車両の蒸発燃料処理装置
【課題】簡易な構造で車両の燃料タンクから蒸発燃料が大気に流出することを抑制する。
【解決手段】給油キャップ4にチャージ通路5と燃料タンク2内部とを連通させる連通室25を設け、連通室25には燃料タンク2の内圧が所定圧になったときに開き、燃料タンク2と蒸発燃料貯留器とを連通させる開閉弁(26)を設ける。さらに、給油キャップ4には、給油キャップ4を開放する事前の予備動作に連動して開閉弁を開放する圧抜き機構43を設けるとともに、燃料タンク2の内圧に応じて進退しキーシリンダ20の回転を許容又は禁止する係合ピン47を設ける。
【解決手段】給油キャップ4にチャージ通路5と燃料タンク2内部とを連通させる連通室25を設け、連通室25には燃料タンク2の内圧が所定圧になったときに開き、燃料タンク2と蒸発燃料貯留器とを連通させる開閉弁(26)を設ける。さらに、給油キャップ4には、給油キャップ4を開放する事前の予備動作に連動して開閉弁を開放する圧抜き機構43を設けるとともに、燃料タンク2の内圧に応じて進退しキーシリンダ20の回転を許容又は禁止する係合ピン47を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内部で発生した蒸発燃料を燃料タンク外部に導く車両の蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、密閉式燃料タンクを備えた車両の蒸発燃料処理装置においてタンク内圧が高いときの給油時に給油口から蒸発燃料又は燃料がタンク外に流出するのを防ぐために、電子制御でタンク内圧を制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−156496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に係るシステムは、比較的大型の四輪車両等では好適に用いることができるが、スペースが少なく廉価が求められ、また給油口の開閉をキー操作で直接行なう自動二輪車等では適用し難い点がある。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で蒸発燃料が大気に流出することを抑制し、小型車両に好適に用い得る車両の蒸発燃料処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、燃料を貯留する燃料タンク(2)と、前記燃料タンク(2)の給油口(3)に取付けられ、キーシリンダ(20)に挿し込まれたキー(49)の操作によって前記給油口(3)から開閉自在となる給油キャップ(4)と、吸着剤によって蒸発燃料を吸着して貯留する蒸発燃料貯留器(6)と、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させるチャージ通路(5)と、前記蒸発燃料貯留器(6)と内燃機関の吸気系(7)とを連通させるパージ通路(8)と、を備える車両の蒸発燃料処理装置において、前記給油キャップ(4)には、前記チャージ通路(5)と前記燃料タンク(2)内部とを連通させる連通室(25)が設けられ、該連通室(25)には、前記燃料タンク(2)の内圧が所定圧になったときに開き、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させる開閉弁が設けられ、前記給油キャップ(4)には、該給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作に連動して前記開閉弁を開放する圧抜き機構(43,61,100,300)が設けられるとともに、前記燃料タンク(2)の内圧に応じて進退し前記給油キャップ(4)開放動作を許容又は禁止する係止機構(47,131)が設けられ、前記係止機構(47,131)は、前記燃料タンク(2)内の圧力を検知する圧力判定機構を備え、前記圧抜き機構(43,61,100,300)による圧抜き後、前記燃料タンク(2)内の圧力が所定圧になった際に、前記圧力判定機構が前記係止機構(47,131)の係止状態を解除し、前記給油キャップ(4)の開放動作を許容するように構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記係止機構(47,131)は、前記キーシリンダ(20)の回転、又は、前記キーシリンダ(20)の回転に伴って変位して前記給油キャップ(4)を前記燃料タンク(2)側に係止するスライダ(141)の作動を許容又は禁止することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記圧力判定機構は、前記燃料タンク(2)内と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記燃料タンク(2)内外の差圧により作動する圧力感知部材とを備え、前記係止機構は、前記圧力感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記圧力感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合され前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止する係止ピンと、前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材とから構成され、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは前記付勢部材により前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記圧力判定機構は、前記開閉弁が設けられる前記連通室(25)の前記燃料タンク(2)内部側と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記開閉弁開時に前記開閉弁を流れる蒸発燃料の流速を感知し作動する流速感知部材とを備え、前記係止機構(47)は、前記流速感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記流速感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合される作動ピンと、前記作動ピンに取り付けられ前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するロック部材と、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材から構成され、前記連通室は小径の筒状に形成し、前記開閉弁が開き前記連通路内に蒸発燃料の流速が発生しているときは前記ダイヤフラム又はピストンが前記連通室(25)側に変位し、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、蒸発燃料の流速が発生していない状態になったときは前記付勢部材により前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)のロックを解除するように構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込による押し込み操作であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込後の回転による回転操作であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込孔を覆うキーカバーの開閉操作であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、前記係止機構(47)は、前記給油キャップ(4)に設けられ、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合する可動爪であり、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記可動爪が、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは付勢部材により、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構造で給油キャップを開放する事前の予備動作に連動して燃料タンクの内圧を下げ、タンク内圧が下がってからキーシリンダの回転を許容するようにすることができ、蒸発燃料又は液体燃料が大気に流出してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの上面図である。
【図4】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップに設けられた正圧調整弁の周辺部位の断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の操作方法を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図9】第4の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップにおけるキーシリンダ及び押圧片の斜視図である。
【図10】第4の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の操作方法を説明する図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図12】第5の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の操作方法を説明する図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で用いる図面においてUPは上方を示し、FRは前方を示すものとし、説明の便宜上、下記実施形態ではこれらの方向を基準に説明を行うものとする。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は自動二輪車用の燃料タンクに適用された第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置1の概略構成を示しており、この蒸発燃料処理装置1は、燃料タンク2と、燃料タンク2の給油口3に開閉可能に取り付けられた給油キャップ4と、燃料タンク2を貫通して給油キャップ4に接続するチャージ配管5と、燃料タンク2外部でチャージ配管5に接続する蒸発燃料貯留器6と、蒸発燃料貯留器6と吸気系7とを連通させるパージ配管8とを備え、蒸発燃料貯留器6には大気を吸入するドレン管6Aが設けられている。
【0011】
図2に示すように燃料タンク2には、上部外壁から屈曲して凹んだ断面視で凹状の座部9が形成され、給油口3は平面視(上面視)で円形を呈し、座部9の略中央領域に形成されている。チャージ配管5は、給油キャップ4を介して燃料タンク2内部に連通し、蒸発燃料貯留器6に燃料タンク2内部で生じた蒸発燃料を送る。蒸発燃料貯留器6は内部に吸着剤を有し、チャージ配管5から送給された蒸発燃料を吸着させて貯留する。
【0012】
給油キャップ4は、座部9に固定される円環状の外枠部10と外枠部10の内側に配置されたキャップ本体11とを備えており、外枠部10には複数の座ぐり孔12が形成されている。給油キャップ4は外枠部10の座ぐり孔12にボルトを挿通されて座部9に固定されている。キャップ本体11は外枠部10にヒンジ13によって連結され、図中回転矢印A方向に開閉可能とされている。
【0013】
キャップ本体11の下面には円筒状のボディキャップ14が設けられ、ボディキャップ14は上端縁にフランジ部15を一体に有し、フランジ部15に貫通される複数のネジ15Aによってキャップ本体11の下面に固定されている。ボディキャップ14には給油口3の内周面に圧接される樹脂材料からなるシール材18Aが嵌め込まれている。また、シール材18Aの内周側においてボディキャップ14にはガイドキャップ16が嵌め込まれている。ガイドキャップ16はボディキャップ14のフランジ部15の内周側に一端を当接したスプリング17によって下方に付勢されている。
【0014】
ガイドキャップ16は上端部を外周方向に屈曲させ、この屈曲部をボディキャップ14のフランジ部15の外周側から垂下するシール材18Aに当接させることで位置規制される。なお、図中18Bはシール材18Aを固定する固定部材を示している。
【0015】
キャップ本体11の上部には、図中回転矢印B方向に開閉するキーカバー19がヒンジ19Aによって連結され、キーカバー19はキーシリンダ20を外部に露出させる。キーシリンダ20はボディキャップ14内に形成されたシリンダ室21に収容され、その鍵穴を上方に臨ませる。キーシリンダ20は下部側でシリンダ室21に設けられた樹脂材料からなるマウント部材23に当接し、挿し込まれたキーの挿し込みによってマウント部材23の圧縮分だけ押し込み可能になっている。
【0016】
キーシリンダ20は、キーを挿し込まれて下方に変位され回転されることで、キャップ本体11のロック状態を解除する。具体的には、キーシリンダ20にはキーの回転に応じてキーシリンダ20の径方向に進退する図示しない係止片(スライダ)が設けられており、この係止片を燃料タンク2に設けられた図示しない制止部に係止することでキャップ本体11の開放を規制する構成になっている。
【0017】
ボディキャップ14のシリンダ室21の側方には、シリンダ室21に平行に延出する連通室25が形成され、この連通室25の下端部は燃料タンク2内部に開口し、蒸発燃料を通過可能な例えばメッシュ状のフィルタ部材24で覆われている。また連通室25の上端部はキャップ本体11の下面で閉塞されている。
【0018】
図3を参照し、連通室25はボディキャップ14に穿設されるように形成された隣接した一対の筒状部25A,25Bからなり、筒状部25Aには負圧調整弁26が設けられ、筒状部25Bには正圧調整弁27が設けられている。負圧調整弁26及び正圧調整弁27によって連通室25は、下方の燃料タンク2内部側と上方の燃料タンク2外部側とに分離されている。負圧調整弁26は、燃料タンク2内部側から所定の付勢力で付勢され、燃料タンク2の内圧が所定圧以下になったときに開き、正圧調整弁27は、燃料タンク2外部側から所定の付勢力で付勢され、燃料タンク2の内圧が所定圧以上になったときに開く。ここで、負圧調整弁26及び正圧調整弁27は、キーシリンダ20に対しヒンジ13と反対側に配置されている。
【0019】
図2に示すように負圧調整弁26は、筒状部25Aの内周面から内径方向に突出して形成された孔部28Aを有する弁座28と、弁座28の孔部28Aに嵌合挿通される軸部29及び軸部29の下端に結合されて弁座28に燃料タンク2の内側から当接する傘部30を有する弁体31と、フィルタ部材24に一端を当接するとともに他端を弁体31の傘部30に当接して付勢するスプリング32とで構成されている。スプリング32はフィルタ部材24と弁体31との間に縮めて設けられており、弁体31に所定の付勢力を付与している。
【0020】
一方、図4に示すように正圧調整弁27は、筒状部25Bの内周面から内径方向に突出して形成された孔部33Aを有する弁座33と、弁座33の孔部33Aに挿通される軸部34及び軸部34の上端に結合されて弁座33に燃料タンク2外側から当接する傘部35を有する弁体36と、キャップ本体11の下面に一端を当接し、他端を弁体36の傘部35に当接して付勢するスプリング37とで構成され、軸部34は図4に示すように正圧調整弁27の閉塞時に弁座33から下方に突出している。スプリング37はキャップ本体11と弁体36との間に縮めて設けられており、弁体36に所定の付勢力を付与している。
【0021】
弁座33の下部には下方に向かうほど孔部33Aの内径を拡径する(大きくする)傾斜部38が一体に形成されており、筒状部25Bにおいて弁座33の下方には、弁座33とフィルタ部材24との間で遊動自在な球体のロールオーバーバルブ50が収容されている。ロールオーバーバルブ50は、その径(直径)が筒状部25Bの径に対して蒸発燃料を通過可能な程度にわずかに小さく設定されており、燃料タンク2が所定角度以上傾いたときに浸入してきた燃料にも押され正圧調整弁27の軸部29を押し上げ弁座33(傾斜部38)を閉塞して燃料の流出を防ぐ。ここでロールオーバーバルブ50が傾斜部38に当接することで両者の密着性が向上する。
【0022】
図2を参照し、筒状部25A,25Bの上端部はキャップ本体11の下面で閉塞される一方、負圧調整弁26及び正圧調整弁27によって燃料タンク2内側と分離された筒状部25A,25Bの上部側空間は互いに連通し、筒状部25Aの上部内周面からはフランジ部15の径方向に延出するキャップ内チャージ通路39が形成されている。キャップ内チャージ通路39は、フランジ部15の内部を貫通し、キャップ本体11と座部9との間に形成される空間において下方に開口している。
【0023】
キャップ内チャージ通路39の下方に向いた開口には円筒状の円筒弾性部材40が給油キャップ4閉時に気密に結合されている。円筒弾性部材40の下端部は、キャップ本体11の閉じた状態で座部9に密接し、座部9に形成された連通開口41を覆う。連通開口41は座部9から燃料タンク2内部に貫通する孔であり、燃料タンク2の内部に配されたチャージ配管5に気密に接続されている。これにより、燃料タンク2内部から蒸発燃料貯留器6までの経路が形成される。
【0024】
また、図2に示すようにボディキャップ14にはシリンダ室21上部と筒状部25A上部とを連通させる貫通孔42が設けられており、貫通孔42には押圧片43が挿通されている。また、ボディキャップ14には、シリンダ室21下部と連通室25下部とを連通させるダイヤフラム室44が形成されている。
【0025】
貫通孔42は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2外部側に開口し、押圧片43は、一端をキーシリンダ20に固定するとともに、他端を連通室25内に臨ませて負圧調整弁26の弁体31の軸部29上端に当接させるように配置されている。この押圧片43は、キーシリンダ20の下方への移動に連動して下方に変位することで、弁体31を下方に押し下げ負圧調整弁26を強制的に開放させる。なお、貫通孔42には押圧片43を貫通させるとともに貫通孔42と押圧片43の隙間を埋めるシール43Aが設けられる。
【0026】
一方、ダイヤフラム室44は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2内部側からキーシリンダ20側に凹むように形成され、シリンダ室21に貫通する連通路44Aを有してシリンダ室21に連通する。ダイヤフラム室44内にはダイヤフラム45が設けられ、ダイヤフラム45を挟んでダイヤフラム室44のシリンダ室21側は燃料タンク2内部から気相分離されている。
【0027】
連通路44Aの延長上においてシリンダ室21内のキーシリンダ20の外周面には凹状の係合溝46が形成され、ダイヤフラム45には係合溝46に係合可能な係合ピン47が結合されている。ダイヤフラム室44内の連通路44A側には、燃料タンク2の内圧に抗して係合ピン47を係合溝46に係合させない方向にダイヤフラム45を付勢する付勢部材48が収容されている。これにより、係合ピン47は、燃料タンク2の内圧が高い場合にダイヤフラム45が付勢部材48を圧縮することで係合溝46に係合しキーシリンダ20の回転を規制する。また燃料タンク2の内圧が大気と平準化された場合に係合ピン47は、ダイヤフラム45が付勢部材48に付勢されることで係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転を許容する。
【0028】
以上の構成の蒸発燃料処理装置1では、燃料タンク2の内圧が所定圧以下になり負圧調整弁26が開放した場合には、燃料タンク2とチャージ配管5とが給油キャップ4を経由して連通するので、チャージ配管5を介して蒸発燃料貯留器6から大気を燃料タンク2へ送ることが可能となる。また、燃料タンク2の内圧が所定圧以上になった場合には、正圧調整弁27が開放することで燃料タンク2とチャージ配管5とが給油キャップ4を経由して連通するので、燃料タンク2内に生じた蒸発燃料をチャージ配管5を介して蒸発燃料貯留器6へ送ることが可能となる。
【0029】
また、図5を参照し、キーシリンダ20に挿し込んだキー49によってキーシリンダ20を押し下げた場合には、押圧片43が負圧調整弁26の弁体31を押し下げ、負圧調整弁26が開放される。このように負圧調整弁26が開放されると、図中矢印に参照されるように、燃料タンク2内の内圧が、筒状部25A、キャップ内チャージ通路39、円筒弾性部材40、及びチャージ配管5を経由して蒸発燃料貯留器6側に抜ける。そして燃料タンク2の内圧が下がると、係合ピン47が図中矢印方向に移動し係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転が許容され、給油キャップ4を開くことが可能となる。なお、上記スライダは図示省略したがキーシリンダ20の回転が許容されることでスライダは間接的に作動を許容される。
【0030】
以上に記載した本実施形態に係る蒸発燃料処理装置1によれば、簡易な構造で給油キャップ4を開放する事前の予備動作に連動して燃料タンク2の内圧を下げ、タンク内圧が下がってからキーシリンダ20の回転を許容するようにすることができ、蒸発燃料又は液体燃料が大気に流出してしまうことを抑制できる。
【0031】
<第2の実施形態>
次に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0032】
図6に示すように本実施形態では、ボディキャップ14においてシリンダ室21と筒状部25Aとの間に貫通孔60が設けられ、貫通孔60は負圧調整弁26(弁座28)によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2内部側に開口する。貫通孔60に挿通された押圧片61は、一端をキーシリンダ20に固定するとともに、他端を筒状部25A内に臨ませて弁体31の傘部30に上方から当接する。押圧片61の当該他端は弁座28と弁体31の傘部30に挟み込まれ、この状態で気密性が保持され、押圧片61はキーシリンダ20の下方への移動に連動して下方に変位する。この実施形態の構成では、ボディキャップ14のシリンダ室21の軸方向長さの短縮化を図れる。
【0033】
<第3の実施形態>
次に本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態ではダイヤフラム45の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0034】
図7に示すように本実施形態では、ボディキャップ14に、第1の実施形態と同様にキーシリンダ20と筒状部25Aに跨るダイヤフラム室64が形成されている。ダイヤフラム室64は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2内部側からキーシリンダ20側に凹むように形成され、シリンダ室21に貫通する連通路64Aを有してシリンダ室21に連通する。ダイヤフラム室64内の燃料タンク2側には、連通路44A側の気圧に抗して係合ピン47を係合溝46に係合させる方向にダイヤフラム45を付勢する付勢部材65が設けられている。付勢部材65はダイヤフラム室64の燃料タンク2側の縁部に形成された凸片66に一端を支持されている。
【0035】
本実施形態に係る構成では、燃料タンク2の内圧が高い場合に、ダイヤフラム45がタンク内圧を受けるとともに、付勢部材48に付勢されて、係合ピン47が係合溝46に係合し、キーシリンダ20の回転を規制する。そして、燃料タンク2の内圧が低くなり、連通路44A側の気圧を下回った場合に、ダイヤフラム45が付勢部材48の付勢力に抗して変位して、係合ピン47と係合溝46との係合が解除させることで、キーシリンダ20の回転が許容される。
【0036】
<第4の実施形態>
次に本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0037】
本実施形態では、図8に示すようにシリンダ室21上部と筒状部25A上部とを連通させるボディキャップ14に形成された貫通孔42に、連係部材100が挿通されている。貫通孔42は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2外部側に開口し、連係部材100は、一端をキーシリンダ20に係合するとともに、他端を連通室25内に臨ませて負圧調整弁26の弁体31の軸部29上端に当接させるように配置されている。この連係部材100は、キーシリンダ20の回転操作に連動して下方に変位することで、弁体31を下方に押し下げ負圧調整弁26を強制的に開放させる。
【0038】
図9は、キーシリンダ20及び連係部材100の構造を示している。キーシリンダ20には斜めに延在する溝101が形成されており、溝101に連係部材100の一端が係合している。図9(a)に示すようにキー49をキーシリンダ20に挿し込み、キーシリンダ20を図中回転矢印の方向に回転させることで、図9(b)に示すように連係部材100が溝101に沿って下方に変位する。これにより弁体31が押し下げられる。
【0039】
本実施形態においてキーシリンダ20に挿し込んだキー49を回転させることによって連係部材100を押し下げた場合には、図10に示すように、連係部材100が負圧調整弁26の弁体31を押し下げ、負圧調整弁26が開放される。このように負圧調整弁26が開放されると、燃料タンク2内の内圧が、筒状部25A、キャップ内チャージ通路39、円筒弾性部材40、及びチャージ配管5を経由して蒸発燃料貯留器6側に抜ける。そして、内圧が抜けて燃料タンク2の内圧が下がると、係合ピン47が図中矢印方向に移動し係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転が許容され、給油キャップ4を開くことが可能となる。
【0040】
<第5の実施形態>
次に本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0041】
本実施形態では図11に示すようにキャップ本体11の上部に、図中回転矢印B方向に開閉するキーカバー19がヒンジ19Aによって連結され、キーカバー19は上方に回転されることでキーシリンダ20を外部に露出させる。キーシリンダ20はボディキャップ14内に形成されたシリンダ室21に収容され、その鍵穴を上方に臨ませる。キーカバー19はヒンジ19Aに連結する基部19Bと基部19Bと一体に形成されキーシリンダ20のキー穴を覆うカバー本体19Cとで構成されている。
【0042】
連通室25の上端部は、キーカバー19の基部19Bの直下に設けられた可撓性の金属材からなる押圧板301及び樹脂材料からなる弾性シート302で構成される連係部材300によって気密性をもって覆われている。押圧板301及び弾性シート302は、キャップ本体11においてキーカバー19の基部19Bの下方で貫通する穴を閉塞するようにキャップ本体11に設けられている。
【0043】
負圧調整弁26の軸部29の上端は弾性シート302に当接しており、押圧板301及び弾性シート302の上方に位置するキーカバー19の基部19Bはカム形状を呈し、基部19Bは外径方向に突出する押圧部19Dを一体に有している。押圧部19Dのヒンジ19Aを中心とする回転軌跡上には押圧板301及び弾性シート302が位置しており、キーカバー19が開くと押圧部19Dは下方に変位して押圧板301及び弾性シート302を押圧する。このため、キーカバー19の開く動作に連動して負圧調整弁26は開放するようになっている。
【0044】
本実施形態ではキーカバー19を開いた場合、図12に示すように、キーカバー19の基部19B(押圧部19D)が連係部材300の押圧板301及び弾性シート302を押すことで負圧調整弁26の弁体31の軸部29を押し下げ、負圧調整弁26が開放される。このように負圧調整弁26が開放されると、燃料タンク2内の内圧が、筒状部25A、キャップ内チャージ通路39、円筒弾性部材40、及びチャージ配管5を経由して蒸発燃料貯留器6側に抜ける。そして、内圧が抜けて燃料タンク2の内圧が下がると、係合ピン47が図中矢印方向に移動し係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転が許容され、給油キャップ4を開くことが可能となる。
【0045】
<第6の実施形態>
次に本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0046】
図13に示すように、本実施形態に係る蒸発燃料処理装置では、ボディキャップ14に、第3の実施形態と同様にキーシリンダ20と筒状部25Aに跨るダイヤフラム室64が形成されている。ダイヤフラム室64は、シリンダ室21に貫通する連通路64Aを有してシリンダ室21に連通し、ダイヤフラム室64には作動ピン131、及び作動ピン131をシリンダ室21側に向うように付勢する付勢部材65が設けられている。作動ピン131にはキーシリンダ20に係合するロック部材132が取付けられている。このロック部材132はダイヤフラム64によって筒状部25A側に引っ張られる際、キーシリンダ20に係合してキーシリンダ20の回転を規制する。ロック部材132はダイヤフラム64によって引っ張られていない際は、キーシリンダ20の回転を許容するように構成されている。
【0047】
本実施形態の構成では、筒状部25Aは小径の筒状であり、負圧調整弁26が開くとダイヤフラム室64内に蒸発燃料の流速が発生し、この場合、ダイヤフラム64がベルヌーイの定理によって連通室25(筒状部25A)側に変位し、ロック部材132を引っ張る。これによって、ロック部材132が、ダイヤフラム室64内に流速が発生しているときにキーシリンダ20の回転を規制し、また、流速が発生しなくなった場合にキーシリンダ20の回転を許容することが可能となる。
【0048】
<第7の実施形態>
次に本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0049】
図14に示すように、本実施形態では第1の実施形態の基本構成を有する一方、ボディキャップ14の下部に、キーの回転操作に応じてキーシリンダ20の外径方向に進退するスライダ141が設けられている。スライダ141は伸長状態の際に燃料タンク2内部の所定部位に係合して給油キャップ4の開放を規制する。
【0050】
また、本実施形態では、ダイヤフラム室44にダイヤフラム45等が設けられておらず、これに代えて、スライダ141の下方に係止機構142が設けられている。係止機構142は、キーシリンダ20の軸線方向に進退可能な円板状のベース部(ピストン)143の周縁からスライダ141に係合される可動爪144を突設して構成されている。ベース部143は、外周を蛇腹状のシート部材145で覆われ燃料ランク2内部とは分離されるとともに、可動爪144を離間させる方向にスプリング146によって付勢されている。
【0051】
スライダ141には可動爪144が係合される係合孔147が形成されており、燃料タンク2の内圧が所定圧よりも高い場合には、ベース部143が上方にスプリング146の付勢力に抗して押され可動爪144が係合孔147に係合される。
【0052】
本実施形態では、負圧調整弁26が押圧片43に押されて開放し、その後燃料タンク2内部の圧力が下がった際、可動爪144が係合孔147から離脱し、給油キャップ4の開放が許容される。なお、図14において148が棒状のガイド部材を示し、ガイド部材148はベース部143をキーシリンダ20の軸線方向に案内する。本実施形態では、可動爪144が係合孔147に係合される構成としたが、このガイド部材148をキーシリンダ20に直接的に係合してキーシリンダ20の回転を規制するようにしてもよい。
【0053】
以上で、本発明の第1〜第7の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の圧抜き機構に対応する構成として、押圧片43,60、連係部材100,300を説明したが、例えば、給油キャップを覆うリッドに備えられたラッチ等を利用し、圧抜き機構を構成してもよい。また、上記実施形態では、ダイヤフラムを用いる構成を説明したが、これに代えてピストンを用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 蒸発燃料処理装置
2 燃料タンク
5 チャージ通路
6 蒸発燃料貯留器
8 パージ通路
20 キーシリンダ
25 連通室
26 負圧調整弁(開閉弁)
27 正圧調整弁(開閉弁)
43,61 押圧片(圧抜き機構)
47 係止ピン
100,300 連係部材(圧抜き機構)
131 作動ピン
141 スライダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内部で発生した蒸発燃料を燃料タンク外部に導く車両の蒸発燃料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、密閉式燃料タンクを備えた車両の蒸発燃料処理装置においてタンク内圧が高いときの給油時に給油口から蒸発燃料又は燃料がタンク外に流出するのを防ぐために、電子制御でタンク内圧を制御するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−156496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に係るシステムは、比較的大型の四輪車両等では好適に用いることができるが、スペースが少なく廉価が求められ、また給油口の開閉をキー操作で直接行なう自動二輪車等では適用し難い点がある。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造で蒸発燃料が大気に流出することを抑制し、小型車両に好適に用い得る車両の蒸発燃料処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、燃料を貯留する燃料タンク(2)と、前記燃料タンク(2)の給油口(3)に取付けられ、キーシリンダ(20)に挿し込まれたキー(49)の操作によって前記給油口(3)から開閉自在となる給油キャップ(4)と、吸着剤によって蒸発燃料を吸着して貯留する蒸発燃料貯留器(6)と、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させるチャージ通路(5)と、前記蒸発燃料貯留器(6)と内燃機関の吸気系(7)とを連通させるパージ通路(8)と、を備える車両の蒸発燃料処理装置において、前記給油キャップ(4)には、前記チャージ通路(5)と前記燃料タンク(2)内部とを連通させる連通室(25)が設けられ、該連通室(25)には、前記燃料タンク(2)の内圧が所定圧になったときに開き、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させる開閉弁が設けられ、前記給油キャップ(4)には、該給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作に連動して前記開閉弁を開放する圧抜き機構(43,61,100,300)が設けられるとともに、前記燃料タンク(2)の内圧に応じて進退し前記給油キャップ(4)開放動作を許容又は禁止する係止機構(47,131)が設けられ、前記係止機構(47,131)は、前記燃料タンク(2)内の圧力を検知する圧力判定機構を備え、前記圧抜き機構(43,61,100,300)による圧抜き後、前記燃料タンク(2)内の圧力が所定圧になった際に、前記圧力判定機構が前記係止機構(47,131)の係止状態を解除し、前記給油キャップ(4)の開放動作を許容するように構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記係止機構(47,131)は、前記キーシリンダ(20)の回転、又は、前記キーシリンダ(20)の回転に伴って変位して前記給油キャップ(4)を前記燃料タンク(2)側に係止するスライダ(141)の作動を許容又は禁止することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記圧力判定機構は、前記燃料タンク(2)内と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記燃料タンク(2)内外の差圧により作動する圧力感知部材とを備え、前記係止機構は、前記圧力感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記圧力感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合され前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止する係止ピンと、前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材とから構成され、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは前記付勢部材により前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、前記圧力判定機構は、前記開閉弁が設けられる前記連通室(25)の前記燃料タンク(2)内部側と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記開閉弁開時に前記開閉弁を流れる蒸発燃料の流速を感知し作動する流速感知部材とを備え、前記係止機構(47)は、前記流速感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、前記流速感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合される作動ピンと、前記作動ピンに取り付けられ前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するロック部材と、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材から構成され、前記連通室は小径の筒状に形成し、前記開閉弁が開き前記連通路内に蒸発燃料の流速が発生しているときは前記ダイヤフラム又はピストンが前記連通室(25)側に変位し、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、蒸発燃料の流速が発生していない状態になったときは前記付勢部材により前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)のロックを解除するように構成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込による押し込み操作であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込後の回転による回転操作であることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込孔を覆うキーカバーの開閉操作であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、前記係止機構(47)は、前記給油キャップ(4)に設けられ、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合する可動爪であり、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記可動爪が、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは付勢部材により、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構造で給油キャップを開放する事前の予備動作に連動して燃料タンクの内圧を下げ、タンク内圧が下がってからキーシリンダの回転を許容するようにすることができ、蒸発燃料又は液体燃料が大気に流出してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの上面図である。
【図4】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップに設けられた正圧調整弁の周辺部位の断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の操作方法を説明する図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図9】第4の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップにおけるキーシリンダ及び押圧片の斜視図である。
【図10】第4の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の操作方法を説明する図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図12】第5の実施形態に係る蒸発燃料処理装置の操作方法を説明する図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る蒸発燃料処理装置に係る給油キャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で用いる図面においてUPは上方を示し、FRは前方を示すものとし、説明の便宜上、下記実施形態ではこれらの方向を基準に説明を行うものとする。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は自動二輪車用の燃料タンクに適用された第1の実施形態に係る蒸発燃料処理装置1の概略構成を示しており、この蒸発燃料処理装置1は、燃料タンク2と、燃料タンク2の給油口3に開閉可能に取り付けられた給油キャップ4と、燃料タンク2を貫通して給油キャップ4に接続するチャージ配管5と、燃料タンク2外部でチャージ配管5に接続する蒸発燃料貯留器6と、蒸発燃料貯留器6と吸気系7とを連通させるパージ配管8とを備え、蒸発燃料貯留器6には大気を吸入するドレン管6Aが設けられている。
【0011】
図2に示すように燃料タンク2には、上部外壁から屈曲して凹んだ断面視で凹状の座部9が形成され、給油口3は平面視(上面視)で円形を呈し、座部9の略中央領域に形成されている。チャージ配管5は、給油キャップ4を介して燃料タンク2内部に連通し、蒸発燃料貯留器6に燃料タンク2内部で生じた蒸発燃料を送る。蒸発燃料貯留器6は内部に吸着剤を有し、チャージ配管5から送給された蒸発燃料を吸着させて貯留する。
【0012】
給油キャップ4は、座部9に固定される円環状の外枠部10と外枠部10の内側に配置されたキャップ本体11とを備えており、外枠部10には複数の座ぐり孔12が形成されている。給油キャップ4は外枠部10の座ぐり孔12にボルトを挿通されて座部9に固定されている。キャップ本体11は外枠部10にヒンジ13によって連結され、図中回転矢印A方向に開閉可能とされている。
【0013】
キャップ本体11の下面には円筒状のボディキャップ14が設けられ、ボディキャップ14は上端縁にフランジ部15を一体に有し、フランジ部15に貫通される複数のネジ15Aによってキャップ本体11の下面に固定されている。ボディキャップ14には給油口3の内周面に圧接される樹脂材料からなるシール材18Aが嵌め込まれている。また、シール材18Aの内周側においてボディキャップ14にはガイドキャップ16が嵌め込まれている。ガイドキャップ16はボディキャップ14のフランジ部15の内周側に一端を当接したスプリング17によって下方に付勢されている。
【0014】
ガイドキャップ16は上端部を外周方向に屈曲させ、この屈曲部をボディキャップ14のフランジ部15の外周側から垂下するシール材18Aに当接させることで位置規制される。なお、図中18Bはシール材18Aを固定する固定部材を示している。
【0015】
キャップ本体11の上部には、図中回転矢印B方向に開閉するキーカバー19がヒンジ19Aによって連結され、キーカバー19はキーシリンダ20を外部に露出させる。キーシリンダ20はボディキャップ14内に形成されたシリンダ室21に収容され、その鍵穴を上方に臨ませる。キーシリンダ20は下部側でシリンダ室21に設けられた樹脂材料からなるマウント部材23に当接し、挿し込まれたキーの挿し込みによってマウント部材23の圧縮分だけ押し込み可能になっている。
【0016】
キーシリンダ20は、キーを挿し込まれて下方に変位され回転されることで、キャップ本体11のロック状態を解除する。具体的には、キーシリンダ20にはキーの回転に応じてキーシリンダ20の径方向に進退する図示しない係止片(スライダ)が設けられており、この係止片を燃料タンク2に設けられた図示しない制止部に係止することでキャップ本体11の開放を規制する構成になっている。
【0017】
ボディキャップ14のシリンダ室21の側方には、シリンダ室21に平行に延出する連通室25が形成され、この連通室25の下端部は燃料タンク2内部に開口し、蒸発燃料を通過可能な例えばメッシュ状のフィルタ部材24で覆われている。また連通室25の上端部はキャップ本体11の下面で閉塞されている。
【0018】
図3を参照し、連通室25はボディキャップ14に穿設されるように形成された隣接した一対の筒状部25A,25Bからなり、筒状部25Aには負圧調整弁26が設けられ、筒状部25Bには正圧調整弁27が設けられている。負圧調整弁26及び正圧調整弁27によって連通室25は、下方の燃料タンク2内部側と上方の燃料タンク2外部側とに分離されている。負圧調整弁26は、燃料タンク2内部側から所定の付勢力で付勢され、燃料タンク2の内圧が所定圧以下になったときに開き、正圧調整弁27は、燃料タンク2外部側から所定の付勢力で付勢され、燃料タンク2の内圧が所定圧以上になったときに開く。ここで、負圧調整弁26及び正圧調整弁27は、キーシリンダ20に対しヒンジ13と反対側に配置されている。
【0019】
図2に示すように負圧調整弁26は、筒状部25Aの内周面から内径方向に突出して形成された孔部28Aを有する弁座28と、弁座28の孔部28Aに嵌合挿通される軸部29及び軸部29の下端に結合されて弁座28に燃料タンク2の内側から当接する傘部30を有する弁体31と、フィルタ部材24に一端を当接するとともに他端を弁体31の傘部30に当接して付勢するスプリング32とで構成されている。スプリング32はフィルタ部材24と弁体31との間に縮めて設けられており、弁体31に所定の付勢力を付与している。
【0020】
一方、図4に示すように正圧調整弁27は、筒状部25Bの内周面から内径方向に突出して形成された孔部33Aを有する弁座33と、弁座33の孔部33Aに挿通される軸部34及び軸部34の上端に結合されて弁座33に燃料タンク2外側から当接する傘部35を有する弁体36と、キャップ本体11の下面に一端を当接し、他端を弁体36の傘部35に当接して付勢するスプリング37とで構成され、軸部34は図4に示すように正圧調整弁27の閉塞時に弁座33から下方に突出している。スプリング37はキャップ本体11と弁体36との間に縮めて設けられており、弁体36に所定の付勢力を付与している。
【0021】
弁座33の下部には下方に向かうほど孔部33Aの内径を拡径する(大きくする)傾斜部38が一体に形成されており、筒状部25Bにおいて弁座33の下方には、弁座33とフィルタ部材24との間で遊動自在な球体のロールオーバーバルブ50が収容されている。ロールオーバーバルブ50は、その径(直径)が筒状部25Bの径に対して蒸発燃料を通過可能な程度にわずかに小さく設定されており、燃料タンク2が所定角度以上傾いたときに浸入してきた燃料にも押され正圧調整弁27の軸部29を押し上げ弁座33(傾斜部38)を閉塞して燃料の流出を防ぐ。ここでロールオーバーバルブ50が傾斜部38に当接することで両者の密着性が向上する。
【0022】
図2を参照し、筒状部25A,25Bの上端部はキャップ本体11の下面で閉塞される一方、負圧調整弁26及び正圧調整弁27によって燃料タンク2内側と分離された筒状部25A,25Bの上部側空間は互いに連通し、筒状部25Aの上部内周面からはフランジ部15の径方向に延出するキャップ内チャージ通路39が形成されている。キャップ内チャージ通路39は、フランジ部15の内部を貫通し、キャップ本体11と座部9との間に形成される空間において下方に開口している。
【0023】
キャップ内チャージ通路39の下方に向いた開口には円筒状の円筒弾性部材40が給油キャップ4閉時に気密に結合されている。円筒弾性部材40の下端部は、キャップ本体11の閉じた状態で座部9に密接し、座部9に形成された連通開口41を覆う。連通開口41は座部9から燃料タンク2内部に貫通する孔であり、燃料タンク2の内部に配されたチャージ配管5に気密に接続されている。これにより、燃料タンク2内部から蒸発燃料貯留器6までの経路が形成される。
【0024】
また、図2に示すようにボディキャップ14にはシリンダ室21上部と筒状部25A上部とを連通させる貫通孔42が設けられており、貫通孔42には押圧片43が挿通されている。また、ボディキャップ14には、シリンダ室21下部と連通室25下部とを連通させるダイヤフラム室44が形成されている。
【0025】
貫通孔42は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2外部側に開口し、押圧片43は、一端をキーシリンダ20に固定するとともに、他端を連通室25内に臨ませて負圧調整弁26の弁体31の軸部29上端に当接させるように配置されている。この押圧片43は、キーシリンダ20の下方への移動に連動して下方に変位することで、弁体31を下方に押し下げ負圧調整弁26を強制的に開放させる。なお、貫通孔42には押圧片43を貫通させるとともに貫通孔42と押圧片43の隙間を埋めるシール43Aが設けられる。
【0026】
一方、ダイヤフラム室44は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2内部側からキーシリンダ20側に凹むように形成され、シリンダ室21に貫通する連通路44Aを有してシリンダ室21に連通する。ダイヤフラム室44内にはダイヤフラム45が設けられ、ダイヤフラム45を挟んでダイヤフラム室44のシリンダ室21側は燃料タンク2内部から気相分離されている。
【0027】
連通路44Aの延長上においてシリンダ室21内のキーシリンダ20の外周面には凹状の係合溝46が形成され、ダイヤフラム45には係合溝46に係合可能な係合ピン47が結合されている。ダイヤフラム室44内の連通路44A側には、燃料タンク2の内圧に抗して係合ピン47を係合溝46に係合させない方向にダイヤフラム45を付勢する付勢部材48が収容されている。これにより、係合ピン47は、燃料タンク2の内圧が高い場合にダイヤフラム45が付勢部材48を圧縮することで係合溝46に係合しキーシリンダ20の回転を規制する。また燃料タンク2の内圧が大気と平準化された場合に係合ピン47は、ダイヤフラム45が付勢部材48に付勢されることで係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転を許容する。
【0028】
以上の構成の蒸発燃料処理装置1では、燃料タンク2の内圧が所定圧以下になり負圧調整弁26が開放した場合には、燃料タンク2とチャージ配管5とが給油キャップ4を経由して連通するので、チャージ配管5を介して蒸発燃料貯留器6から大気を燃料タンク2へ送ることが可能となる。また、燃料タンク2の内圧が所定圧以上になった場合には、正圧調整弁27が開放することで燃料タンク2とチャージ配管5とが給油キャップ4を経由して連通するので、燃料タンク2内に生じた蒸発燃料をチャージ配管5を介して蒸発燃料貯留器6へ送ることが可能となる。
【0029】
また、図5を参照し、キーシリンダ20に挿し込んだキー49によってキーシリンダ20を押し下げた場合には、押圧片43が負圧調整弁26の弁体31を押し下げ、負圧調整弁26が開放される。このように負圧調整弁26が開放されると、図中矢印に参照されるように、燃料タンク2内の内圧が、筒状部25A、キャップ内チャージ通路39、円筒弾性部材40、及びチャージ配管5を経由して蒸発燃料貯留器6側に抜ける。そして燃料タンク2の内圧が下がると、係合ピン47が図中矢印方向に移動し係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転が許容され、給油キャップ4を開くことが可能となる。なお、上記スライダは図示省略したがキーシリンダ20の回転が許容されることでスライダは間接的に作動を許容される。
【0030】
以上に記載した本実施形態に係る蒸発燃料処理装置1によれば、簡易な構造で給油キャップ4を開放する事前の予備動作に連動して燃料タンク2の内圧を下げ、タンク内圧が下がってからキーシリンダ20の回転を許容するようにすることができ、蒸発燃料又は液体燃料が大気に流出してしまうことを抑制できる。
【0031】
<第2の実施形態>
次に本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0032】
図6に示すように本実施形態では、ボディキャップ14においてシリンダ室21と筒状部25Aとの間に貫通孔60が設けられ、貫通孔60は負圧調整弁26(弁座28)によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2内部側に開口する。貫通孔60に挿通された押圧片61は、一端をキーシリンダ20に固定するとともに、他端を筒状部25A内に臨ませて弁体31の傘部30に上方から当接する。押圧片61の当該他端は弁座28と弁体31の傘部30に挟み込まれ、この状態で気密性が保持され、押圧片61はキーシリンダ20の下方への移動に連動して下方に変位する。この実施形態の構成では、ボディキャップ14のシリンダ室21の軸方向長さの短縮化を図れる。
【0033】
<第3の実施形態>
次に本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態ではダイヤフラム45の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0034】
図7に示すように本実施形態では、ボディキャップ14に、第1の実施形態と同様にキーシリンダ20と筒状部25Aに跨るダイヤフラム室64が形成されている。ダイヤフラム室64は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2内部側からキーシリンダ20側に凹むように形成され、シリンダ室21に貫通する連通路64Aを有してシリンダ室21に連通する。ダイヤフラム室64内の燃料タンク2側には、連通路44A側の気圧に抗して係合ピン47を係合溝46に係合させる方向にダイヤフラム45を付勢する付勢部材65が設けられている。付勢部材65はダイヤフラム室64の燃料タンク2側の縁部に形成された凸片66に一端を支持されている。
【0035】
本実施形態に係る構成では、燃料タンク2の内圧が高い場合に、ダイヤフラム45がタンク内圧を受けるとともに、付勢部材48に付勢されて、係合ピン47が係合溝46に係合し、キーシリンダ20の回転を規制する。そして、燃料タンク2の内圧が低くなり、連通路44A側の気圧を下回った場合に、ダイヤフラム45が付勢部材48の付勢力に抗して変位して、係合ピン47と係合溝46との係合が解除させることで、キーシリンダ20の回転が許容される。
【0036】
<第4の実施形態>
次に本発明の第4の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0037】
本実施形態では、図8に示すようにシリンダ室21上部と筒状部25A上部とを連通させるボディキャップ14に形成された貫通孔42に、連係部材100が挿通されている。貫通孔42は、負圧調整弁26によって仕切られる筒状部25Aの燃料タンク2外部側に開口し、連係部材100は、一端をキーシリンダ20に係合するとともに、他端を連通室25内に臨ませて負圧調整弁26の弁体31の軸部29上端に当接させるように配置されている。この連係部材100は、キーシリンダ20の回転操作に連動して下方に変位することで、弁体31を下方に押し下げ負圧調整弁26を強制的に開放させる。
【0038】
図9は、キーシリンダ20及び連係部材100の構造を示している。キーシリンダ20には斜めに延在する溝101が形成されており、溝101に連係部材100の一端が係合している。図9(a)に示すようにキー49をキーシリンダ20に挿し込み、キーシリンダ20を図中回転矢印の方向に回転させることで、図9(b)に示すように連係部材100が溝101に沿って下方に変位する。これにより弁体31が押し下げられる。
【0039】
本実施形態においてキーシリンダ20に挿し込んだキー49を回転させることによって連係部材100を押し下げた場合には、図10に示すように、連係部材100が負圧調整弁26の弁体31を押し下げ、負圧調整弁26が開放される。このように負圧調整弁26が開放されると、燃料タンク2内の内圧が、筒状部25A、キャップ内チャージ通路39、円筒弾性部材40、及びチャージ配管5を経由して蒸発燃料貯留器6側に抜ける。そして、内圧が抜けて燃料タンク2の内圧が下がると、係合ピン47が図中矢印方向に移動し係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転が許容され、給油キャップ4を開くことが可能となる。
【0040】
<第5の実施形態>
次に本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0041】
本実施形態では図11に示すようにキャップ本体11の上部に、図中回転矢印B方向に開閉するキーカバー19がヒンジ19Aによって連結され、キーカバー19は上方に回転されることでキーシリンダ20を外部に露出させる。キーシリンダ20はボディキャップ14内に形成されたシリンダ室21に収容され、その鍵穴を上方に臨ませる。キーカバー19はヒンジ19Aに連結する基部19Bと基部19Bと一体に形成されキーシリンダ20のキー穴を覆うカバー本体19Cとで構成されている。
【0042】
連通室25の上端部は、キーカバー19の基部19Bの直下に設けられた可撓性の金属材からなる押圧板301及び樹脂材料からなる弾性シート302で構成される連係部材300によって気密性をもって覆われている。押圧板301及び弾性シート302は、キャップ本体11においてキーカバー19の基部19Bの下方で貫通する穴を閉塞するようにキャップ本体11に設けられている。
【0043】
負圧調整弁26の軸部29の上端は弾性シート302に当接しており、押圧板301及び弾性シート302の上方に位置するキーカバー19の基部19Bはカム形状を呈し、基部19Bは外径方向に突出する押圧部19Dを一体に有している。押圧部19Dのヒンジ19Aを中心とする回転軌跡上には押圧板301及び弾性シート302が位置しており、キーカバー19が開くと押圧部19Dは下方に変位して押圧板301及び弾性シート302を押圧する。このため、キーカバー19の開く動作に連動して負圧調整弁26は開放するようになっている。
【0044】
本実施形態ではキーカバー19を開いた場合、図12に示すように、キーカバー19の基部19B(押圧部19D)が連係部材300の押圧板301及び弾性シート302を押すことで負圧調整弁26の弁体31の軸部29を押し下げ、負圧調整弁26が開放される。このように負圧調整弁26が開放されると、燃料タンク2内の内圧が、筒状部25A、キャップ内チャージ通路39、円筒弾性部材40、及びチャージ配管5を経由して蒸発燃料貯留器6側に抜ける。そして、内圧が抜けて燃料タンク2の内圧が下がると、係合ピン47が図中矢印方向に移動し係合溝46との係合を解除し、キーシリンダ20の回転が許容され、給油キャップ4を開くことが可能となる。
【0045】
<第6の実施形態>
次に本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0046】
図13に示すように、本実施形態に係る蒸発燃料処理装置では、ボディキャップ14に、第3の実施形態と同様にキーシリンダ20と筒状部25Aに跨るダイヤフラム室64が形成されている。ダイヤフラム室64は、シリンダ室21に貫通する連通路64Aを有してシリンダ室21に連通し、ダイヤフラム室64には作動ピン131、及び作動ピン131をシリンダ室21側に向うように付勢する付勢部材65が設けられている。作動ピン131にはキーシリンダ20に係合するロック部材132が取付けられている。このロック部材132はダイヤフラム64によって筒状部25A側に引っ張られる際、キーシリンダ20に係合してキーシリンダ20の回転を規制する。ロック部材132はダイヤフラム64によって引っ張られていない際は、キーシリンダ20の回転を許容するように構成されている。
【0047】
本実施形態の構成では、筒状部25Aは小径の筒状であり、負圧調整弁26が開くとダイヤフラム室64内に蒸発燃料の流速が発生し、この場合、ダイヤフラム64がベルヌーイの定理によって連通室25(筒状部25A)側に変位し、ロック部材132を引っ張る。これによって、ロック部材132が、ダイヤフラム室64内に流速が発生しているときにキーシリンダ20の回転を規制し、また、流速が発生しなくなった場合にキーシリンダ20の回転を許容することが可能となる。
【0048】
<第7の実施形態>
次に本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態における第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し説明を省略する。
【0049】
図14に示すように、本実施形態では第1の実施形態の基本構成を有する一方、ボディキャップ14の下部に、キーの回転操作に応じてキーシリンダ20の外径方向に進退するスライダ141が設けられている。スライダ141は伸長状態の際に燃料タンク2内部の所定部位に係合して給油キャップ4の開放を規制する。
【0050】
また、本実施形態では、ダイヤフラム室44にダイヤフラム45等が設けられておらず、これに代えて、スライダ141の下方に係止機構142が設けられている。係止機構142は、キーシリンダ20の軸線方向に進退可能な円板状のベース部(ピストン)143の周縁からスライダ141に係合される可動爪144を突設して構成されている。ベース部143は、外周を蛇腹状のシート部材145で覆われ燃料ランク2内部とは分離されるとともに、可動爪144を離間させる方向にスプリング146によって付勢されている。
【0051】
スライダ141には可動爪144が係合される係合孔147が形成されており、燃料タンク2の内圧が所定圧よりも高い場合には、ベース部143が上方にスプリング146の付勢力に抗して押され可動爪144が係合孔147に係合される。
【0052】
本実施形態では、負圧調整弁26が押圧片43に押されて開放し、その後燃料タンク2内部の圧力が下がった際、可動爪144が係合孔147から離脱し、給油キャップ4の開放が許容される。なお、図14において148が棒状のガイド部材を示し、ガイド部材148はベース部143をキーシリンダ20の軸線方向に案内する。本実施形態では、可動爪144が係合孔147に係合される構成としたが、このガイド部材148をキーシリンダ20に直接的に係合してキーシリンダ20の回転を規制するようにしてもよい。
【0053】
以上で、本発明の第1〜第7の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の圧抜き機構に対応する構成として、押圧片43,60、連係部材100,300を説明したが、例えば、給油キャップを覆うリッドに備えられたラッチ等を利用し、圧抜き機構を構成してもよい。また、上記実施形態では、ダイヤフラムを用いる構成を説明したが、これに代えてピストンを用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 蒸発燃料処理装置
2 燃料タンク
5 チャージ通路
6 蒸発燃料貯留器
8 パージ通路
20 キーシリンダ
25 連通室
26 負圧調整弁(開閉弁)
27 正圧調整弁(開閉弁)
43,61 押圧片(圧抜き機構)
47 係止ピン
100,300 連係部材(圧抜き機構)
131 作動ピン
141 スライダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を貯留する燃料タンク(2)と、前記燃料タンク(2)の給油口(3)に取付けられ、キーシリンダ(20)に挿し込まれたキー(49)の操作によって前記給油口(3)から開閉自在となる給油キャップ(4)と、吸着剤によって蒸発燃料を吸着して貯留する蒸発燃料貯留器(6)と、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させるチャージ通路(5)と、前記蒸発燃料貯留器(6)と内燃機関の吸気系(7)とを連通させるパージ通路(8)と、を備える車両の蒸発燃料処理装置において、
前記給油キャップ(4)には、前記チャージ通路(5)と前記燃料タンク(2)内部とを連通させる連通室(25)が設けられ、
該連通室(25)には、前記燃料タンク(2)の内圧が所定圧になったときに開き、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させる開閉弁が設けられ、
前記給油キャップ(4)には、該給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作に連動して前記開閉弁を開放する圧抜き機構(43,61,100,300)が設けられるとともに、前記燃料タンク(2)の内圧に応じて進退し前記給油キャップ(4)開放動作を許容又は禁止する係止機構(47,131)が設けられ、
前記係止機構(47,131)は、前記燃料タンク(2)内の圧力を検知する圧力判定機構を備え、前記圧抜き機構(43,61,100,300)による圧抜き後、前記燃料タンク(2)内の圧力が所定圧になった際に、前記圧力判定機構が前記係止機構(47,131)の係止状態を解除し、前記給油キャップ(4)の開放動作を許容するように構成されていることを特徴とする車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記係止機構(47,131)は、前記キーシリンダ(20)の回転、又は、前記キーシリンダ(20)の回転に伴って変位して前記給油キャップ(4)を前記燃料タンク(2)側に係止するスライダ(141)の作動を許容又は禁止することを特徴とする請求項1記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記圧力判定機構は、前記燃料タンク(2)内と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記燃料タンク(2)内外の差圧により作動する圧力感知部材とを備え、前記係止機構は、前記圧力感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記圧力感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合され前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止する係止ピンと、前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材とから構成され、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは前記付勢部材により前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
前記圧力判定機構は、前記開閉弁が設けられる前記連通室(25)の前記燃料タンク(2)内部側と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記開閉弁開時に前記開閉弁を流れる蒸発燃料の流速を感知し作動する流速感知部材とを備え、前記係止機構(47)は、前記流速感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項6】
前記流速感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合される作動ピンと、前記作動ピンに取り付けられ前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するロック部材と、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材から構成され、
前記連通室は小径の筒状に形成し、前記開閉弁が開き前記連通路内に蒸発燃料の流速が発生しているときは前記ダイヤフラム又はピストンが前記連通室(25)側に変位し、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、蒸発燃料の流速が発生していない状態になったときは前記付勢部材により前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)のロックを解除するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項7】
前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込による押し込み操作であることを特徴とする請求項1〜6記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項8】
前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込後の回転による回転操作であることを特徴とする請求項1〜6記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項9】
前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込孔を覆うキーカバーの開閉操作であることを特徴とする請求項1〜6記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項10】
前記係止機構(47)は、前記給油キャップ(4)に設けられ、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合する可動爪であり、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記可動爪が、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは付勢部材により、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項1】
燃料を貯留する燃料タンク(2)と、前記燃料タンク(2)の給油口(3)に取付けられ、キーシリンダ(20)に挿し込まれたキー(49)の操作によって前記給油口(3)から開閉自在となる給油キャップ(4)と、吸着剤によって蒸発燃料を吸着して貯留する蒸発燃料貯留器(6)と、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させるチャージ通路(5)と、前記蒸発燃料貯留器(6)と内燃機関の吸気系(7)とを連通させるパージ通路(8)と、を備える車両の蒸発燃料処理装置において、
前記給油キャップ(4)には、前記チャージ通路(5)と前記燃料タンク(2)内部とを連通させる連通室(25)が設けられ、
該連通室(25)には、前記燃料タンク(2)の内圧が所定圧になったときに開き、前記燃料タンク(2)と前記蒸発燃料貯留器(6)とを連通させる開閉弁が設けられ、
前記給油キャップ(4)には、該給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作に連動して前記開閉弁を開放する圧抜き機構(43,61,100,300)が設けられるとともに、前記燃料タンク(2)の内圧に応じて進退し前記給油キャップ(4)開放動作を許容又は禁止する係止機構(47,131)が設けられ、
前記係止機構(47,131)は、前記燃料タンク(2)内の圧力を検知する圧力判定機構を備え、前記圧抜き機構(43,61,100,300)による圧抜き後、前記燃料タンク(2)内の圧力が所定圧になった際に、前記圧力判定機構が前記係止機構(47,131)の係止状態を解除し、前記給油キャップ(4)の開放動作を許容するように構成されていることを特徴とする車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項2】
前記係止機構(47,131)は、前記キーシリンダ(20)の回転、又は、前記キーシリンダ(20)の回転に伴って変位して前記給油キャップ(4)を前記燃料タンク(2)側に係止するスライダ(141)の作動を許容又は禁止することを特徴とする請求項1記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項3】
前記圧力判定機構は、前記燃料タンク(2)内と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記燃料タンク(2)内外の差圧により作動する圧力感知部材とを備え、前記係止機構は、前記圧力感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項4】
前記圧力感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合され前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止する係止ピンと、前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材とから構成され、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは前記付勢部材により前記係止ピンが前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項5】
前記圧力判定機構は、前記開閉弁が設けられる前記連通室(25)の前記燃料タンク(2)内部側と前記燃料タンク(2)外を連通する連通路と、前記連通路に設けた前記開閉弁開時に前記開閉弁を流れる蒸発燃料の流速を感知し作動する流速感知部材とを備え、前記係止機構(47)は、前記流速感知部材に連動して作動し、前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項6】
前記流速感知部材は、前記連通路内に設けたダイヤフラム又はピストンと、前記ダイヤフラム又はピストンに結合される作動ピンと、前記作動ピンに取り付けられ前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容又は禁止するロック部材と、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)の回転又は前記スライダ(141)の作動を許容するように前記ダイヤフラム又はピストンを付勢する付勢部材から構成され、
前記連通室は小径の筒状に形成し、前記開閉弁が開き前記連通路内に蒸発燃料の流速が発生しているときは前記ダイヤフラム又はピストンが前記連通室(25)側に変位し、前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、蒸発燃料の流速が発生していない状態になったときは前記付勢部材により前記ロック部材が前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)のロックを解除するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項7】
前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込による押し込み操作であることを特徴とする請求項1〜6記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項8】
前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込後の回転による回転操作であることを特徴とする請求項1〜6記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項9】
前記給油キャップ(4)を開放する事前の予備動作は、前記キーシリンダ(20)のキー差込孔を覆うキーカバーの開閉操作であることを特徴とする請求項1〜6記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【請求項10】
前記係止機構(47)は、前記給油キャップ(4)に設けられ、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合する可動爪であり、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以上のときは前記可動爪が、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)に係合し、前記燃料タンク(2)内圧力が所定圧以下になったときは付勢部材により、前記キーシリンダ(20)又は前記スライダ(141)から脱離するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の蒸発燃料処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−211539(P2012−211539A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77250(P2011−77250)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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