
【0076】
本実施例の超音波診断装置用プローブを製造するためには、まず、吸音層210に電極部215を形成する(S50)。
【0077】
吸音層210に電極部215を形成するためには、本発明の一実施例の場合と同様に、まず、エポキシ樹脂及びタングステンパウダーなどが添加されたゴムを含む材質で吸音層210を成形する。このとき、吸音層210は、圧電体120より大きい幅を有するように成形される。
【0078】
このように成形された吸音層210には、吸音層210と電極部215との接着力を向上させるための補強物質(図示せず)を塗布することができる。補強物質は、クロム、ニッケルなどを含む物質からなる。
【0079】
その次に、補強物質が塗布された吸音層210に電極部215を形成する。第1電極部215は、金、銀または銅などの高伝導性金属で形成され、蒸着、スパッタリング、めっきまたはスプレーなどの方法で形成される。このような電極部215は、吸音層210の幅に対応するように圧電体120の外側に延長(よりも大きく形成)される。すなわち、電極部215は、吸音層210上に形成される。
【0080】
さらに、音響整合層230を形成する(S60)。本実施例によると、音響整合層230は、圧電体120及びPCB140と直接連結されるように伝導性材質で形成される。このような音響整合層230は、圧電体120より大きい幅、好ましくは、吸音層110と同一の幅を有するように成形されることで、圧電体120の外側に延長(よりも大きく形成)される。
【0081】
そして、電極部215及び音響整合層230に圧電体120を連結する(S70)。具体的に、圧電体120が吸音層210の前方(上方)に積層され、圧電体120に形成された第1電極122が、吸音層210に形成された電極部215と相互配線されるように電気的に連結されることで、圧電体120が電極部215に連結される。
【0082】
さらに、音響整合層230が圧電体120の前方(上方)に積層され、圧電体120に形成された第2電極124が音響整合層230と相互配線されるように電気的に連結されることで、圧電体120が音響整合層230に連結される。このとき、第1電極122と電極部215、第2電極124と音響整合層230は、それぞれ伝導性接着剤を媒介にして接合されることで電気的に連結される。
【0083】
その結果、電極部215及び音響整合層230は、前後側方向に並んで互いに離隔して配置される。このような電極部215及び音響整合層230によって、圧電体120の外側(側面側)には、電極部215、圧電体120の側部及び音響整合層230によって3面が囲まれた空間部S’が形成される。
【0084】
電極部215及び音響整合層230に圧電体120が連結されると、PCB140を電極部215及び音響整合層230に連結する(S80)。
【0085】
PCB140は、その一部分が空間部S’に挿入される。そして、PCB140の一側面には第1配線電極142が形成され、他側面には第2配線電極144が形成される。
【0086】
PCB140の一部分が空間部S’に挿入された状態で、第1配線電極142は、圧電体120の外側に延長された電極部215に連結され、第2配線電極144は、圧電体120の外側に延長された音響整合層230に連結される。第1配線電極142及び第2配線電極144は、鉛などのはんだ付け材料や異方性伝導体などによって電極部215及び音響整合層230にそれぞれ連結される。
【0087】
上記のような過程によって、PCB140は、電極部215を媒介にして圧電体120の第1電極122に電気的に連結され、音響整合層230を媒介にして圧電体120の第2電極124に電気的に連結される。これによって、圧電体120とPCB140とが互いに電気的に連結される。
【0088】
一方、本発明は、必ず上述した順に実施されるべきものでなく、異なる順序で実施されたり、同時に実施されてもかまわない。
【0089】
上述したような本実施例の超音波診断装置用プローブ及びその製造方法によると、音響整合層230に電極を形成する代わりに、音響整合層230自体または音響整合層230の一部を伝導性材料で製作し、音響整合層230を圧電体120及びPCB140と直接連結することで、超音波診断装置用プローブの製造過程及び製造時間を短縮できるという長所がある。
【0090】
本発明は、図面に示された実施例を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎなく、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能である点を理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0091】
110,210 吸音層、
115 第1電極部、120 圧電体、
122 第1電極、124 第2電極、
130,230 音響整合層、135 第2電極部、
140 PCB、142 第1配線電極、
144 第2配線電極、215 電極部、132,232 第1音響整合層
134,234 第2音響整合層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極部を備える吸音層と、
前記第1電極部に連結される圧電体と、
前記圧電体に連結される第2電極部を備える音響整合層と、
前記第1電極部及び前記第2電極部に連結されるPCBと、を含むことを特徴とする超音波診断装置用プローブ。
【請求項2】
前記第1電極部及び前記第2電極部は、互いに離隔して配置され、前記圧電体よりも大きく形成されることを特徴とする、請求項1に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項3】
前記PCBは、その一側面に形成される第1配線電極と、その他側面に形成される第2配線電極と、を備えることを特徴とする、請求項2に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項4】
前記第1配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記第1電極部に連結され、
前記第2配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記第2電極部に連結されることを特徴とする、請求項3に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項5】
電極部を備える吸音層と、
前記電極部に連結される圧電体と、
前記圧電体に連結される音響整合層と、
前記電極部及び前記音響整合層に連結されるPCBと、を含むことを特徴とする超音波診断装置用プローブ。
【請求項6】
前記電極部及び前記音響整合層は、互いに離隔して配置され、前記圧電体よりも大きく形成されることを特徴とする、請求項5に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項7】
前記PCBは、その一側面に形成される第1配線電極と、その他側面に形成される第2配線電極と、を備えることを特徴とする、請求項6に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項8】
前記第1配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記電極部に連結され、
前記第2配線電極は、前記圧電体よりも大きく形成された前記音響整合層に連結されることを特徴とする、請求項7に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項9】
前記音響整合層の前記圧電体及び前記PCBに連結される部分は、伝導性材料で構成されることを特徴とする、請求項5に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項10】
前記超音波診断装置用プローブは、リニアタイプのプローブまたはコンベックスタイプのプローブであることを特徴とする、請求項1乃至9のうち何れか1項に記載の超音波診断装置用プローブ。
【請求項11】
吸音層に第1電極部を形成する段階と、
音響整合層に第2電極部を形成する段階と、
前記第1電極部及び前記第2電極部に圧電体を連結する段階と、
前記第1電極部及び前記第2電極部にPCBを連結する段階と、を含むことを特徴とする超音波診断装置用プローブの製造方法。
【請求項12】
前記吸音層に第1電極部を形成する段階では、前記第1電極部が前記圧電体よりも大きくなるように形成されることを特徴とする、請求項11に記載の超音波診断装置用プローブの製造方法。
【請求項13】
前記音響整合層に第2電極部を形成する段階では、前記第2電極部が前記圧電体よりも大きくなるように形成されることを特徴とする、請求項11に記載の超音波診断装置用プローブの製造方法。
【請求項14】
前記第1電極部及び前記第2電極部にPCBを連結する段階では、前記PCBの一方の側に形成された第1配線電極を前記第1電極部に連結し、前記PCBの他方の側に形成された第2配線電極を前記第2電極部に連結することを特徴とする、請求項11に記載の超音波診断装置用プローブの製造方法。
【請求項15】
吸音層に電極部を形成する段階と、
音響整合層を形成する段階と、
前記電極部及び前記音響整合層に圧電体を連結する段階と、
前記電極部及び前記音響整合層にPCBを連結する段階と、を含むことを特徴とする超音波診断装置用プローブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−158522(P2010−158522A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3824(P2010−3824)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【氏名又は名称原語表記】MEDISON CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】114 Yangdukwon−ri,Nam−myun,Hongchun−gun,Kangwon−do 250−870,Republic of Korea
【Fターム(参考)】