説明

超音波診断装置

【課題】簡易に適切な画質の超音波画像を得る。
【解決手段】超音波を送受し、得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する超音波診断装置10は、装置設置室内の明るさを検出する光センサ28と、検出された明るさに応じて、超音波画像の形成に関するパラメータ、例えば、ゲインやオパシティなどを設定する画像パラメータ設定部26と、を有する。装置設置室内の明るさに応じて自動的にパラメータが設定されるため、簡易に適切な画質の超音波画像を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に超音波を送受波し、得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体内部への超音波の送受で得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成し、これをモニタに表示する超音波診断装置が広く知られている。検査者は、モニタに表示された超音波画像などから生体内部の情報を得る。したがって、表示される超音波画像の画質、例えば、輝度やコントラストは、診断結果の信頼性や超音波診断装置の快適操作性に大きく影響する。
【0003】
検査者にとって適切な輝度やコントラストは、一律ではなく、装置設置室内の明るさによって大きく異なってくる。しかし、装置設置室内は、検査者の好みなどによって明るい場合もあれば、暗い場合もあり、適切な輝度やコントラストに設定するのは難しい。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、装置設置室内の明るさに応じてモニタの輝度およびコントラストを自動的に設定する超音波診断装置が開示されている。これは、超音波診断装置に光センサを設け、この光センサの検出値に応じてモニタの輝度及びコントラストを制御する。したがって、この超音波診断装置によれば、表示される超音波画像の画質を向上できる。
【0005】
【特許文献1】特開平7−8490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、表示される超音波画像の画質は、モニタの輝度およびコントラストだけでは調整できない。すなわち、そもそも形成された超音波画像の輝度やコントラストが不適切であれば、モニタの輝度やコントラストだけを調整しても、適切な画質で表示できない。
【0007】
ここで、周知のように、超音波画像の輝度やコントラストは、ゲインやダイナミックレンジによって大きく異なってくる。このゲインやダイナミックレンジを手動で調整することにより適切な画質の超音波画像データを得ることは一応、可能である。しかし、手動での調整は煩雑であるばかりでなく、各パラメータの意味や他のパラメータとの関係について正確な知識が無ければ手動での適切な調整は困難であった。特に、三次元の超音波画像を得る場合は、ゲイン、ダイナミックレンジ以外に複数のパラメータの調整が必要となるが、これら複数のパラメータは互いに密接に関連しており、手動で適切に調整することは極めて困難であった。
【0008】
そこで、本発明では、簡易に適切な画質の超音波画像を得ることができる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波診断装置は、超音波を送受し、得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する超音波診断装置であって、装置設置室内の明るさを検出する光検出手段と、検出された明るさに応じて、前記超音波画像の形成に関するパラメータを設定するパラメータ設定手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
好適な態様では、超音波診断の開始を示す開始信号をパラメータ設定手段に出力する開始信号出力手段を有し、前記パラメータ設定手段は、前記開始信号が入力された場合に、前記パラメータの設定を開始する。別の好適な態様では、前記パラメータ設定手段は、設定対象のパラメータの設定値を予め記憶した設定値テーブルを、明るさに応じて複数有しており、前記パラメータ設定手段は、前記検出された明るさに適した設定値テーブルを、複数の設定値テーブルから選択してパラメータを設定する。別の好適な態様は、前記光検出手段は、複数設けられる。
【0011】
別の好適な態様では、前記超音波診断装置の少なくとも一部を照明する照明手段と、前記検出された明るさに応じて、前記照明手段の動作を制御する照明制御手段と、を有する。別の好適な態様では、前記検出された明るさに応じて、前記超音波画像を表示する表示器の輝度およびコントラストを制御する表示器制御手段を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検出された明るさに応じて超音波画像の形成に関するパラメータが設定されるため、簡易に適切な画質の超音波画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1に本発明の実施の形態である超音波診断装置10のブロック図を示す。
【0014】
プローブ12は、超音波の送受波を行う超音波探触子である。プローブ12には、複数の振動素子からなるアレイ振動子が設けられている。このアレイ振動子にて超音波ビームが形成され、その超音波ビームを電子走査することにより走査面が形成される。三次元画像を取得する場合は、プローブ12は3Dプローブである。3Dプローブは、1Dアレイ振動子をその走査面と直交する方向に機械的に走査、または、2Dアレイ振動子を二次元的に電子走査して、三次元エコーデータ取込空間を形成する超音波探触子である。
【0015】
プローブ12には送受信部14が接続されている。この送受信部14は、送信ビームフォーマー及び受信ビームフォーマーとして機能する。すなわち、送受信部14から複数の振動素子に対して複数の送信信号が供給される。また、複数の振動素子から出力される複数の受信信号はこの送受信部14において整相加算される。さらに、後述する画像パラメータ設定部26で設定されたゲインやダイナミックレンジの値に基づいてゲイン調整およびダイナミックレンジ調整がなされる。信号処理部16は、受信信号に対して必要な信号処理を実行する回路であり、表示モードに応じてBモード形成用の信号処理、ドプラ波形形成用の信号処理などが実行される。
【0016】
画像形成部18は、受信信号に対して送受波座標系から表示座標系への座標変換や補間処理などを実行し、超音波画像データを形成する。また、三次元の超音波画像データを形成する場合は、エコーデータ列に沿って各エコーデータごとにオパシティ(不透明度)を利用したレンダリング演算を行い、各画素ごとの画素値(各画素ごとの出力光量)を得る。オパシティは、通常、エコー値に応じてその値が変化する可変パラメータで、本実施の形態では後述する画像パラメータ設定部26にて決定される。また、レンダリング演算により得られた各画素ごとの画素値は、その値に応じたブライトやコントラストと呼ばれるパラメータが乗算され、より立体感のある画像が形成される。
【0017】
形成された超音波画像データは、映像信号(テレビ信号)に変換されて表示器20に出力される。表示器20には、映像信号に基づく超音波画像が表示される。この表示器20は、表示器制御部38に接続されている。表示器制御部38は、後述する光センサ28で検出された光強度(装置設置室内の明るさ)に応じて、表示器の輝度およびコントラスト(以下、「表示器輝度」、「表示器コントラスト」という)を制御する。
【0018】
操作部22は、操作者からの指示を受け付けるもので、例えば、キーボードやトラックボールなどからなる操作パネルである。操作者は、この操作部22を操作して表示モードの選択や領域の選択などを指示する。また、操作部22には、超音波診断の開始時に押下される開始ボタン、終了時に押下される終了ボタンが設けられており、この開始ボタン、終了ボタンの押下により開始信号、終了信号が画像パラメータ設定部26に出力されるようになっている。なお、当然ながら、この開始信号、終了信号は、ボタン押下以外の手段で超音波診断の開始終了を検出し、出力されてもよい。
【0019】
操作部22の近傍には卓上ランプ40が設けられており、操作者の手元を照らせるようになっている。この卓上ランプ40には、卓上ランプ40の動作を制御する卓上ランプ制御部42が接続されている。卓上ランプ制御部42は、光センサ28で検出された光強度に応じて、例えば、ランプのON/OFF制御やランプ照度制御などを行う。
【0020】
画像パラメータ設定部26は、光センサ28で検出された光強度に応じて、超音波画像の形成に関するパラメータ、例えば、ゲインやダイナミックレンジ、オパシティなどを、設定する。換言すれば、装置設置室内の明るさを反映したパラメータ設定を行う。
【0021】
画像パラメータ設定部26による設定対象のパラメータは表示モードに応じて異なる。図2に各表示モードでの設定対象パラメータを示す。図2から分かるように、表示モードがパワー・ドプラモード、Flowモードの場合はゲインのみを、Bモード、Mモードの場合はゲインおよびコントラストを、3Dモードの場合はオパシティ、コントラスト、ブライトを設定する。ただし、通常、Flowモードや3Dモードなどの場合でも、Bモード画像を形成するため、ゲインおよびコントラストは、常に設定対象パラメータとなる。
【0022】
画像パラメータ設定部26は、各画像パラメータについて、明るさに応じた設定値を予め記憶している。この各画像パラメータの設定値については、後に詳説する。明るさ反映部30からパラメータ設定指示および光強度が入力されれば、その光強度に適した設定値を選択する。そして選択された設定値は制御部24に出力され、制御部24によって画像パラメータの値が各動作部に指示される。
【0023】
明るさ反映部30は、光センサ28で検出された検出値(光強度)を平滑化し、画像パラメータ設定部26、表示器制御部38、卓上ランプ制御部42に出力する。平滑化処理を行うのは、検出値のバラツキを低減するためである。すなわち、光センサ28の検出値は、太陽光や隣室からの光の漏れこみ、操作者の影などによってバラツキが生じやすい。明るさ反映部30は、このバラツキのある検出値を平滑化処理し、安定した光強度を出力する。
【0024】
また、明るさ反映部30には、操作部22から開始信号が入力される。開始信号は、操作者が開始ボタンを押下した際に出力される信号で、超音波診断の開始を示す信号である。明るさ反映部30は、この開始信号を受信すれば、画像パラメータ設定部26にパラメータ設定の開始を指示する。また、表示器制御部38、卓上ランプ制御部42にも、装置設置室内の明るさに応じた制御開始を指示する。逆にいえば、開始信号が受信されなければ、装置設置室内の明るさが変化しても、設置室内の明るさを反映したパラメータ設定や制御はなされない。さらに、明るさ反映部30は、終了信号が入力されれば、パラメータ設定や卓上ランプ40および表示器20の制御の終了指示を出力する。これは、超音波診断を行っているときにのみ、装置設置室内の明るさを画像パラメータや制御に反映したいからである。
【0025】
光センサ28は、超音波診断装置10の装置設置室内の明るさを光強度として検出する。この光センサ28は、超音波診断装置10の装置設置室内の明るさを確実に検出できる位置に設けられるのが望ましい。具体的には、表示器であるモニタの正面周囲(モニタ正面のうち表示の邪魔にならない位置)や、操作パネルの上面などに設置することが望ましい。これらの位置は、超音波診断装置を壁に沿って配置しても影になりにくく、また、外乱(例えば、操作者の影など)の影響を受けにくい。光センサ28は、単一でもよいが、複数設けられることが望ましい。複数設けることにより、信頼性のより高い光強度を取得できる。すなわち、一つの光センサ28の値が変化した場合に、他の光センサ28の検出値と比較することにより局所的な光強度変化(例えば、操作者の手の影の影響など)か、装置設置室内全体の光強度変化かを判断できる。
【0026】
また、超音波診断装置の中には、複数のモニタが設けられているものもある。これは、特に、産婦人科で使用されることが多く、操作者と被検者の両方が超音波画像(産婦人科では胎児の画像)を見られるように操作者用モニタと被検者用モニタの2つを設けている。この場合は、各モニタにそれぞれ光センサを設け、いずれのモニタでも超音波画像が適切に表示されるパラメータを設定することが望ましい。なお、光センサを複数設けた場合は、明るさ反映部30は、複数の光センサの検出値の平均や、最大値、最小値などを光センサの検出値として扱う。また、一つの光センサの検出値が他の光センサの検出値と大きく異なる場合は、その検出値は無視するようにしてもよい。
【0027】
次に、画像パラメータの設定値の具体例を説明する。図3にゲインの設定値の一例を示す。図3において、横軸が検出された光強度、縦軸がゲインの値を示す。図3から分かるように、本例では、光強度が高いほど、ゲインの値が高くなるように設定される。周知のようにゲインは超音波画像の輝度に影響するもので、ゲインが高いほど超音波画像の輝度も高くなる。つまり、図3の例では、装置設置室内が明るい場合には高輝度の、装置設置室内が暗い場合には低輝度の超音波画像が形成できるように、ゲインが設定される。このように装置設置室内の明るさに応じてゲインの値を設定することにより、適切な輝度の超音波画像を自動的に表示できる。
【0028】
ダイナミックレンジも同様に、装置設置室内が明るい(光強度が高い)ほど、ダイナミックレンジが大きく(コントラストが弱く)なるように設定する。このゲインおよびダイナミックレンジの設定値は対応する光強度の値とともに、予め、画像パラメータ設定部26に記憶しておく。そして、必要に応じて、記憶された設定値の中から、適切な値を選択する。
【0029】
次に、オパシティの設定について説明する。オパシティは、各エコーデータの不透明度を示すパラメータで、レンダリング演算に用いられる。このオパシティは、通常、適切な値に設定されているが、記述したように室内の明るさに応じてゲインが変化した場合、当然、レンダリング演算で扱うエコー値全体の大きさ(エコーレベル)が変わってくる。エコーレベルが変わった場合は、オパシティの値も変えなければ適切なレンダリング演算、ひいては、適切な三次元画像の形成はできない。そこで、本実施の形態では、このオパシティも検出された明るさに応じて可変設定する。
【0030】
図4(A)に装置設置室内が暗い場合のオパシティの設定値を、図4(B)に明るい場合のオパシティの設定値を示す。図4(A)、(B)において、横軸がエコー値、縦軸がオパシティである。また、図4(A)、(B)のグラフそれぞれに示される3本の曲線は、ユーザが任意に選ぶことができる。すなわち、装置設置室内の明るさだけでなく、ユーザの好みによってもオパシティを変更できるようになっている。図4(A)、(B)から明らかなように、装置設置室内が暗い場合、オパシティは全体的に低く設定される。これは、装置設置室内が暗い場合は、低いゲインが設定され、エコーレベルが低くなるからである。エコーレベルが低い場合は、オパシティも低くしなければ、適切な、三次元画像を得ることができない。逆に、装置設置室内が明るい場合は、エコーレベルが高くなるため、オパシティも高い値が設定される。このオパシティの適切な値はゲインと密接に関連しており、ゲインおよびオパシティを操作者が手動で調整することは極めて困難であった。しかし、本実施の形態のように、光センサ28で検出された明るさに応じて自動的に設定することにより、簡易に適切な三次元超音波画像を取得できる。なお、ここでは、明るさを「明るい場合」と「暗い場合」の2つに区分しているが、明るさをより細かく区分し、より多数の設定値を用意してもよい。
【0031】
図5(A)に装置設置室内が暗い場合のブライトおよびコントラストの設定値を、図5(B)に明るい場合のブライトおよびコントラストの設定値を示す。図5において、横軸がレンダリング演算後の画素値、縦軸がブライトおよびコントラストである。ブライトおよびコントラストも三次元画像形成に関わるパラメータであり、より立体感のある画像を形成するために、レンダリング演算後の画素値に乗算されるパラメータである。このブライトおよびコントラストも装置設置室内の明るさ、ひいては、ゲインやオパシティの変化に応じて、変化させなければ、適切な三次元画像が形成できない。そこで、図5(A)、(B)に示すように、装置設置室内が暗い場合は高いブライト(コントラスト)を、装置設置室内が明るい場合は低いブライト(コントラスト)を設定する。このブライトおよびコントラストも他の画像パラメータと密接に関連しており、操作者が手動で設定するのは極めて困難なパラメータである。しかし、本実施の形態のように、明るさに応じて自動的に設定することにより、簡易に適切な三次元超音波画像を取得できる。
【0032】
なお、画像パラメータ設定部26は、三次元画像形成に関わるパラメータ(オパシティ、ブライト、コントラスト)については、その各設定値を個別に記憶するのではなく、各明るさに対応した複数のテーブルとして記憶している。すなわち、図4(A)に示す設定値を一つのテーブルとして、図4(B)に示す設定値を一つのテーブルとして記憶している。そして、パラメータの値を設定する場合は、予め記憶した複数のテーブルの中から、検出された明るさに適したテーブルを選択し、パラメータを設定する。
【0033】
また、上記の説明では、各設定値は、明るさに応じて複数用意されているが、さらに、診断対象部位に応じて複数用意してもよい。すなわち、診断対象部位が異なれば、適切なゲイン、オパシティなどは異なってくる。そこで、各診断対象部位ごとに、明るさに応じた設定値を用意してもよい。
【0034】
次に、卓上ランプ制御部42による卓上ランプ40の制御について簡単に説明する。卓上ランプ制御部42は、装置設置室内の明るさが超音波画像を適切に表示できるように卓上ランプ40の動作を制御する。すなわち、装置設置室内が暗すぎる場合には、記述のゲインやオパシティなどの画像パラメータだけでは対応できない場合がある。その場合は、卓上ランプのON/OFF状態や照度を調整して、表示器の周辺を適切な明るさにする。したがって、この卓上ランプ制御部42は、例えば、検出された光強度が所定の閾値より低い場合には、卓上ランプ40を点灯させる。また、卓上ランプ40が点灯状態であっても、照度が低い場合には、適切な明るさが検出できる照度にする。これにより、画像パラメータだけでは対応できない場合でも、適切な超音波画像を表示できる。
【0035】
次に、この超音波診断装置での超音波診断の流れについて説明する。超音波診断を行う場合、灯りが点灯された診断室に操作者(例えば、医師など)および被検者(例えば、患者など)が入室する。この時点では、操作者は、開始ボタンを押下していないため、明るさ反映部に開始信号が入力されない。したがって、画像パラメータの値は、標準の設定値、または、前回の設定値のままとなっている。
【0036】
次に、必要であれば、装置設置室内の照明照度を落とす。これは、超音波診断の際には被検者が一部の被服を脱ぐ場合が多く、その場合に被検者の心理に配慮したものである。ただし、この時点でも開始信号が入力されない(開始ボタンが押下されない)ため、画像パラメータの設定はなされない。
【0037】
操作者は、装置設置室内の明るさも含めて、超音波診断の準備が整えば、操作パネルを操作して、診断開始の指示を超音波診断装置に入力する。この時点で、開始信号がパラメータ設定部の明るさ反映部30に入力される。明るさ反映部30は、この時点の光強度(平滑処理後)と、パラメータ設定指示を画像パラメータ設定部26に出力する。また、表示器制御部38、卓上ランプ制御部42にも制御開始を指示する。画像パラメータ設定部26は、入力された光強度に応じた画像パラメータの値を決定し、これを制御部24に出力する。
【0038】
また、卓上ランプ制御部42は、検出された明るさが所定の閾値より低い場合には卓上ランプ40の点灯、または、卓上ランプ40の照度向上を行う。卓上ランプ40の点灯などにより、光センサ28で検出される光強度が変更されれば、画像パラメータ設定部26は、再度、画像パラメータの設定を行う。
【0039】
また、開始ボタンの押下により、プローブ12からの超音波の送受も開始される。超音波の送受により得られた受信信号は、送受信部14において、整相加算されたのち、ゲイン調整やダイナミックレンジ調整がなされる。このゲイン調整、ダイナミックレンジ調整は、画像パラメータ設定部26で設定されたゲインおよびダイナミックレンジが用いられる。したがって、装置設置室内が暗い場合には低いゲイン値(ダイナミックレンジ値)で、装置設置室内が明るい場合は高いゲイン値(ダイナミックレンジ値)でゲイン調整(ダイナミックレンジ調整)される。
【0040】
ゲイン、ダイナミックレンジ調整後の信号は、信号処理部16にて所定の処理が施された後、画像形成部18に出力される。画像形成部18では、座標変換や補間処理がなされ、超音波画像が形成される。また、三次元画像を形成する場合は、ここで、レンダリング演算が行われる。レンダリング演算の際に用いられるオパシティは、画像パラメータ設定部26において決定されたオパシティであり、ゲイン値やダイナミックレンジに対応した値である。また、レンダリング演算後になされるコントラスト、ブライト調整も画像パラメータ設定部26で設定された値が用いられる。これにより、装置設置室内の明るさに応じた超音波画像が形成される。
【0041】
形成された超音波画像は表示器に出力され表示される。この表示器の表示器輝度および表示器コントラストも、光センサで検出された光強度に応じて制御されている。したがって、表示される超音波画像は、装置設置室内の明るさに適した画質となっている。これにより操作者は、違和感のない超音波画像を見ることができ、超音波診断装置の快適性を向上できる。
【0042】
以上、説明したように本実施の形態によれば、装置設置室内の明るさに応じて自動的に画像パラメータを設定するため、簡易に適切な超音波画像を得ることができる。なお、上記説明で示した各画像パラメータの設定値は、一例であり、適切な超音波画像を表示できるのであれば、他の設定値でもよい。また、本実施の形態では開始信号の入力で画像パラメータ設定部によるパラメータ設定を行っているが、開始信号の入力の有無に関わらず、常にパラメータ設定を行うようにしてもよい。また、照明手段として卓上ランプを例示しているが、他の照明手段、例えば、表示器周辺を照明する照明器具などを設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態である超音波診断装置の構成を示すブロック図である。
【図2】画像パラメータ設定部の設定対象パラメータを示す図である。
【図3】ゲインの設定値の一例を示す図である。
【図4】オパシティの設定値の一例を示す図である。
【図5】ブライトおよびコントラストの設定値の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10 超音波診断装置、12 プローブ、14 送受信部、16 信号処理部、18 画像形成部、20 表示器、22 操作部、24 制御部、26 画像パラメータ設定部、28 光センサ、30 明るさ反映部、38 表示器制御部、40 卓上ランプ、42 卓上ランプ制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受し、得られた受信信号に基づいて超音波画像を形成する超音波診断装置であって、
装置設置室内の明るさを検出する光検出手段と、
検出された明るさに応じて、前記超音波画像の形成に関するパラメータを設定するパラメータ設定手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置であって、さらに、
超音波診断の開始を示す開始信号をパラメータ設定手段に出力する開始信号出力手段を有し、
前記パラメータ設定手段は、前記開始信号が入力された場合に、前記パラメータの設定を開始することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波診断装置であって、
前記パラメータ設定手段は、設定対象のパラメータの設定値を予め記憶した設定値テーブルを、明るさに応じて複数有しており、
前記パラメータ設定手段は、前記検出された明るさに適した設定値テーブルを、複数の設定値テーブルから選択してパラメータを設定することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波診断装置であって、
前記光検出手段は、複数設けられることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置であって、さらに、
前記超音波診断装置の少なくとも一部を照明する照明手段と、
前記検出された明るさに応じて、前記照明手段の動作を制御する照明制御手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置であって、
前記検出された明るさに応じて、前記超音波画像を表示する表示器の輝度およびコントラストを制御する表示器制御手段を有することを特徴とする超音波診断装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−20777(P2006−20777A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200546(P2004−200546)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(390029791)アロカ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】