説明

車両のシフト位置検出装置

【課題】シフトレバーが2軸方向に移動する場合であれ、シフト位置検出装置としての部品点数の増加を招くことなくシフトレバーのシフト位置を検出することが可能な車両のシフト位置検出装置を提供する。
【解決手段】このシフト位置検出装置は、車両のシフトレバーの2軸方向の操作に連動して互いに直交する2軸方向に移動するとともにこの移動に伴ってMREセンサ1に近接するカウンタ磁石2と、MREセンサ1にバイアス磁界を付与するバイアス磁石3とを備えている。そして、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近づくときに生じるバイアス磁界の磁気ベクトルの変化をMREセンサ1により感知してカウンタ磁石2のMREセンサ1への近接を検知するとともに、この検知に基づいてシフトレバーのシフト位置を検出する。ここでは、バイアス磁石3の着磁方向とカウンタ磁石2の着磁方向とを互いに直交させるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシフトレバーのシフト位置を検出する車両のシフト位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者により操作されるシフトレバーと車両の変速機との間の機械的な連結を排除した上で、シフトレバーのシフト位置をシフト位置検出装置により検出し、この検出されるシフト位置に基づいて変速機のシフトレンジの切り替えを行う、いわゆるバイワイヤ式のシフト装置が周知である。そして、従来、この種の車両のシフト装置としては、例えば特許文献1に記載の装置がある。図20にこの特許文献1に記載のシフト装置の斜視構造を、また、図21にこのシフト装置の断面構造を、さらに、図22に図21のA−A線に沿った断面構造をそれぞれ示す。
【0003】
図20に示されるように、このシフト装置は、基本的には、車両の運転者が把持する部分となる把持部60aが設けられたシフトレバー60と、シフトレバー60が挿通される部分として十字状のシフトゲート61aが形成されたケース61とを有している。ちなみに、このシフト装置では、シフトレバー60の中立位置がシフトゲート61aの中央位置に設定されている。また、シフトレバー60のシフト位置、すなわち「P(パーキング)位置」、「N(ニュートラル)位置」、「R(リバース)位置」、及び「D(ドライブ)位置」の各位置がシフトゲート61aの端部の位置に対応してそれぞれ設定されている。
【0004】
ここで、図16に示されるように、シフトレバー60は、ケース61の内部に設けられた支持部材62により支持されており、この支持部材62により支持されている部分を中心に揺動する。また、このシフトレバー60の基端部には、磁石60bが設けられており、シフトレバー60の揺動に伴って磁石60bが揺動する構造となっている。一方、ケース61の内部には、磁石60bに対向するかたちで基板64が配設されるとともに、図22に示されるように、この基板64に、磁石60bから発せられる磁気を検出する磁気センサ63a〜63eが十字状に配置されている。ちなみに、これらの磁気センサ63a〜63eは、シフトレバー60が中立位置及び各シフト位置に位置しているときの磁石60bの位置に対向するかたちでそれぞれ配設されている。また、このシフト装置では、磁石60b、磁気センサ63a〜63e、及び基板64等によりシフト位置検出装置が構成されている。
【0005】
そして、このシフト装置では、運転者が、例えばシフトレバー60を中立位置から「P位置」まで操作したときに磁石60bが磁気センサ63aに対向する位置から磁気センサ63bに対向する位置まで移動して、磁石60bから発せられる磁界が磁気センサ63bを通じて検出されるようになる。そして、このシフト装置では、磁気センサ63bを通じて磁石60bの磁界が検出されるようになったことに基づいてシフトレバー60が「P位置」に操作されたと判断して、車両の自動変速機のシフトレンジを「P(パーキング)レンジ」に切り替える変速制御を行う。
【0006】
車両のシフト装置としてこうしたシフトバイワイヤ式のシフト装置を採用することで、車室内のシフトレバーの配設位置を自由に変更することが可能になるなど、車両設計の自由度を大きく高めることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−101932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、磁石60bから発せられる磁界を検出するための磁気センサ63a〜63eとしては、例えばホール効果により磁界に応じたホール電圧信号を出力するホール素子により構成されるセンサや、磁気抵抗効果により磁界に応じて抵抗値を変化させる磁気抵抗素子により構成される磁気抵抗効果センサ(MREセンサ)などを採用することができる。図23は、磁気センサとしてMREセンサを用いるようにしたシフト位置検出装置において一般的に採用されている構造であって、磁石が磁気センサに近接したか否かを検知する近接検知構造の一例についてその斜視構造を示したものである。なお、この図23では、便宜上、1つの磁気センサの付近の構造のみを示している。
【0009】
同図18に示されるように、この近接検知構造は、基本的には、上記磁石60bに対応するカウンタ磁石70と、上記磁気センサ63a〜63eのうちのいずれか1つの磁気センサに対応するMREセンサ71とを有している。ここで、このカウンタ磁石70は、運転者によるシフトレバーの操作に伴って図中の矢印x1,x2で示す方向に移動するものであり、その移動方向と直交する方向に着磁されている。また、MREセンサ71は、上記カウンタ磁石70の移動方向及びカウンタ磁石70の着磁方向の双方に平行となるように配置された磁気感知面(センサ面)を有しており、このセンサ面に平行な磁気ベクトルを感知してその向きに応じた電圧信号を出力する。ちなみに、MREセンサ71のセンサ面には、バイアス磁石72から発せられるバイアス磁界が常時付与されている。
【0010】
そして、この近接検知構造では、運転者によってシフトレバーが操作されると、同シフトレバーと一体となってカウンタ磁石70が矢印x1,x2で示す方向に移動するため、カウンタ磁石70の移動位置に応じてMREセンサ71に付与されているバイアス磁界の磁気ベクトルに変化が生じる。すなわち、シフトレバーの移動位置に応じてMREセンサ71の出力信号に変化が生じるようになるため、このMREセンサ71の出力信号に基づいてカウンタ磁石70がMREセンサ71に近接したことを検知することができるようになる。したがって、この図18に例示する近接検知構造を上記特許文献1に記載のシフト装置において利用するようにすれば、シフトレバーが各シフト位置に操作されたか否かを検知することができるようになる。
【0011】
ただし、図18に例示した近接検知構造では、MREセンサによりそのセンサ面に平行な磁気ベクトルの変化を感知することはできるが、センサ面に直交する方向(図中の矢印y1,y2で示す方向)の磁気ベクトルの変化を感知することができない。すなわち、図18に例示した近接検知構造では、カウンタ磁石70が矢印y1,y2で示す方向にも移動する場合に、MREセンサ71を通じて磁気ベクトルの変化を検出することが難しくなるため、カウンタ磁石70がMREセンサ71に接近したことを検知することが困難になるおそれがある。したがって、上記特許文献1に記載のシフト装置では、磁石60bが2軸方向に移動する部分に配置される磁気センサ、すなわち磁気センサ63aにおいて磁石60bの位置を検出することが難しくなるため、これに起因してシフトレバー60が中立位置であるか否かを検出することが難しくなるおそれがある。ちなみに、こうした問題に対しては、例えば上記磁気センサ63aとして2つのMREセンサを用意して、それぞれのセンサ面が矢印x1,x2で示す方向及び矢印y1,y2で示す方向に平行となるように2つのMREセンサを配置するといった方法を採用することも可能である。しかしながら、こうした方法を採用するようにした場合には、シフト位置検出装置としての部品点数の増加やコストの増大を招くおそれがある。
【0012】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シフトレバーが2軸方向に移動する場合であれ、シフト位置検出装置としての部品点数の増加を招くことなくシフトレバーのシフト位置を検出することが可能な車両のシフト位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、磁気抵抗素子により構成される磁気抵抗効果センサと、車両のシフトレバーの2軸方向の操作に連動して互いに直交する2軸方向に移動するとともにこの移動に伴って前記磁気抵抗効果センサに近接するカウンタ磁石と、前記磁気抵抗効果センサにバイアス磁界を付与するバイアス磁石とを備え、前記カウンタ磁石が前記磁気抵抗効果センサに近づくとき前記バイアス磁界の磁気ベクトルに生じる変化を前記磁気抵抗素子の抵抗値の変化として感知して前記カウンタ磁石の前記磁気抵抗効果センサへの近接を検知するとともに、このカウンタ磁石の前記磁気抵抗効果センサへの近接を検知することに基づいて前記シフトレバーのシフト位置を検出するシフト位置検出装置において、前記磁気抵抗効果センサは、前記2軸方向を含む平面に平行な磁気ベクトルを感知可能に配置されるとともに、前記バイアス磁石は、前記2軸方向を含む平面に平行な方向に着磁され、前記カウンタ磁石は、前記2軸方向を含む平面に平行な方向であって且つ、前記バイアス磁石の着磁方向と所定角度を成す方向に着磁されてなることを要旨としている。
【0014】
同構成によれば、カウンタ磁石が互いに直交する2軸方向のいずれかの方向に移動して磁気抵抗効果センサに近づくときに、バイアス磁界の磁気ベクトル(より詳細にはその向き)に変化が生じるとともに、この磁気ベクトルの変化を磁気抵抗効果センサを通じて感知することができるようになる。したがって、カウンタ磁石の2軸方向に移動する部分に対応して磁気抵抗効果センサを配置するようにしたとしても、カウンタ磁石が磁気抵抗効果センサに近接したことを1つの磁気抵抗効果センサにより検知することができるようになる。このため、シフトレバーが2軸方向に操作される場合であれ、シフト位置検出装置としての部品点数の増加を招くことなくシフトレバーのシフト位置を検出することができるようになる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシフト位置検出装置において、前記バイアス磁石は、前記2軸方向のうちの1軸方向と平行な方向に着磁されるとともに、前記カウンタ磁石は、前記バイアス磁石の着磁方向と直交する方向に着磁されてなることを要旨としている。
【0016】
同構成によれば、カウンタ磁石が磁気抵抗効果センサに近づくときに、バイアス磁石から発せられるバイアス磁界に対してこれと直交する磁界が付与されるようになるため、例えばバイアス磁界に対してこれと鋭角をなす磁界が付与される場合と比較すると、バイアス磁界の磁気ベクトルが大きく変化するようになる。このため、カウンタ磁石の磁気抵抗効果センサへの近接を検知し易くなるため、シフトレバーのシフト位置をより高い精度で検出することができるようになる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシフト位置検出装置において、前記カウンタ磁石は、その着磁方向と直交する方向の側面にヨークを有してなることを要旨としている。
【0018】
同構成によるように、カウンタ磁石においてその着磁方向と直交する方向の側面にヨークを設けるようにすれば、カウンタ磁石の側面の付近に生じる磁気を集磁することができるようになる。このため、カウンタ磁石にヨークを設けていない場合と比較すると、カウンタ磁石がその着磁方向と直交する方向に移動して磁気抵抗効果センサに近づく際に、磁気抵抗効果センサに付与されているバイアス磁界の磁気ベクトルが大きく変化するようになる。したがって、カウンタ磁石が磁気抵抗効果センサに近づく際の磁気抵抗効果センサの出力信号の応答性が向上するようになるため、例えば磁気抵抗効果センサの個体差や組み付け誤差などに起因して同センサの出力信号にばらつきが生じたとしても、その影響を抑制しつつカウンタ磁石の磁気抵抗効果素子への近接を検出することができるようになる。すなわち、カウンタ磁石の磁気抵抗効果センサへの近接を高い精度で検出することができるようになるため、シフトレバーのシフト位置をより高い精度で検出することができるようになる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載のシフト位置検出装置において、前記磁気抵抗効果センサ及び前記バイアス磁石は、前記カウンタ磁石の着磁方向である1軸方向に沿って複数並設され、この並設された複数のバイアス磁石が、前記1軸方向に沿って並設されている順に互い違いとなる着磁方向を有してなることを要旨としている。
【0020】
同構成によるように、磁気抵抗効果センサ及びバイアス磁石がカウンタ磁石の着磁方向である1軸方向に沿って複数並設されている場合には、この並設された複数のバイアス磁石を1軸方向に沿って並設されている順に互い違いとなるように着磁することで、カウンタ磁石が磁気抵抗効果センサに近づく際の磁気抵抗効果センサの出力信号の応答性が向上することを発明者は新たに見出した。そして、磁気抵抗効果センサの出力信号の応答性が向上するようになれば、例えば磁気抵抗効果センサの個体差や組み付け誤差などに起因して同センサの出力信号にばらつきが生じたとしても、その影響を抑制しつつカウンタ磁石の磁気抵抗効果素子への近接を検出することができるようになる。したがって、カウンタ磁石の磁気抵抗効果センサへの近接を高い精度で検出することができるようになるため、シフトレバーのシフト位置をより高い精度で検出することができるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる車両のシフト位置検出装置によれば、シフトレバーが2軸方向に移動する場合であれ、シフト位置検出装置としての部品点数の増加を招くことなくシフトレバーのシフト位置を検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる車両のシフト位置検出装置の第1の実施形態に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示す斜視図。
【図2】同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示す正面図。
【図3】同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示す回路図。
【図4】(a)〜(c)は、同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示すタイミングチャート。
【図5】(a)〜(c)は、同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示すタイミングチャート。
【図6】同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置を利用した車両のシフト装置についてその斜視構造を示す斜視図。
【図7】同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置についてその断面構造を示す断面図。
【図8】同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置についてその平面構造を示す平面図。
【図9】同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図10】(a)〜(e)は、同第1の実施形態の車両のシフト位置検出装置の動作例を示すタイミングチャート。
【図11】本発明にかかる車両のシフト位置検出装置の第2の実施形態に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理の一例を示す斜視図。
【図12】同第2の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示す正面図。
【図13】(a)〜(c)は、同第2の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示すタイミングチャート。
【図14】(a)〜(c)は、同第2の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示すタイミングチャート。
【図15】本発明にかかる車両のシフト位置検出装置の第3の実施形態に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理の一例を示す平面図。
【図16】本発明にかかる車両のシフト位置検出装置の第3の実施形態に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理の一例を示す側面図。
【図17】(a)〜(c)は、同第3の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示すタイミングチャート。
【図18】(a)〜(c)は、同第3の実施形態の車両のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示すタイミングチャート。
【図19】同第3の実施形態の車両のシフト位置検出装置についてその平面構造を示す平面図。
【図20】従来の車両のシフト装置についてその一例を示す斜視図。
【図21】従来の車両のシフト装置の断面構造を示す断面図。
【図22】図21のA−A線に沿った断面構造を示す断面図。
【図23】従来のシフト位置検出装置に採用されている近接検知構造についてそのカウンタ磁石のMREセンサへの近接を検知する原理を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
(原理の説明)
この発明にかかる車両のシフト位置検出装置の第1の実施形態について説明するに先立ち、同実施形態の原理ついてまずは説明する。
【0024】
図1及び図2は、互いに直交する2軸方向に移動するカウンタ磁石2の磁気抵抗効果センサ(MREセンサ)1への近接を検知する構造に採用して有効な近接検知構造の一例についてその斜視構造及び正面構造をそれぞれ示したものである。なお、図1では、カウンタ磁石2の互いに直交する2軸の移動方向を矢印x1,x2で示すx軸方向及び矢印y1,y2で示すy軸方向でそれぞれ示している。
【0025】
これら図1及び図2に示されるように、この近接検知構造では、MREセンサ1の下部に、矢印x2で示す方向に着磁された立方体形状のバイアス磁石3が固定配設されており、このバイアス磁石3から発せられる矢印x1で示す方向のバイアス磁界がMREセンサ1に常時付与されている。また、MREセンサ1の上部には、x軸方向に長辺方向を有する直方体形状のカウンタ磁石2が配置されており、このカウンタ磁石2が、矢印y1で示す方向に、換言すればバイアス磁石3の着磁方向と直交する方向に着磁されている。また、この近接検知構造では、カウンタ磁石2が図中の位置からx軸方向及びy軸方向の2軸方向に移動することができる構造になっている。すなわち、この近接検知構造では、例えば図中の位置から離間していたカウンタ磁石2が図中の位置まで移動しようとしてMREセンサ1に近づいたとすると、MREセンサ1に付与されているバイアス磁界の磁気ベクトルが、カウンタ磁石2から発せられる矢印y2で示す方向の磁界の影響を受けて変化する。そして、こうした磁気ベクトルの変化が上記MREセンサ1により感知されることで、カウンタ磁石2がMREセンサ1に接近したことを検知する。ちなみに、このMREセンサ1は、バイアス磁界の磁気ベクトルの変化を感知すべく、x軸方向及びy軸方向の双方に平行となるように配置された磁気感知面(センサ面)を有しており、バイアス磁界の磁気ベクトルの向きに応じた電気信号を出力する。
【0026】
次に、上記MREセンサ1の処理回路を含めた電気的な構成について、図3に示す等価回路を併せ参照して説明する。
同図3に示されるように、この近接検知構造において、MREセンサ1は、そのセンサ面に平行な磁気ベクトルを感知してその向きに応じて抵抗値を変化させる4つの磁気抵抗素子M1〜M4を備え、これらの磁気抵抗素子M1〜M4がブリッジ接続されたブリッジ回路11を有して構成されている。このうち、磁気抵抗素子M1及びM3の共通接続部には定電圧「+V」が付与され、また磁気抵抗素子M2及びM4の共通接続部は接地されている。そして、ブリッジ接続されている磁気抵抗素子M1及びM2の中点電位Vaと磁気抵抗素子M3及びM4の中点電位VbとがそれぞれMREセンサ1の一部を構成する差動増幅器12に入力され、差動増幅器12において各中点電位Va,Vbの変化が差動増幅される。
【0027】
すなわち、このMREセンサ1では、カウンタ磁石2の移動に伴って磁気抵抗素子M1〜M4に付与されているバイアス磁界の磁気ベクトルの向きが変化すると、該磁気抵抗素子M1〜M4の抵抗値もそれぞれ変化し、上記中点電位Va,Vbが変化する。そして、これら各中点電位Va,Vbの変化が差動増幅器12によって差動増幅されることとなる。そして、この近接検知構造において、該差動増幅された信号、すなわちMREセンサ1の出力信号Aはヒステリシス比較器13に入力される。このヒステリシス比較器13は、その閾値電圧として、2つの電圧値Vth1,Vth2(Vth1>Vth2)が設定されており、これらの閾値電圧Vth1,Vth2とMREセンサ1の出力信号Aとを比較してその比較結果に基づく2値化信号Bを出力する回路である。ちなみに、このヒステリシス比較器13では、出力される2値化信号Bが論理(L)ローレベルを示している場合には閾値電圧が電圧値Vth1に設定されて、上記MREセンサ1の出力信号Aが閾値電圧Vth1を上回るとき、2値化信号Bが論理H(ハイ)レベルに反転する。また、出力される2値化信号Bが論理ハイレベルを示している場合には閾値電圧が電圧値Vth2に設定されて、上記MREセンサ1の出力信号Aが閾値電圧Vth2を下回るとき、2値化信号Bが論理ローレベルに反転する。そして、この近接検知構造では、こうしたヒステリシス比較器13を用いることにより、MREセンサ1の出力信号Aの僅かな変化に対して2値化信号Bが変化してしまうことを抑制し、2値化信号Bの安定化を図るようにしている。
【0028】
図4は、カウンタ磁石2が上記x軸方向に移動しながらMREセンサ1の上部を横切った際の上記近接検知構造の動作例を示したものである。なお、図4(a)は、カウンタ磁石2の位置の変化を示したものである。また、図4(b)は、横軸にMREセンサ1とカウンタ磁石2との間のx軸方向の距離Lxを、縦軸にMREセンサ1の出力信号Aをとってこれらの両者の関係を示している。さらに、図4(c)は、横軸にMREセンサ1とカウンタ磁石2との間のx軸方向の距離Lxを、また、縦軸に2値化信号Bをとってこれら両者の関係を示している。ちなみに、距離Lxは、カウンタ磁石2がMREセンサ1の上部に位置しているときの値を「0」として、カウンタ磁石2がその位置から上記矢印x2で示す方向に移動したときに負の値に変化し、また、カウンタ磁石2が上記矢印x1で示す方向に移動したときに正の値に変化するものとして示している。
【0029】
同図4(a)に示されるように、カウンタ磁石2の位置がそれぞれ状態Px1〜Px3のように変化したとすると、カウンタ磁石2から発せられる磁界の影響を受けてMREセンサ1に付与されているバイアス磁界が変化して、上記MREセンサ1の出力信号Aは、図4(b)に示される態様で、凸形状をもって推移する。そして、このように出力されるMREセンサ1の出力信号Aに対し、図中に破線で示す上記閾値電圧Vth1,Vth2との比較のもとに、ヒステリシス比較器13にて2値化処理が施される。そしてその結果、図4(c)に示されるように、カウンタ磁石2がMREセンサ1から離間している状態であって2値化信号Bが論理ローレベルを示している場合には、上記MREセンサ1の出力信号Aと閾値電圧Vth1とが交差する点a1,a2を境に2値化信号Bが論理ハイレベルに反転する。一方、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接している状態であって2値化信号Bが論理ハイレベルを示している場合には、上記MREセンサ1の出力信号Aと閾値電圧Vth2とが交差する点b1,b2を境に2値化信号Bが論理ローレベルに反転する。したがって、カウンタ磁石2がx軸方向に移動している際には、2値化信号Bが論理ハイレベルであるか否かに基づいてカウンタ磁石2がMREセンサ1に近接したか否かを検知することができるようになる。
【0030】
次に、図5は、カウンタ磁石2が上記y軸方向に移動しながらMREセンサ1の上部を横切った際の上記近接検知構造の動作例を示したものである。なお、図5(a)は、カウンタ磁石2の位置の変化を示したものである。また、図5(b)は、横軸にMREセンサ1とカウンタ磁石2との間のy軸方向の距離Lyを、縦軸にMREセンサ1の出力信号Aをとってこれらの両者の関係を示している。さらに、図5(c)は、横軸にMREセンサ1とカウンタ磁石2との間のy軸方向の距離Lyを、また、縦軸に2値化信号Bをとってこれら両者の関係を示している。ちなみに、距離Lyは、カウンタ磁石2がMREセンサ1の上部に位置しているときに「0」の値をとるとともに、その位置からカウンタ磁石2が上記矢印y2で示す方向に移動したときに負の値に変化し、また、カウンタ磁石2が上記矢印y1で示す方向に移動したときに正の値に変化するものとして示している。
【0031】
同図5(a)に示されるように、カウンタ磁石2の位置がそれぞれ状態Py1〜Py3のように変化したときにも、カウンタ磁石2から発せられる磁界の影響を受けてMREセンサ1に付与されているバイアス磁界が変化して、上記MREセンサ1の出力信号Aは、先の図4(b)に示した推移傾向とほぼ同様の傾向で、凸形状をもって推移する。したがって、図5(c)に示されるように、ヒステリシス比較器13から出力される2値化信号Bも、先の図4(c)に示した推移傾向とほぼ同様の傾向で推移する。すなわち、カウンタ磁石2がMREセンサ1から離間している状態であって2値化信号Bが論理ローレベルを示している場合には、上記MREセンサ1の出力信号Aと閾値電圧Vth1とが交差する点c1,c2を境に2値化信号Bが論理ハイレベルに反転する。一方、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接している状態であって2値化信号Bが論理ハイレベルを示している場合には、上記MREセンサ1の出力信号Aと閾値電圧Vth2とが交差する点d1,d2を境に2値化信号Bが論理ローレベルに反転する。したがって、カウンタ磁石2がy軸方向に移動している際にも、2値化信号Bが論理ハイレベルを示しているか否かに基づいてカウンタ磁石2がMREセンサ1に接近したか否かを検知することができるようになる。
【0032】
このように、この近接検知構造によれば、カウンタ磁石がx軸方向に移動しながらMREセンサ1に近づく場合であっても、あるいはy軸方向に移動しながらMREセンサ1に近づく場合であっても、MREセンサ1に付与されているバイアス磁界に変化が生じるとともに、この変化をMREセンサ1を通じて感知することができるようになる。したがって、カウンタ磁石2の2軸方向に移動する部分に対応してMREセンサ1を配置するようにしたとしても、カウンタ磁石がMREセンサ1に近接したことを1つのMREセンサ1により検知することができるようになる。
【0033】
また、この近接検知構造では、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近づくときに、MREセンサ1に付与されている矢印x1で示す方向のバイアス磁界に対してカウンタ磁石2から発せられる矢印y2で示す方向の磁界、すなわちバイアス磁界に直交する磁界が付与される。このため、例えばバイアス磁界に対してこれと鋭角をなす磁界が付与される場合と比較すると、バイアス磁界の磁気ベクトルが大きく変化し、MREセンサ1の出力信号Aに大きな変化が生じるようになる。このため、カウンタ磁石2のMREセンサ1への近接をより検知し易くなる。
【0034】
以下に、この原理のもとに構成されるシフト位置検出装置を利用した車両のシフト装置の第1の実施形態を示す。
(実施形態)
図6は、本実施形態にかかる車両のシフト装置の斜視構造を示したものである。
【0035】
同図6に示されるように、このシフト装置は、基本的には、車両の運転者が把持する部分となる把持部10aの形成されたシフトレバー10と、このシフトレバー10の移動を案内するシフトゲート21が形成されたシフトパネル20とを有している。ここで、シフトゲート21は、図中の互いに直交する矢印x1,x2で示すx軸方向及び矢印y1,y2で示すy軸方向にそれぞれ延設された第1及び第2の案内溝21a,21bから構成されて全体としてT字状に形成されている。そして、このシフト装置では、シフトレバー10のシフトゲート状の位置に応じて、シフトレバー10のシフト位置が以下の(a1)〜(a4)で示す態様で設定されている。
【0036】
(a1)シフトレバー10が第1の案内溝21aの先端部に位置しているとき。このときのシフトレバー10のシフト位置を「H(ホーム)位置」に設定する。
(a2)シフトレバー10が第2の案内溝21bの中央部に位置しているとき。このときのシフトレバー10のシフト位置を「N(ニュートラル)位置」に設定する。
【0037】
(a3)シフトレバー10が第2の案内溝21bの手前側の端部に位置しているとき。このときのシフトレバー10のシフト位置を「D(ドライブ)位置」に設定する。
(a4)シフトレバー10が第2の案内溝21bの奥側の端部に位置しているとき。このときのシフトレバー10のシフト位置を「R(リバース)位置」に設定する。
【0038】
そして、このシフト装置では、運転者によって外力が印加されることによってシフトレバー10が各シフト位置に選択的に移動するとともに、このシフトレバー10のシフト位置の検出が、シフト位置検出装置30を通じて行われる。
【0039】
図7は、このシフト位置検出装置30の断面構造を、また、図8は、同シフト位置検出装置30の平面構造をそれぞれ示したものであり、次に、図7及び図8を参照して、シフト位置検出装置30の概略構成について説明する。なお、図8では、便宜上、シフト位置検出装置30のケース(図7の符号37の部材)を割愛している。
【0040】
図7及び図8に示されるように、シフトレバー10の基端部には、先の原理で説明したカウンタ磁石2に対応する磁石であって矢印y1で示す方向に着磁されたカウンタ磁石31が取り付けられている。ここで、このカウンタ磁石31は、シフトレバー10のシフト位置が上記H位置であるときに、図中の実線で示す位置T1に位置している。そして、このカウンタ磁石31は、運転者によるシフトレバー10の操作に伴ってシフトレバー10のシフト位置がH位置から上記N位置、D位置、及びR位置に選択的に切り替えられると、このシフトレバー10の操作に連動して図中の2点鎖線で示す位置T2〜T4まで移動する。一方、図7に示されるように、このシフト位置検出装置30のケース37には、先の原理で説明したMREセンサ1に対応する4つのMREセンサ33a〜33dが実装された基板32が設けられており、この基板32が、上記カウンタ磁石2と所定の間隔を隔てて対向するかたちで配置されている。ここで、図8に示されるように、4つのMREセンサ33a〜33dは、上記カウンタ磁石31の移動位置T1〜T4に対応するかたちでそれぞれ配置されており、シフトレバー10が各シフト位置に操作されると、カウンタ磁石31が各MREセンサ33a〜33dに近接する。また、基板32の下面には、MREセンサ33a〜33dに対応するかたちで、先の原理で説明したバイアス磁石3に対応する磁石であって矢印x2で示す方向に着磁された4つのバイアス磁石34a〜34dがそれぞれ設けられている。そして、各MREセンサ33a〜33dには、これらバイアス磁石34a〜34dから発せられる矢印x1で示す方向のバイアス磁界が常時付与されている。
【0041】
図9は、このシフト位置検出装置30を含めたシフト装置全体のシステム構成をブロック図として示したものである。ちなみに、MREセンサ33a〜33dのそれぞれの電気的な構成は、先の原理で説明したMREセンサ1と同様である。すなわち、MREセンサ33a〜33dは、4つの磁気抵抗素子がブリッジ接続されたブリッジ回路と、このブリッジ回路の2つの中点電位の変化を差動増幅する差動増幅器とをそれぞれ有しており、この差動増幅器を通じて差動増幅された信号C1〜C4を出力する。
【0042】
図9に示されるように、このシフト位置検出装置30では、MREセンサ33a〜33dの出力信号C1〜C4が、先の原理で説明したヒステリシス比較器13と同様のヒステリシス比較器35a〜35dにそれぞれ入力される。すなわち、このヒステリシス比較器35a〜35dでは、上記閾値電圧Vth1,Vth2とMREセンサ33a〜33dの出力信号C1〜C4とを比較してその比較結果に基づく2値化信号D1〜D4をそれぞれ出力する。そして、これらヒステリシス比較器35a〜35dから出力される2値化信号D1〜D4は、マイクロコンピュータを中心に構成されて、車両の自動変速機50の各種制御を統括的に司る制御装置40に入力される。この制御装置40では、ヒステリシス比較器35a〜35dから出力される2値化信号D1〜D4に基づいてカウンタ磁石31が上記MREセンサ33a〜33dのいずれのセンサに近接しているかを判断し、その判断結果に基づいてシフトレバー10のシフト位置を検出する。そして、制御装置40は、検出されたシフトレバー10のシフト位置に基づいて自動変速機のシフトレンジを切り替える変速制御を実行する。
【0043】
図10は、本実施形態にかかる車両のシフト位置検出装置の動作例として、シフトレバー10が各シフト位置に操作されたときの2値化信号D1〜D4の推移をタイミングチャートとしてそれぞれ示したものである。
【0044】
図10(a)に示すように、シフトレバー10のシフト位置が「H位置→N位置→D位置→N位置→R位置」の順に変化したとすると、前述の近接検知構造の原理に基づき、図10(b)〜(e)に示すように、シフトレバー10のシフト位置に応じて、2値化信号D1〜D4のいずれかの信号が論理ハイレベルを示すようになる。そこで、上記制御装置40では、2値化信号D1〜D4のいずれが論理ハイレベルを示しているかを判断するとともに、その判断結果に基づいてシフトレバー10のシフト位置を検出するようにしている。
【0045】
ところで、従来のシフト位置検出装置にあっては、シフトレバー10が2軸方向に移動するシフト位置、すなわちN位置にシフトレバー10が位置しているか否かを検出するためには、基本的には2つのMREセンサを用いる必要があった。
【0046】
これに対し、本実施形態にかかる車両のシフト位置検出装置では、前述の近接検知構造の原理に基づき、シフトレバー10がH位置からN位置に移動する場合であっても、あるいはD位置からN位置に移動する場合であっても、2値化信号D2が論理ローレベルから論理ハイレベルに変化するようになる。したがって、N位置に対応して1つのMREセンサ33bを配置するといった構成を採用しつつも、シフトレバー10のシフト位置がN位置であるか否かを検出することができるようになる。これにより、各シフト位置に対応してMREセンサ33a〜33dを1つずつ設けるだけでシフトレバー10のシフト位置を検出することができるようになるため、シフトレバー10が2軸方向に移動する場合であれ、シフト位置検出装置としての部品点数の増加を招くことなくシフトレバー10のシフト位置を検出することができるようになる。
【0047】
また、この車両のシフト位置検出装置では、バイアス磁石34a〜34dの着磁方向とカウンタ磁石31の着磁方向とを互いに直交させるようにしているため、先の原理で説明したように、カウンタ磁石31がMREセンサ33a〜33dに近づくときに、MREセンサ33a〜33dに付与されているバイアス磁界が大きく変化するようになる。これにより、MREセンサ33a〜33dの出力信号C1〜C4に大きな変化が生じるようになるため、カウンタ磁石31のMREセンサ33a〜33dへの近接をより検知し易くなり、ひいてはシフトレバー10のシフト位置をより高い精度で検出することができるようになる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両のシフト位置検出装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)x軸方向及びy軸方向の2軸方向に移動するカウンタ磁石31がMREセンサ33a〜33dに近接したことを検知することに基づいてシフトレバーのシフト位置を検出するシフト位置検出装置に対し、図1〜図5に例示した近接検知構造を適用するようにした。これにより、シフトレバー10が2軸方向に移動するシフト位置、すなわちN位置にシフトレバー10が位置しているか否かを1つのMREセンサ33bにより検出することができるようになる。そしてその結果、各シフト位置に対応してMREセンサ33a〜33dを1つずつ設けるだけでシフトレバー10のシフト位置を検出することができるようになるため、シフトレバー10が2軸方向に操作される場合であれ、シフト位置検出装置としての部品点数の増加を招くことなくシフトレバー10のシフト位置を検出することができるようになる。
【0049】
(2)バイアス磁石34a〜34dの着磁方向とカウンタ磁石31の着磁方向とを互いに直交させるようにした。これにより、カウンタ磁石31がMREセンサ33a〜33dに近づくときに、MREセンサ33a〜33dにそれぞれ付与されているバイアス磁界が大きく変化するようになるため、カウンタ磁石31のMREセンサ33a〜33dへの近接をより検知し易くなる。したがって、シフトレバー10のシフト位置をより高い精度で検出することができるようになる。
[第2の実施形態]
(原理の説明)
次に、この発明にかかる車両のシフト位置検出装置の第2の実施形態について説明するに先立ち、同実施形態の原理についてまずは説明する。なお、第2の実施形態の原理でも近接検知構造としての基本構造は先の図1〜図3に示した構造に準ずるものであり、ここでは、先の図1及び図2に対応する図として、近接検知構造の斜視構造及び正面構造を図11及び図12にそれぞれ示している。また、この図11及び図12において、先の図1及び図2に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付すことにより重複する説明を割愛し、以下では、両者の相違点を中心に説明する。
【0050】
同図11及び図12に示されるように、この近接検知構造では、カウンタ磁石2のx軸方向の両側面にヨーク4が設けられており、ヨーク4によってカウンタ磁石2の両側面の付近に生じる磁気を集磁するようにしている。
【0051】
図13及び図14は、先の図4に対応する図として、カウンタ磁石2の位置が上記状態Px1から状態Px2に変化した際のMREセンサ1の出力信号A及び2値化信号Bの推移を、先の図1及び図2に例示した近接検知構造と、先の図11及び図12に例示した近接検知構造とを対比してそれぞれ示したものである。
【0052】
まず対比例として、先の図1及び図2に例示した近接検知構造では、図13(a)に示されるようにカウンタ磁石2の位置が上記状態Px1から状態Px2に変化したとすると、図13(b)に示されるように、MREセンサ1の出力信号Aは実線で示す態様にて推移する。一方、例えばMREセンサ1の個体差や組み付け誤差などに起因してMREセンサ1の出力信号Aが図中の一点鎖線で示す態様にて、すなわち実線に対して上側にシフトする態様にて推移するようになったとする。このとき、図13(c)に示されるように、2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する時点でのカウンタ磁石2の位置が矢印x2で示す方向に距離Lz1だけずれてしまう。ちなみに、図中の距離Lh1は、2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置と、上記2値化信号Bが論理ハイレベルから論理ローレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置との間の距離を示している。
【0053】
一方、先の図11及び図12に例示した近接検知構造では、図14(a)に示されるようにカウンタ磁石2の位置が状態Px1から状態Px2のように変化したとすると、上記ヨーク4に集磁されている磁界により、MREセンサ1に付与されているバイアス磁界の磁気ベクトルが大きく変化するようになる。したがって、図14(b)に実線で示されるように、MREセンサ1の出力信号Aは、より大きな傾きをもって推移するようになるため、MREセンサ1の出力信号Aの応答性が向上するようになる。このため、例えばMREセンサ1の個体差などに起因して、MREセンサ1の出力信号Aが、先の図13(b)で例示したシフト量と同じだけ上側にシフトして図中の一点鎖線で示す態様にて推移するようになったとしても、図14(c)に示されるように、2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する時点でのカウンタ磁石2の位置のずれが上記距離Lz1よりも短い距離Lz2となる。すなわち、MREセンサ1の個体差などに起因してMREセンサ1の出力信号Aにばらつきが生じたとしても、2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する時点でのカウンタ磁石2の位置のずれに関してはその影響を抑制することができるようになる。これにより、例えば2値化信号Bに基づいてカウンタ磁石2がMREセンサ1に近接したか否かを判断するようにしたとしても、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接したと判断される時点でのカウンタ磁石2の位置のずれを小さくすることができるため、カウンタ磁石2のMREセンサ1への近接を高い精度で検出することができるようになる。ちなみに、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接しなくなったと判断する時点でのカウンタ磁石2の位置のずれも小さくすることもできるため、カウンタ磁石2がMREセンサ1から離間したことについても同様に高い精度で検出することができるようにもなる。
【0054】
また、このようにMREセンサ1の出力信号Aの応答性が向上するようになれば、上記2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置と、上記2値化信号Bが論理ハイレベルから論理ローレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置との間の距離が上記距離Lh1よりも短い距離Lh2となる。すなわち、それらの位置が互いに接近するようになる。これにより、2値化信号Bが反転する位置のずれを小さくすることができるため、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接したと判断される時点でのカウンタ磁石2の位置と、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接していないと判断される時点でのカウンタ磁石2の位置とのずれも小さくすることができるようにもなる。
【0055】
以下に、この原理のもとに構成されるシフト位置検出装置を利用した車両のシフト装置の第2の実施形態を示す。
(実施形態)
この第2の実施形態にかかる車両のシフト装置について、先の図7及び図8を参照して説明する。なお、この第2の実施形態にかかる車両のシフト装置もその基本構造は先の図6〜図9に示した構造に準ずるものである。
【0056】
本実施形態では、図7及び図8に一点鎖線で示されるように、カウンタ磁石31のx軸方向の両側面に、先の原理で説明したヨーク4に対応するヨーク36を設けるようにしている。このため、前述の近接検知構造の原理に基づき、カウンタ磁石31にヨーク36を設けていない、先の図7及び図8に例示したシフト位置検出装置30と比較すると、運転者によってシフトレバー10がx軸方向に操作された際のMREセンサ33a,33bの出力信号C1,C2の応答性が向上するようになる。このため、例えばMREセンサ33a,33bの固体差や組み付け誤差などに起因してそれらの出力信号C1,C2にばらつきが生じたとしても、制御装置40では、シフトレバー10のシフト位置がH位置であるか否か、及びN位置であるか否かをより高い精度で検出することができるようになる。
【0057】
また、2値化信号D1,D2が反転する位置のずれを小さくすることもできるため、例えば運転者がシフトレバー10をH位置からN位置に操作したときに制御装置40によりシフト位置がN位置になったと判断されるシフトレバー10の位置と、シフトレバー10をN位置からH位置に操作したときに制御装置40によりシフト位置がN位置ではなくなったと判断されるシフトレバー10の位置とのずれを小さくすることもできる。このため、運転者にとって操作性のよいシフト装置を実現することができるようにもなる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両のシフト位置検出装置によれば、先の第1の実施形態による上記(1)及び(2)の効果に加え、以下の効果が得られるようになる。
【0059】
(3)カウンタ磁石31のx軸方向の両側面にヨーク36を設けるようにした。これにより、カウンタ磁石31がx軸方向に移動する際のMREセンサ33a,33bの出力信号C1,C2の応答性が向上するようになるため、例えばMREセンサ33a,33bの固体差などに起因してそれらの出力信号C1,C2にばらつきが生じたとしても、シフトレバー10のシフト位置がH位置であるか否か、及びN位置であるか否かをより高い精度で検出することができるようになる。
[第3の実施形態]
(原理の説明)
次に、この発明にかかる車両のシフト位置検出装置の第3の実施形態について説明するに先立ち、同実施形態の原理についてまずは説明する。なお、この第3の実施形態の原理でも近接検知構造としての基本構造は先の図1〜図3に例示した構造に準ずるものであり、図15及び図16は、この近接検知構造の平面構造及び側面構造をそれぞれ示したものである。また、この図15及び図16において、先の図1及び図2に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付すことにより重複する説明を割愛し、以下では、両者の相違点を中心に説明する。
【0060】
同図15及び図16に示されるように、この近接検知構造では、上記バイアス磁石3をy軸方向に挟むかたちで2つの磁石5,6が設けられており、これら2つの磁石5,6の着磁方向を、バイアス磁石3の着磁方向と逆方向に、すなわち矢印x1で示す方向にそれぞれ設定するようにしている。換言すれば、バイアス磁石3及び磁石5,6の着磁方向を、y軸方向に沿って並設されている順に互い違いとなるかたちでそれぞれ設定するようにしている。
【0061】
図17及び図18は、先の図5に対応する図として、カウンタ磁石2が上記y軸方向に移動しながらMREセンサ1の上部を移動した際のMREセンサ1の出力信号A及び2値化信号Bの推移を、バイアス磁石3及び磁石5,6の全てを矢印x2で示す方向に着磁するようにした近接検知構造と、先の図15及び図16に例示した近接検知構造とを対比してそれぞれ示したものである。
【0062】
まず対比例として、バイアス磁石3及び磁石5,6の全てを矢印x2で示す方向に着磁するようにした近接検知構造では、図17(a)に示されるようにカウンタ磁石2の位置がそれぞれ状態Pz1〜Pz3のように変化したとすると、図17(b)に示されるように、MREセンサ1の出力信号Aは実線で示す態様にて推移する。ちなみに、図17(c)に示される距離La1は、2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置と、上記2値化信号Bが論理ハイレベルから論理ローレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置との間の距離を示している。
【0063】
一方、先の図15及び図16に例示した近接検知構造では、図18(a)に示されるようにカウンタ磁石2の位置がそれぞれ状態Pz1〜Pz3のように変化したとすると、MREセンサ1の出力信号Aは、図18(b)に示されるように、より大きな傾きをもって推移するようになる。すなわち、MREセンサ1の出力信号Aの応答性が向上するようになる。したがって、先の第2の実施形態の原理と同様に、MREセンサ1の個体差などに起因してMREセンサ1の出力信号Aにバラツキが生じたとしても、2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する時点でのカウンタ磁石2の位置のずれに関してはその影響を抑制することができるようになる。このため、例えば2値化信号Bに基づいてカウンタ磁石2がMREセンサ1に近接したか否かを判断するようにしたとしても、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接したと判断される時点でのカウンタ磁石2の位置のずれを小さくすることができるため、カウンタ磁石2のMREセンサ1への近接を高い精度で検出することができるようになる。ちなみに、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接しなくなったと判断する時点でのカウンタ磁石2の位置のずれも小さくすることもできるため、カウンタ磁石2がMREセンサ1から離間したことについても同様に高い精度で検出することができるようにもなる。
【0064】
また、図18(c)に示されるように、上記2値化信号Bが論理ローレベルから論理ハイレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置と、上記2値化信号Bが論理ハイレベルから論理ローレベルに反転する際のカウンタ磁石2の位置との間の距離が上記距離La1よりも短い距離La2となり、それらの位置が互いに接近するようになる。これにより、2値化信号Bが反転する位置のずれを小さくすることができるため、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接したと判断される時点でのカウンタ磁石2の位置と、カウンタ磁石2がMREセンサ1に近接していないと判断される時点でのカウンタ磁石2の位置とのずれを小さくすることができるようにもなる。
【0065】
以下に、この原理のもとに構成されるシフト位置検出装置を利用した車両のシフト装置の第3の実施形態を示す。
(実施形態)
この第3の実施形態にかかる車両のシフト装置について、図19を参照して説明する。なお、この第3の実施形態にかかる車両のシフト装置もその基本構造は先の図6〜図9に示した構造に準ずるものであり、図19は、先の図8に対応する図として、車両のシフト位置検出装置の平面構造を示したものである。なお、この図19において、先の図8に示した要素と同一の要素にはそれぞれ同一の符号を付すことにより重複する説明を割愛し、以下では、両者の相違点を中心に説明する。
【0066】
図19に示されるように、この実施形態では、上記バイアス磁石34bの着磁方向を、上記バイアス磁石34c,34dの着磁方向と逆方向に、すなわち矢印x1で示す方向に設定するようにしている。
【0067】
このため、前述の近接検知構造の原理に基づき、バイアス磁石34b〜34dが全て矢印x2で示す方向に着磁されている、先の図7及び図8に例示したシフト位置検出装置と比較すると、運転者によってシフトレバー10がy軸方向に操作された際のMREセンサ33bの出力信号C2の応答性が向上するようになる。このため、例えばMREセンサ33bの固体差や組み付け誤差などに起因してその出力信号C2にばらつきが生じたとしても、制御装置40では、シフトレバー10のシフト位置がN位置であるか否かをより高い精度で検出することができるようになる。
【0068】
また、2値化信号D2が反転する位置のずれを小さくすることもできるため、例えば運転者がシフトレバー10をD位置からN位置に操作したときに制御装置40によりシフト位置がN位置になったと判断される時点でのシフトレバー10の位置と、シフトレバー10をN位置からD位置に操作したときに制御装置40によりシフト位置がN位置ではなくなったと判断される時点でのシフトレバー10の位置とのずれを小さくすることができるようにもなる。このため、運転者にとって操作性のよいシフト装置を実現することができるようにもなる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態にかかる車両のシフト位置検出装置によれば、先の第1の実施形態による上記(1)及び(2)の効果に加え、以下の効果が得られるようになる。
【0070】
(4)y軸方向に沿って並設されているバイアス磁界の着磁方向を、同y軸方向に沿って並設されている順に互い違いとなるかたちでそれぞれ設定するようにした。これにより、カウンタ磁石31がy軸方向に移動する際のMREセンサ33bの出力信号C2の応答性が向上するようになるため、例えばMREセンサ33bの固体差などに起因してそれらの出力信号C1,C2にばらつきが生じたとしても、シフトレバー10のシフト位置がN位置であるか否かをより高い精度で検出することができるようになる。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
【0071】
・上記各実施形態では、本発明にかかる車両のシフト位置検出装置を、x軸方向に沿って2つのシフト位置が、また、y軸方向に沿って3つのシフト位置が設けられている車両のシフト位置検出装置に適用するようにした。これに代えて、例えばx軸方向に沿って3つのシフト位置が、また、y軸方向に沿って2つのシフト位置が設けられている車両のシフト位置検出装置にも本発明にかかる車両のシフト位置検出装置を適用することは可能である。また、x軸方向、あるいはy軸方向に4つ以上のシフト位置が設けられている車両のシフト位置検出装置にも本発明にかかる車両のシフト位置検出装置を適用することも可能である。
【0072】
・上記第3の実施形態では、本発明にかかる車両のシフト位置検出装置を、y軸方向に沿って3つのバイアス磁石34b〜34dが並設されているシフト位置検出装置に適用して、3つのバイアス磁石34b〜34dのうちのバイアス磁石34bの着磁方向を他の2つのバイアス磁石34c,34dの着磁方向と逆方向に設定するようにした。これに代えて、例えばx軸方向、あるいはy軸方向に4つ以上のシフト位置が設けられている車両のシフト位置検出装置など、1軸方向に沿って4つ以上のバイアス磁石が並設されているシフト位置検出装置にあっては、それらのバイアス磁石の着磁方向を1軸方向に並設されている順に互い違いとなるように設定するようにしてもよい。
【0073】
・上記第2の実施形態では、カウンタ磁石31のx軸方向の両側面にヨーク36を設けるようにしたが、これに代えて、例えばその両側面のいずれか一方の側面にヨーク36を設けるようにしてもよい。
【0074】
・図19に示したカウンタ磁石31のx軸方向の両側面にヨークも設けるようにしてもよい。すなわち、上記第2の実施形態にかかる車両のシフト位置検出装置の構成と、上記第3の実施形態にかかる車両のシフト位置検出装置の構成とを組み合わせた構成を採用するようにしてもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、バイアス磁石34a〜34dの着磁方向とカウンタ磁石31の着磁方向とを互いに直交させるようにしたが、これに代えて、バイアス磁石34a〜34dの着磁方向とカウンタ磁石31の着磁方向とが鋭角をなすようにしてもよい。こうした構成によっても、カウンタ磁石31が上記x軸方向及びy軸方向に移動しながらMREセンサ33a〜33dに近づく際に、バイアス磁石34a〜34dから発せられるバイアス磁界の磁気ベクトルに変化が生じるため、先の第1の実施形態による(1)の効果に準ずる効果を得ることは可能である。
【0076】
・上記各実施形態では、本発明にかかる車両のシフト位置検出装置を、カウンタ磁石がT字状に移動する車両のシフト位置検出装置に適用したが、これに代えて、例えばカウンタ磁石がH字状に移動する車両のシフト位置検出装置や、h字状に移動する車両のシフト位置検出装置にも同様に適用することが可能である。
(付記)
次に、上記実施形態及びその変形例から把握できる技術的思想について追記する。
【0077】
(イ)車両のシフトレバーの操作に連動して互いに直交する2軸方向に移動するカウンタ磁石と、磁気抵抗素子により構成される磁気抵抗効果センサと、前記磁気抵抗効果センサにバイアス磁界を付与するバイアス磁石とを備え、前記カウンタ磁石が前記磁気抵抗効果センサに対向する位置まで移動するときに前記バイアス磁界の磁気ベクトルに生じる変化を前記磁気抵抗素子の抵抗値の変化として感知して前記カウンタ磁石の前記磁気抵抗効果センサへの近接を検知するとともに、このカウンタ磁石の前記センサへの近接を検知することに基づいて前記シフトレバーのシフト位置を検出するシフト位置検出装置において、前記磁気抵抗効果センサは、前記直交する2軸方向を含む平面と平行な磁気ベクトルの変化を感知可能に配置されるとともに、前記バイアス磁石は、前記直交する2軸方向を含む平面と平行な磁界を前記磁気抵抗効果センサに付与する態様にて着磁され、前記カウンタ磁石は、前記磁気抵抗効果センサに対向する位置まで移動した状態で前記直交する2軸方向を含む平面と平行な方向であって且つ、前記バイアス磁界と所定の角度を成す磁界を前記磁気抵抗効果センサに付与する態様にて着磁されてなることを特徴とするシフト位置検出装置。同構成によれば、カウンタ磁石が互いに直交する2軸方向のいずれかの方向に移動して磁気抵抗効果センサに近づくときに、バイアス磁界の磁気ベクトル(より詳細にはその向き)に変化が生じるとともに、この磁気ベクトルの変化を磁気抵抗効果センサを通じて感知することができるようになる。したがって、カウンタ磁石の2軸方向に移動する部分に対応して磁気抵抗効果センサを配置するようにしたとしても、カウンタ磁石が磁気抵抗効果センサに近接したことを1つの磁気抵抗効果センサにより検知することができるようになる。このため、シフトレバーが2軸方向に操作される場合であれ、シフト位置検出装置としての部品点数の増加を招くことなくシフトレバーのシフト位置を検出することができるようになる。
【符号の説明】
【0078】
1,33a〜33d,71…磁気抵抗効果センサ(MREセンサ)、2,31,70…カウンタ磁石、3,34a〜34d,72…バイアス磁石、4,36…ヨーク、5,6,60b…磁石、10,60…シフトレバー、10a,60a…把持部、11…ブリッジ回路、12…差動増幅器、13…ヒステリシス比較器、20…シフトパネル、21,61a…シフトゲート、21a…第1の案内溝、21b…第2の案内溝、30…シフト位置検出装置、32,64…基板、35a〜35d…ヒステリシス比較器、37,61…ケース、40…制御装置、50…自動変速機、62…支持部材、63a〜63e…磁気センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気抵抗素子により構成される磁気抵抗効果センサと、車両のシフトレバーの2軸方向の操作に連動して互いに直交する2軸方向に移動するとともにこの移動に伴って前記磁気抵抗効果センサに近接するカウンタ磁石と、前記磁気抵抗効果センサにバイアス磁界を付与するバイアス磁石とを備え、前記カウンタ磁石が前記磁気抵抗効果センサに近づくとき前記バイアス磁界の磁気ベクトルに生じる変化を前記磁気抵抗素子の抵抗値の変化として感知して前記カウンタ磁石の前記磁気抵抗効果センサへの近接を検知するとともに、このカウンタ磁石の前記磁気抵抗効果センサへの近接を検知することに基づいて前記シフトレバーのシフト位置を検出するシフト位置検出装置において、
前記磁気抵抗効果センサは、前記2軸方向を含む平面に平行な磁気ベクトルを感知可能に配置されるとともに、前記バイアス磁石は、前記2軸方向を含む平面に平行な方向に着磁され、前記カウンタ磁石は、前記2軸方向を含む平面に平行な方向であって且つ、前記バイアス磁石の着磁方向と所定角度を成す方向に着磁されてなる
ことを特徴とするシフト位置検出装置。
【請求項2】
前記バイアス磁石は、前記2軸方向のうちの1軸方向と平行な方向に着磁されるとともに、前記カウンタ磁石は、前記バイアス磁石の着磁方向と直交する方向に着磁されてなる
請求項1に記載のシフト位置検出装置。
【請求項3】
前記カウンタ磁石は、その着磁方向と直交する方向の側面にヨークを有してなる
請求項2に記載のシフト位置検出装置。
【請求項4】
前記磁気抵抗効果センサ及び前記バイアス磁石は、前記カウンタ磁石の着磁方向である1軸方向に沿って複数並設され、この並設された複数のバイアス磁石が、前記1軸方向に沿って並設されている順に互い違いとなる着磁方向を有してなる
請求項2又は3に記載のシフト位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−243287(P2010−243287A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−91221(P2009−91221)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】