説明

車両に対するスポイラの位置を検出する装置

【課題】 車両に対するスポイラの位置を検出する装置に関する。スポイラは、駆動ユニットによって引き込まれる1つの目標基準位置と少なくとも1つの引き出される目標駆動位置との間で移動可能である。この位置検出技術に関する。
【解決手段】 調整位置検出装置が設けられている。スポイラの現在の位置が、この調整位置検出装置によって検出可能であり、この調整位置検出装置は、この検出した現在の位置に基づいて第2位置信号を生成する。この場合、評価ユニットが設けられていて、この評価ユニットは、ホールセンサによって提供された第1位置信号及び調整位置検出装置によって提供された第2位置信号を評価し、この調整位置検出装置は、評価結果に基づいて位置検出装置のうちの少なくとも1つの位置検出装置の状態に関する情報を運転者に提供する情報装置及び/又は駆動ユニットを起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に対するスポイラの位置を検出する装置に関する。この場合、スポイラが、駆動ユニットによって引き込まれる1つの目標基準位置と少なくとも1つの引き出される目標駆動位置との間で移動可能である。この場合、少なくとも1つのセンサが設けられている。スポイラの目標位置のうちの少なくとも1つの目標位置が、このセンサによって検出可能である。このセンサは、検出された目標位置に基づいて第1位置信号を生成する。
【背景技術】
【0002】
調整可能なスポイラつまり気流装置を有する車両が、従来の技術から多様に公知である。これらのスポイラ、特にリアスポイラは、少なくとも1つの気流プロフィールを有する。この気流プロフィールは、車両ボディーに対して引き込まれる停止位置と引き出される作用位置との間で調整可能である。引き出される作用位置では、スポイラが、全体として車両ボディーから間隔をあけて存在する。例えば、車体内で降下し、車体の外側にある作用位置に調整可能なリアスポイラを有する車両が公知である。この場合、車両ボディー内の凹部が、気流プロフィールの輪郭に一致する。その結果、スポイラが、引き込まれる停止位置で車両ボディーの輪郭内に形状一体的にかつ精確に嵌合する。スポイラの下部構造が、駆動部を操作することによって例えばレールに沿って移動し、そしてこのレールの傾斜した配置に起因して車体からスポイラの作用位置に移動する。作用位置内の気流プロフィールの停止位置に比べて僅かに傾斜した調整がプリセットされていて、動作中にもはや変更され得ない。スポイラの位置を測定するため、その都度の動作状態の最終位置を確定又は測定するセンサ、特にリアセンサが使用される。
【0003】
しかしながら、スポイラの実際の動作状態又はセンサの機能性能に関する情報が、車両運転者に提供されないことが、従来の技術から公知のスポイラ調整装置の欠点である。その結果、車両運転者が、スポイラの動作状態を間違って認識する虞がある。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10 2004 043 402号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許第35 12378号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、従来の技術から出発してスポイラの実際の動作状態又はセンサの機能性能に関する情報を車両運転者に提供する装置を提供することにある。
【0005】
好適な実施形は、従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により、調整位置検出装置が設けられていて、スポイラの現在の位置が、この調整位置検出装置によって検出可能であり、この調整位置検出装置は、この検出した現在の位置に基づいて第2位置信号を生成し、この場合、評価ユニットが設けられていて、この評価ユニットは、ホールセンサによって提供された第1位置信号及び調整位置検出装置によって提供された第2位置信号を評価し、この調整位置検出装置は、評価結果に基づいて位置検出装置のうちの少なくとも1つの位置検出装置の状態に関する情報を運転者に提供する情報装置及び/又は駆動ユニットを起動することによって解決される。このことには、スポイラの誤作動又は少なくとも1つのセンサの誤作動を推測できる情報が車両運転者に提供され得、したがって例えばスポイラが有効に引き出されたかどうか又はセンサの機能性能が保証されているかどうかが車両運転者に通知され得るという利点がある。さらに、スポイラが最終位置に実際に到達しなかった時に初めて、運転者が信号の冗長性によって情報を任意に使用できることが可能である。
【0007】
具体例では、装置が、3つのセンサを有する。この場合、駆動ユニットが、2つの位置検出器を有し得る。第3のセンサが、中間領域に割り当てられ得る。
【0008】
これらのセンサは、好ましくはホールセンサでもよい。スポイラが、第1位置から第2位置に送られなければならない場合、例えば中間領域内に配置された第3のホールセンサの信号エッジが停止するまで、スポイラの駆動ユニットが、希望する位置の方向に起動される。既に移動した変位が、例えば駆動ユニットの内部パルスによってカウントされて停止後ごとに記憶され得る。この駆動ユニットは、停止過程後にプリセットされている目標許容領域内に存在する。起こりうる位置の差を監視するため、調整過程時に冗長動作する調整位置検出装置が、プリセットされている目標許容領域内に存在するかどうかが検査される。
【0009】
1つの実施形では、評価装置が、ホール信号の停止を検出するために構成されていて、スポイラの移動の開始から少なくとも1つの目標位置にかけて測定されるプリセット可能な時間後のホール信号の停止時に第2位置信号に基づいて、スポイラが少なくとも1つの目標位置の周りの目標許容領域内に存在するかどうかを判定し、状況a)の場合に評価装置は、スポイラが目標許容領域内に存在すると判定し、状況b)の場合に評価装置は、スポイラが目標許容領域内に存在しないと判定し、駆動ユニット及び/又は情報装置を起動することがさらに提唱される。換言すれば、状況a)の場合は、スポイラがホール信号の停止にかかわらずこのスポイラの仮の位置内に存在することに基づいて、ホールセンサの故障がありうるか、又は、状況b)の場合は、スポイラが目標許容領域内に存在しないことに基づいて、スポイラの駆動ユニットの故障がありうる。両場合では、車両運転者が、情報装置によって知らされ、即座に又は車両の次の始動時に対応するステップを指示できる。
【0010】
より正確に言うと、ホールセンサの起こりうる故障に関する情報を運転者に提供するように、情報装置が、状況a)の場合に運転者によって視覚的に及び/又は音響的に及び/又は触覚的に知覚可能な信号を出力できること、及び、駆動ユニットの起こりうる故障に関する情報を運転者に提供するように、情報装置が、状況b)の場合に運転者によって視覚的に及び/又は音響的に及び/又は触覚的に知覚可能な信号を出力できることが提唱されている。したがって例えば計器板内の光学的な通知では、「修理工場を訪問しろ」が運転者に対して表示され得る。
【0011】
別の実施形では、ホールセンサによって目標駆動位置を示す時に第2位置信号によって示されている第2位置を第1位置信号によって示されている第1位置と比較するための評価装置が構成されていて、第1位置と第2位置との間の偏差が、プリセット可能な位置許容領域の外側にある場合に、駆動ユニット及び/又は情報装置を起動することが提唱される。このことは、他方では故障がこれらの構成部材のうちの一方に対して存在し、その結果車両運転者が情報を、情報装置を通じて受け取り、しかしながら同時にスポイラが、駆動ユニットの起動によってこのスポイラの希望する位置に移動されることを意味し得る。したがって、プリセットされている位置許容領域の調整に関連した第1位置と第2位置との間の比較が、間違った位置又は誤作動を迅速にかつ確実に明らかにできる。
【0012】
第1位置と第2位置との間の偏差が確認された場合、例えばホールセンサの起こりうる故障に関する情報を運転者に提供するように、情報装置が、運転者によって視覚的に及び/又は音響的に及び/又は触覚的に知覚可能な信号を出力できる。
【0013】
別の実施形では、調整位置検出装置が、駆動装置の変位測定装置として、特に位置検出器を有する変位測定装置として構成され得ることが提唱される。スポイラから戻った変位が、この変位測定装置によって検出可能である。このことには、スポイラの実際の位置及び同時に間接的に駆動装置の実際の位置の正確な測定が可能になるという利点がある。
【0014】
好適な実施形では、調整位置検出装置が再調整手段を有し得ることを提唱する。第1位置と第2位置とが一致する場合、位置に関する所定の値が、この再調整手段によって調整位置検出装置で設定され得る。
【0015】
このことは、スポイラが任意の理由によって調整された状態にあり、したがってスポイラの最終位置又は位置が、再調整キーを使用することによって新たに正常化され得る時に特に好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、概略的に示された図1中の例だけに対する装置の原理を説明する。
【0017】
図1中には、スポイラの制御の機能原理が、第3のホールセンサによって概略的に示されている。この装置は、3つのホールセンサを有する。この場合、第1のセンサが、引き込まれる目標基準位置(引き込みE)に割り当てられていて、第2のセンサが、目標駆動位置(S)に割り当てられていて、第3のセンサが、中間領域(引き出しA)に割り当てられている。このスポイラの配置は、1つの可能性だけであってモータ内の2つのセンサの配置も位置検出器として考えられる。
【0018】
スポイラが、第1位置から第2位置に移動すると、例えば中間領域内に配置された第3のホールセンサの信号エッジが停止するまで、スポイラの駆動ユニットが、希望する位置の方向に起動される。既に移動した変位が、例えば駆動ユニットの内部パルスによってカウントされて停止後ごとに記憶され得る。その後にこの駆動ユニットは、プリセットされている目標許容領域内に存在する。起こりうる位置の差を監視するため、調整過程時に冗長動作する又は変位を検出する調整位置検出装置が、プリセットされている目標許容領域(ロックイン領域)内に存在するかどうかが検査される。この変位が、ロックイン領域内に存在しない場合、目標位置である引き出しAが、調整位置検出装置に割り当てられ得る。調整位置検出装置が、ロックイン領域から出るにもかかわらず、第3のホールセンサが、別の場合に接触しない時は、駆動装置がすぐに停止され、エラーメッセージが計器板内で出力される。このことは、必要な修理工場の訪問に関する信号音及び/又は光学的な指示によって実施され得る。
【0019】
予期しないエラーが、調整移動の間に発生する場合、スポイラが異常な状態にありうる。この場合、自動的な正常化が、例えば第3のホールセンサによって実施され得る。次いでスポイラが、プリセットされている位置に引き出される場合、動作モードが上述したように進行し、1つの新しい特性数が、調整位置検出装置に割り当てられる。
【0020】
ここで示した装置原理又は機能原理は、先に1つの実施の形態だけに対して説明した。さらにその他の構成の可能性もあることが分かる。すなわち、1.センサ及び3.センサを端部ストッパーに設けるのではなくて、スポイラを移動させるモータに設けることが可能である。このときこのセンサは、モータの運動時のパルスの移動及びカウントによって最終位置を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の装置の機能原理を概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対するスポイラの位置を検出する装置にあって、この場合、スポイラが、駆動ユニットによって引き込まれる1つの目標基準位置と少なくとも1つの引き出される目標駆動位置との間で移動可能であり、この場合、少なくとも1つのセンサが設けられていて、スポイラの目標位置のうちの少なくとも1つの目標位置が、このセンサによって検出可能であり、このセンサは、検出された目標位置に基づいて第1位置信号を生成する装置において、
調整位置検出装置が設けられていて、スポイラの現在の位置が、この調整位置検出装置によって検出可能であり、この調整位置検出装置は、この検出した現在の位置に基づいて第2位置信号を生成し、この場合、評価ユニットが設けられていて、この評価ユニットは、ホールセンサによって提供された第1位置信号及び調整位置検出装置によって提供された第2位置信号を評価し、この調整位置検出装置は、評価結果に基づいて位置検出装置のうちの少なくとも1つの位置検出装置の状態に関する情報を運転者に提供する情報装置及び/又は駆動ユニットを起動することを特徴とする装置。
【請求項2】
評価装置が、ホール信号の停止を検出するために構成されていて、スポイラの移動の開始から少なくとも1つの目標位置にかけて測定されるプリセット可能な時間後のホール信号の停止時に第2位置信号に基づいて、スポイラが少なくとも1つの目標位置の周りの目標許容領域内に存在するかどうかを判定し、状況a)の場合に評価装置は、スポイラが目標許容領域内に存在すると判定し、状況b)の場合に評価装置は、スポイラが目標許容領域内に存在しないと判定し、駆動ユニット及び/又は情報装置を起動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ホールセンサの起こりうる故障に関する情報を運転者に提供するように、情報装置が、状況a)の場合に運転者によって視覚的に及び/又は音響的に及び/又は触覚的に知覚可能な信号を出力できること、及び、駆動ユニットの起こりうる故障に関する情報を運転者に提供するように、情報装置が、状況b)の場合に運転者によって視覚的に及び/又は音響的に及び/又は触覚的に知覚可能な信号を出力できることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ホールセンサによって目標駆動位置を示す時に第2位置信号によって示されている第2位置を第1位置信号によって示されている第1位置と比較するための評価装置が構成されていて、第1位置と第2位置との間の偏差が、プリセット可能な位置許容領域の外側にある場合に、駆動ユニット及び/又は情報装置を起動することを特徴とする請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
第1位置と第2位置との間の偏差が確認された場合、例えばホールセンサの起こりうる故障に関する情報を運転者に提供するように、情報装置が、運転者によって視覚的に及び/又は音響的に及び/又は触覚的に知覚可能な信号を出力することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
調整位置検出装置が、駆動装置の変位測定装置として、特に位置検出器を有する変位測定装置として構成され得、スポイラから戻った変位が、この変位測定装置によって検出可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
調整位置検出装置が再調整手段を有し、第1位置と第2位置とが一致する場合、位置に関する所定の値が、この再調整手段によって調整位置検出装置で設定され得ることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−162574(P2008−162574A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319191(P2007−319191)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(390009335)ドクトル インジエニエール ハー ツエー エフ ポルシエ アクチエンゲゼルシヤフト (123)
【氏名又は名称原語表記】Dr.Ing.h.c.F.Porsche  Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1,D−70435 Stuttgart,Germany
【Fターム(参考)】