説明

車両のオートロック制御装置

【課題】この発明は、車両のドアの施錠を自動的に行うオートロックをより正確に実施でき、オートロック制御装置の利便性をより向上することを目的とする。
【解決手段】この発明は、車両の電源状態を検出する電源状態検出手段と、車両のドアの開閉を検出するドア開閉検出手段と、車内の乗員を検出する乗員検出手段と、所定条件の基でドアを自動的に施錠するオートロックを実施するオートロック実施手段と、乗員が携帯可能なリモコンキーと、リモコンキーが車外にあることを検出する車外リモコンキー検出手段と、リモコンキーが車内にあることを検出する車内リモコンキー検出手段と、を備え、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキーがないことが検出された場合にオートロックを実施することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両のオートロック制御装置に係り、特に、車両のドアの施錠を適切な時期に自動的に行うことができる車両のオートロック制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のようなメカニカルキーを用いずに車両のドアの解錠、施錠を行うことができるキーレスエントリーシステムが普及しつつある。このキーレスエントリーシステムは、リモコンキーの所持者が車両に設けられたスイッチを押したり、またはリモコンキーに設けられたドアの解錠、施錠用のボタンを押すといった動作を行うことで、車両のドアの解錠や施錠が可能となっている。
このようなキーレスエントリーシステムに関して、利便性の向上や防犯を目的とした車両のオートロック制御装置が提案されている。
車両のオートロック制御装置においては、オートロック制御を実施する場合、リモコンキーの所持者が車両から降車し、リモコンキーが車両側で検知できなくなった時(リモコンキー所持者が車両から遠ざかり、リモコンキーと車両側との間で通信できなくなった時)に、自動でドアロックを実施している。
【0003】
従来の車両のオートロック制御装置には、リモコンキーと車両の制御装置との間で無線通信を行ってドアを解錠、施錠するオートロック制御装置において、通信可能距離の異なる複数種類の無線通信のうち、ユーザの指定に対応した通信可能距離を持つ無線通信がリモコンキーと車両の本体機との間で成立しなくなったことに基づいてオートロック機能を実行するものがある。(特許第4022859号公報)
また、従来の車両のオートロック制御装置には、リモコンキーの所持者が車両から降りてドアが閉まった時点で所持者が車両から離れた位置にいても、リモコンキーから送信された間欠ID信号が車両の制御装置に受信された後、車両の制御装置からリモコンキーにリクエスト信号が届かなくなった時点でオートロックが作動するものである。(特開2008−50856号公報)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4022859号公報
【特許文献2】特開2008−50856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1及び特許文献2では、車内に乗員がいる場合でも、リモコンキーの所持者が車両から遠ざかれば自動的にドアロックを実施してしまうので、車内に残っている乗員にとっては好ましくない状況が発生する。このため、オートロックの利便性が阻害されるおそれがあった。
【0006】
この発明は、車両のドアの施錠を自動的に行うオートロックをより正確に実施でき、より利便性の向上したオートロック制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両のドアの施錠を自動的に行う車両のオートロック制御装置において、車両の電源状態を検出する電源状態検出手段と、車両のドアの開閉を検出するドア開閉検出手段と、車内の乗員を検出する乗員検出手段と、所定条件の基でドアを自動的に施錠するオートロックを実施するオートロック実施手段と、乗員が携帯可能なリモコンキーと、リモコンキーが車外にあることを検出する車外リモコンキー検出手段と、リモコンキーが車内にあることを検出する車内リモコンキー検出手段と、を備え、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキーがないことが検出された場合にオートロックを実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の車両のオートロック制御装置は、リモコンキーの所持者が車両とリモコンキーとの間で通信できないほど離れている場合であっても、車両の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。
この発明の車両のオートロック制御装置は、リモコンキーの所持者が全員降車するのを待つことなく、車両の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】車両のオートロック制御装置のフローチャートである。(実施例)
【図2】車両のオートロック制御装置のシステム構成図である。(実施例)
【図3】車両のオートロック制御装置のフローチャートである。(変形例)
【図4】車両のオートロック制御装置のシステム構成図である。(変形例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1・図2は、この発明の実施例を示すものである。図2において、1は車両、2はオートロック制御装置である。車両1のオートロック制御装置2は、車両1の電源状態を検出する電源状態検出手段3と、車両1のドアの開閉を検出するドア開閉検出手段4と、車内の乗員を検出する乗員検出手段5と、所定条件の基でドアを自動的に施錠するオートロックを実施するオートロック実施手段6と、乗員が携帯可能なリモコンキー7と、リモコンキー7が車外にあることを検出する車外リモコンキー検出手段8と、リモコンキー7が車内にあることを検出する車内リモコンキー検出手段9と、を備え、また、オートロックの実施を予告するオートロック予告手段10と、所定時間のカウントを行うタイマ11と、を備えている。
前記電源状態検出手段3と、ドア開閉検出手段4と、乗員検出手段5と、車外リモコンキー検出手段8と、車内リモコンキー検出手段9とは、制御手段12の入力側に接続されている。前記オートロック実施手段6と、オートロック予告手段10とは、制御手段12の出力側に接続されている。前記タイマ11は、制御手段12に内蔵されている。電源状態検出手段3〜オートロック実施手段6と、車外リモコンキー検出手段8〜制御手段12とは、車両1に搭載されている。前記リモコンキー7は、乗員が携帯して、車内、車外に移動可能である。
【0012】
オートロック制御装置2は、制御手段12によって、電源状態検出手段3により車両1の電源OFFが検出され、ドア開閉検出手段4によりドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、乗員検出手段5により車内に人がおらず且つドア開閉検出手段4によりすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内リモコンキー検出手段9により車内にリモコンキー7がないことが検出された場合に、オートロック実施手段6によりオートロックを実施する。
オートロック制御装置2は、制御手段12によって、電源状態検出手段3により車両1の電源OFFが検出され、ドア開閉検出手段4によりドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、乗員検出手段5により車内に人がおらず且つドア開閉検出手段4によりすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車外リモコンキー検出手段8により車外にリモコンキー7があることが検出された場合に、オートロック実施手段6によりオートロックを実施する。
オートロック制御装置2は、制御手段12によって、電源状態検出手段3により車両1の電源OFFが検出され、ドア開閉検出手段4によりドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、乗員検出手段5により車内に人がおらず且つドア開閉検出手段4によりすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内リモコンキー検出手段9により車内にリモコンキー7がないことが検出された若しくは車外リモコンキー検出手段8により車外にリモコンキー7があることが検出された場合に、オートロック予告手段10を駆動してオートロック実施を予告し且つタイマ11を作動させて所定時間のカウントを開始し、タイマ11による所定時間のカウント後にドアが閉じた状態にある場合にオートロック実施手段6によりオートロックを実施する。
オートロック制御装置2は、制御手段12によって、電源状態検出手段3により車両の電源OFFが検出され、ドア開閉検出手段4によりドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、乗員検出手段5により車内に人がおらず且つドア開閉検出手段4によりすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内リモコンキー検出手段9により車内にリモコンキー7があることが検出された場合には、オートロック実施手段6によりオートロックを実施しない。
【0013】
次に、車両1のオートロック制御装置2の作用を、図1に従い説明する
オートロック制御装置2は、図1に示すように、制御を開始すると(A01)、車両1の電源がOFFであるかを判断する(A02)。
前記「電源がOFF」とは、車両1の駐停車時に使用する電源位置であり、具体的にはエンジンが停止状態にある、またはエンジンを停止状態とする場合に使用する電源位置のことを指す。また、「電源がOFFであるか?」の判定時、そのフロー処理前の電源状態がONであるか(イグニッションON)、OFFであるか(イグニッションON)は問わない。つまり、フロー処理を行う前の電源状態がON状態であっても、OFF状態であっても良い。
前記判断(A02)がNOの場合は、制御を終了する(A16)。前記判断(A02)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$0とし(A03)、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したかを判断する(A04)。
前記「Fob_Out_Flag」は、リモコンキー7の存在位置を示すフラグであり、初期値を$0とし、車外にリモコンキー7が持ち出されたことが確認された場合は$1、車内にリモコンキー7があることが確認された場合は$0となる。
前記判断(A04)がNOの場合は、この判断(A04)を繰り返すことで、開いたドアが閉になるまで待ち状態となる。この判断(A04)がYESの場合は、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあるかを判断する(A05)。
この判断(A05)がNOの場合は、車外リモコンキー検出手段8を駆動して(A06)、車外にリモコンキー7があることが検出されたかを判断する(A07)。
この判断(A07)がNOの場合は、判断(A04)に戻り、待ち状態となる。この判断(A07)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$1(車外にリモコンキー7がある)とし(A08)、判断(A04)に戻る。
【0014】
前記判断(A05)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$1(車外にリモコンキー7がある)であるかを判断する(A09)。
この判断(A09)がYESの場合は、車内リモコンキー検出手段9を駆動して(A10)、車内にリモコンキー7があることが検出されないかを判断する(A11)。
この判断(A11)がNOの場合は、Fob_Out_Flag=$0(車内にリモコンキー7がある)とし(A12)、判断(A04)に戻り、待ち状態となる。この判断(A11)がYESの場合は、ブザーの吹鳴などにより乗員にオートロックの実施を予告し(A13)、オートロックの実施予告後、所定時間(例えば、15秒)すべてのドアが閉じた状態にあるかを判断する(A14)。
この判断(A14)がNOの場合は、判断(A04)に戻り、待ち状態となる。この判断(A14)がYESの場合は、オートロックを実施し(A15)、制御を終了する(A16)。
【0015】
一方、前記判断(A09)がNOの場合は、リモコンキー7が車外に持ち出されたかの確認ができていないので、車外リモコンキー検出手段8および車内リモコンキー検出手段9を駆動して(A17)、車外リモコンキー検出手段8のみがリモコンキー7を検出(車外にリモコンキー7がある)したかを判断する(A18)。
この判断(A18)がYESの場合は、リモコンキー7が車外に持ち出されたことが確認されたので、オートロックの実施予告(A13)に移行する。この判断(A18)がNOの場合は、車内リモコンキー検出手段9がリモコンキー7を検出(車内にリモコンキー7がある)したかを判断する(A19)。
この判断(A19)がNOの場合は、リモコンキー7が車内、車外で検出できないので、判断(A04)に戻り、待ち状態となる。この判断(A19)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$0(車内にリモコンキー7がある)とし(A20)、判断(A04)に戻り、待ち状態となる。
【0016】
車両1のオートロック制御装置2は、車両1の電源状態がONからOFFに遷移した場合、オートロック機能を有効とする。車両1の電源状態がONであれば、オートロック機能を無効とする。
オートロック制御装置2は、電源状態がOFFとなってオートロック機能が有効となった場合、ドア開閉待ち状態となる。いずれかのドアが開いた状態から閉じた状態に変化し、その際に乗員がまだ車内に残っている場合は、車外リモコンキー検出手段8を駆動させてリモコンキー7が車外に持ち出されたかの確認を、ドアの開閉がある度に行う。(A05〜A07)
その後、オートロック制御装置2は、乗員の全てが降車した状態を検知して全ドア閉された場合、再び車内にリモコンキー7が持ち込まれていないか確認するために、車内リモコンキー検出手段9を駆動させる。(A05、A09、A10)
その際に、リモコンキー7が車内で検知されず、かつ車外リモコンキー検出手段8を駆動させた際にリモコンキー7が車外に持ち出されていることの確認ができている場合、オートロックの実施をブザーの吹鳴などにより予告する。(A11、A17、A18、A13)
オートロックの実施予告後、所定時間(例えば、ブザー吹鳴後、15秒間)ドアが開かれなければ、オートロックを実施する。(A14、A15)
これにより、オートロック制御装置2は、従来技術の問題点としてあげた、リモコンキー7の所持者が車両1とリモコンキー7との間で通信ができないほど遠くに行った状態でも、オートロックは動作せず、乗員の全員が降車してからオートロックを動作させることができる。
また、オートロック制御装置2は、オートロックの実施予告後、所定時間内にいずれかのドアが開かれたならば(荷物の出し入れなどを想定)、オートロックは実施せずに、ドアが閉じられことを待ち受ける状態となる。(A14、A04)
オートロック制御装置2は、ドアが閉じられた際に車内リモコンキー検出手段9を再び駆動させてリモコンキー7が車外に持ち出されていることの確認を行い、リモコンキー7が車内になければオートロックの実施を予告し、オートロックの実施予告から所定時間が経過した後にオートロックを実施する。(A05、A09、A10、A11、A13〜A15)
【0017】
このように、オートロック制御装置2は、車両1の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキー7がないことが検出された場合にオートロックを実施する。
これにより、このオートロック制御装置2は、リモコンキー7の所持者が車両1とリモコンキー7との間で通信できないほど離れている場合であっても、車両1の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。また、このオートロック制御装置2は、リモコンキー7の所持者が全員降車するのを侍つことなく、車両1の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。
また、オートロック制御装置2は、車両1の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車外にリモコンキー7があることが検出された場合にオートロックを実施する。
これにより、オートロック制御装置2は、車両1の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。
さらに、オートロック制御装置2は、車両1の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキー7がないことが検出された若しくは車外にリモコンキー7があることが検出された場合に、オートロック予告手段10を駆動し且つタイマ11を作動させ、タイマ11による所定時間のカウント後にドアが閉じた状態にある場合にオートロックを実施する。
これにより、オートロック制御装置2は、オートロックの実施予告を行うことで、所定時間後にオートロックが作動することを乗員に知らせることができる。また、オートロック制御装置2は、オートロックの実施予告後の所定時間後にオートロックを実施するので、頻繁かつ不必要にオートロックが作動することを防止できる。
さらにまた、オートロック制御装置2は、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキー7があることが検出された場合にはオートロックを実施しない。
これにより、オートロック制御装置2は、リモコンキー7の車内閉じ込めを防止できる。
【0018】
図3・図4は、この発明の変形例を示すものである。変形例は、ユーザによってオートロック機能の有効、無効の選択が可能となっている。具体的には、変形例は車両1の駐停車状態を維持するパーキングブレーキの作動、非作動によってオートロック機能の有効、無効の選択が可能となっている。変形例において、前述実施例と同様の機能を果たす箇所には、同一の符号を付して説明する。図4において、1は車両、2はオートロック制御装置である。車両1のオートロック制御装置2は、電源状態検出手段3と、ドア開閉検出手段4と、乗員検出手段5と、オートロック実施手段6と、リモコンキー7と、車外リモコンキー検出手段8と、車内リモコンキー検出手段9と、オートロック予告手段10と、タイマ11と、を備えている。
前記電源状態検出手段3と、ドア開閉検出手段4と、乗員検出手段5と、車外リモコンキー検出手段8と、車内リモコンキー検出手段9とは、制御手段12の入力側に接続されている。前記オートロック実施手段6と、オートロック予告手段10とは、制御手段12の出力側に接続されている。前記タイマ11は、制御手段12に内蔵されている。電源状態検出手段3〜オートロック実施手段6と、車外リモコンキー検出手段8〜制御手段12とは、車両1に搭載されている。前記リモコンキー7は、乗員が携帯し、車内、車外に移動可能である。
変形例においては、車両1の駐停車状態を維持するパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキ作動状態検出手段13を備えている。パーキングブレーキ作動状態検出手段13は、制御手段12の入力側に接続されている。
オートロック制御装置2は、制御手段12によって、パーキングブレーキ作動状態検出手段13によりパーキングブレーキが作動状態にあることが検出され、電源状態検出手段3により車両の電源OFFが検出され、ドア開閉検出手段4によりドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、乗員検出手段5により車内に人がおらず且つドア開閉検出手段4によりすべてのドアが閉じた状態にあることが検出された時に、車外リモコンキー検出手段8によりリモコンキー7が車外にあることが検出された若しくは車内リモコンキー検出手段9によりリモコンキー7が車内に無いと判定された場合に、オートロック実施手段6によりオートロックを実施する。
【0019】
次に、変形例のオートロック制御装置2の作用を、図3に従い説明する
オートロック制御装置2は、図3に示すように、制御を開始すると(B01)、パーキングブレーキが作動状態であるかを判断する(B02)。この判断(B02)がNOの場合は、制御を終了する(B17)。この判断(B02)がYESの場合は、車両1の電源がOFFであるかを判断する(B03)。
前記「電源がOFF」とは、車両1の駐停車時に使用する電源位置であり、具体的にはエンジンが停止状態にある、またはエンジンを停止状態とする場合に使用する電源位置のことを指す。また、「電源がOFFであるか?」の判定時、そのフロー処理前の電源状態がONであるか(イグニッションON)、OFFであるか(イグニッションON)は問わない。つまり、フロー処理を行う前の電源状態がON状態であっても、OFF状態であっても良い。
前記判断(B03)がNOの場合は、制御を終了する(B17)。前記判断(B03)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$0とし(B04)、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したかを判断する(B05)。
前記「Fob_Out_Flag」は、リモコンキー7の存在位置を示すフラグであり、初期値を$0とし、車外にリモコンキー7が持ち出されたことが確認された場合は$1、車内にリモコンキー7があることが確認された場合は$0となる。
前記判断(B05)がNOの場合は、この判断(B05)を繰り返すことで、開いたドアが閉になるまで待ち状態となる。この判断(B05)がYESの場合は、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあるかを判断する(B06)。
この判断(B06)がNOの場合は、車外リモコンキー検出手段8を駆動して(B07)、車外にリモコンキー7があることが検出されたかを判断する(B08)。
この判断(B08)がNOの場合は、判断(B05)に戻り、待ち状態となる。この判断(B08)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$1(車外にリモコンキー7がある)とし(B09)、判断(B05)に戻る。
【0020】
前記判断(B06)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$1(車外にリモコンキー7がある)であるかを判断する(B10)。
この判断(B10)がYESの場合は、車内リモコンキー検出手段9を駆動して(B11)、車内にリモコンキー7があることが検出されないかを判断する(B12)。
この判断(B12)がNOの場合は、Fob_Out_Flag=$0(車内にリモコンキー7がある)とし(B13)、判断(B05)に戻り、待ち状態となる。この判断(B12)がYESの場合は、ブザーの吹鳴などにより乗員にオートロックの実施を予告し(B14)、オートロックの実施予告後、所定時間(例えば、15秒)すべてのドアが閉じた状態にあるかを判断する(B15)。
この判断(B15)がNOの場合は、判断(B05)に戻り、待ち状態となる。この判断(B15)がYESの場合は、オートロックを実施し(B16)、制御を終了する(B17)。
【0021】
一方、前記判断(B10)がNOの場合は、リモコンキー7が車外に持ち出されたかの確認ができていないので、車外リモコンキー検出手段8および車内リモコンキー検出手段9を駆動して(B18)、車外リモコンキー検出手段8のみがリモコンキー7を検出(車外にリモコンキー7がある)したかを判断する(B19)。
この判断(B19)がYESの場合は、リモコンキー7が車外に持ち出されたことが確認されたので、オートロックの実施予告(B14)に移行する。この判断(B19)がNOの場合は、車内リモコンキー検出手段9がリモコンキー7を検出(車内にリモコンキー7がある)したかを判断する(B20)。
この判断(B20)がNOの場合は、リモコンキー7が車内、車外で検出できないので、判断(B05)に戻り、待ち状態となる。この判断(B20)がYESの場合は、Fob_Out_Flag=$0(車内にリモコンキー7がある)とし(B21)、判断(B05)に戻り、待ち状態となる。
【0022】
車両1のオートロック制御装置2は、パーキングブレーキが作動状態で、且つ車両1の電源状態がONからOFFに遷移した場合、オートロック機能を有効とする。パーキングブレーキが非作動状態であれば、オートロック機能を無効とする。これにより、ユーザがオートロック機能の有効、無効の選択を、電源状態をONからOFFに遷移する際に、毎回することができる。(B01、B02)
オートロック制御装置2は、オートロック機能が有効となった場合、ドア開閉待ち状態となる。いずれかのドアが開いた状態から閉じた状態に変化し、その際に乗員がまだ車内に残っている場合は、車外リモコンキー検出手段8を駆動させてリモコンキー7が車外に持ち出されたかの確認を、ドアの開閉がある度に行う。(B06〜B08)
その後、オートロック制御装置2は、乗員の全てが降車した状態を検知して全ドア閉された場合、再び車内にリモコンキー7が持ち込まれていないか確認するために、車内リモコンキー検出手段9を駆動させる。(B06、B10、B11)
その際に、リモコンキー7が車内で検知されず、かつ車外リモコンキー検出手段8を駆動させた際にリモコンキー7が車外に持ち出されていることの確認ができている場合、オートロックの実施をブザーの吹鳴などにより予告する。(B12、B18、B19、B14)
オートロックの実施予告後、所定時間(例えば、ブザー吹鳴後、15秒間)ドアが開かれなければ、オートロックを実施する。(B15、B16)
これにより、オートロック制御装置2は、従来技術の問題点としてあげた、リモコンキー7の所持者が車両1とリモコンキー7との間で通信ができないほど遠くに行った状態でも、オートロックは動作せず、乗員の全員が降車してからオートロックを動作させることができる。
また、オートロック制御装置2は、オートロックの実施予告後、所定時間内にいずれかのドアが開かれたならば(荷物の出し入れなどを想定)、オートロックは実施せずに、ドアが閉じられことを待ち受ける状態となる。(B15、B05)
オートロック制御装置2は、ドアが閉じられた際に車内リモコンキー検出手段9を再び駆動させてリモコンキー7が車外に持ち出されていることの確認を行い、リモコンキー7が車内になければオートロックの実施を予告し、オートロックの実施予告から所定時間が経過した後にオートロックを実施する。(B06、B10、B11、B12、B14〜B16)
【0023】
このように、変形例のオートロック制御装置2は、パーキングブレーキの操作によって乗員がオートロックの実施要否を設定できる。これにより、車両1の整備を行う場合や短時間しか車両1から離れない場合など、乗員がオートロックの実施をして欲しくない状況である場合に、パーキングブレーキを非作動状態に操作することでオートロックの実施を防止できる。
また、オートロック制御装置2は、車両1の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキー7がないことが検出された場合にオートロックを実施するので、リモコンキー7の所持者が車両1とリモコンキー7との間で通信できないほど離れている場合であっても、車両1の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。また、このオートロック制御装置2は、リモコンキー7の所持者が全員降車するのを待つことなく、車両1の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。
さらに、オートロック制御装置2は、車両1の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車外にリモコンキー7があることが検出された場合にオートロックを実施するので、車両1の乗員全員の降車後にオートロックを実施できる。
さらにまた、オートロック制御装置2は、車両1の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキー7がないことが検出された若しくは車外にリモコンキー7があることが検出された場合に、オートロック予告手段10を駆動し且つタイマ11を作動させ、タイマ11による所定時間のカウント後にドアが閉じた状態にある場合にオートロックを実施するので、オートロックの実施予告を行うことで、所定時間後にオートロックが作動することを乗員に知らせることができる。また、オートロック制御装置2は、オートロックの実施予告後の所定時間後にオートロックを実施するので、頻繁かつ不必要にオートロックが作動することを防止できる。
また、オートロック制御装置2は、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキー7があることが検出された場合にはオートロックを実施しないので、リモコンキー7の車内閉じ込めを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明は、車両のドアの施錠を自動的に行うオートロックをより正確に実施でき、オートロックの利便性をより向上することができ、ドアの枚数にかかわらず各種の車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 車両
2 オートロック制御装置
3 電源状態検出手段
4 ドア開閉検出手段
5 乗員検出手段
6 オートロック実施手段
7 リモコンキー
8 車外リモコンキー検出手段
9 車内リモコンキー検出手段
10 オートロック予告手段
11 タイマ
12 制御手段
13 パーキングブレーキ作動状態検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの施錠を自動的に行う車両のオートロック制御装置において、車両の電源状態を検出する電源状態検出手段と、車両のドアの開閉を検出するドア開閉検出手段と、車内の乗員を検出する乗員検出手段と、所定条件の基でドアを自動的に施錠するオートロックを実施するオートロック実施手段と、乗員が携帯可能なリモコンキーと、リモコンキーが車外にあることを検出する車外リモコンキー検出手段と、リモコンキーが車内にあることを検出する車内リモコンキー検出手段と、を備え、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキーがないことが検出された場合にオートロックを実施することを特徴とする車両のオートロック制御装置。
【請求項2】
車両のドアの施錠を自動的に行う車両のオートロック制御装置において、車両の電源状態を検出する電源状態検出手段と、車両のドアの開閉を検出するドア開閉検出手段と、車内の乗員を検出する乗員検出手段と、所定条件の基でドアを自動的に施錠するオートロックを実施するオートロック実施手段と、乗員が携帯可能なリモコンキーと、リモコンキーが車外にあることを検出する車外リモコンキー検出手段と、リモコンキーが車内にあることを検出する車内リモコンキー検出手段と、を備え、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車外にリモコンキーがあることが検出された場合にオートロックを実施することを特徴とする車両のオートロック制御装置。
【請求項3】
オートロックの実施を予告するオートロック予告手段と、所定時間のカウントを行うタイマと、を備え、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキーがないことが検出された若しくは車外にリモコンキーがあることが検出された場合に前記オートロック予告手段を駆動し且つ前記タイマを作動させ、前記タイマによる所定時間のカウント後にドアが閉じた状態にある場合にオートロックを実施することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両のオートロック制御装置。
【請求項4】
車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出され、車内にリモコンキーがあることが検出された場合にはオートロックを実施しないことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両のオートロック制御装置。
【請求項5】
車両の駐停車状態を維持するパーキングブレーキの作動状態を検出するパーキングブレーキ作動状態検出手段を備え、パーキングブレーキが作動状態にあることが検出され、車両の電源OFFが検出され、ドアが開いた状態から閉じた状態に変化したことが検出され、車内に人がおらず且つすべてのドアが閉じた状態にあることが検出された時に、リモコンキーが車外にあることが検出された若しくはリモコンキーが車内に無いと判定された場合にオートロックを実施することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の車両のオートロック制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−40491(P2013−40491A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177935(P2011−177935)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】