説明

超音波診断装置

【課題】超音波診断装置において、PI(パルスインバージョン)法にしたがって受信信号中の高調波成分を抽出する場合に、残留基本波成分を効果的に排除する。
【解決手段】位相反転関係にある2つの受信信号100,102が参照され、それらに含まれる基本波成分の対比から補正係数が求められる。その補正係数により、2つの受信信号100,102の振幅が補正される。振幅が補正された後の2つの受信信号104,106が加算され、その加算により基本波成分が相殺され、その一方において高調波成分が抽出される。2つの受信信号に基づいて補正係数を求め、その補正係数を送信信号の振幅補正に用いるようにしてもよい。あるいは、2つの送信信号を参照して補正係数を求め、その補正係数を用いて2つの送信信号の振幅補正を行うようにしてもよい。2つの受信信号間における基本波成分の対称性の崩れが改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断装置に関し、特に、生体組織の非線形性により生じる高調波成分を観測する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波が生体内を伝搬すると、生体組織の非線形性から超音波に歪みが生じる。それによって生じた高調波成分(特に二次高調波成分)を受信信号中から抽出し、それを用いて生体組織の非線形性を評価したり生体組織を画像化したりすることが行われる。高調波成分を利用すれば分解能が良好な断層画像を形成できることが知られている。受信信号のスペクトルを見ると、大きな山状の基本波成分に隣接して小さな山状の二次高調波成分が認められ、両者間では一般にオーバーラップ部分が認められる。HPFを利用して二次高調波成分を抽出する方式には、上記のオーバーラップ部分の存在により、急峻なフィルタ特性をもったものを利用しても基本波成分を十分に除外することは難しい。
【0003】
特許文献1及び2に記載されるように、PI法(パルスインバージョン法、フェイズインバージョン法)においては、第1超音波とその極性を反転した第2超音波とが順次送波され、それらの反射波を受信して得られた第1受信信号と第2受信信号とが相互に加算される。その加算によって、2つの受信信号間で、基本波成分がキャンセルされ、一方、二次高調波成分が2倍に加算される。これは、送信時の極性にかかわらず二次高調波成分が同じ極性で現れる現象を利用したものである。PI法の発展形あるいはその問題を解消した方法として、特許文献3に記載された手法がある。この手法では、周波数f0の信号と周波数2f0の信号とを合成した第1送信信号と、それの極性を反転させた第2送信信号とが順次送信され、それにより得られた第1受信信号及び第2受信信号から和信号と差信号を生成し、それらの除算演算によって、生体組織の非線形性を表す信号が生成される。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5706819号明細書
【特許文献2】特開2004−113818号公報
【特許文献3】特開2001−299764号公報
【特許文献4】米国特許第6454714号明細書
【特許文献5】特開2002−165796号公報
【特許文献6】特開2002−369817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のPI法においては、第1受信信号と第2受信信号の和が演算されるが、第1受信信号における基本波成分と第2受信信号の基本波成分との間に波形形状の違いが若干でも生じると、上記の和の演算において、基本波成分が十分相殺できずに残留基本波成分として残ってしまう。すなわち、第1受信信号の正側波形部分と第2受信信号の負側波形部分の対称性が崩れる場合、及び、第1受信信号の負側波形部分と第2受信信号の正側波形部分の対称性が崩れる場合、上記の残留基本波成分を生じさせる。基本波成分はそもそも強大なパワーを有し、一方、二次高調波成分は弱いパワーしか有していないために、残留基本成分が僅かでも存在すると、それがビーム指向性を劣化させたり、アーチファクトを増大させたりし、画質が劣化し(後述するパルス圧縮技術を適用する場合には特にアーチファクトが問題となる)、あるいは、生体組織の非線形性計測の信頼性を低下させたりする要因となる。なお、正負の波形部分の対称性が崩れる原因としては、送信部の正負特性の非対称性、生体の動きなど様々なものが考えられ、特に増幅器に原因がある場合が多い。増幅器を厳選しても完全に線形増幅を行う回路を入手するのは困難であり、多くの増幅器は正側と負側で僅かながら異なる増幅特性をもつ。
【0006】
上記の特許文献4に記載された装置では、和信号中に含まれる残留基本波成分をフィルタを利用して特定しそれを除去している。上記の特許文献5に記載された装置では、組織の動きに起因する残留基本波成分の大きさに応じてHPFの特性を変化させ、そのHPFを利用して残留基本波成分を除去している。上記の特許文献6に記載された装置では、第1受信信号及び第2受信信号に対して、それらの加算に先立って、それぞれゲイン調整及びフィルタ処理を行って残留基本波成分を低減している。しかし、それらの文献には、正側波形部分と負側波形部分の相違を実際に検出し、それに基づいて各波形部分を補正するものは記載されていない。
【0007】
本発明の目的は、高調波成分を精度良く抽出することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、残留基本波成分を効果的に除去することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、第1超音波を生成するための第1送信信号を出力し、及び、前記第1超音波に対して位相反転関係にある第2超音波を生成するための第2送信信号を出力する送信手段と、前記第1超音波に対応する第1反射波の受波によって得られる第1受信信号を出力し、及び、前記第2超音波に対応する第2反射波の受波によって得られる第2受信信号を出力する受信手段と、前記第1受信信号に含まれる第1基本波成分と前記第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記第1受信信号及び前記第2受信信号の少なくとも一方を補正する補正手段と、前記補正後において、前記第1受信信号と前記第2受信信号とを加算処理し、高調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、を含むことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、第1送信信号と第2送信信号とが生成され、それらに対応する第1超音波及び第2超音波が生体内へ送波される。通常、ビームアドレスごとに第1送信信号と第2送信信号が一定の時間間隔をもって順次生成される。第1超音波と第2超音波は互いに位相が180度反転した関係にあり、同様に、第1送信信号と第2送信信号も互いに位相が180度反転した関係にある。第1超音波に対応して第1反射波が受波され、第2超音波に対応して第2反射波が受波される。各反射波は生体内の非線形性により生じた高調波成分を含有する。第1反射波及び第2反射波の受信によって得られる第1受信信号及び第2受信信号を加算処理することにより、生体内の非線形性を反映した高調波成分が抽出される。上記構成においては、その加算処理に先立って、第1受信信号及び第2受信信号の一方又は両方が補正される。すなわち、第1受信信号に含まれる第1基本波成分及び第2受信信号に含まれる第2基本波成分が参照され、それらに基づいて補正処理がなされる。補正処理によって、各受信信号に含まれる基本波成分の対称性を良好にすることができるので、加算処理後に生じる残留基本波成分を削減又は排除できる。よって、高調波成分を高精度に抽出できる。
【0011】
望ましくは、前記補正手段は、前記第1受信信号から前記第1基本波成分を構成する第1基本波正側成分及び第1基本波負側成分を抽出する第1成分抽出手段と、前記第2受信信号から前記第2基本波成分を構成する第2基本波正側成分及び第2基本波負側成分を抽出する第2成分抽出手段と、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分とに基づいて、第1の補正係数を演算する第1の補正係数演算手段と、前記第1基本波負側成分と前記第2基本波正側成分とに基づいて、第2の補正係数を演算する第2の補正係数演算手段と、前記第1の補正係数を用いて、前記第1受信信号における正側成分又は前記第2受信信号における負側成分のゲインを補正する第1のゲイン補正手段と、前記第2の補正係数を用いて、前記第1受信信号における負側成分又は前記第2受信信号における正側成分をゲイン補正する第2のゲイン補正手段と、を含む。
【0012】
上記構成によれば、第1受信信号から第1基本波正側成分及び第1基本波負側成分が抽出され、第2受信信号から第2基本波正側成分及び第2基本波負側成分が抽出される。第1基本波正側成分と第2基本波負側成分は加算処理によって本来的に相殺されるべき関係にあるものである。同様に、第1基本波負側成分と第2基本波正側成分は加算処理によって本来的に相殺されるべき関係にあるものである。よって、それらの相殺関係にある2つの成分から補正係数(第1の補正係数及び第2の補正係数)を求めることができ、それらの補正係数を利用して補正処理を行える。基本波成分を抽出する場合において、生体の非線形性によって生じた高調波成分の一部(オーバーラップ部分)が一緒に抽出されても、その振幅は基本波成分に比べて小さいので、補正処理上ほとんど問題とならない。あるいは、基本波成分の抽出に当たってはカットオフ周波数を低めに設定して高調波成分の入り込みを極力排除するようにしてもよい。いずれにしても、加算処理される2つの受信信号について、基本波成分を互いに揃えることによって、加算処理時に基本波成分を効果的に相殺除去して、基本波成分の残留を防止、軽減できる。ゲインの補正は信号振幅の調整に相当する。
【0013】
望ましくは、前記第1の補正係数は、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分との比から求められ、前記第2の補正係数は、前記第1基本波負側成分と前記第2基本波正側成分との比から求められる。比の演算に当たって、分母、分子の各値が小さくなる場合には演算誤差を防止するために補正係数を一定値としてもよい。補正係数を連続的に演算してそれを利用することもできるし、利用する補正係数を一定の更新タイミングで更新するようにしてもよい。例えば、プローブ交換タイミングで、フレームレートに同期したタイミングで、その他任意のタイミングで、補正係数を更新することができる。
【0014】
望ましくは、前記第1の補正係数を平均化処理し、平均化処理された第1の補正係数を前記第1のゲイン補正手段へ出力する第1の平均化手段と、前記第2の補正係数を平均化処理し、平均化処理された第2の補正係数を前記第2のゲイン補正手段へ出力する第2の平均化手段と、を含む。平均化処理によれば補正係数のバラツキを防止でき、ノイズによる影響を排除できる。
【0015】
望ましくは、前記送信手段は、前記第1送信信号として、変調された第1送信信号を出力し、及び、前記第2送信信号として、変調された第2送信信号を出力し、前記第1受信信号及び前記第2受信信号をそれぞれパルス圧縮し、又は、前記高調波成分をパルス圧縮するパルス圧縮手段が設けられる。変調方式としては、周波数変調方式、コード変調方式などがあげられる。送信時に変調を行って、受信時にパルス圧縮を行えば、感度あるいは分解能を向上できる。PI法にパルス圧縮技術を組み合わせた場合、上記の残留基本波成分の問題がより顕著となるが、上記構成を採用すれば残留基本波成分を低減できるので、パルス圧縮本来の効果を十分に得られる。
【0016】
望ましくは、前記補正手段は、i番目の第1受信信号に含まれる第1基本波成分とi番目の第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記i番目の第1受信信号及び前記i番目の第2受信信号の少なくとも一方を補正する。この構成によれば、i番目の受信信号ペアそれ自体をリファレンスとして当該i番目の受信信号ペアを補正した上で加算処理を行える。iは1以上の整数である。
【0017】
(2)本発明は、第1超音波を生成するための第1送信信号を出力し、及び、前記第1超音波に対して位相反転関係にある第2超音波を生成するための第2送信信号を出力する送信手段と、前記第1超音波に対応する第1反射波の受波によって得られる第1受信信号を出力し、及び、前記第2超音波に対応する第2反射波の受波によって得られる第2受信信号を出力する受信手段と、前記第1受信信号と前記第2受信信号とを加算処理し、高調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、前記第1受信信号に含まれる第1基本波成分と前記第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の少なくとも一方を補正する補正手段と、を含むことを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、第1送信信号と第2送信信号とが生成され、それらに対応して第1超音波及び第2超音波が生体内へ送波される。通常、ビームアドレスごとに第1送信信号と第2送信信号が一定の時間間隔をもって順次生成される。第1超音波と第2超音波は互いに位相が180度反転した関係にあり、同様に、第1送信信号と第2送信信号も互いに位相が180度反転した関係にある。第1超音波に対応して第1反射波が受波され、第2超音波に対応して第2反射波が受波される。各反射波は生体内の非線形性により生じた高調波成分を含有する。第1反射波及び第2反射波の受信によって得られる第1受信信号及び第2受信信号を加算処理することにより、生体内の非線形性を反映した高調波成分が抽出される。上記構成においては、第1受信信号に含まれる第1基本波成分及び第2受信信号に含まれる第2基本波成分が参照され、それらに基づいて第1送信信号及び第2送信信号の一方又は両方が補正される。すなわち、送信側での補正処理により、2つの受信信号に含まれる基本波成分の対称性を良好にすることができるので、加算処理後に生じる残留基本波成分を削減又は排除できる。よって、高調波成分を高精度に抽出できる。
【0019】
望ましくは、前記補正手段は、前記第1受信信号から前記第1基本波成分中の第1基本波正側成分を抽出する第1成分抽出手段と、前記第2受信信号から前記第2基本波成分中の第2基本波負側成分を抽出する第2成分抽出手段と、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分とに基づいて、補正係数を演算する補正係数演算手段と、前記補正係数を用いて、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の正側成分、又は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の負側成分のゲインを補正するゲイン補正手段と、を含む。
【0020】
上記構成によれば、第1受信信号から第1基本波正側成分が抽出され、第2受信信号から第2基本波負側成分が抽出される。第1基本波正側成分と第2基本波負側成分は加算処理によって本来的に相殺されるべき関係にあるものである。よって、相殺関係にある2つの成分の違いから補正係数を求めることができ、その補正係数を利用して、送信信号についての補正処理を行える。補正処理は、望ましくは、2つの送信信号の正側成分、又は、2つの送信信号の負側成分に対して行われる。その場合に、2つの送信信号間で共通の補正係数が用いられる。但し、2つの送信信号の正側成分及び負側成分の両方を補正するようにしてもよいし、一方の送信信号の正側成分と他方の送信信号の負側成分を補正するようにしてもよい。ゲインの補正は信号振幅の調整に相当する。
【0021】
望ましくは、前記補正係数は、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分との比から求められる。比の演算に当たって、分母、分子の各値が小さくなる場合には演算誤差を防止するために補正係数を一定値としてもよい。補正係数を連続的に演算してそれを利用することもできるし、利用する補正係数を一定の更新タイミングで更新するようにしてもよい。例えば、プローブ交換タイミングで、フレームレートに同期したタイミングで、その他任意のタイミングで、補正係数を更新することができる。
【0022】
望ましくは、前記補正係数を平均化処理し、平均化処理された補正係数を前記ゲイン補正手段へ出力する平均化手段を含む。平均化処理によれば補正係数のバラツキを防止でき、ノイズによる影響を排除できる。
【0023】
望ましくは、前記送信手段は、前記第1送信信号として、変調された第1送信信号を出力し、及び、前記第2送信信号として、変調された第2送信信号を出力し、前記第1受信信号及び前記第2受信信号をそれぞれパルス圧縮し、又は、前記高調波成分をパルス圧縮するパルス圧縮手段が設けられる。送信時に変調を行って、受信時にパルス圧縮を行えば、感度あるいは分解能を向上できる。PI法にパルス圧縮技術を組み合わせた場合、上記の残留基本波成分の問題が顕著となるが、上記構成を採用すれば残留基本波成分を低減できるので、パルス圧縮本来の効果を十分に得られる。
【0024】
望ましくは、試験用送受信モードにおいて前記補正係数が演算され且つ保存され、診断用送受信モードにおいて前記補正係数がゲインの補正に利用される。生体の超音波診断と同時にリアルタイムで残留基本波成分を削減するための補正処理を行うことも可能であるが、上記構成によれば、最初に試験用送受信が実行されて補正係数が演算され、次の診断用送受信において補正係数が補正処理で利用される。
【0025】
望ましくは、前記補正手段は、i番目の第1受信信号に含まれる第1基本波成分とi番目の第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、j(但し、i<j)番目の第1送信信号及びj番目の第2送信信号の少なくとも一方を補正する。この構成によれば、i番目の受信信号ペアをリファレンスとして、その後のj番目の送信信号ペアを補正処理し、j番目の送信信号ペアに対応するj番目の受信信号ペアがそれらの基本波成分を揃えられた状態で加算処理される。iは1以上の整数であり、jはiよりも大きい整数である。
【0026】
望ましくは、前記送信手段は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号を出力する複数の送信チャンネルで構成され、前記補正手段は、前記複数の送信チャンネルに対応して設けられた複数の補正器で構成され、前記各補正器によって各送信チャンネルごとに前記第1送信信号及び前記第2送信信号の少なくとも一方のゲインが補正され、前記複数の送信チャンネル間で共通の補正係数が用いられる。
【0027】
(3)本発明は、第1超音波を生成するための第1送信信号を出力し、及び、前記第1超音波に対して位相反転関係にある第2超音波を生成するための第2送信信号を出力する送信手段と、前記第1超音波に対応する第1反射波の受波によって得られる第1受信信号を出力し、及び、前記第2超音波に対応する第2反射波の受波によって得られる第2受信信号を出力する受信手段と、前記第1受信信号と前記第2受信信号とを加算処理し、高調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、前記第1送信信号に含まれる第1基本波成分と前記第2送信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の少なくとも一方を補正する補正手段と、を含むことを特徴とする。
【0028】
上記構成によれば、第1送信信号と第2送信信号とが生成され、それらに対応して第1超音波及び第2超音波が生体内へ送波される。通常、ビームアドレスごとに第1送信信号と第2送信信号が一定の時間間隔をもって順次生成される。第1超音波と第2超音波は互いに位相が180度反転した関係にあり、同様に、第1送信信号と第2送信信号も互いに位相が180度反転した関係にある。第1超音波に対応して第1反射波が受波され、第2超音波に対応して第2反射波が受波される。各反射波は生体内の非線形性により生じた高調波成分を含有する。第1反射波及び第2反射波の受信によって得られる第1受信信号及び第2受信信号を加算処理することにより、生体内の非線形性を反映した高調波成分が抽出される。上記構成においては、第1送信信号に含まれる第1基本波成分及び第2送信信号に含まれる第2基本波成分が参照され、それらに基づいて第1送信信号及び第2送信信号の一方又は両方が補正される。すなわち、送信側での補正処理により、2つの受信信号に含まれる基本波成分の対称性を良好にすることができるので、加算処理後に生じる残留基本波成分を削減又は排除できる。よって、高調波成分を高精度に抽出できる。
【0029】
望ましくは、前記補正手段は、前記第1送信信号から前記第1基本波成分中の第1基本波正側成分を抽出する第1成分抽出手段と、前記第2送信信号から前記第2基本波成分中の第2基本波負側成分を抽出する第2成分抽出手段と、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分とに基づいて、補正係数を演算する補正係数演算手段と、前記補正係数を用いて、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の正側成分、又は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の負側成分のゲインを補正するゲイン補正手段と、を含む。
【0030】
上記構成によれば、第1送信信号から第1基本波正側成分が抽出され、第2送信信号から第2基本波負側成分が抽出される。第1基本波正側成分と第2基本波負側成分(同時に、第1基本波負側成分と第2基本波正側成分)は、本来的には対称関係にあるものである。よって、2つの成分の違いから補正係数を求めることができ、その補正係数を利用して、送信信号についての補正処理を行える。補正処理は、望ましくは、2つの送信信号の正側成分、又は、2つの送信信号の負側成分に対して行われる。その場合に、2つの送信信号間で共通の補正係数が用いられる。但し、2つの送信信号の正側成分及び負側成分の両方を補正するようにしてもよいし、一方の送信信号の正側成分と他方の送信信号の負側成分を補正するようにしてもよい。ゲインの補正は信号振幅の調整に相当する。
【0031】
望ましくは、前記補正係数は、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分との比から求められる。比の演算に当たって、分母、分子の各値が小さくなる場合には演算誤差を防止するために補正係数を一定値としてもよい。補正係数を連続的に演算してそれを利用することもできるし、利用する補正係数を一定の更新タイミングで更新するようにしてもよい。例えば、プローブ交換タイミングで、フレームレートに同期したタイミングで、その他任意のタイミングで、補正係数を更新することができる。
【0032】
望ましくは、前記補正係数を平均化処理し、平均化処理された補正係数を前記ゲイン補正手段へ出力する平均化手段を含む。平均化処理によれば補正係数のバラツキを防止でき、ノイズによる影響を排除できる。
【0033】
望ましくは、前記送信手段は、前記第1送信信号として、変調された第1送信信号を出力し、及び、前記第2送信信号として、変調された第2送信信号を出力し、前記第1受信信号及び前記第2受信信号をそれぞれパルス圧縮し、又は、前記高調波成分をパルス圧縮するパルス圧縮手段が設けられる。送信時に変調を行って、受信時にパルス圧縮を行えば、感度あるいは分解能を向上できる。PI法にパルス圧縮技術を組み合わせた場合、上記の残留基本波成分の問題が顕著となるが、上記構成を採用すれば残留基本波成分を低減できるので、パルス圧縮本来の効果を十分に得られる。
【0034】
望ましくは、試験用送受信モードにおいて前記補正係数が演算され且つ保存され、診断用送受信モードにおいて前記補正係数がゲインの補正に利用される。生体の超音波診断と同時にリアルタイムで残留基本波成分を削減するための補正処理を行うことも可能であるが、上記構成によれば、最初に試験用送受信が実行されて補正係数が演算され、次の診断用送受信において補正係数が補正処理で利用される。
【0035】
望ましくは、前記補正手段は、i番目の第1送信信号に含まれる第1基本波成分とi番目の第2送信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、j(但し、i<j)番目の第1送信信号及びj番目の第2送信信号の少なくとも一方を補正する。この構成によれば、i番目の送信信号ペアをリファレンスとして、その後のj番目の送信信号ペアを補正処理し、j番目の送信信号ペアに対応するj番目の受信信号ペアがそれらの基本波成分を揃えられた状態で加算処理される。iは1以上の整数であり、jはiよりも大きい整数である。
【0036】
望ましくは、前記送信手段は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号を出力する複数の送信チャンネルで構成され、前記補正手段は、前記複数の送信チャンネルに対応して設けられた複数の補正器で構成され、前記各補正器によって各送信チャンネルごとに第1送信信号及び第2送信信号の少なくとも一方のゲインが補正され、前記各送信チャンネルごとにそれに対応した補正係数が用いられる。この構成によれば各送信チャンネルごとにきめ細かく補正処理を行える。
【発明の効果】
【0037】
以上説明したように、本発明によれば、高調波成分を精度良く抽出できる。あるいは、本発明によれば、残留基本波成分を効果的に除去できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の第1実施形態が示されている。この超音波診断装置は、生体内からの反射波に含まれる高調波成分を画像化する機能を有している。図1において、プローブ10は体表面上に当接して用いられ、あるいは、体腔内に挿入して用いられるものである。プローブ10は複数の振動素子からなるアレイ振動子(図示せず)を有している。アレイ振動子によって超音波ビームが形成され、その超音波ビームは電子的に走査される。電子走査方式としては、電子セクタ走査、電子リニア走査などが知られている。プローブ10がいわゆる2Dアレイ振動子を有していてもよい。すなわち、2Dアレイ振動子を用いて超音波ビームを二次元的に電子走査し、これによって三次元エコーデータ取込空間を形成してもよい。図1には、超音波ビーム16を電子走査することによって形成される走査面14が概念的に示されている。超音波ビーム16は各ビームアドレスごとに形成される。
【0040】
上述したPI法を実行するため、各ビームアドレスごとに2回ずつ送受波が順次実行される。1回目の送信により第1超音波(超音波パルス)18が送波され、それに対応する第1反射波20が受波される。その後、同じビームアドレス上において、第2超音波(超音波パルス)22が送波され、それに対応する第2反射波24が受波される。第1超音波18と第2超音波22は互いに位相が180度異なる位相反転関係にある。なお、本実施形態において、第1超音波18及び第2超音波22の両者とも周波数変調がなされており、それらの超音波18,22はいわゆるチャープパルスである。周波数変調に代えて、二値化コードによる変調を利用するようにしてもよい。なお、そのような変調を行わない場合も本発明の範囲に含まれる。
【0041】
送信部12は、送信ビームフォーマーとして機能する。送信部12は複数の送信チャンネルを有しており、複数の送信チャンネルによって複数の送信信号が生成され、それらが複数の振動素子に対して並列的に供給される。これによって送信ビームが形成される。上述したように、各ビームアドレスごとに位相反転関係をもって2つの送信信号が生成される。すなわち、各送信チャンネルごとに第1送信信号と、それに対して位相反転の関係にある第2送信信号とが生成される。より詳しくは、各送信チャンネルは上述したように周波数変調がなされた第1送信信号及び第2送信信号を順次生成する。
【0042】
受信部26は受信ビームフォーマーとして機能する。すなわち、複数の振動素子から出力される複数の受信信号に対して整相加算処理を実行し、これによって電子的に受信ビームを形成する。整相加算後の受信信号は補正部32へ出力される。具体的には、各ビームアドレスごとに、第1反射波20の受波によって生成される最初の受信信号がディレイライン30に一旦格納される。第2反射波24の受波によって生成される2番目の受信信号は受信部26から補正部32へそのまま出力される。補正部32には、各ビームアドレスごとに2回の送受波によって得られる2つの受信信号100,102が同時に入力されることになる。
【0043】
補正部32は、本実施形態において、基本波成分イコライザーとして機能し、2つの受信信号100,102に含まれる基本波成分の振幅を補正し、それらの両者の振幅を揃える役割を有している。これについては後に図2を用いて説明する。補正部32によって補正処理がなされた後の2つの受信信号104,106は加算器34に入力される。
【0044】
加算器34は、互いに位相反転関係にある2つの受信信号104,106を加算するものであり、その加算によって2つの受信信号間における基本波成分を相殺させて、その一方において、2つの受信信号104,106に含まれる高調波成分(特に二次高調波成分)を抽出する。すなわち、上記のPI法にしたがって高調波成分が抽出されることになる。その際、本実施形態においては、補正部32が設けられており、2つの受信信号の加算に先立って両者の振幅が補正されているため、加算後における残留基本波成分を除去あるいは低減することが可能となる。これによって、ビーム指向性の劣化やアーチファクトの増大といった問題を解消あるいは軽減することが可能となる。特に、本実施形態においては、パルス圧縮技術が適用されており、残留基本波成分が残ると、適正にパルス圧縮を行えなくなるが、本実施形態によれば上述した基本波成分のイコライジングによって適正なパルス圧縮を実現することが可能である。
【0045】
パルス圧縮部36は、送信段階における変調に対応した復調、すなわちパルス圧縮処理を入力信号に対して施し、パルス圧縮後の信号を出力する。その信号は信号処理部38に入力される。信号処理部38は画像形成のための前処理として対数変換、検波などの処理を実行する。
【0046】
画像形成部40は、信号処理部38から出力される信号に対して座標変換、補間処理などを適用し、これによって二次元断層画像を構成する。その画像データは表示部42に送られ、表示部42の画面上には二次元断層画像が表示される。もちろん、二次元断層画像以外の三次元画像、ドプラ画像、カラーフローマッピング画像などを形成するようにしてもよい。
【0047】
制御部28は、図1に示される各構成の動作制御を行っている。特に、補正部32における補正係数の演算を制御しており、制御部28の制御により補正係数を更新するタイミングが定められる。本実施形態においては、例えば連続的に補正係数を求めるモード、プローブ交換時に補正係数を更新するモード、フレームごとに補正係数を更新するモード、ユーザーによって任意のレートで補正係数を更新するモードなどが具備されており、そのような各種のモードの中から選択されたモードにしたがって制御部28が補正部32の動作を制御する。
【0048】
次に、図2を用いて、図1に示した補正部32の具体的な構成例について説明する。受信信号100はディレイ44を介して乗算器46の一方入力端子へ入力されている。この乗算器46は後に説明するように、受信信号100における負側成分の振幅を補正する機能を有している。一方、受信信号102はディレイ56を介して乗算器58の一方入力端子へ入力されている。後に説明されているように、乗算器58は受信信号102の負側成分の振幅を調整する機能を有している。
【0049】
乗算器46,58で用いる第1の補正係数及び第2の補正係数を演算するため、以下に説明するように、第1受信信号及び第2受信信号が参照され、また相互に比較される。受信信号100はローパスフィルタ(LPF)48に入力される。このLPF48は受信信号100に含まれる基本波成分108を抽出するフィルタである。LPFに代えてバンドパスフィルタ(BPF)を用いるようにしてもよい。これは後述する各LPFについて同様に言えることである。なお、抽出された基本波成分108における正側成分がAで表されており、負側成分が−bA’で示されている。正フィルタ50は基本波成分102の内で正側成分110を抽出する。負フィルタ52は基本波成分108における負側成分112を抽出する。
【0050】
一方、LPF60は受信信号102から基本波成分114を抽出する。図2において、基本波成分114の負側成分の振幅が−aAで表されており、正側成分の振幅がA’で示されている。正フィルタ62は、基本波成分114の内で正側成分116を抽出する。負フィルタ64は基本波成分114の内で負成分118を抽出する。
【0051】
除算器54は、受信信号100から得られた正側成分110と受信信号102から得られた負側成分118とに対して除算演算を実行し、具体的には、正側成分110を負側成分118で割って必要に応じてその解の符号操作を行うことにより第1の補正係数1/aを求める。
【0052】
上記と同様に、除算器66は、受信信号100から得られた負側成分112と、受信信号102から得られた正側成分116とに対して除算演算を実行し、具体的には、正側成分116を負側成分112で除した上で符号操作を行うことにより第2補正係数1/bを求める。
【0053】
第1補正係数は平均値演算器68に入力され、これによって時間軸上において第1補正係数が平均化される。そして、その平均化後の第1補正係数がメモリ70上に格納され、メモリ70から読み出される第1補正係数が乗算器58の他方入力端子に与えられる。これにより、乗算器58においては受信信号102における負側成分に対して第1補正係数を用いた振幅調整が適用されることになる。
【0054】
除算器66から出力される第2補正係数は平均値演算器72に入力され、その平均値演算器72において第2補正係数が時間軸上において平均化される。平均化後の第2補正係数はメモリ74上に格納され、そこから読み出された第2補正係数が乗算器46の他方入力端子に与えられる。乗算器46は受信信号100における負側成分に対して第2補正係数を用いて振幅の調整を行う。
【0055】
以上により、振幅調整がなされた受信信号104,106が得られることになる。それらの受信信号104,106においては、基本波成分について、両者の振幅が正負揃えられており、後の加算処理において基本波成分を効果的に相殺あるいは抑圧することが可能となる。すなわち、図2に示す構成例によれば、加算対象となる2つの受信信号それ自体を参照し、各受信信号に含まれる基本波成分を相互に比較し、それらの違いを表す補正係数を求めることにより、それぞれの受信信号に対して適切なゲイン補正を実行することが可能となる。図2の構成においては、2つの受信信号100,102のそれぞれの負側成分について振幅補正が行われていたが、それぞれの受信信号の正側成分について振幅補正を行うようにしてもよいし、一方の受信信号の正側成分と他方の受信信号の負側成分について振幅補正を行うようにしてもよい。
【0056】
除算器54,66において、分子あるいは分母の値が小さくなると、除算演算結果の誤差が増大する可能性があるため、分子、分母がある一定値以下になった場合には、各補正係数を強制的に1に固定させるのが望ましい。図2には現れていないがそのような判定回路が除算器54,66内に含まれている。図1に示した構成において、パルス圧縮部を配置する箇所は加算器34の後段でなくてもよく、加算器34の前段であってもよい。また受信部26における受信チャンネルごとにパルス圧縮部を個別的に設けるようにしてもよい。パルス圧縮部を設ける位置については以上のように自由度がある。このことは、以下に説明する図3及び図5に示す実施形態においても同様に言えることである。
【0057】
次に、図3及び図4を用いて第2実施形態について説明する。なお、図1に示した構成と同様の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。図1に示した実施形態においては、2つの受信信号に基づいてそれらの2つの受信信号自体の振幅が補正されていたが、図3に示す実施形態においては、2つの受信信号に基づいて2つの送信信号の振幅が補正される。具体的には以下の通りである。
【0058】
送信部200は送信ビームフォーマーとして機能し、その送信部200は複数の送信チャンネル(送信器)200A,200Bによって構成される。各送信チャンネル200A,200Bはそれぞれ同一の構成を有している。
【0059】
ここで、送信チャンネル200Aを代表して説明することにする。波形発生器206はメモリなどによって構成され、デジタル信号として送信波形を生成する。具体的には、第1送信信号波形と第2送信信号波形とを順次生成する。分配器208は図示の例では波形発生器206から出力される送信信号における正側成分と負側成分とを分配する回路であり、図3に示す例では、正側成分は分配器208から遅延器210へそのまま出力されており、負側成分は分配器208から乗算器210を介して遅延器212へ出力されている。すなわち、負側成分について振幅の補正が乗算器210において行われる。
【0060】
その場合における補正係数は後述する補正係数演算部220から与えられる。複数の送信チャンネル200A,200Bに含まれる複数の乗算器210と、後述する補正係数演算部220はそれら全体として補正部218を構成するものである。図3に示す構成においては第1送信信号及び第2送信信号の両者ともそこに含まれる負側成分についての振幅の補正が同じ補正係数によって実行されており、更にその補正係数は各送信チャンネル200A,200Bにおいて共通である。図3においては補正係数が符号224で表されている。
【0061】
遅延器212には補正処理後の正側成分及び負側成分を一体化させた送信信号が入力され、その送信信号が遅延処理される。遅延後の送信信号はD/A変換器214においてデジタル信号形式からアナログ信号形式へ変換される。アナログ信号としての送信信号はリニアアンプ216において増幅され、増幅後の増幅信号がプローブ10へ出力される。具体的には、プローブ10に備えられているアレイ振動子上における対応振動素子へ送信信号が出力される。上記のように、各ビームアドレスごとに2回目の送受信が実行されており、1回目の送受信時には第1送信信号が生成され、2回目の送受信時には第2送信信号が生成されている。
【0062】
プローブ10から出力される複数の受信信号は受信部26に入力され、それらの複数の受信信号が整相加算処理される。受信部26から出力される最初の受信信号はディレイライン30に一旦格納された後、そこから読み出されて加算器34の一方入力端子に入力される。2番目の受信信号は受信部26からそのまま加算器34の他方入力端子に入力される。それらの受信信号が図3において符号100,102で表されている。加算器34は上述したPI法にしたがって互いに位相反転関係にある2つの受信信号を加算し、これによって基本波成分をキャンセルし、その一方において高調波成分を抽出する。その高調波成分を表す信号はパルス圧縮部36においてパルス圧縮処理され、それによって得られた信号が信号処理部38を経由して画像形成部40へ送られる。画像形成部40においては入力される信号に基づいて超音波画像を形成する処理が実行され、それによって形成された画像データが表示部42へ出力される。
【0063】
補正係数演算部220は、各ビームごとに得られる2つの受信信号100,102を参照し、これによって補正係数224を演算する。これについては後に図4を用いて説明する。制御部204は、図3に示される各構成の動作制御を行っている。特に、補正係数演算部220の動作を制御しており、補正係数の更新タイミングは上述した図1に示す実施形態と同様に制御部204によって制御されている。
【0064】
図4には、図3に示した補正係数演算部220の具体的な構成例が示されている。この補正係数演算部220は2つの受信信号100,102に含まれるそれぞれの基本波成分を相互に比較することにより補正係数を求めるものである。
【0065】
受信信号100はLPF230に入力され、そのLPF230によって受信信号100に含まれる基本波成分232が抽出される。図4においては、その基本波成分232における正側成分がAで示され、負側成分が−bA’で表されている。その基本波成分232は正フィルタ234に入力され、基本波成分232における正側成分236が抽出される。一方、受信信号102はLPF240に入力され、そのLPF240において受信信号102に含まれる基本波成分242が抽出される。図4においては、その基本波成分242における負側成分が−aAで表され、正側成分がA’で表されている。基本波成分242は負フィルタ244に入力され、基本波成分242の内で負側成分246のみが抽出される。
【0066】
除算器238は、正側成分236を負側成分246で除することにより、更に必要に応じてその解の符号操作を行うことにより、補正係数(1/a)を求める。その補正係数は平均値演算器250に入力され、そこにおいて時間軸上の平均化処理が行われる。平均化処理後の補正係数はメモリ252上に格納され、そこから読み出された補正係数224が図3に示される送信部200へ出力される。具体的には、各送信チャンネル200A,200Bに含まれる乗算器210へ振幅調整用の信号として出力される。
【0067】
したがって、図3に示す実施形態によれば、2つの受信信号に含まれる基本波成分を相互に比較することにより、補正係数を求め、その補正係数を用いて送信信号における正側と負側の振幅のアンバランスを補正することができる。したがって、例えばリニアアンプ216において正側特性と負側特性にずれがあったとしても、その上流側において正側振幅と負側振幅とを調整することができるので、結果として、2つの受信信号を得た場合における基本波成分の対称性のくずれを解消又は軽減することが可能となる。上記実施形態では、第1送信信号及び第2送信信号の負側成分について一律の補正係数が与えられたが、それぞれについて個別的に補正係数を与えるようにしてもよい。あるいは、2つの受信信号の正側成分についての補正と2つの受信信号についての負側成分の補正とを共に行うようにしてもよい。
【0068】
図1に示した実施形態においては、i番目に得られた2つの受信信号を参照してi番目の2つの受信信号それ自体の補正が行われており、いわゆるリアルタイム補正を行うことが可能である。これに対し、図3に示す実施形態においては、i番目の2つの受信信号に基づいて、それ以降に生成されるj番目の2つの送信信号について振幅補正を行うことが可能である。よって、例えば実際の超音波診断を行う前に試験用送受信を実行し、これによって2つの受信信号を得て、上記のような補正係数を求めて保存しておき、実際の超音波診断における送受信において事前に求められた補正係数を利用するようにしてもよい。もちろん、超音波診断を行いながら、補正係数を求めると共に、その補正係数を用いて逐次的に送信信号の振幅を調整するようにしてもよい。
【0069】
なお、図1及び図3に示す構成において、送受信部とプローブとの間に例えばマルチプレクサなどの回路を設けるようにしてもよい。プローブ内には必要に応じて受信処理機能及び送信機能を搭載するようにしてもよい。これは以下に説明する図5に示す実施形態についても同様に言えることである。
【0070】
図5には、第3実施形態が示されている。なお、図1〜図4に示した構成と同様の構成には同一符号を付しその説明を省略する。図5に示す実施形態においては、第1送信信号及び第2送信信号を参照し、それらに含まれる基本波成分を比較することにより補正係数を求め、その補正係数を用いて第1送信信号及び第2送信信号の振幅が補正される。
【0071】
送信部300は、送信ビームフォーマーとして機能し、送信部300は複数の送信チャンネル(送信器)300A,300Bによって構成される。各送信チャンネル300A,300Bは、上述した図3に示した送信器200A,200Bと同様に、波形発生器206、分配器208、乗算器210、遅延器212、D/A変換器214、リニアアンプ216などを備えている。更に、各送信チャンネル300A,300Bはそれぞれ補正係数演算部308を備えている。この補正係数演算部308は、リニアアンプ216から出力される送信信号310を帰還入力し、すなわち第1送信信号及び第2送信信号を参照し、それらに基づいて補正係数312を求めるものである。その補正係数312は乗算器210に対して、振幅調整用として与えられる。各送信チャンネル300A,300Bにおいて、補正係数演算部308及び乗算器210はそれらを合わせて補正部306を構成する。補正係数演算部308については後に図6を用いて説明する。
【0072】
受信部26は受信ビームフォーマーとして機能し、プローブ10から出力される複数の受信信号に対して整相加算処理を実行する。これにより得られた受信信号は加算器34に入力される。具体的には、最初に得られた受信信号がディレイライン30に格納され、そこから読み出された受信信号102が加算器34の一方入力端子に与えられる。2番目に現れる受信信号100は、受信部26からそのまま加算器34の他方入力端子に与えられる。加算器34はPI法にしたがって2つの受信信号100,102を加算し、これによって基本波成分をキャンセルしつつ高調波成分を抽出する。加算器34以降には、上述した構成例と同様に、パルス圧縮部36、信号処理部38、画像形成部40及び表示部42が設けられている。制御部34は図5に示される各構成の動作制御を行っている。特に、補正部306における動作を制御している。
【0073】
図6には、図5に示した補正係数演算部308の具体的な構成例が示されている。A/D変換器309には送信信号310が入力される。これによってリニアアンプから出力される送信信号がアナログ信号形式からデジタル信号形式へ変換される。ちなみに、A/D変換器309の前段にアッテネータなどの回路を設けるのが望ましい。
【0074】
最初に出力された送信信号はディレイ314に一旦格納された後、そこから読み出されて送信信号318としてLPF330へ出力される。2番目の送信信号はA/D変換器309から送信信号316としてLPF320へ出力される。LPF320,330は送信信号316,318に含まれる基本波成分を抽出するフィルタである。基本的に、送信信号は基本波成分のみによって構成されるものであるが、送信器内における各回路の特性から高調波が発生する可能性もあり、そのような高調波成分を除去して精度良く補正係数を求めるためにLPF320,330が設けられている。上記のように、LPF320,330に代えてそれらをBPFにしてもよい。
【0075】
LPF320から出力される基本波成分322は正フィルタ324に入力され、基本波成分322における正側成分326が抽出される。一方、LPF330から出力される基本波成分332は、負フィルタ334に入力され、そのフィルタ334において基本波成分332における負側成分336が抽出される。
【0076】
除算器328は、正側成分326を負側成分336で除することにより、更にその解に対して符号操作を行うことにより、補正係数(1/a)を求める。その補正係数は平均値演算器338に入力され、そこで時間軸上における平均化処理が実行される。平均化後の補正係数はメモリ340に格納され、そこから読み出される補正係数312が図5に示した乗算器210に与えられる。
【0077】
したがって、図5に示した実施形態によれば、各送信チャンネルごとに自己が出力する2つの送信信号を互いに比較し合って補正係数を求め、例えばリニアアンプに非対称性が発生している場合には、負側成分の振幅補正によりその非対称性を解消することが可能となる。図5に示す実施形態では、第1送信信号の負側成分及び第2送信信号の負側成分について共通の振幅補正が行われていたが、それらを別々に補正するようにしてもよいし、また負側成分ではなく、正側成分の補正あるいは負側成分と正側成分の両者の補正を行うようにしてもよい。いずれにしても、実際の2つの送信信号に含まれる基本波成分を対比することにより、それらの違いを表す補正係数を求め、その補正係数によって送信信号の振幅補正を行うことが可能となる。これによれば、送信特性をより良好なものにすることができるので、加算器34において2つの受信信号を入力する段階において2つの受信信号間における基本波成分の対称性の崩れを解消あるいは軽減することが可能となる。これによって、加算処理後における残留基本波成分の発生を防止あるいは軽減することができるので、ビーム指向性を改善でき、またアーチファクトの発生を効果的に抑制できるという利点がある。
【0078】
なお、各実施形態においては、上述したように第1送信信号及び第2送信信号としてチャープパルスが用いられており、受信信号処理においてはパルス圧縮が適用されていたが、変調及びパルス圧縮については必ずしも行わなくてよい。但し、そのような技術を適用することにより、より良好な超音波画像を形成できる。その場合において、残留基本波成分を効果的に排除できるため、パルス圧縮を行う場合においてもその処理を適正に行って超音波画像の画質を著しく高められるという利点がある。上記のように、パルス圧縮部の配置箇所は加算処理の前段であってもよく、また各受信チャンネルごとに個別的にパルス圧縮処理器を設けるようにしてもよい。
【0079】
図5に示す構成において、i番目の2つの送信信号を参照してそれ以降に生成されるj番目の2つの送信信号の補正を行うことが可能である。実際の超音波診断用の送受信に先立って、試験用の送受信を実行し、そのような送受信において補正係数を求めておいて保存し、保存された補正係数を用いて実際の診断用の送受信を行うようにしてもよい。図5に示す構成によれば、各送信チャンネルごとにきめ細かく送信信号の振幅補正を行えるという利点がある。リニアアンプなどの電子回路は同じ部品であっても若干ながら特性が揃っていない面があり、各送信チャンネルごとに送信信号の振幅補正を行えば、デバイスの僅かな特性の差に起因する問題も解消することが可能である。
【0080】
図5に示す構成に加えて更に図1に示す構成を組み合わせるようにしてもよい。すなわち送信処理段階において2つの送信信号それ自体に基づいて2つの送信信号の振幅補正を行うと共に、受信処理段階において2つの受信信号を参照して、それら2つの受信信号の振幅補正を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示す補正部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る超音波診断装置の第2実施形態を示すブロック図である。
【図4】図3に示す補正係数演算部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る超音波診断装置の第3実施形態を示すブロック図である。
【図6】図5に示す補正係数演算部の具体的な構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0082】
10 プローブ、12 送信部、18 第1超音波、20 第1反射波、22 第2超音波、24 第2反射波、26 受信部、28 制御部、32 補正部(基本波成分イコライザー)、34 加算器、36 パルス圧縮部、210 乗算器、218 補正部、220 補正係数演算部、306 補正部、308 補正係数演算部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1超音波を生成するための第1送信信号を出力し、及び、前記第1超音波に対して位相反転関係にある第2超音波を生成するための第2送信信号を出力する送信手段と、
前記第1超音波に対応する第1反射波の受波によって得られる第1受信信号を出力し、及び、前記第2超音波に対応する第2反射波の受波によって得られる第2受信信号を出力する受信手段と、
前記第1受信信号に含まれる第1基本波成分と前記第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記第1受信信号及び前記第2受信信号の少なくとも一方を補正する補正手段と、
前記補正後において、前記第1受信信号と前記第2受信信号とを加算処理し、高調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記補正手段は、
前記第1受信信号から前記第1基本波成分を構成する第1基本波正側成分及び第1基本波負側成分を抽出する第1成分抽出手段と、
前記第2受信信号から前記第2基本波成分を構成する第2基本波正側成分及び第2基本波負側成分を抽出する第2成分抽出手段と、
前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分とに基づいて、第1の補正係数を演算する第1の補正係数演算手段と、
前記第1基本波負側成分と前記第2基本波正側成分とに基づいて、第2の補正係数を演算する第2の補正係数演算手段と、
前記第1の補正係数を用いて、前記第1受信信号における正側成分又は前記第2受信信号における負側成分のゲインを補正する第1のゲイン補正手段と、
前記第2の補正係数を用いて、前記第1受信信号における負側成分又は前記第2受信信号における正側成分のゲインを補正する第2のゲイン補正手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記第1の補正係数は、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分との比から求められ、
前記第2の補正係数は、前記第1基本波負側成分と前記第2基本波正側成分との比から求められる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項2記載の装置において、
前記第1の補正係数を平均化処理し、平均化処理された第1の補正係数を前記第1のゲイン補正手段へ出力する第1の平均化手段と、
前記第2の補正係数を平均化処理し、平均化処理された第2の補正係数を前記第2のゲイン補正手段へ出力する第2の平均化手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
前記送信手段は、前記第1送信信号として、変調された第1送信信号を出力し、及び、前記第2送信信号として、変調された第2送信信号を出力し、
前記第1受信信号及び前記第2受信信号をそれぞれパルス圧縮し、又は、前記高調波成分をパルス圧縮するパルス圧縮手段が設けられた、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1記載の装置において、
前記補正手段は、i番目の第1受信信号に含まれる第1基本波成分とi番目の第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記i番目の第1受信信号及び前記i番目の第2受信信号の少なくとも一方を補正する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
第1超音波を生成するための第1送信信号を出力し、及び、前記第1超音波に対して位相反転関係にある第2超音波を生成するための第2送信信号を出力する送信手段と、
前記第1超音波に対応する第1反射波の受波によって得られる第1受信信号を出力し、及び、前記第2超音波に対応する第2反射波の受波によって得られる第2受信信号を出力する受信手段と、
前記第1受信信号と前記第2受信信号とを加算処理し、高調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、
前記第1受信信号に含まれる第1基本波成分と前記第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の少なくとも一方を補正する補正手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項8】
請求項7記載の装置において、
前記補正手段は、
前記第1受信信号から前記第1基本波成分中の第1基本波正側成分を抽出する第1成分抽出手段と、
前記第2受信信号から前記第2基本波成分中の第2基本波負側成分を抽出する第2成分抽出手段と、
前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分とに基づいて、補正係数を演算する補正係数演算手段と、
前記補正係数を用いて、前記第1送信信号及び第2送信信号の正側成分、又は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の負側成分のゲインを補正するゲイン補正手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
前記補正係数は、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分との比から求められることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
請求項8記載の装置において、
前記補正係数を平均化処理し、平均化処理された補正係数を前記ゲイン補正手段へ出力する平均化手段を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
請求項7記載の装置において、
前記送信手段は、前記第1送信信号として、変調された第1送信信号を出力し、及び、前記第2送信信号として、変調された第2送信信号を出力し、
前記第1受信信号及び前記第2受信信号をそれぞれパルス圧縮し、又は、前記高調波成分をパルス圧縮するパルス圧縮手段が設けられた、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項12】
請求項8記載の装置において、
試験用送受信モードにおいて前記補正係数が演算され且つ保存され、
診断用送受信モードにおいて前記補正係数がゲインの補正に利用される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項13】
請求項7記載の装置において、
前記補正手段は、i番目の第1受信信号に含まれる第1基本波成分とi番目の第2受信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、j(但し、i<j)番目の第1送信信号及びj番目の第2送信信号の少なくとも一方を補正する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項14】
請求項7記載の装置において、
前記送信手段は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号を出力する複数の送信チャンネルで構成され、
前記補正手段は、前記複数の送信チャンネルに対応して設けられた複数の補正器で構成され、
前記各補正器によって各送信チャンネルごとに前記第1送信信号及び前記第2送信信号の少なくとも一方のゲインが補正され、
前記複数の送信チャンネル間で共通の補正係数が用いられる、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項15】
第1超音波を生成するための第1送信信号を出力し、及び、前記第1超音波に対して位相反転関係にある第2超音波を生成するための第2送信信号を出力する送信手段と、
前記第1超音波に対応する第1反射波の受波によって得られる第1受信信号を出力し、及び、前記第2超音波に対応する第2反射波の受波によって得られる第2受信信号を出力する受信手段と、
前記第1受信信号と前記第2受信信号とを加算処理し、高調波成分を抽出する高調波成分抽出手段と、
前記第1送信信号に含まれる第1基本波成分と前記第2送信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の少なくとも一方を補正する補正手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、
前記補正手段は、
前記第1送信信号から前記第1基本波成分中の第1基本波正側成分を抽出する第1成分抽出手段と、
前記第2送信信号から前記第2基本波成分中の第2基本波負側成分を抽出する第2成分抽出手段と、
前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分とに基づいて、補正係数を演算する補正係数演算手段と、
前記補正係数を用いて、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の正側成分、又は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号の負側成分のゲインを補正するゲイン補正手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項17】
請求項16記載の装置において、
前記補正係数は、前記第1基本波正側成分と前記第2基本波負側成分との比から求められることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項18】
請求項16記載の装置において、
前記補正係数を平均化処理し、平均化処理された補正係数を前記ゲイン補正手段へ出力する平均化手段を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項19】
請求項15記載の装置において、
前記送信手段は、前記第1送信信号として、変調された第1送信信号を出力し、及び、前記第2送信信号として、変調された第2送信信号を出力し、
前記第1受信信号及び前記第2受信信号をそれぞれパルス圧縮し、又は、前記高調波成分をパルス圧縮するパルス圧縮手段が設けられた、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項20】
請求項15記載の装置において、
試験用送受信モードにおいて前記補正係数が演算され且つ保存され、
診断用送受信モードにおいて前記補正係数がゲインの補正に利用される、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項21】
請求項15記載の装置において、
前記補正手段は、i番目の第1送信信号に含まれる第1基本波成分とi番目の第2送信信号に含まれる第2基本波成分とを参照し、j(但し、i<j)番目の第1送信信号及びj番目の第2送信信号の少なくとも一方を補正する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項22】
請求項15記載の装置において、
前記送信手段は、前記第1送信信号及び前記第2送信信号を出力する複数の送信チャンネルで構成され、
前記補正手段は、前記複数の送信チャンネルに対応して設けられた複数の補正器で構成され、
前記各補正器によって各送信チャンネルごとに前記第1送信信号及び前記第2送信信号の少なくとも一方のゲインが補正され、
前記各送信チャンネルごとにそれに対応した補正係数が用いられる、
ことを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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