説明

車両の塗装時に使用するカバーシート及び車両の非塗装部のカバー方法

【課題】 非塗装部を覆う紙製シート(例えば、古新聞紙)のカバー範囲を補填する合成樹脂のカバーシートの端部をより分かりやすくして、塗装時の作業効率を高める車両の非塗装部のカバー方法及びそれに使用するカバーシートを提供する。
【解決手段】 車両10の塗装時に、車両10の塗装部11に隣接する非塗装部12に塗料が付着するのを防止する紙製シート13を第4の粘着テープ15を用いて貼着し、紙製シート13の上に0.005〜0.5mm厚みの透光性合成樹脂からなって、その切断端部20が着色されているカバーシート16の端部17を第1の粘着テープ18を用いて貼着する方法、及びこれに使用したカバーシート16。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の塗装を行うに際して非塗装部に塗料が付着しないようにする車両の塗装時に使用するカバーシート及び車両の非塗装部のカバー方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等のボディを再塗装する場合、塗料が付着してはいけない部分(例えば、窓ガラス、ミラー、ヘッドライト等)にはカバーが行われている。また、例えば、自動車の部分塗装を行う場合に、非塗装部にはカバー部材を貼り付けることが行われている。この場合のカバー部材は、塗装部に隣接する非塗装部に古新聞紙を粘着テープで貼り付け、古新聞紙だけでは保護する幅が狭いので、更に貼り付けた古新聞紙にビルールシート等の透明合成樹脂シートを、別の粘着テープで貼り付けていた(以下、従来方法という)。
また、特許文献1には非塗装部をマスキングするポリオレフィン系のマスキングフィルムが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−108474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来方法の場合、古新聞紙に貼り付けるシートが厚みが約0.02mm程度の透明合成樹脂シート(フィルム)であるので、古新聞紙の上に載せた場合、この透明合成樹脂シートの端部が目視では分かりにくく、作業性が悪いという問題があった。
一方、特許文献1記載の方法は、特別なマスキングフィルムを使用するので、通常のフィルムに比較してコスト高になると共に、非塗装部と塗装部の境界が直線でない場合にはマスキングフィルムに特別な切り込み加工をするか又は適当に皺を設けて貼り付けることになり、手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、非塗装部を覆う紙製シート(例えば、古新聞紙)のカバー範囲を補填する合成樹脂のカバーシートの端部をより分かりやすくして、塗装時の作業効率を高める車両の塗装時に使用するカバーシート及び車両の非塗装部のカバー方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る車両の塗装時に使用するカバーシートは、車両の塗装時に使用し、塗料が前記車両の非塗装部に付着するのを防止するカバーシートであって、0.005〜0.5mm厚みの透光性合成樹脂からなって、その切断端部が着色されている。
ここで、前記第1の発明に係る車両の塗装時に使用するカバーシートにおいて、前記透光性合成樹脂は透明であるのがよい。また、切断端部とはシート面に対して実質直角な切断面、及びこの切断端面が約15〜3mm(好ましくは10〜3mm)の幅を含むものである。
【0007】
また、前記目的に沿う第2の発明に係る車両の非塗装部のカバー方法は、車両の塗装時に、塗装部に隣接する非塗装部に塗料が付着するのを防止する紙製シートを貼着する第1工程と、前記紙製シートの上に、0.005〜0.5mm厚みの透光性合成樹脂からなって、その切断端部が着色されているカバーシートの端部を第1の粘着テープを用いて貼着する第2工程とを有する。
【0008】
この第2の発明に係る車両の非塗装部のカバー方法において、前記塗装部と前記非塗装部の境界には、第2の粘着テープが貼着され、該第2の粘着テープの上に前記紙製シートの端部が第3の粘着テープを用いて貼着されている場合と、前記塗装部と前記非塗装部の境界は、前記紙製シートの端部が又は前記紙製シートを貼着する第4の粘着テープの端部が形成する場合とがある。
また、第2の発明に係る車両の非塗装部のカバー方法において、前記紙製シートとして古新聞紙が使用するのがよい。
【0009】
第2の発明におけるカバーシートの切断端部の着色は、下層に使用する紙製シートの色彩(例えば、古新聞紙の場合は一般に、白又は黒)と異なり、しかも目視によって見やすい色彩、例えば、赤、橙、ピンク、緑及びこれらの中間色のいずれか又はこれらの色を使った模様とするのが好ましい(第1の発明においても同じ)。
【発明の効果】
【0010】
請求項1、2記載の車両の塗装時に使用するカバーシート、及び請求項3〜6記載の車両の非塗装部のカバー方法においては、透光性合成樹脂からなるカバーシートの切断端部が着色されているので、カバーシートの端部が目視で分かりやすく、これによってカバーシートを貼着する位置が容易に分かり、カバーシートの貼り間違いが減少すると共に、塗装前作業の一つであるカバーシート(例えば、透明合成樹脂シート)の貼り付けの作業性がよくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1(A)は本発明の一実施の形態に係る車両の非塗装部のカバー方法の説明図、(B)は図1(A)における矢視P−P断面図、図2は同カバー方法に使用するカバーシートの斜視図、図3(A)、(B)は同カバー方法に使用するカバーシートの端部拡大図、図4は本発明の他の実施の形態に係る車両の非塗装部のカバー方法の説明図である。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る車両の非塗装部のカバー方法を、車両(塗装対象物)の一例である乗用車10の後部側壁から屋根部分(以下、この部分を塗装部11、その他の部分を非塗装部12という)を塗装する作業に適用した場合について説明する。
まず、紙製シートの一例である古新聞紙(又は古紙)13を用意し、その端部を塗装部11と非塗装部12との境界線14に合わせて切断し、粘着テープ(第4の粘着テープ)15を用いて車体に貼り付ける。この場合、粘着テープ15が直接車体に貼着している部分が境界線14ということになる。勿論、境界線が直線の場合には古新聞紙13の端部をそのまま使用するのが好ましい。なお、粘着テープ15の幅は例えば12mm程度であり、半分の幅が古新聞紙13及び車体に貼着することになる。この実施の形態では粘着テープ15の端部で境界線14を形成したが、塗料に流動性がなく滲まない場合には、古新聞紙13の端部の一部を境界線としてもよい。
【0013】
次に、古新聞紙13の接合側端部から、例えば10〜50mmの位置の古新聞紙13の上に、透明な透光性合成樹脂からなるカバーシートの一例である厚みが0.005〜0.5mm(より好ましくは、0.015〜0.03mm)の合成樹脂フィルム(ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニールフィルム、ナイロンフィルム、又はその他の透明合成樹脂フィルム)16の片側端部17を粘着テープ(第1の粘着テープ)18にて貼着する。この合成樹脂フィルム16は図2に示すように通常はロール状に巻かれており、図3(A)に示すように、その片側の切断端部20は、例えば赤色に着色されている。
【0014】
これによって、下部に敷かれている古新聞紙13上に赤い線が表示されることになり、この赤い線が合成樹脂フィルム16の片側端部17であることが容易に視認でき、簡単に粘着テープ18を付ける場所を確認でき、作業性が向上する。なお、合成樹脂フィルム16が極めて薄いので、切断端部20に着色しただけでは分かり難い場合には、図3(B)に示すように切断端部20から2〜3mm(粘着テープ18の幅の半分より小さいことが好ましい)の領域19を着色してもよい。
着色の方法は極めて簡単で、ロール状に巻かれた合成樹脂フィルムの端部に合成樹脂フィルムに対して着色可能な(例えば、浸透性の)塗料をブラシやロールコッター等で塗布してもよいし、ロール状に巻かれた合成樹脂フィルムを垂直に立てて、そのような塗料が所定深さ(例えば、1〜2mm)入った皿等に漬けてもよい。
【0015】
この合成樹脂フィルム16は通常幅が1.8m程度あるので、その片側端部17を古新聞紙13上に貼り付けると、非塗装部12の殆どを覆うことになり、これによって、吹き付け塗装時の塗料が飛散しても非塗装部12に付着しないということになる。
塗装が完了した後は、合成樹脂フィルム16を(場合によっては古新聞紙13と共に)引っ張ることによって非塗装部12から古新聞紙13及び合成樹脂フィルム16が除去される。
【0016】
なお、ここで、図4に示すように、塗装部11に隣接する非塗装部12に粘着テープ22(第2の粘着テープ)が貼着され、粘着テープ22の上に古新聞紙13の端部が粘着テープ(第3の粘着テープ)23によって貼着されて、更に、この古新聞紙13の上に粘着テープ(第1の粘着テープ)24によって合成樹脂フィルム25を貼着してもよい。この場合、粘着テープ22の端部が塗装部11と非塗装部12との境界26となる。
【0017】
また、前記実施の形態においては、具体的数字を用いて説明したが、本発明はこの数字に限定されるものではない。例えば、合成樹脂フィルムの幅は1.8mとしたが、これより短い場合あるいは長い場合のいずれでも本発明は適用される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る車両の非塗装部のカバー方法の説明図、(B)は図1(A)における矢視P−P断面図である。
【図2】同カバー方法に使用するカバーシートの斜視図である。
【図3】(A)、(B)は同カバー方法に使用するカバーシートの端部拡大図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る車両の非塗装部のカバー方法の説明図である。
【符号の説明】
【0019】
10:乗用車、11:塗装部、12:非塗装部、13:古新聞紙、14:境界線、15:粘着テープ、16:合成樹脂フィルム、17:片側端部、18:粘着テープ、19:領域、20:切断端部、22〜24:粘着テープ、25:合成樹脂フィルム、26:境界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の塗装時に使用し、塗料が前記車両の非塗装部に付着するのを防止するカバーシートであって、
0.005〜0.5mm厚みの透光性合成樹脂からなって、その切断端部が着色されていることを特徴とする車両の塗装時に使用するカバーシート。
【請求項2】
請求項1記載のカバーシートにおいて、前記透光性合成樹脂は透明であることを特徴とする車両の塗装時に使用するカバーシート。
【請求項3】
車両の塗装時に、塗装部に隣接する非塗装部に塗料が付着するのを防止する紙製シートを貼着する第1工程と、
前記紙製シートの上に、0.005〜0.5mm厚みの透光性合成樹脂からなって、その切断端部が着色されているカバーシートの端部を第1の粘着テープを用いて貼着する第2工程とを有することを特徴とする車両の非塗装部のカバー方法。
【請求項4】
請求項3記載の車両の非塗装部のカバー方法において、前記塗装部と前記非塗装部の境界には、第2の粘着テープが貼着され、該第2の粘着テープの上に前記紙製シートの端部が第3の粘着テープを用いて貼着されていることを特徴とする車両の非塗装部のカバー方法。
【請求項5】
請求項3記載の車両の非塗装部のカバー方法において、前記塗装部と前記非塗装部の境界は、前記紙製シートの端部が又は前記紙製シートを貼着する第4の粘着テープの端部が形成することを特徴とする車両の非塗装部のカバー方法。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両の非塗装部のカバー方法において、前記紙製シートとして古新聞紙が使用されることを特徴とする車両の非塗装部のカバー方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−212564(P2006−212564A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28896(P2005−28896)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(505046558)
【Fターム(参考)】