説明

車両の操作ユニット配設構造

【課題】インパネ中央部の限られたスペースで、第1の操作部と、第2の操作部と、保持部との全てを効率よくレイアウトでき、保持部の移動により、第1の操作部の操作時と、第2の操作部の操作時との双方で、保持部に乗員の手を置いて保持することができる車両の操作ユニット配設構造を提供をする。
【解決手段】第1の操作部23の後部には、第1の操作部23の操作時に乗員の手を保持する保持部30と、インパネ補機を操作する第2の操作部31とが配設され、保持部30が第1の操作部23の直後部に位置する第1位置と、第2の操作部31の直後部に位置する第2位置との間を移動可能に支持されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部と、該インパネ中央部に配設されたシフトレバーのような第1の操作部とを備えた車両の操作ユニット配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両には、センタコンソールが存在する車両と、センタコンソールが存在しない車両とがある。
【0003】
センタコンソールを備えた車両においては、第1の操作部としてのシフトレバーや、インパネ補機(例えば、オーディオ装置やナビゲーション装置)を操作する第2の操作部としての操作ユニットを、センタコンソールに配設し、シフトレバーおよび操作ユニットを、乗員が楽な姿勢で手を置いて操作することができるように構成されている。
【0004】
一方で、センタコンソールが存在しない車両は、運転席と助手席との間をウォークスルーすることができるように構成されると共に、インストルメントパネルの運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部を設け、このインパネ中央部に第1の操作部としてのシフトレバーを配置しているが、該シフトレバー操作時に乗員(ドライバ)の手を置くスペースがない。
【0005】
そこで、センタコンソールを有さない車両においては、インパネ中央部の限られたスペースに対して、第1の操作部(シフトレバー)と、第2の操作部(操作ユニット)と、これらの操作時に乗員の手を置いて保持する保持部とを如何に効率よくレイアウトするかが課題となっている。
【0006】
ところで、特許文献1には、センタコンソールを備えた車両において、該センタコンソールに操作ユニットを配設したものが開示されている。この操作ユニットは、車載された電子機器の制御装置をコントロールするスイッチを備えた車両用コントロールスイッチユニットであるが、該特許文献1に開示された構成は、あくまでもセンタコンソールが存在する車両を前提とするものであるため、この特許文献1に開示された構成を、センタコンソールがない車両の操作ユニット配設構造に適用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−142906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、第1の操作部の後部には、該第1の操作部の操作時に乗員の手を保持する保持部と、インパネ補機を操作する第2の操作部とを配設し、上記保持部が第1の操作部の直後部に位置する第1位置と、第2の操作部の直後部に位置する第2位置との間を移動可能に支持される構成を採用することで、インパネ中央部の限られたスペースで、第1の操作部と、第2の操作部と、保持部との全てを効率よくレイアウトすることができると共に、保持部を移動させることにより、第1の操作部の操作時と、第2の操作部の操作時との双方で、保持部に乗員の手を置いて保持することができる車両の操作ユニット配設構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による車両の操作ユニット配設構造は、運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部と、該インパネ中央部に配設された第1の操作部とを備えた車両において、上記第1の操作部の後部には、該第1の操作部の操作時に乗員の手を保持する保持部と、インパネ補機を操作する第2の操作部とが配設され、上記保持部は、第1の操作部の直後部に位置する第1位置と、第2の操作部の直後部に位置する第2位置との間を移動可能に支持されたものである。
【0010】
上述の第1の操作部はシフトレバーに設定してもよく、また上述のインパネ補機とは、インストルメントパネル部に設けられる車載用電子機器のことであって、このインパネ補機としては、オーディオ装置やナビゲーション装置であってもよく、第2の操作部は操作ユニット、特にその操作ダイヤルに設定してもよい。
【0011】
上記構成によれば、第1の操作部の操作時には、上述の保持部を第1の操作部の直後部に位置する第1位置に移動させ、第2の操作部の操作時には、上述の保持部を第2の操作部の直後部に位置する第2位置に移動させる。
【0012】
このように、上記保持部を移動させることにより、第1の操作部の操作時と、第2の操作部の操作時との双方で、保持部に乗員の手を置いて保持することができる。よって、各操作部を操作する時、楽に操作を行うことができる。
【0013】
しかも、第1の操作部の後部に、保持部と第2の操作部とを配設したので、インパネ中央部の限られたスペースに、第1の操作部、第2の操作部、保持部の全てを効率よくレイアウトすることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記保持部は、上記第1位置の時、第2の操作部の上部に配設されると共に、上記第2位置の時、第2の操作部の後方にスライド可能に支持されたものである。
【0015】
上記構成によれば、第1位置において上述の保持部を第2の操作部の上部に配設したので、インパネ中央部の限られたスペース、特に、車両前後方向にスペースを有効的に活用することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記保持部の前方に上記第2の操作部が配設されると共に、該第2の操作部は上下方向に回動可能に支持され、上記保持部が第2位置に移動した時、第2の操作部が操作可能位置としての上方に移動する
ものである。
【0017】
上記構成によれば、第2の操作部の不使用時には、インパネ中央部のスペースを最小限に抑えつつ、第2の操作時の使用時には、保持部を第2位置に移動させると、該第2の操作部を操作可能位置としての上方に移動させることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記保持部は、上記第2位置の状態を保持するロック手段を備えたものである。
【0019】
上記構成によれば、上述のロック手段により保持部の第2位置を保持するので、第2位置における保持部の位置保持が安定する。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、第1の操作部の後部には、該第1の操作部の操作時に乗員の手を保持する保持部と、インパネ補機を操作する第2の操作部とを配設し、上記保持部が第1の操作部の直後部に位置する第1位置と、第2の操作部の直後部に位置する第2位置との間を移動可能に支持される構成を採用したので、インパネ中央部の限られたスペースで、第1の操作部と、第2の操作部と、保持部との全てを効率よくレイアウトすることができると共に、保持部を移動させることにより、第1の操作部の操作時と、第2の操作部の操作時との双方で、保持部に乗員の手を置いて保持することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の車両の操作ユニット配設構造を示す斜視図。
【図2】運転席、助手席、インストルメントパネルを示す平面図。
【図3】保持部の第1位置を示す図1の要部側面図。
【図4】図3のA−A線矢視断面図。
【図5】図4のB−B線矢視断面図。
【図6】保持部の第2位置を示す要部側面図。
【図7】保持部の第2位置を示す拡大側面図。
【図8】車両の操作ユニット配設構造の他の実施例を示す側面図。
【図9】保持部の第1位置を示す側面図。
【図10】図8のC−C線矢視断面図。
【図11】図8のD−D線矢視断面図。
【図12】保持部の第2位置を示す側面図。
【図13】車両の操作ユニット配設構造のさらに他の実施例を示す側面図。
【図14】保持部の斜視図。
【図15】保持部の第2位置を示す側面図。
【図16】図15の要部の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
インパネ中央部の限られたスペースで、第1の操作部と、第2の操作部と、保持部との全てを効率よくレイアウトすることができると共に、保持部を移動させることにより、第1の操作部の操作時と、第2の操作部の操作時との双方で、保持部に乗員の手を置いて保持することができるという目的を、運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部と、該インパネ中央部に配設された第1の操作部とを備えた車両において、上記第1の操作部の後部には、該第1の操作部の操作時に乗員の手を保持する保持部と、インパネ補機を操作する第2の操作部とが配設され、上記保持部は、第1の操作部の直後部に位置する第1位置と、第2の操作部の直後部に位置する第2位置との間を移動可能に支持されるという構成にて実現した。
【実施例1】
【0023】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、車両の操作ユニット配設構造を示し、図1は車室内部から前方を見た状態で示す斜視図、図2は、インストルメントパネルおよび前列シートの平面図である。
【0024】
図2において、シートクッション1、シートバック2、ヘッドレスト3およびアームレスト4を備えた運転席としてのドライバーズシート5と、シートクッション6、シートバック7、ヘッドレスト8およびアームレスト9,10を備えた助手席としてのパッセンジャーズシート11とを車幅方向に離間させて並設している。
【0025】
この実施例では、左ハンドル車両に対応して、左側にドライバーズシート5を配設し、右側にパッセンジャーズシート11を配設しているが、右ハンドル車両に適応する場合には、各シート5,11を図2の逆の配置構造とすればよい。
【0026】
ドライバーズシート5(運転席)とパッセンジャーズシート11(助手席)の前方には、図1、図2に示すように、車幅方向の全幅にわたってインストルメントパネル12が配設されている。
【0027】
このインストルメントパネル12は、運転席側に対応するインパネ左部12Aと、助手席側に対応するインパネ右部12Bと、ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート11との間に位置するインパネ中央部12Cとを備えている。なお、この実施例で示す車両は、センタコンソールを有しておらず、ドライバーズシート5とパッセンジャーズシート11との間のウォークスルー通路をウォークスルーすることができるように構成している。
【0028】
上述のインパネ左部12Aには、ステアリングコラムカバー部13とメータフード14とが形成されており、また、インパネ右部12Bには、グローブボックス15とインパネトレイ16とが設けられている。
【0029】
さらに、インパネ中央部12Cには、温度、時刻、車速などを可視表示する液晶ディスプレイ17と、センタベント吹出口18,18と、ナビゲーション装置の表示部とオーディオ装置の表示部とを兼ねる表示部19と、空調温度制御用のダイヤル20と、内外気切換え用のダイヤル21と、空調風の吹出し風量をコントロールするダイヤル22と、を備えている。
【0030】
この実施例では、上述の各ダイヤル20,21,22は車幅方向に並設されており、これら各ダイヤル20,21,22の直下部には第1の操作部としてのシフトレバー23(但し、図面ではシフトレバーノブとシフトラバーとを図示している)が配設されている。
【0031】
また、上述のインストルメントパネル12におけるフロントウィンドガラスの傾斜下端部と上下方向に対向する中央部分には、デフロスタ吹出口24を形成する一方、インストルメントパネル12の左右両側部には、前席乗員に空調風を吹出すサイドベント吹出口25,26を形成している。
【0032】
さらに、上述のインパネ中央部12Cに配設されたシフトレバー23の後部には、該シフトレバー23の操作時に乗員の手(または、手首から肘までの部分の一部)を保持する保持部(いわゆる手のひらを保持するパームレスト、または手首部分を保持するリストレスト)30と、オーディオ装置やナビゲーション装置などのインパネ補機を操作する第2の操作部としての操作ユニット31とが配設されている。
【0033】
この操作ユニット31は、オーディオ装置やナビゲーション装置などのインパネ補機を、ドライバが車両前方を目視した視線を下方に変更せずに、操作する操作ダイヤル32(いわゆる、コマンダ)を備えている。
【0034】
しかも、上述の保持部30は、図3に示すように、シフトレバー23の直後部に位置する第1位置と、図6に示すように、操作ユニット31の直後部、詳しくは操作ダイヤル32の直後部に位置する第2位置との間を移動可能に支持されている。
【0035】
保持部30が第1位置(図3参照)と第2位置(図6参照)との間を移動可能に支持された構成について、以下に詳述する。
【0036】
図4は、図3のA−A線矢視断面図、図5は図4のB−B線矢視断面図であって保持部30の第1位置を示す。図7は保持部30の第2位置を示す要部拡大側面図である。
【0037】
図3に示すように、操作ダイヤル32を備えた操作ユニット31は、インパネ中央部12Cから若干車両後方側へ延長されたインパネ延長部12Dで支持されている。
【0038】
上述のインパネ中央部12Cに連続するインパネ延長部12Dの上部には、図3〜図5に示すように、車両の前後方向に延びる左右一対のガイドレール33を設けている。
【0039】
上述のガイドレール33は、インパネ延長部12Dのトップデッキ面とその上面とが、面一になるように固定されたロアレール34と、このロアレール34に沿って前後方向に摺動可能で、かつ、ロアレール34より上方に突出するアッパレール35とを備えている。
【0040】
図4に示すように、左右一対のロアレール34,34はインパネ延長部12Dの受け部36で支持固定される一方で、一対のアッパレール35,35のトップデッキ間に張架した平板状のベース部材37を介して上述の保持部30が配置されている。
【0041】
また、上述のロアレール34の一部(この実施例では、車幅方向の外側に位置する側壁部の一部)には、該ロアレール34の長手方向つまり車両の前後方向に延びる長孔38が形成されており、アッパレール35には該長孔38内に位置するようにピン39が突設されている。このピン39の内端部にはネジ部(図示せず)を形成し、ガイドレール33のインパネ延長部12Dへの組付け前に、ロアレール34の長孔38からアッパレール35の所定部に螺合固定することができる。
【0042】
そして、上述の長孔38とピン39とでロック手段を構成し、このロック手段は図5に示す第1位置の状態と、図7に示す第2位置の状態とを保持するものである。
【0043】
図5に示す第1位置の時、保持部30は第2の操作部としての操作ユニット31の上部に配設され、図7に示す第2位置の時、保持部30は操作部ユニット31の操作ダイヤル32の後方にスライド可能に支持されるように構成している。
【0044】
特に、上述の第1位置(図5参照)において、保持部30が操作ユニット31および操作ダイヤル32の上部に位置することにより、平面から見て保持部30と操作ユニット31とがオーバラップし、これによりインパネ中央部12Cの限られたスペースに、シフトレバー23、保持部30および操作ダイヤル32を備えた操作ユニット31が効率的にレイアウトされることになる。
なお、図中、矢印Fは車両の前方を示す。
【0045】
このように構成した車両の操作ユニット配設構造の作用を以下に説明する。
図5に示す第1位置においては、ピン39がロアレール34の長孔38における前端孔縁に当接しており、アッパレール35のそれ以上の車両前方方向の移動が規制およびロックされているので、保持部30は該第1位置に支持される。
【0046】
この第1位置では、図3に示すように上述の保持部30はシフトレバー23の直後部に位置すると共に、操作ユニット31の操作ダイヤル32の上部に配設されている。
【0047】
このため、シフトレバー23の操作時には、図3に仮想線で示すように保持部30に乗員の手を置いて楽な姿勢で操作をすることができる。
【0048】
インパネ補機としてのオーディオ装置やナビゲーション装置を操作する場合、保持部30を図5に示す第1位置から図7に示す第2位置へ手動で移動させる。
【0049】
この場合、図7に示すように、アッパレール35側のピン39がロアレール34の長孔38における後端孔縁に当接すると、アッパレール35のそれ以上の車両後方方向への移動が規制およびロックされるので、保持部30は該第2位置に支持される。
【0050】
この第2位置では、図6、図7に示すように保持部30は操作ユニット31の操作ダイヤル32の直後部に位置する。また、図7に示すようにアッパレール35の前側一部はロアレール34の後部と車両前後方向にオーバラップした位置にロックされており、保持部30に乗員の手の荷重が上方から付勢されてもアッパレール35が下方に変動しないようになっている。
【0051】
このため、操作ユニット31の操作ダイヤル32の操作時には、図6に仮想線で示すように保持部30に乗員の手を置いて楽な姿勢で操作をすることができる。
【0052】
要するに、シフトレバー23の操作時(図3参照)と、操作ダイヤル32の操作時(図6参照)との双方で、保持部30に乗員の手を置いて保持することができ、シフトレバー23、操作ダイヤル32の何れを操作する時も、楽な姿勢で操作を行なうことができる。
【0053】
このように、図1〜7で示した車両の操作ユニット配設構造は、運転席(ドライバーズシート5)と助手席(パッセンジャーズシート11)の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネル12と、該インストルメントパネル12の運転席(ドライバーズシート5)と助手席(パッセンジャーズシート11)との間に位置するインパネ中央部12Cと、該インパネ中央部12Cに配設された第1の操作部(シフトレバー23参照)とを備えた車両において、上記第1の操作部(シフトレバー23)の後部には、該第1の操作部(シフトレバー23)の操作時に乗員の手を保持する保持部30と、インパネ補機(オーディオ装置、ナビゲーション装置参照)を操作する第2の操作部(操作ユニット31参照)とが配設され、上記保持部30は、第1の操作部(シフトレバー23)の直後部に位置する第1位置(図3参照)と、第2の操作部(操作ユニット31参照)の直後部に位置する第2位置(図6参照)との間を移動可能に支持されたものである(図2,図3,図6参照)。
【0054】
この構成によれば、第1の操作部(シフトレバー23)の操作時には、上述の保持部30を第1の操作部(シフトレバー23)の直後部に位置する第1位置(図3参照)に移動させ、第2の操作部(操作ユニット31)の操作時には、上述の保持部30を第2の操作部(操作ユニット31)の直後部に位置する第2位置(図6参照)に移動させる。
【0055】
このように、上記保持部30を移動させることにより、第1の操作部(シフトレバー23)の操作時と、第2の操作部(操作ユニット31)の操作時との双方で、保持部30に乗員の手を置いて保持することができる。よって、各操作部(シフトレバー23、操作ユニット31参照)を操作する時、楽に操作を行なうことができる。
【0056】
しかも、第1の操作部(シフトレバー23)の後部に、保持部30と第2の操作部(操作ユニット31)とを配設したので、インパネ中央部12Cの限られたスペースに、第1の操作部(シフトレバー23)、第2の操作部(操作ユニット31)、保持部30の全てを効率よくレイアウトすることができる。
【0057】
また、上記保持部30は、上記第1位置の時(図3参照)、第2の操作部(操作ユニット31参照)の上部に配設されると共に、上記第2位置の時(図6参照)、第2の操作部(操作ユニット31参照)の後方にスライド可能に支持されたものである(図3,図6参照)。
【0058】
この構成によれば、第1位置(図3参照)において上述の保持部30を第2の操作部(操作ユニット31)の上部に配設したので、平面から見て保持部30と第2の操作部(操作ユニット31)とがオーバラップして、インパネ中央部12Cの限られたスペース、特に、車両前後方向にスペースを有効的に活用することができる。
【0059】
さらに、上記保持部30は、上記第2位置(図6,図7参照)の状態を保持するロック手段(長孔38、ピン39参照)を備えたものである(図7参照)。
【0060】
この構成によれば、上述のロック手段により保持部30の第2位置(図6,図7参照)を保持するので、第2位置における保持部30の位置保持が安定する。
【0061】
なお、上記実施例においてはロック手段として長孔38と円柱形状のピン39との組合せを例示したが、このロック手段としては細長い方形状の長孔と平板状のロック板との組合せであってもよい。
【実施例2】
【0062】
図8〜図12は車両の操作ユニット配設構造の実施例2を示し、図8、図9は第1位置を示す側面図、図10は図8のC−C線矢視断面図、図11は図8のD−D線矢視断面図、図12は第2位置を示す側面図である。
【0063】
この実施例2においては、インパネ延長部12Dのウォークスルー通路と対向する側の面、つまり後面と、左側面と、右側面と、上面とを一体的に覆うインパネカバー40を設けている。
【0064】
このインパネカバー40は、図8〜図12に示すように、後面部40a、左側面部40b、右側面部40c、上面部40dを合成樹脂で一体形成したものであり、図10に示すように、左側面部40bおよび右側面部40cの下部には、左右一対の支軸41,41が一体形成されている。
【0065】
左右一対の支軸41,41と対応するように、インパネ延長部12Dの下部には、軸受け凹部42,42が一体形成されている。そして、インパネカバー40の一対の支軸41,41をインパネ延長部12Dの軸受け凹部42,42に装着することで、インパネカバー40を車両前後方向に揺動可能に構成したものである。
【0066】
ここで、インパネカバー40の上面部40dには、操作ダイヤル32との干渉を回避する切欠き部40e(図12参照)が形成されている。
【0067】
上述のインパネカバー40の上面部40dには、操作ダイヤル32と干渉しないように側面視で逆L字状に形成された保持部30が取付けられている。
【0068】
図11に図8のD−D線で断面した構成を示すように、上述のインパネカバー40の上部内面には、インサート金具43を該カバー40の成形時に一体的にインサート成形している。
【0069】
このインサート金具43の前後に離間した位置には、係止凹部44,45が一体的に形成される一方で、図8、図9に示すインパネカバー40の閉位置(第1位置)状態において後側の係止凹部45と対応するように、インパネ延長部12Dの上部には、係止ピン46を配設している(図11参照)。
【0070】
この係止ピン46はインパネ延長部12Dの上部に設けたハウジング47にスプリング48を介して突没可能に配設したもので、該ハウジング47は車幅方向内方が閉止され、車幅方向外方が開放された有底円筒状に形成され、一方、上述のスプリング48は係止ピン46を常時突出方向にバネ付勢する付勢手段である。
【0071】
図11に示すように、係止ピン46が後側の係止凹部45に係入した場合には、図8、図9に示すように、インパネカバー40および保持部30は第1位置に保持され、この第1位置では、保持部30はシフトレバー23の直後部に位置すると共に、該保持部30は操作ユニット31の操作ダイヤル32の上部に配設されている。
【0072】
一方、図12に示すように、支軸41を支点としてインパネカバー40の上部を後方に揺動移動させると、係止ピン46が後側の係止凹部45から外れた後に、前側の係止凹部44に係入して、インパネカバー40および保持部30は第2位置に保持される。
【0073】
この第2位置(図12参照)では、保持部30は操作ユニット31における操作ダイヤル32の直後部に位置し、かつロック手段(係止ピン46、係止凹部44,45参照)で、その第2位置の状態が保持されるものである。
【0074】
上述の係止ピン46の頂部および係止凹部44,45は第1位置と第2位置との切換えの容易化を図る目的で、共にテーパコーン形状に(略円錐台形状)に形成されている。また、図11では、車両左側のロック手段(各要素44,45,46,47,48)のみを示したが、車両右側のロック手段は左側のそれと左右対称に構成されている。
【0075】
このように、図8〜図12で示した実施例においても、運転席(図2のドライバーズシート5参照)と助手席(図2のパッセンジャーズシート11参照)の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネル12と、該インストルメントパネル12の運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部12Cと、該インパネ中央部12Cに配設された第1の操作部(シフトレバー23)とを備えた車両において、上記第1の操作部(シフトレバー23)の後部には、該第1の操作部(シフトレバー23)の操作時に乗員の手を保持する保持部30と、インパネ補機(オーディオ装置やナビゲーション装置参照)を操作する第2の操作部(操作ユニット31)とが配設され、上記保持部30は、第1の操作部(シフトレバー23)の直後部に位置する第1位置(図8、図9参照)と、第2の操作部(操作ユニット31)の直後部に位置する第2位置(図12参照)との間を移動可能に支持されたものである(図8、図9、図12参照)。
【0076】
この構成によれば、第1の操作部(シフトレバー23)の操作時には、上述の保持部30を第1の操作部(シフトレバー23)の直後部に位置する第1位置(図8、図9参照)に移動させ、第2の操作部(操作ユニット31)の操作時には、上述の保持部30を第2の操作部(操作ユニット31)の直後部に位置する第2位置(図12参照)に移動させる。
【0077】
このように、上記保持部30を移動させることにより、第1の操作部(シフトレバー23)の操作時と、第2の操作部(操作ユニット31)の操作時との双方で、保持部30に乗員の手を置いて保持することができる。よって、各操作部(シフトレバー23、操作ユニット31参照)を操作する時、楽に操作を行うことができる。
【0078】
しかも、第1の操作部(シフトレバー23)の後部に、保持部30と第2の操作部(操作ユニット31)とを配設したので、インパネ中央部12Cの限られたスペースに、第1の操作部(シフトレバー23)、第2の操作部(操作ユニット31)、保持部30の全てを効率よくレイアウトすることができる。
【0079】
また、図11に示すように、第1位置と第2位置とに切換わる時、係止ピン46は直接インパネカバー40内面に当接することなく、インサート金具43と当接するので、インパネカバー40の耐久性を確保することができる。
【0080】
図8〜図12で示した実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1とほぼ同様であるから、図8〜図12において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略するが、この実施例2において、支軸41を支点として揺動するインパネカバー40を、該支軸41を曲率中心とするガイドレールによって揺動案内するように構成してもよいことは勿論であり、この場合には、実施例1と同様に長孔とピンとによるロック手段を設ければよい。
【実施例3】
【0081】
図13〜図16は車両の操作ユニット配設構造の実施例3を示し、図13は第1位置を示す側面図、図14は要部の分解斜視図、図15は第2位置を示す側面図、図16は図15の部分平面図である。
【0082】
この実施例3においては、図16に部分平面図で示すように、インパネ中央部12Cの後面(リヤ側の面)における車幅方向の中央部に、前方へ窪む凹部50を形成し、この凹部50の両サイドの壁部相互間に操作ユニット31を配設すると共に、この操作ユニット31を駆動軸51で上下方向に回動可能に支持している。
上述の駆動軸51は、図示しない電動可逆モータで回転駆動されるものである。
【0083】
一方、図14に示すように、平面視で略コ字状のベース部材52と、このベース部材52の左右両部に連結されて前方に延びるガイド53,53から成るスライダ54を設けている。
【0084】
上述のガイド53は、複数のコマ部材(関節輪と同意)55,55…が所定の屈曲範囲内で屈曲可能に列状に連結されたものである。前述の保持部30はベース部材52の上面に固定されている。
【0085】
ここで、隣接するコマ部材55,55同士は車幅方向に指向する軸(図示せず)で相互に連結されており、車幅方向と直交する方向で、かつ所定の屈曲範囲内でのみ、その屈曲が可能となるように構成されている。また、軽量化を図る目的で、上述のコマ部材55およびベース部材52は、それぞれ合成樹脂で形成されている。
【0086】
なお、上述のガイド53としては、特開2010−150750号公報および特開2010−135210号公報に開示されたケーブルベア(登録商標)と称される既存のものを用いることができる。
【0087】
図13、図15、図16に示すように、インパネ中央部12Cの左右両側には、上述のスライダ54を支持する支持部材56を設けている。この支持部材56はガイド53の上面側を支持する上側支持部材56Aと、スライダ54の左右両部下面側を支持する下側支持部材56Bとを備えている。下側支持部材56Bの平面視形状は図16に示すスライダ54の平面視形状と略同様に形成されている。
【0088】
上述のスライダは54は保持部30と一体に乗員の手動操作にて、図13に示す第1位置と、図15に示す第2位置との間を移動可能に支持されており、保持部30の前方に第2の操作部としての操作ユニット31が配設されると共に、この操作ユニット31は上下方向に回動可能に支持されており、スライダ54と共に保持部30が図15に示す第2位置に移動した時、操作ユニット31が操作可能位置としての上方に移動するように構成されている。
【0089】
図13に示す第1位置では、電動可逆モータの駆動により操作ユニット31は該ユニット31が略上下方向に指向し、操作ダイヤル32が後方に向けて突出するように格納され、保持部30は第1の操作部としてのシフトレバー23の直後部に位置するものである。
【0090】
保持部30を備えたスライダ54を、図13に示す第1位置から図15に示す第2位置へ乗員の手動操作にて引き出すと、このスライダ54の動きを図示しないセンサで検知して、電動可逆モータが駆動され、操作ユニット31は図15に示す操作可能位置としての上方へ移動する。
【0091】
図15に示す第2位置では、保持部30は操作ユニット31の直後部に位置するものであって、操作ユニット31は図16に平面図で示すように、スライダ54のコ字状のベース部材52と、インパネ中央部12Cの凹部50との間に略水平で、かつ、その操作ダイヤル32が操作可能となるように保持されるものである。
【0092】
一方、図15に示す第2位置から図13に示す第1位置へスライダ54を前方へ押圧すると、このスライダ54の動きを、図示しないセンサで検知し、電動可逆モータが操作ユニット31を格納する方向に駆動されるものである。
【0093】
なお、電動可逆モータの出力はウォームおよびウォームホイールを介して駆動軸51に伝達してもよい。
【0094】
このように、図13〜図16で示した実施例3においては、運転席(図2のドライバーズシート5参照)と助手席(図2のパッセンジャーズシート11参照)の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネル12と、該インストルメントパネル12の運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部12Cと、該インパネ中央部12Cに配設された第1の操作部(シフトレバー23)とを備えた車両において、上記第1の操作部(シフトレバー23)の後部には、該第1の操作部(シフトレバー23)の操作時に乗員の手を保持する保持部30と、インパネ補機を操作する第2の操作部(操作ユニット31)とが配設され、上記保持部30は、第1の操作部(シフトレバー23)の直後部に位置する第1位置(図13参照)と、第2の操作部(操作ユニット31)の直後部に位置する第2位置(図15参照)との間を移動可能に支持されたものである(図13,15参照)。
【0095】
この構成によれば、第1の操作部(シフトレバー23)の操作時には、上述の保持部30を第1の操作部(シフトレバー23)の直後部に位置する第1位置(図13参照)に移動させ、第2の操作部(操作ユニット31)の操作時には、上述の保持部30を第2の操作部(操作ユニット31)の直後部に位置する第2位置(図15参照)に移動させる。
【0096】
このように、上記保持部30を移動させることにより、第1の操作部(シフトレバー23)の操作時と、第2の操作部(操作ユニット31)の操作時との双方で、保持部30に乗員の手を置いて保持することができる。よって、各操作部(シフトレバー23、操作ユニット31)を操作する時、楽に操作を行うことができる。
【0097】
しかも、第1の操作部(シフトレバー23)の後部に、保持部30と第2の操作部(操作ユニット31)とを配設したので、インパネ中央部12Cの限られたスペースに、第1の操作部(シフトレバー23)、第2の操作部(操作ユニット31)、保持部30の全てを効率よくレイアウトすることができる。
【0098】
また、上記保持部30の前方に上記第2の操作部(操作ユニット31)が配設されると共に、該第2の操作部(操作ユニット31)は上下方向に回動可能に支持され、上記保持部30が第2位置(図15参照)に移動した時、第2の操作部(操作ユニット31)が操作可能位置としての上方に移動するものである(図15参照)。
【0099】
この構成によれば、第2の操作部(操作ユニット31)の不使用時(図13参照)には、インパネ中央部12Cのスペースを最小限に抑えつつ、第2の操作時(操作ユニット31)の使用時(図15参照)には、保持部30を第2位置(図15参照)に移動させると、該第2の操作部(操作ユニット31)を操作可能位置としての上方に移動させることができる。
【0100】
図13〜図16で示したこの実施例3においても、その他の構成、作用、効果については、先の各実施例とほぼ同様であるから、図13〜図16において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0101】
なお、上記実施例3においては、操作ダイヤル32を含む操作ユニット31を電動により上下方向に回動可能と成したが、第1位置の時には操作ユニット31が格納され、第2位置の時に操作ユニット31が操作可能位置としての上方に移動するよう機械的な構造により移動させてもよい。
【0102】
また、図示しないが他の実施例として、実施例1からインパネ延長部12Dを省略し、インパネ中央部12Cの後端に、操作ダイヤル32を有する操作ユニット31を略水平または水平に固定し、この操作ユニット31に左右2本ずつ合計4本のリンクを平行リンクと成した平行リンク機構を介して上述の保持部30を配設し、シフトレバー操作時には、平行リンク機構を介して保持部30をシフトレバー23の直後部かつ操作ユニット31の上部に配設(第1位置に配設)し、操作ダイヤル32の操作時には、平行リンク機構を介して保持部30を操作ユニット31の直後部に配設(第2位置に配設)するように構成してもよい。
【0103】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の運転席は、実施例のドライバーズシート5に対応し、
以下同様に、
助手席はパッセンジャーズシート11に対応し、
第1の操作部は、シフトレバー23に対応し、
第2の操作部は、操作ダイヤル32を含む操作ユニット31に対応し、
ロック手段は、長孔38とピン39との組合せ、係止凹部44,45と係止ピン46との組合せに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0104】
例えば、上記第2の操作部で、実施例で例示したオーディオ装置やナビゲーション装置のほかに空気調和装置(いわゆるエアコン)などの他のインパネ補機を操作するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上説明したように、本発明は、運転席と助手席の前方にわたって配設されたインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部と、該インパネ中央部に配設された第1操作部とを備えた車両において、乗員の手を保持する保持部と、インパネ補機を操作する第2の操作部とを配設する車両の操作ユニット配設構造について有用である。
【符号の説明】
【0106】
5…ドライバーズシート(運転席)
11…パッセンジャーズシート(助手席)
12…インストルメントパネル
12C…インパネ中央部
23…シフトレバー(第1の操作部)
30…保持部
31…操作ユニット(第2の操作部)
38…長孔(ロック手段)
39…ピン(ロック手段)
44,45…係止凹部(ロック手段)
46…係止ピン(ロック手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席と助手席の前方に車幅方向にわたって配設されたインストルメントパネルと、
該インストルメントパネルの運転席と助手席との間に位置するインパネ中央部と、
該インパネ中央部に配設された第1の操作部とを備えた車両において、
上記第1の操作部の後部には、該第1の操作部の操作時に乗員の手を保持する保持部と、
インパネ補機を操作する第2の操作部とが配設され、
上記保持部は、第1の操作部の直後部に位置する第1位置と、
第2の操作部の直後部に位置する第2位置との間を移動可能に支持された
車両の操作ユニット配設構造。
【請求項2】
上記保持部は、上記第1位置の時、第2の操作部の上部に配設されると共に、
上記第2位置の時、第2の操作部の後方にスライド可能に支持された
請求項1記載の車両の操作ユニット配設構造。
【請求項3】
上記保持部の前方に上記第2の操作部が配設されると共に、
該第2の操作部は上下方向に回動可能に支持され、
上記保持部が第2位置に移動した時、第2の操作部が操作可能位置としての上方に移動する
請求項1記載の車両の操作ユニット配設構造。
【請求項4】
上記保持部は、上記第2位置の状態を保持するロック手段を備えた
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の操作ユニット配設構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2012−238271(P2012−238271A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108248(P2011−108248)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】