踏切構造
【課題】 安全に通行が可能な踏切構造を提供することを課題とするものである。
【解決手段】 本発明の踏切構造1は、レール90に対して横断する横断方向に通行できるように、レール90の間及び外側に踏切部材10が配置されている。そして、踏切部材10のレール90方向の端部の外側であってレール90の近傍にスロープ部材11が配置されている。スロープ部材11には傾斜面22が形成され、傾斜面22はレール90側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものである。
【解決手段】 本発明の踏切構造1は、レール90に対して横断する横断方向に通行できるように、レール90の間及び外側に踏切部材10が配置されている。そして、踏切部材10のレール90方向の端部の外側であってレール90の近傍にスロープ部材11が配置されている。スロープ部材11には傾斜面22が形成され、傾斜面22はレール90側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、まくら木の上にレールを敷設した軌道を横断するため、踏切が用いられている。このような、踏切には、レールの間及び外側に踏切部材を配置するものであり、レール上の列車の通過を可能にしながら、軌道を横断する人や車の通過を、ほぼ段差無く行うことができるようにしている。
【0003】
このような踏切部材は、通常、レールの高さ程度の厚みを有する部材が用いられており、踏切部材とレールの上部との間に段差ができないような構造になっている。
そして、踏切部材の全体の長さ(レール方向の長さ)は、踏切を横断するための通行幅以上の長さとなっており、また、踏切部材の外側、すなわち踏切部材の両端には、段差が形成される。
【0004】
車椅子などの車輪を有する乗り物によって踏切を通行する場合、踏切部材の外側に車輪が落ちるという脱輪のおそれがあるが、段差が大きいと脱輪状態からの復帰が難しい。
そのため、例えば、通行幅よりも長い踏切部材を用いて、通行する部分からはみ出しても脱輪しないようにすることが考えられる。しかし、そのような構造にすると、車椅子などに乗っている人が、そのはみ出し部分を用いて通行することができ、このような事が常態化すると、結局、脱輪のし易さは同じになってしまう。
【0005】
そして、特許文献1には、車椅子が踏切の不適部へ進入した場合に、振動を発生させるなどにより、危険を発する踏切構造が記載されている。
【特許文献1】特開2005−220596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構造では、乗り物に乗る人が不適部を通行時に振動の発生に気づく必要があるが、乗り物の進行などによっても振動が発生するので、振動に気づかないおそれが考えられる。また、不適部でも、他の部分と同様に通行が可能である。
したがって、そのような場合には、不適部を通行することになり、結局、不適部を超えて脱輪するおそれが、変わらなくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、車椅子などでも安全に通行が可能な踏切構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、レールに対して横断する方向である横断方向に通行できるように、レールの間及び外側に踏切部材が配置されるものであり、踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されており、スロープ部材には傾斜面が形成され、前記傾斜面はレール側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものであることを特徴とする踏切構造である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されるものであり、踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されており、スロープ部材には傾斜面が形成されているので、踏切部材の外側に段差を有する状態となり、通常には、通行する人が通行しないようにすることができ、仮に、段差を落ちて車椅子、自転車、自動車などの車が、脱輪した場合であっても、スロープ部材の傾斜面を昇って、踏切部材側へ復帰したり、レールを乗り越えたりすることが可能となる。
また、前記傾斜面はレール側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものであるので、踏切の横断方向に進むことで昇ることができるので、脱輪したときに昇りやすい。
【0010】
請求項2に記載の発明は、スロープ部材は任意のレールを挟んで配置されて、両側のスロープ部材によって山型形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の踏切構造である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、スロープ部材は任意のレールを挟んで配置されて、両側のスロープ部材によって山型形状となっているので、両側のいずれの方向から進んだ場合でも、脱輪から復帰しやすい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、レールを挟んで配置された両側のスロープ部材は、連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項2に記載の踏切構造である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、レールを挟んで配置された両側のスロープ部材は、連結部材によって連結されているので、使用時にスロープ部材のずれが発生しにくい。
【0014】
請求項4に記載の発明は、スロープ部材は横断方向に複数並んでおり、横断方向に並んだ複数のスロープ部材を支える支持部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の踏切構造である。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、スロープ部材は横断方向に複数並んでおり、横断方向に並んだ複数のスロープ部材を支える支持部材が配置されているので、支持部材によって支えられたスロープ部材は、使用時に沈下しにくい。また、スロープ部材の間に脱輪した場合には、脱輪した車輪は支持部材の上を走行することになるので、走行しやすい。
【0016】
請求項5に記載の発明は、横断方向に隣り合うスロープ部材同士の間には中間部材が配置されており、中間部材の上面が踏切部材の上面よりも低くなっていることを特徴とする請求項4に記載の踏切構造である。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、横断方向に隣り合うスロープ部材同士の間には中間部材が配置されており、中間部材の上面が踏切部材の上面よりも低くなっているので、スロープ部材が設けられない位置での段差を小さくすることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、支持部材と中間部材とが固定されていることを特徴とする請求項5に記載の踏切構造である。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、支持部材と中間部材とが固定されているので、中間部材の離脱を防ぐことができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、中間部材によって、スロープ部材が上から押さえてられており、スロープ部材は支持部材と中間部材との間で挟まれていることを特徴とする請求項6に記載の踏切構造である。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、中間部材によって、スロープ部材が上から押さえてられており、スロープ部材は支持部材と中間部材との間で挟まれているので、スロープ部材の離脱を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の踏切構造によれば、脱輪しても復帰しやすく、車椅子などでも安全に通行が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。
本発明の第1の実施形態における踏切構造1は、図1に示されるように、踏切部材10及びスロープ部材11、連結部材21を有している。
踏切部材10は通常の構造と同様に、2本のレール90の間やレール90の外側であって、まくら木91の上側に配置されている。そして、踏切部材10上を、レール90に対して横断する方向である横断方向に通行できるようになっている。なお、本実施形態の踏切構造1では、この横断方向はレール90の方向に対して垂直な方向となっている。
【0024】
スロープ部材11は、踏切部材10のレール90方向の外側であって、レール90の近傍に配置されている。そして、本実施形態のスロープ部材11は、2本のレール90の近傍の両側のそれぞれに配置されているので、4個のスロープ部材11がレール90に対して横断する方向に並んでおり、踏切部材10の両側で、合計8個のスロープ部材11が配置されている。
【0025】
スロープ部材11はレール90を挟むように、レール90の両側に配置されているものであるが、後述するように、レール90側が高くなるような、傾斜面22を有しているので、この一対のスロープ部材11により、山型形状となっている。
また、これらの2個のスロープ部材11同士が連結部材21によって連結されている。
【0026】
スロープ部材11はブロック状であり、上側には傾斜面22が、下側には下面23が、レール90側にはレール側面24が、レール90方向の両側には横側面25が設けられている。また、スロープ部材11は、横側面25側から見ると略直角三角形状となっている。
そして、傾斜面22は、横断方向に対して傾斜する面であってレール90側が上側となっている面である。
【0027】
なお、本実施形態のスロープ部材11には、レール90方向に沿って横側面25同士をつなぐ方向に貫通する貫通孔34が形成されており、スロープ部材11の軽量化を図ることができる。
【0028】
傾斜面22の表面には、図1〜図3に示されるように、細かい凹部が形成されて、全体が凹凸状となっており、後述するように、傾斜面22上を車椅子などが通過する場合に、車輪が滑りにくい構造となっている。
【0029】
また、各スロープ部材11には、差し込み部26を有している。そして、差し込み部26は、レール側面24側に開口部26aが形成されており、開口部26aからレール90を横断する方向に向かって延びている。差し込み部26の位置は、下面23側に近い位置であり、下方付近に位置している。
そして、各スロープ部材11の差し込み部26に連結部材21の両側が差し込まれて、2個のスロープ部材11が連結される。
【0030】
連結部材21は、両側のスロープ部材11を連結するものであり、踏切構造1を使用する際にスロープ部材11が外れたりすることを防ぐものである。
本実施形態の連結部材21は長尺の板状であり、各スロープ部材11の差し込み部26に連結部材21を差し込んで連結が行われる。
【0031】
また、差し込み部26の位置は、スロープ部材11の下方に設けられているので、図3に示されるように、連結状態では、連結部材21はレール90の下側で横断するような状態となっている。そのため、スロープ部材11に上向きの力が作用した場合であっても、連結部材21がスロープ部材11の上側への移動を阻止することができる。
【0032】
スロープ部材11の材質は、使用時に圧縮力に耐えることができれば特に限定されるものではなく、硬質のゴム材料や、繊維強化樹脂を粒状や粉末状にして所定の形状に固めた材料などを用いることができる。
また、連結部材21には、剛性を有する材料が用いられるものであり、金属板などを用いることができる。
【0033】
スロープ部材11の差し込み部26の断面は、図6(a)に示されるように横長の形状であり、連結部材21が差し込み部26に挿入された状態では、連結部材21の板面が上下に向くような状態となる。また、差し込み部26の下側には、スロープ部材11の下面23側に開放する開放部26bが形成されている。そして、図6(b)、(c)、(d)に示されるような、下方に向かって突出する突出部32が形成された連結部材27、28、29を用いて、連結を行うことができる。そして突出部32により、連結部材27、28、29の剛性を高くすることができる。
【0034】
図6(b)に示される連結部材27では、突出部32は短く、中央付近に1ヵ所設けられている。
図6(c)に示される連結部材28では、突出部32は短く、対称の位置に2カ所設けられている。
図6(d)に示される連結部材29では、突出部32は長く、中央付近に1ヵ所設けられている。そして、連結部材29の突出部32によって、道床抵抗を高めることができる。
そして、連結状態では、これらの連結部材27、28、29の突出部32は開放部26bに位置している状態となっており、連結の際に邪魔になることはない。
【0035】
踏切構造1では、スロープ部材11が取り付けられる位置は、踏切部材10のレール90方向の外側であってレール90の近傍である。そのため、通常、用いられている踏切に、スロープ部材11をかかる位置に取り付けることにより、本発明の踏切構造1とすることが可能である。
このように、踏切部材10は既存のものを用いることができ、また、本実施形態以外の構造のものを採用することができる。
【0036】
スロープ部材11のレール側面24は、図2、図3に示されるように、レール90の形状に合わせて、凹部24aが形成されており、レール90の側面が凹部24aに嵌っている。また、図1、図3に示されるように、2本のレール90の内側に対応する位置であって、レール側面24の上側の部分には欠落部33が設けられている。そして、欠落部33により、レール90上に列車が通過する際に、車輪のフランジがスロープ部材11に接触しない構造となっている。
【0037】
スロープ部材11の取り付け方は、特に限定されるものではないが、スロープ部材11が配置される付近のバラストなどを取り除き、一方のスロープ部材11の差し込み部26に連結部材21を差し込んだ状態で配置し、他方のスロープ部材11の差し込み部26に連結部材21を差し込みながら行うことができる。
【0038】
スロープ部材11は、レール90の近傍に配置しており、また、レール90から遠ざかるほど低くなるような傾斜面22を有している。したがって、スロープ部材11などがある踏切部材10よりも外側は、踏切部材10の上面10a低くなり、スロープ部材11と踏切部材10との間には、踏切部材10が上側となる段50が形成されている。
そのため、踏切を横断する場合、すなわち、踏切を通行する場合、通行する者は、段50を超えて、踏切部材10の外側へと落ちないように注意することになり、通常は、踏切部材10の上を通ることになる。そして、誤って落ちた場合には、スロープ部材11の傾斜面22上を通過して復帰することができる。
このように誤って段50から落ちた場合、踏切の横断の方向に、前進あるいは後退すれば、スロープ部材11に到達することができ、さらに、そのまま傾斜面22を昇ることができるので、このような復帰を容易に行うことができる。
【0039】
上記した踏切構造1では、連結部材21の両側を、それぞれのスロープ部材11の差し込み部26に差し込んで連結するものであったが、このような連結方法以外の方法を用いて連結することができる。
【0040】
例えば、図7、図8に示されるスロープ部材40では、2個のスロープ部材40を連結部材42によって連結されている。
連結部材42は、両端に引っかけ部42aが設けられた板状の部材である。そして、この引っかけ部42aを、2個のスロープ部材40の傾斜面22と下面23との共通する辺30に、それぞれ引っかけて連結が行われる。
【0041】
引っかけ部42aは、上側に向けて2ヵ所ほど折り曲げて、端部を「コ」字状にして形成されるものである。そして、引っかけ部42aの形状は、辺30の形状に合わせられている。
また、連結部材42の幅は、スロープ部材40の下面23の幅に合わせられており、連結部材42とスロープ部材40とは同じ幅である。
【0042】
スロープ部材40の取り付けは、連結部材42をレール90の下側に配置して、引っかけ部42aがレール90を挟んで両側となるようにする。そして、それぞれのスロープ部材40の辺30を引っかけ部42aに引っかけて、辺30を軸として、レール90側を下げる方向に回転させるようにして行う。
連結部材42の長さ、すなわち、引っかけ部42a同士の間隔は、スロープ部材40が連結された状態での辺30同士の距離よりも長くなっており、上記の回転を行いやすくなっている。そのため、スロープ部材40同士が連結された状態で、スロープ部材40がずれてしまうおそれがある。そこで、連結が解けてしまわないように、詰め材43aを辺30の外側に挿入しており、スロープ部材40の連結状態を確実に維持することができるようになっている。
【0043】
さらに、図9、図10、図11に示すような、スロープ部材45及び連結部材47を用いることができ、2個のスロープ部材45を連結部材47によって連結することができる。
連結部材47は、上記した連結部材42と同様に、両端に引っかけ部47aが設けられた板状の部材であるが、連結部材47の幅はスロープ部材45の幅に対して短く、連結部材47は中央付近に配置されている。
また、図11に示されるように、スロープ部材45の下面23には、溝部48が形成されている。そして、連結状態では連結部材47が溝部48に嵌っており、下面23から連結部材47がほとんど突出しないような状態となっている。
【0044】
。そして、この引っかけ部47aを、2個のスロープ部材45の傾斜面22と下面23との共通する辺30に、それぞれ引っかけてスロープ部材45の連結が行われる。
この連結は、上記したスロープ部材40と同様に、それぞれのスロープ部材45の辺30を引っかけ部47aに引っかけて、辺30を軸として、レール90側を下げる方向に回転させるようにして行うものである。そして、スロープ部材45には、図9に示されるように、レール90下付近に欠け部49が設けられているので、上記した連結作業が行いやすい。
【0045】
また、使用時に、脱輪した状態から傾斜面22を用いて復帰する場合、スロープ部材11、40、45に車輪などが載った状態になるので、スロープ部材11、40、45には下向きの力が車輪から伝わる。そのため、スロープ部材11、40、45が沈下してしまうことがある。
そこで、以下に示すような、支持部材35、60、64、66を有する踏切構造2、3、4、5を用いて、このような沈下を防ぐことができる。
【0046】
本発明の第2の実施形態の踏切構造2は、図12に示されており、支持部材35が用いられており、これによってスロープ部材45を支えるものである。
なお、踏切構造2では、スロープ部材45や連結部材47が用いられているが、これに限定するものではなく、他のものを用いることができる。
【0047】
支持部材35はスロープ部材45の下側に配置されており、スロープ部材45が支持部材35の上側に配置されている。
また、支持部材35は、踏切部材10の両側に配置されており、本実施形態の踏切構造2では、支持部材35は2ヵ所に設けられている。そして、各支持部材35の上に、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材45が載せられた状態となっている。
【0048】
支持部材35の長さ(レール90の横断する方向の長さ)は、踏切部材10が設けられている領域、すなわち、踏切の長さにほぼ等しくなっている。
また、支持部材35の幅は、スロープ部材45の幅にほぼ等しくなっている。したがって、支持部材35の全体の面積は、スロープ部材45の下面23の面積より広くなっている。
【0049】
そして、踏切構造2の使用時に、スロープ部材45上に、車椅子の車輪などが載った場合には、スロープ部材45が下向きの力を受けるが、この力を、支持部材35の全体の広い面積で支えることができるので、スロープ部材45の沈下を小さくすることができる。
【0050】
また、段50から脱輪した場合、支持部材35の上面に車輪が落ち、支持部材35の上面の上を進むことができるので、バラストなどに車輪が接触することなく、スロープ部材45側に移動しやすくなり、復帰を確実に行うことができる。
【0051】
また、以下に示す第3〜第5の実施形態の踏切構造3、4、5では、支持部材60、64、66が用いられており、さらに、支持部材60、64、66の上側に、中間部材52、53、54を設けたものである。そして、中間部材52、53、54によって、踏切部材10の外側に形成される段50の段差を小さくすることができ、また、スロープ部材11を上から押さえて、支持部材60、64、66と中間部材52、53、54との間で挟まれた状態とすることができ、スロープ部材11が離脱することを防ぐことができる。
【0052】
なお、踏切部材10の構造や、踏切部材10の外側であって2本のレール90のそれぞれの近傍に配置しているというスロープ部材11の配置など、基本的な構造は上記した踏切構造1、2と同様であり、説明を省略する。また、踏切部材10の両側で、構造が同じであるので、図13(a)、図15(a)、図18(a)においては、一方のみを図示している。
【0053】
第3の実施形態の踏切構造3は、図13に示すように、踏切部材10、スロープ部材11、中間部材52、押さえ部材61及び支持部材60を有している。
【0054】
そして、踏切構造3では、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材11は、支持部材60に載せられた状態となっている。また、中間部材52は2ヵ所のスロープ部材11の間に配置し、押さえ部材61は、スロープ部材11のレール90横断方向の外側に配置している。
【0055】
支持部材60は、図14に示すように、3ヵ所の凸部63と、凸部63の間に形成される2ヵ所の凹部62を有している。そして、凸部63には、上下方向に貫通する貫通孔60aが形成されている。
【0056】
中間部材52は、台形状のブロック体であり、上面52cの長さが下面52dより長く、下側に面している2ヵ所の傾斜面52bが形成されている。そして、傾斜面52bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、中間部材52によって上側から部分的に押さえている。また、中間部材52には、上下方向に貫通する貫通孔52aが形成されている。
【0057】
押さえ部材61は、台形状のブロック体であり、上面61cの長さが下面61dより長く、下側に面している1ヵ所の傾斜面61bが形成されている。そして、傾斜面61bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、押さえ部材61によって上側から部分的に押さえている。また、押さえ部材61には、上下方向に貫通する貫通孔61aが形成されている。
【0058】
図13に示されるように、支持部材60と中間部材52、支持部材60と押さえ部材61は、貫通孔61aと貫通孔60a、及び、貫通孔52aと貫通孔60aにそれぞれボルト80を挿入することにより固定することができる。そして、これらが固定された状態では、凹部62と傾斜面52b、61bとの間にスロープ部材11が配置される空間を形成することができ、この空間にスロープ部材11が配置される。
【0059】
踏切構造3では、支持部材60上にスロープ部材11を配置した後、ボルト80によって中間部材52や押さえ部材61を固定する。そして、この固定状態では、スロープ部材11が離脱しない状態となる。また、支持部材60の上にスロープ部材11が配置することになるので、下向きの力が作用しても、スロープ部材11の沈下が発生しにくい。
また、図13(b)に示すように、中間部材52の上面52cや押さえ部材61の上面61cは、踏切部材10の上面10aよりも低くなっており、段50が形成されている。そのため、通常、踏切部材10上を通行する。
【0060】
そして、段50から踏切部材10の外側へと落ちた場合、中間部材52の上面52cや押さえ部材61の上面61cを通って、スロープ部材11の傾斜面22から復帰する。
【0061】
第4の実施形態の踏切構造4は、図15に示すように、踏切部材10、スロープ部材11、中間部材53、押さえ部材65及び支持部材64を有している。
【0062】
そして、踏切構造4では、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材11は、支持部材64に載せられた状態となっている。また、中間部材53は2ヵ所のスロープ部材11の間に配置し、押さえ部材65は、スロープ部材11のレール90横断方向の外側に配置している。
【0063】
支持部材64は、図16に示すように、3ヵ所の嵌合部67と、嵌合部67の間に形成される2ヵ所の凹部68を有している。そして、嵌合部67は、幅方向の両端が突出して内側が凹状となっている。また、嵌合部67には、幅方向に貫通する貫通孔64aが形成されている。
【0064】
中間部材53は、上部ブロック部70と下部ブロック部71とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部70は、台形状のブロック体であり、上面53cの長さが下部ブロック部71よりも長く、下側に面している2ヵ所の傾斜面53bが形成されている。そして、傾斜面53bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、中間部材53によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部71は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部70の下側に位置している。また、下部ブロック部71には、幅方向に貫通する貫通孔53aが形成されている。
【0065】
押さえ部材65は、上部ブロック部72と下部ブロック部73とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部72は、台形状のブロック体であり、上部ブロック部72の上面65cの長さが下部ブロック部73よりも長く、下側に面している1ヵ所の傾斜面65bが形成されている。そして、傾斜面65bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、押さえ部材65によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部73は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部72の下側に位置している。また、下部ブロック部73には、幅方向に貫通する貫通孔65aが形成されている。
【0066】
図15に示されるように、支持部材64と中間部材53、支持部材64と押さえ部材65は、貫通孔64aと貫通孔53a、及び貫通孔64aと貫通孔65aにそれぞれボルト80を挿入することにより固定することができる。このとき、図17に示されるように、押さえ部材65の下部ブロック部73が支持部材64の嵌合部67に嵌った状態となっている。なお、中間部材53の下部ブロック部71も同様な構造になっている。
そして、これらが固定された状態では、凹部68と傾斜面53b、65bとの間にスロープ部材11が配置される空間を形成することができ、この空間にスロープ部材11が配置される。
【0067】
踏切構造4では、支持部材64上にスロープ部材11を配置した後、ボルト80によって中間部材53や押さえ部材65を固定する。そして、この固定状態では、スロープ部材11が離脱しない状態となる。また、支持部材64の上にスロープ部材11が配置することになるので、下向きの力が作用しても、スロープ部材11の沈下が発生しにくい。
また、図15(b)に示すように、中間部材53の上面53cや押さえ部材65の上面65cは、踏切部材10の上面10aよりも低くなっており、段50が形成されている。そのため、通常、踏切部材10上を通行する。
【0068】
そして、段50から踏切部材10の外側へと落ちた場合、中間部材53の上面53cや押さえ部材65の上面65cを通って、スロープ部材11の傾斜面22から復帰する。
【0069】
第5の実施形態の踏切構造5は、図18に示すように、踏切部材10、スロープ部材11、中間部材54、押さえ部材69、支持部材66及び固定部材74を有している。
【0070】
そして、踏切構造5では、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材11は、支持部材66に載せられた状態となっている。また、中間部材54は2ヵ所のスロープ部材11の間に配置し、押さえ部材69は、スロープ部材11のレール90横断方向の外側に配置している。
【0071】
支持部材66は、図19に示すように、平板状であり、下側に固定部材74の位置決めを行う位置決め凹部66aが設けられている。
【0072】
中間部材54は、上部ブロック部75と下部ブロック部76とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部75は、台形状のブロック体であり、上面54cの長さが下部ブロック部76よりも長く、下側に面している2ヵ所の傾斜面54bが形成されている。そして、傾斜面54bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、中間部材54によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部76は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部75の下側に位置している。また、下部ブロック部76には、幅方向に貫通する貫通孔54aが形成されている。
【0073】
押さえ部材69は、上部ブロック部77と下部ブロック部78とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部77は、台形状のブロック体であり、上部ブロック部77の上面69cの長さが下部ブロック部78よりも長く、下側に面している1ヵ所の傾斜面69bが形成されている。そして、傾斜面69bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、押さえ部材69によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部78は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部77の下側に位置している。また、下部ブロック部78には、幅方向に貫通する貫通孔69aが形成されている。
【0074】
固定部材74は、「コ」字状の部材であり、開放部分を上側となるような状態で使用される。また、固定部材74の幅方向の両側に配置されている側板74aには、貫通孔74bが形成されて幅方向に貫通しており、押さえ部材69の下部ブロック部78の貫通孔69aの位置に合わせられている。固定部材74は、金属製のものが使用されている。
【0075】
図18に示されるように、支持部材66と中間部材54、支持部材66と押さえ部材69は、固定部材74を用いて固定することができる。具体的には、貫通孔69aと貫通孔74b、及び、貫通孔54aと貫通孔74bにそれぞれボルト80を挿入することにより行われる。このとき、中間部材54や押さえ部材69と、固定部材74の下面板74cとの間に、支持部材66が挟まれた状態となっている。
そして、これらが固定された状態では、支持部材66と、中間部材54や押さえ部材69の傾斜面54b、69bとの間にスロープ部材11が配置される空間を形成することができ、この空間にスロープ部材11が配置される。
【0076】
踏切構造5では、スロープ部材11を配置した後、ボルト80によって中間部材54や押さえ部材69を固定する。そして、この固定状態では、スロープ部材11が離脱しない状態となる。また、支持部材66の上にスロープ部材11が配置することになるので、下向きの力が作用しても、スロープ部材11の沈下が発生しにくい。
また、図18(b)に示すように、中間部材54の上面54cや押さえ部材69の上面69cは、踏切部材10の上面10aよりも低くなっており、段50が形成されている。そのため、通常、踏切部材10上を通行する。
【0077】
そして、段50から踏切部材10の外側へと落ちた場合、中間部材54の上面54cや押さえ部材69の上面69cを通って、スロープ部材11の傾斜面22から復帰する。
【0078】
なお、上記した支持部材66に変えて、図20に示される支持部材79のように、位置決め凹部79aが幅方向の両側の2ヵ所の側面に設けられたものを用いることができる。
【0079】
中間部材52、53、54、支持部材60、64、66、79、押さえ部材61、65、69の材質は、特に限定されるものではないが、繊維強化樹脂を粒状や粉末状にして所定の形状に固めた材料などを用いることができる。
【0080】
上記した実施形態のものでは、レール90に対して横断する方向である横断方向は、レール90の方向に対して垂直な方向であったが、この横断方向は、垂直でなく斜めであってもよい。
【0081】
上記した実施形態のものでは、スロープ部材11や支持部材60、64、66、79などは、まくら木91が設けられていない位置に配置されているが、これらの部材をまくら木91上にスロープ部材11を配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図2】図1の踏切構造に用いられるスロープ部材及び連結部材を示した斜視図である。
【図3】連結されたスロープ部材を示した斜視図である。
【図4】図3に示すスロープ部材の側面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】(a)は、図2に示す連結部材の断面図であり、(b)、(c)、(d)は、連結部材の変形例を示す断面図である。
【図7】スロープ部材と連結部材の変形例を示す斜視図である。
【図8】図7に示すスロープ部材の側面図である。
【図9】スロープ部材と連結部材の変形例を示す斜視図である。
【図10】図9に示すスロープ部材の側面図である。
【図11】図9のA−A断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図14】図1の踏切構造に用いられる支持部材、中間部材及び押さえ部材を示した斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図16】図15の踏切構造に用いられる支持部材、中間部材及び押さえ部材を示した斜視図である。
【図17】図15のB−B断面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図19】図18の踏切構造に用いられる支持部材、中間部材及び押さえ部材を示した斜視図である。
【図20】支持部材、中間部材及び押さえ部材の変形例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0083】
1、2、3、4、5 踏切構造
11、40、45 スロープ部材
21、27、28、29、42、47 連結部材
22 傾斜面
35、60、64、66、79 支持部材
52、53、54 中間部材
61、65、69 押さえ部材
90 レール
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、まくら木の上にレールを敷設した軌道を横断するため、踏切が用いられている。このような、踏切には、レールの間及び外側に踏切部材を配置するものであり、レール上の列車の通過を可能にしながら、軌道を横断する人や車の通過を、ほぼ段差無く行うことができるようにしている。
【0003】
このような踏切部材は、通常、レールの高さ程度の厚みを有する部材が用いられており、踏切部材とレールの上部との間に段差ができないような構造になっている。
そして、踏切部材の全体の長さ(レール方向の長さ)は、踏切を横断するための通行幅以上の長さとなっており、また、踏切部材の外側、すなわち踏切部材の両端には、段差が形成される。
【0004】
車椅子などの車輪を有する乗り物によって踏切を通行する場合、踏切部材の外側に車輪が落ちるという脱輪のおそれがあるが、段差が大きいと脱輪状態からの復帰が難しい。
そのため、例えば、通行幅よりも長い踏切部材を用いて、通行する部分からはみ出しても脱輪しないようにすることが考えられる。しかし、そのような構造にすると、車椅子などに乗っている人が、そのはみ出し部分を用いて通行することができ、このような事が常態化すると、結局、脱輪のし易さは同じになってしまう。
【0005】
そして、特許文献1には、車椅子が踏切の不適部へ進入した場合に、振動を発生させるなどにより、危険を発する踏切構造が記載されている。
【特許文献1】特開2005−220596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構造では、乗り物に乗る人が不適部を通行時に振動の発生に気づく必要があるが、乗り物の進行などによっても振動が発生するので、振動に気づかないおそれが考えられる。また、不適部でも、他の部分と同様に通行が可能である。
したがって、そのような場合には、不適部を通行することになり、結局、不適部を超えて脱輪するおそれが、変わらなくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、車椅子などでも安全に通行が可能な踏切構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、レールに対して横断する方向である横断方向に通行できるように、レールの間及び外側に踏切部材が配置されるものであり、踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されており、スロープ部材には傾斜面が形成され、前記傾斜面はレール側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものであることを特徴とする踏切構造である。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されるものであり、踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されており、スロープ部材には傾斜面が形成されているので、踏切部材の外側に段差を有する状態となり、通常には、通行する人が通行しないようにすることができ、仮に、段差を落ちて車椅子、自転車、自動車などの車が、脱輪した場合であっても、スロープ部材の傾斜面を昇って、踏切部材側へ復帰したり、レールを乗り越えたりすることが可能となる。
また、前記傾斜面はレール側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものであるので、踏切の横断方向に進むことで昇ることができるので、脱輪したときに昇りやすい。
【0010】
請求項2に記載の発明は、スロープ部材は任意のレールを挟んで配置されて、両側のスロープ部材によって山型形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の踏切構造である。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、スロープ部材は任意のレールを挟んで配置されて、両側のスロープ部材によって山型形状となっているので、両側のいずれの方向から進んだ場合でも、脱輪から復帰しやすい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、レールを挟んで配置された両側のスロープ部材は、連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項2に記載の踏切構造である。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、レールを挟んで配置された両側のスロープ部材は、連結部材によって連結されているので、使用時にスロープ部材のずれが発生しにくい。
【0014】
請求項4に記載の発明は、スロープ部材は横断方向に複数並んでおり、横断方向に並んだ複数のスロープ部材を支える支持部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の踏切構造である。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、スロープ部材は横断方向に複数並んでおり、横断方向に並んだ複数のスロープ部材を支える支持部材が配置されているので、支持部材によって支えられたスロープ部材は、使用時に沈下しにくい。また、スロープ部材の間に脱輪した場合には、脱輪した車輪は支持部材の上を走行することになるので、走行しやすい。
【0016】
請求項5に記載の発明は、横断方向に隣り合うスロープ部材同士の間には中間部材が配置されており、中間部材の上面が踏切部材の上面よりも低くなっていることを特徴とする請求項4に記載の踏切構造である。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、横断方向に隣り合うスロープ部材同士の間には中間部材が配置されており、中間部材の上面が踏切部材の上面よりも低くなっているので、スロープ部材が設けられない位置での段差を小さくすることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、支持部材と中間部材とが固定されていることを特徴とする請求項5に記載の踏切構造である。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、支持部材と中間部材とが固定されているので、中間部材の離脱を防ぐことができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、中間部材によって、スロープ部材が上から押さえてられており、スロープ部材は支持部材と中間部材との間で挟まれていることを特徴とする請求項6に記載の踏切構造である。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、中間部材によって、スロープ部材が上から押さえてられており、スロープ部材は支持部材と中間部材との間で挟まれているので、スロープ部材の離脱を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の踏切構造によれば、脱輪しても復帰しやすく、車椅子などでも安全に通行が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。
本発明の第1の実施形態における踏切構造1は、図1に示されるように、踏切部材10及びスロープ部材11、連結部材21を有している。
踏切部材10は通常の構造と同様に、2本のレール90の間やレール90の外側であって、まくら木91の上側に配置されている。そして、踏切部材10上を、レール90に対して横断する方向である横断方向に通行できるようになっている。なお、本実施形態の踏切構造1では、この横断方向はレール90の方向に対して垂直な方向となっている。
【0024】
スロープ部材11は、踏切部材10のレール90方向の外側であって、レール90の近傍に配置されている。そして、本実施形態のスロープ部材11は、2本のレール90の近傍の両側のそれぞれに配置されているので、4個のスロープ部材11がレール90に対して横断する方向に並んでおり、踏切部材10の両側で、合計8個のスロープ部材11が配置されている。
【0025】
スロープ部材11はレール90を挟むように、レール90の両側に配置されているものであるが、後述するように、レール90側が高くなるような、傾斜面22を有しているので、この一対のスロープ部材11により、山型形状となっている。
また、これらの2個のスロープ部材11同士が連結部材21によって連結されている。
【0026】
スロープ部材11はブロック状であり、上側には傾斜面22が、下側には下面23が、レール90側にはレール側面24が、レール90方向の両側には横側面25が設けられている。また、スロープ部材11は、横側面25側から見ると略直角三角形状となっている。
そして、傾斜面22は、横断方向に対して傾斜する面であってレール90側が上側となっている面である。
【0027】
なお、本実施形態のスロープ部材11には、レール90方向に沿って横側面25同士をつなぐ方向に貫通する貫通孔34が形成されており、スロープ部材11の軽量化を図ることができる。
【0028】
傾斜面22の表面には、図1〜図3に示されるように、細かい凹部が形成されて、全体が凹凸状となっており、後述するように、傾斜面22上を車椅子などが通過する場合に、車輪が滑りにくい構造となっている。
【0029】
また、各スロープ部材11には、差し込み部26を有している。そして、差し込み部26は、レール側面24側に開口部26aが形成されており、開口部26aからレール90を横断する方向に向かって延びている。差し込み部26の位置は、下面23側に近い位置であり、下方付近に位置している。
そして、各スロープ部材11の差し込み部26に連結部材21の両側が差し込まれて、2個のスロープ部材11が連結される。
【0030】
連結部材21は、両側のスロープ部材11を連結するものであり、踏切構造1を使用する際にスロープ部材11が外れたりすることを防ぐものである。
本実施形態の連結部材21は長尺の板状であり、各スロープ部材11の差し込み部26に連結部材21を差し込んで連結が行われる。
【0031】
また、差し込み部26の位置は、スロープ部材11の下方に設けられているので、図3に示されるように、連結状態では、連結部材21はレール90の下側で横断するような状態となっている。そのため、スロープ部材11に上向きの力が作用した場合であっても、連結部材21がスロープ部材11の上側への移動を阻止することができる。
【0032】
スロープ部材11の材質は、使用時に圧縮力に耐えることができれば特に限定されるものではなく、硬質のゴム材料や、繊維強化樹脂を粒状や粉末状にして所定の形状に固めた材料などを用いることができる。
また、連結部材21には、剛性を有する材料が用いられるものであり、金属板などを用いることができる。
【0033】
スロープ部材11の差し込み部26の断面は、図6(a)に示されるように横長の形状であり、連結部材21が差し込み部26に挿入された状態では、連結部材21の板面が上下に向くような状態となる。また、差し込み部26の下側には、スロープ部材11の下面23側に開放する開放部26bが形成されている。そして、図6(b)、(c)、(d)に示されるような、下方に向かって突出する突出部32が形成された連結部材27、28、29を用いて、連結を行うことができる。そして突出部32により、連結部材27、28、29の剛性を高くすることができる。
【0034】
図6(b)に示される連結部材27では、突出部32は短く、中央付近に1ヵ所設けられている。
図6(c)に示される連結部材28では、突出部32は短く、対称の位置に2カ所設けられている。
図6(d)に示される連結部材29では、突出部32は長く、中央付近に1ヵ所設けられている。そして、連結部材29の突出部32によって、道床抵抗を高めることができる。
そして、連結状態では、これらの連結部材27、28、29の突出部32は開放部26bに位置している状態となっており、連結の際に邪魔になることはない。
【0035】
踏切構造1では、スロープ部材11が取り付けられる位置は、踏切部材10のレール90方向の外側であってレール90の近傍である。そのため、通常、用いられている踏切に、スロープ部材11をかかる位置に取り付けることにより、本発明の踏切構造1とすることが可能である。
このように、踏切部材10は既存のものを用いることができ、また、本実施形態以外の構造のものを採用することができる。
【0036】
スロープ部材11のレール側面24は、図2、図3に示されるように、レール90の形状に合わせて、凹部24aが形成されており、レール90の側面が凹部24aに嵌っている。また、図1、図3に示されるように、2本のレール90の内側に対応する位置であって、レール側面24の上側の部分には欠落部33が設けられている。そして、欠落部33により、レール90上に列車が通過する際に、車輪のフランジがスロープ部材11に接触しない構造となっている。
【0037】
スロープ部材11の取り付け方は、特に限定されるものではないが、スロープ部材11が配置される付近のバラストなどを取り除き、一方のスロープ部材11の差し込み部26に連結部材21を差し込んだ状態で配置し、他方のスロープ部材11の差し込み部26に連結部材21を差し込みながら行うことができる。
【0038】
スロープ部材11は、レール90の近傍に配置しており、また、レール90から遠ざかるほど低くなるような傾斜面22を有している。したがって、スロープ部材11などがある踏切部材10よりも外側は、踏切部材10の上面10a低くなり、スロープ部材11と踏切部材10との間には、踏切部材10が上側となる段50が形成されている。
そのため、踏切を横断する場合、すなわち、踏切を通行する場合、通行する者は、段50を超えて、踏切部材10の外側へと落ちないように注意することになり、通常は、踏切部材10の上を通ることになる。そして、誤って落ちた場合には、スロープ部材11の傾斜面22上を通過して復帰することができる。
このように誤って段50から落ちた場合、踏切の横断の方向に、前進あるいは後退すれば、スロープ部材11に到達することができ、さらに、そのまま傾斜面22を昇ることができるので、このような復帰を容易に行うことができる。
【0039】
上記した踏切構造1では、連結部材21の両側を、それぞれのスロープ部材11の差し込み部26に差し込んで連結するものであったが、このような連結方法以外の方法を用いて連結することができる。
【0040】
例えば、図7、図8に示されるスロープ部材40では、2個のスロープ部材40を連結部材42によって連結されている。
連結部材42は、両端に引っかけ部42aが設けられた板状の部材である。そして、この引っかけ部42aを、2個のスロープ部材40の傾斜面22と下面23との共通する辺30に、それぞれ引っかけて連結が行われる。
【0041】
引っかけ部42aは、上側に向けて2ヵ所ほど折り曲げて、端部を「コ」字状にして形成されるものである。そして、引っかけ部42aの形状は、辺30の形状に合わせられている。
また、連結部材42の幅は、スロープ部材40の下面23の幅に合わせられており、連結部材42とスロープ部材40とは同じ幅である。
【0042】
スロープ部材40の取り付けは、連結部材42をレール90の下側に配置して、引っかけ部42aがレール90を挟んで両側となるようにする。そして、それぞれのスロープ部材40の辺30を引っかけ部42aに引っかけて、辺30を軸として、レール90側を下げる方向に回転させるようにして行う。
連結部材42の長さ、すなわち、引っかけ部42a同士の間隔は、スロープ部材40が連結された状態での辺30同士の距離よりも長くなっており、上記の回転を行いやすくなっている。そのため、スロープ部材40同士が連結された状態で、スロープ部材40がずれてしまうおそれがある。そこで、連結が解けてしまわないように、詰め材43aを辺30の外側に挿入しており、スロープ部材40の連結状態を確実に維持することができるようになっている。
【0043】
さらに、図9、図10、図11に示すような、スロープ部材45及び連結部材47を用いることができ、2個のスロープ部材45を連結部材47によって連結することができる。
連結部材47は、上記した連結部材42と同様に、両端に引っかけ部47aが設けられた板状の部材であるが、連結部材47の幅はスロープ部材45の幅に対して短く、連結部材47は中央付近に配置されている。
また、図11に示されるように、スロープ部材45の下面23には、溝部48が形成されている。そして、連結状態では連結部材47が溝部48に嵌っており、下面23から連結部材47がほとんど突出しないような状態となっている。
【0044】
。そして、この引っかけ部47aを、2個のスロープ部材45の傾斜面22と下面23との共通する辺30に、それぞれ引っかけてスロープ部材45の連結が行われる。
この連結は、上記したスロープ部材40と同様に、それぞれのスロープ部材45の辺30を引っかけ部47aに引っかけて、辺30を軸として、レール90側を下げる方向に回転させるようにして行うものである。そして、スロープ部材45には、図9に示されるように、レール90下付近に欠け部49が設けられているので、上記した連結作業が行いやすい。
【0045】
また、使用時に、脱輪した状態から傾斜面22を用いて復帰する場合、スロープ部材11、40、45に車輪などが載った状態になるので、スロープ部材11、40、45には下向きの力が車輪から伝わる。そのため、スロープ部材11、40、45が沈下してしまうことがある。
そこで、以下に示すような、支持部材35、60、64、66を有する踏切構造2、3、4、5を用いて、このような沈下を防ぐことができる。
【0046】
本発明の第2の実施形態の踏切構造2は、図12に示されており、支持部材35が用いられており、これによってスロープ部材45を支えるものである。
なお、踏切構造2では、スロープ部材45や連結部材47が用いられているが、これに限定するものではなく、他のものを用いることができる。
【0047】
支持部材35はスロープ部材45の下側に配置されており、スロープ部材45が支持部材35の上側に配置されている。
また、支持部材35は、踏切部材10の両側に配置されており、本実施形態の踏切構造2では、支持部材35は2ヵ所に設けられている。そして、各支持部材35の上に、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材45が載せられた状態となっている。
【0048】
支持部材35の長さ(レール90の横断する方向の長さ)は、踏切部材10が設けられている領域、すなわち、踏切の長さにほぼ等しくなっている。
また、支持部材35の幅は、スロープ部材45の幅にほぼ等しくなっている。したがって、支持部材35の全体の面積は、スロープ部材45の下面23の面積より広くなっている。
【0049】
そして、踏切構造2の使用時に、スロープ部材45上に、車椅子の車輪などが載った場合には、スロープ部材45が下向きの力を受けるが、この力を、支持部材35の全体の広い面積で支えることができるので、スロープ部材45の沈下を小さくすることができる。
【0050】
また、段50から脱輪した場合、支持部材35の上面に車輪が落ち、支持部材35の上面の上を進むことができるので、バラストなどに車輪が接触することなく、スロープ部材45側に移動しやすくなり、復帰を確実に行うことができる。
【0051】
また、以下に示す第3〜第5の実施形態の踏切構造3、4、5では、支持部材60、64、66が用いられており、さらに、支持部材60、64、66の上側に、中間部材52、53、54を設けたものである。そして、中間部材52、53、54によって、踏切部材10の外側に形成される段50の段差を小さくすることができ、また、スロープ部材11を上から押さえて、支持部材60、64、66と中間部材52、53、54との間で挟まれた状態とすることができ、スロープ部材11が離脱することを防ぐことができる。
【0052】
なお、踏切部材10の構造や、踏切部材10の外側であって2本のレール90のそれぞれの近傍に配置しているというスロープ部材11の配置など、基本的な構造は上記した踏切構造1、2と同様であり、説明を省略する。また、踏切部材10の両側で、構造が同じであるので、図13(a)、図15(a)、図18(a)においては、一方のみを図示している。
【0053】
第3の実施形態の踏切構造3は、図13に示すように、踏切部材10、スロープ部材11、中間部材52、押さえ部材61及び支持部材60を有している。
【0054】
そして、踏切構造3では、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材11は、支持部材60に載せられた状態となっている。また、中間部材52は2ヵ所のスロープ部材11の間に配置し、押さえ部材61は、スロープ部材11のレール90横断方向の外側に配置している。
【0055】
支持部材60は、図14に示すように、3ヵ所の凸部63と、凸部63の間に形成される2ヵ所の凹部62を有している。そして、凸部63には、上下方向に貫通する貫通孔60aが形成されている。
【0056】
中間部材52は、台形状のブロック体であり、上面52cの長さが下面52dより長く、下側に面している2ヵ所の傾斜面52bが形成されている。そして、傾斜面52bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、中間部材52によって上側から部分的に押さえている。また、中間部材52には、上下方向に貫通する貫通孔52aが形成されている。
【0057】
押さえ部材61は、台形状のブロック体であり、上面61cの長さが下面61dより長く、下側に面している1ヵ所の傾斜面61bが形成されている。そして、傾斜面61bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、押さえ部材61によって上側から部分的に押さえている。また、押さえ部材61には、上下方向に貫通する貫通孔61aが形成されている。
【0058】
図13に示されるように、支持部材60と中間部材52、支持部材60と押さえ部材61は、貫通孔61aと貫通孔60a、及び、貫通孔52aと貫通孔60aにそれぞれボルト80を挿入することにより固定することができる。そして、これらが固定された状態では、凹部62と傾斜面52b、61bとの間にスロープ部材11が配置される空間を形成することができ、この空間にスロープ部材11が配置される。
【0059】
踏切構造3では、支持部材60上にスロープ部材11を配置した後、ボルト80によって中間部材52や押さえ部材61を固定する。そして、この固定状態では、スロープ部材11が離脱しない状態となる。また、支持部材60の上にスロープ部材11が配置することになるので、下向きの力が作用しても、スロープ部材11の沈下が発生しにくい。
また、図13(b)に示すように、中間部材52の上面52cや押さえ部材61の上面61cは、踏切部材10の上面10aよりも低くなっており、段50が形成されている。そのため、通常、踏切部材10上を通行する。
【0060】
そして、段50から踏切部材10の外側へと落ちた場合、中間部材52の上面52cや押さえ部材61の上面61cを通って、スロープ部材11の傾斜面22から復帰する。
【0061】
第4の実施形態の踏切構造4は、図15に示すように、踏切部材10、スロープ部材11、中間部材53、押さえ部材65及び支持部材64を有している。
【0062】
そして、踏切構造4では、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材11は、支持部材64に載せられた状態となっている。また、中間部材53は2ヵ所のスロープ部材11の間に配置し、押さえ部材65は、スロープ部材11のレール90横断方向の外側に配置している。
【0063】
支持部材64は、図16に示すように、3ヵ所の嵌合部67と、嵌合部67の間に形成される2ヵ所の凹部68を有している。そして、嵌合部67は、幅方向の両端が突出して内側が凹状となっている。また、嵌合部67には、幅方向に貫通する貫通孔64aが形成されている。
【0064】
中間部材53は、上部ブロック部70と下部ブロック部71とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部70は、台形状のブロック体であり、上面53cの長さが下部ブロック部71よりも長く、下側に面している2ヵ所の傾斜面53bが形成されている。そして、傾斜面53bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、中間部材53によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部71は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部70の下側に位置している。また、下部ブロック部71には、幅方向に貫通する貫通孔53aが形成されている。
【0065】
押さえ部材65は、上部ブロック部72と下部ブロック部73とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部72は、台形状のブロック体であり、上部ブロック部72の上面65cの長さが下部ブロック部73よりも長く、下側に面している1ヵ所の傾斜面65bが形成されている。そして、傾斜面65bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、押さえ部材65によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部73は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部72の下側に位置している。また、下部ブロック部73には、幅方向に貫通する貫通孔65aが形成されている。
【0066】
図15に示されるように、支持部材64と中間部材53、支持部材64と押さえ部材65は、貫通孔64aと貫通孔53a、及び貫通孔64aと貫通孔65aにそれぞれボルト80を挿入することにより固定することができる。このとき、図17に示されるように、押さえ部材65の下部ブロック部73が支持部材64の嵌合部67に嵌った状態となっている。なお、中間部材53の下部ブロック部71も同様な構造になっている。
そして、これらが固定された状態では、凹部68と傾斜面53b、65bとの間にスロープ部材11が配置される空間を形成することができ、この空間にスロープ部材11が配置される。
【0067】
踏切構造4では、支持部材64上にスロープ部材11を配置した後、ボルト80によって中間部材53や押さえ部材65を固定する。そして、この固定状態では、スロープ部材11が離脱しない状態となる。また、支持部材64の上にスロープ部材11が配置することになるので、下向きの力が作用しても、スロープ部材11の沈下が発生しにくい。
また、図15(b)に示すように、中間部材53の上面53cや押さえ部材65の上面65cは、踏切部材10の上面10aよりも低くなっており、段50が形成されている。そのため、通常、踏切部材10上を通行する。
【0068】
そして、段50から踏切部材10の外側へと落ちた場合、中間部材53の上面53cや押さえ部材65の上面65cを通って、スロープ部材11の傾斜面22から復帰する。
【0069】
第5の実施形態の踏切構造5は、図18に示すように、踏切部材10、スロープ部材11、中間部材54、押さえ部材69、支持部材66及び固定部材74を有している。
【0070】
そして、踏切構造5では、2ヵ所に配置されている4個のスロープ部材11は、支持部材66に載せられた状態となっている。また、中間部材54は2ヵ所のスロープ部材11の間に配置し、押さえ部材69は、スロープ部材11のレール90横断方向の外側に配置している。
【0071】
支持部材66は、図19に示すように、平板状であり、下側に固定部材74の位置決めを行う位置決め凹部66aが設けられている。
【0072】
中間部材54は、上部ブロック部75と下部ブロック部76とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部75は、台形状のブロック体であり、上面54cの長さが下部ブロック部76よりも長く、下側に面している2ヵ所の傾斜面54bが形成されている。そして、傾斜面54bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、中間部材54によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部76は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部75の下側に位置している。また、下部ブロック部76には、幅方向に貫通する貫通孔54aが形成されている。
【0073】
押さえ部材69は、上部ブロック部77と下部ブロック部78とが一体化されたブロック体である。そして、上部ブロック部77は、台形状のブロック体であり、上部ブロック部77の上面69cの長さが下部ブロック部78よりも長く、下側に面している1ヵ所の傾斜面69bが形成されている。そして、傾斜面69bの傾斜角度は、スロープ部材11の傾斜面22に合わせられており、使用時には傾斜面22の下方を、押さえ部材69によって上側から部分的に押さえている。
また、下部ブロック部78は、長方形状のブロック体であり、上部ブロック部77の下側に位置している。また、下部ブロック部78には、幅方向に貫通する貫通孔69aが形成されている。
【0074】
固定部材74は、「コ」字状の部材であり、開放部分を上側となるような状態で使用される。また、固定部材74の幅方向の両側に配置されている側板74aには、貫通孔74bが形成されて幅方向に貫通しており、押さえ部材69の下部ブロック部78の貫通孔69aの位置に合わせられている。固定部材74は、金属製のものが使用されている。
【0075】
図18に示されるように、支持部材66と中間部材54、支持部材66と押さえ部材69は、固定部材74を用いて固定することができる。具体的には、貫通孔69aと貫通孔74b、及び、貫通孔54aと貫通孔74bにそれぞれボルト80を挿入することにより行われる。このとき、中間部材54や押さえ部材69と、固定部材74の下面板74cとの間に、支持部材66が挟まれた状態となっている。
そして、これらが固定された状態では、支持部材66と、中間部材54や押さえ部材69の傾斜面54b、69bとの間にスロープ部材11が配置される空間を形成することができ、この空間にスロープ部材11が配置される。
【0076】
踏切構造5では、スロープ部材11を配置した後、ボルト80によって中間部材54や押さえ部材69を固定する。そして、この固定状態では、スロープ部材11が離脱しない状態となる。また、支持部材66の上にスロープ部材11が配置することになるので、下向きの力が作用しても、スロープ部材11の沈下が発生しにくい。
また、図18(b)に示すように、中間部材54の上面54cや押さえ部材69の上面69cは、踏切部材10の上面10aよりも低くなっており、段50が形成されている。そのため、通常、踏切部材10上を通行する。
【0077】
そして、段50から踏切部材10の外側へと落ちた場合、中間部材54の上面54cや押さえ部材69の上面69cを通って、スロープ部材11の傾斜面22から復帰する。
【0078】
なお、上記した支持部材66に変えて、図20に示される支持部材79のように、位置決め凹部79aが幅方向の両側の2ヵ所の側面に設けられたものを用いることができる。
【0079】
中間部材52、53、54、支持部材60、64、66、79、押さえ部材61、65、69の材質は、特に限定されるものではないが、繊維強化樹脂を粒状や粉末状にして所定の形状に固めた材料などを用いることができる。
【0080】
上記した実施形態のものでは、レール90に対して横断する方向である横断方向は、レール90の方向に対して垂直な方向であったが、この横断方向は、垂直でなく斜めであってもよい。
【0081】
上記した実施形態のものでは、スロープ部材11や支持部材60、64、66、79などは、まくら木91が設けられていない位置に配置されているが、これらの部材をまくら木91上にスロープ部材11を配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図2】図1の踏切構造に用いられるスロープ部材及び連結部材を示した斜視図である。
【図3】連結されたスロープ部材を示した斜視図である。
【図4】図3に示すスロープ部材の側面図である。
【図5】図3のA−A断面図である。
【図6】(a)は、図2に示す連結部材の断面図であり、(b)、(c)、(d)は、連結部材の変形例を示す断面図である。
【図7】スロープ部材と連結部材の変形例を示す斜視図である。
【図8】図7に示すスロープ部材の側面図である。
【図9】スロープ部材と連結部材の変形例を示す斜視図である。
【図10】図9に示すスロープ部材の側面図である。
【図11】図9のA−A断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図14】図1の踏切構造に用いられる支持部材、中間部材及び押さえ部材を示した斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)はA−A断面図である。
【図16】図15の踏切構造に用いられる支持部材、中間部材及び押さえ部材を示した斜視図である。
【図17】図15のB−B断面図である。
【図18】本発明の第5の実施形態の踏切構造の図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図19】図18の踏切構造に用いられる支持部材、中間部材及び押さえ部材を示した斜視図である。
【図20】支持部材、中間部材及び押さえ部材の変形例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0083】
1、2、3、4、5 踏切構造
11、40、45 スロープ部材
21、27、28、29、42、47 連結部材
22 傾斜面
35、60、64、66、79 支持部材
52、53、54 中間部材
61、65、69 押さえ部材
90 レール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールに対して横断する方向である横断方向に通行できるように、レールの間及び外側に踏切部材が配置されるものであり、
踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されており、スロープ部材には傾斜面が形成され、前記傾斜面はレール側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものであることを特徴とする踏切構造。
【請求項2】
スロープ部材は任意のレールを挟んで配置されて、両側のスロープ部材によって山型形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の踏切構造。
【請求項3】
レールを挟んで配置された両側のスロープ部材は、連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項2に記載の踏切構造。
【請求項4】
スロープ部材は横断方向に複数並んでおり、横断方向に並んだ複数のスロープ部材を支える支持部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の踏切構造。
【請求項5】
横断方向に隣り合うスロープ部材同士の間には中間部材が配置されており、中間部材の上面が踏切部材の上面よりも低くなっていることを特徴とする請求項4に記載の踏切構造。
【請求項6】
支持部材と中間部材とが固定されていることを特徴とする請求項5に記載の踏切構造。
【請求項7】
中間部材によって、スロープ部材が上から押さえてられており、スロープ部材は支持部材と中間部材との間で挟まれていることを特徴とする請求項6に記載の踏切構造。
【請求項1】
レールに対して横断する方向である横断方向に通行できるように、レールの間及び外側に踏切部材が配置されるものであり、
踏切部材のレール方向の端部の外側であってレールの近傍にスロープ部材が配置されており、スロープ部材には傾斜面が形成され、前記傾斜面はレール側が上側となるように横断方向に対して傾斜するものであることを特徴とする踏切構造。
【請求項2】
スロープ部材は任意のレールを挟んで配置されて、両側のスロープ部材によって山型形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の踏切構造。
【請求項3】
レールを挟んで配置された両側のスロープ部材は、連結部材によって連結されていることを特徴とする請求項2に記載の踏切構造。
【請求項4】
スロープ部材は横断方向に複数並んでおり、横断方向に並んだ複数のスロープ部材を支える支持部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の踏切構造。
【請求項5】
横断方向に隣り合うスロープ部材同士の間には中間部材が配置されており、中間部材の上面が踏切部材の上面よりも低くなっていることを特徴とする請求項4に記載の踏切構造。
【請求項6】
支持部材と中間部材とが固定されていることを特徴とする請求項5に記載の踏切構造。
【請求項7】
中間部材によって、スロープ部材が上から押さえてられており、スロープ部材は支持部材と中間部材との間で挟まれていることを特徴とする請求項6に記載の踏切構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−240300(P2008−240300A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80343(P2007−80343)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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