説明

超音波霧化分溜装置

【課題】 超音波霧化装置では、ケース内に圧電体振動子及びノズルを多数装着してるため、隣り合ったノズルから発生した霧化粒子が互いに干渉して液面に落下したり、側壁に衝突して落下し、吸引口から排出される霧化粒子が少なく、霧化効率が非常に悪いという問題があった。
【解決手段】 ケースの一端にケースとほぼ同じ幅の送風口を形成し、他端にケースとほぼ同じ幅の吸引口を形成し、送風口と吸引口の間に形成したケースの支持板に、送風口から吸引口の方向に僅かに傾斜したノズルをそれぞれ装着した多数の圧電体振動子を多数列装着し、霧化液体供給口から霧化液体を供給し、ノズルの先端がそれぞれ突出するように、ノズルの周囲を星型に切り欠いた突出孔を形成した遮蔽板を霧化液体の上方を覆うように装着し、又、遮蔽板の上に各列のノズルの間を遮る仕切板を装着するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数列に装着した圧電体振動子に円錐状ノズルを装着し、圧電体振動子を駆動して、ノズルから噴出した霧化粒子を回収して分溜する超音波霧化分溜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の超音波霧化装置としては、図3に示すように、ケース1の側壁1aの上部に送風口1bを形成し、側壁1aの対向する側壁1cに吸引口1dを形成し、ケース1の底部に水平部1eより僅かに傾斜した複数の傾斜部1fを形成し、この傾斜部1fの下部にそれぞれ圧電体振動子2を装着し、又、傾斜部1fにそれぞれ圧電体振動子2より小径の孔1gを形成し、傾斜部1fの上部に、それぞれの傾斜と同方向に傾斜した円錐状のノズル3を装着し、さらに、ノズル3の上端より僅かに下側まで霧化液体4が常に一定のレベルになるように供給され、又、圧電体振動子2に発振器5から発振出力を印加したものを本出願人が提案している。
【0003】
このように構成された従来の超音波霧化装置では、発振器4から圧電体振動子2に発振出力が供給されると、圧電体振動子2から超音波が発生し、ノズル3と傾斜部1fの間に形成された霧化液体注入口3aから注入された霧化液体5はノズル3から噴出して、霧化粒子4aが発生し、この霧化粒子4aは送風口1bから供給された送風によって吸引口1dから吸引され、図示しない回収装置によって回収される。
【0004】
しかしながら、このように従来の超音波霧化装置では、ケース1内に多数の圧電体振動子2及びノズル3を装着した場合、隣り合った圧電体振動子2とノズル3の間隔が狭いため、送風口1b側のノズル3から噴出された霧化粒子が次のノズル3から発生した霧化粒子と衝突して、霧化粒子の径が大きくなり、吸引口1dから排出されないで、霧化液体5の液面に落下したり、側壁1cに衝突して、吸引口1dから排出される霧化粒子が少なくなり、霧化効率がわるいという問題があり、さらに、圧電体振動子2は印加される電流で加熱され、この加熱は霧化液体5で冷却されるが、冷却することによって加熱された霧化液体5が蒸発して、霧化液体5の表面から発生した霧化液体はノズル3から霧化された霧化粒子を上方に押し上げて、ケース1の天板1hに接触し、天板1hで液体になって落下するため、霧化効率が悪いという問題があった。
【特許文献1】特願2004−320631
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、提案された超音波霧化装置では、ケース内に圧電体振動子及びノズルを多数装着してるため、隣り合ったノズルから発生した霧化粒子が互いに干渉して液面に落下したり、側壁に衝突して落下し、吸引口から排出される霧化粒子が少なく、霧化効率が非常に悪いという問題があり、又、圧電体振動子は印加される電流で過熱され、過熱された霧化液体5蒸発して、霧化液ノズルから霧化された霧化粒子を上方に押し上げて、ケースの天板に接触し、天板で液体になって落下するため、霧化効率が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、ケースの一端にケースとほぼ同じ幅の送風口を形成し、他端にケースとほぼ同じ幅の吸引口を形成し、送風口と吸引口の間に形成したケースの支持板に、送風口から吸引口の方向に僅かに傾斜したノズルをそれぞれ装着した多数の圧電体振動子を多数列装着し、常にケースの支持板の上からノズルの上端より僅か下方のレベルになるように霧化液体供給口から霧化液体を供給し、ノズルの先端がそれぞれ突出するように、ノズルの周囲を星型に切り欠いた突出孔を形成した遮蔽板を霧化液体の上方を覆うように装着し、仕切板は前記ノズル及び圧電体振動子の隣り合った列の間にそれぞれ装着されて前記送風口から吸引口に向けて傾斜するように構成し、前記送風口から送風する気体は前記遮蔽板の下方から前記星型に切り欠いた突出孔を通り、仕切板の間を通って上方に送風するように構成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の超音波霧化分溜装置では、送風口をケースの幅とほぼ同じ幅に設け、ケースの支持板に多数列の圧電体振動子とノズルを装着し、送風口と吸引口の間に、霧化液体を覆う遮蔽板を装着し、遮蔽板に設けた星型の突出孔からノズルを突出させ、このノズルの列の間に仕切板を装着することにより、隣り合った圧電体振動子によって発生した霧化粒子がノズルから噴出される時に、仕切板により互いに干渉することなく排出され、さらに、遮蔽板に設けた星型に切り欠いた突出孔から上方に送風された気体が噴出されるので、より霧化粒子が互いに干渉することが無く吸引口に送風されるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、ケースの一端に該ケースとほぼ同じ幅の送風口を形成し、他端に前記ケースとほぼ同じ幅の吸引口を形成し、送風口と吸引口の間に形成したケースの支持板に、送風口から吸引口の方向に僅かに傾斜したノズルをそれぞれ装着した多数の圧電体振動子を多数列装着し、1つの列のノズルを装着した多数の圧電体振動子が隣り合った列の多数の圧電体振動子の間に位置するように構成し、ノズルの先端がそれぞれ突出するように、ノズルの周囲を星型に切り欠いた突出孔を形成した遮蔽板を霧化液体の上方を覆うように装着し、仕切板は前記ノズル及び圧電体振動子の隣り合った列の間にそれぞれ装着されて前記送風口から吸引口に向けて傾斜するように構成し、前記送風口から送風する気体は前記遮蔽板の下方から前記星型に切り欠いた突出孔を通り、仕切板の間を通って上方に送風するように構成することにより、圧電体振動子によって発生した霧化粒子がノズルから噴出されるとともに、仕切板によって、隣り合ったノズルから発生する霧化粒子が互いに干渉することなく吸引口に送風されるようにしたものである。
【実施例】
【0009】
図1は本発明の実施例の超音波霧化分溜装置の側面図、図2は図1の超音波霧化分溜装置の平面図で、ケース6の一端にケース6の幅とほぼ同じ幅の送風口7が形成され、この送風口7は送風管8を介して送風装置9に接続され、又、ケース6の他端にケース6の幅の吸引口10が形成され、この吸引口10は霧化粒子を吸引して回収する吸引回収装置11に接続され、さらに、ケース6の送風口7と吸引口10の間に形成した支持板12に吸引口10の方向に傾斜した多数列の傾斜部12aが形成され、これらの傾斜部12aにそれぞれノズル13を装着した圧電体振動子14が装着され、このノズル13を装着した圧電体振動子14は多数列装着され、さらに、隣り合った列はノズル13を装着した圧電体振動子14が互いに1つ分だけずれており、又、霧化液体供給装置15からケース6内に設けた供給口15aを介して霧化液体16が供給され、この霧化液体16は常にノズル13の上端から僅かに下方になるように供給されており、さらに、支持板12の下方に装着した発振器17から圧電体振動子14に発振出力が印加され、又、霧化液化16を覆うように遮蔽板18が霧化液化16の上方に装着され、又、遮蔽板18はノズル13を突出させるために、星型に切り欠いた突出孔18aが形成され、さらに、多数の仕切板19の下端が遮蔽板18に形成された星型の突出孔18aの列の間に接触又は固着されてノズル13の傾斜とほぼ同様の傾斜で上方に斜めに伸びて、隣り合った列のノズル13の間が遮断されるように構成され、又、仕切板19の上端は送風口7側の仕切板19aが高く構成され、吸引口10に近い仕切板19bは最低になるように徐々に低く構成され、又、仕切板18aの上端は折り曲げられて覆い板19cが構成され、この覆い板19cは仕切板19全体を覆うように構成され、仕切板19aの覆い板19cの端部は吸引口10の上部の壁に固着され、仕切板19bの先端は折り曲げられて、吸引口10の端部に固着されている。
【0010】
このように構成された本実施例の超音波霧化分溜装置では、発振器17から発振出力が圧電体振動子14に印加されると、圧電体振動子14で発生した超音波振動はノズル13によって絞られてケース6の上方に噴出され、又、送風口7から送風された気体は遮蔽板18の下方を通り、星型の突出孔18aを通ってノズル13に沿って上方に送られるが、隣り合ったノズル13の間に仕切板19が設けられているため、ノズル13より噴出された霧化粒子は隣り合ったノズル13から噴出される霧化粒子と互いにぶつかり合うことが無く、仕切板19の上方に送られ、覆い板19cの下を通り、互いに干渉することなく、ケース6の幅に広がった吸引口10から吸引されるので、霧化粒子が大きくなることがなく、従って、霧化液体16の面に落下せずに吸引回収装置で11で全て回収され、霧化効率が非常に向上するとともに、霧化液体を覆うように遮蔽板18が霧化液体16の上方に装着されているので、圧電体振動子14が駆動されるときに発生する熱によって霧化液体16が加熱され、霧化液体16が蒸発することによって霧化粒子が上方に吹き上がることを防ぎ、送風された気体によって霧化された粒子が吸引口10に送られて吸引される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
なお、上記実施例において、遮蔽板18に星型の突出孔18aを形成したが、星型以外に、丸や三角や四角等の形状の突出孔を形成しても良く、又、霧化液体供給装置15から供給される液体がケース6の支持板12の上方のノズル13の噴出口の下方で、ほぼ常に一定になるようにする液面調節手段として、液面センサによるものや浮きによるもの等が考慮される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例の超音波霧化分溜装置の側面図である。
【図2】図1の超音波霧化分溜装置の平面図である。
【図3】本出願人が提案した超音波霧化装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0013】
6 ケース
7 送風口
8 送風管
9 送風装置
10 吸引口
11 吸引回収装置
13 ノズル
14 圧電体振動子
15 霧化液体供給装置
16 霧化液体
17 発振器
18 遮蔽板
19 仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの一端に該ケースとほぼ同じ幅の送風口を形成し、他端に前記ケースとほぼ同じ幅の吸引口を形成し、前記送風口と吸引口の間に形成した前記ケースの支持板に、前記送風口から吸引口の方向に僅かに傾斜したノズルをそれぞれ装着した多数の圧電体振動子を多数列装着し、かつ常に前記ケースの支持板の上から前記ノズルの上端より僅か下方のレベルになるように霧化液体供給口から霧化液体を供給し、前記ノズルの先端がそれぞれ突出するように、前記ノズルの周囲を星型に切り欠いた突出孔を形成した遮蔽板を前記霧化液体の上方を覆うように装着し、前記ノズル及び圧電体振動子の隣り合った列の間にそれぞれ仕切板を装着し、該仕切板は前記送風口から吸引口に向けて傾斜するように構成し、前記送風口から送風する気体は前記遮蔽板の下方から前記星型に切り欠いた突出孔を通り、仕切板の間を通って上方に送風するように構成することを特徴とする超音波霧化分溜装着。
【請求項2】
前記1つの列のノズルを装着した前記多数の圧電体振動子が前記隣り合った列の多数の圧電体振動子の間に位置するように構成することを特徴とする請求項1記載の超音波霧化分溜装置。
【請求項3】
前記仕切板は前記送風口から前記吸引口に向けて順次低くなるように構成することを特徴とする請求項1記載の超音波霧化分溜装置。
【請求項4】
前記送風口側の前記仕切板は前記他の仕切板の上部を覆うように構成することを特徴とする請求項1記載の超音波霧化分溜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−231297(P2006−231297A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53809(P2005−53809)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】