説明

路面補修方法

【課題】道路に形成されたマンホール等の鉄蓋や受枠の交換時或いは受枠の高さ調整時などに既設の舗装の打ち換えを行う際に、オーバーレイ舗装で覆われるマンホール等の中心位置を簡便かつ確実に検出でき、円形カッターを案内して受枠周囲の舗装を効率的に切断、舗装できる施工性、汎用性に優れた路面補修方法の提供。
【解決手段】受枠除去工程と、マンホールの開口部を覆う基板部と基板部の中央部上面に突設された円形カッター案内部と円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設される磁石部とを有する仮蓋をマンホールに覆設する仮蓋載置工程と、切削オーバーレイ舗装工程と、磁気探知機により磁石部が配設された仮蓋の中心位置を検出する中心位置検出工程と、中心部舗装除去工程と、仮蓋の磁石部を取り外し円形カッターの回動中心固定部を円形カッター案内部に回動自在に支持する円形カッター位置決め工程と、外周部舗装切断除去工程と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に設置されたマンホールや情報ボックス等の蓋や受枠の交換時或いは受枠の高さ調整時などにおける既設の舗装の打ち換えを簡便かつ確実に行うことができる路面補修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装道路に設置されるマンホールや情報ボックス等の周囲の舗装路面は、走行車両の振動の影響や経年劣化等によって陥没、沈下、クラックの発生、或いは破損等の劣化が生じ易く、舗装路面の補修作業が必要となる。また、マンホールや情報ボックス等の新設時やマンホールや情報ボックス等の蓋や受枠の交換持に、マンホールや情報ボックス等の周囲を掘削して埋め戻しを行う際には、周囲の舗装路面との高さ調整が必要となる。
そこで、受枠に阻害されることなく、段差のない舗装路面を得ることができる工法として、(特許文献1)のオーバーレイ工法や(特許文献2)の切削オーバーレイ工法が提案され、広く実施されている。
しかしながら、(特許文献1)、(特許文献2)では、蓋或いは仮蓋を一旦、オーバーレイ舗装によって覆った後に、受枠の外周部分の舗装を切断するので、オーバーレイ舗装で覆われた状態でマンホールの中心を探さなければならず、施工性に欠けるという問題点があった。
この(特許文献1)、(特許文献2)を改良したものとして、(特許文献3)には、「マンホール開口を閉塞する仮蓋またはマンホール蓋の上に施工した舗装を撤去してマンホールの位置を確認してから次の工程を行う舗装方法」が開示されている。
また、(特許文献2)を改良したものとして、(特許文献4)には、「仮蓋に連結手段を備え、表面舗設後の仮蓋及びその上部の舗装の撤去時に、連結手段の位置を確認し、仮蓋の上部の舗装にコア抜き治具で穴を開けて連結手段を露出させ、リフト用ロッドを穴に挿入してその先端を仮蓋の連結手段と連結し、また舗装面には仮蓋の外周を囲むようにリング状の押さえ枠を押し当て、この状態からリフト用ロッドを引き上げて仮蓋とともに押さえ枠の内側に沿った舗装を撤去する工程を含むことを特徴とするマンホールのある道路の舗設工法」が開示されている。
【特許文献1】特許第2623490号公報
【特許文献2】特許第2623491号公報
【特許文献3】特開2004−68539号公報
【特許文献4】特許第3378551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)、(特許文献2)には、オーバーレイ上から切断中心を特定するために金属探知器等の公知の探知手段を使用して内部の支持蓋の位置を確認することが記載されているが、これだけでは、マンホールの正確な中心位置を検出することはできず、円形カッターの回転中心を位置決め、固定することが困難で、施工性、信頼性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献3)では、舗装で覆われたマンホールの中心位置を目視で確認するので、安心してマンホール蓋受枠設置工事のための舗装撤去をおこなうことができるが、その中心位置を見つけるためには、道路側縁の3箇所の基点からマンホール中心までの距離を予め計測しておき、舗装完了後に3基点からの距離によって中心位置を割り出さなければならず、施工性に欠けるという課題を有していた。
また、中心固定装置の基板の中央に穴を設けることにより、切断前に中心位置の再確認を行うことができるが、中心固定装置は路面や仮蓋上に載置するだけのものであり、固定されていないため、切断作業時に位置ずれが発生する可能性があり、施工性、信頼性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献4)には、仮蓋に形成された連結手段の位置を外部に伝達するための位置伝達手段が配設されているが、仮蓋上部の舗装の厚みが増すと、位置伝達手段の検出精度が低下し易くなり、施工性に欠けるという課題を有していた。特に、位置伝達手段として永久磁石を用いた場合、永久磁石の近傍にある鉄製の仮蓋が磁気を帯びることにより、連結手段の位置を特定することが困難になって作業の効率性に欠けるという課題を有していた。
また、仮蓋及びその上部舗装の撤去に専用のリフターを使用するため、リフト用ロッドと連結するための連結手段が必要であり、仮蓋を使用する切削オーバーレイ工法にしか適用することができず、汎用性に欠けるという課題を有していた。
さらに、連結手段が仮蓋の下方に突出しているので、仮蓋の上方の舗装材を全て除去しなければ、連結手段を使用することができず、施工性に欠けるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、道路に設置されたマンホールや情報ボックス等の鉄蓋や受枠の交換時或いは受枠の高さ調整時などにおける既設の舗装の打ち換えを行う際に、一旦、オーバーレイ舗装によって覆われるマンホールや情報ボックス等の中心位置を簡便かつ確実に検出すると共に、円形カッターを案内して受枠周囲の舗装の切断、舗装を効率的に行うことができる施工性、汎用性に優れた路面補修方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の路面補修方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の路面補修方法は、補修を行なうマンホール外周部の既存舗装材や既設の受枠を除去する受枠除去工程と、前記マンホールの開口部を覆う基板部と前記基板部の中央部上面に突設された円形カッター案内部と前記円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設される磁石部とを有する仮蓋を前記マンホールに覆設する仮蓋載置工程と、前記仮蓋上及び前記マンホール外周部に仮復旧材を充填し既存舗装材の表面を切削して舗装材でオーバーレイ舗装する切削オーバーレイ舗装工程と、磁気探知機により前記磁石部が配設された前記仮蓋の中心位置を検出する中心位置検出工程と、前記仮蓋の前記円形カッター案内部周辺の前記舗装材や前記仮復旧材を除去する中心部舗装除去工程と、前記仮蓋の前記磁石部を取り外し円形カッターの回動中心固定部を前記円形カッター案内部に回動自在に支持する円形カッター位置決め工程と、前記円形カッターにより前記マンホール外周の前記舗装材を切断して前記舗装材や前記仮復旧材を除去する外周部舗装切断除去工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)マンホールの開口部を覆う基板部と基板部の中央部上面に突設された円形カッター案内部と円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設される磁石部とを有する仮蓋をマンホールに覆設する仮蓋載置工程を有することにより、後工程の中心位置検出工程において磁気探知機で磁石部が配設された仮蓋の中心位置を簡便かつ正確に検出することができ、施工性に優れる。
(2)中心部舗装除去工程により、仮蓋の円形カッター案内部周辺の舗装材や仮復旧材を除去することができ、後工程の円形カッター位置決め工程において、仮蓋の磁石部を取り外し、円形カッターの回動中心固定部を円形カッター案内部に回動自在に支持することができるので、位置ずれを発生させることなく、円形カッター案内部で確実に円形カッターを案内することができ、外周部舗装切断除去工程を精度よく行うことができ、信頼性に優れる。
【0006】
ここで、受枠除去工程は、マンホール外周部の既存舗装材や既設の受枠、調整コンクリートなどを除去することができればよく、ブレーカによる破砕や円形カッターによる切断のほか、油圧ジャッキによってマンホールの蓋や受枠と既存舗装材を一体的に剥ぎ取る方法、円筒型切断機でマンホール周囲を円形に切断する方法などを用いることができる。
円形カッター(例えば特許第3893367号)は、略截頭円錐状等に形成された回転刃の回転軸を回動中心に配向するように連結させて回転刃を回動させるものが好適に用いられる。
仮蓋の円形カッター案内部と円形カッターの回動中心固定部とは互いに回動自在に支持される形状であればよい。円形カッター案内部に嵌合孔を穿設し、円形カッターのアーム部に突設した円柱状の回動中心固定部を嵌入してもよいし、円柱状に形成した円形カッター案内部を円形カッターのアーム部に穿設した孔状の回動中心固定部に挿通してもよい。また、円形カッター案内部に穿設した嵌合孔とアーム部に穿設した孔状の回動中心固定部に円柱状の別部材を挿通して連結し、回動させることもできる。
【0007】
円形カッター案内部と磁石部は、着脱自在であればよい。円形カッター案内部を着磁性を有する金属で形成し、磁力によって磁石部を固定してもよいし、磁石部と円形カッター案内部にそれぞれ雄ねじと雌ねじを形設して螺着してもよい。
仮蓋の材質は、上方に充填される仮復旧材やオーバーレイ舗装される舗装材の重量に耐えられるものであればよい。仮蓋を金属製にした場合、磁気探知機による中心位置検出工程を行う前に、金属探知器によって、おおよその仮蓋の位置を検出することができ、中心位置検出工程に要する時間を短縮することができ、施工性に優れる。尚、磁性体製の仮蓋を用いる場合、磁石部の磁力によって仮蓋が磁気を帯びると、中心位置検出工程において磁気探知機を用いる際に、仮蓋の中心位置となる磁石部の位置を正確に検出することが困難になるので、円形カッター案内部を非磁性体で形成するか、磁石部と円形カッター案内部の間や円形カッター案内部と仮蓋の間に合成樹脂製のシートや金属板などで形成された非磁性体を挟むことが好ましい。
【0008】
外周部舗装切断除去工程では、マンホール外周部の舗装材や仮復旧材を除去してから仮蓋を除去してもよいし、舗装材や仮復旧材と共に仮蓋を一度にまとめて除去してもよい。
外周部舗装切断除去工程の終了後は、従来と同様に、新たな受枠を高さ調整して設置する受枠設置工程、受枠の外周部を路盤材や舗装材などの補修材で補修し、周辺の舗装と一体化させる受枠外周舗装工程を行い、路面の補修作業が完了する。
尚、仮復旧材としては、舗装材のみを用いてもよいし、舗装材と路盤材を組み合わせて用いてもよい。舗装材としては、常温本舗装材、常温仮舗装材、加熱合材が用いられ、路盤材としては、土、砕石、スラグなどを転圧するものやモルタルなどを打設するものが用いられる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の路面補修方法は、補修を行なうマンホールの蓋の中央部上面に円形カッター案内部と前記円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設される磁石部とを有する中心位置決め具を着脱自在に固定する位置決め具固定工程と、前記蓋上及び前記マンホール周辺の既存舗装材上に舗装材でオーバーレイ舗装するオーバーレイ舗装工程と、磁気探知機により前記磁石部を有する前記中心位置決め具が配設された前記蓋の中心位置を検出する中心位置検出工程と、前記中心位置決め具の前記円形カッター案内部周辺の前記舗装材を除去する中心部舗装除去工程と、前記中心位置決め具の前記磁石部を取り外し円形カッターの回動中心固定部を前記円形カッター案内部に回動自在に支持する円形カッター位置決め工程と、前記円形カッターにより前記マンホール外周部の前記舗装材を切断して前記既存舗装材や既設の受枠を除去する受枠除去工程と、を備えている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)補修を行なうマンホールの蓋の中央部上面に円形カッター案内部と円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設される磁石部とを有する中心位置決め具を着脱自在に固定する位置決め具固定工程を有することにより、後工程の中心位置検出工程において磁気探知機で磁石部を有する中心位置決め具が配設された蓋の中心位置を簡便かつ正確に検出することができ、施工性に優れる。
(2)中心部舗装除去工程により、中心位置決め具の円形カッター案内部周辺の舗装材を除去することができ、後工程の円形カッター位置決め工程において、中心位置決め具の磁石部を取り外し、円形カッターの回動中心固定部を円形カッター案内部に回動自在に支持することができるので、位置ずれを発生させることなく、円形カッター案内部で確実に円形カッターを案内することができ、受枠除去工程において、既設のマンホール外周部の舗装材を確実に切断し、既存舗装材や既設の受枠、調整コンクリートなどを除去することができ、信頼性に優れる。
(3)位置決め具固定工程で用いる中心位置決め具を既存のマンホールの蓋に着脱自在に固定することができるので、既存のマンホールの蓋に改造を施すことなく、そのまま利用することができ、省資源性、施工性に優れる。
【0010】
ここで、請求項2が請求項1と異なるのは、仮蓋の代わりに、既存のマンホールの蓋に中心位置決め具を着脱自在に固定して使用している点であり、仮蓋の円形カッター案内部及び磁石部と、中心位置決め具の円形カッター案内部及び磁石部は、同様のものが好適に用いられる。
また、受枠除去工程後に行う受枠設置工程や受枠外周舗装工程も請求項1で説明したものと同様である。
中心位置決め具は、マンホールの蓋に着脱自在に固定できるものであればよく、円形カッター案内部の底部に固定用磁石を配設して蓋に磁着してもよいし、両面テープで貼着してもよい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の路面補修方法であって、前記中心位置検出工程の前工程として、金属探知器により前記仮蓋又は前記蓋が覆設された前記マンホールの位置を検出するマンホール位置検出工程を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)中心位置検出工程の前工程として、金属探知器により仮蓋又は蓋が覆設されたマンホールの位置を検出するマンホール位置検出工程を有することにより、マンホール位置検出工程でおおよその仮蓋又は蓋の位置を検出した上で、中心位置検出工程を行うことができるので、磁気探知機による探査範囲を絞り込むことができ、中心位置検出工程に要する時間を大幅に短縮することができ、施工性に優れる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の路面補修方法であって、前記仮蓋又は前記中心位置決め具の前記円形カッター案内部の長さ調整を行う案内高さ調整工程を備えている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)仮蓋又は中心位置決め具の円形カッター案内部の長さ調整を行う案内高さ調整工程を有することにより、仮復旧材やオーバーレイ舗装された舗装材の厚さに応じて磁石部の高さ方向の位置を調整して磁石部の検出精度を確保でき、中心部舗装除去工程で除去する舗装材や仮復旧材の量を最低限に抑えることができ、作業の効率性、施工性に優れる。
(2)仮復旧材やオーバーレイ舗装された舗装材の厚さが薄く、円形カッター案内部に十分な長さがない場合でも、中心部舗装除去工程の後に案内高さ調整工程を行うことにより、円形カッター位置決め工程において、円形カッターの回動中心固定部を確実に案内することができ、施工性、汎用性に優れる。
【0013】
ここで、円形カッター案内部は長さ調整できるものであればよく、円筒状の部材を摺動させて伸縮するもの、ねじ止めや嵌合などにより延長部材を着脱するものなどが好適に用いられる。また、水道工事などで使用する携帯型ねじ切り旋盤等で長さを合わせた管にねじを切って使用することもできる。
【0014】
マンホールが配設された道路の路面補修方法に用いる仮蓋が、マンホールの開口部を覆う基板部と、基板部の中央部上面に突設された円形カッター案内部と、円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設された磁石部と、を備えている場合、以下のような作用を有する。
(1)円形カッター案内部が基板部の中央部上面に突設され、その上端部に磁石部が配設されているので、基板部と磁石部の距離を離すことができ、中心位置検出工程で磁気探知機を用いる際に、基板部が金属製の場合であっても、検出精度に悪影響を与えることがなく、確実に磁石部が配設された仮蓋の中心位置を検出することができ、位置検出の信頼性に優れる。
(2)円形カッター案内部が仮蓋の基板部の中央部上面に突設されているので、中心部舗装除去工程においては、オーバーレイ舗装された舗装材の表面側を僅かに削り取るだけで円形カッター案内部の位置を特定することができ、除去する舗装材の量を低減することができ、省力性、施工性に優れる。
(3)円形カッター案内部に円形カッターの円柱状の回動中心固定部を嵌入する嵌合孔を穿設した場合、円形カッター案内部の上端部に配設される磁石部で嵌合孔を塞ぐことができ、切削オーバーレイ舗装工程における舗装材や仮復旧材によって嵌合孔が閉塞されることを防止でき、取り扱い性に優れると共に、円形カッター案内部の先端部を露出させただけで円形カッターの回動中心固定部を嵌合孔に嵌入して円形カッター位置決め工程を行うことができ、中心部舗装除去工程で除去する舗装材や仮復旧材の量を最小限に止めることができ、省力性、施工性に優れる。
【0015】
仮蓋が、基板部に形成又は配設された把手部若しくは基板部に形設され着脱式把手部が固定される把手取付部を備えている場合、以下のような作用を有する。
(1)基板部に形成又は配設された把手部又は基板部に形設され着脱式把手部が固定される把手取付部を有することにより、外周部舗装切断除去工程の終了後に、把手部又は把手取付部に固定された着脱式把手部にワイヤーやロープなどを挿通したりフックを掛け止めしたりして、クレーンなどの機械によって簡便に仮蓋を吊り上げ、撤去作業を行うことができ、省力性、作業の効率性に優れる。
【0016】
把手部及び着脱式把手部は、ワイヤーやロープなどを挿通するための挿通孔を有するものやフックを掛け止めするための係止部を有するものなどが好適に用いられる。把手取付部としては、雄ねじ又は雌ねじが形設されているものが好適に用いられる。着脱式把手部の基部に形設された雌ねじ又は雄ねじと螺合させることにより、確実かつ強固に固定できるためである。
基板部に着脱式把手部が固定される把手取付部を形設した場合、仮蓋載置工程で仮蓋を載置する際には、着脱式把手部は取り付けても取り付けなくてもよい。尚、把手部や着脱式把手部は、仮蓋載置工程を行う際にも利用することができ、特にクレーンなどの機械を使用すれば省力性、作業性に優れる。また、仮蓋載置工程で利用した着脱式把手部は、切削オーバーレイ舗装工程の前に取り外すことができ、中心部舗装除去工程で舗装材や仮復旧材を除去する際に、着脱式把手部が邪魔になることがなく、施工性に優れる。
【0017】
仮蓋が、基板部の表面中央部又は円形カッター案内部に把手部又は把手取付部の位置を示すマーカを備えている場合、以下のような作用を有する。
(1)基板部の表面中央部又は円形カッター案内部に把手部又は把手取付部の位置を示すマーカを有することにより、中心位置検出工程で仮蓋の中心位置を検出した後、中心部舗装除去工程で円形カッター案内部周辺の舗装材や仮復旧材を除去すれば、マーカを確認することができ、把手部又は把手取付部の位置を容易に見つけることができ、取り扱い性に優れる。
(2)マーカに従って短時間で把手部又は把手取付部を掘り出すことができ、外周部舗装切断除去工程において、仮蓋上の全ての舗装材や仮復旧材を除去しなくても、把手部又は把手取付部に取り付けた着脱式把手部を利用して仮蓋を吊り上げることができ、外周部舗装切断除去工程に要する時間を短縮することができ、施工性に優れる。
【0018】
把手部又は把手取付部は、仮蓋を均等に吊り上げるために、2つ以上、設けることが好ましい。マーカは把手部又は把手取付部の位置(方向)を示すものであればよい。基板部の表面中央部(円形カッター案内部の根元部)又は円形カッター案内部の外周面に、把手部又は把手取付部の位置(方向)に合わせて、凸部、凹部、切り欠きなどを形成したものや矢印などが印刷されたシールを貼着したものなどが好適に用いられる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の路面補修方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)仮蓋の円形カッター案内部に配設された磁石部によって仮蓋の中心位置を簡便かつ正確に検出することができると共に、円形カッター案内部をそのまま利用して位置ずれを発生させることなく円形カッターを案内することができ、マンホールの受枠の外周部を無駄なく効率的に切断、除去することができ、マンホール外周部に段差のない高品質な舗装を行うことができる施工性、省力性、信頼性に優れた路面補修方法を提供することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)マンホールの蓋に着脱自在に配設された中心位置決め具の磁石部によって蓋の中心位置を簡便かつ正確に検出することができると共に、中心位置決め具の円形カッター案内部をそのまま利用して位置ずれを発生させることなく円形カッターを案内することができ、マンホールの受枠の外周部を無駄なく効率的に切断、除去することができ、マンホール外周部に段差のない高品質な舗装を行うことができる施工性、省力性、信頼性に優れた路面補修方法を提供することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)マンホール位置検出工程でおおよその仮蓋又は蓋の位置を検出した上で、中心位置検出工程を行うことにより、磁気探知機による探査範囲を絞り込むことができ、短時間で仮蓋又は蓋の中心位置を検出することができ、工数を大幅に低減できる生産性、施工性に優れた路面補修方法を提供することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)オーバーレイ舗装された舗装材や仮復旧材の厚さに応じて案内高さ調整工程で磁石部の高さ方向の位置を調整して磁石部の検出精度を確保でき、中心部舗装除去工程で除去する舗装材や仮復旧材の量を最低限に抑えることができ、作業の効率性、施工性に優れると共に、円形カッター位置決め工程において、円形カッターの回動中心固定部を確実に案内することができる汎用性に優れた路面補修方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における路面補修方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図1(a)は実施の形態1における路面補修方法の受枠除去工程後の状態を示す断面模式図であり、図1(b)は実施の形態1における路面補修方法の切削オーバーレイ舗装工程の仮復旧材充填工程後の状態を示す断面模式図であり、図1(c)は実施の形態1における路面補修方法の切削オーバーレイ舗装工程の切削工程後の状態を示す断面模式図であり、図2(a)は実施の形態1における路面補修方法の切削オーバーレイ舗装工程のオーバーレイ舗装工程後の状態を示す断面模式図であり、図2(b)は実施の形態1における路面補修方法の円形カッター位置決め工程後の状態を示す断面模式図であり、図3(a)は実施の形態1における路面補修方法の外周部舗装切断除去工程後の状態を示す断面模式図であり、図3(b)は実施の形態1における路面補修方法の受枠設置工程後の状態を示す断面模式図であり、図3(c)は実施の形態1における路面補修方法の受枠外周舗装工程後の状態を示す断面模式図である。
図1(a)中、1は路面に形成されたマンホール、1aはマンホール1の開口部、2は内壁が傾斜して形成され地中に埋設されたマンホール1のコンクリートブロック、3はコンクリートブロック2が埋設された路盤部、4は実施の形態1における路面補修方法によって補修される路面の既存舗装材、4aはマンホール1の外周部の既存舗装材4を円形カッターで切断して既存舗装材4と既設のマンホール1の受枠や蓋を撤去した後の受枠撤去孔である。
まず、受枠除去工程において、補修を行うマンホール1の外周部の既存舗装材4を円形カッターで切断し、既存舗装材4、受枠、蓋を除去する。
受枠除去工程では、円形カッターによる切断のほか、ブレーカによる破砕、油圧ジャッキによってマンホール1の蓋や受枠と既存舗装材4を一体的に剥ぎ取る方法、円筒型切断機でマンホール1の周囲を円形に切断する方法などを用いることができる。
【0024】
図1(b)中、5はマンホール1の開口部1aに覆設された仮蓋、6はマンホール1の開口部1aを覆う仮蓋5の基板部、7は基板部6の中央部上面に突設された仮蓋5の円形カッター案内部、7aは円形カッター案内部7に穿設された嵌合孔、8は円形カッター案内部7の上端部に着脱自在に配設された仮蓋5の磁石部、10は受枠撤去孔4a内の仮蓋5上及びマンホール1外周部に充填された路盤材や舗装材などの仮復旧材である。
図1(a)の受枠除去工程の終了後、図1(b)に示すように、仮蓋載置工程において、マンホール1の開口部1aに仮蓋5を載置する。
次に、切削オーバーレイ舗装工程の仮復旧材充填工程において、仮蓋5上及びマンホール1外周部を仮復旧材10で復旧する。
次に、図1(c)に示すように、切削オーバーレイ舗装工程の切削工程において、既存舗装材4及び仮復旧材10の表面を切削する。
【0025】
図2(a)中、11は切削された既存舗装材4及び仮復旧材10の表面にオーバーレイ舗装された舗装材である。
図1(c)の切削工程の終了後、図2(a)に示すように、切削オーバーレイ舗装工程のオーバーレイ舗装工程において、既存舗装材4及び仮復旧材10の表面を舗装材11でオーバーレイ舗装する。
本実施の形態で用いた仮蓋5は、円形カッター案内部7に円形カッターの回動中心固定部を嵌入するための嵌合孔7aが穿設されているが、円形カッター案内部7の上端部に配設された磁石部8で嵌合孔7aを塞ぐことができるので、切削オーバーレイ舗装工程における舗装材11や仮復旧材10によって嵌合孔7aが閉塞されることを防止でき、取り扱い性に優れる。
【0026】
次に、マンホール位置検出工程において、金属探知器により仮蓋5が覆設されたマンホール1の位置を検出した後、中心位置検出工程において、磁気探知機により磁石部8が配設された仮蓋5の中心位置を検出する。
本実施の形態で用いた仮蓋5は、円形カッター案内部7が基板部6の中央部上面に突設され、その上端部に磁石部8が配設されているので、基板部6と磁石部8の距離を離すことができ、中心位置検出工程で磁気探知機を用いる際に、基板部6が金属製の場合であっても、検出精度に悪影響を与えることがなく、確実に磁石部8が配設された仮蓋5の中心位置を検出することができ、位置検出の信頼性に優れる。
【0027】
図2(b)中、12は仮蓋5の円形カッター案内部7周辺の舗装材11や仮復旧材10を除去した後の中心部舗装除去孔、30はマンホール1外周部の舗装材11を切断する円形カッター、31は円形カッター30に配設された略截頭円錐状の回転刃、32は円形カッター30の本体から水平方向に張り出したアーム部、32aはアーム部32の自由端側から下方に穿設され円形カッター案内部7の嵌合孔7aに挿通された円柱状の回動中心固定部である。
中心位置検出工程の終了後、中心部舗装除去工程において、円形カッター案内部7周辺の舗装材11や仮復旧材10を除去する。
本実施の形態で用いた仮蓋5は、円形カッター案内部7が基板部6の中央部上面に突設されているので、中心部舗装除去工程においては、オーバーレイ舗装された舗装材11の表面側を僅かに削り取るだけで円形カッター案内部7の位置を特定することができ、除去する舗装材11の量を低減することができ、省力性、施工性に優れる。
【0028】
次に、円形カッター位置決め工程において、仮蓋5の磁石部8を取り外し円形カッター30の回動中心固定部32aを円形カッター案内部7の嵌合孔7aに挿通して回動自在に支持する。
円形カッター案内部7に嵌合孔7aが穿設されているので、円形カッター案内部7の先端部を露出させただけで円形カッター30の回動中心固定部32aを嵌合孔7aに嵌入して円形カッター位置決め工程を行うことができ、施工性に優れる。
【0029】
図3(a)中、10aはマンホール1外周部の舗装材11や仮復旧材10を除去した後の外周部舗装除去孔である。
円形カッター位置決め工程の終了後、外周部舗装切断除去工程において、円形カッター案内部7を中心に円形カッター30を回転させ、マンホール1外周部の舗装材11を切断して舗装材11や仮復旧材10及び仮蓋5を除去する。
尚、外周部舗装切断除去工程では、マンホール1外周部の舗装材11や仮復旧材10を除去してから仮蓋5を除去してもよいし、舗装材11や仮復旧材10と共に仮蓋5を一度にまとめて除去してもよい。
【0030】
図3(b)中、13はコンクリートブロック2の上面に配設された環状の調整コンクリート、14は調整コンクリート13の上部に樹脂モルタルや無収縮モルタル等で舗装材11の表面と面一になるように高さ調整されて配設された新しい受枠である。
外周部舗装切断除去工程の終了後、受枠設置工程において、コンクリートブロック2の上面に環状の調整コンクリート13を配設した後、調整コンクリート13の上部に樹脂モルタルや無収縮モルタル等で高さ調整を行い、舗装材11の表面と面一になるように新しい受枠14を配設する。
【0031】
図3(c)中、15は外周部舗装除去孔10a内の調整コンクリート13や受枠14の外周部に充填、転圧され、周辺の舗装材11と一体化された路盤材や舗装材などの補修材、16は受枠14に覆設された新しい蓋である。
受枠設置工程の終了後、受枠外周舗装工程において、外周部舗装除去孔10a内の調整コンクリート13や受枠14の外周部に路盤材や舗装材などの補修材15を充填、転圧し、周辺の舗装材11と一体化させて路面の補修作業が完了する。
【0032】
次に、本発明の実施の形態1における路面補修方法で用いる仮蓋の変形例について、以下図面を参照しながら説明する。
図4は実施の形態1における路面補修方法で用いる仮蓋の第1の変形例を示す断面模式図である。
図4中、第1の変形例の仮蓋5aが仮蓋5と異なる点は、基板部6にアイボルトを用いた着脱式把手部6bが固定される雌ねじ状の把手取付部6aが形設されている点と、円形カッター案内部7の外周部に把手取付部6aの位置(方向)を示す突起状のマーカ9を備えている点である。把手取付部6aと着脱式把手部6bがねじ止めにより強固に固定されているので、仮蓋5aを吊り上げて撤去作業を行う際に、着脱式把手部6bが外れ難く、作業の安全性、信頼性に優れる。
尚、仮蓋載置工程では、着脱式把手部6bは取り付けても取り付けなくてもよい。着脱式把手部6bを取り付けない場合は、仮蓋5aの表面にシート材や板材を覆設するか、把手取付部6aに弾性部材を嵌入或いは蓋部材を螺着するなどして把手取付部6aを閉塞し、仮復旧材10が侵入しないようにする。また、仮蓋載置工程で利用した着脱式把手部6bは、切削オーバーレイ舗装工程の前に取り外すことができ、中心部舗装除去工程で舗装材11や仮復旧材10を除去する際に、着脱式把手部6bが邪魔になることがなく、施工性に優れる。
【0033】
図5(a)は実施の形態1における路面補修方法で用いる仮蓋の第2の変形例を示す平面模式図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線矢視端面図である。
図5中、第2の変形例の仮蓋5bが仮蓋5aと異なる点は、基板部6に把手部6cが突設されている点と、基板部6の表面中央部(円形カッター案内部7の根元付近)に把手部6cの位置(方向)を示す矢印状のマーカ9aを備えている点である。
仮蓋5a,5bによれば、外周部舗装切断除去工程の終了後に、把手取付部6aに固定された着脱式把手部6bや基板部6に形成された把手部6cにワイヤーやロープなどを挿通したりフックを掛け止めしたりして、クレーンなどの機械によって簡便に仮蓋5a,5bの吊り上げ、撤去作業を行うことができ、省力性、作業の効率性に優れる。
着脱式把手部6bや把手部6cは、仮蓋載置工程を行う際にも利用することができ、特にクレーンなどの機械を使用すれば省力性、作業性に優れる。
尚、着脱式把手部6bや把手部6cの形状はこれらに限定されるものではなく、ワイヤーやロープなどを挿通するための挿通孔やフックを掛け止めするための係止部を有するものであればよい。把手部6cは溶接やねじ止めなどによって基板部6に固定することができる。把手部6cを基板部6に対して回動或いは摺動自在に取り付け、埋設時に把手部6cが基板部6の表面から突出しないようにした場合、中心部舗装除去工程で舗装材11や仮復旧材10を除去する際に、把手部6cが邪魔になることがなく、施工性に優れる。
【0034】
また、仮蓋5a,5bによれば、中心位置検出工程で仮蓋5a,5bの中心位置を検出した後、中心部舗装除去工程で円形カッター案内部7周辺の舗装材11や仮復旧材10を除去した際に、円形カッター案内部7の外周部に突設されたマーカ9や基板部6の表面中央部に形設されたマーカ9aにより、把手取付部6aや把手部6cの位置(方向)を簡便に知ることができる。これにより、外周部舗装切断除去工程において、仮蓋5a,5b上の舗装材11や仮復旧材10を全て除去しなくても、把手取付部6aに取り付けた着脱式把手部6bや把手部6cを利用して仮蓋5a,5bを吊り上げることができ、外周部舗装切断除去工程に要する時間を短縮することができ、施工性に優れる。
尚、把手取付部6a又は把手部6cは、仮蓋5a,5bを均等に吊り上げるために、2つ以上、設けることが好ましい。また、マーカ9,9aは把手取付部6a又は把手部6cの位置(方向)を示すものであればよく、基板部6の表面中央部(円形カッター案内部7の根元部)や円形カッター案内部7の外周面に、把手取付部6a又は把手部6cの位置(方向)に合わせて、凸部、凹部、切り欠きなどを形成したものや矢印などが印刷されたシールを貼着したものなどを用いることができる。
【0035】
実施の形態1の路面補修方法は以上のように構成されているので以下の作用を有する。
(1)マンホール1の開口部1aを覆う基板部6と基板部6の中央部上面に突設された円形カッター案内部7と円形カッター案内部7の上端部に着脱自在に配設された磁石部8とを有する仮蓋5(5a,5b)をマンホール1に覆設する仮蓋載置工程を有することにより、後工程の中心位置検出工程において磁気探知機で磁石部8が配設された仮蓋5(5a,5b)の中心位置を簡便かつ正確に検出することができ、施工性に優れる。
(2)中心部舗装除去工程により、仮蓋5(5a,5b)の円形カッター案内部周辺の舗装材11や仮復旧材10を除去することができ、後工程の円形カッター位置決め工程において、仮蓋5(5a,5b)の磁石部8を取り外し、円形カッター30の回動中心固定部32aを円形カッター案内部7に回動自在に支持することができるので、位置ずれを発生させることなく、円形カッター案内部7で確実に円形カッター30を案内することができ、外周部舗装切断除去工程を精度よく行うことができ、信頼性に優れる。
(3)中心位置検出工程の前工程として、金属探知器により仮蓋5(5a,5b)が覆設されたマンホール1の位置を検出するマンホール位置検出工程を有することにより、マンホール位置検出工程でおおよその仮蓋5(5a,5b)の位置を検出した上で、中心位置検出工程を行うことができるので、磁気探知機による探査範囲を絞り込むことができ、中心位置検出工程に要する時間を大幅に短縮することができ、施工性に優れる。
【0036】
(実施の形態2)
図6(a)は実施の形態2における路面補修方法のオーバーレイ舗装工程後の状態を示す断面模式図であり、図6(b)は実施の形態2における路面補修方法の円形カッター位置決め工程後の状態を示す断面模式図であり、図6(c)は実施の形態2における路面補修方法の外周部舗装切断除去工程後の状態を示す断面模式図であり、図7(a)は実施の形態2における路面補修方法の受枠設置工程後の状態を示す断面模式図であり、図7(b)は実施の形態2における路面補修方法の受枠外周舗装工程後の状態を示す断面模式図である。尚、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図6(a)中、11aは補修を行う既存舗装材4及びマンホール1の蓋22の上にオーバーレイ舗装された舗装材、20は既設のマンホール1の調整コンクリート、21は既存のマンホール1の受枠、22は既設のマンホール1の蓋、23は蓋22の中央部上面に着脱自在に配設された中心位置決め具、24は中心位置決め具23の円形カッター案内部、24aは円形カッター案内部24に形設された雌ねじ部、25は円形カッター案内部24の上端部で雌ねじ部24aに螺着された中心位置決め具23の磁石部である。
まず、位置決め具固定工程において、補修を行う路面に設置されたマンホール1の蓋22の中央部に中心位置決め具23を固定する。中心位置決め具23は、マンホール1の蓋2に着脱自在に固定できるものであればよく、円形カッター案内部24の底部に固定用磁石を配設して蓋22に磁着してもよいし、両面テープで貼着してもよい。
次に、オーバーレイ舗装工程において、蓋22上及びマンホール1周辺の既存舗装材4の表面から舗装材11aでオーバーレイ舗装を行う。
【0037】
図6(b)中、12aは中心位置決め具23の円形カッター案内部24周辺の舗装材11aを除去した後の中心部舗装除去孔、24bは円形カッター案内部24に螺着された円筒状の延長部材である。
オーバーレイ舗装工程の終了後、マンホール位置検出工程において、金属探知器により蓋22が覆設されたマンホール1の位置を検出した後、中心位置検出工程において、磁気探知機により磁石部25を有する中心位置決め具23が配設された蓋22の中心位置を検出する。
円形カッター案内部24に雌ねじ部24aが形設されているので、舗装材11aの厚さに応じて長さの異なる延長部材24bを取り付けることにより、磁石部25の高さ方向の位置を調整して磁石部25の検出精度を確保でき、施工性、汎用性に優れる。
尚、蓋22が磁気を帯びることにより、磁石部25の位置を正確に検出することが困難になる場合は、円形カッター案内部24の固定に固定用磁石を用いないようにし、円形カッター案内部24を非磁性体で形成するか、磁石部25と円形カッター案内部24の間や円形カッター案内部24と蓋22の間に合成樹脂製のシートや金属板などで形成された非磁性体を挟むことが好ましい。
【0038】
次に、中心部舗装除去工程において、円形カッター案内部24周辺の舗装材11aを除去する。
次に、案内高さ調整工程において、中心位置決め具23の磁石部25を円形カッター案内部24から取り外し、代わりに円筒状の延長部材24bを螺着する。
次に、円形カッター位置決め工程において、円形カッター30の回動中心固定部32aを延長部材24bに内挿して回動自在に支持する。
円形カッター案内部24に雌ねじ部24aが形設されているので、舗装材11aの厚さに応じて長さの異なる延長部材24bを取り付けることにより、円形カッター30の回動中心固定部32aを確実に支持することができ、汎用性に優れる。
【0039】
図6(c)中、4bはマンホール1外周部の舗装材11aや既存舗装材4及び既設の受枠21などを除去した後の受枠撤去孔である。
円形カッター位置決め工程の終了後、受枠除去工程において、円形カッター案内部24を中心に円形カッター30を回転させ、マンホール1外周部の舗装材11aを切断して舗装材11a、既存舗装材4及び蓋22、受枠21、調整コンクリート20を除去する。
【0040】
図7(a)中、20aはコンクリートブロック2の上面に配設された環状の調整コンクリート、21aは調整コンクリート20aの上部に樹脂モルタルや無収縮モルタル等で舗装材11aの表面と面一になるように高さ調整されて配設された新しい受枠である。
受枠除去工程の終了後、受枠設置工程において、コンクリートブロック2の上面に環状の調整コンクリート20aを配設した後、調整コンクリート20aの上部に樹脂モルタルや無収縮モルタル等で高さ調整を行い、舗装材11aの表面と面一になるように新しい受枠21を配設する。
【0041】
図7(b)中、22aは受枠21aに覆設された新しい蓋である。
受枠設置工程の終了後、受枠外周舗装工程において、受枠撤去孔4b内の調整コンクリート20aや受枠21aの外周部に路盤材や舗装材などの補修材15を充填、転圧し、周辺の舗装材11aと一体化させて路面の補修作業が完了する。
【0042】
実施の形態2の路面補修方法は以上のように構成されているので、以下の作用が得られる。
(1)補修を行なうマンホール1の蓋22の中央部上面に円形カッター案内部24と円形カッター案内部24の上端部に着脱自在に配設された磁石部25とを有する中心位置決め具23を着脱自在に固定する位置決め具固定工程を有することにより、後工程の中心位置検出工程において磁気探知機で磁石部25を有する中心位置決め具23が配設された蓋22の中心位置を簡便かつ正確に検出することができ、施工性に優れる。
(2)中心部舗装除去工程により、中心位置決め具23の円形カッター案内部24周辺の舗装材11aを除去することができ、後工程の円形カッター位置決め工程において、中心位置決め具23の磁石部25を取り外し、円形カッター30の回動中心固定部32aを円形カッター案内部24に回動自在に支持することができるので、位置ずれを発生させることなく、円形カッター案内部24で確実に円形カッター30を案内することができ、受枠除去工程において、既設のマンホール外周部の舗装材11aを確実に切断し、既存舗装材4や既設の受枠21、調整コンクリート20などを除去することができ、信頼性に優れる。
(3)位置決め具固定工程で用いる中心位置決め具23を既存のマンホール1の蓋22に着脱自在に固定することができるので、既存のマンホール1の蓋22に改造を施すことなく、そのまま利用することができ、省資源性、施工性に優れる。
(4)中心位置検出工程の前工程として、金属探知器により蓋22が覆設されたマンホール1の位置を検出するマンホール位置検出工程を有することにより、マンホール位置検出工程でおおよその蓋22の位置を検出した上で、中心位置検出工程を行うことができるので、磁気探知機による探査範囲を絞り込むことができ、中心位置検出工程に要する時間を大幅に短縮することができ、施工性に優れる。
(5)オーバーレイ舗装された舗装材11aの厚さが薄く、円形カッター案内部24に十分な長さがない場合でも、中心部舗装除去工程の後に案内高さ調整工程を行って延長部材24bを装着することにより、円形カッター位置決め工程において、円形カッター30の回動中心固定部32aを確実に案内することができ、施工性、汎用性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、道路に設置されたマンホールや情報ボックス等の鉄蓋や受枠の交換時或いは受枠の高さ調整時などにおける既設の舗装の打ち換えを行う際に、一旦、オーバーレイ舗装によって覆われるマンホールや情報ボックス等の中心位置を簡便かつ確実に検出すると共に、円形カッターを案内して受枠周囲の舗装の切断、舗装を効率的に行うことができる施工性、汎用性に優れた路面補修方法の提供を行うことができ、舗装道路におけるマンホールや情報ボックス等の蓋や受枠の交換時に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)実施の形態1における路面補修方法の受枠除去工程後の状態を示す断面模式図(b)実施の形態1における路面補修方法の切削オーバーレイ舗装工程の仮復旧材充填工程後の状態を示す断面模式図(c)実施の形態1における路面補修方法の切削オーバーレイ舗装工程の切削工程後の状態を示す断面模式図
【図2】(a)実施の形態1における路面補修方法の切削オーバーレイ舗装工程のオーバーレイ舗装工程後の状態を示す断面模式図(b)実施の形態1における路面補修方法の円形カッター位置決め工程後の状態を示す断面模式図
【図3】(a)実施の形態1における路面補修方法の外周部舗装切断除去工程後の状態を示す断面模式図(b)実施の形態1における路面補修方法の受枠設置工程後の状態を示す断面模式図(c)実施の形態1における路面補修方法の受枠外周舗装工程後の状態を示す断面模式図
【図4】実施の形態1における路面補修方法で用いる仮蓋の第1の変形例を示す断面模式図
【図5】(a)実施の形態1における路面補修方法で用いる仮蓋の第2の変形例を示す平面模式図(b)図4(a)のA−A線矢視端面図
【図6】(a)実施の形態2における路面補修方法のオーバーレイ舗装工程後の状態を示す断面模式図(b)実施の形態2における路面補修方法の円形カッター位置決め工程後の状態を示す断面模式図(c)実施の形態2における路面補修方法の外周部舗装切断除去工程後の状態を示す断面模式図
【図7】(a)実施の形態2における路面補修方法の受枠設置工程後の状態を示す断面模式図(b)実施の形態2における路面補修方法の受枠外周舗装工程後の状態を示す断面模式図
【符号の説明】
【0045】
1 マンホール
1a 開口部
2 コンクリートブロック
3 路盤部
4 既存舗装材
4a,4b 受枠撤去孔
5,5a,5b 仮蓋
6 基板部
6a 把手取付部
6b 着脱式把手部
6c 把手部
7,24 円形カッター案内部
7a 嵌合孔
8,25 磁石部
9,9a マーカ
10 仮復旧材
10a 外周部舗装除去孔
11,11a 舗装材
12,12a 中心部舗装除去孔
13,20,20a 調整コンクリート
14,21,21a 受枠
15 補修材
16,22,22a 蓋
23 中心位置決め具
24a 雌ねじ部
24b 延長部材
30 円形カッター
31 回転刃
32 アーム部
32a 回動中心固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補修を行なうマンホール外周部の既存舗装材や既設の受枠を除去する受枠除去工程と、前記マンホールの開口部を覆う基板部と前記基板部の中央部上面に突設された円形カッター案内部と前記円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設される磁石部とを有する仮蓋を前記マンホールに覆設する仮蓋載置工程と、前記仮蓋上及び前記マンホール外周部に仮復旧材を充填し既存舗装材の表面を切削して舗装材でオーバーレイ舗装する切削オーバーレイ舗装工程と、磁気探知機により前記磁石部が配設された前記仮蓋の中心位置を検出する中心位置検出工程と、前記仮蓋の前記円形カッター案内部周辺の前記舗装材や前記仮復旧材を除去する中心部舗装除去工程と、前記仮蓋の前記磁石部を取り外し円形カッターの回動中心固定部を前記円形カッター案内部に回動自在に支持する円形カッター位置決め工程と、前記円形カッターにより前記マンホール外周の前記舗装材を切断して前記舗装材や前記仮復旧材を除去する外周部舗装切断除去工程と、を有することを特徴とする路面補修方法。
【請求項2】
補修を行なうマンホールの蓋の中央部上面に円形カッター案内部と前記円形カッター案内部の上端部に着脱自在に配設される磁石部とを有する中心位置決め具を着脱自在に固定する位置決め具固定工程と、前記蓋上及び前記マンホール周辺の既存舗装材上に舗装材でオーバーレイ舗装するオーバーレイ舗装工程と、磁気探知機により前記磁石部を有する前記中心位置決め具が配設された前記蓋の中心位置を検出する中心位置検出工程と、前記中心位置決め具の前記円形カッター案内部周辺の前記舗装材を除去する中心部舗装除去工程と、前記中心位置決め具の前記磁石部を取り外し円形カッターの回動中心固定部を前記円形カッター案内部に回動自在に支持する円形カッター位置決め工程と、前記円形カッターにより前記マンホール外周部の前記舗装材を切断して前記既存舗装材や既設の受枠を除去する受枠除去工程と、を有することを特徴とする路面補修方法。
【請求項3】
前記中心位置検出工程の前工程として、金属探知器により前記仮蓋又は前記蓋が覆設された前記マンホールの位置を検出するマンホール位置検出工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の路面補修方法。
【請求項4】
前記仮蓋又は前記中心位置決め具の前記円形カッター案内部の長さ調整を行う案内高さ調整工程を有することを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の路面補修方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−121154(P2009−121154A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297305(P2007−297305)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(503430016)
【Fターム(参考)】