説明

踏切保安装置およびその更新方法ならびに踏切制御切替装置

【課題】終止点用踏切制御子が一台だけでも踏切の両側の終止点で列車を検知する。
【解決手段】鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切8の両側で線路10に接続された閉電路形の始動点用踏切制御子21,23と、始動点用踏切制御子21と踏切8との間で線路10に接続された開電路形の終止点用踏切制御子24と、それらの列車検知結果に基づいて上りSR,下りSR,警報Rを出力する踏切制御装置31とを備えた踏切保安装置40に於て、始動点用踏切制御子23と踏切8との間で線路10に第2接続線A2,B2を接続し、列車運転方向指示に応じて切替制御部55が切替回路部56を制御することで終止点用踏切制御子24の接続先を第1接続線A1,B1か第2接続線A2,B2かに切り替える踏切制御切替装置50を導入して、それを第1接続線A1,B1と終止点用踏切制御子24との間に割り込む形で介挿接続するとともに第2接続線A2,B2にも接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄道の単線区間の踏切に設置される踏切保安装置の改良に関する。
また、その改良に資する踏切制御切替装置にも関する。
さらに、それを追加して既存の設備を改良する踏切保安装置更新方法にも関する。
なお、本願に添付した特許請求の範囲および明細書では、「列車の運転方向」を「列車運転方向」と言う。また、「列車運転方向」を示す出力がリレー出力であれリレー以外の信号出力であれ、それを「列車運転方向指示」と言う。
【背景技術】
【0002】
鉄道の線路の踏切に設置される踏切保安装置は(例えば非特許文献1,2参照)、列車を検知するための踏切制御子と、音響にて警報を発するためのスピーカとせん光にて警報を発するための警報灯を装備した踏切警報機と、第3種の踏切には無いが第1種の踏切では踏切遮断機と、踏切制御子の検知結果に基づいて踏切警報機や踏切遮断機の動作を制御する踏切制御装置とを具えている。そして、踏切の手前の始動点に設置された踏切制御子で列車を検知すると、踏切警報機にて警報を発するとともに、少し時間をおいて第1種の踏切では踏切遮断機を降下させ、踏切通過後の終止点に設置された踏切制御子で列車通過を検知すると、警報等を止めるとともに、第1種の踏切では踏切遮断機を上昇させるようになっている。以下、このような踏切保安装置や踏切制御子の構成等を、図面を引用して説明する。
【0003】
図5は、(a)が複線区間における踏切制御子21〜24の配置図、(b)が単線区間における踏切制御子21〜23の配置図、(c)が単線用の踏切制御装置31を含む単線用の踏切保安装置のブロック図、(d)が閉電路形の始動点用踏切制御子21,23の接続図、(e)が開電路形の終止点用踏切制御子22,24の接続図である。また、図6(a)は、終止点用踏切制御子24に発振式のものを採用したときのブロック図であり、同図(b)は、終止点用踏切制御子24に送受信式のH形を採用したときのブロック図である。さらに、図7(a)は、コストを考慮して現在設置されている単線用踏切保安装置に係る概要構成図であり、同図(b)は、コストを無視すれば理想といえる単線用踏切保安装置に係る概要構成図である。
【0004】
複線区間の踏切8に係る踏切保安装置では(図5(a)参照)、下り側の線路10について踏切8の起点側で手前位置の下り始動点ADCに始動点用踏切制御子21が設置されるとともに踏切8の終点側で列車通過後位置の下り終止点BDCに終止点用踏切制御子22が設置されるばかりか、上り側の線路10についても踏切8の終点側で手前位置の上り始動点CDCに始動点用踏切制御子23が設置されるとともに踏切8の起点側で列車通過後位置の上り終止点DDCに終止点用踏切制御子24が設置される。始動点ADC,CDCは、踏切警報を発してから列車が踏切8に到達するまでの時間を確保するために、例えば駅中間の踏切で列車の走行速度が100km/Hの場合には踏切8から700〜 800m程の遠くに設定されるが、終止点BDC,DDCは、踏切横断物等による誤作動を避けつつも列車の通過を早く検出するために、踏切8から例えば20〜30m程の近くに設定されることが多い。
【0005】
これに対し(図5(b)参照)、線路10が一つしかない単線区間に設けられた踏切8に係る踏切保安装置では、同じ線路10に対し、踏切8の両側に分かれて下り始動点ADCと上り始動点CDCとが設定され、下り始動点ADCには始動点用踏切制御子21が設置される一方、上り始動点CDCには始動点用踏切制御子23が設定される。また、同じ線路10に対し、下り終止点BDCと上り終止点DDCとのうち何れか一方だけが上り下り共用の終止点として設定され、その共用終止点には終止点用踏切制御子が設置される。例えば下り終止点BDCが選択されて、それが踏切8と上り始動点CDCとの間に設定された場合(図5(b)の場合)、そこに終止点用踏切制御子22が設置され、上り終止点DDCは設定されないので、終止点用踏切制御子24は設置されない。このように、踏切8に近い終止点については共用化を図ることで、設備費の過大化が抑制される。
【0006】
そのため(図5(c)参照)、単線区間の踏切8に係る踏切保安装置は、同じ線路10の下り始動点ADC,共用終止点BDC,上り始動点CDCそれぞれに設置された始動点用踏切制御子21,終止点用踏切制御子22,始動点用踏切制御子23と、それらの踏切制御子21,22,23から列車検知結果を入力しそれに基づく論理判定にて列車の踏切への接近および通過と列車運転方向とを認知する踏切制御装置31と、音響にて警報を発するためのスピーカと、せん光にて警報を発するための警報灯32と、第1種の踏切では踏切遮断機33とを具えている。なお、その他、故障表示器や、複線など跨線数が複数の踏切には列車方向指示器なども、設けられているが、その説明は割愛する。
【0007】
そして、下り列車が下り始動点ADCと共用終止点BDCとの間に在線しているときには下りSRリレーが無励磁となるが、それ以外のときには下りSRリレーが励磁される。また、上り列車が上り始動点CDCと共用終止点BDCとの間に在線しているときには上りSRリレーが無励磁となるが、それ以外のときには上りSRリレーが励磁される。そのような列車運転方向の判別結果として方向別に出力される下りSRと上りSRが組み合わせられて、最終の警報出力となる警報Rリレー回路が構成されている。そして、この警報Rリレーの条件により、警報音制御器、警報灯制御器(断続リレー)、踏切遮断機制御リレーと呼ばれる機器が駆動され、それらの出力がそれぞれ警報音のスピーカ、警報灯32、踏切遮断機33に送出されて、音や光で警報が発せられるとともに、遮断桿で道路交通が遮断される。
【0008】
ここで(図5(d),(e)参照)、踏切制御子について詳述すると、故障時のフェールセーフのため、下り始動点ADCや上り始動点CDCに設置される始動点用踏切制御子21,23には閉電路形の踏切制御子が用いられ(図5(d)参照)、下り終止点BDCや上り終止点DDCに設置される終止点用踏切制御子22,24には開電路形の踏切制御子が用いられる(図5(e)参照)。そのうち、閉電路形踏切制御子21,23は(図5(d)参照)、線路10を成す一対のレール11,12それぞれに一端を溶接等で取り付けられた接続線の対を二対ほど使用するものであり、線路10における接続線取付箇所の取付間隔は約15mほどになっている。そして、その接続線取付箇所の間のレール11,12を介して常に閉電路が構成されており、列車の非在線時には照査用発振信号が閉電路に一巡伝送されて踏切制御子の始動Rリレー(出力リレー)が励磁されるのに対し、列車が約30m程の列車検知長の区間に存在すると、列車の車軸でレール11,12が短絡されるために、照査用発振信号の伝送が断たれて、始動Rリレーが無励磁となる。
【0009】
一方、開電路形踏切制御子22,24は(図5(e)参照)、線路10を成す一対のレール11,12それぞれに一端を溶接等で取り付けられた接続線を一対だけ使用するものであり、その接続線に照査用発振信号を常に送出するようになっているが、レール11,12の間が繋がっていないので常態では開電路が構成されているにとどまるため、その開電路に照査用発振信号が送出されていても、列車の非在線時には照査用発振信号の伝送がレール11,12の間で断たれて、踏切制御子の終止Rリレー(出力リレー)が無励磁となっている。そして、列車が約30m程の列車検知長の区間に進入して存在すると、列車の車軸でレール11,12が短絡されるために、開電路が一時的に閉電路となって、照査用発振信号が一巡伝送され、踏切制御子の終止Rリレーが励磁される。
【0010】
このような開電路形の終止点用踏切制御子22,24は(図6参照)、内部に、照査用発振信号の接続線への送出を試行して照査用発振信号の一巡伝送の状態を検出する発振有無検出部25と、照査用発振信号の一巡伝送が検出されたときには終止Rリレーを励磁するが照査用発振信号の一巡伝送が検出されないときには終止Rリレーを励磁しないリレー駆動部26とを具えている。発振有無検出部25には、接続線を発振回路の発振ループの一部とする発振式のものと(図6(a)参照)、照査用発振信号を送信部で生成し接続線で伝送させ受信部で検出する送受信式のH形と(図6(b)参照)、2タイプが実用化されているが、後ほど説明する本発明においては終止点用踏切制御子の方式の違いが問題にならないので、その詳細は図示するにとどめ、ここでは終止点用踏切制御子24を具体例にして、接続線A1,B1(第1接続線)との接続状態を詳述する。
【0011】
一対の接続線A1,B1のうち一方の接続線A1は一端がレール11に溶接等で接続され他方の接続線B1は一端がレール12に接続されて(図6参照)、その接続線取付箇所14から何れの接続線A1,B1も終止点用踏切制御子24の方に延びていて、発振有無検出部25に接続されている。なお、必須ではないが大抵は終止点用踏切制御子24が踏切器具箱内に収納されているので、接続線A1,B1は、何れも、発振有無検出部25に直に接続されるのでなく、延長線を介在させて間接的に接続されている。即ち、接続線A1,B1は、それぞれ、他端が配線端子盤28の端子に接続され、そこから踏切器具箱内配線27によって終止点用踏切制御子24の筐体の端子まで延長され、そこから制御子内配線AA,BBによって発振有無検出部25に接続されて、発振有無検出部25から照査用発振信号を伝達されるものとなっている。なお、終止Rリレーの接点はリレー信号の伝達のため踏切器具箱内配線にて踏切制御装置31の入力ユニットに接続されている。
【0012】
このように、単線区間の踏切8に係る現状の踏切保安装置では(図7(a)参照)、線路10において踏切8の近くに共用終止点DDCが設定され更にそれより踏切8から遠くに且つ踏切8の両側に分かれて下り始動点ADCと上り始動点CDCが設定され、下り始動点ADCでは閉電路形の始動点用踏切制御子21に至る接続線の一端が線路10に溶接され、共用終止点DDCの接続線取付箇所14には開電路形の終止点用踏切制御子24に至る接続線(第1接続線A1,B1)の一端が線路10に溶接され、上り始動点CDCでは閉電路形の始動点用踏切制御子23に至る接続線の一端が線路10に接続される。そして、踏切制御子21の始動Rリレーと踏切制御子24の終止Rリレーと踏切制御子23の始動Rリレーとの励磁有無状態に応じて、踏切制御装置31が警報灯32の動作を制御し、更に第1種の踏切では踏切制御装置31が踏切遮断機33の動作をも制御し、上り始動点CDCと共用終止点DDCとの間が上りの踏切制御区間となり、下り始動点ADCと共用終止点DDCとの間が下りの踏切制御区間となる。
【0013】
すなわち、列車が上り始動点CDCの列車検知長の区間に進入し掛かってから共用終止点DDCの列車検知長の区間を進出し終えるまでは、列車が上りの踏切制御区間の中に存在するとの判別がなされ、列車運転方向が上りであることを示す上りSRリレーが常態の励磁から無励磁になって、警報灯32にて警報が発せられるとともに、第1種の踏切では踏切遮断機33にて道路交通が遮断される。また、列車が下り始動点ADCの列車検知長の区間に進入し掛かってから共用終止点DDCの列車検知長の区間を進出し終えるまでは、列車が下りの踏切制御区間の中に存在するとの判別がなされ、列車運転方向が下りであることを示す下りSRリレーが常態の励磁から無励磁になって、警報灯32にて警報が発せられるとともに、第1種の踏切では踏切遮断機33にて道路交通が遮断される。さらに、それ以外のときには、上りの踏切制御区間にも下りの踏切制御区間にも列車が在線していないとの判別がなされて、スピーカや警報灯32から警報が発せられることがなく、第3種の踏切はもちろん第1種の踏切8でも道路交通が遮断されない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】鉄道技術者のための信号概論 信号シリーズ1 「鉄道信号一般」社団法人日本鉄道電気技術協会2015年3月18日発行、改訂版p.107〜118
【非特許文献2】鉄道技術者のための電気概論 信号シリーズ8 「踏切保安装置」社団法人日本鉄道電気技術協会2007年10月30日発行、4版p.35〜120
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このように、現状では、単線区間の線路10の踏切8に設置される踏切保安装置において、列車が踏切道を通過したことを検知し、踏切警報を停止させ更に第1種の踏切では踏切遮断機33を上昇させるために使用する開電路形の終止点用踏切制御子は、踏切道を挟んで起点側あるいは終点側のどちら側か一方だけで左右のレール11,12に接続線を介して取付けられるのが一般的である。
これらの場合のうち、終止点用踏切制御子24が踏切8の起点側に取付けられた場合は(図7(a)参照)、踏切8が上りの踏切制御区間に属するので、上り列車に対しては、列車速度の如何に拘わらず、上り列車が完全に踏切道を通過し終わったことを検知でき、通過し終えた時点で警報が停止し、所要の機能がその通りに発揮される。
【0016】
一方、下り列車に対しては、踏切8が下りの踏切制御区間に属さないので、列車の速度によっては、あるいは踏切道の幅員によっては、下り列車が踏切道を通過中にも拘わらず通過したものと見做されることがあり、そうするとその時点で警報が停止するので所要の目的を果たすことができない。
列車が共用終止点DDCを通過し終えたら直ちに警報等を止めるのでなく、予め設定しておいた遅延時素だけ更に経過するのを待ってその後に警報等を止めるので、踏切8を通過する下り列車の速度が通常より多少遅い程度かそれ以上であれば、下り列車が踏切道を通過中にも拘わらず通過したものと見做されることはないのであるが、列車速度の速度があまりに遅かったり列車が踏切8で停止したようなときには、下り列車が踏切8を通過し終える前に通過したものと見做されることが起こりうる。
【0017】
なお、終止点用踏切制御子が踏切8の終点側にだけ取付けられた場合については図示や繰り返しとなる煩雑な説明は割愛するが、この場合も上り下りが入れ替わるだけで同様の不都合が生じうる。
そして、かかる不都合を回避するには、コスト負担を無視することが許される理想的な安全重視の環境下であれば、複線用の踏切保安装置でも惜しげなく単線区間に適用することができるので、単線区間の線路10の踏切8に踏切保安装置を設置する際、踏切道を挟んだ両側それぞれに始動点用踏切制御子と終止点用踏切制御子とを取り付ければ良い。
【0018】
すなわち(図7(b)参照)、踏切8の起点側のレール11,12に対しては遠くの下り始動点ADCに始動点用踏切制御子21を接続線にて接続するとともに近くの上り終止点DDCの接続線取付箇所14には接続線を介して終止点用踏切制御子24を接続し、踏切8の終点側のレール11,12に対しては近くの下り終止点BDCの接続線取付箇所15に接続線を介して終止点用踏切制御子22を接続するとともに遠くの上り始動点CDCには始動点用踏切制御子23を接続線にて接続するのである。これにより、上り始動点CDCから上り終止点DDCに至る上りの踏切制御区間に踏切8が属するばかりでなく、下りの踏切制御区間が下り始動点ADCから下り終止点BDCに至る区間に広がって、踏切8が下りの踏切制御区間にも属することとなるので、上り列車であれ、下り列車であれ、列車速度の如何に拘わらず、さらには踏切道の幅員にも拘わらず、列車が完全に踏切道を通過し終わったことを検知できて、所要の目的が果たされる。
【0019】
しかしながら、このようなコスト無視の対処策では、開電路形の終止点用踏切制御子を2つも設置しなければならず、終止点用踏切制御子についてはイニシャルコストもランニングコストも倍増する。単線区間は営業収益に乏しい所なので、コストは抑えなければならない。また、近接した範囲に複数・多数の踏切制御子が設置されるので、それらが同じ線路に送出する照査用発振信号に関して相互干渉が発生しやすくなるが、これを回避するためには列車検知用の信号すなわち照査用発振信号の周波数を変える必要がある。既に多くの信号周波数を使用しているなかで、更に周波数を増やすことは、混変調が増えるなどの不都合もある。
そこで、終止点用踏切制御子が一台しかなくても踏切の両側の終止点で列車を検知できるように改良することが、技術的な課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の踏切保安装置は(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、要するに、単線区間では一の踏切を上り列車と下り列車が同時に通過することが無いということに基づいて、一台の終止点用踏切制御子に時分割で二台分の機能を発揮させることにより、簡便かつ安価に、踏切の両側の終止点で列車を検知できるようになっている。
【0021】
具体的には、鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された複数の閉電路形の始動点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子のうち何れか一方と前記踏切との間で第1接続線を介して前記線路に接続された開電路形の終止点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子での列車検知結果と前記終止点用踏切制御子での列車検知結果とに基づいて踏切警報を発する踏切制御装置とを備えた踏切保安装置において、前記始動点用踏切制御子のうち何れか他方と前記踏切との間で前記線路に接続された第2接続線と、前記踏切制御装置に内蔵されていて又は前記踏切制御装置の外部に設けられていて前記線路に対する前記始動点用踏切制御子の接続箇所への列車到来に応じて列車の上り下りを判別する列車方向判別手段と、前記第1接続線と前記終止点用踏切制御子との間に割り込む形で介挿接続されるとともに前記第2接続線にも接続されて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子の接続先を前記第1接続線に切り替えるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子の接続先を前記第2接続線に切り替える切替回路部と、前記列車方向判別手段の判別結果に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の踏切保安装置およびその更新方法ならびに踏切制御切替装置は(解決手段2)、一台の終止点用踏切制御子に時分割で二台分の機能を発揮させるために追加する機能拡張体を踏切制御切替装置としてユニット化・小形化したものである。
【0023】
具体的には、本発明の踏切制御切替装置は(解決手段2)、鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された第1接続線および第2接続線のうち何れか一方を選択して開電路形の終止点用踏切制御子と接続させることにより前記終止点用踏切制御子に時分割で二台分の列車検知機能を発揮させる踏切制御切替装置であって、前記第1接続線に対する接続手段と前記第2接続線に対する接続手段と前記終止点用踏切制御子に対する接続手段と列車接近に応じて踏切警報を発するとともに列車の上り下りを判別して列車方向を指示する踏切制御装置に対する接続手段とを有する筐体と、前記筐体に内蔵されていて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第1接続線とを接続させるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とを接続させる切替回路部と、前記筐体に内蔵されていて前記踏切制御装置の列車運転方向指示に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の踏切保安装置更新方法は(解決手段2)、鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された複数の閉電路形の始動点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子のうち何れか一方と前記踏切との間で第1接続線を介して前記線路に接続された開電路形の終止点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子での列車検知結果と前記終止点用踏切制御子での列車検知結果とに基づいて踏切警報を発するとともに列車の上り下りを判別して列車方向を指示する踏切制御装置とを備えた踏切保安装置を更新対象とする踏切保安装置更新方法であって、
前記始動点用踏切制御子のうち何れか他方と前記踏切との間で前記線路に第2接続線を接続させ、
前記第1接続線と前記第2接続線と前記終止点用踏切制御子と前記踏切制御装置とに対する接続手段を有する筐体と、前記筐体に内蔵されていて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第1接続線とを接続させるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とを接続させる切替回路部と、前記筐体に内蔵されていて前記踏切制御装置の列車運転方向指示に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを備えた踏切制御切替装置を設け、
前記筐体の接続手段を介して前記切替回路部を前記第1接続線と前記終止点用踏切制御子との間に割り込む形で介挿接続させるとともに前記第2接続線にも接続させ、
前記筐体の接続手段を介して前記切替制御部を前記踏切制御装置の列車運転方向指示の送出部に接続させる、ことを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明の踏切保安装置は(解決手段2)、
鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された複数の閉電路形の始動点用踏切制御子と、
前記始動点用踏切制御子のうち何れか一方と前記踏切との間で前記線路に接続された第1接続線と、
前記始動点用踏切制御子のうち何れか他方と前記踏切との間で前記線路に接続された第2接続線と、
前記第1接続線と前記第2接続線とのうち何れか一方に接続されて列車検知を行う開電路形の終止点用踏切制御子と、
前記始動点用踏切制御子での列車検知結果と前記終止点用踏切制御子での列車検知結果とに基づいて踏切警報を発する踏切制御装置と、
前記第1接続線と前記第2接続線と前記終止点用踏切制御子と前記踏切制御装置とに対する接続手段を有する筐体と、前記筐体に内蔵されていて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第1接続線とを接続させるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とを接続させる切替回路部と、前記筐体に内蔵されていて前記踏切制御装置の列車運転方向指示に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを具備した踏切制御切替装置と、
を備えている。
【0026】
さらに、本発明の踏切制御切替装置は(解決手段3)、上記解決手段2の踏切制御切替装置であって、前記第1接続線に対する接続手段および前記第2接続線に対する接続手段のうち何れか一方または双方と前記切替回路部との間に割り込む形で介挿接続された可変容量部を具備したことを特徴とする。
【0027】
また、本発明の踏切保安装置更新方法は(解決手段3)、上記解決手段2の踏切保安装置更新方法であって、
前記踏切制御切替装置として、前記第1接続線に対する接続手段および前記第2接続線に対する接続手段のうち何れか一方または双方と前記切替回路部との間に割り込む形で可変容量部が介挿接続されているものを用い、
前記切替回路部を前記第1接続線と前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とに接続させてから前記切替制御部を前記踏切制御装置に接続させる前に、前記筐体の接続手段のうち前記踏切制御装置に対するものを介して前記切替制御部に列車運転方向指示の模擬信号を与えて前記切替回路部の切替状態を選択しながら前記可変容量部を操作して前記終止点用踏切制御子による列車検知の動作状態を調整し、
その後、前記筐体の接続手段を介して前記切替制御部を前記踏切制御装置の列車運転方向指示の送出部に接続させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
このような本発明の踏切保安装置にあっては(解決手段1)、二台目の終止点用踏切制御子を追加して線路等に接続するのでなく、その代りに、接続先を切り替える簡素な切替回路部を追加して線路に接続するとともに終止点用踏切制御子と線路との間に割り込む形で介挿接続させ、更に列車の上り下りに応じて終止点用踏切制御子の接続先を踏切の両側の線路部分の何れかに切り替えるようにしたことにより、簡便な改良でありながらも、一台の終止点用踏切制御子が時分割で二台分の機能を発揮して踏切の両側の終止点で列車を検知することとなる。そのため、踏切が上りの踏切制御区間ばかりか下りの踏切制御区間にも属するようになって、上り列車であれ、下り列車であれ、列車速度の如何に拘わらず、列車が完全に踏切道を通過し終わったことが検知できて、所要の目的が果たされる。
したがって、この発明によれば、終止点用踏切制御子が一台しかなくても踏切の両側の終止点で列車を検知できる踏切保安装置を安価に実現することができる。
【0029】
また、本発明の踏切保安装置およびその更新方法ならびに踏切制御切替装置にあっては(解決手段2)、一台の終止点用踏切制御子に時分割で二台分の機能を発揮させるために追加する機能拡張体を踏切制御切替装置としてユニット化・小形化したことにより、既設の踏切保安装置を一部改造して、終止点用踏切制御子が一台しかなくても踏切の両側の終止点で列車を検知できる踏切保安装置に改良するのを、容易かつ迅速に実行することができる。
【0030】
さらに、本発明の踏切制御切替装置および踏切保安装置更新方法にあっては(解決手段3)、第1接続線と第2接続線とで長さが相違し、それに起因して切替回路部の切替状態によってインピーダンス特にインダクタンスが異なることになった場合でも、可変容量部を操作することで簡便に且つ切替状態毎に照査用発振信号の発振状態を調整することができるので、何れの切替状態であっても列車検知条件を終止点用踏切制御子に整合させることができる。
しかも、可変容量部の操作の前提となる切替回路部の切替状態の選択が、踏切制御切替装置の筐体に予め設けられている接続手段の一つを用いて列車運転方向指示の模擬信号を与えることで、簡便に行える。
したがって、この発明によれば、終止点用踏切制御子が一台しかなくても踏切の両側の終止点で列車を検知することができるうえ、調整まで簡便に済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1について、単線用の踏切保安装置および踏切制御切替装置の構造を示し、(a)が踏切保安装置の概要構成図、(b)が踏切制御切替装置の回路図である。
【図2】既設の踏切保安装置に踏切制御切替装置50を付加して踏切保安装置40にする踏切保安装置更新方法を時系列で示し、(a)〜(c)何れも踏切保安装置の概要構成図である。
【図3】調整時の踏切制御切替装置等の回路図である。
【図4】踏切保安装置の動作状態を示し、(a)が上り列車到来時の概略図、(b)が下り列車到来時の概略図である。
【図5】従来の踏切保安装置を示し、(a)が複線区間における踏切制御子の配置図、(b)が単線区間における踏切制御子の配置図、(c)が単線用の踏切保安装置のブロック図、(d)が閉電路形の始動点用踏切制御子の接続図、(e)が開電路形の終止点用踏切制御子の接続図である。
【図6】現行の終止点用踏切制御子を示し、(a)が発振式のもののブロック図、(b)が送受信式のH形のブロック図である。
【図7】(a)が従来の単線用踏切保安装置の概要構成図、(b)が理想の単線用踏切保安装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
このような本発明の踏切保安装置およびその更新方法ならびに踏切制御切替装置について、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜4に示した実施例1は、上述した解決手段1(出願当初の請求項1),解決手段2(出願当初の請求項2〜4),及び解決手段3(出願当初の請求項5〜6)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、筐体やネジ等の機械的部材や,電気回路・電子回路の回路素子などについては詳細な図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に記号で図示した。
また、それらの図示に際し従来と同様の構成要素には同一の符号を付して示したが、それらについて背景技術の欄で述べたことは以下の実施例についても共通するので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来との相違点を中心に説明する。
【実施例1】
【0033】
本発明の踏切制御切替装置および踏切保安装置の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が踏切保安装置40の概要構成図、(b)が踏切制御切替装置50とその接続先の回路図である。
【0034】
この踏切保安装置40は、鉄道の単線区間の線路10に設けられた踏切8に係る踏切警報を行うために設けられたものであり、踏切8の起点側・上り側の下り始動点ADCの所で線路10に接続線を介して接続された閉電路形の始動点用踏切制御子21と、踏切8の終点側・下り側の上り始動点CDCの所で線路10に接続線を介して接続された閉電路形の始動点用踏切制御子23と、始動点用踏切制御子21の接続先の下り始動点ADCと踏切8との間に設定された上り終止点DDCの所で線路10の接続線取付箇所14に溶接にて一端部を接続された第1接続線A1,B1と、始動点用踏切制御子23の接続先の上り始動点CDCと踏切8との間に設定された下り終止点BDCの所で線路10の接続線取付箇所15に溶接にて一端部を接続された第2接続線A2,B2とを備えている。
【0035】
また、踏切保安装置40は、線路10に接続線を介して接続されると線路10の接続線取付箇所に係る列車検知を行う開電路形の終止点用踏切制御子24と、始動点用踏切制御子21での列車検知結果を示す始動Rリレーの出力と始動点用踏切制御子23での列車検知結果を示す始動Rリレーの出力と終止点用踏切制御子24での列車検知結果を示す終止Rリレーの出力とを入力してそれらに基づき踏切警報制御を行って列車運転方向を判別するとともに列車運転方向に応じて上りSRリレーで上りSRを出力したり下りSRリレーで下りSRを出力する単線用の踏切制御装置31と、それらを組み合わせた結果である警報Rリレーの出力に応動するスピーカや,警報灯32,踏切遮断機33と、例えば金属製箱体からなる筐体にて一ユニットに纏められた踏切制御切替装置50と、図示しない電源装置も備えている。
【0036】
これらのうち、第2接続線A2,B2と踏切制御切替装置50とそれに係る踏切器具箱内配線41〜43は未だ説明していないが、それ以外のものについては既に詳述したので(図7(a),図6(a)参照)、ここでは未説明のものを詳述する。
第2接続線A2,B2は、基本的には既存の第1接続線A1,B1と同様の絶縁被覆電線で良いが、踏切制御切替装置50も踏切器具箱内に収納しようとすると第1接続線A1,B1よりも長くなりがちで、例えば第1接続線A1,B1が好ましいとされる15m以下になっていると、必要な列車検知長や踏切制御区間を確保するには第2接続線A2,B2が30mを超えることになって、第2接続線A2,B2のインダクタンスが増加するので、第2接続線A2,B2にはコンデンサを直列に介挿接続して増加インダクタンスの影響を相殺することにより、第1接続線A1,B1と第2接続線A2,B2のインピーダンス特性をなるべく近づけておくのが望ましい。
【0037】
踏切制御切替装置50は、上述した一の筐体に加えて、その筐体に内蔵されている切替制御部55と、同じ筐体に内蔵されている切替回路部56とを具えている。
踏切制御切替装置50の筐体には内外接続用の接続端子51,52,53,54が設けられており、そのうち接続端子51には踏切器具箱内配線41と配線端子盤28の端子とを介して第2接続線A2,B2の他端部が接続され、接続端子52には踏切器具箱内配線42と配線端子盤28の端子とを介して第1接続線A1,B1の他端部が接続され、接続端子53には終止点用踏切制御子24の制御子内配線AA,BBから延出した踏切器具箱内配線27が接続され、接続端子54には踏切制御装置31の警報Rリレー及び下りSRリレーの出力線の分岐線か又は予備の出力線からなる踏切器具箱内配線43が接続されている。
【0038】
切替制御部55は、例えば下り終止Rリレーを主体としたリレー回路で具現化されており、踏切制御装置31から入力する既述の下りSRリレー及び警報Rリレーの接点とで構成されている。そして、切替制御部55の主体の下り終止Rリレーは、上り列車と下り列車が何れもそれぞれの踏切警報区間に在線していないとき、及び上り列車が上りの踏切警報区間に在線しているときには、無励磁(落下)状態であり、下り列車が下りの踏切警報区間に進入したときに踏切制御装置31からの下りSRリレー及び警報Rリレーの無励磁(落下)接点が構成することにより励磁(動作)状態となる。下り列車が下りの踏切制御区間を進出した時点で警報Rが励磁(動作)状態となることにより、回路が絶たれ下り終止Rリレーが無励磁(落下)状態となる。
【0039】
なお、詳細は割愛するが、踏切制御装置31が電子踏切制御装置の場合と、踏切制御論理をリレーロジックで構成した場合とでは、下りSRリレーが励磁(動作)するタイミングが異なり、電子踏切装置の場合には下り終止Rリレーを用いた回路は必須ではなく、下りSRリレーの出力を入力して直ちに又は必要であれば信号波形整形等を行ってからそれを切替回路部56の制御に供することで切替制御部55の機能が実現されるが、電子踏切制御装置の場合と、踏切制御論理をリレーロジックで構成した場合の両方に対応できるようにするために、ここでは下り終止Rリレーを用いた回路を標準として設けた。なお、下りSRリレーは既述したように列車運転方向が下りの場合に踏切制御装置31から無励磁(落下)に出力されるリレーで、下り終止Rリレーは次に述べるように切替回路部56の切替状態を規定するものなので、切替制御部55は、踏切制御装置31の列車運転方向指示に応じて切替回路部56に第1切替状態と第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態を択一的にとらせるものとなっている。
【0040】
切替回路部56は、これも切替制御部55と同様にリレー回路で具現化されていて、接続端子52と接続端子53とを接続する筐体内配線(52−53)と、この筐体内配線(52−53)に介挿して直列接続された下り終止Rリレーの無励磁(落下)接点と、接続端子51と接続端子53とを接続する筐体内配線(51−53)と、この筐体内配線(51−53)に介挿して直列接続された下り終止Rリレーの励磁(動作)接点と、後者の筐体内配線(51−53)に介挿して直列接続された可変容量部57とを具えている。可変容量部57は、単一のバリアブルコンデンサでも良く、複数のコンデンサの組み合わせ回路からなるものでも良いが、コンデンサの開放故障時のインピーダンスの変化を最小限に抑えるには、複数のコンデンサを並列に接続して回路を構成することが、稼動性の維持・向上につながる。更に並列接続の場合、例えば固定容量のコンデンサと可変容量のコンデンサとを接続して大容量の確保と容量値の安定と可変範囲の適度な限定とを図るのも良い。
【0041】
そして、切替回路部56は、下り終止Rリレーが励磁されていない第1切替状態では、筐体内配線(52−53)ひいては終止点用踏切制御子24と第1接続線A1,B1とを接続させる一方、筐体内配線(51−53)ひいては終止点用踏切制御子24と第2接続線A2,B2とを切断するようになっている。また、切替回路部56は、下り終止Rリレーが励磁されている第2切替状態では、筐体内配線(52−53)ひいては終止点用踏切制御子24と第1接続線A1,B1とを切断する一方、筐体内配線(51−53)ひいては終止点用踏切制御子24と第2接続線A2,B2とを接続させるようになっている。
【0042】
そのため、踏切制御切替装置50を介して間接的に第1接続線A1,B1と第2接続線A2,B2とに接続される終止点用踏切制御子24は、踏切制御切替装置50の切替状態に依存して第1接続線A1,B1と第2接続線A2,B2とのうち何れか一方に対して択一的に接続され延いては接続線取付箇所14,15の何れか一方の所で線路10に接続されるようになっている。そして、終止点用踏切制御子24は、上り列車到来時の第1切替状態では下り終止点BDCでの列車検知を行わないで上り終止点DDCで列車検知を行い、下り列車到来時の第2切替状態では上り終止点DDCでの列車検知を行わないで下り終止点BDCで列車検知を行うものとなっている。
【0043】
この実施例1の踏切制御切替装置50を既設の踏切保安装置に付加して踏切保安装置40にする踏切保安装置更新方法を、図面を引用して説明する。
図7(a)は、更新前の既設踏切保安装置の概要構成図であり、図2(a)〜(c)は何れも接続変更途中の踏切保安装置の概要構成図であり、図3は調整時の踏切制御切替装置50とその接続先の回路図であり、図1は、(a)が更新後の踏切保安装置40の概要構成図、(b)が踏切制御切替装置50とその接続先の回路図である。
【0044】
ここでは、上り終止点DDCを共用終止点としている踏切保安装置が更新対象になっているものとする(図7(a)参照)。すなわち、既述したように、既存の踏切保安装置には、鉄道の単線区間の線路10に設けられた踏切8の両側に分かれて下り始動点ADCと上り始動点CDCの所で線路10に接続線を介して接続された何れも閉電路形の始動点用踏切制御子21,23と、始動点用踏切制御子21の接続先の下り始動点ADCと踏切8との間の共用終止点DDCの所で線路10に第1接続線A1,B1を介して線路10に接続された開電路形の終止点用踏切制御子24と、始動点用踏切制御子21,23,及び終止点用踏切制御子24での列車検知結果である始動Rリレー,始動Rリレー,終止Rリレーの出力を入力してそれらに基づいて踏切警報を発するとともに列車の上り下りを判別して上りSRリレーや下りSRリレーにて列車運転方向指示を出力する踏切制御装置31とが具わっている。
【0045】
このような踏切保安装置が既に設置されている線路10に対し、先ずは(図2(a)参照)、第2接続線A2,B2の一端部を溶接にて接続する。線路10における第2接続線A2,B2の接続線取付箇所15は、始動点用踏切制御子23の接続先の上り始動点CDCと踏切8との間であって、仮に終止点用踏切制御子22が設置されるとすればその接続先となる下り終止点BDCの設定箇所である。第2接続線A2,B2の他端部は、踏切器具箱の配線端子盤28の空き端子に接続しておく。
【0046】
それから(図2(b)参照)、踏切器具箱内に踏切制御切替装置50を格納し、それの接続端子51と第2接続線A2,B2の接続先の配線端子盤28の端子とを踏切器具箱内配線41にて接続する。
踏切制御切替装置50の踏切器具箱内格納作業および踏切器具箱内配線41の接続作業と、第2接続線A2,B2の接続作業は、踏切保安装置の動作を阻害しないので、列車運行の停止後に行えるのはもちろんのこと、列車運行の合間を縫って行うことも可能である。また、同時並行的に行っても良く、逆順で行っても良い。
【0047】
これに対し、以後の作業は、踏切保安装置の動作に影響するので、夜間など列車運行の停止を確認してから行う。具体的には(図2(c)参照)、踏切器具箱内配線27と配線端子盤28の端子との接続を外して踏切器具箱内配線27を踏切制御切替装置50の接続端子53に接続し直すとともに、踏切器具箱内配線27を外した配線端子盤28の端子と踏切制御切替装置50の接続端子52とを踏切器具箱内配線42にて接続する。これにより、踏切制御切替装置50の筐体の接続端子52,53を介して踏切制御切替装置50の切替回路部56を第1接続線A1,B1と終止点用踏切制御子24との間に割り込む形で介挿接続させたこととなる。
【0048】
それから(図3参照)、踏切制御切替装置50の筐体の接続端子51〜54のうち踏切制御装置31に対する接続端子54に模擬装置を仮接続し、この模擬装置を操作することで、接続端子54を介して踏切制御切替装置50の切替制御部55に列車運転方向指示の模擬信号を与える。模擬装置は、警報Rの模擬信号を出すリレーと、下りSRの模擬信号を出すリレーと、それらのリレーの励磁状態を切り替える手動スイッチとを具えた簡便な調整治具で足りる。そして、それで、切替回路部56の切替状態を選択しながら終止点用踏切制御子24による列車検知の動作状態を調整する。
【0049】
具体的には、先に第1切替状態を選択して終止点用踏切制御子24を第1接続線A1,B1に接続させ、この状態を維持しておいて、線路10の接続線取付箇所14の所でレール11,12を車軸模擬部材にて短絡させて開電路を一時的に閉じさせたり車軸模擬部材を外して開電路を開状態に戻したりしながら、上り終止点DDCで列車検知長が所要の約30mになっていることを確認する。第1接続線A1,B1が既に接続されていた上り終止点DDCでの列車検知長は、踏切制御切替装置50を導入してもほとんど変化しないが、それでも調整したいときには、終止点用踏切制御子24に内蔵されていた調整器等を利用して既存設備の調整と同様の操作を行って、上り終止点DDCでの列車検知長を調整する。
【0050】
次に、第2切替状態を選択して終止点用踏切制御子24を第2接続線A2,B2に接続させ、この状態を維持しておいて、線路10の接続線取付箇所15の所でレール11,12を車軸模擬部材にて短絡させて開電路を一時的に閉じさせたり車軸模擬部材を外して開電路を開状態に戻したりしながら、可変容量部57を操作してその容量を変えることで、照査用発振信号の振幅レベル等を調整して、下り終止点BDCで列車検知長が所要の約30mになるようにする。
【0051】
こうして調整が済んだら、踏切制御切替装置50の接続端子54から模擬装置を取り外し、その後は(図1参照)、踏切制御装置31の警報Rリレー及び下りSRリレーの出力を踏切器具箱内配線43にて踏切制御切替装置50の接続端子54に接続する。すると、これによって、踏切制御切替装置50の筐体の接続端子54を介して切替制御部55を踏切制御装置31の列車運転方向指示の送出部に接続させたこととなり、その結果、旧式の装置が新式の踏切保安装置40になるので、更新作業を終えて列車運行の再開に備える。
【0052】
この実施例1の踏切制御切替装置50および踏切保安装置40について、その使用時の動作を、図面を引用して説明する。図4(a)は上り列車到来時の踏切保安装置40の動作状態図、同図(b)は下り列車到来時の踏切保安装置40の動作状態図である。
【0053】
踏切保安装置40の設置された線路10を上り列車が終点側から踏切8に向かって走行して来て上り始動点CDCの列車検知長の区間に進入すると(図4(a)参照)、始動点用踏切制御子23が上り列車を検知して、始動点用踏切制御子23の始動Rリレーが無励磁になる。線路10が単線で同時には下り列車が来ないので、この時点では始動点用踏切制御子21も終止点用踏切制御子24も列車を検知せず、始動点用踏切制御子21の始動Rリレーは励磁状態を維持し、終止点用踏切制御子24の終止Rリレーは無励磁状態を維持する。そして、踏切制御装置31では、それらのリレー状態に基づいて上り列車到来の判定が出され、それに応じて上りSRリレーと警報Rリレーが無励磁になる。一方、下りSRリレーは励磁状態を維持する。この状態では、踏切制御切替装置50が第1切替状態のままなので、終止点用踏切制御子24は、踏切制御切替装置50と第1接続線A1,B1とを介して接続線取付箇所14に接続されている。この状態が維持されるので、上りの踏切制御区間は、上り始動点CDCから上り終止点DDCまでを占め、踏切8を区間内に収めたものとなる。
【0054】
また(図4(b)参照)、踏切保安装置40の設置された線路10を下り列車が起点側から踏切8に向かって走行して来て下り始動点ADCの列車検知長の区間に進入すると、始動点用踏切制御子21が下り列車を検知して、始動点用踏切制御子21の始動Rリレーが無励磁になる。線路10が単線で同時には上り列車が来ないので、この時点では始動点用踏切制御子23も終止点用踏切制御子24も列車を検知せず、始動点用踏切制御子23の始動Rリレーは励磁状態を維持し、終止点用踏切制御子24の終止Rリレーは無励磁状態を維持する。そして、踏切制御装置31では、それらのリレー状態に基づいて下り列車到来の判定が出され、それに応じて下りSRリレーと警報Rリレーが無励磁とされる。
【0055】
すると、それに応動して踏切制御切替装置50が第2切替状態になるため、終止点用踏切制御子24は、上り終止点DDCの接続線取付箇所14から切り離されて、踏切制御切替装置50と第2接続線A2,B2とを介して接続線取付箇所15に接続される。接続線取付箇所15が線路10のうち下り終止点BDCの所になっているうえ、そこを下り列車が通過し終えて踏切制御装置31が警報Rリレーを励磁するまで踏切制御切替装置50が第2切替状態を維持するため、下りの踏切制御区間は、下り始動点ADCから下り終止点BDCまでを占め、やはり踏切8を区間内に収めたものとなる。
【0056】
このように、踏切保安装置40にあっては上りの踏切制御区間ばかりか下りの踏切制御区間にも踏切8が属するので、既述した理想状態(図7(b)参照)と同様、上り列車であれ、下り列車であれ、列車速度の如何に拘わらず、列車が完全に踏切道を通過し終わったことを検知できて、所要の目的が果たされる。
しかも、既述した仮想構成(図7(b)参照)では終止点用に二台の踏切制御子22,24を設置するのに対し、踏切保安装置40では、終止点用踏切制御子24を一台だけ設置すれば良く、終止点用踏切制御子22は省かれている。それに代えて設置される踏切制御切替装置50は、終止点用踏切制御子22より簡素で安価なものである。
【0057】
[その他]
上記実施例では、下り終止点BDCには終止点用踏切制御子が接続されておらず、上り終止点DDCが共用終止点とされて、そこの接続線取付箇所14に第1接続線A1,B1を介して終止点用踏切制御子24が接続されている踏切保安装置を更新して踏切保安装置40に改良する場合を述べたが、上り終止点DDCには終止点用踏切制御子が接続されておらず、下り終止点BDCが共用終止点とされて、そこの接続線取付箇所15に接続線A2,B2を介して終止点用踏切制御子が接続されている踏切保安装置を更新して改良する場合も、接続線取付箇所14,15を入れ替えれば、ほぼ同様に行うことができる。
【0058】
上記実施例では、可変容量部57が、一つだけ設けられて、接続線A2に繋がる配線中に置かれていたが、可変容量部は、接続線A2側だけに限らず、接続線B2側だけに設けられていても良く、接続線A2,B2の双方に設けられていても良く、さらには第1接続線A1,B1の何れか一方または双方にだけ設けられていても良く、第1接続線A1,B1の何れか一方または双方と第2接続線A2,B2の何れか一方または双方とに設けられていても良い。第1接続線A1,B1と第2接続線A2,B2との双方に可変容量部を設けると、部材費は少し増加するが、照査用発振信号の発振状態を調整するときに終止点用踏切制御子24を操作しないで済む確率が高まる。
【0059】
上記実施例では、第1接続線A1,B1や第2接続線A2,B2を踏切制御切替装置50の筐体の接続端子52や接続端子51に接続するに際して、第1接続線A1,B1や第2接続線A2,B2を配線端子盤28の端子に一旦接続しておき、その配線端子盤28から踏切制御切替装置50までは踏切器具箱内配線42,41で延長するようになっていたが、踏切器具箱内への収納は必須でないので、また踏切器具箱内に収納する場合でも配線端子盤28の使用は必須でないので、第1接続線A1,B1や第2接続線A2,B2は接続端子52や接続端子51に直接接続しても良い。
【0060】
上記実施例では、踏切制御装置31の列車運転方向指示を踏切制御切替装置50に取り込む際に下りSRリレーの接点出力を取り込むようになっていたが、踏切制御装置31の列車運転方向指示の踏切制御切替装置50への取り込みは、上りSRリレーの接点出力を取り込むことで行うようにしても良い。
上記実施例では、踏切8が第1種でそこに踏切遮断機33が設置されていたが、本発明の実施に踏切遮断機33は必須でないので、踏切8が第3種の場合は踏切遮断機33を省いても良い。
【符号の説明】
【0061】
8…踏切、10…線路、11,12…レール、14,15…接続線取付箇所、
21…始動点用踏切制御子(閉電路形踏切制御子)、
22…終止点用踏切制御子(開電路形踏切制御子)、
23…始動点用踏切制御子(閉電路形踏切制御子)、
24…終止点用踏切制御子(開電路形踏切制御子)、
25…発振有無検出部(電路開閉検出部)、26…リレー駆動部、
27…踏切器具箱内配線、28…配線端子盤、
31…踏切制御装置(列車方向判別手段)、32…警報灯、33…踏切遮断機、
40…踏切保安装置、41,42,43…踏切器具箱内配線、
50…踏切制御切替装置(接続線切替ユニット)、
51,52,53,54…接続端子、55…切替制御部、56…切替回路部、
57…可変容量部(調整部)、AA,BB…制御子内配線、
A1,B1…接続線(第1接続線)、A2,B2…接続線(第2接続線)、
ADC…下り始動点、BDC…下り終止点、CDC…上り始動点、DDC…上り終止点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された複数の閉電路形の始動点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子のうち何れか一方と前記踏切との間で第1接続線を介して前記線路に接続された開電路形の終止点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子での列車検知結果と前記終止点用踏切制御子での列車検知結果とに基づいて踏切警報を発する踏切制御装置とを備えた踏切保安装置において、前記始動点用踏切制御子のうち何れか他方と前記踏切との間で前記線路に接続された第2接続線と、前記踏切制御装置に内蔵されていて又は前記踏切制御装置の外部に設けられていて前記線路に対する前記始動点用踏切制御子の接続箇所への列車到来に応じて列車の上り下りを判別する列車方向判別手段と、前記第1接続線と前記終止点用踏切制御子との間に割り込む形で介挿接続されるとともに前記第2接続線にも接続されて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子の接続先を前記第1接続線に切り替えるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子の接続先を前記第2接続線に切り替える切替回路部と、前記列車方向判別手段の判別結果に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを備えたことを特徴とする踏切保安装置。
【請求項2】
鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された第1接続線および第2接続線のうち何れか一方を選択して開電路形の終止点用踏切制御子と接続させることにより前記終止点用踏切制御子に時分割で二台分の列車検知機能を発揮させる踏切制御切替装置であって、前記第1接続線に対する接続手段と前記第2接続線に対する接続手段と前記終止点用踏切制御子に対する接続手段と列車接近に応じて踏切警報を発するとともに列車の上り下りを判別して列車方向を指示する踏切制御装置に対する接続手段とを有する筐体と、前記筐体に内蔵されていて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第1接続線とを接続させるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とを接続させる切替回路部と、前記筐体に内蔵されていて前記踏切制御装置の列車運転方向指示に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを備えたことを特徴とする踏切制御切替装置。
【請求項3】
鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された複数の閉電路形の始動点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子のうち何れか一方と前記踏切との間で第1接続線を介して前記線路に接続された開電路形の終止点用踏切制御子と、前記始動点用踏切制御子での列車検知結果と前記終止点用踏切制御子での列車検知結果とに基づいて踏切警報を発するとともに列車の上り下りを判別して列車方向を指示する踏切制御装置とを備えた踏切保安装置を更新対象とする踏切保安装置更新方法であって、
前記始動点用踏切制御子のうち何れか他方と前記踏切との間で前記線路に第2接続線を接続させ、
前記第1接続線と前記第2接続線と前記終止点用踏切制御子と前記踏切制御装置とに対する接続手段を有する筐体と、前記筐体に内蔵されていて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第1接続線とを接続させるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とを接続させる切替回路部と、前記筐体に内蔵されていて前記踏切制御装置の列車運転方向指示に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを備えた踏切制御切替装置を設け、
前記筐体の接続手段を介して前記切替回路部を前記第1接続線と前記終止点用踏切制御子との間に割り込む形で介挿接続させるとともに前記第2接続線にも接続させ、
前記筐体の接続手段を介して前記切替制御部を前記踏切制御装置の列車運転方向指示の送出部に接続させる、ことを特徴とする踏切保安装置更新方法。
【請求項4】
鉄道の単線区間の線路に設けられた踏切の両側に分かれて前記線路に接続された複数の閉電路形の始動点用踏切制御子と、
前記始動点用踏切制御子のうち何れか一方と前記踏切との間で前記線路に接続された第1接続線と、
前記始動点用踏切制御子のうち何れか他方と前記踏切との間で前記線路に接続された第2接続線と、
前記第1接続線と前記第2接続線とのうち何れか一方に接続されて列車検知を行う開電路形の終止点用踏切制御子と、
前記始動点用踏切制御子での列車検知結果と前記終止点用踏切制御子での列車検知結果とに基づいて踏切警報を発する踏切制御装置と、
前記第1接続線と前記第2接続線と前記終止点用踏切制御子と前記踏切制御装置とに対する接続手段を有する筐体と、前記筐体に内蔵されていて第1切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第1接続線とを接続させるが第2切替状態では前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とを接続させる切替回路部と、前記筐体に内蔵されていて前記踏切制御装置の列車運転方向指示に応じて前記切替回路部に前記第1切替状態と前記第2切替状態とのうち何れか一方の切替状態をとらせる切替制御部とを具備した踏切制御切替装置と、
を備えていることを特徴とする踏切保安装置。
【請求項5】
前記第1接続線に対する接続手段および前記第2接続線に対する接続手段のうち何れか一方または双方と前記切替回路部との間に割り込む形で介挿接続された可変容量部を具備していることを特徴とする請求項2記載の踏切制御切替装置。
【請求項6】
前記踏切制御切替装置として、前記第1接続線に対する接続手段および前記第2接続線に対する接続手段のうち何れか一方または双方と前記切替回路部との間に割り込む形で可変容量部が介挿接続されているものを用い、
前記切替回路部を前記第1接続線と前記終止点用踏切制御子と前記第2接続線とに接続させてから前記切替制御部を前記踏切制御装置に接続させる前に、前記筐体の接続手段のうち前記踏切制御装置に対するものを介して前記切替制御部に列車運転方向指示の模擬信号を与えて前記切替回路部の切替状態を選択しながら前記可変容量部を操作して前記終止点用踏切制御子による列車検知の動作状態を調整し、
その後、前記筐体の接続手段を介して前記切替制御部を前記踏切制御装置の列車運転方向指示の送出部に接続させる、
ことを特徴とする請求項3記載の踏切保安装置更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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