説明

足裏指圧装置

【課題】浴室で使用することができる足裏の指圧装置に関し、足裏にある複数のツボへの手指による指圧動作に近い動作をそれぞれのツボに対向して設けた突起に行わせることが可能な流体圧駆動の足裏指圧装置を提供する。
【解決手段】突出高さを押し揉みないし押しずらし方向に順次低くし、かつそれぞれの突起を個別に突出方向に付勢するばねやスポンジなどの弾器を設けた突起群を押しずらし動作の必要な親指の腹の部分及び/又は土踏まずの前縁内側縁寄りの部分に設けて、これらの突起群を単純に足裏に向けて進退させたときに、高さの異なる複数の突起の順次押込み動作により、ツボに押しずらし動作を与えたときと同様な押圧作用を付与する。手動の加圧器を用いれば、循環ポンプなどの付属設備も不要となり、一般家庭での使用にも適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室で使用することができる足裏の指圧装置に関するもので、人間の手指による指圧効果と同様な効果を発揮できるようにした上記装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
足裏を載せる足載せ台に足裏に向けて1個ないし多数の突起を設け、この突起を足裏に向けて付勢することにより、指圧ないしマッサージ効果を得ようとする装置は公知である。指圧ないしマッサージは、浴室ないし浴槽内で行うことにより、体調改善や疲労回復効果をよりよく発揮させることができるが、駆動源として電気を用いるものは、湿気による電気系統の故障や感電のおそれがあるため、浴室や浴槽内での使用には適していない。
【0003】
そこで、駆動源としてポンプで循環させた浴槽内の温水を駆動源とする装置が提案されている。また、浴室での使用を意図したものではないが、空気圧駆動の装置も提案されている。
【0004】
足裏の指圧ないしマッサージ装置は、指圧効果を得るための進退する突起を備えており、いわゆるツボの位置にのみ突起を設けたものや、足裏全面に当たる多数の突起を設けたものがあるが、これらの従来装置は、いずれも足裏への突起の押圧と押圧解除とを単純に繰り返す構造で、人間が手指でツボ治療を行うときのように、ツボを足裏の前後や左右方向に押し動かすことはできない。
【特許文献1】特開2003‐275277号公報
【特許文献2】特開2002‐126037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
足裏のツボに対する指圧効果をより有効に発揮させるためには、当該ツボを押圧する突起に指圧師が手指で行っている動作と同様な動作をさせてやればよいが、足裏の複数のツボを押圧する突起にそれぞれ独自の動きをさせようとすると、装置の構造が複雑になる。特に浴槽内でも使用可能な装置にしようとすると、個々の動作部分に対するシール構造も必要となって、装置が極めて複雑高価となり、また保守も面倒になって、一般家庭では到底使用することができない装置になってしまう。
【0006】
足裏にある主要なツボとして、親指の腹の部分、土踏まずの内側縁の前縁部分及び湧泉と呼ばれる足裏中心の前よりの部分があげられる。これらの部分の手指による押圧方法としては、親指の腹については、押しながら手指を指の根元から指先の方へとずらす動き、土踏まずの前縁部分については、足裏の内側の縁の方から足裏の中心の方へと押しながらずらす動きで指圧が行われており、湧泉については、単純に押す又は叩く動作で指圧が行われている。
【0007】
これらの動作の内、湧泉に対してのものは、比較的容易に実現可能で、前記特許文献1には、湧泉に対向する突起を流体圧で進退させる構造が示されている。しかし、他の2箇所に対する押し揉むないし押しずらす動作は、その方向が異なることもあって、湧泉や足裏全体への指圧作用と同時に実現することは困難である。
【0008】
この発明は、足裏にある複数のツボへの手指による指圧動作に近い動作をそれぞれのツボに対向して設けた突起に行わせることが可能な流体圧駆動の簡単な構造の足裏指圧装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明では、突出高さを押し揉みないし押しずらし方向に順次低くし、かつそれぞれの突起を個別に突出方向に付勢するばねやスポンジなどの弾器を設けた突起群を押しずらし動作の必要な親指の腹の部分及び/又は土踏まずの前縁内側縁寄りの部分に設けて、これらの突起群を単純に足裏に向けて進出させたときに、高さの異なる複数の突起の順次押込み動作により、ツボに押しずらし動作を与えたときと同様な押圧作用を付与することにより、上記課題を解決している。
【0010】
本願の請求項1の発明に係る足裏指圧装置は、湧泉及び/又は足裏全体に対する指圧動作と共に、親指の腹に対する押しずらし動作を行わせる足裏指圧装置であり、足裏に向いた突起6を備えた足載せ台5と、前記突起を進出方向に付勢する加圧流体を受入れる流体室3と、この流体室の加圧と加圧解除とを行う開閉弁11ないし加圧器55とを備えた足裏指圧装置において、前記突起は、親指の腹に当たる部分に、指先側から根本側へと順に高くかつ突出方向に付勢された複数の突起からなる親指用突起群8を含んでいることを特徴とするものである。
【0011】
また、本願請求項2の発明に係る足裏指圧装置は、湧泉及び/又は足裏全体に対する指圧動作と共に土踏まずの前縁部に対する押しずらし動作を行わせる足裏指圧装置であり、足裏に向いた突起6を備えた足載せ台5と、前記突起を進出方向に付勢する加圧流体を受入れる流体室3と、この流体室の加圧と加圧解除とを行う開閉弁11ないし加圧器55とを備えた足裏指圧装置において、前記突起は、土踏まずの内縁側前縁に当たる部分に、足裏の内側から内縁側へと順に高くかつ突出方向に付勢された、複数の突起からなる土踏まず前縁用突起群9を含んでいることを特徴とするものである。
【0012】
また、本願の請求項3の発明は、湧泉及び/又は足裏全体に対する指圧動作と共に、親指の腹に対する押しずらし動作と土踏まず前縁部に対する押しずらし動作とを共に行わせるようにした足裏指圧装置であり、足裏に向いた突起6を備えた足載せ台5と、前記突起を進出方向に付勢する加圧流体を受入れる流体室3と、この流体室の加圧と加圧解除とを行う開閉弁11ないし加圧器とを備えた足裏指圧装置において、前記突起は、親指の腹に当たる部分に、指先側から根本側へと順に高くかつ突出方向に付勢された複数の突起からなる親指用突起群8と、土踏まずの内縁側前縁に当たる部分に、足裏の内側から内側縁へと順に高くかつ突出方向に付勢された、複数の突起からなる土踏まず用突起群9とを含んでなり、この土踏まず用突起群と前記親指用突起群との間隔を調整する位置決め機構33を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の構造における位置決め機構33は、親指に対向する突起群8と、土踏まず前縁部に対向する突起群9との間隔を使用する人の足の大きさに合せて設定可能にするためのものである。
【0014】
これらの足裏指圧装置は、上記突起群8、9と共に、湧泉に対向する位置に1個又は数個の湧泉押圧用の突起を備えているか、下記実施形態に示すように足裏全体を押圧する多数の固定的な突起を備えているか、あるいは足裏全体の突起と湧泉に対向する突出高さの高い突起とを備えた構造とする。これにより、湧泉及び/又は足裏全体と親指の腹及び/又は土踏まず前縁に対する指圧動作とが同時に行われることになる。
【0015】
上記構造の足裏指圧装置の流体室3を加圧及び加圧解除する開閉弁や加圧器としては、手動の開閉弁11や手動の加圧器55を用いるのが便利であり、装置の使用者自身が各人の好み及び目的とするツボへの押圧周期に応じた周期で開閉弁11や加圧器55を操作することにより、個々の使用者に応じたより良好な指圧効果が期待できる。更に、手動の加圧器55を用いたときは、ツボへの最適な押圧力の調整も使用者自身で容易に行うことができる。
【0016】
上記のこの発明の足裏指圧装置は、公知の機械要素の各種の組合せで実現可能であるが、特に請求項5に記載のように、流体容器56と、戻りばね60を有する操作レバー59と、当該操作レバーに連結されて往復動するピストン57と、当該ピストンの両側の流体室を連通する流体通路68a及び加圧流体の出口85に設けられた逆止弁61、62と、当該逆止弁の開放装置63、64とを備えた加圧器55を採用することにより、好みの時に浴槽内を含む好みの場所で手軽に使用できるをコンパクトで安価な足裏指圧装置を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
この発明により、足裏にある複数のツボへの手指による押しずらし動作に近い押圧操作を簡単な構造の流体圧駆動で行わせることができる足裏指圧装置が得られる。従って、この発明の装置を用いることにより、浴室や浴槽内で人手を借りずに足裏への効果的な指圧を行うことが可能になり、かつ装置を安価に提供できると共に、循環ポンプなどの付属設備も不要であるから、一般家庭での使用にも適しているという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。図の装置は、可搬式の基台1の上面に設けた凹所をダイヤフラム2で閉鎖して流体室3を形成し、ダイヤフラム2の表面中央に押接されて進退するロッド4の先端に足載せ台となる受板5を連結し、この受板の上面に足裏全体を押圧する多数の突起6を設けると共に、親指の腹に対向する部分と土踏まずの内側縁前縁に対向する部分とに高さを順次高くし、かつ内蔵ばね7で付勢された突起群8、9を設けた構造である。
【0019】
流体室3への加圧流体の開閉器としては、片手で操作するレバー10によって流体通路を開閉する開閉弁11を用いる例と、両手で操作するレバー59によって圧力流体を発生する加圧器55を用いる例が示されている。以下、装置の詳細構造について説明する。
【0020】
基台1は、前後に搬送用の把手12を設けた樹脂成形品で、上面4箇所すなわち両側の足の足裏中央の前方と後方となる位置に流体室3となる浅い皿状の凹所が設けられている。流体室3は、その底面に小面積の升3aを備えている。基台1の底部中央前後方向に流体室3への流体の通路となる通孔13が設けられ、この通孔からキの字形に枝分れした枝孔14がそれぞれの流体室3の升3aに連通されている。通孔13は、基台1の爪先側に開口し、後述する手動の開閉弁や加圧器に連通するホース15がこの開口に連結されている。
【0021】
基台1には、両足の足裏の中央と両外側となる位置に前後方向に細長いベルト通し17が立設されている。このベルト通し17は、受板5を緩くガイドするガイド部材ともなっている。
【0022】
流体室3を形成する凹所には、押え蓋18で周縁を固定された薄いゴムシートからなるダイヤフラム2が嵌め込まれている。押え蓋18は、中央にロッド4を緩く案内するガイド孔20を備え、内側にダイヤフラム2の膨出を許す空間21を備えている。押え蓋18は、周縁に設けた複数のボルト孔に挿通したボルトで基台1に締結されており、ダイヤフラム2の周縁は、押え蓋18の周縁と基台1側の凹所の底面とで挟持された状態で固定されている。
【0023】
ロッド4は、下端に鍔22を備えており、ロッド4に挿通されて鍔22の上面と押え蓋18との間に装架された圧縮ばね23により、鍔22の下面がダイヤフラム2に押接された状態となっている。ロッド4は、各流体室3に設けられており、従って押え蓋18を取り付けた基台1から4本のロッド4が突出し、この4本のロッドは、通孔13への流体圧の供給と排出とに同期して、同時に昇降することとなる。
【0024】
受板5は、この4本のロッドの先端に設けたねじで固定されている。より詳しく言うと、上面に足裏全体を押圧する多数の突起を一体に設け、かつ中央に中央のベルト通し17に緩く嵌合する前後方向に細長いガイド孔24を上下に貫通して設けた樹脂成形品からなる受板の裏面に凹部25が形成してあり、この凹部25を閉鎖するように受板5の裏面に固定したステンレス板26にロッド4の先端がナット27で締結されている。受板の凹部25は、このナットを収納するためと、親指用突起群8のベース28の鍔28aを脱落不能に案内するために形成されたものである。
【0025】
受板5には、上面全体に亘って多数の押圧突起6が一体に設けられる共に、この受板に載せられる足裏の親指の腹に対向する位置及び土踏まずの前縁部の足の内側の縁近くの部分に対向する位置にそれぞれ親指用突起群8及び土踏まず前縁用突起群9が取り付けられている。これらの突起群8、9は、それぞれ直線的に配置された高さが順次高くなる突起29a、29b、29cからなり、各突起29a、29b、29cは、ガイド孔30に軸方向摺動自在かつ当該ガイド孔に内装されたコイルばね7で突出方向に付勢されて設けられている。
【0026】
土踏まず前縁用突起群9のガイド孔30は、受板5に設けられており、一方親指用突起群8のガイド孔30は、受板5の前後方向の長孔33に嵌装されたベース28に設けられている。これらの突起群の突起29a、29b、29cは、総て固定の突起6よりも高い突出高さを備えている。そして、親指用突起群8は、一番高い高さの突起29cが足載せ台5に載せた足裏の親指の根元部分に対向し、低いものが順次指先側に対向するように、突起の配列方向を前後方向にして取り付けられている。また土踏まず前縁用突起群9は、最も高い突起29cを足裏の内側縁側にして順次低いものをこれより足の中心側に位置させるように、突起の並びを左右方向にして取り付けられている。
【0027】
受板5の親指用突起群8を取り付ける部分には、前後方向の長孔33が設けられており、この長孔33とその下の凹部25とに脱落防止鍔28a付きのベース28が挿入された状態で長孔33に沿って前後方向に移動可能に取り付けられている。そして、長孔33の一方の側面には、緩い波形が形成され、ベース28の対向側面には、1個の突出部が設けられて、この突出部を前記波形の凹の部分に嵌合させた状態で、ベース28の位置が係止されるようになっている。すなわちベース28を長孔33に沿って移動し、所望の係止位置に係止することにより、足の大きさに合せて親指用突起群8と土踏まず前縁用突起群9との間隔を調整する。
【0028】
受板5の踵が載る部分には、中央と両側とにベルト掛け35が立設され、このベルト掛けに長さ調整可能な踵押さえベルト36が装架されている。このベルト36の長さを調整することにより、踵を当該ベルトに当てた状態で足裏を受板5上に載せたとき、土踏まず前縁用突起群9が足裏の土踏まずの前縁内側縁寄りに当接するようにする。受板5に載せた足は、ベルト通し17に挿通したベルト51で甲を固定することもできる。
【0029】
流体室3に供給される流体圧として水道圧やポンプで加圧した浴槽の湯などを利用するときは、その加圧水又は湯をオンオフする手動の開閉弁11を設ける。開閉弁11の構造は、特に限定されないが、好ましい一例を図7に示す。図7のものは、手で握るグリップ38に手指で操作するレバー10をピン39で枢着して、このレバーの揺動により軸方向移動する弁軸40に流入用弁体41と排出用弁体42とを固定した構造で、流入用弁体41と排出用弁体42とは、そのいずれか一方が弁座43、44に当接して流路を開閉する。
【0030】
図7に示した状態では、戻りばね45によって流入用弁体41が弁座43に当接して流入路46を閉じ、排出用弁体42が弁座から離れて排出路47を開いている。手指でレバー10を握ると、排出用弁体42が弁座44に当接して排出路47を閉じ、流入用弁体41が弁座43から離れて流入路46を開く。流入路46は、ホース48で水道の蛇口に連結されており、排出路47には排水ホース49が連結されている。足裏指圧装置の通孔13は、ホース15で流入用弁体41と排出用弁体42との間の空間に連結されている。
【0031】
以上の構成において、使用者が親指用突起群8及び土踏まず前縁用突起群9が自分の足裏の該当する部分に当接するように、ベース28と踵押さえベルト36とを調整して、両足の足裏を受板5上に載せ、要すればベルト通し17に挿通したベルト51で甲を固定して、手動開閉弁11のレバー10を握ると、升3aに流入した水道水がダイヤフラム2を押上げて流体室3に水圧が供給されてロッド4が上動し、受板5が足裏に向けて付勢され、受板全面に設けた突起が足裏全体を指圧すると共に、親指用突起群8及び土踏まず前縁用突起群9が足裏のツボとなっている親指の腹及び土踏まずの前縁内側縁部分を押圧する。
【0032】
このとき、親指用突起群8及び土踏まず前縁用突起群9は、突出高さの高い突起29cから低い突起29b、29aへと順に足裏へ当接し、親指の腹を根元から指先へと押しずらすように作用し、また、土踏まずの前縁部を左右の足裏の内側の縁から足裏内方へと押しずらすように作用して、手指による指圧動作と同様な指圧作用をこれらのツボ部分に与える。手動開閉弁11のレバー10を緩めれば、流体室3の圧力が開放されて、受板5の押圧力が開放される。従って、使用者が自分の好みにより、あるいは指圧療法に則った周期でレバー10を操作することによって、人手による指圧と殆ど同様な指圧作用が得られる。
【0033】
以上の例では、足裏の湧泉に対して特別の考慮を払っていないが、受板の湧泉に対向する部分に突出方向にばね付勢された突出高さの高い突起を設けることによって、湧泉を他の部分のより強い力で押す装置を簡単に実現することができる。
【0034】
以上の例は、水道水やポンプで加圧した浴槽の湯などを手動の開閉弁11でオンオフ制御することにより、足裏への指圧動作を行わせる例である。このような加圧源と開閉弁との組合わせに代えて、手動の加圧器で指圧動作を行わせることもできる。図8は、そのような加圧器の好ましい構造の一例を示す断面図、図9は、図8の加圧器を上蓋74を外して上方から見た外観図、図10は、側面から見た外観図である。
【0035】
図の加圧器55は、水容器56と、ピストン57を備えたシリンダブロック58と、ピストン57を上動させる操作レバー59と、ピストン57を下降させる戻りばね60と、ピストン57に内蔵された第1逆止弁61と、ピストン57で加圧された流体の出口に設けられた第2逆止弁62と、この第1及び第2逆止弁を同時開放する開放装置63、64とを備えている。
【0036】
シリンダブロック58は、台の上に安定に置くことができるように鍔状の基部58aを一体に備えている。基部58aの底面には滑り止めのOリング65が設けられている。
【0037】
第1逆止弁61は、ピストン57の両側の吸入室66と吐出室67とを繋ぐようにピストン57を貫通する流体通路に設けられており、吐出室67から吸入室66への水の流れを止める方向にして設けられている。第2逆止弁62を通過した加圧流体は、接続ホース15を通って指圧器本体の流体室3に供給される。第2逆止弁62は、流体室3からの流体の戻りを止める方向にして装着されている。逆止弁の開放装置63、64は、逆止弁61、62を同時に開放して、止めている方向の流れを通過可能にするものである。
【0038】
水容器56は、図10に示すように、円筒を直径方向の溝状空間69で二分した振り分け形の容器で、シリンダブロック58の上面に固定されている。溝状空間69の上端部から断面逆U字状のハンドルバー70が両側に伸びており、その先端に操作レバー59の外端がピン71で枢着されている。パイプ体で形成された操作レバー59の揺動端となる内端は、溝状空間69内に遊動可能に挿入された連結部材72の両端に突出する球体突起73に嵌装されている。溝状空間69の中央頂部と連結部材72との間には、戻りばねとなる圧縮コイルばね60が装架されている。2つの水容器56には、これらを一体にして閉鎖する円板状の上蓋74が設けられている。操作レバー59には、滑り止め75が設けられている。
【0039】
シリンダブロック58の中央には、シリンダ孔76が設けられ、このシリンダ孔の下端は、底蓋77で閉鎖されている。ピストン57は上端を連結部材72に固定したピストンロッド78の下端に一体に形成されており、ピストンロッド78の下端と、ピストン57に下から挿入された弁座68との間に逆止弁61の弁体となるボール61aが上下誘導可能に挿入され、かつこのボール61aを弁座68に向けて付勢するばね79がピストンロッド78の下端中央に設けたばね室80に収容して設けられている。
【0040】
ばね室80の下端には、このばね室とピストンロッドの外周の吐出室67とを連通する通孔81が設けられている。吸入室66は、ピストン57と底蓋77との間に形成され、弁座68の軸心に設けた貫通孔68aと前記通孔81とが吸入室66と吐出室67とを連通する流体通路となっている。なお、図8に示したピストン57の下降端の位置では、底蓋77の中央に立設された第1ロッド63が弁座の貫通孔68aに挿入されてその先端でボール61aを押し上げ、第1逆止弁61を強制的に開放している。貫通孔68aと第1ロッド63の間には隙間があり、図の状態でも前記流体通路68a、81は連通している。ピストンロッド78には、ばね室80から上方に伸びる空気抜き孔82が設けられ、この空気抜き孔の上端は、ねじ止め式のプラグ83で閉鎖されている。
【0041】
上端が水容器56に開口し下端が吸入室66に開口する吸入孔84は、図8ではシリンダ孔76の側方に二点鎖線で描かれているが、実際には図9に点線で示すように、図8に示す位置から紙面手前側と奥側に90度ずれた位置に1個ずつ設けられて、振り分けにした水容器56の2つの底部に連通している。
【0042】
シリンダ孔76の側方一箇所に下端が折れ曲がって基部58aの側方に開口する上下方向の吐出孔85が設けられている。この吐出孔は、上半が小径で下半が大径となっており、中央の段部に第2逆止弁の弁座86が嵌合され、この弁座に弁体となるボール62aが大径側に設けた押しばね87で付勢されて下方から当接している。吐出孔85の下端は、その開口に連結したホースで指圧器本体の流体室3に連通されている。吐出孔85の小径側には、その上端を密閉する第2ロッド64が摺動自在に挿通され、その上端がシリンダブロック58の上面に突出すると共に、下端が第2逆止弁のボール62aに当接している。図8に示すピストン57が下降端に達すると、第2ロッド64が連結部材72で押込まれ、その下端がボール62aを押し下げて第2逆止弁62を開放する。
【0043】
上記構造において、装置上端から両側に伸びるハンドルバー70と操作レバー59とを両手で握り、操作レバー59を握り上げると、ピストン57が上動して水容器56内の水を指圧器本体1へと供給する。ピストン57が下降端に達しないストロークで操作レバー59を往復させると、ピストン57が繰り返し上下動して、指圧器本体の流体室3の圧力を逐次上昇させる。シリンダブロック58と連結部材72との間にスペーサを挿入してピストン57が下降端に達しないようにするか、戻りばね60をピストン57を下降端にまで押し下げない力にするかしてやれば、この状態でハンドルから手を離せば、指圧器本体の流体室3の加圧状態が保持される。連結部材72とシリンダブロック58との間の前記スペーサを抜き取るか、あるいは操作レバー59を強制的に押し下げてピストン57を下降端に移動させると、2個の逆止弁の弁体61a、62aがそれぞれロッド63、64で弁座68、86から離隔させられて、逆止弁61、62が開放され、指圧器本体に供給されていた圧力流体は逆流して水容器56内に戻る。
【0044】
上記のような手動の加圧器を用いれば、流体容器56に所定量の流体(水)を入れておくことにより、水道圧の変動などに影響されることなく、使用者が望む時に望む場所で簡易に指圧装置を使用でき、もちろん浴槽内で使用することも可能な、構造が簡単で手軽に使用することが可能な足裏指圧装置を提供できる。
【0045】
また、上記構造の加圧器55は、その操作が単純であるから、高齢者であっても操作が困難であるということはなく、操作レバー59の操作回数や操作ストロークによって突起6の押圧力を自分の好む力にすることができると共に、開放装置63、64を操作するまで押圧力が保持されるので、好みの時間継続して指圧作用を維持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の一実施形態を示す全体平面図
【図2】図1のB‐B断面図
【図3】図1のC‐C断面図
【図4】図1のD‐D断面図
【図5】図4のA‐A断面図
【図6】図1のE‐E断面図
【図7】手動開閉弁の断面側面図
【図8】手動加圧器の断面正面図
【図9】手動加圧器の上面図
【図10】手動加圧器の側面図
【符号の説明】
【0047】
3 流体室
5 受板
6 突起
8 突起群
9 突起群
11 開閉弁
33 長孔
55 加圧器
56 水容器
57 ピストン
59 操作レバー
60 戻りばね
61 第1逆止弁
63 開放装置
64 開放装置
68a 貫通孔
85 吐出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏に向いた突起(6)を備えた足載せ台(5)と、前記突起を進出方向に付勢する加圧流体を受入れる流体室(3)と、この流体室の加圧と加圧解除とを行う開閉弁(11)ないし加圧器(55)とを備えた足裏指圧装置において、前記突起が、親指の腹に当たる部分に、指先側から根本側へと順に高くかつ突出方向にばね付勢された複数の突起からなる親指用突起群(8)を含んでいることを特徴とする、足裏指圧装置。
【請求項2】
足裏に向いた突起(6)を備えた足載せ台(5)と、前記突起を進出方向に付勢する加圧流体を受入れる流体室(3)と、この流体室の加圧と加圧解除とを行う開閉弁(11)ないし加圧器(55)とを備えた足裏指圧装置において、前記突起が、土踏まずの内縁側前縁に当たる部分に、足裏の内側から内縁側へと順に高くかつ突出方向にばね付勢された、複数の突起からなる土踏まず前縁用突起群(9)を含んでいることを特徴とする、足裏指圧装置。
【請求項3】
足裏に向いた突起(6)を備えた足載せ台(5)と、前記突起を進出方向に付勢する加圧流体を受入れる流体室(3)と、この流体室の加圧と加圧解除とを行う開閉弁(11)ないし加圧器(55)とを備えた足裏指圧装置において、前記突起が、親指の腹に当たる部分に、指先側から根本側へと順に高くかつ突出方向にばね付勢された複数の突起からなる親指用突起群(8)と、土踏まずの内縁側前縁に当たる部分に、足裏の内側から内側縁へと順に高くかつ突出方向にばね付勢された、複数の突起からなる土踏まず用突起群(9)とを含んでおり、かつ、この土踏まず用突起群と前記親指用突起群との間隔を調整する位置決め機構(33)を備えていることを特徴とする、足裏指圧装置。
【請求項4】
前記開閉弁が、加圧源に連結された圧力供給配管に設けた手動の開閉弁(11)である、請求項1、2又は3記載の足裏指圧装置。
【請求項5】
前記加圧器が、流体容器(56)と、戻りばね(60)を有する操作レバー(59)と、当該操作レバーに連結されて往復動するピストン(57)と、当該ピストンの両側の流体室を連通する流体通路(68a)及び加圧流体の出口(85)に設けられた逆止弁(61,62)と、当該逆止弁の開放装置(63,64)とを備えた加圧器である、請求項1、2又は3記載の足裏指圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−158960(P2006−158960A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322560(P2005−322560)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(391007275)金沢中央発条工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】