説明

足用マッサージ機

【課題】 足裏を踵からつま先にかけて指圧マッサージするとき、被施療者が痛みを感じたり、不快と感じることのない足用マッサージ機を提供することである。
【解決手段】 足先を挿入する第1凹部70の底面に配備された足裏を押圧する指圧子85と、指圧子を凹部の底面に沿って長手方向に往復移動させる駆動機構(モータ89)と、凹部70の左右両側壁に配備された側面エアバッグ80とを具え、側面エアバッグ80を膨張して足先が逃げないように固定した状態で、指圧子85を踵からつま先にかけて移動して足裏を指圧する際、被施療者が痛い、不快と感じる足裏の特定位置を指圧子が通過する際に、側面エアバッグの圧力を減らして、足先の固定を緩め、足先が指圧子から逃げられるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の足裏をマッサージする足用マッサージ機に関するものであり、より具体的には、足裏へのマッサージ効果を高めることのできる足用マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被施療者の足裏を、足裏の長手方向に沿って往復移動する指圧子により、指圧マッサージする足用マッサージ機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の足用マッサージ機は、被施療者の足先を挿入する凹部の底面に、底面エアバッグにより底面から出没する指圧子を有し、また指圧子を凹部底面の長手方向に移動可能としている。また、凹部の側面には、側面エアバッグを具える。
【特許文献1】特開2005−58300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記足用マッサージ機では、左右の側面エアバッグの膨張度合いを調整した状態で、指圧子を突出させ且つ往復移動させることで、足裏の内側、中央、外側の何れかの位置を踵からつま先にかけて指圧マッサージするようにしている。また指圧マッサージ中には、凹部側面の側面エアバッグを膨張して、足が浮き上がらないように凹部内に固定している。足裏の指圧で最も気持ちよく感じるところは土踏まずで、次に指の付け根である。
【0005】
このため、例えば、足裏の内側をかかと側からつま先へ向けてマッサージしたときに、指圧子が土踏まず部分を通過する場合や親指の付け根には、高いマッサージ効果を得ることができるが、足の親指の付け根付近(一般的に足長さが26cmの人で親指の付け根から2〜3cm土踏まずよりの位置)を通過したときに、指の付け根付近の骨に指圧子が当たり、痛みを感じたり、不快と感ずることがある。同様に、指圧子が足裏の中央、外側を通った場合にも、指の付け根付近の骨に指圧子が当たり、痛みを感じたり、不快と感ずることがある。
【0006】
この問題を回避するためには、指圧子が不快と感じる位置にきたときに、底面エアバッグを減圧して指圧子の高さを低くすればよいが、指圧子は土踏まずを押し付けるために上下方向の移動ストロークが大きくなっているので、不快と感じないようにするために指圧子の高さを低くするのに費やす時間が長くなってしまい、滑らかなマッサージができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、被施療者の足裏を指圧マッサージするとき、マッサージ効果を高めると共に、被施療者が痛みを感じたり、不快と感じることのない足用マッサージ機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の足用マッサージ機は、
被施療者の足先を挿入する凹部と、
凹部の底面に配備され被施療者の足裏を押圧する指圧子と、
該指圧子を凹部の底面に沿って長手方向に往復移動させる駆動機構と、
凹部の左右両側壁の少なくとも何れか一方に配備された側面エアバッグと、
該側面エアバッグの膨張及び収縮と、駆動機構を制御する制御手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
制御手段は、被施療者が不快と感じる足裏の特定位置を記憶する記憶手段を有し、膨張した前記側面エアバッグにより足先を浮き上がらないように固定した状態で指圧子を凹部の長手方向に往復移動させるとき、指圧子が前記特定位置を通過する際に前記側面エアバッグの空気圧を減圧するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の足用マッサージ機によれば、被施療者の足裏を踵からつま先にかけて指圧マッサージするとき、不快と感じる足裏の特定位置に指圧子がくると、足先を浮き上がらないよう固定していた側面エアバッグの空気圧を減圧して、足先の固定を緩める。従って、被施療者が自分で足先を指圧子から遠ざけるように動かして、痛みや不快から回避することができる。指圧子の突出量が土踏まずを充分に指圧できるように大きくても、不快から回避するために指圧子を引き込ませる時間は必要なく、滑らかなマッサージができ、マッサージ効果を高めることができる。
【0010】
指圧子が、凹部底面の裏側に配備された底面エアバッグの膨張により凹部底面より突出して足裏を指圧するものでは、指圧子が不快と感じる特定位置を通過する際には、底面エアバッグの空気圧をも減圧するようにして、指圧子を少しでも引き込ませれば、より痛みや不快から回避することができる。
【0011】
また足サイズに応じて不快と感じる特定位置を設定すれば、足サイズに関係なく、痛みや不快を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を適用することのできる足用マッサージ機(10)について、図面に沿って説明する。
【0013】
図1は、本発明の足用マッサージ機(10)を斜め前方から見た斜視図、図2は、リクライニング可動部(50)を後方に倒した状態を示す斜視図、図3は、底面側から見た斜視図である。また、図4は、図1の線X−Xに沿う断面図、図5は、ベース部(20)からリクライニング可動部(50)を取り外した状態を示す斜視図、図6は、リクライニング可動部(50)を下方から見た斜視図である。さらに、図7は、図1の線Y−Yに沿う断面図であって、リクライニング可動部(50)が起立した状態を示しており、図8は、リクライニング可動部(50)が後傾した状態を示す断面図、図9は、図1の線Z−Zに沿う断面図であって、リクライニング可動部(50)が起立した状態を示しており、図10は、リクライニング可動部(50)が後傾した状態を示す断面図である。なお、図7乃至図10は、レール部(30)(60)の形状をわかりやすく示すものであり、内部構造等を省略又は簡略化して示している。
【0014】
図に示すように、足用マッサージ機(10)は、床面に載置されるベース部(20)と、該ベース部(20)に揺動可能に支持されるリクライニング可動部(50)から構成される。リクライニング可動部(50)には、後述するように、被施療者の足先を収容する第1凹部(70)と、被施療者のふくらはぎを収容する第2凹部(74)が形成されており、第1凹部(70)及び第2凹部(74)の側面及び/又は底面には、マッサージ手段が複数配備される。マッサージ手段として、後述するように、エアバッグ(80)(81)(82)(83)及び指圧子(85)(図9、図11参照)を例示できる。
【0015】
ベース部(20)は、内部中空の樹脂製ケーシング(21)から形成される。ベース部(20)の内部には、リクライニング可動部(50)にマッサージ手段として配備されるエアバッグ(80)(81)(82)(83)に圧縮空気を送給するエアポンプ(12)、制御基板や電源ユニット(図示せず)が収容される。
【0016】
ベース部(20)の左右上部には、図4及び図5に示すように、前後方向に伸びる左右一対のレール部(以下「第1レール部(30)(30)」という)が形成されている。第1レール部(30)(30)は、夫々下向きに湾曲した断面矩形形状であり、上面中央には、長手方向に沿って幅狭のスリット(31)が形成されている。第1レール部(30)(30)には、後述するリクライニング可動部のローラ部(以下「第2ローラ部(64)(64)」という)が転動可能に嵌まる。
【0017】
第1レール部(30)(30)は、湾曲形状であればよく、図7及び図8に示すように、前方が円弧状であり、後方に近づくにつれて、直線状となる形状を例示できる。このような形状とすることで、リクライニング可動部(50)の揺動の際に、リクライニング可動部(50)が固定支点(仮想支点)を中心とする揺動運動ではなく、揺動中心が前方にスライドしつつ傾動して、被施療者の足に負担のない動きを実現できる。なお、第1レール部(30)を円弧状としてもよい。
【0018】
ベース部(20)の後端には、図5及び図9に示すように、上向きに左右一対のブラケット(32)(32)が突設されており、該ブラケット(32)(32)の上端には、後述するリクライニング可動部(50)のレール部(以下「第2レール部(60)(60)」という)に嵌まるローラ部(以下「第1ローラ部(34)(34)」という)が回動自在に軸支されている。第1ローラ部(34)(34)は、夫々ゴム又は樹脂材料から形成することができる。
【0019】
ベース部(20)の下面は、図3及び図4に示すように、2条の凹部(22)(22)が形成されており、各凹部(22)(22)には、車輪(40)(40)が軸支され、足用マッサージ機(10)を床面に沿って前後に移動可能となっている。
【0020】
リクライニング可動部(50)は、内部中空の樹脂製ケーシング(51)から形成される。ケーシング(51)は、下側が前方に向けて突出し、後端側が上向きに突出している。ケーシング(51)には、図1及び図4等に示すように、被施療者の足先を挿入する左右一対の第1凹部(70)(70)と、各第1凹部(70)(70)の後端から連続し、被施療者のふくらはぎを挿入する第2凹部(74)(74)が凹設されている。第1凹部(70)(70)間及び第2凹部(74)(74)間には、中央壁(78)が立設されている。第1凹部(70)(70)及び第2凹部(74)(74)には、後述するとおり、被施療者にマッサージを施すマッサージ手段が配備される。
【0021】
リクライニング可動部(50)の後端左右には、図5、図6及び図9等に示すように、前記ベース部(20)の第1ローラ部(34)(34)が嵌まる第2レール部(60)(60)が形成されている。第2レール部(60)は、後方に向けて膨らむ方向に湾曲した断面矩形形状であり、後面側に長手方向に沿う幅狭のスリット(61)が形成されている。
【0022】
第2レール部(60)(60)は、湾曲形状であればよく、図示の実施例では、円弧状としている。円弧状とする場合、円弧角度は、約90〜120°とすることが望ましい。また、前記ベース部(20)の第1レール部(30)(30)と同じ湾曲形状としてもよいし、曲率や長さ、円弧角度等を変えて形成してもよい。
【0023】
また、リクライニング可動部(50)の前後方向における中央の左右には、前記ベース部(20)の第1レール部(30)に嵌まる第2ローラ部(64)(64)が回動自在に軸支されている。第2ローラ部(64)(64)は、夫々ゴム又は樹脂材料から形成することができる。
【0024】
第1凹部(70)(70)及び第2凹部(74)(74)の側面、底面には、マッサージ手段が配備される。本実施例では、マッサージ手段として、図9に示すように、第1凹部(70)(70)の底面に指圧子(85)(85)を配備し、第1凹部(70)(70)の左右両側壁に左右の側面エアバッグ(80)(80)、さらに、第2凹部(74)(74)の左右側面に左右の側面エアバッグ(81)(81)、底面に底面エアバッグ(82)を配置している。第1凹部(70)の側面に配備された左右の側面エアバッグ(80)(80)は、被施療者が足先を第1凹部(70)に挿入したときに、被施療者の足先を左右から挟むように配置される。
【0025】
指圧子(85)は、図9、図11に示すように、第1凹部(70)の底面に前後方向に長く開設された長孔(72)から出没可能且つ長孔(72)に沿って前後に移動可能に配備される。具体的には、図11に示すように、指圧子(85)の下端は底面エアバッグ(83)に連結されており、底面エアバッグ(83)は、左右の第1凹部(70)(70)の指圧子(85)(85)に対応する左右のケース(86)に収容され、マッサージユニット(86a)を構成する。左右のマッサージユニット(86a)は、接続プレート(87)で連結され、マッサージユニット(86a)が、第1凹部(70)に沿って前後に往復移動可能となるように、駆動機構に接続される。
【0026】
駆動機構は、モータ(89)を主体として構成される。接続プレート(87)に設けられたネジ筒(図示せず)は、第1凹部(70)の底面に沿って平行に軸支されたネジ軸(88)に接続されており、ネジ軸(88)は、減速機構(89a)を介してモータ(89)(図9参照)に接続されている。
【0027】
ネジ軸(88)が回転すると、接続プレート(87)が前後移動し、指圧子(85)が長孔(72)に沿って移動する。図9及び図11では、指圧子(85)が最も前方と後方へ移動した様子を示す。
【0028】
左右の第1凹部(70)(70)及び第2凹部(74)(74)に配置されたエアバッグ(80)(81)(82)及び指圧子(85)を出没させるエアバッグ(83)は、夫々配管に接続され、配管はリクライニング可動部(50)のケーシング(51)内に侵入している。各配管には、電磁弁(13A)〜(13D)(図13参照)が接続されている。各電磁弁(13A)〜(13D)から伸びる配管は、ベース部(20)に伸びて、エアポンプ(12)に接続される。なお、電磁弁よりも上流側の配管は、1又は数本にまとめて、エアポンプ(12)に接続させることが望ましい。これにより、リクライニング可動部(50)とベース部(20)とを繋ぐ配管の数を減らすことができる。各電磁弁(13A)〜(13D)は、開くとエアポンプからの圧縮空気を対応するエアバッグに供給して膨張させ、閉じるとエアポンプとの通路を遮断すると共に対応するエアバッグを大気中に連通して、中の空気を排気し収縮させる。また、左右の第1凹部(70)(70)及び第2凹部(74)(74)には、夫々エアバッグ(80)(81)(82)(83)が配置され、さらに側面エアバッグ(80)(81)については各凹部(70)(74)の左右の側壁に配置されているが、これら各々複数の各エアバッグ(80)(81)(82)(83)は、夫々対応する一個の電磁弁(13A)〜(13D)で同時に操作される。
【0029】
本発明の足用マッサージ機(10)のすべての制御は、制御手段(90)により行なわれる。制御手段(90)には、図12に示すように、マッサージ手段、本実施例ではエアバッグ(80)(81)(82)(83)を膨張させるエアポンプ(12)及び電磁弁(13A)〜(13D) 、指圧子(85)及びエアバッグ(83)が搭載されたマッサージユニット(86a)の位置を調整するモータ(89)、操作部(91)、種々のプログラム、マッサージコースを記憶したRAM(96)、フラッシュメモリ(97)、等が接続される。制御手段(90)の中に、RAM(96)、フラッシュメモリ(97)を含めてもよい。
【0030】
また、操作部(91)には、各種操作スイッチの他、足サイズを選択する足サイズ決定スイッチ(94)を有する。また制御手段(90)本体には、足裏を指圧マッサージする場合に、痛みを感じたり、不快と感ずる特定位置を記憶する記憶手段(98)が内蔵されている。この特定位置は、足サイズ決定スイッチ(94)で決定した足サイズごとに記憶されている。
【0031】
かかる構成において、左右の第1凹部(70)(70)に左右の足先を、第2凹部(74)(74)にふくらはぎを挿入し、側面エアバッグ(80)や(81)を膨張収縮させることにより、足先やふくらはぎを側面から押圧してマッサージする。また底面エアバッグ(83)を膨張させることにより、足裏を指圧子(85)により押圧して指圧マッサージを与えることができ、また底面エアバッグ(82)を膨張させることにより、ふくらはぎの裏面を押圧してマッサージを与えることができる。
【0032】
次に、指圧子(85)を突出させながら駆動機構(モータ(89))を駆動して、指圧子(85)を踵からつま先にかけて移動させて、指圧マッサージする場合について、図14のフローチャートに基づいて説明する。この場合、指圧効果を上げるために、側面エアバッグ(80)を膨張させて、足先を側面から押圧して浮き上がらないように第1凹部(70)に固定する。
【0033】
足裏をかかと側からつま先へ向けてマッサージしたときに、指圧子(85)が土踏まずや指の付け根に位置するときには、高いマッサージ効果を得ることができるが、指の付け根から若干土踏まず側へ寄った付近では、指の付け根付近の骨に指圧子(85)が当たり、痛みを感じたり、不快と感ずることがある。この不快と感ずる特定位置は、足サイズによって異なる。(例えば、足長さが26cmの人で親指の付け根から2〜3cm土踏まずよりの位置が不快と感ずる。)
そこでステップ1で、足サイズを足サイズ決定スイッチ(94)により決定する。この決定に基づいて、記憶手段(98)に記憶されている足サイズに応じた不快と感ずる特定位置を決定する(ステップ2)。マッサージが開始され、指圧子(85)が突出した状態で、踵からつま先にかけて移動を開始する。(ステップ3)
指圧子(85)の現在位置を認識して、現在位置が不快と感ずる特定位置かどうか判定し(ステップ4)、特定位置でなければ、何ら変更なく指圧マッサージを続ける(ステップ5)。特定位置であれば、側面エアバッグ(80)を減圧すると同時に、底面エアバッグ(83)も減圧する(ステップ6)。具体的には、各エアバッグ(80)(83)への配管路にある電磁弁(13A)(13D)を閉じ、各エアバッグ(80)(83)を大気中へ連通し、中の空気を排気することにより行なう。
【0034】
この結果、側面エアバッグ(80)による足先が浮き上がらないよう固定する力が弱まり、被施療者が自分で足先を指圧子(85)から遠ざかるように動かして、痛みや不快から回避することができる。同時に、底面エアバッグ(83)による指圧子(85)を突出させる力も弱まって突出量が下がるので、一層、痛みや不快から回避することができる。
【0035】
所定のマッサージ時間が経過するか、操作部(91)からの終了命令があると(ステップ7)マッサージを終了する。
【0036】
指圧子(85)の現在位置の認識は、指圧子(85)を駆動する駆動機構のモータ(89)の出力パルスをモータエンコーダ(92)(図12参照)でカウントし、所定の基準点(例えば最も踵寄りの位置にあるリミットスイッチ(92a)等により設定できる)からのカウント数で認識することができる。
【0037】
不快と感ずる特定位置は、マサージ中に被施療者が操作部(91)を操作することで設定してもよい。そのために、操作部(91)に、特定位置を設定する入力部(93)を設け、指圧子(85)が移動している際に、被施療者が不快と感じたり痛みを感じた場合に、入力部(93)を操作することで、制御手段(90)は、不快位置又はその不快位置範囲を記憶手段(98)に記憶し、以降のマッサージ動作では、前記及び図14の要領で、不快を回避することができる。
【0038】
また不快と感ずる特定位置は、足サイズを足サイズ検知手段で自動的に検出し、検出した足サイズに基づいて、特定位置を算出して、この算出値を、記憶手段(98)に記憶させておいてもよい。足サイズは、指圧子(85)を第1凹部(70)の長手方向に移動させる際の指圧子(85)の突出量の変化や、底面エアバッグ(83)の圧力変化、さらには、各種センサにより測定することができる。
【0039】
なお、側面エアバッグ(80)は、第1凹部(70)の左右両側面に設けたが、足先が浮き上がらないようにするためには、少なくとも一方の側面に設けて、他方の側面と共同して足先を浮き上がらないように挟持して保持することもできる。
【0040】
また左右の側面エアバッグ(80)(80)を個別に膨張できるようにして、指圧子(85)が踵からつま先へ移動中に、左右の側面エアバッグ(80)(80)の膨張度合いを変えることにより、指圧子(85)の移動軌跡を足裏の中央、内側寄り、外側寄りと任意に変化させることも勿論可能である。
【0041】
以上の実施例では、左右の第1凹部(70)(70)と第2凹部(74)(74)で、左右の脚(以下、足先、ふくらはぎを含むものとする)を同時にマッサージできるものであるが、使用者が片方の脚を施療したくない状況になる場合がある。(例えば、片脚に怪我を負っている場合等)この場合、施療を行いたくない脚をマッサージ機の外へ出さなければならない。マッサージ機のエアバッグは、通常左右両脚の同じ箇所に配置されているエアバッグ(例えば左の第1凹部(70)にある底面エアバッグ(83)と、右の第1凹部(70)にある底面エアバッグ(83))は同時に膨張収縮させるために連通しており、片脚を外へ出した状態でマッサージすると、外へ出した方は無負荷となって脚を入れている側のエアバッグに比べ膨張度合いが増し、逆に脚を入れている側のエアバッグは充分に膨張せず、良いマッサージ感が得られなくなる。
【0042】
そこで左右の脚を夫々マッサージする左右のエアバッグの配管に各々電磁弁を介在して、左右のエアバッグを独立して制御できるようにする。そして操作部(91)に左右の脚を夫々単独で施療するかどうかを選択する左右選択スイッチ(95)を設け、この選択スイッチ(95)により、選択した方の脚のみを単独でマッサージできるようにすればよい。この場合選択されない側のエアバッグは電磁弁が閉じて膨張しない。選択スイッチ(95)により片脚のマッサージを設定すると、膨張するエアバッグの数が減るので、ポンプの出力をそのままにしておくと、膨張すべき選択した側のエアバッグへの空気の供給量が増加し、押し圧が変化してしまうので、膨張を停止させるエアバッグの数量分、ポンプの出力を下げるようにしている。
【0043】
図15はこの時の動作を示すフローチャートである。右脚のみをマッサージしたい場合、ステップ1のY、ステップ2のNを経て、左脚のマッサージを停止させる(ステップ5)と共にエアポンプ(12)の出力を減少させ(ステップ6)、右脚のマッサージをコースが終了するまで行なう(ステップ7、ステップ8)。左脚のみをマッサージしたい場合、ステップ1のNを経て、右脚のマッサージを停止させる(ステップ3)と共にエアポンプ(12)の出力を減少させ(ステップ4)、ステップ2のYを経て、左脚のマッサージをコースが終了するまで行なう(ステップ7、ステップ8)。
【0044】
従って、選択した左右の脚のみを、両脚マッサージする場合と同じ押し圧でマッサージすることができ、またポンプ出力も下げるので、省エネ効果も期待できる。
【0045】
また使用者の左右の脚が第1凹部(70)(70)と第2凹部(74)(74)の正しい位置に挿入されていない状態でマッサージを行なうと、設計者の意図としないポイントをマッサージすることになり、痛みや不快感を与えることになるので、左右の脚が正しい位置に挿入されているかどうかを検出する脚検知センサを設け、正しく設置されていない場合は、その設置されていない方の脚のマッサージを停止することもできる。
【0046】
脚検知センサとしては、図9の点線で示したように、第1凹部(70)(70)の踵と接する部分に設けられた圧力センサ(100)を例示でき、足先が正しい位置に置かれているかどうかを検知する。また第2凹部(74)(74)のふくらはぎが接する部分にも圧力センサ(100)を設けて、ふくらはぎが正しい位置に置かれているかどうかを検知してもよい。
【0047】
図16は、脚検知センサにより動作させるためのフローチャートを示す。右脚が正しい位置に検知されない場合は(ステップ1のN)、右脚のマッサージを停止させ(ステップ2)、左脚が正しい位置に検知されない場合は(ステップ3のN)、左脚のマッサージを停止させている(ステップ4)。この時、各脚のマッサージを停止させると同時に、図15と同様に、ポンプ出力を低減させれば、両脚マッサージする場合と同じ押し圧でマッサージすることができる。正しい位置に設置された左右の脚に対しては、コースが終了するまでマッサージを行なう(ステップ5、ステップ6)。
【0048】
ところで、図13のように、1つのポンプ(12)で複数個のエアバッグ(80)(81)(82)(83)を膨張させるとき、エアバッグの圧力(人体への押し圧)は、ポンプ(12)の出力で調整し、どのエアバッグを膨張させるかは電磁弁(13A)〜(13D)を開閉することにより選択している。エアバッグの人体への押し圧を弱くするため、使用者がポンプ出力を弱く設定していると、エアバッグが膨らむまでに時間がかかり、エアバッグの膨らみ開始から所定の押し圧が人体に加わるまでの空白時間によって円滑なマッサージができないことが考えられる。
【0049】
このために、エアバッグの圧力を小さく設定した場合であっても、エアバッグの膨張開始から所定時間は、ポンプの出力を最大又は大きくし、途中から設定したポンプ出力でエアバッグを膨張させることにより、エアバッグの膨らみ開始から人体に所定の押し圧力を加えるまでの空白時間を短縮でき、好みの強さのマッサージが短時間で可能になる。
【0050】
ポンプの出力を最大(又は大きくして)から所定の出力に切替えるタイミング、即ち上記所定時間は、膨らませるエアバッグの大きさや、エアバッグの個数によって個々に設定される。エアバッグの個数が多くまたエアバッグが大きいほど、所定時間は長く設定される。
【0051】
またエアバッグによるマッサージは、マッサージ開始時はエアバッグが人体(脚)に充分に沿わずに施療が弱く感じることがあるので、使用者は強めのマッサージを設定しがちである。ところが施療が進むにつれて、エアバッグが人体形状に沿うようになり、今度は逆に希望の強さより強く感じるようになることがある。
【0052】
そこで、マッサージ開始時にはエアバッグの圧力を強めに設定しておき、施療の進行に従って弱くなるように設定しておくとよい。例えば、通常1回のマッサージ時間は15分程度であり、数分程度のマッサージパターンを1サイクルとして、これを数回繰り返すマッサージプログラムの場合、1サイクル目は強めの圧力に設定し、2サイクル目以降は1サイクル目のエア圧力に対して1割程度低くなるようにする。この結果体感強さを、マッサージ開始から終了までほぼ一定にすることができる。
【0053】
上記した足用マッサージ機(10)は、足専用のマッサージ機として単体で用いることができるし、被施療者の腰掛ける座部と、該座部の後端に配備され被施療者の背中の当たる背凭れ部と、座部の前端に配備され被施療者のふくらはぎ及び足先をマッサージする脚部と、を具えた椅子型マッサージ機の脚部に搭載することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、被施療者が好適な足裏マッサージを受けることができる足用マッサージ機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の足用マッサージ機を斜め前方から見た斜視図である。
【図2】リクライニング可動部を後方に倒した状態を示す足用マッサージ機の斜め前方から見た斜視図である。
【図3】足用マッサージ機を底面側から見た斜視図である。
【図4】図1の線X−Xに沿う断面図である。
【図5】ベース部からリクライニング可動部を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】リクライニング可動部を下方から見た斜視図である。
【図7】図1の線Y−Yに沿う断面図であって、リクライニング可動部が起立した状態を示している。
【図8】図1の線Y−Yに沿う断面図であって、リクライニング可動部が後傾した状態を示している。
【図9】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、起立した状態のリクライニング可動部に被施療者の足を挿入した状態を示している。
【図10】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、後傾した状態のリクライニング可動部に被施療者の足を挿入した状態を示している。
【図11】図1の線Z−Zに沿う断面図であって、マッサージユニットの内部機構を断面して示す図である。
【図12】制御手段のブロック図である。
【図13】ポンプとエアバッグの配管図である。
【図14】不快な特定位置を含む足裏のマッサージ動作を示すフローチャート図である。
【図15】左右いずれかの脚のみをマッサージする動作を示すフローチャート図である。
【図16】左右の脚が正しい位置に設置されていない場合の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0056】
(10) 足用マッサージ機
(20) ベース部
(50) リクライニング可動部
(70) 第1凹部(凹部)
(80) 側面エアバッグ
(83) 底面エアバッグ
(85) 指圧子
(89) モータ(駆動機構)
(90) 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の足先を挿入する凹部と、
凹部の底面に配備され被施療者の足裏を押圧する指圧子と、
該指圧子を凹部の底面に沿って長手方向に往復移動させる駆動機構と、
凹部の左右両側壁の少なくとも何れか一方に配備された側面エアバッグと、
該側面エアバッグの膨張及び収縮と、駆動機構を制御する制御手段と、
を具えた足用マッサージ機において、
制御手段は、被施療者が不快と感じる足裏の特定位置を記憶する記憶手段を有し、膨張した前記側面エアバッグにより足先を浮き上がらないように固定した状態で指圧子を凹部の長手方向に往復移動させるとき、指圧子が前記特定位置を通過する際に前記側面エアバッグの空気圧を減圧するようにしたことを特徴とする足用マッサージ機。
【請求項2】
前記指圧子は、凹部底面の裏側に配備された底面エアバッグの膨張により凹部底面より突出して足裏を指圧するもので、前記制御手段は、指圧子が前記特定位置を通過する際には、底面エアバッグの空気圧をも減圧するようにした請求項1に記載の足用マッサージ機。
【請求項3】
前記制御手段は、被施療者の足サイズ毎に不快と感じる足裏の特定位置を記憶する記憶手段を有している請求項1又は請求項2に記載の足用マッサージ機。
【請求項4】
前記凹部には、被施療者の足先が挿入され、被施療者の足の大きさを検知する足サイズ検知手段を有し、
該足サイズ検知手段は、制御手段に電気的に接続され、制御手段は、足サイズ検知手段により検知された足の大きさに基づいて、不快と感じる足裏の特定位置を算出し、前記記憶手段に記憶するようにした請求項1又は請求項2に記載の足用マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−213733(P2009−213733A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62017(P2008−62017)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】