説明

身体凹部清浄剤

【課題】へそのゴマ等の汚れを、へそ凹部の内表面に傷を付けることなく、容易に除去することができるへそ凹部清浄化方法を提供すること。
【解決手段】使用前又は使用の際に流動性がある組成物1を、へそ凹部Nに流し込むか又は塗布し、該組成物1が固化した後、この固化物1を、該へそ凹部N内の汚れを同伴させた状態で、該へそ凹部Nから取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、へそ凹部又は耳腔等の身体凹部内の汚れ(へそのゴマ、耳垢等)を除去するのに用いる身体凹部清浄剤、それを用いた身体凹部清浄化方法及び該身体凹部清浄剤のへそ凹部への流し込みに用いられるへそ拡開具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所謂へそ出しルックやへそピアスが一般化し、また水着を外出着として着用する時勢もあり、へそを露出する機会が増えている。へそ凹部に所謂へそのゴマが溜っていると見栄えが悪く、またへそ凹部に細菌が繁殖して臭いを発するため、見栄え向上や防臭上、へそのゴマの除去(へそ掃除)が行われている。
【0003】
へそのゴマの除去は、一般的には、指の爪で引っ掻いたり、オイルを付けた綿棒で掻き出す(後述の非特許文献1参照)ことにより行われている。
しかし、指の爪で引っ掻いたり、綿棒で掻き出すと、へそ凹部の内表面を傷付け易い。また、へそ凹部の底部下方にある腹膜が刺激を受け、腹部に痛みが発生し易い。
【0004】
また、従来、耳垢の除去(耳掃除)は、耳掻きや綿棒を用いて行われている。しかし、耳掻き等を用いて耳掃除を行うと、耳腔奥部の損傷を避けるために耳垢の除去が不充分となり、また耳垢を耳腔奥部に向けて押しやることもあって耳垢を掻き出し難く、また耳腔の内表面を傷付け易い。
【0005】
【非特許文献1】株式会社コジット HP事業部、「アイデア.com:『おへそクリーン』販売頁」、[online]、株式会社コジット、[平成15年4月1日検索]、インターネット<URL http://www.rakuten.co.jp/cogit/390263/452459/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、へそのゴマ又は耳垢等の汚れを、へそ凹部又は耳腔の内表面に傷を付けることなく、容易に除去することができる身体凹部清浄剤、それを用いた身体凹部清浄化方法及び該身体凹部清浄剤のへそ凹部への流し込みに用いられるへそ拡開具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、へそ凹部又は耳腔に流し込まれるか又は塗布された後一定時間経過後に固化し、該へそ凹部内又は耳腔内の汚れを同伴して該へそ凹部又は耳腔から取り出し可能な形態となる身体凹部清浄剤を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記身体凹部清浄剤を、へそ凹部又は耳腔に流し込むか又は塗布し、該身体凹部清浄剤が固化した後、この固化物を、該へそ凹部内又は耳腔内の汚れを同伴させた状態で、該へそ凹部又は耳腔から取り出す身体凹部清浄化方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、へそ凹部の開口部を拡開して、前記身体凹部清浄剤のへそ凹部への流し込みを可能とするへそ拡開具であって、筒状部と、該筒状部の外周面から延出して設けられたつば部と、該筒状部の外周面から所定間隔で延設された複数個のフィン部とを備え、前記筒状部には、その上端部に剤注入口が設けられ、前記つば部よりも該筒状部の下端部側に該剤注入口と連通する剤排出口が設けられており、前記フィン部は、前記筒状部の下端部から前記つば部に向けて該筒状部からの高さが徐々に高くなるように形成されているへそ拡開具を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の身体凹部清浄剤及び身体凹部清浄化方法によれば、へそのゴマ又は耳垢等の汚れを、へそ凹部又は耳腔の内表面に傷を付けることなく、容易に除去することができる。
【0010】
また、本発明のへそ拡開具によれば、それをへそ凹部に挿入するだけでへそ凹部の開口部を拡開することができ、また、該へそ拡開具をへそ凹部に挿入した状態で、剤注入口に身体凹部清浄剤を注入すれば、へそ凹部内に身体凹部清浄剤を効率的に導入できるため、へそ凹部のへそ拡開操作及び身体凹部清浄剤の注入操作が簡便である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の身体凹部清浄剤を、その好ましい実施形態について説明する。尚、へそ凹部への身体凹部清浄剤の流し込み・身体凹部清浄剤の固化に関する説明に際し、後述の図3及び図4も参照する。尚、本発明の身体凹部清浄剤は、その使用前又は少なくとも使用の際には、流動性のある組成物に調製されているものであり、従って、以下の説明において「流動性組成物」という場合も、本発明の身体凹部清浄剤を意味する。
本実施形態の身体凹部清浄剤1は、身体のへそ凹部Nに流し込み可能な流動性組成物を図3に示すように形成し、該へそ凹部Nに図4(c)に示すように流し込まれた後、一定時間経過後にゲル状又はゴム状に固化するものである。そして、本実施形態の身体凹部清浄剤1は、図4(d)に示すようにへそ凹部N内で固化した後、図4(e)に示すように、へそ凹部N内の汚れ(へそのゴマ)Dを同伴した状態で該へそ凹部Nから取り出し可能な形態となる。
【0012】
例えば、本実施形態の身体凹部清浄剤は、第1剤がジオルガノポリシロキサンを主剤とする反応性シリコーンベースからなり、第2剤が架橋剤を含有する硬化剤ベースからなる2液混合硬化型シリコーンゴム組成物からなる。かかる2剤型組成物は、更に、硬化触媒を第1剤又は第2剤に含有していてもよい。
前記2液混合硬化型シリコーンゴム組成物の第1剤におけるジオルガノポリシロキサンとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するヒドロキシル化ジオルガノポリシロキサン又は分子内に2個以上のビニル基を有するビニル化ジオルガノポリシロキサンが用いられ、いずれを使用するかに応じて架橋剤、硬化触媒も選定される。
【0013】
前記ヒドロキシル化ジオルガノポリシロキサンとしては、通常のものが用いられるが、特に、両末端に水酸基を有するヒドロキシル化ジメチルポリシロキサンが速やかに硬化し、皮膚刺激性がないため、好ましい。
本発明の組成物においてヒドロキシル化ジオルガノポリシロキサンをラバーベースの主剤として用いた場合の架橋剤としては、分子内に2個以上のアルコキシ基を有するアルコキシシラン、例えば、メチル−トリメトキシシラン、テトラエチルシリケートやテトラプロピルシリケート等が好ましい。
また、この場合の硬化触媒としてはカルボン酸の金属塩、アミン化合物又はアミン塩酸塩が用いられ、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジオクチルスズジラウレート等が好ましい。
【0014】
また、前記ビニル化ジオルガノポリシロキサンとしては、通常のものが用いられるが、特に、両末端にビニル基を有するビニル化ジメチルポリシロキサンが速やかに硬化し、皮膚刺激性がないため、好ましい。
ビニル化ジオルガノポリシロキサンをラバーベースの主剤として用いた場合の架橋剤としては、分子内に2個以上のSi−H基を有する水素化ジオルガノポリシロキサンが用いられる。
また、この場合の硬化触媒としては、白金化合物が用いられ、例えば塩化白金酸、白金黒、白金アスベスト、白金シリカゲル、白金活性炭、塩化白金酸カリウム等が用いられる。
【0015】
本実施形態の2液混合硬化型シリコーンゴム組成物における好ましい配合割合は、前記第1剤と前記第2剤とを混合した場合、前記ジオルガノポリシロキサン100重量部に対し、前記架橋剤0.1〜30重量部、前記硬化触媒0.001〜10重量部となる割合が好ましい。そして、各成分の種類、用途に応じて適宜選択される。
【0016】
本発明の身体凹部清浄剤は、前記実施形態に限定されず、へそ凹部又は耳腔に流し込まれるか又は塗布された後一定時間経過後に固化し、該へそ凹部内又は耳腔内の汚れを同伴して該へそ凹部又は耳腔から取り出し可能な形態となるものであれば良い。例えば、2液混合硬化型シリコーンゴム組成物、アルギン酸ナトリウムとカルシウム化合物との組み合わせ等が挙げられる。中でも、2液混合硬化型シリコーンゴム組成物を用いるのが好ましく、特に、第1剤がジオルガノポリシロキサンを主剤とする反応性シリコーンベースからなり、第2剤が架橋剤及び硬化触媒を含有する硬化剤ベースからなるものが好ましい。更に、他の2液混合硬化型シリコーンゴム組成物でもよく、第1剤がジオルガノポリシロキサンを主剤とする反応性シリコーンベース及び硬化触媒からなり、第2剤が架橋剤である硬化剤ベースからなるものが挙げられる。
【0017】
本発明の身体凹部清浄剤は、更に、殺菌剤、潤滑剤、香料、界面活性剤、多価アルコール、繊維物質、粉末及び油性成分の何れかを単独であるいは組み合わせて加えることにより、更に使用性の向上等を図ることができる。
殺菌剤としては、トリクロサン、銀ゼオライト(シナネン)等が、潤滑剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が、香料としては、ティートリー、グレープフルーツ等の精油がそれぞれ挙げられる。
【0018】
更に説明すると、本発明の身体凹部清浄剤は、その用途から、身体に無害のものが好ましい。
また、へそ掃除用には、流し込み直前又は塗布直前における流動性組成物としての粘度が3,000mPa・s以下であるものが好ましい。また、耳掃除用には、前記流動性組成物としての粘度が、耳腔内に注入又は塗布した後に中耳に流れ込まず、且つ耳腔内において耳腔を塞いでしまうことのないような粘度であるものが好ましく、具体的には、該粘度が1,000〜3,000mPa・sであるものが好ましい。
【0019】
本発明の身体凹部清浄剤は、使用直前に混合調製した硬化性組成物を、まだ充分な流動性を有する間に、へそ凹部又は耳腔に流し込むか又は塗布した後、一定時間経過後に固化させるものであるが、その固化(硬化)時間(組成物が固化して、固体として取り出し可能となるまでの時間)が0.5〜20分、特に3〜15分であるものが、作業上の点で好ましい。特に、ゲル状又はゴム状に固化するものが、固化後の組成物をへそ凹部又は耳腔から取り出し易いため好ましい。
へそ凹部又は耳腔へ組成物を適用した際に冷感を与えるために、メントールを配合してもよく、また、温感を与えるために、唐辛子エキスを配合してもよい。
【0020】
次に、本発明の身体凹部清浄化方法の好ましい一実施態様について、図3及び図4を参照して説明する。
本実施態様の身体凹部清浄化方法は、前記実施形態の身体凹部清浄剤をへそ凹部の清浄化(へそ掃除)に用いるもので、該身体凹部清浄剤(流動性組成物)を、該へそ凹部Nに流し込み、該身体凹部清浄剤が固化した後、この固化物を、該へそ凹部N内の汚れ(へそのゴマ)Dを同伴させた状態で、該へそ凹部Nから取り出す方法である。
本実施態様の身体凹部清浄化方法の説明に先立ち、先ず、前記実施形態の身体凹部清浄剤をへそ凹部に注入する収納注入容器2、及びへそ凹部の開口部を拡開する拡開具3について、図1及び図2を参照して説明する。
前記収納注入容器2は、図1に示すように、第1収納部21及び第2収納部22に区画化されており、第1収納部21には、前記実施形態の身体凹部清浄剤1の前記第1剤11が密閉収納されており、第2収納部22には、前記第2剤12が密閉収納されている。
【0021】
また、第1収納部21と第2収納部22との境界には、これらを区画する隔壁片23が設けられており、該隔壁片23は、外部からある程度大きい外力を加えると、例えば図3に示すように指の間で挟むと、2つに割れて、第1収納部21と第2収納部22とが連通するように構成されている。
また、収納注入容器2における第1収納部21側の先端部には、封片24が設けられており、該封片24を第1収納部21から切り取ると、第1収納部21の先端側が開口するようになっている。
【0022】
前記拡開具3は、図2に示すように、2個のΩ字状部材31がそれらの頂点31Aにおいて平面視で直交した配置で接合された形状を有している。また、Ω字状部材31の一対の先端部32,32には、それぞれ球状部が設けられており、該先端部32でへそ凹部Nの開口部を押し拡げる際に、該開口部を傷付けるのを防止できるようになっている。
【0023】
拡開具3は、合成樹脂、金属等の弾性を有する弾性部材から形成されており、そのため、Ω字状部材31における一対の先端部32,32同士を接近するように押圧した後〔図4(a)参照〕、その押圧力を除外すると、Ω字状部材31が元の状態に復元するようになっている。拡開具3の大きさは、先端部32同士を接近するように押圧すると、該先端部32を充分に開口していないへそ凹部Nの開口部にも配置でき、且つ押圧力を除外すると、先端部32で該へそ凹部Nの開口部を適度な大きさに拡開できるような大きさとしている。尚、この拡開具3は、へそ凹部が身体凹部清浄剤1を流し込むのに充分な大きさで開口している場合には、使用する必要はない。
【0024】
次に、前記収納注入容器2及び前記拡開具3を用いた、本実施態様の身体凹部清浄化方法(へそ掃除)について、図3及び図4を参照して説明する。
へそ掃除の対象となるへそ凹部Nは、図4に示すように、開口部がすぼまった形状をしており、そのままでは収納注入容器2に収納されている身体凹部清浄剤1をスムーズに流し込めないような形状をしている。
【0025】
先ず、図3(a)に示すように、収納注入容器2を例えば右手H1で持ち、指で隔壁片23を押し割る。その結果、収納注入容器2の第1収納部21と第2収納部22とが連通し、第1剤11と第2剤12とが接触する。そして、図3(b)及び(c)に示すように、第1剤11と第2剤12とを、連通した第1収納部21及び第2収納部22の内部で充分に混合させる。その結果、へそ凹部に流し込み可能な流動性組成物1が得られる。
第1剤と第2剤とを充分に混合した後、図3(d)に示すように、封片24を引っ張ったり、折ったり、捻ることで収納注入容器2から切断する。その結果、収納注入容器2内で混合された流動性組成物1が外部と連通する。
【0026】
第1剤と第2剤との混合に先立ち、予め、以下に示すように、へそ凹部の開口部を拡開具3で拡開しておく。
図4(a)に示すように、拡開具3を手H1で摘み、Ω字状部材31を側方から押圧して先端部32の拡がりを狭める。その状態で、Ω字状部材31の先端部32をへそ凹部Nの開口部に挿入・配置する。そして、図4(b)に示すように、Ω字状部材31に対する押圧力を除外すると、Ω字状部材31は元の形状(先端部32が相互に拡がった形状)に復元しようとする。この復元力により、Ω字状部材31の先端部32はへそ凹部Nの開口部を押し拡げる。
【0027】
このように、Ω字状部材31によりへそ凹部Nの開口部を押し拡げている状態で、図4(c)及び(d)に示すように、へそ凹部Nの内部に、収納注入容器2で混合された流動性組成物1を、拡開具3の先端部32が隠れるまで流し込む。そのまま所定時間放置し、流動性組成物1を固化(硬化)させる。固化時間は、身体凹部清浄剤1の組成及び物性や、へそ凹部Nに流し込む量等により異なる。身体凹部清浄剤(流動性組成物)1が固化すると、ゲル状又はゴム状に固化した該組成物1と拡開具3とが一体化する。
【0028】
その後、図4(e)に示すように、拡開具3を摘み、固化した身体凹部清浄剤1と共に、へそ凹部Nから引き抜く。その結果、へそ凹部Nの底部周辺に付着していたへそのゴマ(汚れ)Dが、身体凹部清浄剤1に同伴した状態で、へそ凹部Nから除去される。
【0029】
このように、本実施形態の身体凹部清浄剤1を用い、図3及び図4に示す実施態様でへそ掃除を行うと、へそ凹部NからへそのゴマDを容易に除去することができる。その際に、爪で引っ掻いたり、綿棒で掻き出す場合に比して、へそ凹部Nの内表面に傷を付けたり、腹膜に刺激を与えることがない。また、前述の拡開具3を用いると、開口部が充分に開いていないへそ凹部Nにおける該開口部を拡開し、組成物1を流し込み易くできると共に、組成物1の固化後、拡開具3をへそ凹部Nから取り出せば、該拡開具3と共に、へそのゴマDが同伴した組成物1も取り出すことができ、取り出し操作が簡単である。また、へそのゴマDが組成物1に同伴した状態で除去されるため、除去効果をはっきりと視認でき、掃除作業上の効果感を感じることができる。
尚、開口部が元来充分に開いているへそ凹部に身体凹部清浄剤を流し込む場合には、拡開具を用いずに、直接へそ凹部内に組成物を流し込めばよい。
【0030】
前記拡開具としては、へそ凹部の開口部を拡開し、その状態で、本発明の身体凹部清浄剤のへそ凹部への流し込み又は塗布が可能なものであれば、図2に示す形態のものに限定されない。好ましい拡開具としては、へそ凹部への挿入に伴って、該へそ凹部を徐々に拡開し得る構造を有するものが挙げられる。例えば、図5に示す拡開具30及び図6に示す拡開具30’、更には図7及び図8に示す拡開具30”が挙げられる。
図5に示す拡開具30は、円筒状の筒状部33と、該筒状部33の外周面から延出して設けられた「つば部34」と、筒状部33の外周面から延出して設けられたフィン部35とを備えている。つば部34は、筒状部33における長手方向に沿う略中央部に配置している。つば部34の下面(図5における左下方)は、扁平面となっている。フィン部35は、筒状部33の外周面における、筒状部33の下端部(図5における左下方)からつば部34の下面に亘って、該外周面からの高さが徐々に高くなるように60度間隔で6個設けられている。
【0031】
また、筒状部33の外周面における隣接するフィン部35、35で挟まれた領域(6領域に区画されている)には、1領域おきに各2個の剤排出口36、36が筒状部33の長手方向に離間して形成されている。また、筒状部33の下端部33Bは、ドーム状のドーム部37により閉塞されている。そのため、筒状部33の上端部33Aの開口部(剤注入口という)と剤排出口36とが連通し、該剤注入口から流動体を注入すると、該剤排出口36から該流動体が排出されるようになっている。
この拡開具30においては、つば部34の下面からドーム部37の頂部迄の距離は、へそ凹部の深さより若干短くなっており、つば部34の面方向の大きさ・形状は、へそ凹部の開口部を閉蓋し、拡開具30のへそ凹部への過挿入を防止し得る大きさ・形状となっている。フィン部35の大きさ・形状は、後述するように、開口部のすぼまったへそ凹部における該開口部を、拡開具30の挿入に伴って徐々に拡開できる大きさ・形状となっている。
【0032】
このように構成された拡開具30は、例えば、以下に説明する態様で使用することができる。
先ず、拡開具30を、開口部がすぼまった形状のへそ凹部(図示せず)に、ドーム部37(下端部33B)側から、つば部34がへそ凹部近傍の腹の表面に当接する迄挿入する。この挿入過程において、すぼまっている開口部が、フィン部35における徐々に拡がる周縁部で押圧されて徐々に拡開される。
この状態下で、筒状部33の上端部33Aの剤注入口から、本実施形態の身体凹部清浄剤(流動性組成物)を注入する。その結果、該流動性組成物が筒状部33に形成された剤排出口36から、へそ凹部内に導入される。流動性組成物の導入は、該流動性組成物がへそ凹部内において筒状部33及びフィン部35に充分に接触する迄行うことが好ましい。
【0033】
所定時間経過させ、流動性組成物が固化すると、固化した流動性組成物(身体凹部清浄剤)と拡開具30とが一体化するので、その後、拡開具30の筒状部33を摘み、身体凹部清浄剤と共に、へそ凹部から引き抜く。
その結果、拡開具30によれば、図2に示す拡開具3と同様に、へそのゴマが、身体凹部清浄剤に同伴した状態で、へそ凹部から除去される。
【0034】
また、拡開具30においては、該拡開具30をへそ凹部に挿入するだけでへそ凹部の開口部を拡開することができ、更に、該拡開具30をへそ凹部に挿入した状態で剤注入口に流動性組成物を注入すれば、へそ凹部内に該流動性組成物を効率的に導入できるため、図2に示す拡開具3に比して、へそ凹部の拡開操作及び流動性組成物の注入操作が簡便である。
【0035】
図6に示す拡開具30’は、図5に示す拡開具30のつば部34の形状を変更したものであり、つば部34’が筒状部33の下端部33B側から上端部33A側に向けて凹んだお椀状の形状(筒状部33の下端部33Bに対し凹状のお椀状の形状)を有している以外は、図5に示す拡開具30と同じ構成を有している。
従って、図6に示す拡開具30’は、図5に示す拡開具30と同様に使用することができる。また、図6に示す拡開具30’によれば、拡開具をへそ凹部に挿入し、流動性組成物を注入する際に、お椀状のつば部34’の周縁部でへそ凹部の開口部近傍の腹の表面を押さえ付けることができるため、図5に示す拡開具30に比して、へそ凹部内に導入された流動性組成物がへそ凹部の外にこぼれ難い。
【0036】
図7及び図8に示す拡開具30”は、本発明のへそ拡開具の更に好ましい実施形態で、図6に示す拡開具30’における剤排出口の位置を変更したものである。
詳述すると、図7及び図8に示す拡開具30”は、図5に示す拡開具30及び図6に示す拡開具30’と同様に、へそ凹部の開口部を拡開して、前記身体凹部清浄剤のへそ凹部への流し込みを可能とするへそ拡開具であって、筒状部33と、筒状部33の外周面から延出して設けられたつば部34’と、筒状部33の外周面から所定間隔で延設された複数個のフィン部35とを備え、筒状部33には、その上端部33Aに剤注入口38が設けられ、つば部34’よりも筒状部33の下端部33B側に剤注入口38と連通する剤排出口36”が設けられており、フィン部35は、筒状部33の下端部33Bからつば部34’に向けて筒状部33からの高さが徐々に高くなるように形成されている。また、筒状部33は、その上端部33A側がつば部34’から延出している。
【0037】
一方、図7及び図8に示す拡開具30”は、図6に示す拡開具30’に比して、剤排出口36”が、筒状部33の外周面には設けられておらず、筒状部33の下端部33Bに設けられている。そのため、図8(d)に示すように、筒状部33の上端部33Aの剤注入口38と下端部33Bの剤排出口36”とを連通する剤管路39が形成されている。その他の点については、図6に示す拡開具30’と同様の構成を有している。
【0038】
つば部34’の最下端(周縁部)と筒状部33の下端との距離L1〔図8(a)参照〕は、へそ凹部の深さより若干短くなっているのが好ましく、具体的には10〜15mmが好ましい。つば部34’の最上端と筒状部33の上端との距離L2〔図8(a)参照〕は、筒状部33における、つば部34’よりも上端部33A側の部分を使用者が容易に掴める長さであることが好ましく、具体的には8〜15mmが好ましい。お椀状のつば部34’における凹み深さL3〔つば部34’の最下端とつば部34’の凹みの最深部との距離、図8(d)参照〕は、流動性組成物をへそ凹部内に流し込んだ際に、へそ凹部から溢れた流動性組成物をストックし得る深さを有していればよく、具体的には0〜5mmが好ましい。前記距離L1、前記距離L2及び前記凹み深さL3の好ましい範囲は、図5に示す実施形態及び図6に示す実施形態を含む他の実施形態においても適用される。
【0039】
図7及び図8に示す拡開具30”によれば、該拡開具30”を、へそ凹部(図示せず)に、筒状部33の下端部33B側から、つば部34’がへそ凹部近傍の腹の表面に当接する迄挿入し、この状態下で、筒状部33の剤注入口38から、身体凹部清浄剤(流動性組成物)を注入すると、該流動性組成物が筒状部33の下端部33Bの剤排出口36”から、へそ凹部内に導入される。そして、図7及び図8に示す拡開具30”によれば、図6に示す拡開具30’と同様に使用し、同様の効果が得られることができる他、流動性組成物が筒状部33の下端部33Bの剤排出口36”からへそ凹部内に導入されるため、流動性組成物がへそ凹部の最奥部まで到達し易く、へそ凹部の最奥部に付着したへそのゴマを一層容易に除去することができる。
【0040】
また、本発明の身体凹部清浄化方法の好ましい別の実施態様を、前記実施形態の身体凹部清浄剤を耳腔の清浄化(耳掃除)に用いる場合について、耳腔から耳垢を除去する手順に基づいて説明する。
先ず、綿棒の先端部に適量の身体凹部清浄剤(流動性組成物)を付ける。綿棒の先端部への組成物の付け方は、組成物の物性、組成物の容器の形態等によって、適当な方法で行う。そして、綿棒の先端部を耳腔内に挿入し、耳腔の内表面に組成物を塗布する。1回の塗布で充分な量の組成物を塗布できなかった場合には、塗布を繰り返せばよい。この際、組成物で耳腔を完全に塞がないように塗布することが好ましい。
【0041】
充分な量の組成物を耳腔に塗布したら、塗布に用いた綿棒を耳腔に挿入した状態で、組成物が固化するまで所定時間放置する。組成物の固化(硬化)後、綿棒を、固化した組成物1と共に耳腔から抜き取る。その結果、図9に示すように、綿棒Sの先端部に固着している組成物1に耳垢Dが同伴した状態で、耳腔から耳垢Dが除去される。
【0042】
このように、本実施形態の身体凹部清浄剤1及び綿棒Sを用いて、前記実施態様で耳掃除を行うと、綿棒Sで組成物1を耳腔に塗布し、組成物1の固化後、綿棒Sを耳腔から抜き出すと、組成物1に同伴した状態で、耳垢Dを容易に除去することができる。その際、耳掻き等で掻き出したりする場合に比して、耳腔の表面を傷を付けることがない。また、前述のへそ掃除と同様に、掃除作業上の効果感を感じることができる。
【0043】
本発明の身体凹部清浄剤は、前記実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。また、本発明の身体凹部清浄剤は、身体(人間)のへそ凹部又は耳腔の清浄化以外にも、ペット等の動物の耳腔の清浄化(耳掃除)にも適用することができるものであり、本発明の身体凹部清浄剤における身体には、人間及び動物が含まれる。
また、本発明の身体凹部清浄化方法は、前記実施態様に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。例えば、組成物をへそ凹部に塗布してもよく、その塗布方法も種々の方法を採用することができる。また、組成物を耳腔に流し込んでもよく、その流し込み方法も種々の方法を採用することができる。
【0044】
また、本発明のへそ拡開具は、前記実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。筒状部の形状は、円筒形状以外にも、例えば楕円筒形状、六角筒形状、四角筒形状でもよい。フィン部の個数は、6個以外にも、へそ凹部の大きさ、深さ等に応じて、例えば4個、8個でもよい。フィン部の形状は、開口部のすぼまったへそ凹部における該開口部を徐々に拡開できる形状であれば、前記各実施形態におけるフィン部の形状に制限されない。剤排出口は、筒状部におけるつば部よりも下端部側に設けられていれば、前記実施形態における剤排出口の配置位置に制限されない。
前記実施形態においては、筒状部33は、その上端部33A側がつば部34’から延出しているが、筒状部がつば部が延出していない形態とすることもできる。
前記実施形態におけるつば部の面方向の大きさは、へそ凹部の開口部よりも小さいものも可能である。また、つば部が設けられていない実施形態も可能である。
【実施例】
【0045】
〔実施例1〕
本実施例の身体凹部清浄剤は、第1剤が下記配合からなる反応性シリコーンベースであり、第2剤が下記配合からなる硬化剤ベースである重量比100:5の2液混合縮合硬化型シリコーンゴム組成物である。この2液混合縮合硬化型シリコーンゴム組成物を、図1に示すように、収納注入容器の各収納部に収納して製品(実施品1)とした。
反応性シリコーンベース(第1剤) 100重量部
(1)下記構造式で示される、23℃における粘度が5100mm2/s
である両末端水酸基含有ジメチルポリシロキサン 65重量部
式:HO−Si(CH3)2−O−(Si(CH3)2O)450−Si(CH3)2−OH
(2)比表面積約200m2/gである煙霧性シリカ 5重量部
(3)平均粒径4.5μmである結晶性シリカ 30重量部

硬化剤ベース(第2剤) 5重量部
(4)下記構造式で示される、23℃における粘度が100mm2/s
であるジメチルポリシロキサン 1.5重量部
式:Si(CH3)3−O−(Si(CH3)2O)50−Si(CH3)3
(5)メチル−トリメトキシシラン 3重量部
(6)ジブチルスズジラウレート 0.5重量部
【0046】
〔実施例2〕
本実施例の身体凹部清浄剤は、第1剤が下記配合からなる反応性シリコーンベースであり、第2剤が下記配合からなる硬化剤ベースである重量比100:100の2液混合付加硬化型シリコーンゴム組成物である。この2液混合付加硬化型シリコーンゴム組成物を、図1に示すように、収納注入容器の各収納部に収納して製品(実施品2)とした。
反応性シリコーンベース(第1剤) 100重量部
(1)下記構造式で示される、23℃における粘度が5000mm2/sである
両末端ビニル基含有ジメチルポリシロキサン 64.8重量部
式:H2C=CH-Si(CH3)2-O-(Si(CH3)2O)450-Si(CH3)2-CH=CH2
(2)比表面積約200m2/gである煙霧性シリカ 5重量部
(3)平均粒径4.5μmである結晶性シリカ 30重量部
(4)塩化白金酸の2% 2−エチルヘキサノール溶液 0.2重量部

硬化剤ベース(第2剤) 100重量部
(5)下記構造式で示される、23℃における粘度が5000mm2/sである
両末端ビニル基含有ジメチルポリシロキサン 60重量部
式:H2C=CH-Si(CH3)2-O-(Si(CH3)2O)450-Si(CH3)2-CH=CH2
(6)比表面積約200m2/gである煙霧性シリカ 5重量部
(7)平均粒径4.5μmである結晶性シリカ 30重量部
(8)下記構造式で示される、ハイドロジェンポリシロキサン 5重量部
式:Si(CH3)3-O-(Si(CH3)2O)50-(Si(H)(CH3)O)10-Si(CH3)3
【0047】
〔実施例3〕
実施例3は、前記実施品1を用いてへそ凹部の清浄化を行うものである。
前記実施例1の身体凹部清浄剤を図1に示すように収納した前記実施品1(収納注入容器2)を手で持ち、図3(a)〜(c)に示すように、隔壁片23を押し割り、第1剤11と第2剤12とを接触・混合させて、へそ凹部に流し込み可能な流動性組成物1とする。一方、図4(a)及び(b)に示すように、拡開具3を用いてへそ凹部Nの開口部を押し拡げる。
次に、押し拡げられたへそ凹部Nの内部に、図4(c)及び(d)に示すように、収納注入容器2内の流動性組成物1を流し込む。その状態で10分経過後に流動性組成物1がゲル状又はゴム状に固化した後、この固化物を、図4(e)に示すように、拡開具3と共にへそ凹部Nから引き抜く。
その結果、へそ凹部Nの底部周辺に付着していたへそのゴマDを、身体凹部清浄剤1に同伴させた状態で、へそ凹部の内表面に傷を付けることなく、完全にへそ凹部Nから除去することができた。
【0048】
〔実施例4〕
前記実施品2を用い、実施例3と同様にへそ凹部の清浄化を行った。その結果、実施例3と同様に、へそのゴマDを完全にへそ凹部Nから除去することができた。その際の流動性組成物1がゲル硬化に至る時間は約1分であった。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本実施形態の身体凹部清浄剤を収納する収納注入容器を示す斜視図である。
【図2】図2は、へそ凹部の開口部を拡開する拡開具の一形態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の身体凹部清浄化方法の一実施態様(へそ掃除)の手順の前半部分を示す図である。
【図4】図4は、本発明の身体凹部清浄化方法の一実施態様(へそ掃除)の手順の後半部分を示す図である。
【図5】図5は、へそ凹部の開口部を拡開する本発明のへそ拡開具の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】図6は、へそ凹部の開口部を拡開する本発明のへそ拡開具の別の実施形態を示す斜視図である。
【図7】図7は、へそ凹部の開口部を拡開する本発明のへそ拡開具の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図8】図8(a)〜(d)は、それぞれ、図7に示すへそ拡開具の正面図、平面図、底面図及び(c)に示すD−D断面図である。
【図9】図9は、耳腔から取り出した綿棒及びそれに付着している固化後の組成物を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1 身体凹部清浄剤(流動性組成物)
11 第1剤
12 第2剤
2 収納注入容器
21 第1収納部
22 第2収納部
23 隔壁片
24 封片
3 拡開具
31 Ω字状部材
32 先端部
30、30’、30” 拡開具
33 筒状部
34、34’ つば部
35 フィン部
36、36” 剤排出口
37 ドーム部
38 剤注入口
39 剤管路
D 垢(汚れ)
H1 右手
H2 左手
N へそ凹部
S 綿棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
へそ凹部又は耳腔に流し込まれるか又は塗布された後一定時間経過後に固化し、該へそ凹部内又は耳腔内の汚れを同伴して該へそ凹部又は耳腔から取り出し可能な形態となる身体凹部清浄剤。
【請求項2】
2液混合硬化型シリコーンゴム組成物からなる請求項1記載の身体凹部清浄剤。
【請求項3】
前記2液混合硬化型シリコーンゴム組成物は、第1剤がジオルガノポリシロキサンを主剤とする反応性シリコーンベースからなり、第2剤が架橋剤を含有する請求項2記載の身体凹部清浄剤。
【請求項4】
前記反応性シリコーンベース及び前記架橋剤が、分子内に2個以上の水酸基を有するヒドロキシル化ジオルガノポリシロキサン及び分子内に2個以上のアルコキシ基を有するアルコキシシランの組み合わせであるか、又は分子内に2個以上のビニル基を有するビニル化ジオルガノポリシロキサン及び分子内に2個以上のSi−H基を有する水素化ジオルガノポリシロキサンの組み合わせである請求項3記載の身体凹部清浄剤。
【請求項5】
動物の耳腔の清浄化に用いられる請求項1〜4の何れかに記載の身体凹部清浄剤。
【請求項6】
請求項1記載の身体凹部清浄剤を、へそ凹部又は耳腔に流し込むか又は塗布し、該身体凹部清浄剤が固化した後、この固化物を、該へそ凹部内又は耳腔内の汚れを同伴させた状態で、該へそ凹部又は耳腔から取り出す身体凹部清浄化方法。
【請求項7】
へそ凹部の開口部を拡開して、請求項1記載の身体凹部清浄剤のへそ凹部への流し込みを可能とするへそ拡開具であって、
筒状部と、該筒状部の外周面から延出して設けられたつば部と、該筒状部の外周面から所定間隔で延設された複数個のフィン部とを備え、
前記筒状部には、その上端部に剤注入口が設けられ、前記つば部よりも該筒状部の下端部側に該剤注入口と連通する剤排出口が設けられており、
前記フィン部は、前記筒状部の下端部から前記つば部に向けて該筒状部からの高さが徐々に高くなるように形成されているへそ拡開具。
【請求項8】
前記剤排出口が前記筒状部の下端部に設けられている請求項7記載のへそ拡開具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−63292(P2007−63292A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319320(P2006−319320)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【分割の表示】特願2004−107345(P2004−107345)の分割
【原出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】