車両のインストルメントパネル周辺構造
【課題】インストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設けて、外観品質を高めると共に、衝突時には、メータフードが連結部を起点として容易に上方へ回動するように成して、ステアリングコラムの前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高める車両のインストルメントパネル周辺構造を提供する。
【解決手段】インストルメントパネル1とメータフード2とは分割形成され、メータフード2の前縁部をインストルメントパネル1と連結部にて連結した状態でインストルメントパネル1とメータフード2とに一体成形した表面層40を設け、メータユニット3は、コラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネル1に取付けられ、衝撃荷重の作用時にコラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3がコラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニット3がメータフード2と干渉することでメータフード2が連結部を起点として上方へ回動するように構成したことを特徴とする。
【解決手段】インストルメントパネル1とメータフード2とは分割形成され、メータフード2の前縁部をインストルメントパネル1と連結部にて連結した状態でインストルメントパネル1とメータフード2とに一体成形した表面層40を設け、メータユニット3は、コラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネル1に取付けられ、衝撃荷重の作用時にコラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3がコラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニット3がメータフード2と干渉することでメータフード2が連結部を起点として上方へ回動するように構成したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重(車両の正面衝突時にドライバが前のめりになる荷重)を受けた時、前方に移動するように構成されると共に、コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インストルメントパネルには、メータユニットと、該メータユニットを覆うメータフードとが取付けられており、上述のメータユニットの下方には車両後方に延びるステアリングコラムが設けられ、このステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分にはコラムカバーが取付けられている。
【0003】
そして、車両の正面衝突時にはステアリングホイールのホイールパッドに設けたエアバッグが展開するが、ドライバが前のめりとなってエアバッグに衝突する時、ステアリングコラムには後方からの衝撃荷重が作用する。
この際、乗員の安全性を高める目的で、ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重を受けた時、該ステアリングコラムが前方に移動(コラプシブル移動)するように構成(いわゆる、コラプシブルに構成)されていると共に、メータフードの上端位置を可及的下げて広い前方視界を確保するために、コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なるように配設されるのが一般的である。
【0004】
このように、ステアリングコラムを囲繞するコラムカバーが該ステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なるように配設されていると、前方視界が広くなる利点がある反面、ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重を受けた時、コラムカバーがメータユニットと干渉してステアリングコラムの円滑な前方移動を阻害することがある。
【0005】
このことは、チルトハンドルにおいて、ステアリングホイールを最上位にチルトアップさせた場合に、特に顕著となる。
このような問題点を解決するために、本出願人等は既に特許文献1に記載の自動車のインストルメントパネル周辺構造を発明した。
【0006】
すなわち、該特許文献1に記載の構造は、インストルメントパネルに対してそれぞれ別部材で構成されたメータユニットとメータフードとを設け、メータユニットの取付け部周辺と対応してインストルメントパネルには脆弱部を形成すると共に、メータフードも脆弱部を介してインストルメントパネルに取付けたものであって、コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なって配設されていても、衝撃荷重の入力時にコラムカバーが前方移動してメータユニットと干渉した際、脆弱部を破断してメータユニットを上方に変位させ、かつメータユニットの上方変位によりメータユニットとメータフードが干渉した際、脆弱部を破断してメータフードを上方に変位させることで、ステアリングコラムの円滑な前方移動を確保したものである。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に開示された従来構造においては、インストルメントパネルに対してメータフードが分割形成されている関係上、両者(インストルメントパネルとメータフードとの間)間に必然的に分割ライン(いわゆるパーティングライン)が形成され、見栄え等の品質上の外観の悪化を招く問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−83746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、インストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設けることにより、外観品質を高めることができると共に、衝突時には、メータフードが連結部を起点として容易に上方へ回動するように成すことで、ステアリングコラムの前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる車両のインストルメントパネル周辺構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による車両のインストルメントパネル周辺構造は、メータフードとメータユニットとが取付けられたインストルメントパネルと、上記メータユニットの下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラムと、該ステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分に取付けられたコラムカバーとを有し、上記ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、上記コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視において上記メータユニットと重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造であって、上記インストルメントパネルとメータフードとは分割形成され、上記メータフードの前縁部をインストルメントパネルと連結部にて連結した状態でインストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設け、上記メータユニットは、コラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネルに取付けられ、衝撃荷重の作用時に上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上記連結部を起点として上方へ回動するように構成したものである。
【0011】
上記構成によれば、インストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設けたので、これら両者間の分割ラインが外方から目視不可となって、外観品質を高めることができる。
しかも、衝撃荷重の作用時(衝突時)に、コラムカバーが前方へ移動した時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上述の連結部を起点として上方へ回動するので、ステアリングコラムの前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる。
要するに、外観品質の向上と、ステアリングコラムの前方移動量確保による衝撃吸収性の向上と、の両立を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記メータフードの前縁部とインストルメントパネルとの連結部は、インストルメントパネルの溝にメータフードの前縁部を挿入すると共に、メータフードの前縁部に形成した爪部をインストルメントパネルの係合部に係合するように構成されているものである。
上記構成によれば、インストルメントパネルの溝に対してメータフードの前縁部を挿入する構成と、メータフードの爪部をインストルメントパネルの係合部に係合する構成により、表面層の発泡一体成形を可能にできると共に、衝突時にメータフードを、上記連結部を起点として容易に上方へ回動させることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記メータユニットの前側下部に衝撃荷重入力時に該メータユニットの上方移動を助長する第1傾斜部を設けると共に、該第1傾斜部と対向するインストルメントパネルの一部にメータユニットを斜め上方に案内移動させる第2傾斜部を設けたものである。
上記構成によれば、衝突時に第1傾斜部が第2傾斜部に沿って移動するので、メータユニットの斜め上方への移動を確保することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、車幅方向に配設されて上記ステアリングコラムを支持するステアリングメンバを設け、該ステアリングメンバに、上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットを斜め上方に案内移動させる第3傾斜部を取付けたものである。
上記構成によれば、ステアリングメンバに取付けた第3傾斜部でメータユニットの斜め上方への移動を確実に行なうことができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記インストルメントパネルとメータフードとの上下方向および左右方向の位置決めを行なう位置決め部材を備えたものである。
上記構成によれば、位置決め部材によりインストルメントパネルとメータフードとを上下左右に位置決めすることができ、表面層として発泡一体成形を行なう場合、発泡材の不必要な部分への侵入防止とシール漏れとを図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、インストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設けることにより、外観品質を高めることができると共に、衝突時には、メータフードが連結部を起点として容易に上方へ回動するように成したので、ステアリングコラムの前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の車両のインストルメントパネル周辺構造を示す側面図
【図2】インストルメントパネルとメータフードの分解斜視図
【図3】図1の部分拡大側面図
【図4】図1の部分拡大側面図
【図5】(a)は溝形状を示す斜視図、(b)は図5の(a)のX−X線断面図、(c)は図5の(a)のY−Y線断面図、(d)は図5の(a)のZ−Z線断面図
【図6】インストルメントパネルとメータフードを組合せた状態下における図2のA−A線矢視断面図
【図7】インストルメントパネルとメータフードを組合せた状態下における図2のB−B線矢視断面図
【図8】リブが形成された部位の断面図
【図9】インストルメントパネルとメータフードを組合せた状態下における図2のC−C線矢視断面図
【図10】車両衝突時の作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
インストルメントパネル周辺構造の外観品質を高めると共に、衝突時にメータフードの上方への回動を容易として、ステアリングコラムの前方移動量を確保し、衝撃吸収性を高めるという目的を、メータフードとメータユニットとが取付けられたインストルメントパネルと、上記メータユニットの下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラムと、該ステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分に取付けられたコラムカバーとを有し、上記ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、上記コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視において上記メータユニットと重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造において、上記インストルメントパネルとメータフードとは分割形成され、上記メータフードの前縁部をインストルメントパネルと連結部にて連結した状態でインストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設け、上記メータユニットは、コラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネルに取付けられ、衝撃荷重の作用時に上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上記連結部を起点として上方へ回動するように構成することで実現した。
【実施例】
【0019】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のインストルメントパネル周辺構造を示し、図1はステアリングホイールの中心部近傍で断面した縦断面図、図2はインストルメントパネルおよびメータフードの分解斜視図である。なお、以下の実施例においては左ハンドル車に適用した場合について例示しているが、右ハンドル車についても適用可能である。
【0020】
図1、図2に示すように、インストルメントパネル1には、運転席(ドライバーズシート)の前方において、メータフード2およびメータユニット3が設けられている。
図1に示すように、メータユニット3の下方を車両前後方向に貫通して車両の後方に延びるステアリングコラム4が設けられており、このステアリングコラム4の内部にはステアリングシャフト5が配設されている。
【0021】
上述のステアリングシャフト5の車内側の端部には、ホイールパッド6を介してステアリングホイール7が取付けられており、ステアリングホイール7の操作時に、ステアリングシャフト5、および図示しないユニバーサルジョイント、連結シャフト、ステアリングギヤ、タイロッド、ナックルアームを介して前輪を操舵すべく構成している。なお、上述のホイールパッド6にはエアバッグ装置(図示せず)が内蔵されている。
【0022】
また、上述のステアリングコラム4におけるインストルメントパネル1よりも後方の部分には、コラムカバー8が取付けられる一方、上述のステアリングコラム4およびステアリングシャフト5は車両の正面衝突時にドライバが前のめりになる荷重、つまり後方からの衝撃荷重の作用時に車両前方に移動可能(コラプシブル)となるように構成されている。
【0023】
さらに、上述のステアリングコラム4、ステアリングシャフト5およびステアリングホイール7は図示しないチルトセンタを中心としてステアリングホイール7の位置が上下方向に調整可能(チルト)となるように構成されている。
なお、上述のコラプシブル機構およびチルト機構は周知構造であるため、その図示を省略している。
【0024】
そして、上述のコラムカバー8はステアリングコラム4の移動方向視(車両前方へのコラプシブル移動方向視)において、上述のメータユニット3と重なるように配設されている。
また、該メータユニット3の下部にはカバー部材9が取付けられる一方、インストルメントパネル1の内方部には、車幅方向に延びる強度部材としてのステアリングメンバ10が設けられており、このステアリングメンバ10におけるステアリングコラム4対応部には、該ステアリングメンバ10を上下から挟持するステアリング支持ブラケット11,12を設け、下側のステアリング支持ブラケット12でステアリングコラム4を支持するように構成している。
つまり、車幅方向に配設されてステアリングコラム4を支持するところのステアリングメンバ10が設けられたものである。
【0025】
ところで、図1に示すように、上述のメータユニット3は、メータケース13と、メータケース13の乗員側の表面に設けられたフロントレンズ14と、メータケース13の裏面側(車両の前方側)に一体に設けられたメータユニット取付け用の裏面板15と、を備えている。
上述のメータユニット3は裏面板15を介して、該メータユニット3の下部およびメータユニット3の上部がインストルメントパネル1に取付けられている。
【0026】
図1におけるメータユニット3の下部取付け構造を図3に示し、メータユニット3の上部取付け構造を図4に示す。
図3において、裏面板15の下辺部15aには、斜め前方下方に延びる支持脚16を介して取付け板17を合成樹脂で一体形成している。
【0027】
一方、上述のインストルメントパネル1には、図1に示すように、そのトップデッキ部1aに対して、下方かつ後方に位置する上側取付け部1bと、この上側取付け部1bよりもさらに下方かつ後方に位置する下側取付け部1cとが一体形成されている。
そして、図3に拡大図で示すように、インストルメントパネル1の下側取付け部1cには、車内側に向けて突出する位置決めピン18を一体形成しており、この位置決めピン18と対応するメータユニット3側の取付け板17には位置決め孔17aが形成されている。
【0028】
メータユニット3の下部をインストルメントパネル1に取付ける場合、取付け板17の位置決め孔17aに位置決めピン18を挿入、貫通させた後に、タッピングスクリュ19等の取付け部材を用いて、取付け板17をインストルメントパネル1の下側取付け部1cに締結固定すると、メータユニット3の下部をインストルメントパネル1に取付けることができる。
ここで、図3に示すように、メータユニット3の前側下部に対応して、上記裏面板15の下部には、衝撃荷重入力時に該メータユニット3の上方移動を助長する第1傾斜部S1が一体形成されている。
【0029】
この実施例では、図3に示すように、該第1傾斜部S1は前側が高く、後側が低くなるように前高後低状にスラント形成されている。
また、この第1傾斜部S1と車両の前後方向に対向するインストルメントパネル1の一部には、同図に示すように、上述のメータユニット3を斜め上方に案内移動させる第2傾斜部S2がインストルメントパネル1と一体に形成されている。この第2傾斜部S2も上述の第1傾斜部S1と同様に、前側が高く、後側が低くなるように前高後低状にスラント形成されている。
【0030】
さらに、メータユニット3の下方部におけるインストルメントパネル1において、上述の第2傾斜部S2と下側取付け部1cとの間には、図3に示すように、溝形状の脆弱部20を形成しており、コラムカバー8の前方移動の際に、該コラムカバー8がメータユニット3に当接して、インストルメントパネル1に所定以上の前後方向荷重が加わると、上記脆弱部20が破断するように構成している。
【0031】
加えて、図1に示すように、第1傾斜部S1および第2傾斜部S2の前方において、ステアリングメンバ10に取付けられた下側のステアリング支持ブラケット12には、コラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3を斜め上方に案内移動させる第3傾斜部S3が一体形成されている。この第3傾斜部S3は強度部材としてのステアリング支持ブラケット12に形成されたものであって、メータユニット3の上方移動の確実化を図るものである。
【0032】
一方、図1、図4に示すように、メータユニット3の裏面板15の上部には、前方に延びる支持脚21を一体形成し、この支持脚21の前側下部には支持部22を介して車両の前後方向に延びるクリップ23が一体形成されている。
また、該クリップ23と対応してインストルメントパネル1の上側取付け部1bには、クロップ係合孔24が開口形成されており、支持脚21およびクリップ23側には該クリップ係合孔24のリヤ側孔縁に当接するストッパ21a,23aが一体形成されている。
【0033】
メータユニット3の上部をインストルメントパネル1に取付ける場合、支持脚21の前部に一体形成したクリップ23を、インストルメントパネル1における上側取付け部1bのクリップ係合孔24に係合させると、メータユニット3の上部をインストルメントパネル1に取付けることができる。
ここで、上述の支持脚21の肉厚は、コラムカバー8の前方移動の際に、該コラムカバー8がメータユニット3に当接して、該メータユニット3に所定以上の前後方向荷重が加わった時、該支持脚21が破断(図10参照)するように設定されている。
【0034】
図3で示したメータユニット3の下部取付け構造と、図4で示したメータユニット3の上部取付け構造とにより、該メータユニット3は、コラムカバー8の当接によりその取付けが解徐されて上方へ移動可能となるようにインストルメントパネル1に取付けられたものである。
【0035】
ところで、図2に示すように、インストルメントパネル1とメータフード2とは分割形成されている。
インストルメントパネル1は、ドライバーズ側(図示左側)とパッセンジャーズ側(図示右側)との間に位置して、車室後方に膨出形成されたセンタ部1dを有すると共に、センタ部1dを除くインストルメントパネル1は、トップデッキ部1aと、このトップデッキ部1aの後端に続くアール部1eと、該アール部1eの下部から下方に延びる縦断面部1fと、を連続形成したものである。
【0036】
インストルメントパネル1のドライバーズ側には、後方が開放する平面視略半円形状の開口部25がそのトップデッキ部1aの後半部から縦面部1fの上部にかけて開放形成されている。
上述の開口部25の口縁部25aには、該口縁部25aに沿って凹形状の溝26が形成されている。
【0037】
図5の(a)は溝26の形状を示すために該溝26を斜め上方から目視した状態での斜視図、図5の(b)は図5の(a)のX−X線断面図、図5の(C)は図5の(a)のY−Y線断面図、図5の(d)は図5の(a)のZ−Z線断面図である。
上述の凹形状の溝26は、図5の(b)に示すように、その前部においては車両前方側に窪み、図5の(c)に示すように、その側部においては、車幅方向に窪み、図5の(d)に示すように、その後部においては、縦面部1fから車両前方側に窪むように、上記口縁部25aに沿って連続して形成されている。この凹形状の溝26の構成により、後述する衝撃荷重の入力時に、メータフード2側の係入片27が該溝26から外れやすくなるように形成したものである。
【0038】
メータフード2は、図2に示すように、その下側外周部には上述の溝26と一致するように係入片27が一体形成されており、乗員(ドライバ)と対向するその後端部はアーチ状に形成されていて、上記係入片27と後端のアーチ部2aとをなだらかな曲面形状にて連続形成したドーム型に構成されている。
【0039】
図6はインストルメントパネル1とメータフード2とを組合せた状態下における図2のA−A線矢視断面図であって、メータフード2の前縁部中央には上述の係入片27よりもさらに車両前方側へ突出する爪部28が一体形成されており、この爪部28と対応して、インストルメントパネル1の溝26の前縁部中央には、該爪部28を係合するための係合部29が形成されている。
【0040】
図6に示すように、係合部29は車両の前後方向に貫通形成された開口構造であって、この係合部29に上述の爪部28を係合した時、該爪部28の係止突部後面28aを、係合部29の上側前部口縁29aで係止するように構成している。
また、図6に示すように、係合部29の上下方向の開口幅は、衝突時におけるメータフード2の上方移動を円滑にする目的で、爪部28の上下方向の肉厚に対して充分大きく形成されている。
【0041】
メータフード2の前縁部(係入片27参照)をインストルメントパネル1と連結部にて連結するが、この連結部30は、図6に示すように、インストルメントパネル1の溝26にメータフード2の前縁部を挿入すると共に、メータフード2の前縁部に形成した上述の爪部28をインストルメントパネル1の係合部29に係合するように構成したものである。
【0042】
図7は図2のB−B線矢視断面図(但し、インストルメントパネル1とメータフード2とを組合せた状態での断面図)である。換言すれば、上述の爪部28および係合部29から車幅方向に離間した位置において溝26と係入片27との関係を示す基本断面である。
【0043】
図7に示すように、係入片27の上下方向の肉厚に対して、溝26の上下方向の開口幅は充分大きく形成されており、後述するメータフード2の上方への回動を容易にすべく構成している。
【0044】
図2に示すように、該メータフード2の下部には係入片27の外端と一致する位置まで延びる複数のリブ31…が一体形成されている。この実施例では、合計4つのリブ31を例示しているが、リブ31の形成数はそれ以外であってもよい。
【0045】
図8は、該リブ31が形成された部位の断面図であって、上述の係入片27の上下方向の肉厚と、リブ31の上下方向の高さとの合計寸法は、凹形状の溝26の上下方向の寸法と略同等に設定されている。
【0046】
また、図6、図7、図8に示すように、上述の係止片27および爪部28の付け根部には、溝26上側の口縁部25aおよび係合部29上側の口縁部25aに当接するシール部32が、該口縁部25aに沿うように連続して形成されている。このシール部32は、後述する発泡ウレタン層41の形成時に、発泡ウレタンが不必要な部分に侵入するのを防止する。
【0047】
図9は図2のC−C線矢視断面図(但し、インストルメントパネル1とメータフード2とを組合せた状態下における断面図)である。
【0048】
図2、図9に示すように、メータフード2においてインストルメントパネル1の縦面部1fと対応する部位には、インストルメントパネル1とメータフード2との上下方向および左右方向の位置決めを行なう左右一対の位置決め部材としての位置決めピン33,33を、メータフード2と一体形成している。
また、インストルメントパネル1の縦面部1fには、上述の位置決めピン33を挿入するための位置決め孔34を開口形成する一方、位置決めピン33の付け根部と、アーチ部2aの端部近傍にはシール部35,36をメータフード2とそれぞれ一体に形成している。
【0049】
しかも、図1、図6〜図9に示すように、メータフード2の前縁部をインストルメントパネル1と連結部30にて連結し、かつ左右一対の位置決めピン33でメータフード2とインストルメントパネル1とを上下左右方向に位置決めした状態下において、インストルメントパネル1とメータフード2との外表面に表面層40を一体形成している。
これらの各図に示すように、上述の表面層40は発泡ウレタン層(発泡層41)と、表面層42との2層構造に形成されているが、該表面層40は必ずしも2層構造に限定されるものではない。
【0050】
図10は非衝突時(ノーマル時)の状態を仮想線αで示し、車両の正面衝突時の実線で示す作用説明図であって、車両が衝突し、ドライバの上体が前のめりに挙動すると、ステアリングホイール7には衝撃荷重が作用する。
【0051】
この衝撃荷重の作用時に図示しないコラプシブル機構によりコラムカバー8が車両の前方へ移動するが、このコラムカバー8の前方移動時に、該コラムカバー8がメータユニット3と当接し、メータユニット3はその上下の取付けが解徐されて、図10に仮想線で示す位置から同図に実線で示すように上方へ移動し、このメータユニット3の上方移動により、該メータユニット3がその上側のメータフード2と干渉し、該メータフード2は上述の連結部30(図6参照)、なかんずく、爪部28の係合ポイントを起点として、図6、図7に仮想線βで、また図10に実線でそれぞれ示すように、上方へ回動するように構成されており、これにより、ステアリングコラム4、ステアリングシャフト5、ステアリングホイール7の前方移動量を確保し、衝撃吸収性を高めて、乗員の安全性向上を図るものである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0052】
このように、上記実施例の車両のインストルメントパネル周辺構造は、メータフード2とメータユニット3とが取付けられたインストルメントパネル1と、上記メータユニット3の下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラム4と、該ステアリングコラム4におけるインストルメントパネル1よりも後方の部分に取付けられたコラムカバー8とを有し、上記ステアリングコラム4が後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、上記コラムカバー8がステアリングコラム4の移動方向視において上記メータユニット3と重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造であって、上記インストルメントパネル1とメータフード2とは分割形成され、上記メータフード2の前縁部をインストルメントパネル1と連結部30(図6参照)にて連結した状態でインストルメントパネル1とメータフード2とに一体成形した表面層40を設け、上記メータユニット3は、コラムカバー8の当接によりその取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネル1に取付けられ、上記後方からの衝撃荷重の作用時に上記コラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3がコラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニット3がメータフード2と干渉することで該メータフード2が上記連結部30(図6参照)を起点として上方へ回動するように構成したものである(図1、図6参照)。
【0053】
この構成によれば、インストルメントパネル1とメータフード2とに一体成形した表面層40を設けたので、これら両者1,2間の分割ラインが外方から目視不可となって、外観品質を高めることができる。
【0054】
しかも、衝撃荷重の作用時(衝突時)に、コラムカバー8が前方へ移動した時、メータユニット3がコラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方へ移動し、メータユニット3がメータフード2と干渉することで該メータフード2が上述の連結部30(図6参照)を起点として上方へ回動するので、ステアリングコラム4の前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる。
要するに、外観品質の向上と、ステアリングコラム14の前方移動量確保による衝撃吸収性の向上と、の両立を図ることができる。
【0055】
また、上記メータフード2の前縁部とインストルメントパネル1との連結部30(図6参照)は、インストルメントパネル1の溝26にメータフード2の前縁部(特に、その係入片27参照)を挿入すると共に、メータフード2の前縁部に形成した爪部28をインストルメントパネル1の係合部29に係合するように構成されているものである(図6、図7参照)。
この構成によれば、インストルメントパネル1の溝26に対してメータフード2の前縁部を挿入する構成と、メータフード2の爪部28をインストルメントパネル1の係合部29に係合する構成により、表面層40の発泡一体成形を可能にできると共に、衝突時にメータフード2を、上記連結部30を起点として容易に上方へ回動させることができる。
【0056】
さらに、上記メータユニット3の前側下部に衝撃荷重入力時に該メータユニット3の上方移動を助長する第1傾斜部S1を設けると共に、該第1傾斜部S1と対向するインストルメントパネル1の一部にメータユニット3を斜め上方に案内移動させる第2傾斜部S2を設けたものである(図1、図3参照)。
この構成によれば、衝突時に第1傾斜部S1が第2傾斜部S2に沿って移動するので、メータユニット3の斜め上方への移動を確保することができる。
【0057】
また、車幅方向に配設されて上記ステアリングコラム4を支持するステアリングメンバ10を設け、該ステアリングメンバ10に、上記コラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3を斜め上方に案内移動させる第3傾斜部S3を取付けたものである(図1参照)。
この構成によれば、ステアリングメンバ10に取付けた第3傾斜部S3でメータユニット3の斜め上方への移動を確実に行なうことができる。この実施例では、上記第3傾斜部S3は剛性が高い下側のステアリング支持ブラケット12に形成されているため、メータユニットの斜め上方への移動の確実化を図ることができる。
【0058】
さらに、上記インストルメントパネル1とメータフード2との上下方向および左右方向の位置決めを行なう位置決め部材(位置決めピン33参照)を備えたものである(図2、図9参照)。
この構成によれば、位置決め部材(位置決めピン33参照)によりインストルメントパネル1とメータフード2とを上下左右に位置決めすることができ、表面層40として発泡一体成形を行なう場合、発泡材(発泡ウレタン層41参照)の不必要な部分への侵入防止とシール漏れとを図ることができる。
【0059】
また、実施例で開示(図6参照)したように、爪部28の上下方向の肉厚に対して、係合部29の上下方向の開口寸法を充分に広く設定すると、上記衝撃荷重の作用時におけるメータフード2の上方への回動がより一層容易となる。
さらに、実施例で開示(図7参照)したように、メータフード2側の係入片27の上下方向の肉厚に対して、インストルメントパネル6における溝26の上下方向の開口寸法を充分に広く設定すると、上述同様にして、上記衝撃荷重の作用時におけるメータフード2の上方への回動がより一層容易となる。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の位置決め部材は、実施例の位置決めピン33に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
1…インストルメントパネル
2…メータフード
3…メータユニット
4…ステアリングコラム
8…コラムカバー
10…ステアリングメンバ
26…溝
28…爪部
29…係合部
30…連結部
33…位置決めピン(位置決め部材)
40…表面層
S1…第1傾斜部
S2…第2傾斜部
S3…第3傾斜部
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重(車両の正面衝突時にドライバが前のめりになる荷重)を受けた時、前方に移動するように構成されると共に、コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インストルメントパネルには、メータユニットと、該メータユニットを覆うメータフードとが取付けられており、上述のメータユニットの下方には車両後方に延びるステアリングコラムが設けられ、このステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分にはコラムカバーが取付けられている。
【0003】
そして、車両の正面衝突時にはステアリングホイールのホイールパッドに設けたエアバッグが展開するが、ドライバが前のめりとなってエアバッグに衝突する時、ステアリングコラムには後方からの衝撃荷重が作用する。
この際、乗員の安全性を高める目的で、ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重を受けた時、該ステアリングコラムが前方に移動(コラプシブル移動)するように構成(いわゆる、コラプシブルに構成)されていると共に、メータフードの上端位置を可及的下げて広い前方視界を確保するために、コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なるように配設されるのが一般的である。
【0004】
このように、ステアリングコラムを囲繞するコラムカバーが該ステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なるように配設されていると、前方視界が広くなる利点がある反面、ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重を受けた時、コラムカバーがメータユニットと干渉してステアリングコラムの円滑な前方移動を阻害することがある。
【0005】
このことは、チルトハンドルにおいて、ステアリングホイールを最上位にチルトアップさせた場合に、特に顕著となる。
このような問題点を解決するために、本出願人等は既に特許文献1に記載の自動車のインストルメントパネル周辺構造を発明した。
【0006】
すなわち、該特許文献1に記載の構造は、インストルメントパネルに対してそれぞれ別部材で構成されたメータユニットとメータフードとを設け、メータユニットの取付け部周辺と対応してインストルメントパネルには脆弱部を形成すると共に、メータフードも脆弱部を介してインストルメントパネルに取付けたものであって、コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視においてメータユニットと重なって配設されていても、衝撃荷重の入力時にコラムカバーが前方移動してメータユニットと干渉した際、脆弱部を破断してメータユニットを上方に変位させ、かつメータユニットの上方変位によりメータユニットとメータフードが干渉した際、脆弱部を破断してメータフードを上方に変位させることで、ステアリングコラムの円滑な前方移動を確保したものである。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に開示された従来構造においては、インストルメントパネルに対してメータフードが分割形成されている関係上、両者(インストルメントパネルとメータフードとの間)間に必然的に分割ライン(いわゆるパーティングライン)が形成され、見栄え等の品質上の外観の悪化を招く問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−83746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、インストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設けることにより、外観品質を高めることができると共に、衝突時には、メータフードが連結部を起点として容易に上方へ回動するように成すことで、ステアリングコラムの前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる車両のインストルメントパネル周辺構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による車両のインストルメントパネル周辺構造は、メータフードとメータユニットとが取付けられたインストルメントパネルと、上記メータユニットの下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラムと、該ステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分に取付けられたコラムカバーとを有し、上記ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、上記コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視において上記メータユニットと重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造であって、上記インストルメントパネルとメータフードとは分割形成され、上記メータフードの前縁部をインストルメントパネルと連結部にて連結した状態でインストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設け、上記メータユニットは、コラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネルに取付けられ、衝撃荷重の作用時に上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上記連結部を起点として上方へ回動するように構成したものである。
【0011】
上記構成によれば、インストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設けたので、これら両者間の分割ラインが外方から目視不可となって、外観品質を高めることができる。
しかも、衝撃荷重の作用時(衝突時)に、コラムカバーが前方へ移動した時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上述の連結部を起点として上方へ回動するので、ステアリングコラムの前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる。
要するに、外観品質の向上と、ステアリングコラムの前方移動量確保による衝撃吸収性の向上と、の両立を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記メータフードの前縁部とインストルメントパネルとの連結部は、インストルメントパネルの溝にメータフードの前縁部を挿入すると共に、メータフードの前縁部に形成した爪部をインストルメントパネルの係合部に係合するように構成されているものである。
上記構成によれば、インストルメントパネルの溝に対してメータフードの前縁部を挿入する構成と、メータフードの爪部をインストルメントパネルの係合部に係合する構成により、表面層の発泡一体成形を可能にできると共に、衝突時にメータフードを、上記連結部を起点として容易に上方へ回動させることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記メータユニットの前側下部に衝撃荷重入力時に該メータユニットの上方移動を助長する第1傾斜部を設けると共に、該第1傾斜部と対向するインストルメントパネルの一部にメータユニットを斜め上方に案内移動させる第2傾斜部を設けたものである。
上記構成によれば、衝突時に第1傾斜部が第2傾斜部に沿って移動するので、メータユニットの斜め上方への移動を確保することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、車幅方向に配設されて上記ステアリングコラムを支持するステアリングメンバを設け、該ステアリングメンバに、上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットを斜め上方に案内移動させる第3傾斜部を取付けたものである。
上記構成によれば、ステアリングメンバに取付けた第3傾斜部でメータユニットの斜め上方への移動を確実に行なうことができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記インストルメントパネルとメータフードとの上下方向および左右方向の位置決めを行なう位置決め部材を備えたものである。
上記構成によれば、位置決め部材によりインストルメントパネルとメータフードとを上下左右に位置決めすることができ、表面層として発泡一体成形を行なう場合、発泡材の不必要な部分への侵入防止とシール漏れとを図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、インストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設けることにより、外観品質を高めることができると共に、衝突時には、メータフードが連結部を起点として容易に上方へ回動するように成したので、ステアリングコラムの前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の車両のインストルメントパネル周辺構造を示す側面図
【図2】インストルメントパネルとメータフードの分解斜視図
【図3】図1の部分拡大側面図
【図4】図1の部分拡大側面図
【図5】(a)は溝形状を示す斜視図、(b)は図5の(a)のX−X線断面図、(c)は図5の(a)のY−Y線断面図、(d)は図5の(a)のZ−Z線断面図
【図6】インストルメントパネルとメータフードを組合せた状態下における図2のA−A線矢視断面図
【図7】インストルメントパネルとメータフードを組合せた状態下における図2のB−B線矢視断面図
【図8】リブが形成された部位の断面図
【図9】インストルメントパネルとメータフードを組合せた状態下における図2のC−C線矢視断面図
【図10】車両衝突時の作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
インストルメントパネル周辺構造の外観品質を高めると共に、衝突時にメータフードの上方への回動を容易として、ステアリングコラムの前方移動量を確保し、衝撃吸収性を高めるという目的を、メータフードとメータユニットとが取付けられたインストルメントパネルと、上記メータユニットの下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラムと、該ステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分に取付けられたコラムカバーとを有し、上記ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、上記コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視において上記メータユニットと重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造において、上記インストルメントパネルとメータフードとは分割形成され、上記メータフードの前縁部をインストルメントパネルと連結部にて連結した状態でインストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設け、上記メータユニットは、コラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネルに取付けられ、衝撃荷重の作用時に上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上記連結部を起点として上方へ回動するように構成することで実現した。
【実施例】
【0019】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のインストルメントパネル周辺構造を示し、図1はステアリングホイールの中心部近傍で断面した縦断面図、図2はインストルメントパネルおよびメータフードの分解斜視図である。なお、以下の実施例においては左ハンドル車に適用した場合について例示しているが、右ハンドル車についても適用可能である。
【0020】
図1、図2に示すように、インストルメントパネル1には、運転席(ドライバーズシート)の前方において、メータフード2およびメータユニット3が設けられている。
図1に示すように、メータユニット3の下方を車両前後方向に貫通して車両の後方に延びるステアリングコラム4が設けられており、このステアリングコラム4の内部にはステアリングシャフト5が配設されている。
【0021】
上述のステアリングシャフト5の車内側の端部には、ホイールパッド6を介してステアリングホイール7が取付けられており、ステアリングホイール7の操作時に、ステアリングシャフト5、および図示しないユニバーサルジョイント、連結シャフト、ステアリングギヤ、タイロッド、ナックルアームを介して前輪を操舵すべく構成している。なお、上述のホイールパッド6にはエアバッグ装置(図示せず)が内蔵されている。
【0022】
また、上述のステアリングコラム4におけるインストルメントパネル1よりも後方の部分には、コラムカバー8が取付けられる一方、上述のステアリングコラム4およびステアリングシャフト5は車両の正面衝突時にドライバが前のめりになる荷重、つまり後方からの衝撃荷重の作用時に車両前方に移動可能(コラプシブル)となるように構成されている。
【0023】
さらに、上述のステアリングコラム4、ステアリングシャフト5およびステアリングホイール7は図示しないチルトセンタを中心としてステアリングホイール7の位置が上下方向に調整可能(チルト)となるように構成されている。
なお、上述のコラプシブル機構およびチルト機構は周知構造であるため、その図示を省略している。
【0024】
そして、上述のコラムカバー8はステアリングコラム4の移動方向視(車両前方へのコラプシブル移動方向視)において、上述のメータユニット3と重なるように配設されている。
また、該メータユニット3の下部にはカバー部材9が取付けられる一方、インストルメントパネル1の内方部には、車幅方向に延びる強度部材としてのステアリングメンバ10が設けられており、このステアリングメンバ10におけるステアリングコラム4対応部には、該ステアリングメンバ10を上下から挟持するステアリング支持ブラケット11,12を設け、下側のステアリング支持ブラケット12でステアリングコラム4を支持するように構成している。
つまり、車幅方向に配設されてステアリングコラム4を支持するところのステアリングメンバ10が設けられたものである。
【0025】
ところで、図1に示すように、上述のメータユニット3は、メータケース13と、メータケース13の乗員側の表面に設けられたフロントレンズ14と、メータケース13の裏面側(車両の前方側)に一体に設けられたメータユニット取付け用の裏面板15と、を備えている。
上述のメータユニット3は裏面板15を介して、該メータユニット3の下部およびメータユニット3の上部がインストルメントパネル1に取付けられている。
【0026】
図1におけるメータユニット3の下部取付け構造を図3に示し、メータユニット3の上部取付け構造を図4に示す。
図3において、裏面板15の下辺部15aには、斜め前方下方に延びる支持脚16を介して取付け板17を合成樹脂で一体形成している。
【0027】
一方、上述のインストルメントパネル1には、図1に示すように、そのトップデッキ部1aに対して、下方かつ後方に位置する上側取付け部1bと、この上側取付け部1bよりもさらに下方かつ後方に位置する下側取付け部1cとが一体形成されている。
そして、図3に拡大図で示すように、インストルメントパネル1の下側取付け部1cには、車内側に向けて突出する位置決めピン18を一体形成しており、この位置決めピン18と対応するメータユニット3側の取付け板17には位置決め孔17aが形成されている。
【0028】
メータユニット3の下部をインストルメントパネル1に取付ける場合、取付け板17の位置決め孔17aに位置決めピン18を挿入、貫通させた後に、タッピングスクリュ19等の取付け部材を用いて、取付け板17をインストルメントパネル1の下側取付け部1cに締結固定すると、メータユニット3の下部をインストルメントパネル1に取付けることができる。
ここで、図3に示すように、メータユニット3の前側下部に対応して、上記裏面板15の下部には、衝撃荷重入力時に該メータユニット3の上方移動を助長する第1傾斜部S1が一体形成されている。
【0029】
この実施例では、図3に示すように、該第1傾斜部S1は前側が高く、後側が低くなるように前高後低状にスラント形成されている。
また、この第1傾斜部S1と車両の前後方向に対向するインストルメントパネル1の一部には、同図に示すように、上述のメータユニット3を斜め上方に案内移動させる第2傾斜部S2がインストルメントパネル1と一体に形成されている。この第2傾斜部S2も上述の第1傾斜部S1と同様に、前側が高く、後側が低くなるように前高後低状にスラント形成されている。
【0030】
さらに、メータユニット3の下方部におけるインストルメントパネル1において、上述の第2傾斜部S2と下側取付け部1cとの間には、図3に示すように、溝形状の脆弱部20を形成しており、コラムカバー8の前方移動の際に、該コラムカバー8がメータユニット3に当接して、インストルメントパネル1に所定以上の前後方向荷重が加わると、上記脆弱部20が破断するように構成している。
【0031】
加えて、図1に示すように、第1傾斜部S1および第2傾斜部S2の前方において、ステアリングメンバ10に取付けられた下側のステアリング支持ブラケット12には、コラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3を斜め上方に案内移動させる第3傾斜部S3が一体形成されている。この第3傾斜部S3は強度部材としてのステアリング支持ブラケット12に形成されたものであって、メータユニット3の上方移動の確実化を図るものである。
【0032】
一方、図1、図4に示すように、メータユニット3の裏面板15の上部には、前方に延びる支持脚21を一体形成し、この支持脚21の前側下部には支持部22を介して車両の前後方向に延びるクリップ23が一体形成されている。
また、該クリップ23と対応してインストルメントパネル1の上側取付け部1bには、クロップ係合孔24が開口形成されており、支持脚21およびクリップ23側には該クリップ係合孔24のリヤ側孔縁に当接するストッパ21a,23aが一体形成されている。
【0033】
メータユニット3の上部をインストルメントパネル1に取付ける場合、支持脚21の前部に一体形成したクリップ23を、インストルメントパネル1における上側取付け部1bのクリップ係合孔24に係合させると、メータユニット3の上部をインストルメントパネル1に取付けることができる。
ここで、上述の支持脚21の肉厚は、コラムカバー8の前方移動の際に、該コラムカバー8がメータユニット3に当接して、該メータユニット3に所定以上の前後方向荷重が加わった時、該支持脚21が破断(図10参照)するように設定されている。
【0034】
図3で示したメータユニット3の下部取付け構造と、図4で示したメータユニット3の上部取付け構造とにより、該メータユニット3は、コラムカバー8の当接によりその取付けが解徐されて上方へ移動可能となるようにインストルメントパネル1に取付けられたものである。
【0035】
ところで、図2に示すように、インストルメントパネル1とメータフード2とは分割形成されている。
インストルメントパネル1は、ドライバーズ側(図示左側)とパッセンジャーズ側(図示右側)との間に位置して、車室後方に膨出形成されたセンタ部1dを有すると共に、センタ部1dを除くインストルメントパネル1は、トップデッキ部1aと、このトップデッキ部1aの後端に続くアール部1eと、該アール部1eの下部から下方に延びる縦断面部1fと、を連続形成したものである。
【0036】
インストルメントパネル1のドライバーズ側には、後方が開放する平面視略半円形状の開口部25がそのトップデッキ部1aの後半部から縦面部1fの上部にかけて開放形成されている。
上述の開口部25の口縁部25aには、該口縁部25aに沿って凹形状の溝26が形成されている。
【0037】
図5の(a)は溝26の形状を示すために該溝26を斜め上方から目視した状態での斜視図、図5の(b)は図5の(a)のX−X線断面図、図5の(C)は図5の(a)のY−Y線断面図、図5の(d)は図5の(a)のZ−Z線断面図である。
上述の凹形状の溝26は、図5の(b)に示すように、その前部においては車両前方側に窪み、図5の(c)に示すように、その側部においては、車幅方向に窪み、図5の(d)に示すように、その後部においては、縦面部1fから車両前方側に窪むように、上記口縁部25aに沿って連続して形成されている。この凹形状の溝26の構成により、後述する衝撃荷重の入力時に、メータフード2側の係入片27が該溝26から外れやすくなるように形成したものである。
【0038】
メータフード2は、図2に示すように、その下側外周部には上述の溝26と一致するように係入片27が一体形成されており、乗員(ドライバ)と対向するその後端部はアーチ状に形成されていて、上記係入片27と後端のアーチ部2aとをなだらかな曲面形状にて連続形成したドーム型に構成されている。
【0039】
図6はインストルメントパネル1とメータフード2とを組合せた状態下における図2のA−A線矢視断面図であって、メータフード2の前縁部中央には上述の係入片27よりもさらに車両前方側へ突出する爪部28が一体形成されており、この爪部28と対応して、インストルメントパネル1の溝26の前縁部中央には、該爪部28を係合するための係合部29が形成されている。
【0040】
図6に示すように、係合部29は車両の前後方向に貫通形成された開口構造であって、この係合部29に上述の爪部28を係合した時、該爪部28の係止突部後面28aを、係合部29の上側前部口縁29aで係止するように構成している。
また、図6に示すように、係合部29の上下方向の開口幅は、衝突時におけるメータフード2の上方移動を円滑にする目的で、爪部28の上下方向の肉厚に対して充分大きく形成されている。
【0041】
メータフード2の前縁部(係入片27参照)をインストルメントパネル1と連結部にて連結するが、この連結部30は、図6に示すように、インストルメントパネル1の溝26にメータフード2の前縁部を挿入すると共に、メータフード2の前縁部に形成した上述の爪部28をインストルメントパネル1の係合部29に係合するように構成したものである。
【0042】
図7は図2のB−B線矢視断面図(但し、インストルメントパネル1とメータフード2とを組合せた状態での断面図)である。換言すれば、上述の爪部28および係合部29から車幅方向に離間した位置において溝26と係入片27との関係を示す基本断面である。
【0043】
図7に示すように、係入片27の上下方向の肉厚に対して、溝26の上下方向の開口幅は充分大きく形成されており、後述するメータフード2の上方への回動を容易にすべく構成している。
【0044】
図2に示すように、該メータフード2の下部には係入片27の外端と一致する位置まで延びる複数のリブ31…が一体形成されている。この実施例では、合計4つのリブ31を例示しているが、リブ31の形成数はそれ以外であってもよい。
【0045】
図8は、該リブ31が形成された部位の断面図であって、上述の係入片27の上下方向の肉厚と、リブ31の上下方向の高さとの合計寸法は、凹形状の溝26の上下方向の寸法と略同等に設定されている。
【0046】
また、図6、図7、図8に示すように、上述の係止片27および爪部28の付け根部には、溝26上側の口縁部25aおよび係合部29上側の口縁部25aに当接するシール部32が、該口縁部25aに沿うように連続して形成されている。このシール部32は、後述する発泡ウレタン層41の形成時に、発泡ウレタンが不必要な部分に侵入するのを防止する。
【0047】
図9は図2のC−C線矢視断面図(但し、インストルメントパネル1とメータフード2とを組合せた状態下における断面図)である。
【0048】
図2、図9に示すように、メータフード2においてインストルメントパネル1の縦面部1fと対応する部位には、インストルメントパネル1とメータフード2との上下方向および左右方向の位置決めを行なう左右一対の位置決め部材としての位置決めピン33,33を、メータフード2と一体形成している。
また、インストルメントパネル1の縦面部1fには、上述の位置決めピン33を挿入するための位置決め孔34を開口形成する一方、位置決めピン33の付け根部と、アーチ部2aの端部近傍にはシール部35,36をメータフード2とそれぞれ一体に形成している。
【0049】
しかも、図1、図6〜図9に示すように、メータフード2の前縁部をインストルメントパネル1と連結部30にて連結し、かつ左右一対の位置決めピン33でメータフード2とインストルメントパネル1とを上下左右方向に位置決めした状態下において、インストルメントパネル1とメータフード2との外表面に表面層40を一体形成している。
これらの各図に示すように、上述の表面層40は発泡ウレタン層(発泡層41)と、表面層42との2層構造に形成されているが、該表面層40は必ずしも2層構造に限定されるものではない。
【0050】
図10は非衝突時(ノーマル時)の状態を仮想線αで示し、車両の正面衝突時の実線で示す作用説明図であって、車両が衝突し、ドライバの上体が前のめりに挙動すると、ステアリングホイール7には衝撃荷重が作用する。
【0051】
この衝撃荷重の作用時に図示しないコラプシブル機構によりコラムカバー8が車両の前方へ移動するが、このコラムカバー8の前方移動時に、該コラムカバー8がメータユニット3と当接し、メータユニット3はその上下の取付けが解徐されて、図10に仮想線で示す位置から同図に実線で示すように上方へ移動し、このメータユニット3の上方移動により、該メータユニット3がその上側のメータフード2と干渉し、該メータフード2は上述の連結部30(図6参照)、なかんずく、爪部28の係合ポイントを起点として、図6、図7に仮想線βで、また図10に実線でそれぞれ示すように、上方へ回動するように構成されており、これにより、ステアリングコラム4、ステアリングシャフト5、ステアリングホイール7の前方移動量を確保し、衝撃吸収性を高めて、乗員の安全性向上を図るものである。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0052】
このように、上記実施例の車両のインストルメントパネル周辺構造は、メータフード2とメータユニット3とが取付けられたインストルメントパネル1と、上記メータユニット3の下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラム4と、該ステアリングコラム4におけるインストルメントパネル1よりも後方の部分に取付けられたコラムカバー8とを有し、上記ステアリングコラム4が後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、上記コラムカバー8がステアリングコラム4の移動方向視において上記メータユニット3と重なるように配設された車両のインストルメントパネル周辺構造であって、上記インストルメントパネル1とメータフード2とは分割形成され、上記メータフード2の前縁部をインストルメントパネル1と連結部30(図6参照)にて連結した状態でインストルメントパネル1とメータフード2とに一体成形した表面層40を設け、上記メータユニット3は、コラムカバー8の当接によりその取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネル1に取付けられ、上記後方からの衝撃荷重の作用時に上記コラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3がコラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニット3がメータフード2と干渉することで該メータフード2が上記連結部30(図6参照)を起点として上方へ回動するように構成したものである(図1、図6参照)。
【0053】
この構成によれば、インストルメントパネル1とメータフード2とに一体成形した表面層40を設けたので、これら両者1,2間の分割ラインが外方から目視不可となって、外観品質を高めることができる。
【0054】
しかも、衝撃荷重の作用時(衝突時)に、コラムカバー8が前方へ移動した時、メータユニット3がコラムカバー8の当接により取付けが解徐されて上方へ移動し、メータユニット3がメータフード2と干渉することで該メータフード2が上述の連結部30(図6参照)を起点として上方へ回動するので、ステアリングコラム4の前方移動量を充分に確保して、衝撃吸収性を高めることができる。
要するに、外観品質の向上と、ステアリングコラム14の前方移動量確保による衝撃吸収性の向上と、の両立を図ることができる。
【0055】
また、上記メータフード2の前縁部とインストルメントパネル1との連結部30(図6参照)は、インストルメントパネル1の溝26にメータフード2の前縁部(特に、その係入片27参照)を挿入すると共に、メータフード2の前縁部に形成した爪部28をインストルメントパネル1の係合部29に係合するように構成されているものである(図6、図7参照)。
この構成によれば、インストルメントパネル1の溝26に対してメータフード2の前縁部を挿入する構成と、メータフード2の爪部28をインストルメントパネル1の係合部29に係合する構成により、表面層40の発泡一体成形を可能にできると共に、衝突時にメータフード2を、上記連結部30を起点として容易に上方へ回動させることができる。
【0056】
さらに、上記メータユニット3の前側下部に衝撃荷重入力時に該メータユニット3の上方移動を助長する第1傾斜部S1を設けると共に、該第1傾斜部S1と対向するインストルメントパネル1の一部にメータユニット3を斜め上方に案内移動させる第2傾斜部S2を設けたものである(図1、図3参照)。
この構成によれば、衝突時に第1傾斜部S1が第2傾斜部S2に沿って移動するので、メータユニット3の斜め上方への移動を確保することができる。
【0057】
また、車幅方向に配設されて上記ステアリングコラム4を支持するステアリングメンバ10を設け、該ステアリングメンバ10に、上記コラムカバー8が前方移動する時、メータユニット3を斜め上方に案内移動させる第3傾斜部S3を取付けたものである(図1参照)。
この構成によれば、ステアリングメンバ10に取付けた第3傾斜部S3でメータユニット3の斜め上方への移動を確実に行なうことができる。この実施例では、上記第3傾斜部S3は剛性が高い下側のステアリング支持ブラケット12に形成されているため、メータユニットの斜め上方への移動の確実化を図ることができる。
【0058】
さらに、上記インストルメントパネル1とメータフード2との上下方向および左右方向の位置決めを行なう位置決め部材(位置決めピン33参照)を備えたものである(図2、図9参照)。
この構成によれば、位置決め部材(位置決めピン33参照)によりインストルメントパネル1とメータフード2とを上下左右に位置決めすることができ、表面層40として発泡一体成形を行なう場合、発泡材(発泡ウレタン層41参照)の不必要な部分への侵入防止とシール漏れとを図ることができる。
【0059】
また、実施例で開示(図6参照)したように、爪部28の上下方向の肉厚に対して、係合部29の上下方向の開口寸法を充分に広く設定すると、上記衝撃荷重の作用時におけるメータフード2の上方への回動がより一層容易となる。
さらに、実施例で開示(図7参照)したように、メータフード2側の係入片27の上下方向の肉厚に対して、インストルメントパネル6における溝26の上下方向の開口寸法を充分に広く設定すると、上述同様にして、上記衝撃荷重の作用時におけるメータフード2の上方への回動がより一層容易となる。
【0060】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の位置決め部材は、実施例の位置決めピン33に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
1…インストルメントパネル
2…メータフード
3…メータユニット
4…ステアリングコラム
8…コラムカバー
10…ステアリングメンバ
26…溝
28…爪部
29…係合部
30…連結部
33…位置決めピン(位置決め部材)
40…表面層
S1…第1傾斜部
S2…第2傾斜部
S3…第3傾斜部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メータフードとメータユニットとが取付けられたインストルメントパネルと、
上記メータユニットの下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラムと、
該ステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分に取付けられたコラムカバーとを有し、
上記ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、
上記コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視において上記メータユニットと重なるように配設された
車両のインストルメントパネル周辺構造であって、
上記インストルメントパネルとメータフードとは分割形成され、
上記メータフードの前縁部をインストルメントパネルと連結部にて連結した状態でインストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設け、
上記メータユニットは、コラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネルに取付けられ、
衝撃荷重の作用時に上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上記連結部を起点として上方へ回動するように構成した
車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項2】
上記メータフードの前縁部とインストルメントパネルとの連結部は、インストルメントパネルの溝にメータフードの前縁部を挿入すると共に、メータフードの前縁部に形成した爪部をインストルメントパネルの係合部に係合するように構成されている
請求項1記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項3】
上記メータユニットの前側下部に衝撃荷重入力時に該メータユニットの上方移動を助長する第1傾斜部を設けると共に、
該第1傾斜部と対向するインストルメントパネルの一部にメータユニットを斜め上方に案内移動させる第2傾斜部を設けた
請求項1または2記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項4】
車幅方向に配設されて上記ステアリングコラムを支持するステアリングメンバを設け、
該ステアリングメンバに、上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットを斜め上方に案内移動させる第3傾斜部を取付けた
請求項3記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項5】
上記インストルメントパネルとメータフードとの上下方向および左右方向の位置決めを行なう位置決め部材を備えた
請求項1〜4の何れか1に記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項1】
メータフードとメータユニットとが取付けられたインストルメントパネルと、
上記メータユニットの下方を貫通して車両後方に延びるステアリングコラムと、
該ステアリングコラムにおけるインストルメントパネルよりも後方の部分に取付けられたコラムカバーとを有し、
上記ステアリングコラムが後方からの衝撃荷重の作用時に前方に移動可能に構成されていると共に、
上記コラムカバーがステアリングコラムの移動方向視において上記メータユニットと重なるように配設された
車両のインストルメントパネル周辺構造であって、
上記インストルメントパネルとメータフードとは分割形成され、
上記メータフードの前縁部をインストルメントパネルと連結部にて連結した状態でインストルメントパネルとメータフードとに一体成形した表面層を設け、
上記メータユニットは、コラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方へ移動可能にインストルメントパネルに取付けられ、
衝撃荷重の作用時に上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットがコラムカバーの当接により取付けが解徐されて上方移動し、メータユニットがメータフードと干渉することで該メータフードが上記連結部を起点として上方へ回動するように構成した
車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項2】
上記メータフードの前縁部とインストルメントパネルとの連結部は、インストルメントパネルの溝にメータフードの前縁部を挿入すると共に、メータフードの前縁部に形成した爪部をインストルメントパネルの係合部に係合するように構成されている
請求項1記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項3】
上記メータユニットの前側下部に衝撃荷重入力時に該メータユニットの上方移動を助長する第1傾斜部を設けると共に、
該第1傾斜部と対向するインストルメントパネルの一部にメータユニットを斜め上方に案内移動させる第2傾斜部を設けた
請求項1または2記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項4】
車幅方向に配設されて上記ステアリングコラムを支持するステアリングメンバを設け、
該ステアリングメンバに、上記コラムカバーが前方移動する時、メータユニットを斜め上方に案内移動させる第3傾斜部を取付けた
請求項3記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項5】
上記インストルメントパネルとメータフードとの上下方向および左右方向の位置決めを行なう位置決め部材を備えた
請求項1〜4の何れか1に記載の車両のインストルメントパネル周辺構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−184006(P2011−184006A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54194(P2010−54194)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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