説明

身振り認知に基づいた装置の使用を可能にする使用許可手段を有する装置

装置(1)には使用許可手段(5)が設けられ、この使用許可手段は、安全機能が考慮されている間に安全機能が所定の特定動作データに対応する場合に装置(1)の使用を可能にするようになっている。上記安全機能は、少なくとも1つのデータ回路(DC1;DC2;DC3;DC4;DC5;DC6)に対応しており、少なくとも1つのデータ回路(DC1;DC2;DC3;DC4;DC5;DC6)の動作を表わしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ情報を処理するための装置であって、使用許可手段と協働するようになっており、データ回路に対応する安全機能を考慮して上記使用許可手段が装置の使用を可能にするようになっている装置に関する。
【0002】
また、本発明は、ユーザ情報を処理するための装置の使用を可能にする方法であって、安全機能を考慮する使用許可手段によって上記装置の使用が可能となり、上記安全機能がデータ回路に対応している方法に関する。
【0003】
また、本発明は、電気回路を備える装置の使用を可能にするためのデータキャリアであって、上記電気回路が使用許可手段と回路部品とを備え、上記回路部品が上記データキャリアの通信手段を形成し、使用許可手段が設けられるデータ回路に対応する安全機能を上記回路部品が加えるようになっており、安全機能を考慮する使用許可手段が装置の使用を可能にするための使用許可信号を生成するようになっているデータキャリアに関する。
【0004】
更に、本発明は、装置の使用を可能にするデータキャリアのための回路であって、この回路が使用許可手段と回路部品とを備え、上記回路部品が上記データキャリアの通信手段を形成し、使用許可手段が設けられるデータ回路に対応する安全機能を上記回路部品が加えるようになっており、安全機能を考慮する使用許可手段が装置の使用を可能にするための使用許可信号を生成するようになっている回路に関する。
【背景技術】
【0005】
第1段落に規定されるタイプのそのような装置、第2段落に規定されるタイプのそのような方法、第3段落に規定されるタイプのそのようなデータキャリア、第4段落に規定されるタイプのそのような回路は、特許文献 国際公開第97/45814号により周知である。
【0006】
既知の方法を実行できる既知の装置は、携帯端末によって−この場合、実際には携帯電話によって−実現される。この端末は、いわゆる加入者識別モジュール、略してSIMの形態を成す既知の回路を有するデータキャリアを備えている。この場合、SIMは携帯電話の使用許可手段を具現化し、SIM内に収容される回路がデータ回路を具現化する。携帯電話を使用してビジネス活動を行なうことができるようにするためには、携帯電話のキーパッドを介して携帯電話のユーザにより安全コードを入力しなければならない。この安全コードは、SIMまたはデータ回路にそれぞれ対応しており、これを用いてユーザが個人的に許可される。携帯電話に入力された安全コードは、SIMを用いたユーザの認証のために使用されるとともに、携帯電話に対して利用可能にすることができる安全機能を形成する。許可されたユーザのためのビジネス活動を行なう目的での携帯電話の使用は、SIMの認証の結果として可能とされ或いは解除される。
【0007】
既知の通信装置においては、安全コードを与えてもその目的しか満たさないという問題が存在する。これは、ユーザが許可された後は、ビジネス活動を行なうために通信装置が無限にアクセス可能であり、そのため、許可されたユーザによる誤った操作によって決定される意図的でないビジネス活動、または、許可されたユーザが十分に注意して警戒していない場合における許可されないユーザによる人を惑わす活動を排除することができないからである。安全コードは、そのような安全コードをユーザが時として思い出すことが難しく、したがって、ユーザが常に利用できるとは限らないという点で、更なる問題を与える。これは、例えばストレスの状況または注意が高まっている状況など、ユーザに特有の状況が存在する場合に特に当てはまる。このような状況は、実質的に、ユーザの多大な集中力を必要とする。そのため、ほぼ常に極めて抽象的な安全コードを入力することが比較的難しくなり、それにより、安全コードを思い出して安全コードを入力するための状況に伴う注意力を低下させる傾向をユーザが更に持っている場合には、比較的頻繁に入力ミスが生じる。この安全コードの個人化との組み合わせにおいては更なる問題が存在する。なぜなら、個人化の試みにより、一般に、簡単に推測できる安全コードが使用される結果となり、したがって、その安全目的を遂行できなくなるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、第1段落で言及したタイプの通信装置に伴う前述した問題、第2段落で言及したタイプの方法に伴う前述した問題、第3段落で言及したタイプのデータキャリアに伴う前述した問題、第4段落で言及したタイプの回路に伴う前述した問題を解決し、改良された通信装置、改良された方法、改良されたデータキャリア、改良された回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明に係る装置は発明的特徴を有し、これにより、本発明に係る装置は以下に述べるような形態で特徴付けることができる。すなわち、本発明に係る装置は、ユーザ情報を処理するための装置であって、この装置は使用許可手段と協働するようになっており、上記使用許可手段は第1の安全機能を考慮するようになっており、この第1の安全機能は、データ回路に対応しかつ上記使用許可手段に加えることができかつ動作データによって形成され、上記動作データは、少なくとも1つの所定の経路に沿う少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、上記使用許可手段は、上記動作データが所定の特定動作データに対応している場合に、上記装置の使用を可能にするようになっている装置である。
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係る方法は発明的特徴を有し、これにより、本発明に係る方法は以下に述べるような形態で特徴付けることができる。すなわち、本発明に係る方法は、ユーザ情報を処理するための装置の使用を可能にする方法であって、上記装置の使用を可能にするため、第1の安全機能が使用許可手段によって考慮され、上記第1の安全機能は、少なくとも1つのデータ回路に対応しかつ上記使用許可手段に加えられかつ動作データによって形成され、上記動作データは、少なくとも1つの所定の経路に沿う少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、上記装置の使用は、上記動作データが所定の特定動作データに対応する場合に可能となる方法である。
【0011】
前述した目的を達成するため、本発明に係るデータキャリアは本発明に係る以下の特徴を有し、これにより、本発明に係るデータキャリアは以下に述べるような形態で特徴付けることができる。すなわち、本発明に係るデータキャリアは、電気回路を備える装置の使用を可能にするためのデータキャリアであって、上記電気回路は、使用許可手段と、上記データキャリアの第1の通信手段を形成する回路部品とを備え、上記回路部品は、非接触通信を行なうようになっているとともに、第1の安全機能を上記使用許可手段に対して加えるようになっており、上記第1の安全機能は、少なくとも1つのデータ回路に対応するとともに、動作データによって形成され、上記動作データは、少なくとも1つの経路に沿う少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、上記使用許可手段は、上記第1の安全機能を考慮するようになっているとともに、上記動作データが所定の特定動作データに対応している場合に、使用許可信号を生成するようになっているデータキャリアである。
【0012】
前述した目的を達成するため、本発明に係る回路は本発明に係る以下の特徴を有し、これにより、本発明に係る回路は以下に述べるような形態で特徴付けることができる。すなわち、本発明に係る回路は、装置の使用を可能にするデータキャリアのための回路であって、この回路が使用許可手段を備え、上記回路は、上記データキャリアの第1の通信手段を形成するための回路部品を備え、これらの回路部品は、非接触通信を行なうようになっているとともに、第1の安全機能を上記使用許可手段に対して加えるようになっており、上記第1の安全機能は、少なくとも1つのデータ回路に対応するとともに、動作データによって形成され、上記動作データは、経路に沿う少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、上記使用許可手段は、上記第1の安全機能を考慮するようになっているとともに、上記動作データが所定の特定動作データに対応している場合に、使用許可信号を生成するようになっている回路である。
【0013】
本発明に係る手段を用いると、ユーザが比較的簡単に気付くことができ且つ特にユーザの個人的特徴に適合する安全機能を何の問題なく使用することができ、これにより、この安全機能の真の個人化をほぼ無限の種類をもって且つ安全機能の安全効果が失われることなくほぼ常に望ましいように実現することができるという利点が得られる。これは、抽象的な記号列に基づく安全機能と全く対照的であり、上記安全機能の試みでは、非常に類似する或いは全く同一の幾らかの記号列を使用する結果となり、そのため、そのような抽象的な安全機能の安全効果が多くの場合に疑問視されなければならなくなる。更なる利点として、動作に基づく安全機能は、比較的容易に気付くことができ、したがって、警戒心および集中力を高める状況であってもこれらに苦しむことなく比較的適切に使用できる点を挙げることができる。なぜなら、安全機能を生じさせる動作自体の生成は、そのような状況においてはユーザ側で実質的に何ら問題を伴うことなく、大きな集中努力を伴わないで、すなわち、直感的に行なうことができるからである。また、異なる動作を使用する結果として、装置において異なる機能を実行することもできるという利点が得られる。この利点は、従来の抽象的な安全コードを用いた場合には一般に得られない。その理由は、複数の安全コードに注意するためユーザから過剰な照会があり、この特徴が使用されないからである。
【0014】
本発明に係る解決策を用いると、請求項2,9,17,24に記載された特徴が更に与えられる場合に特に有利であることが分かった。これにより、動作を表わす第1の安全機能に加えて、装置の使用を可能にするための更なる第2の安全機能、例えば従来技術により知られ且つそれ自体周知の記号列から成る抽象的な安全機能または指紋またはユーザの他の生物的機能特性を使用でき、人の個人的部分に殆どアクセスすることができず或いは全くアクセスすることができなくなるという利点が得られる。これは、例えば装置の使用の階層的な許可が行なわれなければならず、これにより、例えば安全に関して最も大きな要求が存在する各使用レベルを用いて、この使用レベルに達するための第1の安全機能の個人的特徴無しで済ませる必要もなく、第1の安全機能に加えて第2の安全機能を使用することができる場合に特に有利であることが分かった。その結果、許可されていないユーザが第2の安全機能を得る場合には、人を惑わす或いは望ましくない使用がほぼ100%の確実性をもって排除される。なぜなら、許可されたユーザによって引き起こされる動作がなければ、第2の安全機能は何ら効果がなく、そのため、基本的に、抽象的な記号列を含む安全機能が紙切れに書き留められ、結局のところ間違っていると分かった場合、深刻な安全上の問題は何ら存在しない。また、これにより、任意の時間における望ましくない場所での装置の使用を非常に高い確実性をもって避けることができるという利点が得られる。これは、安全の理由から、また、許可されていない者による望ましくない使用を避ける目的で動作を行なわなければならない場合に特に必要とされる。したがって、従来の安全コードだけが使用される場合における不当な使用に対する保護がかなり高められる。
【0015】
本発明に係る方法を用いると、請求項10に記載された特徴が更に与えられる場合に特に有利であることが分かった。これにより、非常に費用効率が高く且つ経済的に有利な方法の実行を装置を用いて行なえるという利点が得られる。また、これにより、2つの安全機能をほぼ同時に考慮することができるという利点が得られる。更に、たった1つのデータ回路によりユーザと2つの安全機能との間で独特の割り当てが与えられるという利点が得られる。
【0016】
本発明に係る解決策は、請求項3または請求項11に記載された特徴が更に与えられる場合に特に有利であることが分かった。この場合、装置の外側の電気器具内にデータ回路を収容できるという利点が得られる。その際、第2の安全機能は、例えば外部の電気器具のキーパッドによりデータ回路に加えることができ、また、装置を用いた非接触通信中にデータ回路により装置に対して加えられる。また、同時に、外部の電気器具内に収容されたデータ回路の動作は、外部の電気器具を維持する結果として考慮することができる。
【0017】
本発明に係る解決策は、請求項4または請求項12に記載された特徴が更に与えられる場合に特に有利であることが分かった。その結果、例えば携帯電話等の装置のモバイル実施形態を有利に実現できるという利点が得られる。この場合、第1の安全機能は利用可能にされる状態にあり、一方、データ回路の第1の通信手段と非接触通信を行なうようになっている装置に対する上記装置の適切な位置決めシーケンスのため或いは適切な動作中に非接触通信が利用される。
【0018】
本発明に係る解決策においては、例えば、光学的に生成可能な情報が使用される動作を検出するために使用許可手段が設けられても良い。しかしながら、請求項5または請求項13に記載された特徴がそれぞれ更に与えられる場合に特に有利であることが分かった。これにより、装置と少なくとも1つのデータ回路との間の通信とほぼ同時に、少なくとも1つのデータ回路または電気器具の許可されていないまたはおそらく人を惑わそうとする動機をもった使用を不可能にする動作を検出できるという利点が得られる。なぜなら、確かに、特定のデータ回路のみによって或いは正確に規定されたデータ回路群によってのみ動作を検出することができるからである。
【0019】
本発明に係る解決策においては、例えば、場所に対する動作が一次元的に或いは二次元的にキャンセルされ、その結果、直線経路または曲線経路に対応する少なくとも1つの動作あるいは少なくとも1つのデータ回路の位置の変化に対応する動作を検出することができても良い。しかしながら、請求項6または請求項14に記載された特徴的な機能がそれぞれ更に与えられる場合に特に有利であることが分かった。これにより、少なくとも1つのデータ回路と装置との間の非接触通信を特に用いると、空間の利用可能な3つの座標および各座標の経時的変化または対応する速度あるいは加速度を考慮して動作を検出することができるという利点が得られる。このような利点は、多数の部分的動作および/または位置変化から成る複雑な動作であって複数の動作段階および休止段階を含んでいるかもしれない動作を伴う場合に重要となる。
【0020】
本発明に係る解決策においては、例えば、特定動作データが装置内に記憶されても良い。しかしながら、請求項7および請求項15に記載された特徴がそれぞれ与えられる場合に非常に有利であることが分かった。これにより、特定動作データを装置内に局所的に記憶する必要がなくなるが、複数のユーザが装置を非常に効率的に使用できる装置から離れた場所に特定動作データが保存され或いは記憶されるという利点が得られる。
【0021】
本発明に係るデータキャリアおよび本発明に係るデータキャリア用の回路においては、請求項18および請求項25に記載された特徴がそれぞれ更に与えられる場合に有利になることが更に分かった。これにより、非接触通信に伴って生じる動作が第1の安全機能として考慮されるという利点が得られる。
【0022】
また、本発明に係る解決策においては、請求項19および請求項26に記載された特徴がそれぞれ更に与えられる場合に有利であることが分かった。これにより、既にたった1つのアンテナ信号が発生しても、動作を第1の安全機能として利用できるという利点が得られる。
【0023】
また、本発明に係る解決策においては、請求項20および請求項27に記載された特徴がそれぞれ更に与えられる場合に有利であることが分かった。これにより、通信内容に応じた動作検出を行なうことができるという利点が得られる。
【0024】
また、本発明に係る解決策においては、請求項21および請求項28に記載された特徴がそれぞれ更に与えられる場合に有利であることが分かった。これにより、データキャリアまたは回路にそれぞれ加えられた安全機能の有効または無効の決定を、データキャリアまたは回路の環境によって影響される可能性なく行なうことができるという利点が得られる。
【0025】
また、本発明に係る解決策においては、請求項22および請求項29に記載された特徴がそれぞれ更に与えられる場合に有利であることが分かった。これにより、非接触通信によって影響される可能性がない使用許可信号、したがって、安全基準を満たす使用許可信号を生成することができるという利点が得られる。
【0026】
以上説明した本発明の態様および更なる態様は、以下に説明する例示的な実施形態から明らかであり、これらの例示的な実施形態を参照しながら上記態様について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に示された4つの例示的な実施形態を参照しながら本発明について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0028】
図1は、装置、すなわち、第1のデータキャリアDC1によって配信可能な信号Sを受けるようになっている通信装置1を示している。第1のデータキャリアDC1は、通信装置1の通信領域内に挿入可能であるとともに、非接触通信できるようになっている。このデータキャリアDC1は、図1に示されていないデータ回路を有している。
【0029】
通信装置1はアンテナ構造2を有している。アンテナ構造2は、第1のアンテナパネル2Aと、第2のアンテナパネル2Bと、第3のアンテナパネル2Cとによって形成されている。3つのアンテナパネル2A,2B,2Cのそれぞれは、図1に線で概略的に示される多数のアンテナAを有している。各アンテナパネル2A,2B,2Cにおいてはそれぞれ、3つの対応するアンテナAだけに参照符号Aが付されている。アンテナパネル2A,2B,2Cは、軸X,Y,Zによって規定されるデカルト座標系(直交座標系)の原点で交わっている。第1のアンテナパネルはXY平面と平行に方向付けられている。第2のアンテナパネル2BはYZ平面と平行に方向付けられている。第3のアンテナパネル2CはXZ平面と平行に方向付けられている。第1のアンテナパネル2AのアンテナAは、各アンテナAが基本的にZ方向に延びる受信突出部を有するような構造を成している。第2のアンテナパネル2BのアンテナAは、各アンテナAが基本的にX方向に延びる受信突出部を有するような構造を成している。第3のアンテナパネル2CのアンテナAは、各アンテナAが基本的にY方向に延びる受信突出部を有するような構造を成している。また、アンテナAは、隣り合う受信突出部だけが僅かに重なり合うような構造を成している。本ケースでは、第1のアンテナパネル2Aは24個のアンテナAを有し、第2のアンテナパネル2Bは21個のアンテナAを有し、第3のアンテナパネル2Cは18個のアンテナAを有している。ここで、注意すべき点は、各アンテナパネル2A,2B,2Cのアンテナ数が他の数であっても良いという点である。その場合、それぞれ選択されたアンテナ数は、アンテナ構造2によって規定される通信領域内での第1のデーダキャリアDC1の位置に関する所要の空間的解決策に対応している。また、アンテナパネル2A,2B,2Cを3つ設ける代わりに、アンテナパネルを2つだけ、例えばアンテナパネル2A,2Bだけを設けても良い。この場合、通信領域内での第1のデータキャリアDC1の動作は、座標系の2つの座標によって評価される。そのケースにおいては、第1のデータキャリアDC1の動作を特徴付けるためのデカルト座標がある。また、例えば個々のアンテナパネル2A,2B,2Cが互いに直角に配置されていない他のケースにおいては、動作を特徴付けるために極座標が与えられても良い。
【0030】
アンテナ構造2は、第1のアンテナ信号S1と、第2のアンテナ信号S2と、第3のアンテナ信号S3とを配信することができる。第1のアンテナ信号S1は、第1のアンテナパネル2AのアンテナAによって受信可能な信号Sの一部に相当し、第2のアンテナ信号S2は、第2のアンテナパネル2BのアンテナAによって受信可能な信号Sの一部に相当し、第3のアンテナ信号S3は、第3のアンテナパネル2CのアンテナAによって受信可能な信号Sの一部に相当する。したがって、第1のアンテナ信号S1は24個のサブ信号によって形成され、第2のアンテナ信号S2は21個のサブ信号によって形成され、第3のアンテナ信号S3は18個のサブ信号によって形成される。
【0031】
通信装置1は信号処理ステージ3を有している。この信号処理ステージ3は、第1のアンテナ信号S1と第2のアンテナ信号S2と第3のアンテナ信号S3とを受信するとともに、通信装置1に対して通信され且つ3つのグループのアンテナ信号S1,S2,S3によって表わされる信号情報SIを信号Sを用いて評価するようになっている。また、信号処理ステージ3は、評価された信号情報SIを供給するようになっている。信号情報SIは、後述するように、通信装置1のユーザまたは第1のデータキャリアDCのユーザを許可する役目を果たす。
【0032】
また、通信装置1は、信号情報SIを処理するために設けられた情報処理手段4を備えている。また、この情報処理手段4は、処理された信号情報SIが受信された後に通信装置1の通信接続部CCに関する安全機能情報SFIを問い合わせるようになっており、通信装置1の外部にある図1に示されていないデータ処理装置に対する通信を行なうことができる。また、この通信の結果として、情報処理手段4は、データ処理装置から安全機能情報SFIを受信するようになっている。この安全機能情報SFIは、特定安全情報を形成し且つ特定動作データMIを有する安全コード情報SCIをもつ。安全コード情報SCIは、通信装置1のユーザによって利用可能にされることができる安全コードを表わしている。特定動作データMIは、通信装置1のユーザによって引き起こされることができる第1のデータキャリアDC1の動作を表わしている。また、情報処理手段4は、安全コード情報SCIおよび特定動作データMIを供給するようになっている。更に、情報処理手段4は、使用許可信号ESを受信するようになっており、この使用許可信号ESの受信の結果として、通信装置1を使用して商取引を行なうことができる。この目的のため、情報処理手段4は、更に、トランザクションパラメータデータTPDを受信するようになっており、信号情報SIおよびトランザクションパラメータデータTPDを使用してトランザクション情報TIを生成し且つこれを通信接続部CCを介して供給するようになっている。なお、トランザクション情報TIはユーザ情報を形成している。
【0033】
情報処理手段4のための使用許可信号ESを生成するため、通信装置1は使用許可手段5を有している。使用許可手段5は、通信装置1の使用を可能にするようになっており、したがって、ユーザによって入力される安全コードが安全コード情報SCIに対応している場合、更には、第1のデータキャリアDC1の操作によって引き起こされる第1のデータキャリアDC1の動作が特定動作データMIに対応している場合、通信装置1に対して利用可能にされることができる第2の安全機能すなわち通信装置1のユーザによって入力可能な安全コードが第1のデータキャリアDC1に対応している場合、第1のデータキャリアDC1が操作される際に通信装置1のユーザによって引き起こされる第1のデータキャリアDC1の動作を表わす第1の安全機能が第1のデータキャリアDC1またはそのデータ回路に対応する場合に、使用許可信号ESを生成してこれを情報処理手段4に対して供給するようになっている。
【0034】
したがって、使用許可手段5は、2つの安全機能が第1のデータキャリアDC1またはそのデータ回路に対応する場合に、2つの安全機能を考慮できるようになっている。これについては後述する。
【0035】
ユーザが手で安全コードを入力できるように、通信装置1は、入力/出力インタフェース7によって実現される第2の安全機能供給ステージ6を備えている。入力/出力インタフェース7は、英数記号を入力するためのキーパッド7Aと、入力された英数記号を表示し或いは通信装置1のユーザのための指示またはメッセージを表示するためのディスプレイ7Bとを有している。また、第2の安全機能供給ステージ6は、ユーザによって入力された安全コードを表わす安全コードデータSCDを供給するようになっている。また、商取引に関連する調整可能なまたは選択可能なトランザクションパラメータがキーパッド7Aを介して供給されても良い。このパラメータは、トランザクションパラメータデータTPDの形式で、情報処理手段4に対して供給されることができる。
【0036】
また、通信装置1は第1の安全機能供給ステージ8を有しており、この第1の安全機能供給ステージ8により、第1の安全機能、すなわち第1のデータキャリアDC1またはそのデータ回路の動作を通信装置1に対して供給することができ、あるいは、この機能を装置1に対して利用可能にすることができる。この目的のため、第1の安全機能供給ステージ8は、アンテナ構造2によって実現される動作検出ステージを備えている。また、第1の安全機能供給ステージ8は動作検出ステージ9を備えており、この動作検出ステージ9は、第1のアンテナ信号S1と第2のアンテナ信号S2と第3のアンテナ信号S3とを受信するようになっているとともに、空間の3つの座標X,Y,Zが考慮されるそれぞれの現在の動作と3つの座標X,Y,Zの経時的変化とをアンテナ信号S1,S2,S3に基づいて検出するようになっている。また、動作検出ステージ9は、位置データPDと速度データVDと加速度データADとを生成して供給するようになっている。位置データPDは、通信領域内における座標の原点に対する第1のデータキャリアDC1のそれぞれの瞬間の位置を表わしており、速度データVDは、第1のデータキャリアDC1のそれぞれの位置での速度を表わしており、加速度データADは、第1のデータキャリアDC1のそれぞれの位置での加速度を表わしている。データPD,VD,ADが動作データを生成し、動作データが第1の安全機能を形成する。したがって、動作検出ステージを形成するアンテナ構造2によって支援される使用許可手段5は、第1のデータキャリアDC1から信号Sを非接触形態で受信するようになっており、この非接触形態においては、データキャリアDC1を通信装置1の通信領域内に挿入できるとともに動作検出ステージ9によって支援でき、それにより、第1のデータキャリアDC1から受信可能な信号Sを利用しつつ、データキャリアDC1またはそのデータ回路の動作を検出することができる。
【0037】
また、通信装置1は安全機能処理ステージ10を有しており、この安全機能処理ステージ10は、安全コードデータSCDを受信するとともに、位置データPDと速度データVDと加速度データADとを受信するようになっている。また、安全機能処理ステージ10は、特定安全情報SCIおよび特定動作データMIを受信するようになっている。更に、安全機能処理ステージ10は、入力された安全コードが安全コード情報SCIによって表わされる比較コードに対応し即ち特定安全情報に対応し且つデータキャリアDCと通信装置1との間の動作が特定動作データMIによって表わされる動作の特定の状態に対応する場合には、使用許可信号ESを生成してこれを情報処理手段4に対して供給するようになっている。
【0038】
以下、図1に示される通信装置1における例示的な実施形態を参照しながら、通信装置1の動作モードについて説明する。この例示的な実施形態においては、通信装置1がデパートの通信サーバに対してその通信接続部CCを介して接続された電子登録キャッシュディスク(電子登録レジ)の一部であるとし、通信サーバ側がインターネットおよび/または電話機回路網を介して銀行またはクレジットカード会社またはデータキャリア管理業者のデータ処理装置と通信できるように接続され、それにより、通信装置1を用いて電子商取引を行なうことができるようになっているものとする。この場合の商取引は、商品に関して現金なしの支払い(カード決済)である。
【0039】
ユーザが通信装置1の使用を許可されるのかどうかを通信装置1内で定めることができるように、第1のデータキャリアDC1内には、ユーザに対応する安全コード情報SCIおよび同じユーザに対応するデータキャリア管理業者からの特定動作データMIの問い合わせを可能にする情報が記憶されている。
【0040】
この目的のため、通信装置1は、通信装置1の使用を可能にする方法を実施するようになっている。この場合、第1のデータキャリアDC1はそのデータ回路と共にx、この場合はユーザにより、点P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8に沿って破線で示される移動経路TRに沿って移動されるものとする。ユーザによって選択され且つユーザにのみ知られた移動経路TRは、点P1〜点P8の間の真直ぐな接続線に沿って移動する。第1のデータキャリアDC1が通信装置1の通信領域内に挿入されると、3つのアンテナパネル2A,2B,2Cを用いて信号Sを受信することができるとともに、この信号Sを、第1のアンテナ信号S1、第2のアンテナ信号S2、第3のアンテナ信号S3の形式で、信号処理ステージ3および動作検出ステージ9に対して供給することができる。
【0041】
この方法において、通信装置1は、第2の安全機能に対応する特定動作データM1を受ける。この特定動作データは、データキャリアDCの動作の特定の状態を表わしている。この目的のため、データ処理ステージ3においては、先ず最初に、安全コード情報SCIおよび特定動作データMIを問い合わせるための信号Sによって通信装置1に対して通信される情報が評価される。この操作中、第1のデータキャリアDC1内に記憶された情報は、信号情報SIの形式で、情報処理手段4に対して供給される。その後、情報処理手段4は、第1のデータキャリアDC1に対して割り当てられたユーザ固有の安全コード情報SCIおよびデータキャリア管理業者からの特定動作データMIを問い合わせる。データキャリア管理業者により通信装置1に対して送られた安全コード情報SCIおよび特定動作データMIは、情報処理ステージ4によって安全機能処理ステージ10に対して供給される。
【0042】
この方法において、第1の安全機能および第2の安全機能を有する通信装置1の使用は、第2の安全機能が安全コード情報SCIに対応し且つ第1の安全機能が動作の特定の状態を表わす特定動作データに対応している場合において可能になる。この場合、2つの安全機能は第1のデータキャリアDC1またはそのデータ回路に対応し、第2の安全機能はユーザによって入力される安全コードを表わし、第1の安全機能は第1のデータキャリアDC1またはその内部に含まれるデータ回路のユーザによって引き起こされる動作を表わしている。
【0043】
また、この方法においては、通信領域内に挿入される第1のデータキャリアDC1の信号Sが非接触形態で受信され、また、通信装置1は、第1のデータキャリアDC1によって引き起こされ且つ通信装置1によって受信される信号Sを利用して動作を検出する。
【0044】
その後、信号処理ステージ3内でのアンテナ信号S1,S2,S3の処理とほぼ同時に、第1のアンテナ信号S1と第2のアンテナ信号S2と第3のアンテナ信号S3とを使用する動作検出ステージ9において動作状態の検出が行なわれる。この時、ユーザにより第1のデータキャリアDC1のために選択された移動経路TRは、基本的に、通信領域内で3次元パターンのジグザグ形状を成している。そのため、点P1〜PSにおいて方向の変化が存在している。個々の点P1〜P8の空間に依存する位置は、第1のアンテナパネル2A上、第2のアンテナパネル2B上、第3のアンテナパネル2C上に対するその投影により、図1に示されている。この場合、第1のアンテナパネル2A上に対する投影がクロス(×印)XY1〜XY8により示されており、第2のアンテナパネル2B上に対する投影が正方形YZ1〜YZ8により示されており、また、第3のアンテナパネル2C上に対する投影がクロス(×印)XZ1〜XZ8により示されている。したがって、点P1の投影は参照符号XY1,YZ1,XZ1によって特徴付けられる。また、点P2の投影は参照符号XY2,YZ2,XZ2によって特徴付けられる。更に、点P3の投影は参照符号XY3,YZ3,XZ3によって特徴付けられる。また、点P4の投影は参照符号XY4,YZ4,XZ4によって特徴付けられる。また、点P5の投影は参照符号XY5,YZ5,XZ5によって特徴付けられる。また、点P6の投影は参照符号XY6,YZ6,XZ6によって特徴付けられる。更に、点P7の投影は参照符号XY7,YZ7,XZ7によって特徴付けられる。また、点P8の投影は参照符号XY8,YZ8,XZ8によって特徴付けられる。
【0045】
この方法においては、空間の3つの座標X,Y,Zおよび座標X,Y,Zの経時的変化を考慮してデータキャリアDC1の動作が検出される。この目的のため、アンテナ構造2のアンテナAによって信号Sが受信されると直ぐに、動作検出ステージ9において位置データPDが連続的に生成されて供給されるとともに、第1のアンテナ信号S1および第2のアンテナ信号S2および第3のアンテナ信号S3の経時的変化に基づいて速度データVDおよび加速度データADが生成されて安全機能評価ステージ10に対して供給される。このように生成されたデータPD,VD,ADは、移動経路TRが終了した後すなわち第1のデータキャリアDC1が再び通信領域から外された後、安全機能処理ステージ10によって連続的に記憶されるとともに、特定動作データMIによって表わされる動作の特定の状態と比較される。
【0046】
その後、安全機能処理ステージ10において、キーパッド7Aを用いてユーザにより入力された安全コードが、安全コード情報SCIによって表わされる比較コードと比較される。通信装置に適用される2つの安全機能すなわちユーザによって入力される安全コードおよびユーザによって引き起こされる動作が安全コード情報SCIおよび特定動作データMIに対応して初めて、安全機能処理ステージ10によって使用許可信号ESが生成されるとともにこれが情報処理手段4に対して供給される。この時まで、使用者が通信装置1を使用して商取引を実行することができず、商取引のために入力/出力インタフェース7によって入力され或いは選択されたトランザクションパラメータデータTPDは、トランザクション情報TIを介して通信装置1により供給される。
【0047】
これによって、通信装置1の使用を許可するために、一般に気付くのが難しくしたがって多くの場合ユーザの財布の中の紙切れに書かれる安全コードだけでなく、この通例の安全コードに加えて、ユーザが容易に気付くことができ且つ多くの方法で全く個別に果たすことができるとともにこの一人のユーザにのみ知られた第1のデータキャリアDC1の動作が考慮され、この動作が、許可されていない使用に対する保護を従来の安全コードに比べてかなり高めるという利点が得られる。
【0048】
以上から分かるように、移動経路TRは、通信領域内での第1のデータキャリアDC1の例えば署名のような動きによって生成できる曲線経路要素を含んでいても良い。
【0049】
また、複数のデータキャリアが存在し、これらの共通の或いは連続的な動作を通信装置1の第1の安全機能として考慮することができても良いことに注意すべきである。これは、特に、データキャリアが通信装置のユーザのボールペンまたはキーホルダ等の私物品に様々な位置で互いに離れて存在する場合に興味深い。
【0050】
この場合、データキャリアDC1は、カード社会で使用されるように、いわゆるチップカード(ICカード)によって実現される。
【0051】
しかしながら、データキャリアDC1は、インテリジェントラベルとして、あるいは、一切れの衣類の一部として、あるいは、一片の宝石類の一部として、または、他の日常生活品の一部として形成されても良いことに注意すべきである。
【0052】
図2に示される通信装置1は電子キャッシュ端末を形成しており、この電子キャッシュ端末においては、支払い金額を顧客に対して表示することができるキャッシュ端末ディスプレイ1Aが設けられている。
【0053】
また、図2は、電話キーパッド12と電話ディスプレイ13とデータ回路を有する第2のデータキャリアDC2とを備える携帯電話11を示している。また、通信装置1には、携帯電話11を位置決めするための2つの位置決めマーク1C,1D間にわたる位置決め範囲をユーザが光学的に認知して目で見ることができるキャッシュ端末載置面1Bが設けられている。この位置決め範囲は、円または正方形の形態を成して広がっていても良いことは言うまでもない。
【0054】
この場合、携帯電話11内に組み込まれたデータキャリアDC2には、非接触通信を行なうようになっている第1のインタフェースDC2Aと、誘導的形態で非接触通信を行なうようになっている第2のインタフェースDC2Bとが設けられている。データキャリアDC2上では第1のインタフェースDC2Aによって安全コードデータSCDを受けることができる。この場合、このコードデータは、携帯電話11のユーザにより電話キーパッド12を用いて入力することができる。また、データキャリアDC2は図2に示されないエンコーディング手段を有しており、このエンコーディング手段は、人を惑わす策略および取引に対する保護として設けられており、安全コードデータSCDに対応するエンコードされた安全コードデータSCD’を生成するためのものである。
【0055】
通信装置1は、データキャリアDC2と非接触通信を行なうようになっており、その目的のため、ここでは1つのループ形状のアンテナAによって形成されるアンテナ構造2を有している。そして、このアンテナAにより、アンテナ構造2の通信範囲を規定する電磁場を位置決めマーク1C,1D間の領域に形成することができる。
【0056】
携帯電話11がキャッシュ端末載置面1B上に位置決めされ、データキャリアDC2がアンテナAの近傍の位置決めマーク1C,1D間に位置されると、データキャリアDC2の第2のインタフェースDC2Bを使用して、データキャリアDC2と通信を行なうことができる。この方法では、通信装置1とデータキャリアDC2またはそのデータ回路との間で通信が行なわれ、通信装置1の使用を許可するための第1の安全機能および第2の安全機能の両方がこの通信装置1に対して与えられ或いは利用可能とされる。これについては以下で詳細に説明する。
【0057】
通信中、信号Sだけでなく、信号情報SIの構成要素およびエンコードされた安全コードデータSCD’も通信装置1に対して通信することができる。通信装置1内においては、アンテナ信号S1をアンテナAによって供給することができる。この場合、信号処理ステージ3は、信号情報SIを供給するだけでなく、エンコードされた安全コードデータSCD’を評価してこれを情報処理手段4に対して供給するために使用される。この場合、情報処理手段4は、更に、エンコードされた安全コードデータSCD’を安全機能処理ステージ10に対して供給するために設けられている。
【0058】
動作検出ステージ9は、アンテナ信号S1を受信するとともに、位置データPDを生成するようになっている。この場合、位置データPDは、アンテナ信号S1が受信可能になると動作によってデータキャリアDC2が通信領域内に挿入されるという点で、データキャリアDC2の動作を示している。その結果、動作の特定の状態は、データキャリアDCとの非接触通信を実現できるという事実によって与えられる。したがって、通信装置1は、第1の安全機能および第2の安全機能の両方を使用許可手段5に対して与え或いは使用許可手段5に対して利用可能にするようになっており、通信装置1とデータキャリアDCとの間で非接触通信が使用される。この場合、第1の安全機能供給ステージ6は、アンテナ構造2と、信号処理ステージ3と、情報処理手段4とによって形成される。なお、第1の安全機能供給ステージ6は、アンテナ構造2および信号処理ステージ3によって形成されても良い。ただし、この場合、信号処理手段3は、エンコードされた安全コードデータSCD’を安全機能処理ステージ10に対して供給するようになっている。図2には、これが信号処理ステージ3と安全機能処理ステージ10との間に破線で示されている。
【0059】
また、キャッシュ端末載置面1Bをキャッシュ端末1の携帯電話クレードル(揺りかご)内に配置することもでき、それにより、ユーザによる携帯電話11の位置決めが容易になることは言うまでもない。更に、携帯電話11を位置決めするために、少なくとも1つのストリップ状の部材をキャッシュ端末載置面1B上に設けることもできる。
【0060】
また、動作検出ステージ9は、キーパッド12の最初のタッチから電話キーパッド12の最後のタッチまでの間、携帯電話11が通信領域内に位置決めされているかどうかに関して監視するようになっていても良い。更に、例えば通信領域内に居る所定の時間を監視することができる時間測定手段を動作検出ステージ9が有していても良いことは言うまでもない。
【0061】
また、動作検出ステージ9は、通信領域内に第2のデータキャリアDC2が居るか居ないかによって特徴付けられる一連の動作を検出するようになっていても良く、一方、一連の動作の一部において様々な時間基準が重要であっても良い。結果として、例えば、安全コードが第2の安全機能の導入として電話キーパッド12によりうまく入力された後、携帯電話を非常に急速に3回通信領域から取り除いて通信領域内に戻さなければならない用途を実現することができる。
【0062】
更に、アンテナ構造2が複数のアンテナを有していても良く、また、個々のアンテナとの非接触通信のための第2のデータキャリアDC2の一連のアクセスによって動作の特定の状態が規定されても良く、また、動作検出ステージ9が連続的に生じるアンテナ信号を処理するようになっていても良いことは言うまでもない。
【0063】
図3に示される通信装置1は2つのアンテナA,A’を有しており、これらのアンテナは、そのキャッシュ端末載置面1Bの近傍で互いに離間して位置されている。第1のアンテナ信号S1は第1のアンテナAから受けることができるとともに、第2のアンテナ信号S2は第2のアンテナA’から受けることができる。図3に示される携帯電話11は、図2に示される第2のデータキャリアDC2に類似する構造を有する第3のデータキャリアDC3に加えて、第4のデータキャリアDC4を有している。第3のデータキャリアDC3に類似するこの第4のデータキャリアDC4は、非接触通信を行なえるように形成されており、そのため、第3のインタフェースDC4Bを有するとともにデータ回路を備えている。この場合、第3のデータキャリアDC3にはその動作のための電気エネルギを第1のインタフェースDC3Aを介して供給することができる。第4のデータキャリアDC4には、第3のインタフェースDC4Bを用いて、アンテナ構造2と第3のインタフェースDC4Bの電磁ループ(図3には図示せず)との間の電磁結合を介して電気エネルギを供給することができる。この場合、2つのデータキャリアDC3,DC4の動作の特定の状態は、携帯電話11がキャッシュ端末載置面1B上に位置決めされることにより第3のデータキャリアDC3の位置がアンテナAに対応し且つ第4のデータキャリアDC4の位置がアンテナA’に対応するという点で与えられる。この位置において、2つのデータキャリアDC3,DC4またはこれらのデータ回路との同時通信を行なうことができる。この場合、第1のアンテナAによって信号Sを受信することができるとともに、信号Sを表わす第1のアンテナ信号S1を第1のアンテナAによって供給することができる。また、第3のデータキャリアDC3によって引き起こされても良い信号S’を第2のアンテナA’によって受信することができるとともに、信号S’を表わす第2のアンテナ信号S2を第2のアンテナA’により動作検出ステージ9に対して供給することができる。動作検出ステージ9は、2つのアンテナ信号S1,S2の出現を検出して評価するようになっている。
【0064】
また、このケースにおいて、2つのデータキャリアDC3,DC4の動作の特定の状態は、静的な状態として規定されても良く、また、アンテナA,A’の通信領域内に存在している状態と存在していない状態との間での交互の状態変化として規定されても良いことは言うまでもない。この交互の状態変化は、携帯電話11を適切に操作することによりユーザによって発生させられることができる。
【0065】
図4に示される通信装置1は携帯電話を具現化している。通信装置1はその通信接続部CCに対して接続された電話アンテナ15を備えており、通信接続部CCによりトランザクション情報TIを通信することができる。また、通信装置1は第5のデータキャリアDC5を備えており、この第5のデータキャリアDC5は、データ回路を備えるとともに、デュアルインタフェースデータキャリアとして形成されている。また、第5のデータキャリアDC5は第2の通信手段16を備えており、この第2の通信手段16は、接触境界通信(contact bound communication)を行なうようになっているとともに、第2の安全機能を利用できるようになっており、様々な接触領域17を備えている。これらの接触領域17により、第5のデータキャリアDC5は、通信装置1の図4に示されない対応する接触領域と接触することができる。安全コードデータSCDは、キーパッド7Aから第2の通信手段16を介して第5のデータキャリアDC5に供給することができる。したがって、第2の通信手段16が通信装置1の第2の安全機能供給ステージ6を形成するとともに、第2の安全機能が第5のデータキャリアDC5またはそのデータ回路に対応する。
【0066】
また、第5のデータキャリアDC5は第1の通信手段18を備えている。この第1の通信手段18は、非接触通信を行なうようになっているとともに、第1の安全機能を利用可能にするべく設けられており、これにより、第1の安全機能供給ステージ8を形成している。これについては更に後述する。
【0067】
また、第5のデータキャリアDC5は、そのデータ回路を形成する第1の電気回路19を備えている。第1の電気回路19は、第2の通信手段16および第1の通信手段18を実現するための回路部品を備えており、これらの回路部品は、各通信中に生じる電気信号を生成して供給し或いは受信して処理するようになっている。また、通信装置1は、回路19が接続され且つこの場合は第3のアンテナA1を有するアンテナ構造2を備えている。第3のアンテナA1は第1の通信手段18の一部を形成している。
【0068】
この場合、使用許可手段5は第5のデータキャリアDC5またはそのデータ回路によって実現され、これにより、この方法においては、通信装置1の使用が第5のデータキャリアDC5またはそのデータ回路によって可能になる。
【0069】
また、通信装置1は第6のデータキャリアDC6を有しており、この第6のデータキャリアDC6は、非接触通信を行なうようになっている第4のインタフェース20を有するとともに、そのデータ回路を形成する電気回路21を有している。第4のインタフェース20は回路21に接続された第4のアンテナCを有しており、この第4のアンテナCにより非接触通信を行なうことができる。第6のデータキャリアDC6は、第5のデータキャリアDC5から所定の距離だけ離間して通信装置1内に組み込まれている。この場合、第1の安全機能は、2つのデータキャリアDC5,DC6およびそれらのデータ回路にそれぞれ対応するとともに、2つのデータキャリアDC5、DC6の動作を表わしている。
【0070】
このケースにおいて、2つのアンテナA1,Cは、対応するデータキャリアDC5,DC6の内部に設けられている。ここで、データキャリアDC5,DC6は、チップカードとして設けられるとともに、各アンテナA1,Cに必要な空間を利用可能にしており、これにより、通信装置1内における2つのアンテナA1,Cの位置が通信装置1内におけるそれぞれのデータキャリアDC5,DC6の位置にほぼ対応するようになっている。データキャリアDC5は、通信装置1内に挿入することができるとともに、通信装置1から取り外すことができる。しかしながら、アンテナA1,Cはそれぞれ、データキャリアDC5,DC6のそれぞれの位置とは無関係に収容されていても良いことは言うまでもない。このような場合、2つのデータキャリアDC5,DC6は、各データキャリアDC5,DC6と、対応する各アンテナA1,Cとの間の接続を可能にする接続手段を有していなければならない。これは、特に、データキャリアDC5,DC6が通信装置内で不可分に一体化される場合、あるいは、データキャリアDC5,DC6が比較的小さなモジュールの形態で存在する場合、また、アンテナA1,Cが通信装置1のハウジングの一部に設けられている場合に有利である。これは、特に、アンテナA1,Cとしてコイルが設けられ、これらのコイルが非接触通信を行なえるように特定の最小表面を覆わなければならない場合に必要である。以上から分かるように、アンテナ構造2のアンテナは、一極アンテナまたは多極アンテナによって形成することもできる。なお、データキャリアDC5,DC6の代わりに、それらのデータ回路だけが設けられていても良いことは言うまでもない。この場合、これらのデータ回路には、対応する通信手段が設けられていなければならない。データ回路は、例えば携帯電話のエレクトロニクスの一部として設けられていても良いが、これらのエレクトロニクスとは無関係に設けられていても良い。
【0071】
図4は、端末信号処理ステージ23と端末アンテナ構造24とを有する電子キャッシュ端末22の一部を更に示している。端末アンテナ構造24は、第5のアンテナBと第6のアンテナB’とを備えている。各アンテナB,B’は、反対側に設置可能な対応するアンテナと協働するようになっている。端末信号処理ステージ23は、アンテナB,B’に接続されるとともに、アンテナB,B’を使用することにより、対応するアンテナB,B’の比較的小さな通信領域内でその影響をその近傍に対して及ぼす各高周波励起信号を生成して供給するようになっている。通信装置1を適切に操作することにより2つのデータキャリアDC5,DC6が対応するアンテナB,B’に対して割り当てられた通信領域内に挿入されると直ぐに、上記励起信号により、2つのデータキャリアDC5,DC6に対して電気エネルギを供給することができる。
【0072】
この場合、2つのデータキャリアDC5,DC6またはこれらのデータ回路の動作の特定の状態は、第5のデータキャリアDC5または第3のアンテナA1がそれぞれ第5のアンテナBと対向して位置され且つ第6のデータキャリアDC6または第4のアンテナCが第6のアンテナB’と対向して位置されるように規定される。この特定の状態においては、各励起信号の変調により、第1の信号情報SI1を表わす信号Sを第5のデータキャリアDC5から通信することができるとともに、更に、第2の信号情報SI2を表わす信号S’を第6のデータキャリアDC6から端末アンテナ構造24に対して通信することができ、その後、信号S’を端末信号処理ステージ23へと通信することができる。
【0073】
端末信号処理ステージ23は2つの信号情報信号SI1,SI2を処理するようになっている。また、端末信号処理ステージ23は、第1の信号情報SI1を受信できると直ぐに、励起信号の変調により、その利用可能なトランザクションデータTPDを第5のデータキャリアDC5に対して非接触通信するようになっている。同様にして、端末信号処理ステージ23に存在する信号情報SI1またはSI2も、第5のデータキャリアDC5に対して通信することができる。
【0074】
このケースにおいて、使用許可手段5は、アンテナ信号S1が使用される間、キャッシュ端末22に対する携帯電話の動作を考慮するようになっている。これについては更に後述する。
【0075】
変調された励起信号は、第5のデータキャリアDC5からアンテナA1によって受信することができる。信号処理ステージ3は、アンテナA1によって供給可能なアンテナ信号S1を受信するとともに、2つの信号情報項目SI1,SI2に対してアンテナ信号S1を評価するようになっている。信号処理ステージ3により、アンテナ信号S1を各信号情報項目SI1,SI2に変換することができ、また、場合によっては、アンテナ信号S1をトランザクションデータTPDに変換することができる。この場合、動作検出ステージ9は、信号処理ステージ3の下流側に接続されており、アンテナ信号S1によって表わされる信号情報SI1,SI2が使用される間に動作を検出するようになっている。この目的のため、動作検出ステージ9は、第1の信号情報SI1および第2の信号情報SI2が同期して発生するかどうかを検出することができる。したがって、動作検出ステージ9によって供給できる位置データPDは、両方の信号情報SI1,SI2の経時的な出現を表わしている。また、更なるチェックのために、安全機能処理ステージ10において第2の信号情報SI2を利用可能にすることができる。
【0076】
安全機能処理ステージ10は、第1の安全機能を表わす安全コードデータSCDを受信するとともに、第2の安全機能を表わす位置データPDを受信するようになっており、また、安全コードデータSCDが安全コード情報SCIに対応し且つ位置データPDが特定動作データMIに対応する場合には使用許可信号ESを生成して供給するようになっている。
【0077】
このケースにおいて、安全機能処理ステージ10は、第2の信号情報SI2が実際に第6のデータキャリアDC6によって生成されたかどうかをチェックするようになっている。信号情報SI2をチェックするために必要なチェック情報CIは、記憶手段25により第5のデータキャリアDC5内に記憶されている。また、記憶手段25は、安全コード情報SCIおよび特定動作データMIを記憶することができ、これらの安全コード情報および特定動作データは、この場合、2つのデータキャリアDC5,DC6の動作の特定の状態としての2つの信号情報SI1,SI2の同時発生を表わしている。このことは、2つの信号情報SI1,SI2が同時に発生し且つ第2の信号情報項目SI2が実際に第6のデータキャリアDC6から送られてきた場合に第5のデータキャリアDC5が第5のアンテナBと対向して位置され且つ第6のデータキャリアDC6が第6のアンテナB’と対向して位置されることを意味している。
【0078】
また、図1に関して説明したように、通信接続部CCを介して2つの情報信号SCI,MIを通信装置1に対して加えることもできることは言うまでもない。
【0079】
安全機能処理手段10によって生成可能な使用許可信号ESを第2の通信手段16へ供給することができ、第2の通信手段16により使用許可信号ESを接触境界(contact−bound)形態で情報処理手段4に対して通信することができ、その後、情報処理手段4は、トランザクションパラメータデータTPDをトランザクション情報TIの構成部分として処理することができる。このトランザクションパラメータデータTPDは第1の通信手段16を介して受信することができ、また、通信装置1はトランザクション情報TIを供給することができる。
【0080】
また、手近な場合、2つのデータキャリアDC5,DC6の動作の特定の状態は、2つのアンテナB,B’の位置に対するデータキャリアDC5,DC6の一方または2つのデータキャリアDC5,DC6の経時的な存在または不存在のシーケンスによって与えられても良いことは言うまでもない。
【0081】
また、動作検出ステージ9は、アンテナ信号S1を受信するとともに、アンテナ信号S1の信号強度を評価するようになっていても良く、その結果、信号強度の経時的変化中に動作の状態についての結果が引き出されても良いことは言うまでもない。また、これに関し、手近な場合には、動作検出ステージ9は、位置データPD以外に速度データVDおよび/または加速度データADを生成するようになっていても良いことは言うまでもない。
【0082】
図4を参照すれば分かるように、2つのデータキャリアDC5,DC6内では信号S,S’が使用され、端末アンテナ構造24および端末信号処理ステージ23は互いに通信するようになっていても良く、一方、動作検出ステージ9は、そのような通信を使用または評価して2つのデータキャリアDC5,DC6の動作を検出するようになっていても良い。これに関し、安全機能情報SFIは、例えば第6のデータキャリアDC6内に記憶されても良く、また、そのような通信中に第5のデータキャリアDC5にアクセス可能にされても良く或いは第5のデータキャリアDC5に対して利用可能にされても良いことは言うまでもない。
【0083】
また、第2の通信手段18が複数のアンテナA1,A2,A3を備えていても良く、また、信号処理手段3は、図4に破線で示されるように、アンテナA1,A2,A3の対応する1つに対して割り当てられたアンテナ信号S1,S2,S3を処理するようになっていても良いことは言うまでもない。そのようなアンテナ構造2は、例えば、各アンテナA1,A2,A3によって利用可能にされた情報の情報内容によって或いは個々のアンテナA1,A2,A3の幾つかの或いは全てのアンテナ信号S1,S2,S3の存在または不存在によって第5のデータキャリアDC5の動作の特定の状態が規定される場合に興味深いかもしれない。このような場合、第5のデータキャリアDC5が信号処理ステージ3に加えて動作検出ステージ9を有し、図4に破線で示されるように、動作検出ステージ9に対して直接に各アンテナ信号S1,S2,S3を供給することができるとともに、動作検出ステージ9がアンテナ信号S1,S2,S3を直接に評価するようになっていると、特に有利であることが分かった。
【0084】
なお、通信装置1が第5のデータキャリアDC5のみを備えていても良く、第6のデータキャリアDC6が省かれても良い。これは、アンテナ構造2が相互に離間して配置された複数のアンテナ、例えばアンテナA1,A2,A3を有し、通信装置1が通信手段18に加えて第2の通信手段18に対して割り当てられたアンテナを有している場合に特に有利である。
【0085】
なお、非接触通信のために設けられたデータキャリアは、容量性(capacitive)形態で非接触通信を行なうようになっていても良い。
【0086】
前述した実施形態において通信装置1の使用の許可に関連する全てが通信装置1によって供給されるトランザクション情報TIに対して特定されていた場合であっても、通信装置1の使用の許可に関し、ユーザ情報は、通信装置1によって受信可能で且つ特に第1の安全機能および第2の安全機能による通信装置1の許可されたユーザとして自分を名乗るユーザに対して特にアクセス可能な受信情報の形態を成していても良いことは言うまでもない。また、これに関し、装置がラップトップまたはいわゆる携帯端末によって形成され、それを使用することにより、使用許可手段5によるユーザ情報の処理が可能となっても良いことは言うまでもない。
【0087】
また、以上から分かるように、装置が携帯電話(したがって通信装置)といわゆる携帯端末との組み合わせを備えていても良く、また、そのような組み合わせ装置の内部または外部にあっても良い1または複数のデータ回路の異なる動作により、組み合わせ装置の異なる機能をユーザが使用できるようになっていても良い。
【0088】
また、第2の安全機能を例えば指紋のような生物学的特徴によって表わすことができることは言うまでもない。
【0089】
非接触通信を伴う場合の励起信号変調に関しては、これが励起信号の振幅変調であることを明らかにしておく。特に、第5のデータキャリアDC5によって行なうことができる変調は、励起信号の負荷変調によって発生させることができることを指摘しておく。しかしながら、反射変調があっても良いことは言うまでもない。また、励起信号の変調が位相変調または周波数変調であっても良いことは言うまでもない。
【0090】
また、第1の安全コード自体が装置を有効にするために与えられても良いことは言うまでもない。
【0091】
また、例えば人体内のインプラントとして或いはデータ回路が不可分に接続された電気器具の電気回路部品として、データキャリアまたはそのハウジングとは無関係に、それ自体が比較的小さな集積回路の形態を成すデータ回路も使用できることは言うまでもない。また、これに関しては、集積回路またはディスクリート回路の形態を成すデータ回路が装置の使用許可手段を形成していても良いことは言うまでもない。
【0092】
また、方法が実施される十分前に、あるいは、方法が実施されると直ぐに、データ回路または装置内のデータ回路を備えるデータキャリアを使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1の例示的実施形態に係る通信装置をブロック図の形態で概略的に示している。
【図2】本発明の第2の例示的実施形態に係る通信装置を図1と同様の形態で示している。
【図3】本発明の第3の例示的実施形態に係る通信装置を図1と同様の形態で示している。
【図4】本発明の第4の例示的実施形態に係る通信装置を図1と同様の形態で示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ情報を処理するための装置であって、この装置は使用許可手段と協働するようになっており、前記使用許可手段は第1の安全機能を考慮するようになっており、この第1の安全機能は、データ回路に対応しかつ前記使用許可手段に加えることができかつ動作データによって形成され、前記動作データは、少なくとも1つの所定の経路に沿う少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、前記使用許可手段は、前記動作データが所定の特定動作データに対応している場合に、前記装置の使用を可能にするようになっている、装置。
【請求項2】
前記使用許可手段は、前記第1の安全機能に加えて第2の安全機能を考慮するようになっており、この第2の安全機能は、データ回路に対応するとともに、前記使用許可手段に対して供給可能であり、前記使用許可手段は、前記動作データが前記所定の特定動作データに対応することに加えて前記第2の安全機能が特定安全コード情報に対応している場合に、前記装置の使用を可能にするようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、少なくとも1つのデータ回路と非接触通信を行なうようになっており、前記データ回路側は非接触通信を行なうようになっており、前記装置は、当該装置と前記データ回路との間の非接触通信を使用して、前記第1の安全機能および前記第2の安全機能の両方を前記使用許可手段に対して供給するようになっている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置がデータ回路を備え、このデータ回路によって前記使用許可手段が実現され、前記データ回路は、非接触通信を行ない且つ前記第1の安全機能を前記データ回路に対して供給するようになっている第1の通信手段を備え、また、前記データ回路は、接触境界通信を行ない且つ前記第2の安全機能を前記データ回路に対して供給するようになっている第2の通信手段を備えている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、少なくとも1つのデータ回路と非接触通信を行なうようになっており、前記データ回路は非接触通信を行なうようになっており、前記装置は前記少なくとも1つのデータ回路によって生成された信号を受信するようになっており、前記使用許可手段は、受信された前記信号を使用して、前記少なくとも1つのデータ回路の動作を検出するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記使用許可手段は、空間の3つの座標およびこれらの3つの座標の経時的変化を考慮しながら、前記少なくとも1つのデータ回路の動作を検出するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、動作の特定の状態を表わす前記第2の安全機能に対して割り当てられた特定動作データを受信するようになっており、一方前記データ回路が考慮され、当該データ回路に前記第2の安全機能が対応する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
ユーザ情報を処理するための装置の使用を可能にする方法であって、前記装置の使用は、第1の安全機能を考慮する使用許可手段によって可能となり、前記第1の安全機能は、少なくとも1つのデータ回路に対応しかつ前記使用許可手段に加えられかつ動作データによって形成され、前記動作データは、少なくとも1つの所定の経路に沿う前記少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、前記装置の使用は、前記動作データが所定の特定動作データに対応する場合に可能となる方法。
【請求項9】
前記装置の使用を可能にするため、前記第1の安全機能に加えて第2の安全機能が前記使用許可手段により考慮され、前記第2の安全機能は、データ回路に対応するとともに、前記使用許可手段に対して供給され、前記動作データが前記所定の特定動作データに対応することに加えて前記第2の安全機能が特定安全情報に対応している場合に、前記装置の使用が前記使用許可手段によって可能になる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の安全機能および第2の安全機能が使用され、これらの両方の機能が1つのデータ回路に対応している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
非接触通信を行なうようになっている前記装置と少なくとも1つのデータ回路との間で非接触通信が行なわれ、前記データ回路は非接触通信を行なうようになっており、非接触通信中に、装置の使用を可能にするために、前記第1の安全機能および前記第2の安全機能の両方が前記使用許可手段に対して供給される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
装置の使用を可能にするためにデータ回路が使用され、このデータ回路は前記方法を実行するために前記装置内に挿入され、前記データ回路によって前記使用許可手段が実現され、前記データ回路は、非接触通信を行ない且つ前記第1の安全機能を前記データ回路に対して供給するようになっている第1の通信手段を備え、また、前記データ回路は、接触境界通信を行ない且つ前記第2の安全機能を前記データ回路に対して供給するようになっている第2の通信手段を備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
非接触通信を行ない且つ前記装置の通信領域内に挿入されるようになっている少なくとも1つのデータ回路が信号を生成し、この信号が非接触形態で前記装置によって受信され、受信された前記信号を使用することにより前記少なくとも1つのデータ回路の動作が検出される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
空間の3つの座標およびこれらの3つの座標の経時的変化を考慮することにより、前記少なくとも1つのデータ回路の動作が検出される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記装置は、前記第2の安全機能に対して割り当てられ且つ動作の特定の状態を表わす特定動作データを受信する、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
電気回路を備える装置の使用を可能にするためのデータキャリアであって、前記電気回路が使用許可手段を備え、前記電気回路は、前記データキャリアの第1の通信手段を実現するための構成部品を備え、これらの構成部品は、非接触通信を行なうようになっているとともに、第1の安全機能を前記使用許可手段に対して加えるようになっており、前記第1の安全機能は、少なくとも1つのデータ回路に対応するとともに、動作データによって形成され、前記動作データは、少なくとも1つの経路に沿う少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、前記使用許可手段は、前記第1の安全機能を考慮するようになっているとともに、前記動作データが所定の特定動作データに対応している場合に、使用許可信号を生成するようになっている、データキャリア。
【請求項17】
前記回路は、前記データキャリアの第2の通信手段を実現するための構成部品を備え、これらの構成部品は、接触境界通信を行なうようになっているとともに、第2の安全機能を前記使用許可手段に対して加えるようになっており、前記第2の安全機能が前記データキャリアに対応し、前記使用許可手段は、前記第1の安全機能に加えて第2の安全機能を考慮するようになっており、前記使用許可手段は、前記動作データが前記所定の特定動作データに対応することに加えて前記第2の安全機能が特定安全情報に対応している場合に、前記装置の使用を可能にするようになっている、請求項16に記載のデータキャリア。
【請求項18】
前記回路はアンテナ構造に対して接続可能であり、このアンテナ構造により非接触通信中に少なくとも1つのアンテナ信号が前記回路に対して供給されることができ、前記使用許可手段は、少なくとも1つのアンテナ信号を使用しつつ、前記少なくとも1つのデータ回路の動作を第1の安全機能として考慮するようになっている、請求項16に記載のデータキャリア。
【請求項19】
前記使用許可手段が信号処理ステージを備え、この信号処理ステージは、前記少なくとも1つのアンテナ信号を受信するとともに、前記第1の安全機能を表わす少なくとも1つの信号情報項目に対して前記少なくとも1つのアンテナ信号を評価するようになっている、請求項18に記載のデータキャリア。
【請求項20】
前記使用許可手段が動作検出ステージを備え、この動作検出ステージは、前記少なくとも1つのアンテナ信号内に含まれ且つ前記第1の安全機能を表わす少なくとも1つの信号情報項目を使用しつつ、前記少なくとも1つのデータ回路の動作を検出するようになっている、請求項18に記載のデータキャリア。
【請求項21】
前記使用許可手段が安全機能処理ステージを備え、この安全機能処理ステージは、前記第1の安全機能を形成する動作データを受信するとともに、前記第2の安全機能を表わすデータを受信するようになっており、また、前記動作データが前記特定動作データに対応し且つ前記第2の安全機能を表わす前記データが前記特定安全情報に対応している場合に前記使用許可信号を生成して供給するようになっている、請求項17に記載のデータキャリア。
【請求項22】
前記使用許可手段は、前記使用許可信号を前記第2の通信手段に対して供給するようになっている、請求項17に記載のデータキャリア。
【請求項23】
装置の使用を可能にするデータキャリアのための回路であって、この回路が使用許可手段を備え、前記回路は、前記データキャリアの第1の通信手段を実現するための構成部品を備え、これらの構成部品は、非接触通信を行なうようになっているとともに、第1の安全機能を前記使用許可手段に対して加えるようになっており、前記第1の安全機能は、少なくとも1つのデータ回路に対応するとともに、動作データによって形成され、前記動作データは、少なくとも1つの経路に沿う前記少なくとも1つのデータ回路の動作を表わし、前記使用許可手段は、前記第1の安全機能を考慮するようになっているとともに、前記動作データが所定の特定動作データに対応している場合に、使用許可信号を生成するようになっている、回路。
【請求項24】
前記回路は、前記データキャリアの第2の通信手段を実現するための構成部品を備え、これらの構成部品は、接触境界通信を行なうようになっているとともに、第2の安全機能を前記使用許可手段に対して加えるようになっており、前記第2の安全機能が前記データキャリアに対応し、前記使用許可手段は、前記第1の安全機能に加えて前記第2の安全機能を考慮するようになっており、前記使用許可手段は、前記動作データが所定の特定動作データに対応することに加えて前記第2の安全機能が特定安全情報に対応している場合に、前記装置の使用を可能にするようになっている、請求項23に記載の回路。
【請求項25】
前記回路はアンテナ構造に対して接続可能であり、このアンテナ構造により非接触通信中に少なくとも1つのアンテナ信号が前記回路に対して供給されることができ、前記使用許可手段は、前記少なくとも1つのアンテナ信号を使用しつつ、前記少なくとも1つのデータ回路の動作を考慮するようになっている、請求項23に記載の回路。
【請求項26】
前記使用許可手段が信号処理ステージを備え、この信号処理ステージは、前記少なくとも1つのアンテナ信号を受信するとともに、前記第1の安全機能を表わす少なくとも1つの信号情報項目に対して前記少なくとも1つのアンテナ信号を評価するようになっている、請求項25に記載の回路。
【請求項27】
前記使用許可手段が動作検出ステージを備え、この動作検出ステージは、前記少なくとも1つのアンテナ信号内に含まれ且つ前記第1の安全機能を表わす少なくとも1つの信号情報項目を使用しつつ、前記少なくとも1つのデータ回路の動作を検出するようになっている、請求項25に記載の回路。
【請求項28】
前記使用許可手段が安全機能処理ステージを備え、この安全機能処理ステージは、前記第1の安全機能を形成する動作データを受信するとともに、前記第2の安全機能を表わすデータを受信するようになっており、前記動作データが前記特定動作データに対応し且つ前記第2の安全機能を表わす前記データが前記特定安全コード情報に対応している場合に前記使用許可信号を生成して供給するようになっている、請求項24に記載の回路。
【請求項29】
前記使用許可手段は、前記使用許可信号を前記第2の通信手段に対して供給するようになっている、請求項24に記載の回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−506759(P2006−506759A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506674(P2005−506674)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004895
【国際公開番号】WO2004/044851
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】