説明

車両のハザード制御システム及び車両のハザード制御装置

【課題】他車両へ注意を促すことへの貢献に乏しいハザードランプの電力を使わないようにすることで、バッテリの電力の消耗を抑制する。
【解決手段】車両のハザード制御システムにおいて、ハザードスイッチ(22)は、ハザードランプ(40)のうち、前部のハザードランプと後部のハザードランプとを独立して点滅するための指示信号を発生する独立指示スイッチ(22b1、22b2)を備え、指示信号に基づき、前部のハザードランプ(41、42)の点滅と後部のハザードランプ(43、44)の点滅とを独立して制御する制御手段(1)と、制御手段に基づき、前部のハザードランプと後部のハザードランプを独立して駆動するランプ駆動手段(10)とを備える。この構成により、他車両の運転者から見えず、注意を促すという貢献をしていない前部又は後部のハザードランプの電力を使用しないで済むことができ、バッテリの電力の消耗を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハザードランプの点滅モードを変更可能な車両のハザード制御システム及びそのハザード制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両は、車両の前後、左右の方向指示器のランプ全てを同期して点滅させるハザードランプとして使用するためのハザード制御システムを備えている。
【0003】
このハザード制御システムは、車両内のインストルメントパネル付近に設けられたハザードスイッチを乗員が手動でオンにすることによってハザードランプを同期して点滅させている。
【0004】
ハザードランプは、本来、車両の故障等で自走できなくなった場合、路上等で車両を停車又は駐車させる場合、若しくは渋滞で急な減速をする場合等に、周囲の他車両などへ注意を促すものである。
【0005】
このように従来のハザードランプの技術は、車両の前後、左右の方向指示器全てを同期して点滅させるものであった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−280008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、自車両が走行又は駐停車する状況によって、他車両の運転者等がハザードランプの全てのランプ点滅を目視で判定しにくい場合がある。
【0008】
例えば、自車両が片側走行専用の道路上で路肩付近にハザードランプを点滅させて停車する場合に自車両の後方から他車両が近づいて来た状況を想定する。そのような状況では、他車両の運転者は、停車中の自車両のハザードランプによる警告を目視する。
【0009】
他車両の運転者が目視する際、自車両の前部のハザードランプは自車両に隠れて見えにくいため、他車両の運転者は、自車両の後部のハザードランプを目視で確認することによって、自車両が停車していることを推測している。
【0010】
そのため、自車両の乗員がハザードスイッチをオンし、ハザードランプを点滅させ続けても、他車両の運転者から見えない前部のハザードランプは、後方から近づいてくる他車両に注意を促すという貢献をしていなかった。そのためランプの発光に係る電力が無駄に消耗してしまう問題があった。
【0011】
特に、エンジンからの発電による電力供給が停止するイグニッション・スイッチがオフの状態で、自車両のハザードランプを長時間オンし続ける必要があった場合には、その電力の無駄によって車両のバッテリ上がりを早期に招く恐れもあった。
【0012】
そこで本発明は、他車両へ注意を促すことへの貢献に乏しいハザードランプの電力を使わないようにすることで、バッテリの電力の消耗を抑制することのできる車両のハザード制御システム及びハザード制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を解決するために請求項1の車両のハザード制御システムは、ハザードスイッチが、車両の前部のハザードランプと後部のハザードランプとを独立して点滅するための指令信号を発生する独立指示スイッチ機能を備え、独立指示スイッチ機能が発生する指令信号に基づき、前部のハザードランプの点滅と後部のハザードランプの点滅とを独立して制御する制御手段と、その制御手段に基づき前部のハザードランプと後部のハザードランプの点滅開始及び点滅停止を独立して駆動するランプ駆動手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、車両の前部のハザードランプあるいは後部のハザードランプを独立して点滅させることができる。つまり、自車両のハザードスイッチをオンし、他車両の運転者が見ることのできる前部のハザードランプ(あるいは後部のハザードランプ)を点滅させる。一方、他車両の運転者から見えないために、注意を促すという貢献をしていない後部のハザードランプ(あるいは前部のハザードランプ)は電力を使用せずに済む。従って、バッテリの電力の消耗を抑制することができる。
【0015】
また請求項2の車両のハザード制御システムは、制御手段と通信可能に接続され、複数のインジケータランプを備えるインジケータをさらに備えており、インジケータは制御手段に基づき複数のインジケータランプのうち、個々のインジケータランプを独立して点滅駆動する点滅駆動手段を備え、点滅駆動手段は、前部のハザードランプと後部のハザードランプの点滅動作に対応するインジケータランプを点滅させることを特徴としている。
【0016】
この構成によれば、前部のハザードランプ又は後部のハザードランプが点滅中にその点滅状態をインジケータランプでも視認することができる。
【0017】
また請求項3の車両のハザード制御システムでは、制御手段は、前部のハザードランプあるいは後部のハザードランプがこの車両が使用される国の交通法規に規定される条件を満たすか否かの判定し、交通法規の条件を満たしていないと判定した場合は、交通法規の条件を満たしていないことを報知することを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、乗員は、ハザードスイッチの操作をした際に、車両が使用される国の交通法規から外れているか否かを知ることができる。そのため、乗員は、前部のハザードランプと後部のハザードランプの点滅動作をそのまま継続しないように判断することができる。
【0019】
また請求項4の車両のハザード制御装置は、複数のハザードランプの全てを同期して点滅開始及び点滅停止するための第1の指示信号に基づき、複数のハザードランプを同期して点滅する第1の制御信号を生成する手段と、複数のハザードランプのうち、車両の前部のハザードランプと後部のハザードランプとで独立しての点滅開始及び点滅停止をするための第2の指示信号に基づき、前部のハザードランプと後部のハザードランプとを独立して点滅開始及び点滅停止する第2の制御信号を生成する手段と、第1、第2の制御信号を複数のハザードランプの点滅を実行するランプ駆動回路に向けて送信する送信手段とを有することを特徴としている。
【0020】
この構成によれば、複数のハザードランプの全てを同期して点滅開始及び点滅停止する制御と、前部のハザードランプと後部のハザードランプとを独立して点滅開始及び点滅停止する制御を、ハザードスイッチの指示信号に応じて選択的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例における、ハザード制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例における、インストルメントパネルとそのパネル付近の表示図である。
【図3】本実施例における、ランプ駆動部の構成図である。
【図4】本実施例における、ハザード制御システム内のランプECUの制御処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施例に係り、図4のハザードスイッチオン時の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】本実施例に係り、図4のハザードスイッチオフ時の制御処理を示すフローチャートである。
【図7】本実施例における自車両の後部のハザードランプを独立して使用した場合の効果を示す説明図である。
【図8】本実施例における自車両の前部のハザードランプを独立して使用した場合の効果を示す説明図である。
【図9】本実施例に係り、図4のハザードスイッチオン時の制御処理における変形例を示すフローチャートである。
【図10】本実施例に係り、図9の交通法規条件を満たすか否かの具体的な判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。尚、以下には複数種類のスイッチが記載されているが、スイッチがオンのときを導通状態、オフのときを非導通状態と定義して記載している。
【0023】
[ハザード制御システムの構成説明]
図1は車両に用いられるハザード制御システム(本発明の車両のハザード制御システムに相当)の構成を示すブロックである。まずランプECU(ECU:Electronic Control Unit)1(本発明の車両のハザード制御装置に相当)を中心に配線の接続関係について説明する。
【0024】
ランプECU1は、装置又はセンサから所定の入力データをランプECU1へ送信する入力装置群20と接続されている。この入力装置群20内には、バッテリ電圧検出器21、ハザードスイッチ22(本発明のハザードスイッチに相当)、方向指示スイッチ23、日時表示装置24が、それぞれ電気配線を介して通信可能に接続されている。
【0025】
また入力装置群20内には、距離測定センサ25、ナビゲーション装置26が備わっており、ランプECU1と車載LAN(LAN:Local Area Network)通信線を介して通信可能に接続されている。
【0026】
またランプECU1は、ランプ駆動部10(本発明のランプ駆動手段、及びランプ駆動回路に相当)と通信線100、101、及び102を介して通信可能に接続されている。さらに、ランプECU1は、インジケータ30(本発明のインジケータに相当)及びランプ駆動部10と、通信線100を介してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0027】
電源バッテリ(以下BATと称する)は、電源線103を介してランプECU1、バッテリ電圧検出器21、ランプ駆動部10、インジケータ30と直接接続されており、イグニッション・スイッチがオフのときでも動作可能となるよう、それらの接続先の装置等に電力を供給する。また、入力装置群20内の装置22〜26についても、イグニッション・スイッチがオフのときでも動作可能となるべく、BAT又はランプECU1から電力が供給されるよう、図示しない電源線を介して接続されている。
【0028】
また詳細は後述するが、ハザードランプ40(本発明のハザードランプ群に相当)は、BATより電源線103とランプ駆動部10とを介してランプ41〜44(本発明の複数のランプに相当)にそれぞれ電力が供給されるよう接続されている。
【0029】
尚、上記ランプ41〜44のうち、ランプ41は車両前部の左側(FLと称す)に備えられ、ランプ42は車両前部の右側(FRと称す)に備えられ、ランプ43は車両後部の左側(RLと称す)に備えられ、ランプ44は車両後部の右側(RRと称す)に備えられている。またランプ41及び42を総称して前部のハザードランプ(本発明の前部のハザードランプに相当)、ランプ43、44を総称して後部のハザードランプ(本発明の後部のハザードランプに相当)と呼ぶ。
【0030】
次に、図1の各装置等の構成についてそれぞれ詳細に説明する。
【0031】
バッテリ電圧検出器21は、BATの電圧を検出してランプECU1へ電圧データを送信する。
【0032】
ハザードスイッチ22は、後述するように車両内のインストルメントパネル付近に設けられている。このハザードスイッチ22は、手動のボタン操作によってハザードランプ40内のどのランプを点滅開始又は点滅停止させるかを示す指示信号(本発明の指示信号に相当)を、ランプECU1へ送信する。
【0033】
このハザードスイッチ22は、複数個のスイッチ22a、22b1、22b2で構成されている。このうちスイッチ22aは、ハザードランプ40のランプ41〜44を全て点滅開始又は点滅停止させるためのスイッチであり、つまり従来用いられているハザードスイッチと同等のものである。
【0034】
また、スイッチ22b1は、車両の前部に設けられたランプ41、ランプ42を点滅開始又は点滅停止させるための指示信号を送るスイッチである(以下、必要に応じてスイッチ22b1を前部ハザードスイッチと呼ぶ)。
【0035】
一方、スイッチ22b2は、車両の後部に設けられたランプ43、ランプ44を点滅開始又は点滅停止させるための指示信号を送るスイッチである(以下、必要に応じてスイッチ22b2を後部ハザードスイッチと呼ぶ)。この前部のハザードランプと後部のハザードランプを点滅開始又は点滅停止させるための指示信号を送る機能(本発明の独立指示スイッチ機能に相当)を有するスイッチを総称して独立指示スイッチ22bと呼ぶ。
【0036】
ここで、ハザードスイッチ22のうち前部ハザードスイッチと後部ハザードスイッチの2つに分けた理由は、ハザードランプが点滅していることを、自車両の前方又は後方に位置する他車両の運転者が認識するためには、車両の前部に設けたランプ又は後部に設けたランプが同時に点滅していることが周囲に注意を促すための必要条件と考えるからである。
【0037】
例えば、もし後部のハザードランプ2個のうち何れか1個しか点滅しないとなると、当該車両の真後ろに位置する他車両の運転者はその点滅を方向指示と誤認する恐れがあるが、ハザードランプが同時に2個点滅すると、そのような誤認を防ぐことができる。
【0038】
また、ハザードスイッチ22内のスイッチ22a、22b1、及び22b2は一般に知られている、切り換えスイッチ(多回路多接点のスイッチ)構成になっており、あるボタンのひとつを押すと、今までオンであった他のスイッチがオフに戻るというボタン選択式の構成になっている。
【0039】
例えばスイッチ22b2が現在押されており、スイッチ22b2に対応するハザードランプが点滅している際に、スイッチ22aを押すと、それまで作動していたスイッチ22b2がオフになり、スイッチ22aがオンとなって、スイッチ22aに対応するハザードランプが点滅を開始するようになっている。このような切り換えスイッチとすることで、ハザードスイッチの複数スイッチの二重押しやスイッチの消し忘れなどによる誤操作を確実に防止することができる。またスイッチ22aを設けずに、スイッチ22b1及びスイッチ22b2を同時押しにすることでスイッチ22aと同等の機能を実現するように構成することも可能であるが、ここではスイッチ22aとスイッチ22bを分けることで、乗員が必要なスイッチを即座に選択して操作できるようにしている。
【0040】
方向指示スイッチ23は、車両内のハンドル付近に備えられており、車両が右折又は左折する際に運転者が使用するためのものであって、右折又は左折のスイッチを運転者が手動で操作入力する。この運転者による操作入力に応じて、方向指示スイッチ23は、その方向を点滅で示すための方向指示信号をランプECU1へ送信する。
【0041】
日時表示装置24は、車両内のインストルメントパネル付近に設けられており、日時表示装置24内の図示しない電波時計機能を利用して、現在の時刻データを取得する。取得した現在時刻はセグメント型の液晶表示装置で表示させると共に、その現在の時刻情報をランプECU1へデータ送信する。
【0042】
距離測定センサ25は、図示しない車両の前部に設けられた周知のレーザーレーダであり、レーザー光を物体に照射した後から、その物体の反射光を受光するまでの時間を計測することで物体までの距離を求める。この方法により物体距離情報を取得し、その物体距離情報のデータをランプECU1へ送信する。
【0043】
ナビゲーション装置26は、インストルメントパネル付近に設けられている。そのナビゲーション装置26は、図示しない無線通信装置を通して、日入りと日出の時刻情報を外部のサービスセンターより取得する。そしてその取得した日入りと日出の時刻情報のデータをランプECU1へ送信する。
【0044】
尚、日入りと日出の時刻データの取得方法については、ナビゲーション装置26内に設けた記憶装置に、各年日の日入りと日出の時刻を予め記憶させたものを、現在日時に対応させて取得してもよい。また、現在日時の暦に応じて一般に知られている計算式等を用いて、ナビゲーション装置26内のCPUが演算することによって取得してもよい。また、取得した日の出等の時刻データを、ナビゲーション装置26の図示しない表示部に表示させてもよい。
【0045】
ランプECU1は、周知の通常のマイクロコンピュータ(以下マイコンと称す)として構成されており、図示しない処理内容を記述したプログラムを記憶するメモリであるROM、及び一時的にデータを保存するRAMを備え、さらにそのROMに記憶されたプログラムを実行するCPUを有している。またランプECU1は、各種データを送信又は受信することを行う入力装置群20の装置は、通信ドライバや通信コントローラを有するインタフェース部を主要とする図示しない構成部品を備えている。また、ハザードスイッチ22、方向指示スイッチ23などの電気配線を介して接続されているものについては、マイコンが直接命令信号を受信するよう構成されている(本発明の受信手段に相当)。
【0046】
このランプECU1は、各種装置等から受信する信号に基づきプログラムを実行することによって、接続された各部の制御を統括的に行う(本発明の制御手段に相当)。ランプECU1は、ハザードスイッチ22の指示信号又は方向指示スイッチ23の方向指示信号に基づき、対応するハザードランプを点滅開始及び点滅停止するための点滅制御信号を生成し(本発明の制御信号生成手段に相当)、通信線100を介してランプ駆動部10及びインジケータ30に送信する(本発明の送信手段に相当)。
【0047】
さらにランプECU1は、ハザードランプ40内の各ランプ41〜44を点灯又は消灯させるかを個別に制御するためのランプ制御信号を生成し(本発明の制御信号生成手段に相当)、通信線101及び102を介してランプ駆動部10のランプスイッチ12に送信する(本発明のランプ制御手段に相当)。
【0048】
またランプECU1は、受信したバッテリ電圧検出器21の電圧信号に基づきランプの電力供給制御を行ったりする。ランプECU1は電圧信号に含まれる電圧データの値が所定値以下であるか否かを判定し、所定値以下であれば、ハザードランプ40の点滅動作をハザードスイッチ22の指示信号に関係なく停止するよう、ランプ駆動部10を制御する。所定値については、エンジンで駆動する車両のイグニッション・スイッチがオン(エンジン始動)できるようにするための電力を確保できる電圧であればよく、ここでは12Vの電源であれば9.6Vを所定値として定めている。
【0049】
その他、上述したように、ランプECU1は、BATの電源と直接接続される構成にすることにより、イグニッション・スイッチがオフのときでも、電源供給を受けることができ、ランプ駆動部10の点滅制御が可能となっている。
【0050】
ランプ駆動部10は、ハザードランプを点滅開始又は点滅停止するための点滅制御信号を、通信線100を介してランプECU1より受信し、点滅信号を発生させるための駆動回路11を動作させる。またランプ駆動部10は、ハザードランプ40内の各ランプ41〜44を点灯又は消灯させるかを個別に制御するためのランプ制御信号を、通信線101及び102を介してランプECU1より受信し、ランプスイッチ12のスイッチのオン又はオフを制御する。このランプ駆動部10の動作の詳細については後述する。
【0051】
インジケータ30の内部は、駆動回路11と同様の構成である点滅駆動回路31(本発明の点滅駆動手段に相当)と、インジケータランプ32が表示用に設けられている(尚、インジケータランプ32は複数のランプからなり、その表示例については図2で後述する)。また、インジケータランプ32の複数のランプはそれぞれ、BATより電力を供給する電源線103と接続されている。さらに、インジケータランプ32のそれぞれのランプと電源線103との間には、電流のオン/オフを制御するインジケータスイッチ33が個別に接続されている。
【0052】
この点滅駆動回路31は、ハザードスイッチ22又は方向指示スイッチ23がオンされると、ランプECU1より通信線100を介して点滅制御信号を受信する。さらに点滅制御駆動31は、受信した点滅制御信号に基づいて点滅信号を発生する。さらに点滅制御信号に基づいて、点滅のオン又はオフ示す信号をインジケータランプ毎に設けられたインジケータスイッチ33にそれぞれ送信する。インジケータスイッチ33は、受信した点滅信号又はオフ信号に基づき、スイッチを点滅制御又はオフすることで、インジケータスイッチ33のそれぞれに対応するインジケータランプ32のランプを点滅又は消灯させる。
【0053】
尚、図示しないがインジケータ30は、一般に知られている聴覚による動作確認として点滅の信号に合わせてクリッカー音を発生させる回路も設けられている。
【0054】
ここで図2を用いてハザードスイッチ22及び方向指示スイッチ23と、インストルメントパネル34内のインジケータ30との配置関係について説明する。ハザードスイッチ22は、車両内のインストルメントパネル34の付近に設けられており、また方向指示スイッチ23は、車両内のインストルメントパネル34の付近にあって、運転者が操作するハンドル35の付近に備えられている。インジケータランプ32a1及び32a2は、ハザードスイッチ22aがオンされると、お互いに同期して点滅する。
【0055】
またインジケータランプ32a3は、前部ハザードスイッチ22b1の入力に対応して点滅し、インジケータランプ32a4は、後部ハザードスイッチ22b2の入力に対応して点滅する。
【0056】
さらに、インジケータランプ32a1又は32a2の何れか一方が、方向指示スイッチ23の入力に対応して点滅し、例えば運転者が方向指示スイッチ23を右方向に指示すると、インジケータランプ32a1が点滅する。
【0057】
このようにハザードスイッチ22や方向指示スイッチ23の各入力スイッチに対応して、インジケータ30のインジケータランプ32a1、32a2、32a3、32a4を個別に設けることによって、現在どのハザードスイッチが押されているかを、乗員が車内に居ながら容易に見分けることができる。
【0058】
また図2では、車両内のインストルメントパネル34の付近には時刻を表示する日時表示装置24や、日の出等の時刻データや交通に関する注意情報などを表示するナビゲーション装置26も備えられている。
【0059】
尚、インストルメントパネル34には速度メータや回転メータ、燃料計などが表示されているが、本発明と直接関係がないため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0060】
以下ランプ駆動部10内の構成について図3を用いて詳細に説明する。
【0061】
駆動回路11のフラッシャ回路11aは、ランプECU1より通信線100を介してハザードスイッチ22の指示信号に基づく点滅制御信号を受け、ハザードランプを同期して点滅させるために、ハザードリレー11bに点滅信号を出力する。ハザードリレー11bは、フラッシャ回路11aからの点滅信号を受け、スイッチ13lとスイッチ13r両方のスイッチのオン/オフを周期的に作動させるための動作信号を送信する(ハザードスイッチ22の指示信号に基づくフラッシャ回路11aとハザードリレー11bの動作を合わせて動作Aとする)。
【0062】
また、ランプECU1を介して方向指示スイッチ23の方向指示信号に基づく点滅制御信号を受けた駆動回路11のフラッシャ回路11aは、ハザードリレー11bに点滅信号を出力する。ハザードリレー11bは、フラッシャ回路11aからの点滅信号を受け、スイッチ13lと13rのどちらか一方のスイッチのオン/オフを周期的に作動させ、もう一方のスイッチはスイッチをオフに作動させる信号を送信する(方向指示スイッチ23の方向指示信号に基づくフラッシャ回路11aとハザードリレー11bの動作を合わせて動作Bとする)。例えば方向指示スイッチ23より右方向の方向指示信号がランプECU1に送信された場合、スイッチ13rは、スイッチのオン/オフを周期的に作動し、スイッチ13lはスイッチをオフするよう作動する。
【0063】
ハザードランプ40のランプ41〜44は、BATに接続された電源線103から駆動回路11、スイッチ13、スイッチ12を介して電源が供給されるよう配線されている。
【0064】
ランプ41、43は、スイッチ13lを介して電源が供給される。さらにランプ41はスイッチ12flを介して電源が供給されるようになっており、またランプ43はスイッチ12rlを介して電源が供給されるようになっている。
【0065】
ランプ42、44は、スイッチ13rを介して電源が供給される。さらにランプ42はスイッチ12frを介して電源が供給されるようになっており、またランプ44はスイッチ12rlを介して電源が供給されるようになっている。
【0066】
スイッチ12は、ランプECU1と接続されている通信線101、102より、ハザードスイッチ22の指示信号又は方向指示スイッチ23の方向指示信号に対応して、ハザードランプ41〜44をそれぞれ点灯させるか否かのランプ制御信号を受信する。
【0067】
ハザードスイッチ22内のスイッチ22aがオンの場合、スイッチ12fl、12rl、12fr、12rrのスイッチが全てオンとなるようランプ制御信号を受信する(このスイッチ22aの操作に基づくスイッチ12のスイッチ動作を動作Cとする)。このように、スイッチ22aがオン入力されたときは、スイッチ12の動作Cと駆動回路15の動作Aとが連動し、ランプ41、42、43、44が点滅する。
【0068】
またハザードスイッチ22内のスイッチ22b1がオンの場合、通信線101を介してスイッチ12fl及びスイッチ12frがオンとなるようランプ制御信号を受信し、通信線102を介してスイッチ12rl及びスイッチ12rrはオフとなるようなランプ制御信号を受信する(このスイッチ22b1の操作に基づくスイッチ12のスイッチ動作を動作Dとする)。このように、スイッチ22b1がオン入力されたときは、スイッチ12の動作Dと駆動回路15の動作Aとが連動し、ランプ41、42が点滅する。
【0069】
ハザードスイッチ22内のスイッチ22b2がオンの場合、通信線101を介してスイッチ12fl及びスイッチ12frはオフとなるようなランプ制御信号を受信し、通信線102を介してスイッチ12rl及びスイッチ12rrはオンとなるようランプ制御信号を受信する(このスイッチ22b2の操作に基づくスイッチ12のスイッチ動作を動作Eとする)。このように、スイッチ22b2がオン入力されたときは、スイッチ12の動作Eと駆動回路15の動作Aとが連動し、ハザードランプ43、44が点滅する。
【0070】
また、方向指示スイッチ23がオンの場合は、上記ハザードスイッチ22のスイッチ22aと同様(動作Cと同様)に、スイッチ12fl、12rl、12fr、12rrのスイッチが全てオンとなるようランプ制御信号を受信する。このように、方向指示スイッチ23がオン入力されたときは、スイッチ12の動作Cと駆動回路11の動作Bとが連動する。従って方向指示スイッチ23において右方向が指示された場合はランプ42、44が点滅し、左方向が指示された場合はランプ41、43が点滅する。
【0071】
上述したように、ハザードスイッチ22又は方向指示スイッチ23がオンされた場合は、ランプECU1の制御処理に基づき、駆動回路11を動作させることで、ハザードランプ40のうち、選択されたランプが点滅する。また、点滅させたいハザードランプの各ランプを個々にオン・オフの選択ができるよう点灯及び消灯制御するため、従来のハザードランプを点滅させる駆動回路をそのまま利用できる。従って、前部のハザードランプを点滅させる駆動回路と後部のハザードランプを点滅させる駆動回路をそれぞれ別個に用意するよりも、回路面積が殆ど変わることの無い、コストの安い簡素な構成で、前部のハザードランプと後部のハザードランプの点滅開始及び点滅停止を行うことができる。
【0072】
尚、点滅中の各ハザードランプは、各点滅周期がばらつくと仮現運動知覚によって幻惑される恐れが有り、安全性の問題から、完全に同期する必要がある。そのため、点滅する各ハザードランプは1つのリレーによって制御されている。
【0073】
さらに、ハザードランプ(方向指示器も含む)は、ランプ切れを起こす異常事態があった場合に、その異常をユーザーに通知するような回路構成が駆動回路11には組まれている。例えば半導体素子を用いた制御による電子式リレーを用いた場合は、電流検出抵抗を用いて電流値の変化を検出(例えばランプの全点灯時の総電流が基準値を下回ったら異常と認識)するよう一般に構成されている。
【0074】
そのため、点滅させるランプの個数に応じて、前記電流値の基準値を複数備えることが好ましい。例えば本実施形態の場合、2個同時又は4個同時に点滅させるため制御ハザードランプで2通りの基準値を設け、選択して用いるようにするとよい。
【0075】
[ランプECU1おけるハザードスイッチの操作に基づくハザードランプ動作処理]
次に、上述したように構成されたハザード制御システムにおいて、ハザードスイッチ22の操作がされた際に、ランプECU1が行う動作処理(本発明の制御手段に相当)について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0076】
まずハザードスイッチ22の何れかのスイッチがオンされた場合に、動作処理をスタートする。
【0077】
ステップS1において、ランプECU1は、BATの電圧がハザードランプを駆動するために必要なレベルで使用できる状態であることを確認する。BATの電圧がハザードランプを駆動するために必要なレベルで使用できないと判定された場合はNOを選択し、スイッチがオフ時の動作処理を行うステップS5に進む。一方、BATの電圧がハザードランプを駆動するために必要なレベルで使用できると判定された場合はYESを選択し、ステップS2に進む。
【0078】
ステップS2では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22のスイッチオン時の制御処理を実行する。この動作処理の詳細については図5を用いて後述する。ステップS2の処理を終えた後は、ステップS3に進む。
【0079】
ステップS3では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22の入力変更がされたか否かを確認する。もしハザードスイッチ22のスイッチのうち、現在動作中とは別のスイッチ入力がされた場合はYESを選択し、ステップS1に戻ってステップS1の判定処理を実行する。また、ハザードスイッチ22のスイッチのうち、現在動作中とは別のスイッチ入力がされていなかった場合はNOを選択し、ステップS4に進む。
【0080】
ステップS4では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22のスイッチが全てオフされたか否かを確認する。ランプECU1は、ハザードスイッチ22のスイッチが全てオフされておらず、何れかのスイッチが動作中であると確認するとNOを選択し、ステップS1に戻ってステップS1の判定処理を実行する。
【0081】
ステップS5では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22のスイッチオフ時の動作処理を実行する。この制御処理の詳細については図6を用いて後述する。ステップS5の処理を終えた後は、全体処理が終了する。
【0082】
図5では、図4のステップS2における、ハザードスイッチ22のスイッチオン時の動作処理について説明する。
【0083】
ステップS11及びステップS13では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22内のスイッチ22a、22b1、22b2うちどのスイッチが入力されたかを確認する。
【0084】
まずステップS11では、ランプECU1は、スイッチ22aがオンされたかを確認する。スイッチ22aがオンされたことを確認した場合はYESを選択し、ステップS12に進む。もしスイッチ22aがオンされなかった場合(スイッチb1又はb2がオンされている場合)はNOを選択し、ステップS13へ進む。
【0085】
ステップS12では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内にあるスイッチ12のスイッチ12fl、 12fr、12rl、12rrを全てオンするよう命令する。そしてスイッチ12の各スイッチをすべてオンの作動を完了したのち、ステップS16に進む。
【0086】
一方、少し戻ってステップS13では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22のスイッチ22b1がオンされたかを確認する。スイッチ22b1がオンされたことを確認した場合はYESを選択し、ステップS14に進む。もしスイッチ22b1がオンされなかった場合は、スイッチ22b2が選択されたとしてステップS15へ進む。
【0087】
ステップS14では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内のスイッチ12のスイッチ12fl、 12frのスイッチをオンするよう命令し、スイッチ12rl、12rrをオフするよう命令する。そのスイッチ12の各スイッチをオン又はオフの動作を完了したのち、ステップS16に進む。
【0088】
ステップS15では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内のスイッチ12のスイッチ12fl、 12frのスイッチをオフするよう命令し、スイッチ12rl、12rrをオンするよう命令する。そのスイッチ12の各スイッチをオン又はオフの動作を完了したのち、ステップS16に進む。
【0089】
ステップS16では、ランプECU1は、ハザードランプ40の各ランプを同期して点滅させるためにランプ駆動部10内の駆動回路11を動作するよう命令する。
【0090】
そしてステップ2の処理が完了後、図4に戻ってステップS3に進む。
【0091】
上述のように、図5の動作処理により、ハザードスイッチ22のうちスイッチ22aがオンされた場合、ランプ駆動部10は、ランプECU1の命令に従って、ハザードランプ40のランプ41〜44のランプを全て同期して点滅させる(ステップ12とステップ16が本発明の第1の制御信号生成手段に相当)。
【0092】
またスイッチ22b1がオンされた場合は、前部のハザードランプであるランプ41及び42のランプが同期して点滅し(ランプ43及び44は消灯状態)、スイッチ22b2がオンされた場合は、後部のハザードランプであるハザードランプ43及び44のランプが同期して点滅する(ランプ41及び42は消灯状態)(ステップ14、ステップ15とステップ16が本発明の第2の制御信号生成手段に相当)。
【0093】
次に図6において、図4のステップS5における、ハザードスイッチ22のスイッチオフ時の動作処理について説明する。
【0094】
ステップS21では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内で点滅信号を発生させる駆動回路11の動作を停止するよう命令する。
【0095】
ステップS22では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内のスイッチ12のスイッチ12fl、 12fr、12rl、12rrを全てオフするよう命令する。動作により、ランプ駆動部10の動作は全て停止し、ステップS5の処理が完了する。
【0096】
以上図4の各動作により、前部ハザードスイッチ22b1又は後部ハザードスイッチ22b2の何れか一方が選択された場合には、前部のハザードランプ又は後部のハザードランプの何れかのハザードランプを点滅することができ、もう一方の選択がされなかった前部又は後部のハザードランプ分の電力の消耗を抑制することができる。
【0097】
以下、本実施形態の具体的効果について、図7、図8を用いて詳細に説明する。
【0098】
図7は中央線を境にして、左右に走行車線が設けられた一般道路であり、左右の走行車線はお互いに交差して通行できないようになっている。中央線の左側の走行車線は図面上側に向かって車両が一方向に走行し、中央線右側の走行車線は図面下側に向かって車両が一方向に走行している。
【0099】
ここで、左側の走行車線では、自車両50が1台単独で路肩線に沿って停車しており、自車両50の乗員は後部のハザードランプ(43a及び44a)を点滅させるため後部ハザードスイッチ22b2をオンにしている。また、自車両50の周囲の路肩線から走行車線に向かって特に出入りする車両や人等もない状況にある。
【0100】
この自車両50の後方から走行してきた他車両60の運転者は、自車両50の後部のハザードランプ(43a及び44a)の点滅を目視で確認できる。そのため、他車両60の運転者は、自車両50の急な飛び出しや衝突などへの注意を認識することができる。またこの様な状況では、注意を促すべき他車両60の運転者が、自車両50の後方に位置している。そのため他車両60の運転者が殆ど見ることができない前部のハザードランプ(41a及び42a)を点滅させなくとも注意を十分促すことができる。
【0101】
また、上述のように自車両50の後部のハザードランプ(43a及び44a)、つまり車両後部に設けた2個のランプを点滅発光させることで、他車両60の運転者が、車両の左右何れかのハザードランプ点滅で方向指示を示す方向指示用のランプと、ハザード用のランプとの誤認を防止することもできる。
【0102】
上述した様に、自車両50は、他車両60へ注意を喚起することへの貢献に乏しい自車両50の前部のハザードランプ(41a及び42a)の電力を使わないようにすることで、バッテリ電力の消耗を抑制することができる。
【0103】
次に図8は中央線や走行帯の無い1つの走行車線からなる一般道路であり、その走行車線内は対向車がお互いに交差して通行できるようになっている。走行車線内のうち左側は図面上側に向かって車両が走行し、走行車線内のうち右側は図面下側に向かって車両が走行している(ここでは左走行ルールとしている)。
【0104】
この走行車線内には、自車両51と他車両52が、車間を詰め合って、路肩に縦列して停車している。ここで、車両51は左側の路肩に縦列駐車の先頭に止まっており、車両51の乗員は前部ハザードスイッチ(41b及び42b)オンにしている。
【0105】
また、自車両51の周囲の路肩線から走行車線に向かって特に出入りする車両や人等もない状況にある。
【0106】
他車両52は自車両51の真後に駐車しており、他車両52の乗員は後部ハザードスイッチ(43c及び44c)オンにしている。
【0107】
自車両51の前方から走行してきた他車両61の運転者は、自車両51の前部のハザードランプ(41b及び42b)の点滅を目視で確認できる。そのため、他車両61の運転者は、自車両51の急な飛び出しや衝突などへの注意を認識することができる。またこの様な状況では、注意を促すべき他車両61の運転者が、自車両51の前方に位置している。そのため他車両61の運転者が殆ど見ることができない後部のハザードランプ(43b及び44b)を点滅させなくとも注意を十分促すことができる。
【0108】
一方他車両52の後方から走行してきた他車両62の運転者は、他車両52の後部のハザードランプ(43c及び44c)の点滅を目視で確認できる。そのため、他車両62の運転者は、他車両52の急な飛び出しや衝突などへの注意を認識することができる。またこの様な状況では、注意を促すべき他車両62の運転者が、他車両52の後方に位置している。そのため他車両61の運転者が殆ど見ることができない他車両52の前部のハザードランプ(41c及び42c)を点滅させなくとも注意を十分促すことができる。
【0109】
また、上述のように自車両51の前部のハザードランプ(41b及び42b)、つまり車両前部に設けた2個のランプを点滅発光させることで、他車両61の運転者が、車両の左右何れかのハザードランプ点滅で方向指示を示す方向指示用のランプと、ハザード用のランプとの誤認を防止することもできる。さらに、他車両61の運転者は、自車両51の真後に位置する他車両52のランプ42cの消灯状態及びランプ44cの点滅状態を目視で確認できる。
【0110】
他車両61の運転者は、目視で見える他車両52の点滅の状態が、方向指示の点滅方法とも異なることがわかるため、他車両52も駐停車中であることを推測することができるため、他車両52の飛び出し等の注意確認もさらに行うことができる。
【0111】
尚、他車両62の運転者も他車両61の運転者と同様の理由のため説明は省くが、他車両52における方向指示用のランプとハザード用のランプとの誤認を防止したり、他車両51の飛び出し等の注意確認をしたりすることができる。
【0112】
このように自車両51と他車両52が車間を詰め合って縦列駐車している場合、自車両51は他車両52と協力することで、前部のハザードランプ又は後部のハザードランプのいずれか一方だけを点滅させるだけでよくなり、お互いにバッテリ電力の消耗を抑制させることができる。
【0113】
以上説明したように本実施形態は、ハザードランプを全部点滅させる従来の構成に比べバッテリの消耗を抑えることができ、エンジンを用いた車両のイグニッション・オフ時(発電機能オフ時)、又は電気自動車でバッテリの充電ができないような状況において、ハザードランプを長時間使用したい場合には、特に有効である。
【0114】
また本実施形態で、図4のステップS2ハザードスイッチ22のスイッチオン時の動作処理での別の実施形態を図9に示す。
【0115】
図9は自車両の乗員が交通法規に従って、ハザードスイッチ22を操作できるよう交通法規を報知する手段が付加されている。
【0116】
ステップS31では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22内のスイッチ22a、22b1、22b2うちスイッチ22aがオンされたかを確認する。スイッチ22aがオンされたことを確認した場合はYESを選択し、ステップS36に進む。もしスイッチ22aがオンされなかった場合(スイッチb1又はb2がオンされている場合)はNOを選択し、ステップS32へ進む。
【0117】
まずステップS36では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内にあるスイッチ12のスイッチ12fl、 12fr、12rl、12rrを全てオンするよう命令する。そしてスイッチ12の各スイッチをすべてオンの作動を完了したのち、ステップS39に進む。
【0118】
一方、少し戻ってステップS32では、ランプECU1は、自車両の周囲情報を取得する。周囲情報とは、次のステップで行う交通法規条件の判定処理に用いるための交通法規関連情報である。具体的な周囲情報は、国ごとに異なるが例えば日本国では夜間(日入りから日出までの時間)及び現在時刻の情報、自車両が現在位置する場所の道路幅員の情報、自車両の尾燈点灯状態の情報がある。これらの情報は、日本の道路の路肩に一般車両が一時停車する場合、ハザードランプ40の全てのランプ41〜44を必須で同期して点滅させなければならないかの交通法規条件を判定するために用いられる。
【0119】
そして周囲情報のうち、夜間(日入りから日出までの時間)及び現在時刻の情報、自車両が現在位置する場所の道路幅員の情報については、図1で説明したナビゲーション装置26、日時表示装置24、距離測定センサ25から取得する。また、尾燈がついているか否かの情報は、図示しない尾燈のランプを制御するECUより、尾燈がオンしているか否かの情報を、車載LANを介してランプECU1が受信することにより得ている。尚、これに限らず尾燈のランプに光センサを備えて、その点灯状態を直接ランプECU1が得てもよい。
【0120】
ステップS33では、取得した周囲情報を元に、交通法規に従った条件で使用できるかを判定する(本発明の交通法規に規定される条件を満たすか否かを判定に相当)。この判定方法の詳細については図10を用いて後述する。もし交通法規条件を満たす場合はYESを選択し、ステップS35に進む。もし交通法規条件を満たさなかった場合はNOを選択し、ステップS34に進む。
【0121】
ステップ34では、「交通法規条件を満たさないため、ハザードスイッチ22b1又はb2を動作させることは推奨できない」ことと、「操作したスイッチ22b1又は22b2のスイッチをオフに戻して欲しい」ことを、自車両の乗員へ報知する。
【0122】
この報知する手段については、特に限定するものではないが、例えば乗員に目視又は聴覚によって通知してもよい。具体的にはナビゲーション装置26に、ランプECU1はハザードランプの交通法規条件を満たしていない旨の報知信号を送信する(本発明の報知制御手段に相当)。ナビゲーション装置26は、受信した報知信号の内容を図示しない液晶デバイスなどを用いた表示部に表示し、又は図示しないスピーカなどを用いた音声部で発音して、乗員に通知する、又は表示と発音の両方を利用して、乗員に通知する(本発明の報知するに相当)。
【0123】
またその他の報知方法として、表示や音声に限らず、振動であってもよい。例えば予め定めた振動ルールに従い、交通法規条件を満たしていない旨の振動方法を決めておく。ランプECU1はその振動方法を命令する振動命令信号を、車載LANを介してハンドルや座席を振動させるECUに送信する。ハンドルや座席を振動させるECUは受信した振動命令信号に従って、ハンドルや座席を振動させることで乗員に通知する。
【0124】
上述のように、通知を受けた乗員は、何もハザードランプに関する交通法規を知らされない場合に比べ、前部のハザードランプと後部のハザードランプの点滅動作をそのまま継続しないように判断することができるようになる。
【0125】
そして、報知後はステップS35に進む。
【0126】
ステップS35では、ランプECU1は、ハザードスイッチ22のスイッチ22b1がオンされたかを確認する。スイッチ22b1がオンされたことを確認した場合はYESを選択し、ステップS37に進む。もしスイッチ22b1がオンされなかった場合は、スイッチ22b2が選択されたとしてステップS38へ進む。
【0127】
ステップS37では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内のスイッチ12のスイッチ12fl、 12frのスイッチをオンするよう命令し、スイッチ12rl、12rrをオフするよう命令する。そのスイッチ12の各スイッチをオン又はオフの動作を完了したのち、ステップS39に進む。
【0128】
ステップS38では、ランプECU1は、ランプ駆動部10内のスイッチ12のスイッチ12fl、 12frのスイッチをオフするよう命令し、スイッチ12rl、12rrをオンするよう命令する。そのスイッチ12の各スイッチをオン又はオフの動作を完了したのち、ステップS39に進む。
【0129】
ステップS39では、ランプECU1は、ハザードランプ40の各ランプを同期して点滅させるためにランプ駆動部10内の駆動回路11を動作するよう命令する。
【0130】
そしてステップS39の処理が開始された後、図4のステップS3に進む。
【0131】
ここで図10を用いて、図9のステップS33(交通法規条件)の判定処理をさらに詳しく説明する。
【0132】
ステップS33aでは、まず現在時刻が夜間(日入りから日出までの時間)か否かを判定する。夜間でなければNOと判定し、ステップS35に進む。また夜間であればYESと判定してステップ33bに移る。尚、この夜間を判定する際、急に交通法規違反の判定を出さないよう、ランプECU1は日入りの時間を30分〜1時間程度早めた値で用いてもよい。
【0133】
ステップS33bでは、自車両が停車している道路の道路幅員が所定値(ここでは5.5メートル)以上かを判定する。道路幅員が5.5メートル未満であればNOと判定し、ステップS35に進む。道路幅員が5.5メートル以上であればYESと判定してステップ33cに進む。
【0134】
ステップS33cでは、尾燈が点灯しているかいないかを判定する。尾燈が点灯している場合はNOと判定し、ステップS35に移る。尾燈が点灯していない場合はYESと判定してステップS34に進む。
【0135】
以上、本発明の車両のハザード制御システムにおける実施形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り適用でき、例えば自車両が駐停車中だけでなく走行時にも本発明と同じ効果を発揮できる。
【0136】
また、本実施形態は、車両の駐車時に、点滅という周期的に光が目に入る視覚効果も利用して自車両の周囲に注意を促すことのできるハザードランプを用いているが、他のランプ機能であっても本発明は適用でき、例えば常時点灯によって自車両が駐車していることを周囲に注意を促す駐車灯であってもよい。
【0137】
駐車灯の場合、車両の前部に設けた駐車灯と後部に設けた駐車灯とをそれぞれ独立して点灯するように、前部の駐車灯スイッチと、後部の駐車灯スイッチとを独立させた独立駐車灯スイッチを設ける。その独立駐車灯スイッチのオンに応じて前部又は後部の何れか一方の駐車灯を点灯させることで、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0138】
また種々の設計の変更や追加等についても本発明の技術的範囲に含まれ、例えばハザードランプの点滅信号は、スイッチのオン/オフの繰返しだけに限らず、電流の大小によって点灯の明るさを変化させてもよい。
【0139】
さらにランプ駆動部10に設けた本案の駆動回路と従来の駆動回路を別体で設けて、本案駆動回路が故障した際に従来のハザードランプの動作に影響を与えないようなフェールセーフ機能を設けてあってもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 ランプECU
10 ランプ駆動部
11 駆動回路
11a フラッシャ回路
11b ハザードリレー
12、12fl、12fr、12rl、12rr ランプスイッチ
13l、13r スイッチ
20 入力装置群
21 バッテリ検出装置
22、22a1、22b1、22b2 ハザードスイッチ
23 方向指示スイッチ
24 日時表示装置
25 距離測定センサ
26 ナビゲーション装置
30 インジケータ
31 点滅駆動回路
32、32a1〜32a4 インジケータランプ
33 インジケータスイッチ
34 インストルメントパネル
35 ハンドル
40 ハザードランプ
41〜44、41a〜44a、41b〜44b、41c〜44c ランプ
50〜52 停車中の車両
60〜62 走行中の車両
100〜102 通信線
103 電源線
BAT バッテリ電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハザードランプ群がハザードスイッチの操作に応じて同期して点滅開始及び点滅停止するように構成された車両のハザード制御システムにおいて、
前記ハザードスイッチは、前記ハザードランプ群のうち、前部のハザードランプと後部のハザードランプとを独立して点滅するための指示信号を発生する独立指示スイッチ機能を備え、
前記ハザードスイッチの操作により前記独立指示スイッチ機能が発生する指示信号に基づき、前記前部のハザードランプと前記後部のハザードランプの点滅とを独立して制御する制御手段と、
前記制御手段に基づき前記前部のハザードランプあるいは前記後部のハザードランプの点滅開始及び点滅停止を独立して駆動するランプ駆動手段と、
を備えることを特徴とする車両のハザード制御システム。
【請求項2】
前記制御手段と通信可能に接続され、複数のインジケータランプを備えるインジケータをさらに備えており、
前記インジケータは、前記制御手段に基づき前記複数のインジケータランプのうち、個々のインジケータランプを独立して点滅駆動する点滅駆動手段を備え、
前記点滅駆動手段は、前記前部のハザードランプと前記後部のハザードランプの点滅動作に対応する前記インジケータランプを点滅させることを特徴とする請求項1に記載の車両のハザード制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記前部のハザードランプあるいは前記後部のハザードランプの点滅駆動が、この車両が利用される国の交通法規に規定される条件を満たすか否かを判定し、前記条件を満たしていないと判定された場合は、前記条件を満たしていないことを報知する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のハザード制御システム。
【請求項4】
乗員のハザードスイッチの操作に基づいて生成される指示信号に応じて複数のハザードランプを有するハザードランプ群の点滅を制御する車両のハザード制御装置において、
前記複数のハザードランプの全てを同期して点滅開始及び点滅停止するための第1の指示信号と、前記複数のハザードランプのうち、車両の前部のハザードランプと後部のハザードランプとで独立しての点滅開始及び点滅停止をするための第2の指示信号と、を受信する受信手段と、
前記第1の指示信号に基づき、前記複数のハザードランプを同期して点滅する第1の制御信号を生成する第1の制御信号生成手段と、
前記第2の指示信号に基づき、前記前部のハザードランプと前記後部のハザードランプとを独立して点滅開始及び点滅停止する第2の制御信号を生成する第2の制御信号生成手段と、
前記第1、第2の制御信号を、前記複数のハザードランプの点滅を実行するランプ駆動回路に向けて送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする車両のハザード制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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