説明

車両の事故防止システム、コンピュータプログラム、車両の事故防止制御方法、及び電源制御装置

【課題】接近車両を精度良く検出する。
【解決手段】無線通信を行うための無線通信部2が搭載された車両の事故防止システム1であって、事故警戒を行う車載コンピュータ4を備えている。車載コンピュータ4は、車両のエンジンが停止すると車両のドアが開く可能性があると判定する判定部41、及び、他の車両に搭載された無線通信部との通信を前記無線通信部2に行わせて、他の車両の位置情報を取得し、前記車両に接近している接近車両を検出する接近車両検出部43aとして機能する。車載コンピュータ4は、ドアが開く可能性がある状態で接近車両を検出すると、ドアをロックしてドアが開かないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の事故防止システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路側に駐停車した車両の運転手又は同乗者が、乗降のためにドアを開けたとき、後続の走行車両がぶつかる事故が生じることがある。
このような事故を防止するため、特許文献1には、車両の後方から接近する車両をカメラで検出し、接近車両の検出と同時にドアの開放を検出すると、警告を発生する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−239832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
後方から接近する車両をカメラで検出する場合、カメラ映像を画像処理して、映像中の接近車両の存在を判定することになる。しかし、カメラ映像中には接近車両以外の物体も多数存在するため、接近車両の存在を正確に検出するのは困難である。
また、カメラが設置される車両の位置によっては、死角も存在し、接近車両を確実に撮影できるとは限らない。さらに、カメラと接近車両の間に、他の車両などの障害物があった場合にも、接近車両を撮影することができない。
【0004】
このように、カメラで接近車両を検出するのでは、接近車両の検出精度が低いという問題があった。
また、特許文献1記載の技術では、接近車両を検出した停止車両側でしか事故回避のための方策をとることしかできず、接近車両側において、ドアが開く可能性のある停止車両との事故回避を行うことができなかった。
【0005】
そこで、本発明では、接近車両等を精度良く検出することを目的とする。また、本発明の他の目的は、停止車両側において、接近車両等との事故回避が行えるようにすること、又は、接近車両側において、ドアが開く可能性のある停止車両との事故回避が行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、無線通信を行うための無線通信部が搭載された車両の事故防止システムであって、前記車両のドアが開く可能性があるか否かを判定する判定手段と、前記車両以外の他の移動体が有する無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、前記車両に接近している接近移動体を検出する接近移動体検出手段と、ドアが開く可能性がある状態で接近移動体を検出すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする事故防止システムである(請求項1)。
【0007】
上記本発明によれば、無線通信によって接近移動体を検出できるため、カメラで接近する車両などを検出する場合のように画像処理を行う必要がなく、カメラの死角の影響も受けない。したがって、接近移動体を精度良く検出することができる。
なお、事故回避手段には、車両のドアをロックする手段、車両の搭乗者に警告をする手段、他の車両に危険性を示す情報を送信する手段など、事故回避に役立つあらゆる手段が含まれる。
また、移動体には、車両(自動二輪車又は自動四輪車などの自動車、自転車などの軽車両を当然に含む)や歩行者が含まれ、車両や歩行者などが無線通信部を有していればよい。
【0008】
前記無線通信部は、前記車両以外の他の移動体が有する無線通信部と通信を行うことによって、当該他の移動体の位置情報を取得するものであり、前記接近移動体検出手段は、取得した前記位置情報に基づいて、接近移動体の検出を行うのが好ましい(請求項2)。この場合、他の移動体の位置情報に基づいて、精度良く接近移動体を検出することができる。
【0009】
前記無線通信部への電源供給をONからOFFにするための電源制御手段を備え、前記電源制御手段は、前記車両の起動キースイッチがOFFなった後に、前記無線通信部への電源供給をOFFとするためのトリガが発生すると、前記無線通信部への電源供給をONからOFFにするものであるのが好ましい(請求項3)。
【0010】
ここで、起動キースイッチとは、車両エンジンを起動させるためのイグニッションキースイッチや、電気自動車を起動させるための電源スイッチなど、車両を起動させるためのスイッチをいう。
上記の場合、車両の停止に伴って起動キースイッチがOFFになっても、OFFトリガが発生するまでのしばらくの間は、無線通信部への電源供給をONのままでOFFにせず、OFFトリガが発生してから無線通信部への電源供給がOFFになる。したがって、車両が停止して起動キースイッチがOFFになった後も、しばらくは無線通信部が通信可能であり、起動キースイッチOFFとなった停止車両側においても、無線通信によって接近移動体を検出することができる。
【0011】
前記無線通信部への電源供給をOFFからONにするための電源制御手段を備え、
前記電源制御手段は、前記車両の起動キースイッチのOFF中に、前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガが発生すると、前記無線通信部への電源供給をOFFからONにするものであるのが好ましい(請求項4)。
【0012】
上記の場合、車両の起動キースイッチをONにしなくても、起動キースイッチのOFF中に、ONトリガが発生すると、無線通信部への電源供給がONとなる。したがって、車両の起動キースイッチがOFFのときでも、無線通信部が通信可能となり、無線通信による接近移動体検出を検出することができる。
【0013】
前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガは、前記車両のドアロック解除がなされると発生するのが好ましい(請求項5)。ドアロック解除がなされると、そのあと乗車のためドアが開く可能性が高く、接近移動体検出のため、無線通信部の電源ONとすべきだからである。
【0014】
前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガは、搭乗者用の携帯無線装置が、前記車両に近接したときに、発生するのが好ましい(請求項6)。搭乗者が車両に近接すると、そのあと乗車のためドアが開く可能性が高く、接近車両検出のため、無線通信部の電源ONとすべきだからである。
なお、搭乗者は、運転者と、運転者以外の同乗者を含む概念である。
【0015】
前記判定手段は、前記車両を停止させるための又は前記車両の停止状態を維持するための停止関連操作が行われると、ドアが開く可能性があると判定するのが好ましい(請求項7)。車両の停止関連操作が行われると、その後、降車のためドアが開く可能性があるからである。
なお、車両の停止関連操作としては、例えば、イグニッションキースイッチのOFF操作(エンジン停止操作)、パーキングブレーキを掛ける操作、フットブレーキ(主ブレーキ)を掛ける操作、アクセルの開度を0にする操作、などが挙げられる。
【0016】
前記判定手段は、前記車両のドアロック解除がなされると、ドアが開く可能性があると判定するのが好ましい(請求項8)。ドアロック解除がなされると、その後、乗車のためドアが開く可能性があるからである。
【0017】
前記判定手段は、搭乗者用の携帯無線装置が、前記車両に近接すると、ドアが開く可能性があると判定するのが好ましい(請求項9)。搭乗者が車両に近接すると、その後、乗車のためドアが開く可能性があるからである。
【0018】
前記無線通信部は、前記判定手段によってドアが開く可能性があると判定されると、ドアが開く可能性があることを示す情報を外部へ送信するのが好ましい(請求項10)。この場合、周辺車両に、ドアが開く可能性があることを知らせることができる。
【0019】
他の観点からみた本発明は、無線通信を行うための無線通信部を有する移動体の事故防止システムであって、他の車両に搭載された無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出する停止車両検出手段と、前記無線通信部が、検出された停止車両の無線通信部から、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報を受信すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する手段と、を備えることを特徴とする事故防止システムである(請求項11)。
【0020】
上記本発明によれば、停止車両に接近している移動体が、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報を停止車両から受け取ることで、事故回避手段を作動させることができる。したがって、接近移動体側において、ドアが開く可能性のある停止車両との事故回避が行える。
しかも、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報が、当該停止車両側から送られるため、停止車両のドアが開く可能性を接近移動体側で判断する必要がない。したがって、接近移動体側では、停止車両のドアが開く可能性を精度良く把握でき、事故回避が確実に行える。
なお、事故回避手段には、接近移動体側において、停止車両との事故を回避するための全ての手段が含まれ、具体的には、警告を発する手段や接近移動体を減速させる手段が含まれる。
【0021】
前記無線通信部は、他の車両に搭載された無線通信部と通信を行うことによって、当該他の車両の位置情報を取得するものであり、前記停止車両検出手段は、取得した前記位置情報に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出するのが好ましい(請求項12)。この場合、停止車両の位置情報に基づいて、精度良く停止車両を検出することができる。
【0022】
停止車両のドアが開く可能性があることを示す前記情報は、前記他の車両を停止させるための又は前記他の車両の停止状態を維持するための停止関連操作が行われて、前記他の車両のドアが開く可能性があると前記他の車両において判定された結果を示す情報であるのが好ましい(請求項13)。車両の停止関連操作が行われると、その後、降車のためドアが開く可能性があるため、停止関連操作の有無に基づいて、ドアが開く可能性を判定することでより精度良く判定を行うことができる。
【0023】
さらに他の観点からみた本発明は、無線通信を行うための無線通信部が搭載された車両の事故防止システム用コンピュータプログラムであって、コンピュータを、前記車両のドアが開く可能性があるか否かを判定する判定手段、前記車両以外の他の移動体が有する無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、前記車両に接近している接近移動体を検出する接近移動体検出手段、ドアが開く可能性がある状態で接近移動体を検出すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する手段、として機能させるためのコンピュータプログラムである(請求項14)。
【0024】
さらに他の観点からみた本発明は、無線通信を行うための無線通信部を有する移動体の事故防止システム用コンピュータプログラムであって、コンピュータを、他の車両に搭載された無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出する停止車両検出手段、前記無線通信部が、検出された停止車両の無線通信部から、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報を受信すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する手段、として機能させるためのコンピュータプログラムである(請求項15)。
【0025】
さらに他の観点からみた本発明は、無線通信を行うための無線通信部が搭載された車両の事故防止制御方法であって、前記車両のドアが開く可能性があるか否かをコンピュータに判定させるステップと、前記車両以外の他の移動が有する無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、前記車両に接近している接近移動体があるか否かを判定するステップと、ドアが開く可能性がある状態で接近移動体があると判定されると、事故回避手段を作動させるステップと、を含む車両の事故防止制御方法である(請求項16)。
【0026】
さらに他の観点からみた本発明は、無線通信を行うための無線通信部を有する移動体の事故防止制御方法であって、他の車両に搭載された無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出するステップと、前記無線通信部が、検出された停止車両の無線通信部から、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報を受信すると、事故回避手段を作動させるステップと、を含む車両の事故防止制御方法である(請求項17)。
【0027】
さらに他の観点からみた本発明は、車両に搭載された無線通信部への電源供給のON/OFFを制御する電源制御装置であって、前記車両の起動キースイッチがOFFなった後に、前記無線通信部への電源供給をOFFとするためのトリガ信号を受信すると、前記無線通信部への電源供給をONからOFFに切り替えるように構成されている電源制御装置である(請求項18)。
上記本発明によれば、車両の停止に伴って起動キースイッチがOFFになっても、OFFトリガが発生するまでのしばらくの間は、無線通信部への電源供給をONのままでOFFにせず、OFFトリガが発生してから無線通信部への電源供給がOFFになる。したがって、車両が停止して起動キースイッチがOFFになった後も、しばらくは無線通信部による車車間通信を行うことができる。
【0028】
さらに他の観点からみた本発明は、車両に搭載された無線通信部への電源供給のON/OFFを制御する電源制御装置であって、前記車両の起動キースイッチのOFF中に、前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガ信号を受信すると、前記無線通信部への電源供給をOFFからONに切り替えるように構成されている電源制御装置である(請求項19)。
上記本発明によれば、車両の起動キースイッチをONにしなくても、起動キースイッチのOFF中に、ONトリガが発生すると、無線通信部への電源供給がONとなる。したがって、車両の起動キースイッチがOFFのときでも、無線通信部による車車間通信が行えるようになる。
【発明の効果】
【0029】
事故防止システム、コンピュータプログラム、事故防止制御方法に係る各本発明によれば、車両と車両との間の無線通信によって他の移動体を検出するため、カメラで車両などを検出する場合に比べて、精度良く検出ができる。
また、電源制御装置に係る本発明によれば、車両が停止して車両の起動キースイッチがOFFであっても、無線通信部による通信が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[事故防止システムについて]
図1は、車両に搭載された事故防止システム1を示している。この事故防止システム1は、駐停車した車両のドアや乗降者に後続の走行車両がぶつかることを防止するためのものである。
本システム1は、車載無線機(無線通信部)2と、車載コンピュータ4と、を備えている。
【0031】
[車載無線機について]
車載無線機2は、ITS(Intelligent Transport System)用である。つまり、車載無線機2は、車両同士の通信である車車間通信や、路側無線通信装置と車両との間の通信である路車間通信が可能である。
【0032】
本システム1では、車載無線機2が有している車車間通信機能を利用して、車両同士で情報を交換し、車両乗降時の事故の回避のため、事故回避の対象となる他の車両(停止車両又は接近車両)の検出を行う。
したがって、ITS対応車両では、事故回避の対象となる他の車両を検出するために、カメラ等の機器を別途設ける必要がなく、ITS用車載無線機2によって車両検出が可能である。
【0033】
車載無線機2は、アンテナ21を介して信号の送受信を行う無線部(送受信部)22と、送受信信号の処理を行う制御部23と、電源部24と、を備えている。電源部24は、車両の電力供給源から電力供給を受け、無線部22や制御部23に電力を供給するための電源回路である。
【0034】
[車載無線機の電源制御装置]
車載無線機2の電源部24は、車載無線機2用の電源制御装置(電源制御手段)3を介して、車両側から電源供給を受ける。電源制御装置3は、電力供給を受ける電力供給源の切り替え制御を行う。また、電源制御装置3は、車載無線機2への電源供給のON/OFF制御も行う。
【0035】
車両が持つ電力供給源としては、本実施形態では、車両のエンジン101による駆動で発電を行う発電機102と、バッテリ103と、がある。
電源制御装置3は、エンジンが動作しているときは、エンジン駆動発電機102から電力供給を受けて車載無線機2へ電力を供給し、エンジンが停止しているときはバッテリ103から電力供給を受けて車載無線機2へ電力を供給するように、切り替え制御を行う。
【0036】
さて、従来、検討されているITS用の車載無線機は、エンジン動作時は電源ONであり、エンジン停止時は電源OFFであった。ITSの車車間通信は、走行車両同士が情報交換を行って、走行車両同士の事故を防止するために行われるものであるため、エンジン動作時に電源ONとなっていれば十分だからである。このため、従来は、エンジンを停止させて車両を駐車しているときには、車載無線機が電力を無駄に消費しないように、車載無線機は電源OFFとするものと考えられていた。
【0037】
しかし、路側に駐停車した車両の運転者・同乗者が乗降するのは、エンジンを切った後(エンジン停止中)が多い。
そして、本システム1が、回避しようとしている事故は、駐停車した車両の乗降者が乗降のためにドアを開けたときに、後続の走行車両がぶつかることによって生じる。ところが、エンジンを切った後では、従来の車載無線機は電源OFFで動作しないため、ITS用車載無線機を利用して車両検出を行うことはできない。
【0038】
そこで、本実施形態では、従来と同様に、エンジン動作中は車載無線機2への電源供給をONとし、エンジン停止中は省電力化のため電源供給をOFFとすることを基本としつつも、乗降者の乗降時には、エンジン101が停止していても、バッテリ103から電力供給を受けて、車載無線機2の電源供給をONとするようにした。
つまり、本実施形態の車載無線機2は、エンジン起動操作がされるよりも前に先んじて電源OFFからONとなり、エンジン停止操作がされてから遅れて電源ONからOFFとなる。この電源ON/OFF切り替えは、前記電源制御装置3によって行われる。
【0039】
具体的には、図2に示すように、エンジン101を起動させるイグニッションキースイッチ(起動キースイッチ)104をON操作してエンジンをかける前に、電源ONトリガが発生すると、エンジン停止中であっても車載無線機2は、電源ONとなる。
また、イグニッションキースイッチ104をOFF操作してエンジンを切っても、車載無線機2は、直ちに電源OFFとはならず、その後、電源OFFトリガが発生してから、電源OFFとなる。電源ONトリガ及び電源OFFトリガがどのように発生するかについては、後述する。
なお、省電力化を考慮しない場合は、エンジン停止中において、常時、車載無線機2を電源ONにしてもよい。
【0040】
[車載コンピュータ]
前記車載コンピュータ4は、処理装置及び記憶部などを有しており、コンピュータプログラムに従って動作する。
この車載コンピュータ4は、停車時に衝突されるのを防止するため、図3に示す降車時処理、及び図6に示す乗車時処理を行う。また、走行している車両が、停止車両又はその搭乗者に衝突してしまうのを防止するため、図8に示す走行中の警戒処理を行う。これらの処理は、コンピュータプログラムに従って実行される。
【0041】
[降車時処理]
図1に示すように、運転者がイグニッションキースイッチ104をOFF操作して、エンジン101を停止させると、イグニッションキースイッチ104から、OFF信号が出力される。このOFF信号は、電源制御装置3と車載コンピュータ4に与えられる。
【0042】
エンジン101が停止すると発電機102からの電力供給は受けられなくなるため、電源制御装置3は、電力供給をバッテリ103から受けるように切り替えを行う。これにより、エンジン101が停止しても、車載無線機2は電源ONのままであり、通信(車車間通信)が行える状態にある。
【0043】
図3に示すように、車載コンピュータ4は、イグニッションキースイッチ104からOFF信号を受信すると(ステップS1)、ドアが開く可能性がある(ドアが開きそうな状態である)と判定する(ステップS2)。つまり、車載コンピュータ4は、ドアが開く可能性を判定する判定部41として機能する。
エンジンが停止すると、その後、搭乗者が降車する可能性が高いから、イグニッションキースイッチ104からのOFF信号は、搭乗者の降車のためドアが開く可能性を判定する情報として適切である。しかも、エンジン停止からドアが開くまでの間には、ある程度の時間が存在するため、事故回避処理のための時間的余裕が確保できる。
【0044】
なお、イグニッションキースイッチのOFF操作(エンジン停止操作)に限らず、車両を停止させるための又は車両の停止状態を維持するための停止関連操作が行われると、搭乗者の降車のためにドアが開く可能性があると判定することができる。
他の停止関連操作としては、パーキングブレーキを掛ける操作、フットブレーキ(主ブレーキ)を掛ける操作、アクセルの開度を0にする操作、などがあり、判定部41は、これら単独又は組み合わせを検出すると、搭乗者の降車のためにドアが開く可能性があると判定することができる。
【0045】
車載コンピュータ4は、ドアが開く可能性があると判定すると、ドアが開く可能性があることを他の車両に知らせるための情報としてドア開予告情報を出力する(ステップS3)。つまり、車載コンピュータ4は、予告情報出力部42として機能する。
この予告情報は、車載無線機2に与えられ、車載無線機2が、車車間通信(ブロードキャスト通信、ユニキャスト通信、マルチキャスト通信など)によって、周辺の車両に対して送信する。予告情報の周辺車両への報知は、車載無線機2の電源がOFFになるまで、継続的に行われる。
【0046】
さらに、車載コンピュータ4は、ドアが開く可能性があると判定した後は、事故を警戒する警戒モードとなり、警戒モード処理を実行する(ステップ4)。つまり、車載コンピュータ4は、警戒モード処理部43として機能する。警戒モード処理では、車載無線機2による車車間通信を利用して周辺車両の情報を取得しつつ事故の警戒を行うが、この処理の詳細は、後述する。
【0047】
警戒モードは、車両のドアロックがなされるまで継続する(ステップS4)。つまり、運転者等が車両のドアロック部105に対して、ドアロック操作が行われると、ドアロック部5が、ロック信号を出力する。このロック信号は、車載コンピュータ4に与えられる。車載コンピュータ4は、ロック信号を受信すると、警戒モードを終了するとともに、車載無線機2を電源OFFとするための電源OFFトリガ信号を生成する。つまり、車載コンピュータ4は、電源OFFトリガ生成部44として機能する。
【0048】
車載コンピュータから出力された電源OFFトリガ信号は、電源制御装置3に与えられる。電源制御装置3は、電源OFFトリガ信号を受信すると、車載無線機2への電源供給を断ち、車載無線機2を電源OFFとする。つまり、車載無線機2のバッテリによる駆動が終了する。
【0049】
[停止車両の警戒モード]
図4に示すように、車載コンピュータ4は、ドアが開く可能性があると判定して警戒モードになると、車両後方からの接近車両を検出するための処理を行う(ステップS11)。図4に示すように、接近車両V2の検出は、停止車両V1の車載無線機2が、周辺車両V2が送信した現在位置情報や車両速度等の車両状態情報を、周辺車両V2から受信して行う。
【0050】
ここで、各車両V1,V2の車載無線機2は、車車間通信において、現在位置情報や車両状態情報を周辺へ常時送信している。
したがって、停止車両V1の車載コンピュータ4は、周辺車両V2から取得した現在位置情報に基づいて、当該停止車両V1の後方における所定距離範囲内に周辺車両V2が存在すれば、接近車両V2が存在することを検出することができる。つまり、車載コンピュータ4は、接近車両V2の検出手段43aとして機能する。
【0051】
なお、周辺車両V2の車両速度をも考慮して、当該停止車両V1の後方における所定距離範囲内に周辺車両V2が存在し、かつ、当該周辺車両V2の速度が0であれば、当該周辺車両V2を駐停車車両だと判断し、警戒モードを解除するようにしてもよい。
【0052】
本実施形態では、車両にITS通信用として備えられている車載無線機1を利用しているため、接近車両V2を検出するため、カメラなどの機器を別途設ける必要がない。また、車車間通信を利用すると、カメラでははっきりと捉えきれないほど遠方の車両や、道路のカーブ等で、見通しの悪い道路における後方車両の情報も確実に取得することができる。また、車車間通信では、接近車両の位置に加えて速度もわかるため、遠方にいる車両が、高速接近車両であるか否かを検出し、さらに、どのくらいの時間で当該停止車両の近傍を通過するかを算出することが可能である。
【0053】
車載コンピュータ4は、接近車両V2を検出すると、ドアロック部105をロックさせて、ドアが開かないようにするための強制ロック信号を出力する(ステップS12)。強制ロック信号を受信したドアロック部105は、ドアの強制ロックを自動的に行う。また、接近車両V2の検出中に、搭乗者によってドアロック解除操作がなされても、ドアロックが解除されないようにドアロック状態を維持するか、再ドアロックを行うのが好ましい。
【0054】
後方からの接近車両V2の検出中は、ドアをロックしておくことで、開いたドアに接近車両V2が衝突したり、開いたドアから出た搭乗者(運転者又は同乗者)に接近車両V2が衝突したりすることを防止できる。つまり、ドアロック機能は、事故回避手段を構成している。
ここで、事故回避手段は、ドアロックに限らず、モニタやスピーカなどから接近車両を知らせる警告を行うものであってもよい。
また、車載コンピュータ4(の警戒モード処理部43)は、ドアロック機能(事故回避手段)を作動させるための情報(強制ロック信号)を出力する出力部43bとして機能する。
【0055】
ドアロック(ステップS12)は、接近車両V2が停止車両V1の横を通過して、前方に過ぎ去るか、もしくは停止車両V1の後ろであっても速度が0(ゼロ)になるまで、継続される(ステップS13)。接近車両V2が過ぎ去ると、車載コンピュータ4はドアロック部105にドアロックを解除させるための処理を行う(ステップS14)。これにより、ドアロック部105は、ドアロックを解除する。ドアロックが解除されると、搭乗者は、ドアを開いて降車することができる。
【0056】
[乗車時処理]
図7に示すように、運転者・同乗者などの搭乗者Dが、キーレスエントリーシステムなどによって、ドアロック部105のドアロックを停止車両V1の車外から解除する操作をおこなうと、ドアロック部105は、ロック解除信号を、車載コンピュータ4へ出力する。
車載コンピュータ4は、ドアロック解除操作が車外から行われたことを示すロック解除信号を受信すると(ステップS21)、ドアが開く可能性がある(ドアが開きそうな状態である)と判定する(ステップS22)。
【0057】
ドアロック解除が車外から行われると、その後、ドアが開けられて搭乗者Dが乗車する可能性が高いから、ドアロックが解除されたことを示す信号は、搭乗者Dの乗車のためドアが開く可能性を判定する情報として適切である。しかも、ドアロック解除からドアが開くまでの間には、ある程度の時間が存在するため、事故回避処理のための時間的余裕が確保できる。
【0058】
また、ドアロック解除が車外から行われただけでは、エンジンは始動しないため、エンジン駆動の発電機102から電源供給を受ける車両電気系統は電源OFFのままである。
ただし、ドアロック解除が車外から行われてドアが開く可能性があると判定されると、警戒モードにおいて車載無線機2を作動させる必要がある。
そこで、車載コンピュータ4は、ロック解除信号を受信すると、車載無線機2を電源ONとするための電源ONトリガ信号を生成する(ステップS23)。つまり、車載コンピュータ4は、電源ONトリガ生成部45として機能する。
【0059】
車載コンピュータ4から出力された電源ONトリガ信号は、電源制御装置3に与えられる。電源制御装置3は、電源ONトリガ信号を受信すると、エンジン101が起動していなくても、車載無線機2への電源供給を開始し、車載無線機2を電源ONにする。つまり、車載無線機2のバッテリによる駆動が開始する。これにより、車載無線機2は、通信(車車間通信)を開始する。
【0060】
そして、車載コンピュータ4は、ドアが開く可能性があると判定すると、乗車のためドアが開く可能性があることを他の車両に知らせるための情報としてドア開予告情報を出力する(ステップS24)。
この予告情報は、起動した車載無線機2に与えられ、車載無線機2が、車車間通信(ブロードキャスト通信)によって、周辺の車両に対して送信する。予告情報の周辺車両への報知は、後述の警戒モード中において、継続的に行われる。
【0061】
なお、「乗車のため」ドアが開く可能性があることを示す情報と、「降車のため」ドアが開く可能性があることを示す情報と、をそれぞれ区別して送信してもよい。これにより、これらの情報を受信した周辺車両側では、停止車両への乗車のためドアが開くのか、それとも降車のためドアが開くのかを、区別して把握できる。この結果、周辺車両V2側での、詳細な状況把握と柔軟な事故回避対応が可能となる。
【0062】
さらに、車載コンピュータ4は、ドアが開く可能性があると判定した後は、事故を警戒する警戒モードとなり、図4に示す警戒モード処理を実行する(ステップ25)。
警戒モードは、イグニッションキースイッチがONとなって、エンジンが起動すると終了する(ステップS26)。これにより、乗車処理が終了する。なお、警戒モードは、エンジンが起動するまでに限らず、ドアロック解除から所定時間、又はエンジンが起動してから所定時間が経過するまで継続するようにしてもよい。
【0063】
また、エンジンが起動すると、電源制御装置3は、車載無線機2への電力供給源をバッテリ103から、エンジン駆動の発電機102へ切り替える。これにより、車載無線機2は、エンジン始動後は、発電機102からの電力供給を受けて、通信を行うことができる。
【0064】
[走行車両の警戒処理]
図8は、路上を走行する車両V2が、停止車両V1と事故を起こすのを防止するための警戒処理を示している。この警戒処理は、車両走行中において常時実行されている。
図5及び図7に示したように、走行中の車両(停止車両へ接近中の車両)V2は、周辺車両との間で車車間通信により、位置情報や車両状態情報などの情報を常時交換している。
【0065】
したがって、走行車両V2の車載コンピュータ4は、周辺車両V1から取得した現在位置情報から、当該走行車両V2の前方における所定距離範囲内に停止車両V1が存在することを検出することができる。なお、車両V1が停止していることは、速度情報に基づき、速度=0であることをもって判定できる。このように、車載コンピュータ4は、停止車両V1の検出手段46aとして機能する。
【0066】
さらに、走行車両V2の車載コンピュータ4が、停止車両V1を検出している状態で、当該停止車両V1から、車車間通信によってドア開予告情報を取得すると(ステップS32)、走行車両V2の車載コンピュータ4は警告情報を出力する(ステップS33)。このように、車載コンピュータ4は、ドア開予告情報の取得部46b及び警告情報の出力部46cとして機能する。
【0067】
警告情報は、走行車両V2に備わったスピーカ又はモニタなどの警告出力装置に与えられる。警告出力装置は、ドアが開きそうな停止車両(駐車してまもない停止車両又は出発しようとする停止車両)が存在することを、走行車両V2の運転者に知らせるための音声出力又は画像出力を行う。これにより、走行車両V2の運転者は、減速などの事故回避措置をとることができる。つまり、警告出力装置は、事故回避手段として機能する。
なお、事故回避手段としては、警告出力装置による警告に加えて又は替えて、警告情報に基づき、走行車両V2を減速させるように車両速度を制御するようにしてもよい。
【0068】
このように、本実施形態では、車両V1が停止してエンジンが停止していても、ドアが開きそうな状態にあるときは、停止車両V1の車載無線機1の電源ONとなっている。したがって、走行中の他の車両V2は、停止車両V1からでも車車間通信によって、情報を取得することができる。このため、車車間通信を用いて停止車両V1との事故を防止することが可能である。
また、本実施形態では、停止車両V1と接近車両V2の双方において、事故回避措置がとられるため、走行安全性が高まっている。
【0069】
[降車時処理の変形例]
図9は、車載コンピュータ4による降車時処理の変形例を示している。図3に示す降車時処理では、警戒モードは、エンジンを停止してから開始されドアがロックされと終了するものであった。一方、図9の降車時処理では、エンジンを停止すると(ステップS1)、タイマカウントを開始して(ステップS3−1)、所定時間が経過してタイムアウトとなるまで、警戒モードを実行するように構成されている。また、タイムアウト後に、車載無線機2の電源OFFとなる(バッテリ103駆動の終了)。
【0070】
上記変形例の場合、タイムアウトとなる時間を適切に設定することで、停止車両V1の搭乗者が車両V1を離れるまでの間、警戒モードを継続することができる。
また、タイマカウント開始は、エンジン停止(車載無線機2のバッテリ駆動開始)から行うのではなく、搭乗者が降車してドアを閉めた後、ドアロック操作がなされたときに行っても良い。この場合、ドアロック後、搭乗者が停止車両V1を離れるまでのしばらくの間、警戒モードを維持することができる。
なお、図9の降車処理に関し説明を省略した点は、図3のものと同様である。
【0071】
[乗車時処理の変形例]
図10は、車載コンピュータ4による乗車時処理の変形例を示している。図6に示す乗車時処理では、乗車のためドアが開く可能性があることの判定は、ドアロック解除操作に基づいて行っていた(図10のステップS21)。
一方、図10では、乗車のためドアが開く可能性の判定は、外部の運転者や同乗者が、車両V1に近接したことを検出して行う(図10のステップS21−1)。
【0072】
具体的には、車両V1が、運転者等が携行している携帯無線装置から送信された所定の信号を受信すると、車載コンピュータ4は、運転者等が車両V1に近接したことを検出することができる。なお、運転者等が携行している携帯無線装置から信号を受信するための車両側の装置は、前記車載無線機2以外の他の無線通信装置であるのが好ましいが、車載無線機2であってもよい。
【0073】
このように、運転者等が車両V1に近接したことを、ドアが開く可能性の判定に用いることで、ドアが開く可能性を早期に検出することができる。つまり、この場合、車両V1が路肩に駐車されている場合には、運転者等が歩道側から車両V1に近づくだけで、ドアが開く可能性を判定できる。
一方、ドアロック解除を、ドアが開く可能性の判定に用いる場合、ドアが開く可能性が検出されたときには、運転者は既に、運転席側のドアのロックを解除すべく車道上に存在している可能性が高い。この場合、走行車両が、運転者に接触する事故を回避するための時間的余裕が確保できないおそれがある。
【0074】
これに対し、運転者等が車両V1に近接したことを検出するようにすれば、走行車両V2側は、比較的早期に予告情報を取得でき、例えば、停止車両V2の陰から、運転者等が車道側に出てくる前に、走行車両V2側で警告情報を出力することが可能である。
【0075】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、停止車両に接近するのは、車両に限らず歩行者などの移動体であってもよい。この場合の歩行者は、上記無線通信部2及びコンピュータ4に相当する機能を有する携帯型装置を有していればよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】車両の事故防止システムの全体構成図である。
【図2】車載無線機1の電源ON/OFFを示すタイムチャートである。
【図3】車載コンピュータによる降車時処理を示すフローチャートである。
【図4】警戒モード処理を示すフローチャートである。
【図5】搭乗者の降車によりドアが開く可能性がある状態と、そのときの車車間通信を示す図である。
【図6】車載コンピュータによる乗車時処理を示すフローチャートである。
【図7】搭乗者の乗車によりドアが開く可能性がある状態と、そのときの車車間通信を示す図である。
【図8】車載コンピュータによる走行車両の警戒処理を示すフローチャートである。
【図9】降車時処理の変形例を示すフローチャートである。
【図10】乗車時処理の変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
V,V1,V2:車両、1:事故防止システム、2:車載無線機(無線通信部)、3:電源制御装置、4:車載コンピュータ、21:アンテナ、22:無線部、23:制御部、24:電源部、101:エンジン、102:発電機、103:バッテリ、104:イグニッションキースイッチ(起動キースイッチ)、105:ドアロック部、41:判定部、42:予告情報出力部、43:警戒モード処理部、43a:接近車両検出部、43b:強制ロック信号出力部、44:電源OFFトリガ生成部、45:電源ONトリガ生成部、46:走行中警戒処理部、46a:停止車両検出部、46b:予告情報取得部、46c:警告情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行うための無線通信部が搭載された車両の事故防止システムであって、
前記車両のドアが開く可能性があるか否かを判定する判定手段と、
前記車両以外の他の移動体が有する無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、前記車両に接近している接近移動体を検出する接近移動体検出手段と、
ドアが開く可能性がある状態で接近移動体を検出すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする事故防止システム。
【請求項2】
前記無線通信部は、前記車両以外の他の移動体が有する無線通信部と通信を行うことによって、当該他の移動体の位置情報を取得するものであり、
前記接近移動体検出手段は、取得した前記位置情報に基づいて、接近移動体の検出を行う請求項1記載の事故防止システム。
【請求項3】
前記無線通信部への電源供給をONからOFFにするための電源制御手段を備え、
前記電源制御手段は、前記車両の起動キースイッチがOFFなった後に、前記無線通信部への電源供給をOFFとするためのトリガが発生すると、前記無線通信部への電源供給をONからOFFにするものである請求項1又は2記載の事故防止システム。
【請求項4】
前記無線通信部への電源供給をOFFからONにするための電源制御手段を備え、
前記電源制御手段は、前記車両の起動キースイッチのOFF中に、前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガが発生すると、前記無線通信部への電源供給をOFFからONにするものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の事故防止システム。
【請求項5】
前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガは、前記車両のドアロック解除がなされると発生する請求項4記載の事故防止システム。
【請求項6】
前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガは、搭乗者用の携帯無線装置が、前記車両に近接したときに、発生する請求項4又は5記載の事故防止システム。
【請求項7】
前記判定手段は、前記車両を停止させるための又は前記車両の停止状態を維持するための停止関連操作が行われると、ドアが開く可能性があると判定する請求項1〜6のいずれか1項に記載の事故防止システム。
【請求項8】
前記判定手段は、前記車両のドアロック解除がなされると、ドアが開く可能性があると判定する請求項1〜7のいずれか1項に記載の事故防止システム。
【請求項9】
前記判定手段は、搭乗者用の携帯無線装置が、前記車両に近接すると、ドアが開く可能性があると判定する請求項1〜8のいずれか1項に記載の事故防止システム。
【請求項10】
前記無線通信部は、前記判定手段によってドアが開く可能性があると判定されると、ドアが開く可能性があることを示す情報を外部へ送信する請求項1〜9のいずれか1項に記載の事故防止システム。
【請求項11】
無線通信を行うための無線通信部を有する移動体の事故防止システムであって、
他の車両に搭載された無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出する停止車両検出手段と、
前記無線通信部が、検出された停止車両の無線通信部から、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報を受信すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する手段と、
を備えることを特徴とする事故防止システム。
【請求項12】
前記無線通信部は、他の車両に搭載された無線通信部と通信を行うことによって、当該他の車両の位置情報を取得するものであり、
前記停止車両検出手段は、取得した前記位置情報に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出する請求項11記載の事故防止システム。
【請求項13】
停止車両のドアが開く可能性があることを示す前記情報は、前記他の車両を停止させるための又は前記他の車両の停止状態を維持するための停止関連操作が行われて、前記他の車両のドアが開く可能性があると前記他の車両において判定された結果を示す情報である請求項11又は12記載の事故防止システム。
【請求項14】
無線通信を行うための無線通信部が搭載された車両の事故防止システム用コンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
前記車両のドアが開く可能性があるか否かを判定する判定手段、
前記車両以外の他の移動体が有する無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、前記車両に接近している接近移動体を検出する接近移動体検出手段、
ドアが開く可能性がある状態で接近移動体を検出すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項15】
無線通信を行うための無線通信部を有する移動体の事故防止システム用コンピュータプログラムであって、
コンピュータを、
他の車両に搭載された無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出する停止車両検出手段、
前記無線通信部が、検出された停止車両の無線通信部から、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報を受信すると、事故回避手段を作動させるための情報を出力する手段、
として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項16】
無線通信を行うための無線通信部が搭載された車両の事故防止制御方法であって、
前記車両のドアが開く可能性があるか否かをコンピュータに判定させるステップと、
前記車両以外の他の移動体が有する無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、前記車両に接近している接近移動体があるか否かを判定するステップと、
ドアが開く可能性がある状態で接近移動体があると判定されると、事故回避手段を作動させるステップと、
を含む車両の事故防止制御方法。
【請求項17】
無線通信を行うための無線通信部を有する移動体の事故防止制御方法であって、
他の車両に搭載された無線通信部との通信を前記無線通信部に行わせて、その通信結果に基づいて、移動体進行方向に停止車両があるか否かを検出するステップと、
前記無線通信部が、検出された停止車両の無線通信部から、停止車両のドアが開く可能性があることを示す情報を受信すると、事故回避手段を作動させるステップと、
を含む車両の事故防止制御方法。
【請求項18】
車両に搭載された無線通信部への電源供給のON/OFFを制御する電源制御装置であって、
前記車両の起動キースイッチがOFFなった後に、前記無線通信部への電源供給をOFFとするためのトリガ信号を受信すると、前記無線通信部への電源供給をONからOFFに切り替えるように構成されている電源制御装置。
【請求項19】
車両に搭載された無線通信部への電源供給のON/OFFを制御する電源制御装置であって、
前記車両の起動キースイッチのOFF中に、前記無線通信部への電源供給をONとするためのトリガ信号を受信すると、前記無線通信部への電源供給をOFFからONに切り替えるように構成されている電源制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−33409(P2010−33409A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196053(P2008−196053)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】