説明

足場用建枠整理具

【課題】複数の足場用建枠を正確に位置決めして段積みすることが可能な低コストの足場用建枠整理具を提供する。
【解決手段】6個の建枠外側規制部材111、112、121、122、123、124が、複数の足場用建枠の外側で該複数の足場用建枠の段積み位置、すなわち略水平方向の位置を規制し、6個の建枠内側規制部材211、212、221、222、223、224が、複数の足場用建枠の内側で該複数の足場用建枠の段積み位置、すなわち略水平方向の位置を規制する。各規制部材の上端部に設けられたテーパ形状により、複数の足場用建枠が整理具の内側へと誘導され、横方向及び縦方向の位置決めが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場にて足場を組む際に用いられる複数の建枠を搬送するために平積み状態にされた複数の建枠の水平位置を整える足場用建枠整理具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場にて建物の建設や外壁塗装を行う場合には、複数の建枠の縦杆を筋違いで連結して建物の周囲に立設し、複数の建枠の横杆上に足場布板を掛けたものを該足場布板に設けられたフックで連結することにより足場を構築している。
【0003】
建物の建設、外壁塗装等が完了した場合、足場を構築していた複数の建枠は、一本一本に分解され、不具合箇所の点検及び付着物の清掃の後、フォークリフトの爪又はワイヤーロープが入るように地面に敷いた2本の角材上に積み上げられ、結束鉄線又は結束鉄帯で結束されて固定される。固定された複数の建枠は、フォークリフト又はワイヤーロープに連結されたクレーンで持ち上げられ、トラックまで搬送される。
【0004】
上記2本の角材上に、幅約90cmから約120cm、長さ約170cmの大きさ、約15kgの重量のある建枠(例えば、標準的な鳥居型建枠)を一本一本人手により積み上げる作業は、作業者には相当な労力を要していた。また、積み上げる場合に、容積効率を向上させて結束を容易にするために、複数の建枠を、一本一本人手により縦杆方向で180度反転させ横杆方向で一定間隔ずらしながら正確に位置決めして段積みしている。このような段積み作業は、建枠の上記大きさ及び重量と相俟って、効率の悪い作業となっている。
【0005】
斯かる問題を解決するために、特許文献1には、鳥居型建枠の一方の縦杆を両側から把持し、他方の縦杆を内側から引っ掛けて鳥居型建枠を吊り上げ、水平方向に移送し、必要に応じて180度旋回させ、段積みするローダ部と、該ローダ部を支持し鳥居型建枠を載置する構造部材と、段積みされた鳥居型建枠を搬送するコンベア部とからなる建築用鳥居型建枠移載装置が開示されている。なお、特許文献1には、コンベア部に代えて、フォークリフトにより、段積みされた鳥居型建枠を搬出してもよい、という記載がある。
【0006】
斯かる構成により、作業者の労力を要することなく、任意の形状や大きさの鳥居型建枠を任意の段数だけ、簡単に整然と段積みすることが可能となる。
【特許文献1】特開平10−115083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の構成によれば、作業者の労力を要することなく、任意の形状や大きさの鳥居型建枠を任意の段数だけ、簡単に整然と段積みすることができるという効果を奏することはできるが、鳥居型建枠を正確に位置決めして段積みする手段については、何ら提案されていない。
【0008】
また、特許文献1に記載の装置は、鳥居型建枠の段積みを自動化することを目的として考案されたものであり、必然的に装置が大型化し、装置自体のコスト、及び建築現場まで装置を搬送するのに要するコストが高くなる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数の足場用建枠を正確に位置決めして段積みすることができる、低コストの足場用建枠整理具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1発明に係る足場用建枠整理具は、平積み状態にある複数の足場用建枠を上方より誘導して該複数の足場用建枠の段積み状態を整える足場用建枠整理具であって、上方へ延伸する柱形状を有し、前記複数の足場用建枠の外側に接触して前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する複数の建枠外側規制部材と、上方へ延伸する柱形状を有し、前記複数の建枠外側規制部材と協働するように配置され、前記複数の足場用建枠の内側と接触して前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する複数の建枠内側規制部材とを略水平方向に設置されている基底部材に備え、前記複数の建枠外側規制部材の上端部は、外側から内側に向かって低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、前記複数の建枠内側規制部材の上端部は、前記複数の建枠外側規制部材の上端部とは逆方向に傾斜するテーパ形状を有していることを特徴とする。
【0011】
斯かる構成により、外側から内側に向かって低くなるように傾斜するテーパ形状を有する複数の建枠外側規制部材の上端部と、前記複数の建枠外側規制部材の上端部とは逆方向に傾斜するテーパ形状を有する複数の建枠内側規制部材の上端部とが、平積み状態にある複数の足場用建枠を誘導し、複数の建枠外側規制部材と複数の建枠内側規制部材との間で複数の足場用建枠の段積み位置を整える。これにより、作業者は複数の足場用建枠を正確に位置決めして段積みしなくても、低コストの足場用建枠整理具により、複数の足場用建枠を正確に位置決めして段積みすることができる。
【0012】
第2発明に係る足場用建枠整理具は、第1発明において、前記複数の建枠外側規制部材は、前記複数の建枠内側規制部材と同数設けられており、それぞれ前記複数の建枠内側規制部材と対向して配置してあることが好ましい。
【0013】
斯かる構成により、複数の建枠外側規制部材の一つと複数の建枠内側規制部材の一つとが互いに対向して配置されるので、複数の足場用建枠を正確に位置決めして段積みすることができる。
【0014】
第3発明に係る足場用建枠整理具は、第2発明において、前記複数の足場用建枠はそれぞれ、一対の縦杆と、該一対の縦杆の一端間を連結する横杆と、前記横杆の両内側部から前記一対の縦杆の他端方向へ延伸し前記一対の縦杆に結合する一対の補強材とからなる鳥居型建枠であり、前記複数の建枠外側規制部材は、前記横杆の外側に接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも2個の横杆外側規制部材と、前記縦杆の外側に接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも4個の縦杆外側規制部材とを備え、前記複数の建枠内側規制部材は、前記横杆の内側に接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも2個の横杆内側規制部材と、前記縦杆又は前記補強材の内側と接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも4個の縦杆又は補強材内側規制部材とを備え、少なくとも2個の前記横杆外側規制部材及び少なくとも2個の前記横杆内側規制部材の高さは、少なくとも4個の前記縦杆外側規制部材及び少なくとも4個の前記縦杆又は補強材内側規制部材の高さよりも低いことが好ましい。
【0015】
斯かる構成により、少なくとも4個の縦杆外側規制部材の上端部と少なくとも4個の縦杆又は補強材内側規制部材の上端部とが複数の足場用建枠の縦杆及び補強材を誘導し、次いで、少なくとも2個の横杆外側規制部材の上端部と少なくとも2個の横杆内側規制部材の上端部とが複数の足場用建枠の横杆を誘導する。これにより、幅広である一対の縦杆及び一対の補強材の横方向位置を決めた後、横杆の縦方向位置を正確に決めることができる。
【0016】
第4発明に係る足場用建枠整理具は、第3発明において、少なくとも2個の前記横杆内側規制部材のそれぞれの上端部近傍と、少なくとも4個の前記縦杆又は補強材内側規制部材のうちの少なくとも2個の縦杆又は補強材内側規制部材の上端部近傍とを連結する少なくとも2個の連結部材をさらに備えることが好ましい。
【0017】
斯かる構成により、少なくとも2個の連結部材が、少なくとも2個の横杆内側規制部材のそれぞれの上端部近傍と、少なくとも2個の縦杆又は補強材内側規制部材の上端部近傍とを連結するので、少なくとも2個の横杆内側規制部材を略水平方向の荷重に対して補強することができ、横杆の縦方向位置の位置決め精度を向上させる。
【0018】
第5発明に係る足場用建枠整理具は、第4発明において、少なくとも2個の前記連結部材はそれぞれ上面視でT字形状を有していることが好ましい。
【0019】
斯かる構成により、簡単なT字形構造で、少なくとも2個の連結部材を形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の足場用建枠を正確に位置決めして段積みすることができる、低コストの足場用建枠整理具を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図面を通じて、同一の構成を有する要素については、同一の符号を付している。
【0022】
まず、本発明の一実施の形態に係る足場用建枠整理具について説明する前に、本実施の形態で適用される足場用建枠として鳥居型建枠について説明する。図6は、鳥居型建枠の一構成例を示す平面図である。図6において、鳥居型建枠1000は、一対の縦杆1001、1001と、一対の縦杆1001、1001の一端1001a、1001a間を連結する横杆1002と、横杆1002の両内側部1002a、1002bから一対の縦杆1001、1001に水平にかつ一対の縦杆1001、1001の他端1001b、1001bに向かって延伸し、一対の縦杆1001、1001に結合する一対の補強材1003、1003とから構成される。
【0023】
図1は、本発明の一実施の形態に係る足場用建枠整理具の一外観構成例を示す斜視図、図2、図3、図4及び図5は、それぞれ、本実施の形態に係る足場用建枠整理具の正面図、右側面図、左側面図及び平面図である。以下、図1乃至図5を参照して、本実施の形態に係る足場用建枠整理具について説明する。
【0024】
図1において、足場用建枠整理具1は、2個の横杆外側規制部材111、112(図3及び図4参照)と、4個の縦杆外側規制部材121、122、123、124と、2個の横杆内側規制部材211、212と、4個の縦杆又は補強材内側規制部材221、222、223、224と、2個の連結部材31、32と、基底部材5、6、41、42、71、72と、補強部材81、82、83、84、85、86とから構成される。なお、2個の横杆外側規制部材111、112と、4個の縦杆外側規制部材121、122、123、124とは、6個の建枠外側規制部材に相当し、2個の横杆内側規制部材211、212と、4個の縦杆又は補強材内側規制部材221、222、223、224とは、6個の建枠内側規制部材に相当する。
【0025】
ここで、「建枠外側規制部材」とは、複数の鳥居型建枠1000(図6)を収納する場合に、鳥居型建枠1000の外側と接触して該複数の鳥居型建枠1000の段積み位置、すなわち略水平方向の位置を規制する部材を意味する。すなわち「横杆外側規制部材」、及び「縦杆外側規制部材」を含む概念である。
【0026】
「建枠内側規制部材」とは、複数の鳥居型建枠1000の内側と接触して該複数の鳥居型建枠1000の段積み位置、すなわち略水平方向の位置を規制する部材を意味する。すなわち「横杆内側規制部材」、及び「縦杆又は補強材内側規制部材」を含む概念である。
【0027】
「横杆外側規制部材」とは、複数の鳥居型建枠1000を収納する場合に、鳥居型建枠1000の外側と接触して横杆1002(図6)の段積み位置、すなわち略水平方向の位置を規制する部材を、「横杆内側規制部材」とは、複数の鳥居型建枠1000の内側と接触して横杆1002(図6)の段積み位置、すなわち略水平方向の位置を規制する部材を、それぞれ意味する。また、「縦杆外側規制部材」とは、複数の鳥居型建枠1000を収納する場合に、複数の鳥居型建枠1000の外側と接触して縦杆1001(図6)の段積み位置、すなわち略水平方向の位置を規制する部材を、「縦杆又は補強材内側規制部材」とは、複数の鳥居型建枠1000の内側と接触して縦杆1001又は補強材1003(図6)の段積み位置、すなわち水平方向の位置を規制する部材を、それぞれ意味する。
【0028】
横杆外側規制部材111と横杆内側規制部材211とは互いに対向しており、また横杆外側規制部材112と横杆内側規制部材212とは互いに対向している。また、上述した規制部材の各下端部111a、211a、112a、212aが基底部材5に固定されている。
【0029】
横杆外側規制部材111、112及び横杆内側規制部材211、212は、それぞれ上方に延伸する四角柱形状を有する直立部材である。また、横杆外側規制部材111、112及び横杆内側規制部材211、212の高さは、縦杆外側規制部材121、122、123、124及び縦杆又は補強材内側規制部材221、222、223、224の高さよりも低い。斯かる構成により、幅広である一対の縦杆1001及び一対の補強材1003の横方向位置を決めた後、横杆1002の縦方向位置を正確に決めることができる。
【0030】
横杆外側規制部材111の上端部111bは、外側から内側に向かって漸次低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、横杆内側規制部材211の上端部211bは、横杆外側規制部材111の上端部111bとは逆方向に傾斜するテーパ形状を有する。また、横杆外側規制部材112の上端部112bは、外側から内側に向かって漸次低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、横杆内側規制部材212の上端部212bは、横杆外側規制部材112の上端部112bとは逆方向に傾斜するテーパ形状を有する。
【0031】
また、補強部材83が、横杆外側規制部材111と基底部材5との間に斜めに設けられ、補強部材86が、横杆外側規制部材112と基底部材5との間に斜めに設けられている。
【0032】
縦杆外側規制部材121と縦杆又は補強材内側規制部材221とは互いに対向し、縦杆外側規制部材124と縦杆又は補強材内側規制部材224とは互いに対向し、規制部材の各下端部121a、221a、124a、224aが基底部材41に固定されている。縦杆外側規制部材121、124、縦杆又は補強材内側規制部材221、224は、それぞれ上方に延伸する四角柱形状を有する直立部材である。
【0033】
縦杆外側規制部材121の上端部121bは、外側から内側に向かって漸次低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、縦杆又は補強材内側規制部材221の上端部221bは、縦杆外側規制部材121の上端部121bとは逆方向に傾斜するテーパ形状を有する。また、縦杆外側規制部材124の上端部124bは、外側から内側に向かって漸次低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、縦杆又は補強材内側規制部材224の上端部224bは、縦杆外側規制部材124の上端部124bとは逆方向に傾斜するテーパ形状を有する。
【0034】
また、補強部材81が、縦杆外側規制部材121と基底部材41との間に斜めに設けられ、補強部材85が、縦杆外側規制部材124と基底部材41との間に斜めに設けられている。
【0035】
縦杆外側規制部材122と縦杆又は補強材内側規制部材222とは互いに対向し、縦杆外側規制部材123と縦杆又は補強材内側規制部材223とは互いに対向し、各下端部122a、222a、123a、223aが基底部材42に固定されている。縦杆外側規制部材122、123、縦杆又は補強材内側規制部材222、223は、それぞれ上方に延伸する四角柱形状を有する直立部材である。
【0036】
縦杆外側規制部材122の上端部122bは、外側から内側に向かって漸次低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、縦杆又は補強材内側規制部材222の上端部222bは、縦杆外側規制部材122の上端部122bとは逆方向に傾斜するテーパ形状を有する。また、縦杆外側規制部材123の上端部123bは、外側から内側に向かって漸次低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、縦杆又は補強材内側規制部材223の上端部223bは、縦杆外側規制部材123の上端部123bとは逆方向に傾斜するテーパ形状を有する。
【0037】
また、補強部材82が、縦杆外側規制部材122と基底部材42との間に斜めに設けられ、補強部材84が、縦杆外側規制部材123と基底部材42との間に斜めに設けられている。
【0038】
基底部材6が、基底部材41の一端41aと基底部材42の一端42aを支持し、基底部材71が、基底部材41の他端41bを支持し、基底部材72が、基底部材42の他端42bを支持している。また、基底部材5は、基底部材41の中央部と基底部材42の中央部を支持している。
【0039】
また、連結部材31が、横杆内側規制部材211の上端部211bの近傍と、縦杆又は補強材内側規制部材222の上端部222bの近傍及び縦杆又は補強材内側規制部材223の上端部223bの近傍とを連結し、連結部材32が、横杆内側規制部材212の上端部212bの近傍と、縦杆又は補強材内側規制部材221の上端部221bの近傍及び縦杆又は補強材内側規制部材224の上端部224bの近傍とを連結している。連結部材31、32は、上面視でT字形状を有する(図5参照)。
【0040】
次に、このように構成された足場用建枠整理具1により、複数の鳥居型建枠1000の段積み位置が正確に位置決めされる様子について、図7、図8、図9及び図10を参照して説明する。
【0041】
まず、建物の建設や外壁塗装が完了すると、足場を構築していた複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・は、一本一本に分解されて不具合箇所の点検及び付着物の清掃の後、フォークリフトの爪が入るように地面に敷いた2本の角材(図示しない)上に積み上げられる。このとき、作業者は、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・の段積み位置を正確に位置決めすることなく、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・の横方向位置をずらし縦方向位置を反転させながら積み上げ作業を行う。これは、段積みする場合の容積効率を上げ、また結束を容易にするためである。
【0042】
次に、フォークリフトが、2本の角材の間に爪を挿入し、平積みにされた複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を持ち上げて、足場用建枠整理具1が設置されている場所まで複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を移送する。図7は、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を足場用建枠整理具1の上方にまでフォークリフトで移送した状態を示す側面図である。
【0043】
フォークリフトの爪が徐々に下がると、まず、複数の鳥居型建枠1000の縦杆1001の外縁が、縦杆外側規制部材121の上端部121b、縦杆外側規制部材122の上端部122b、縦杆外側規制部材123の上端部123b、及び縦杆外側規制部材124の上端部124bに形成されている各テーパ形状部分に誘導され、縦杆1001又は補強材1003の外縁が、縦杆又は補強材内側規制部材221の上端部221b、縦杆又は補強材内側規制部材222の上端部222b、縦杆又は補強材内側規制部材223の上端部223b、及び縦杆又は補強材内側規制部材224の上端部224bに形成されている各テーパ形状に誘導されながら、縦杆1001及び補強材1003の段積み位置のうち、横方向の位置の位置決めが行われる。
【0044】
フォークリフトの爪がさらに下がると、複数の鳥居型建枠1000の横杆1002の外縁が、横杆外側規制部材111の上端部111b及び対向する横杆内側規制部材211の上端部211bに形成されている各テーパ形状に誘導され、横杆外側規制部材112の上端部112b及び対向する横杆内側規制部材212の上端部212bに形成されている各テーパ形状に誘導されながら、横杆1002の段積み位置のうち、縦方向の位置の位置決めが行われる。ここで、連結部材31、32が、2個の横杆内側規制部材211、212を略水平方向の荷重に耐え得るよう補強しているので、横杆1002の縦方向位置の位置決め精度を上げることができる。図8は、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を足場用建枠整理具1内に導入している状態を示す側面図である。
【0045】
このようにして、まず、幅広の一対の縦杆1001及び一対の補強材1003の段積み位置のうち横方向の位置を決めて、次に、横杆1002の縦方向の位置を決めることにより、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・の横方向及び縦方向の段積み位置の位置決めを正確に行うことができる。図9は、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を足場用建枠整理具1内に完全に導入した状態を示す側面図、図10は、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を足場用建枠整理具1に収納した状態の平面図である。
【0046】
なお、本実施の形態では、6個の建枠外側規制部材111、112、121、122、123、124及び6個の建枠内側規制部材211、212、221、222、223、224が設けられた構成について説明したが、本発明は斯かる構成に限定されず、偶数個であれば、6個以上の建枠外側規制部材及び6個以上の建枠内側規制部材が設けられた構成としてもよいし、収納対象となる建枠の形状によっては、6個以下の建枠外側規制部材及び6個以下の建枠内側規制部材が設けられた構成としてもよいことは言うまでもない。また、建枠の段積み方法の相違によって、建枠外側規制部材及び建枠内側規制部材の個数が変動しても良い。
【0047】
また、本実施の形態では、6個の建枠外側規制部材111、112、121、122、123、124及び6個の建枠内側規制部材211、212、221、222、223、224の上端部の形状としてテーパ形状を例示及び説明したが、例えば、外側に丸みを付けた形状としてもよい。この構成によれば、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を足場用建枠整理具の内側へ確実に誘導することができ、縦杆1001、横杆1002及び補強材1003の外縁に傷が付くのを抑えることができる。
【0048】
さらに、6個の建枠外側規制部材111、112、121、122、123、124の上端部にテーパ形状を用いず、外側へ屈曲した屈曲部を形成しても良い。図11は、屈曲部を形成した場合の足場用建枠整理具の正面図である。このように建枠外側規制部材111、112、121、122、123、124についてのみ、建枠内側規制部材211、212、221、222、223、224より高い位置にて外側へ屈曲した屈曲部111c、112c、121c、122c、123c、124cを形成することによっても、複数の鳥居型建枠1000、1000、・・・を足場用建枠整理具の内側へ確実に誘導することができ、縦杆1001、横杆1002及び補強材1003の外縁に傷が付くのを抑えることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、足場用建枠として鳥居型建枠を用いた場合について説明しているが、鳥居型建枠と同様の収納方法で片付ける他の足場用建枠であっても、同様の構成の足場用建枠整理具を用いることにより同様の効果が期待できる。例えば、鳥居型建枠よりも簡素な構造である簡易枠を用いてもよい。
【0050】
図12は、簡易枠の一構成例を示す平面図である。図12において、簡易枠2000は、一対の縦杆2001、2001と、一対の縦杆2001、2001の一端2001a、2001a間を連結する横杆2002と、横杆2002の中央近傍の両内側部2002a、2002bから一対の縦杆2001、2001の他端2001b、2001bに向かって斜めに設けられた一対の補強材2003、2003とから構成される。
【0051】
このような簡易枠2000を用いる場合であっても、複数の簡易枠2000、2000、・・・を足場用建枠整理具の内側へ確実に誘導することができ、縦杆2001、横杆2002及び補強材2003の外縁に傷が付くのを抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明にかかる足場用建枠整理具は、低コストで、複数の足場用建枠を正確に位置決めして段積みすることができるという利点を有し、建物の建設や外壁塗装が完了した後の建築現場で複数の足場用建枠を整理する道具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施の形態に係る足場用建枠整理具の一外観構成例を示す斜視図
【図2】本実施の形態に係る足場用建枠整理具の正面図
【図3】本実施の形態に係る足場用建枠整理具の右側面図
【図4】本実施の形態に係る足場用建枠整理具の左側面図
【図5】本実施の形態に係る足場用建枠整理具の平面図
【図6】鳥居型建枠の一構成例を示す平面図
【図7】複数の鳥居型建枠を足場用建枠整理具の上方にまでフォークリフトで移送した状態を示す側面図
【図8】複数の鳥居型建枠を足場用建枠整理具内に導入している状態を示す側面図
【図9】複数の鳥居型建枠を足場用建枠整理具内に完全に導入した状態を示す側面図
【図10】複数の鳥居型建枠を足場用建枠整理具に収納した状態の平面図
【図11】屈曲部を形成した場合の足場用建枠整理具の正面図
【図12】簡易枠の一構成例を示す平面図
【符号の説明】
【0054】
1 足場用建枠整理具
111、112 横杆外側規制部材(建枠外側規制部材)
111a、112a 横杆外側規制部材の下端部
111b、112b 横杆外側規制部材の上端部
121、122、123、124 縦杆外側規制部材(建枠外側規制部材)
121a、122a、123a、124a 縦杆外側規制部材の下端部
121b、122b、123b、124b 縦杆外側規制部材の上端部
111c、112c、121c、122c、123c、124c 屈曲部
211、212 横杆内側規制部材(建枠内側規制部材)
211a、212a 横杆内側規制部材の下端部
211b、212b 横杆内側規制部材の上端部
221、222、223、224 縦杆又は補強材内側規制部材(建枠内側規制部材)
221a、222a、223a、224a 縦杆又は補強材内側規制部材の下端部
221b、222b、223b、224b 縦杆又は補強材内側規制部材の上端部
1000 鳥居型建枠
1001 縦杆
1001a 縦杆の一端
1001b 縦杆の他端
1002 横杆
1002a、1002b 横杆内側部
1003 補強材
2000 簡易枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平積み状態にある複数の足場用建枠を上方より誘導して該複数の足場用建枠の段積み状態を整える足場用建枠整理具であって、
上方へ延伸する柱形状を有し、前記複数の足場用建枠の外側に接触して前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する複数の建枠外側規制部材と、
上方へ延伸する柱形状を有し、前記複数の建枠外側規制部材と協働するように配置され、前記複数の足場用建枠の内側と接触して前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する複数の建枠内側規制部材と
を略水平方向に設置されている基底部材に備え、
前記複数の建枠外側規制部材の上端部は、外側から内側に向かって低くなるように傾斜するテーパ形状を有し、前記複数の建枠内側規制部材の上端部は、前記複数の建枠外側規制部材の上端部とは逆方向に傾斜するテーパ形状を有していることを特徴とする足場用建枠整理具。
【請求項2】
前記複数の建枠外側規制部材は、前記複数の建枠内側規制部材と同数設けられており、それぞれ前記複数の建枠内側規制部材と対向して配置してある請求項1記載の足場用建枠整理具。
【請求項3】
前記複数の足場用建枠はそれぞれ、一対の縦杆と、該一対の縦杆の一端間を連結する横杆と、前記横杆の両内側部から前記一対の縦杆の他端方向へ延伸し前記一対の縦杆に結合する一対の補強材とからなる鳥居型建枠であり、
前記複数の建枠外側規制部材は、前記横杆の外側に接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも2個の横杆外側規制部材と、前記縦杆の外側に接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも4個の縦杆外側規制部材とを備え、
前記複数の建枠内側規制部材は、前記横杆の内側に接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも2個の横杆内側規制部材と、前記縦杆又は前記補強材の内側と接触することで前記複数の足場用建枠の段積み位置を規制する少なくとも4個の縦杆又は補強材内側規制部材とを備え、
少なくとも2個の前記横杆外側規制部材及び少なくとも2個の前記横杆内側規制部材の高さは、少なくとも4個の前記縦杆外側規制部材及び少なくとも4個の前記縦杆又は補強材内側規制部材の高さよりも低い請求項2記載の足場用建枠整理具。
【請求項4】
少なくとも2個の前記横杆内側規制部材のそれぞれの上端部近傍と、少なくとも4個の前記縦杆又は補強材内側規制部材のうちの少なくとも2個の縦杆又は補強材内側規制部材の上端部近傍とを連結する少なくとも2個の連結部材をさらに備えた請求項3記載の足場用建枠整理具。
【請求項5】
少なくとも2個の前記連結部材はそれぞれ上面視でT字形状を有している請求項4記載の足場用建枠整理具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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