説明

路面状態検出装置および路面状態検出方法

【課題】 環境光の影響を低減し、路面状態の検出を精度良く行うことが可能な路面状態検出装置を提供する。
【解決手段】 路面状態検出装置1は、路面を照射するヘッドライト10と、路面のS偏光画像およびP偏光画像を撮像するカメラ12と、S偏光画像およびP偏光画像に基づいて路面状態を判定する制御部18とを備える。制御部18は、車両の走行中に所定時間に亘って撮像した複数のフレームのS偏光画像およびP偏光画像に基づいて、複数のフレームの複数の画素のS偏光成分およびP偏光成分を求め、複数の画素についてS偏光成分とP偏光成分との差分を求め、求めた複数の差分の中央値を求め、中央値に基づいて路面状態を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面の状態を検出する路面状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、路面の状態を検出する技術として、路面の表面にセンサーを埋め込む技術と、カメラで撮像した路面の画像を分析する技術が知られている。前者は、多数のセンサーが必要となり、コストが高くなるので現実的ではない。後者の方法としては、水中から空気中への透過率がS偏光成分よりP偏光成分の方が高いという特性を利用し、路面によって反射されたP偏光成分およびS偏光成分を解析して路面状態を検出する技術が知られている。
【0003】
画像処理によって路面状態を検出する方法では、街灯や対向車のヘッドライト等の環境光や路上ペイントからの反射光等が路面状態の検出に影響を与える。特許文献1は、走行中に変化する外光状態や車載カメラの設置俯角に起因して発生するノイズを取り除いて算出精度を向上した路面状態検出装置を開示している。この路面状態検出装置は、前回取得した偏光比強度と今回取得した偏光比強度とを比較し、その差分が所定の閾値より大きい場合に、今回取得した偏光比強度をノイズであると判断し、前回の偏光比強度に置き換える。
【特許文献1】特開2004−299443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された路面状態検出装置では、瞬間的に生じたノイズを除去することができるが、街灯や対向車のヘッドライト等のような環境光が継続的に入射されると、その入射光をノイズとして処理することはできない。従って、特許文献1に記載された路面状態検出装置では、街灯や対向車のヘッドライト等の環境光の影響を除去することはできなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、路面状態の検出を精度良く行うことが可能な路面状態検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の路面状態検出装置は、路面からの反射光のS偏光成分およびP偏光成分を取得する偏光成分取得部と、前記S偏光成分および前記P偏光成分に基づいて路面状態を判定する路面状態判定部とを備え、前記路面状態判定部は、前記偏光成分取得部にて取得した複数のS偏光成分とP偏光成分のそれぞれの比較データを求め、求めた複数の比較データの代表値を求め、前記代表値に基づいて路面状態を判定する。
【0007】
このように、路面からの反射光の複数のS偏光成分とP偏光成分との比較データを求め、求めた比較データの代表値を求めることにより、環境光を含む比較データの影響を低減した代表値を求めることができる。この代表値を用いて路面状態を判定することにより、環境光の影響を低減し、路面状態を精度良く検出できる。なお、「比較データ」とは、S偏光成分とP偏光成分の差分であってもよいし、比であってもよい。
【0008】
本発明の路面状態検出装置は、前記偏光成分取得部にて取得したS偏光成分およびP偏光成分のデータを用いて路面状態の判定を許可するか否かを判定する路面状態判定許可部を備え、路面状態の判定を許可すると判定された場合に、前記路面状態判定部にて路面状態の判定を行い、路面状態の判定を許可しないと判定された場合に、前記偏光成分取得部にてS偏光成分およびP偏光成分を取得してもよい。
【0009】
このように路面状態判定許可部にて、路面状態の判定を許可するか否かを判定し、路面状態の判定を許可しない場合には、さらにS偏光成分およびP偏光成分を取得して、判定材料となるデータを増やすので、路面状態判定の精度の向上を図れる。
【0010】
本発明の路面状態検出装置において、前記路面状態判定許可部は、取得したS偏光成分およびP偏光成分のデータ数に基づいて、路面状態の判定を許可するか否かを判定してもよい。
【0011】
このように取得したS偏光成分およびP偏光成分のデータ数に基づいて路面状態の判定を許可するか否かを判定することにより、環境光の影響を低減するために十分な量のデータ数に基づいて、適切に路面状態の判定を行うことができる。
【0012】
上記路面状態検出装置において、前記路面状態判定許可部は、新しく取得したS偏光成分およびP偏光成分の前記比較データを求め、新たに求めた前記比較データと前回までに得られた複数の比較データとを合わせた比較データから前記代表値を求める処理を繰り返し行ない、前記処理によって繰り返し算出される前記代表値の変動が収束した場合に、路面状態の判定を許可してもよい。
【0013】
代表値を求めるための比較データを増やしていくと、一時的に環境光の多い路面でのデータを取得した場合であっても、徐々に環境光の少ない路面でのデータが多くなるので、比較データの代表値は環境光の影響の小さい代表値に収束する。従って、代表値の変動の収束によって路面状態の判定を許可する構成により、環境光の影響を低減した代表値を適切に求めることができる。
【0014】
上記路面状態検出装置において、前記路面状態判定部は、あらかじめ定められた所定の単位ごとに前記比較データの中央値または平均値を求めて記憶し、記憶された中央値または平均値を用いて前記代表値を求めてもよい。
【0015】
このように所定の単位ごとに平均値または中央値を求めて記憶し、記憶された平均値または中央値を用いて代表値を求めることにより、平均値または中央値を求めたフレームについては、S偏光成分、P偏光成分のデータを削除することが可能となる。これにより、容量の少ないメモリを利用して、多数の比較データの代表値を求めることが可能となる。
【0016】
上記路面状態検出装置において、前記偏光成分取得部は、前記路面のS偏光画像およびP偏光画像を撮像する偏光画像撮像部を備え、撮像したS偏光画像およびP偏光画像自体の中から位置的な偏りなく選んだ複数の画素のS偏光成分およびP偏光成分を求めてもよい。
【0017】
この構成により、1回の撮像で得たS偏光画像およびP偏光画像から複数のS偏光成分およびP偏光成分を効率良く取得することができる。また、複数の画素を位置的な偏りなく選ぶことにより、部分的な要因による誤判定の可能性を低減できる。例えば、撮像範囲にバイク等の障害物があってその部分から路面からの反射光を取得できない場合でも、位置的な偏りなくS偏光成分およびP偏光成分を取得することにより、障害物のない路面におけるデータを取得できる。
【0018】
上記路面状態検出装置において、前記偏光成分取得部は、車両の走行中に所定時間に亘って撮像した複数のフレームのS偏光画像およびP偏光画像に基づいて、前記複数のフレームの全画素の中から位置的な偏りなく選んだ複数の画素のS偏光成分およびP偏光成分を求めてもよい。
【0019】
発明者らは、実験により、周期的な環境光である街灯の影響を低減するためには、街灯間での路面画像を取得することが重要であることを見出した。さらに、一般に街灯間隔は20〜30mであるのに対し、街灯の影響を大きく受けている距離は8m程度であることを実験により見出した。従って、街灯の影響の小さい路面の距離は12m以上ある。この区間における路面の画像を多く取得することにより、街灯の影響を低減し、判別精度を高めることができる。本発明の構成によれば、車両の走行中に所定時間に亘って路面を撮像することにより、路面状態を検出するための反射光を広い範囲から取得する。撮像した複数のフレームの全画素の中から位置的な偏りなく選んだ複数の画素のS偏光成分とP偏光成分との比較データを求め、求めたすべての比較データの中から代表値を求めることにより、環境光を含む比較データの影響を低減した代表値を求めることができる。この代表値を用いて路面状態を判定することにより、路面状態を精度良く検出できる。
【0020】
上記路面状態検出装置において、前記路面状態判定部は、前記代表値に基づいて、P偏光成分の方がS偏光成分より大きい場合に路面が湿潤状態と判定し、S偏光成分とP偏光成とがほぼ等しい場合に路面が乾燥状態と判定してもよい。
【0021】
湿潤状態においては路面が水で覆われているので、路面での反射光は水中から空気中に透過する。P偏光成分の方がS偏光成分より、水から空気への透過率が高いので、P偏光成分が大きい場合に湿潤状態と判定することができる。
【0022】
上記路面状態検出装置において、前記路面状態判定部は、前記偏光画像撮像部にて撮像したフレームが路上ペイントの画像を含むときに、そのフレームを路面判断から除外してもよい。
【0023】
路上ペイントは反射率が高いため、環境光の反射光量が大きくなる。本発明の構成により、路上ペイントの画像を含むフレームを路面判断から除外することにより、路面状態を適切に検出できる。
【0024】
上記路面状態検出装置は、路上ペイントの画像を含まないフレームを基準画像として記憶した基準画像記憶部を備え、前記路面状態判定部は、前記偏光画像撮像部にて撮像されたフレームの全画素の中から位置的な偏りなく選んだ画素のS偏光成分とP偏光成分の比較データのヒストグラムと、前記基準画像の全画素の中から位置的な偏りなく選んだ画素のS偏光成分とP偏光成分の比較データのヒストグラムとを比較することによって前記フレームに路上ペイントが含まれるか否かを判定してもよい。
【0025】
このように基準画像と撮像画像の比較データのヒストグラムを比較することによって路上ペイントの有無を判定できる。なお、基準画像記憶部には、あらかじめ撮像した路上ペイントを含まない画像を記憶しておいてもよい。また、路上ペイントが含まれるか否かの判定により、路上ペイントが含まれないとされた画像によって、基準画像記憶部に記憶された画像を更新してもよい。
【0026】
上記路面状態検出装置において、前記路面状態判定部は、地図情報および車両の現在位置の情報に基づいて車両が走行中の道路環境を取得し、前記道路環境に基づいて車両が路上ペイントの多い場所を走行しているか否かを判定し、路上ペイントの多い場所を走行中にS偏光成分およびP偏光成分の取得を停止するように前記偏光成分取得部を制御してもよい。
【0027】
この構成により、路上ペイントが含まれる可能性の高い場所から得られたS偏光成分およびP偏光成分を路面判断から除外することができる。「道路環境」とは、走行中の車両の周囲の道路や施設の情報である。なお、道路環境は、路面状態検出装置が判別してもよいし、路面状態検出装置と連携したナビゲーション装置から取得してもよい。
【0028】
上記路面状態検出装置において、前記路面状態判定部は、前記代表値として、複数の比較データの中央値を求めてもよい。
【0029】
中央値は、有限個のデータをソートしたとき、中央に位置する値である。環境光の影響の大きい比較データを含んでいる場合でも、環境光の影響の小さい比較データの方が環境光の影響の大きい比較データより多ければ、中央には環境光の影響の小さい比較データが位置する。従って、代表値として中央値を用いることにより、環境光の影響の小さい比較データを用いて、適切に路面状態を判定することができる。
【0030】
本発明の路面状態検出方法は、路面からの反射光に含まれる複数のS偏光成分およびP偏光成分を取得するステップと、前記複数のS偏光成分とP偏光成分のそれぞれの比較データを求めるステップと、求めた複数の比較データの代表値を求めるステップと、前記代表値に基づいて路面状態を判定するステップとを備える。
【0031】
この構成により、本発明の路面状態検出装置と同様に、路面からの反射光の複数のS偏光成分とP偏光成分との比較データの代表値を求めることにより、環境光の影響を低減し、路面状態を精度良く検出できる。また、本発明の路面状態検出装置の各種の構成を本発明の路面状態検出方法に適用することが可能である。
【0032】
本発明のプログラムは、前記路面からの反射光のS偏光成分およびP偏光成分を取得する偏光成分取得部を備えるコンピュータによって、路面状態を検出するためのプログラムであって、前記コンピュータに、複数のS偏光成分およびP偏光成分を得るステップと、前記複数のS偏光成分とP偏光成分のそれぞれの比較データを求めるステップと、求めた複数の比較データの代表値を求めるステップと、前記代表値に基づいて路面状態を判定するステップとを実行させる。
【0033】
この構成により、本発明の路面状態検出装置と同様に、路面からの反射光の複数のS偏光成分とP偏光成分との比較データの代表値を求めることにより、環境光の影響を低減し、路面状態を精度良く検出できる。また、本発明の路面状態検出装置の各種の構成を本発明のプログラムに適用することが可能である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、路面からの反射光の複数のS偏光成分とP偏光成分との比較データの代表値を求めることにより、環境光の影響を低減し、路面状態を精度良く検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態の路面状態検出装置について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1の構成を示す図である。路面状態検出装置1は、路面を照射するヘッドライト10と、路面のP偏光画像およびS偏光画像を撮像するカメラ12と、カメラ12にて撮像したP偏光画像およびS偏光画像を用いて路面状態を検出する処理を行う制御部18とを有している。
【0036】
カメラ12は、ヘッドライト10からの光の反射光が強い範囲を撮像することが好ましい。なお、本明細書において、「環境光」は、自車両のヘッドライト以外の光源に基づく光であり、例えば、街灯や対向車のヘッドライト等の光である。「反射光」は、カメラ12に入射される路面からの光全般を指し、全反射(鏡面反射)した光のみを指すものではない。ヘッドライト10の光や環境光は、例えば、路面上に溜まった水によって鏡面反射し、路面の凹凸によって散乱するが、「反射光」はいずれも含む。カメラ12は、P偏光画像取得部14とS偏光画像取得部16とを有している。カメラ12に入射された路面からの光がハーフミラー等によって二分され、P偏光画像取得部14およびS偏光画像取得部16に入射される。従って、P偏光画像取得部14とS偏光画像取得部16は、同一の画像に対するP偏光画像とS偏光画像を取得する。P偏光画像取得部14は、P偏光のみを透過するP偏光フィルタとCCD等の撮像デバイスとから構成されている。同様に、S偏光画像取得部16は、S偏光のみを透過するS偏光フィルタとCCD等の撮像デバイスとから構成されている。
【0037】
図2は、P偏光成分およびS偏光成分について説明するための図である。P偏光成分とは、図2に示すように、反射面に垂直な面内(反射面に立てた法線と光の進行方向を含む面)で振動する波である。S偏光成分とは、P偏光の振動面と垂直な面内で振動する波である。
【0038】
図1を再び参照して路面状態検出装置1の構成について説明する。制御部18は、カメラ画像取得制御部20と、ノイズ除去部22と、偏光差分データ算出部24と、路面状態判定部30とを有している。また、路面状態判定部30は、路面状態判定許可部25を有し、路面状態判定許可部25は中央値計算部26と収束判定部28とを含んでいる。図1では、制御部18が有する機能を機能ブロックで示しているが、制御部18の機能は、例えば、メモリに格納したプログラムをCPUによって実行することによって実現することができる。
【0039】
図3は、路面状態検出装置1の制御部18の機能を実現するための路面状態検出プログラム50の例を示す図である。路面状態検出プログラム50は、カメラ画像取得制御サブプログラム52と、ノイズ除去サブプログラム54と、偏光差分データ算出サブプログラム56と、路面状態判定サブプログラム62とを有している。また、路面状態判定サブプログラム62は、路面状態判定許可サブプログラム57を有しており、路面状態判定許可サブプログラム57は、さらに中央値計算サブプログラム58と収束判定サブプログラム60とを含んでいる。カメラ画像取得制御サブプログラム52をCPUによって実行することにより、制御部18のカメラ画像取得制御部20の機能が実現される。これにより、路面状態検出装置1は、カメラ12にて撮像したカメラ画像の取得制御を行う。ノイズ除去サブプログラム54をCPUによって実行することによりノイズ除去部22の機能を実現する。同様に、偏光差分データ算出サブプログラム56、路面状態判定許可サブプログラム57、中央値計算サブプログラム58、収束判定サブプログラム60、路面状態判定サブプログラム62をそれぞれ、CPUによって実行することにより、偏光差分データ算出部24、路面状態判定許可部25、中央値計算部26、収束判定部28、路面状態判定部30の機能を実現する。
【0040】
次に、制御部18の構成について説明する。カメラ画像取得制御部20は、カメラ12が撮像した画像を取得するタイミングを制御する。カメラ12は常時路面を撮像しており、カメラ画像取得制御部20は、常時撮像したカメラ画像の中からカメラ画像を取得する。カメラ画像取得制御部20は、車両の走行中に所定時間に亘ってカメラ画像を取得し、車両の停止中にはカメラ画像の取得を停止する。車両の停止中にカメラ画像を取得しても、路面の同じ部分の画像しか得られないため、その路面がたまたま環境光の影響が大きい場合だと、代表値は環境光の影響を受けてしまうからである。カメラ画像取得制御部20は、車両の走行速度に応じてカメラ画像取得のタイミングを変えてもよい。例えば、車両が低速で走行しているときには、車両が高速で走行しているときより、カメラ画像を取得する時間を長くしてもよい。これにより、高速走行の場合と低速走行の場合とで、撮像対象となる路面の大きさをほぼ一定に保つことができる。
【0041】
ノイズ除去部22は、カメラ12にて撮像したP偏光画像およびS偏光画像から、環境光によるものではないノイズを除去する処理を行う。例えば、カメラの受光感度の広さによっては、入射光の強度を輝度値として表現しきれないことがあるので、ノイズ除去部22は、各画素の値が0〜255であるとした場合、画素値0および画素値255の画素をノイズであると判定し、その画素データを以下の計算に用いないように除去する。実際の明るさが画素値255に相当する明るさより明るい場合には、画素値としては255となってしまうので、画素値255は正しい値を表わしていない場合があるので、ノイズ除去部22は、画素値255をノイズとして除去する。画素値0についても同様の理由からノイズとして処理する。なお、どの範囲の画素値をノイズとして扱うかは、カメラ12によって適切な範囲を設定することとしてもよい。
【0042】
偏光差分データ算出部24は、カメラ12にて撮像したP偏光画像およびS偏光画像に基づいて、画像内の各画素のP偏光強度とS偏光強度を求め、求めたP偏光強度とS偏光強度との差分を算出する。カメラ12は、被写体からの光をハーフミラー等によって二分してP偏光画像およびS偏光画像を得ているので、路面上の同じ地点を映した画素のP偏光強度とS偏光強度とを求めることができる。なお、各画素のP偏光強度およびS偏光強度は所定の地点におけるP偏光成分およびS偏光成分である。従って、各画素のP偏光強度およびS偏光強度を求めるための、カメラ12および偏光差分データ算出部24の構成は、本発明の「偏光成分取得部」に相当する。
【0043】
偏光差分データ算出部24は、ノイズではない有効な画素について、S偏光画像の画素値からP偏光画像の画素値を減算することによって、画素値の差分を求める。以下、この差分のデータを「偏光差分データ」という。偏光差分データ算出部24は、算出した偏光差分データを、偏光差分データ記憶部32に記憶する。偏光差分データ記憶部32には、路面状態の検出が完了するまで、偏光差分データ算出部24にて求めた偏光差分データを記憶していく。
【0044】
偏光差分データ算出部24は、一のフレーム内の画素についてだけではなく複数のフレーム内にある画素について偏光差分データを求める。
図4(a)〜図4(c)は、画像に含まれる全有効画素の偏光差分データのヒストグラムの一例を示す図である。図4(a)は複数フレームの画像に含まれる偏光差分データのヒストグラム、図4(b)は環境光の影響の小さいフレームの画像に含まれる偏光差分データのヒストグラム、図4(c)は環境光の影響の大きいフレームの画像に含まれる偏光差分データのヒストグラムである。図4(b)に示すように、環境光の影響が小さいフレームの偏光差分データのヒストグラムでは、頻度のデータはマイナス側に多く分布する。図4(c)に示すように、環境光の影響が大きいフレームの偏光差分データのヒストグラムでは、頻度のデータはプラス側に多く分布する。このように、フレーム毎の偏光差分データのヒストグラムは、環境光の影響の大きさに応じて異なる。複数フレームの偏光差分データのヒストグラムは、図4(a)に示すように、頻度のデータは、マイナス側にもプラス側にも分布するが、マイナス側の方の多くなる傾向がある。走行中に撮像された複数のフレームには、車両の走行に応じて路面の異なる部分が撮像されているので、撮像範囲の一部に環境光が含まれるとしても環境光の影響が小さい部分をも含む広い範囲から得られた反射光の偏光差分データを求めることができるためと考えられる。
【0045】
路面状態判定部30は、路面状態判定許可部25を有し、路面状態の判定を許可するか否かを判定し、路面状態の判定を許可する場合に、偏光差分データを用いて路面状態を判定する。路面状態判定許可部25は、中央値計算部26と収束判定部28とを有する。中央値計算部26にて複数の偏光差分データの中央値を求め、収束判定部28にて中央値が収束したか否かを判定し、中央値が収束した場合に、路面状態判定許可部25は路面状態の判定を許可する。そして、路面状態判定部30は、収束した中央値に基づいて路面の状態を判定する。以下、中央値計算部26および収束判定部28について説明する。
【0046】
中央値計算部26は、撮像された画像に含まれる全有効画素の偏光差分データの中央値を求める。中央値は、偏光差分データを大きさに応じてソートしたときに中央に位置する値である。中央値計算部26は、カメラ12から新しいフレームを取得する毎に新しいフレームから得られた偏光差分データを加えて、偏光差分データの中央値の計算を行う。具体的には、偏光差分データ記憶部32に全有効画素の偏光差分データが記憶されているので、中央値計算部26は、偏光差分データ記憶部32に記憶された偏光差分データを用いて中央値を計算する。
【0047】
収束判定部28は、新しいフレームを取得する毎に計算される偏光差分データの中央値の変動が収束したか否かを判定する。
【0048】
図5は、中央値計算部26にて計算される中央値の変動を示す図である。図5に示す例では、10フレームの撮像画像を用いて偏光差分データの中央値を求めると−35となり、20フレームでは−30、40フレームでは−25となる。この例では、フレーム数が増えると、徐々に偏光差分データの中央値は大きくなり、40〜80フレームでは−25〜−23の範囲で変動する。このように計算に用いるフレーム数が増えると、環境光の影響を低減でき、偏光差分データの中央値の変動は収束する。なお、中央値は、路面の濡れ度合い、周辺の明るさ、またはカメラの受光感度によって変化する値であり、図5に示した偏光差分データの中央値は一例にすぎない。
【0049】
収束判定部28は、例えば、偏光差分データの中央値が所定の閾値の範囲内で変動する状態が所定のフレーム数に亘って継続した場合に、変動が収束したと判定する。路面状態許可部25は、収束判定部28にて変動が収束したと判定した場合には、路面状態判定を許可し、路面状態判定を許可するという判定結果をカメラ画像取得制御部20に通知する。この通知を受けて、カメラ画像取得制御部20は、カメラ画像の取得を停止するようにカメラ12を制御する。
【0050】
路面状態判定部30は、中央値計算部26および収束判定部28にて求めた偏光差分データの中央値に基づいて、路面が乾燥状態であるか湿潤状態であるかを判定する。路面が乾燥状態の場合には、路面で散乱した光がカメラ12に入射するので、S偏光強度とP偏光強度はほぼ等しくなる。路面が湿潤状態の場合には、路面で散乱した光が路面にある水分を透過してカメラ12に入射する。水から空気中への光の透過率は、P偏光の方がS偏光より大きいので、カメラ12が受ける光は、P偏光強度の方がS偏光強度より大きくなる。
【0051】
図6は、路面状態と偏光差分データ(S−P)との関係を示す図である。図6に示すように路面が乾燥状態である場合には偏光差分データはほぼ0となる。若干の誤差があるので、図6では乾燥時の偏光差分データが0の近辺にばらついている。路面が湿潤状態である場合には、偏光差分データは、負の値となる。なお、カメラの受光感度によって、反射光の強度を示す値は変化するが、乾燥状態で偏光差分データが0の近辺の値をとり、湿潤状態で偏光差分データが負の値をとるという傾向は、カメラの受光感度に拘わらず同じである。従って、路面状態判定部30は、誤差分を考慮して、例えば、偏光差分データが−10以上の場合に乾燥状態と判定し、偏光差分データが−10より小さい場合に湿潤状態と判定する。なお、路面状態の判定のための閾値は、カメラ12の特性等に応じて適切に決定することができる。
【0052】
図7は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1の動作を示すフローチャートである。路面状態検出装置1は、車両の走行中に路面のS偏光画像およびP偏光画像をカメラ12にて撮像する(S10)。制御部18は、1フレームのS偏光画像およびP偏光画像を撮像すると、撮像したS偏光画像およびP偏光画像から、環境光によるものではないノイズを除去する(S12)。なお、本実施の形態では、1フレーム撮像する毎に画像処理を行う例について説明するが、複数フレーム撮像した段階でステップS12以降の処理に移行することとしてもよい。続いて、路面状態検出装置1の制御部18は、フレーム内にある有効な画素の偏光差分データを求め(S14)、求めた偏光差分データを偏光差分データ記憶部32に記憶する(S16)。
【0053】
次に、制御部18は、偏光差分データ記憶部32に記憶された全ての偏光差分データを読み出し、偏光差分データの中央値を求め(S18)、中央値の変動が収束したか否かを判定する(S20)。すなわち、制御部18は、路面状態の判定を許可するか否か判定する。中央値の変動が収束していないと判定された場合(S20でNO)、すなわち、路面状態の判定を許可しないと判定された場合、路面状態検出装置1は、S偏光画像およびP偏光画像を撮像する処理(S10)に移行する。路面状態検出装置1は、偏光差分データの中央値の変動が収束するまで、上記の処理を繰り返す。
【0054】
最初のフレームを処理した段階では、偏光差分データ記憶部32には1フレーム内にある有効画素の偏光差分データが記憶されており、この段階で初めて偏光差分データの中央値が求まったので、変動が収束していない。従って、路面状態検出装置1は、路面を撮像する処理に移行する(S10)。路面状態検出装置1は、上記と同じ動作を繰り返し、2フレーム目に含まれる画素の偏光差分データを求め(S14)、偏光差分データ記憶部32に記憶する(S16)。この段階で、偏光差分データ記憶部32には、1フレームと2フレームの中にある画素の偏光差分データが記憶される。制御部18は、偏光差分データ記憶部32に記憶された偏光差分データを読み出し、1フレームと2フレームの中にある画素の偏光差分データの中央値を求める(S18)。以下、同様に、新しくフレームを撮像し(S10)、新しく撮像したフレームの偏光差分データを加えた全撮像フレームの画素の偏光差分データの中央値を求め(S18)、中央値の変動が収束したか否かを判定する(S20)。
【0055】
中央値が収束したと判定された場合(S20でYES)、すなわち、路面状態の判定を許可すると判定された場合、制御部18は、路面状態を判定する処理に移行する(S22)。制御部18は、カメラ12による路面の撮像を停止してもよい。制御部18は、偏光差分データの中央値と所定の閾値とを比較し、中央値が所定の閾値より小さい場合に路面が湿潤状態であると判定し、中央値が所定の閾値以上の場合に乾燥状態と判定する。
【0056】
次に、路面状態判定装置1は、路面状態の判定結果を車両に通知し、車両は路面状態に基づいてヘッドライト10の制御を行う(S24)。具体的には、車両は、路面状態に基づいてヘッドライト10の光軸を上下に制御する。路面状態が乾燥から湿潤に変わったときはヘッドライト10の光軸を上げ、湿潤から乾燥に変わったときはヘッドライト10の光軸を下げる。
以上、第1の実施の形態の路面状態検出装置1の構成および動作について説明した。
【0057】
本実施の形態の路面状態検出装置1は、車両の走行中に所定時間に亘って撮像した画像から得られた複数の画素の偏光差分データの中央値を用いて路面状態を判定するので、一部に環境光のある路面の画像を含んでいても、環境光のある画像に起因する偏光差分データの影響を低減でき、環境光の少ない路面における偏光差分データに基づいて、適切に路面状態を判定することができる。
【0058】
なお、本実施の形態の路面状態検出装置1は、路面上において、環境光の影響が少ない領域は環境光の影響が大きい領域より広いということを前提としている。例えば、周期的な環境光の原因となる街灯は、法規によって20〜30mおきに設置することが定められている。ただし、交差点や視界の悪い道路等では、設置間隔は短くなる。
【0059】
図8は、街灯の間隔が30mの場合を例として環境光の影響の大きい領域と、環境光の影響の小さい領域を示す図である。図8に示すように、街灯の影響が強い領域(距離)は、街灯間より短いので、環境光の影響が小さい街灯間の領域の方が環境光の影響が大きい領域より小さい。所定の道路空間(距離)において、路面状態を観測し、環境光(例えば街灯)の影響が小さい評価画像を環境光の影響が大きい評価画像より多く取得し、取得した評価画像の偏光差分データを大きさに応じてソートすると、環境光の影響の小さい偏光差分データが中央値となる。本実施の形態では、この中央値を用いて適切に路面状態を判定できる。なお、対向車のヘッドライトに関しては、対向車との距離が小さくなると、対向車のヘッドライトが照射する路面が横にくるため、自車のカメラから見えなくなり、影響が少なくなる。従って、所定の道路空間において路面状態を観測して、中央値を用いて路面状態を判定することにより、適切に路面状態を判定できる。
【0060】
また、本実施の形態の路面状態検出装置1は、制御部18にて中央値の変動が収束したか否かを判定し、変動が収束した場合に路面状態の判定を許可し、収束した中央値を用いて路面状態を求めるので、環境光の影響が小さい地点を映した画素の偏光差分データを路面状態の判定に用いることができる。
【0061】
また、本実施の形態の路面状態検出装置1において、ヘッドライト10は既存の設備を利用でき、カメラ12は前方の状況をモニターするという他の用途にも利用可能なハードウェアである。すなわち、路面状態検出装置1は、路面状態を検出するためだけに必要な追加のハードウェアを用いないで実現できる。
【0062】
(第2の実施の形態)
図9は、第2の実施の形態の路面状態検出装置2の構成を示す図である。第2の実施の形態の路面状態検出装置2の基本的な構成は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同じであるが、中央値計算部26による偏光差分データの中央値の求め方が異なる。
【0063】
図10(a)および図10(b)は、中央値計算部26による中央値の計算の仕方の原理を説明する図である。図10(a)に示すように、中央値計算部26は、フレームごとに処理を行い、偏光差分データの各フレームの代表値を求める。代表値としては、フレーム内に含まれる画素の偏光差分データの中央値を用いてもよいし、平均値を用いてもよい。中央値計算部26は、求めた代表値を代表値記憶部34に記憶する。中央値計算部26は、代表値記憶部34から代表値を読み出し、図10(b)に示すように、代表値の中央値を求める。
【0064】
図11は、第2の実施の形態の路面状態検出装置2の動作を示すフローチャートである。路面状態検出装置2は、車両の走行中に路面のS偏光画像およびP偏光画像をカメラ12にて撮像する(S30)。路面状態検出装置2の制御部18は、撮像したS偏光画像およびP偏光画像から、環境光の影響によるものでないノイズを除去し(S32)、フレーム内にある有効な画素の偏光差分データを求め(S34)、求めた偏光差分データを偏光差分データ記憶部32に記憶する(S36)。ここまでは、第1の実施の形態の路面状態検出装置1の動作と同じである。
【0065】
偏光差分データ記憶部32に偏光差分データを記憶した後(S36)、制御部18は、記憶された偏光差分データを用いて偏光差分データのフレームの代表値を計算する(S38)。制御部18は、代表値を代表値記憶部34に記憶し(S40)、偏光差分データ記憶部32に記憶されたデータを削除する(S42)。これにより、代表値記憶部34には、各フレームの偏光差分データの代表値が記憶されていく。続いて、制御部18は、代表値記憶部34に記憶された偏光差分データのフレームの代表値を用いて、偏光差分データの中央値を求める(S44)。
【0066】
中央値を求めた後は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同様に、中央値が収束したか否かを判定し(S46)、中央値が収束していないと判定された場合には(S46でNO)、カメラ12にて新しくS偏光画像、P偏光画像を撮像し(S30)、上記した処理を繰り返す。中央値が収束したと判定された場合には(S46でYES)、その中央値を用いて路面状態を判定する(S48)。路面状態を判定した後、路面状態判定装置2は、路面状態の判定結果を車両に通知し、車両は路面状態に基づいてヘッドライト10の制御を行う(S49)。
【0067】
第2の実施の形態の路面状態検出装置2は、フレームごとに偏光差分データの代表値を求めて代表値記憶部34に記憶し、代表値の計算が終了したフレームの偏光差分データを削除するので、路面状態の検出が完了するまで、全てのフレームの偏光差分データを記憶しておく必要がない。従って、小さいメモリによって広範囲の撮像データを処理することができる。
【0068】
また、本実施の形態の路面状態検出装置2は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同様に、環境光の影響を低減し、適切に路面状態を判定することができるという効果を有する。
【0069】
なお、本実施の形態では、フレームの代表値を求め、複数のフレームのそれぞれの代表値の中央値を求める例について説明したが、フレームの中央値を求め、複数のフレームのそれぞれの中央値の代表値を求めることとしても、本実施の形態と同様に、適切に路面状態を判定できる。
【0070】
(第3の実施の形態)
図12は、第3の実施の形態の路面状態検出装置3の構成を示す図である。第3の実施の形態の路面状態検出装置3の基本的な構成は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同じであるが、制御部18が路上ペイント判定部38を有する点が異なる。路上ペイント判定部38は、撮像画像が路上ペイントを含むか否かの判定を行う。路上ペイントとは、例えば、交差点付近における右左折の車線案内のペイントや横断歩道等のペイントである。路上ペイントは、路上ペイントがない部分に比べて反射率が高い。特に白の路上ペイントはガラスビーズを含んでおり、極めて反射率が高い。このため、路上ペイントは、路面状態の誤検出の原因となる場合がある。
【0071】
路面状態検出装置3は、路上ペイントを含まないP偏光画像およびS偏光画像を基準画像として記憶した基準画像記憶部36を有している。基準画像記憶部36には、路上ペイントを含まない典型的な画像をあらかじめ撮像して記憶しておく。
【0072】
路上ペイント判定部38は、基準画像記憶部36から読み出した基準画像の偏光差分データのヒストグラムと、撮像された画像の偏光差分データのヒストグラムとを比較することによって、撮像された画像が路上ペイントを含む画像か否かを判定する。制御部18は、撮像された画像が路上ペイントを含むと判定した場合には、その画像から得られた偏光差分データを偏光差分データ記憶部32から削除する。これにより、路面状態検出装置3は、路上ペイントを含む画像から得られた偏光差分データを除く偏光差分データを用いて路面状態の判定を行う。
【0073】
図13は、第3の実施の形態の路面状態検出装置3の動作を示すフローチャートである。路面状態検出装置3は、車両の走行中に路面のS偏光画像およびP偏光画像をカメラ12にて撮像する(S50)。路面状態検出装置3の制御部18は、撮像したS偏光画像およびP偏光画像から、環境光の影響によるものでないノイズを除去し(S52)、フレーム内にある有効な画素の偏光差分データを求め(S54)、求めた偏光差分データを偏光差分データ記憶部32に記憶する(S56)。ここまでは、第1の実施の形態の路面状態検出装置1の動作と同じである。
【0074】
次に、制御部18は、撮像した画像が路上ペイントを含むか否かを判定する路面ペイント判定処理を行う(S58)。制御部18は、偏光差分データ記憶部32に記憶された偏光差分データのヒストグラムと、基準画像記憶部36に記憶された基準画像の偏光差分データのヒストグラムとを比較することによって路上ペイントの有無を判定する。路上ペイント判定処理の一例については後述する。
【0075】
制御部18は、路上ペイント判定処理(S58)の結果に基づいて、撮像した画像が路上ペイントを含むか否かを判定する(S60)。撮像画像が路上ペイントを含むと判定された場合に(S60でYES)、制御部18は、路上ペイントを含む画像に対応する偏光差分データを偏光差分データ記憶部32から削除する処理を行う(S62)。路上ペイントを含む画像の偏光差分データを削除した後、あるいは、路上ペイント判定処理において路上ペイントを含まないと判定された場合(S60でNO)、偏光差分データ記憶部32に記憶された偏光差分データを読み出して、偏光差分データの中央値を計算する(S64)。
【0076】
中央値を求めた後は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同様に、中央値が収束したか否かを判定し(S66)、中央値が収束していないと判定された場合には(S66でNO)、カメラ12にて新しくS偏光画像、P偏光画像を撮像し(S50)、上記した処理を繰り返す。中央値が収束したと判定された場合には(S66でYES)、その中央値を用いて路面状態を判定する(S68)。路面状態を判定した後、路面状態判定装置2は、路面状態の判定結果を車両に通知し、車両は路面状態に基づいてヘッドライト10の制御を行う(S49)。
【0077】
次に、路上ペイント判定処理の一例について説明する。ただし、本発明の路上ペイント判定処理は、以下に説明する処理に限定されるものではない。
【0078】
図14は、路上ペイント判定処理の詳しい動作を示すフローチャートである。制御部18は、基準画像記憶部36に記憶された基準画像を読み出し(S70)、読み出した基準画像に含まれる画素の偏光差分データを算出する(S72)。次に、制御部18は、基準画像の偏光差分データのヒストグラムを生成する(S74)。なお、本実施の形態では、画像が路上ペイントの画像を含むか否かの判定を行う際に、基準画像記憶部36から読み出した基準画像を用いて、偏光差分データのヒストグラムを求める例について説明するが、基準画像の偏光差分データのヒストグラムをあらかじめ求め、ヒストグラムを基準画像記憶部36に記憶しておいてもよい。
【0079】
次に、制御部18は、偏光差分データ記憶部32に記憶されたデータを用いて、判定対象のフレーム内にある画素の偏光差分データのヒストグラムを生成する(S76)。この例では、判定対象の撮像画像は路上ペイントを含む画像として説明する。制御部18は、基準画像の偏光差分データのヒストグラムと撮像画像の偏光差分データのヒストグラムの両方から、偏光差分データが「+」の成分を除去する(S78)。路上ペイントを含む画像は、偏光成分データの「−」の成分に特徴があるため、「−」の成分だけを比較すれば路上ペイントの有無を判断できるからである。
【0080】
図15(a)は、基準画像と撮像画像の偏光差分データのヒストグラムを示す図である。図15(a)では、偏光差分データの「−」成分だけを記載している。図15(a)に示すように、判定対象の撮像画像では、偏光差分データは−50付近にピークを有している。つまり、この付近にピークを有することが、路上ペイントを含む画像の特徴である。
【0081】
制御部18は、基準画像のヒストグラムと撮像画像のヒストグラムの差分の絶対値を求める(S80)。図15(a)に、差分の絶対値のグラフを太線で示す。差分のグラフには2つのピークが現れるが、「−」成分の大きい方のピーク(図15(a)における左側のピーク)を有する分布が路上ペイントからの反射光による分布である。従って、撮像画像のヒストグラムの分布が、撮像画像のヒストグラムの「−」成分の大きい方のピークを有する分布を有するか否かを判定することによって、撮像画像が路上ペイントの画像を含むか否かを判定できる。制御部18は、差分のグラフの2つのピークの谷の部分が0になるように差分のグラフをシフトする(S82)。
【0082】
図15(b)は、シフト補正後の差分のグラフを示す図である。次に、制御部18は、図15(b)に示す差分のグラフの「−」成分の平均値を計算し(S84)、平均値と所定の閾値とを比較する(S86)。制御部18は、平均値が所定の閾値より大きいと判定された場合(S86でYES)、判定対象の画像が路上ペイントの画像を含むと判定し(S88)、平均値が所定の閾値以下と判定された場合(S86でNO)、判定対象の画像は路上ペイントの画像を含まないと判定する(S90)。なお、本実施の形態では、図15(b)に示すグラフの「−」成分の平均値に基づいて撮像画像が路上ペイントの画像を含むか否かを判定する例を説明したが、本発明は平均値を用いる方法に限定されず、例えば、「−」成分の分布の形を比較してもよい。以上、路上ペイント判定処理の動作について詳細に説明した。
【0083】
第3の実施の形態の路面状態検出装置3は、撮像した画像に路上ペイントの画像が含まれるか否かを判定し、路上ペイントの画像が含まれる場合には、その画像に対応する偏光差分データを削除する。これにより、路上ペイントの画像が含まれていない画像だけを用いて路面状態を検出できるので、迅速に路面状態を検出することができる。路上ペイントを含む画像があっても、上記した第1の実施の形態または第2の実施の形態のように路面状態を適切に検出できるが、路上ペイントを含む画像を計算対象から除外することによって、偏光差分データの中央値がより速く収束する。
【0084】
また、本実施の形態の路面状態検出装置3も、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同様に、環境光の影響を低減し、適切に路面状態を判定することができるという効果を有する。
【0085】
(第4の実施の形態)
図16は、第4の実施の形態の路面状態検出装置4の構成を示す図である。路面状態検出装置4は、ナビゲーション装置46に接続されている。第4の実施の形態の路面状態検出装置4の基本的な構成は、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同じであるが、カメラ画像取得制御部20によるカメラ画像取得制御の方法が異なる。
【0086】
ナビゲーション装置46は、車両の現在位置を検出する車両位置検出部40と、道路や施設等の情報を含む地図情報を記憶した地図情報記憶部42と、ナビゲーション装置46の制御を行う制御部44を有している。車両位置検出部40は、車両の現在位置を検出する機能を有する。車両位置検出部40としては、例えば、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、GPS受信機、ステアリングの回転センサ、各転動輪の車両センサ等を用いることができる。車両位置検出部40は、これらのいくつかのセンサを用いて構成してもよい。これらのセンサは、性質の異なる誤差を持っているので、複数のセンサで補完することにより、車両の現在位置を精度良く検出できる。制御部44は、通常のナビゲーション装置の機能の他に、路面状態検出装置4からの要求に従って、車両が走行中の道路環境を取得する機能を有する。道路環境とは、走行中の車両の周囲の道路や施設の情報である。
【0087】
カメラ画像取得制御部20は、ナビゲーション装置46から、車両が走行中の道路環境を取得する。カメラ画像取得制御部20は、取得した道路環境に基づいて車両が交差点付近にいるか否かを判定し、交差点付近にいるときには、カメラ画像の取得を停止する。カメラ画像取得制御部20は、あらかじめ所定の閾値(例えば10m等)を設定しておき、車両が交差点から閾値以内にあるときに交差点付近と判定し、車両が交差点から閾値以上離れているときに交差点付近ではないと判定することができる。
【0088】
図17は、第4の実施の形態の路面状態検出装置4の動作を示すフローチャートである。路面状態検出装置4は、まず、ナビゲーション装置46から車両が走行中の道路環境を取得する(S100)。この処理は、具体的には、ナビゲーション装置46が路面状態検出装置4からの要求に応じて、車両の現在位置を検出し、検出した車両の現在位置と地図情報記憶部42に記憶された地図情報とに基づいて、道路環境に関する情報を求める。そして、ナビゲーション装置46は、求めた道路環境の情報を路面状態検出装置4に送信する。路面状態検出装置4は、道路環境の情報に基づいて、車両が交差点付近にあるか否かを判定する(S102)。
【0089】
車両が交差点付近であると判定された場合(S102でYES)、車両の現在位置を検出する処理(S100)に戻り、車両が交差点付近にないと判定されるまで上記処理を繰り返す。車両が交差点付近にないと判定された場合(S102でNO)、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同様の処理によって路面状態を検出する。
【0090】
第4の実施の形態の路面状態検出装置4は、車両が交差点付近にあるときに路面の撮像を停止するので、交差点付近に多い路上ペイントを含む画像の撮像を回避し、路上ペイントを含まない画像を用いて路面状態の検出を行うことができる。
【0091】
また、本実施の形態の路面状態検出装置4も、第1の実施の形態の路面状態検出装置1と同様に、環境光の影響を低減し、適切に路面状態を判定することができるという効果を有する。
【0092】
なお、本実施の形態では、路上ペイントの多い場所として交差点を想定し、交差点付近において撮像を停止する例について説明したが、地図情報記憶部42に、例えば、横断歩道や街灯等のある地点を記憶している場合には、横断歩道や街灯のある地点で撮像を停止することとしてもよい。
【0093】
以上、本発明の路面状態検出装置について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0094】
上記したいずれの実施の形態でもS偏光成分とP偏光成分との比較データとしてS変更成分とP偏光成分との差分を用いていたが、この比較データとしてS変更成分とP偏光成分との差分の代わりにS偏光成分とP偏光成分との比を用いても上述の実施形態と同様、路面状態を精度よく検出できる。
【0095】
上記した実施の形態では、路面状態判定許可部25は、偏光差分データの中央値の変動が収束したか否かに応じて、路面状態の判定を許可するか否かを判定したが、路面状態判定許可部25による判定の方法は、上記した実施の形態に記載した方法に限定されない。例えば、路面状態判定許可部25は、取得したS偏光成分およびP偏光成分のデータ数が所定の閾値を超えたか否かを判定し、データ数が所定の閾値を超えた場合に路面状態の判定を許可してもよい。閾値としては、例えば、十分大きいフレーム数(例えば100フレーム)あるいは撮像時間(例えば、10秒)を設定する。データ数が所定の閾値を超える場合には、広い範囲からS偏光成分およびP偏光成分を取得していることになるので、環境光の影響を低減し、路面状態の判定を適切に行うことができる。また、S偏光成分およびP偏光成分のデータを新たに取得する度に中央値の計算を行わなくてもよいので、プログラムを簡素化できる。また、このような構成をとることにより、一回の撮像で広範囲の画像を得られる場合に、一回の撮像にて得られた偏光画像を用いて路面状態を判定することが可能となる。
【0096】
また、路面状態を検出するためのフレーム数や所定時間は、車両の走行速度に応じて変更してもよい。なお、ここでいう「所定時間」は、シャッター時間を意味するものではない。先に説明したように、街灯等の環境光の影響の少ない画像を取得するためには、所定の長さの路面を観測する必要があるので、車両の走行速度に応じてカメラ画像を取得する時間を変える必要がある。車両の走行速度が遅い場合には、走行速度が速い場合と同じ時間分のカメラ画像を取得しても、走行速度が速い場合に比べて小さい範囲の画像しか得られない。例えば、時速60kmで走行中の車両の場合に、6秒間に亘るカメラ画像を取得すれば100m分の画像を得られる。時速40kmで走行中の車両において、100m分の画像を得るためには、9秒間に亘るカメラ画像が必要となる。従って、走行速度が遅い場合には、長い時間撮像した画像を用いて路面状態を検出することが好ましい。
【0097】
上記した実施の形態では、撮像したフレームのノイズでないと判定されたすべての画素を用いて路面状態の検出を行う例について説明したが、必ずしも全画素を用いる必要はない。例えば、撮像したフレームを複数のブロック(例えば5×5ブロック)に分割し、分割された各ブロックの中から1つずつ画素を選択し、選択した画素を用いて路面状態の検出を行なってもよい。これにより、少ないデータで路面状態の検出を行なえるので、偏光差分データを記憶する偏光差分データ記憶部32を小容量のメモリによって構成することができる。なお、路面状態検出の計算に用いる画素を選択する場合には、環境光を含む画素だけを取得しないように、位置的な偏りなく画素を選択することが好ましい。
【0098】
上記した第2の実施の形態では、フレームごとに代表値を求め、複数のフレームのそれぞれの代表値の中央値を求める例について説明したが、フレームごとの代表値を求めるのではなく、複数のフレームごとに代表値を求めることとしてもよい。この際、代表値を求める対象となる複数のフレームどうしの間で、一部を重複させることとしてもよい。例えば、フレーム1〜フレーム5の代表値、フレーム4〜フレーム8の代表値、フレーム7〜フレーム11の代表値、・・・というように、2フレームずつ重複させた5フレームから代表値を求めてもよい。これにより、代表値を求める頻度を低下させることなく、代表値を求める対象となる範囲を広くすることができるので、迅速に路面状態を判定することができる。
【0099】
上記した第3の実施の形態では、路上ペイントが含まれているか否かを撮像画像と基準画像とを比較することによって判定したが、別の方法によって路上ペイントの有無を判定してもよい。例えば、撮像画像に含まれる色を分析し、所定の閾値より白の画素が多い場合に、路上ペイントが含まれると判定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本発明は、路面状態を精度良く検出できるというすぐれた効果を有し、路面状態を検出して運転を支援する運転支援装置等に適用することができる。例えば、本発明をヘッドライトコントロールシステム(AFS)に適用することにより、路面状態にかかわらず視認性を保持することができる。路面が乾燥状態の場合にはヘッドライトの光は路面で散乱して遠距離でも近距離でもほぼ一様の視認性を得られるが、路面が湿潤状態になると近距離においてヘッドライトの光の反射が強くなり、自車両のドライバにとってまぶしくなるので、視認性が低下する。本発明の路面状態検出装置によって路面状態を検出することにより、路面が湿潤状態になったときにヘッドライトを少し上げる。これにより、ヘッドライトの光の路面からの反射は、遠距離でも近距離でもほぼ一様となり、自車両のドライバの視認性が低下しないようにできる。また、別の例としては、路面が濡れているとタイヤと路面との間の摩擦が小さくなり滑りやすくなるので、路面状態の検出結果に基づいて車両制御を行うことにより、スリップを起こりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】第1の実施の形態の路面状態検出装置の構成を示す図である。
【図2】P偏光成分およびS偏光成分について説明する図である。
【図3】路面状態検出プログラムの例を示す図である。
【図4】(a)複数フレームの画像に含まれる偏光差分データのヒストグラムである。(b)環境光の影響の小さいフレームの画像に含まれる偏光差分データのヒストグラムである。(c)環境光の影響の大きいフレームの画像に含まれる偏光差分データのヒストグラムである。
【図5】偏光差分データの中央値とフレーム数との関係を示す図である。
【図6】偏光差分データと路面状態との関係を示す図である。
【図7】第1の実施の形態の路面状態検出装置の動作を示す図である。
【図8】環境光の影響の大きい領域と環境光の影響の小さい領域の例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の路面状態検出装置の構成を示す図である。
【図10】(a)フレームごとの代表値を計算した例を示す図である。(b)代表値の中央値を求めた例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態の路面状態検出装置の動作を示す図である。
【図12】第3の実施の形態の路面状態検出装置の構成を示す図である。
【図13】第3の実施の形態の路面状態検出装置の動作を示す図である。
【図14】路上ペイント判定処理の動作を示す図である。
【図15】(a)撮像画像、基準画像のヒストグラムおよびその差分を示す図である。(b)差分をシフトした例を示す図である。
【図16】第4の実施の形態の路面状態検出装置の構成を示す図である。
【図17】第4の実施の形態の路面状態検出装置の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
1〜4 路面状態検出装置
10 ヘッドライト
12 カメラ
14 P偏光画像取得部
16 S偏光画像取得部
18 制御部
20 カメラ画像取得制御部
22 ノイズ除去部
24 偏光差分データ算出部
25 路面状態判定許可部
26 中央値計算部
28 収束判定部
30 路面状態判定部
32 偏光差分データ記憶部
34 代表値記憶部
36 基準画像記憶部
38 路上ペイント判定部
40 車両位置検出部
42 地図情報記憶部
44 制御部
46 ナビゲーション装置
50 路面状態検出プログラム
52 カメラ画像取得制御サブプログラム
54 ノイズ除去サブプログラム
56 偏光差分算出サブプログラム
57 路面状態判定許可サブプログラム
58 中央値計算サブプログラム
60 収束判定サブプログラム
62 路面状態判定サブプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面からの反射光のS偏光成分およびP偏光成分を取得する偏光成分取得部と、
前記S偏光成分および前記P偏光成分に基づいて路面状態を判定する路面状態判定部と、
を備え、
前記路面状態判定部は、
前記偏光成分取得部にて取得した複数のS偏光成分とP偏光成分のそれぞれの比較データを求め、求めた複数の比較データの代表値を求め、前記代表値に基づいて路面状態を判定する路面状態検出装置。
【請求項2】
前記偏光成分取得部にて取得したS偏光成分およびP偏光成分のデータを用いて路面状態の判定を許可するか否かを判定する路面状態判定許可部を備え、
路面状態の判定を許可すると判定された場合に、前記路面状態判定部にて路面状態の判定を行い、路面状態の判定を許可しないと判定された場合に、前記偏光成分取得部にてS偏光成分およびP偏光成分を取得する請求項1に記載の路面状態検出装置。
【請求項3】
前記路面状態判定許可部は、取得したS偏光成分およびP偏光成分のデータ数に基づいて、路面状態の判定を許可するか否かを判定する請求項2に記載の路面状態検出装置。
【請求項4】
前記路面状態判定許可部は、新しく取得したS偏光成分およびP偏光成分の前記比較データを求め、新たに求めた前記比較データと前回までに得られた複数の比較データとを合わせた比較データから前記代表値を求める処理を繰り返し行ない、前記処理によって繰り返し算出される前記代表値の変動が収束した場合に、路面状態の判定を許可する請求項2に記載の路面状態検出装置。
【請求項5】
前記路面状態判定部は、あらかじめ定められた所定の単位ごとに前記比較データの中央値または平均値を求めて記憶し、記憶された中央値または平均値を用いて前記代表値を求める請求項1〜4のいずれかに記載の路面状態検出装置。
【請求項6】
前記偏光成分取得部は、
前記路面のS偏光画像およびP偏光画像を撮像する偏光画像撮像部を備え、
撮像したS偏光画像およびP偏光画像自体の中から位置的な偏りなく選んだ複数の画素のS偏光成分およびP偏光成分を求める請求項1〜5のいずれかに記載の路面状態検出装置。
【請求項7】
前記偏光成分取得部は、
車両の走行中に所定時間に亘って撮像した複数のフレームのS偏光画像およびP偏光画像に基づいて、前記複数のフレームの全画素の中から位置的な偏りなく選んだ複数の画素のS偏光成分およびP偏光成分を求める請求項1〜5のいずれかに記載の路面状態検出装置。
【請求項8】
前記路面状態判定部は、前記代表値に基づいて、P偏光成分の方がS偏光成分より大きい場合に路面が湿潤状態と判定し、S偏光成分とP偏光成分とがほぼ等しい場合に路面が乾燥状態と判定する請求項1〜7のいずれかに記載の路面状態検出装置。
【請求項9】
前記路面状態判定部は、前記偏光画像撮像部にて撮像したフレームが路上ペイントの画像を含むときに、そのフレームを路面判断から除外する請求項6〜8のいずれかに記載の路面状態検出装置。
【請求項10】
路上ペイントの画像を含まないフレームを基準画像として記憶した基準画像記憶部を備え、
前記路面状態判定部は、前記偏光画像撮像部にて撮像されたフレームの全画素の中から位置的な偏りなく選んだ画素のS偏光成分とP偏光成分の比較データのヒストグラムと、前記基準画像の全画素の中から位置的な偏りなく選んだ画素のS偏光成分とP偏光成分の比較データのヒストグラムとを比較することによって前記フレームに路上ペイントが含まれるか否かを判定する請求項9に記載の路面状態検出装置。
【請求項11】
前記路面状態判定部は、地図情報および車両の現在位置の情報に基づいて車両が走行中の道路環境を取得し、前記道路環境に基づいて車両が路上ペイントの多い場所を走行しているか否かを判定し、路上ペイントの多い場所を走行中にS偏光成分およびP偏光成分の取得を停止するように前記偏光成分取得部を制御する請求項1〜10のいずれかに記載の路面状態検出装置。
【請求項12】
前記路面状態判定部は、前記代表値として、複数の比較データの中央値を求める請求項1〜11のいずれかに記載の路面状態検出装置。
【請求項13】
路面からの反射光に含まれる複数のS偏光成分およびP偏光成分を取得するステップと、
前記複数のS偏光成分とP偏光成分のそれぞれの比較データを求めるステップと、
求めた複数の比較データの代表値を求めるステップと、
前記代表値に基づいて路面状態を判定するステップと、
を備える路面状態検出方法。
【請求項14】
前記路面からの反射光のS偏光成分およびP偏光成分を取得する偏光成分取得部を備えるコンピュータによって、路面状態を検出するためのプログラムであって、前記コンピュータに、
複数のS偏光成分およびP偏光成分を得るステップと、
前記複数のS偏光成分とP偏光成分のそれぞれの比較データを求めるステップと、
求めた複数の比較データの代表値を求めるステップと、
前記代表値に基づいて路面状態を判定するステップと、
を実行させるプログラム。

【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−25198(P2009−25198A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189731(P2007−189731)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】