説明

車両エアバッグ用ガス発生器

本発明は、車両エアバッグ(12)用の火薬式ガス発生器(10)に関し、このガス発生器は、火薬と、燃焼室(14)内に配置され、迫りくる衝突状態を検出する第1検出システム(30)および/または実際の衝突状態を検出する第2検出システム(32)によって作動するようになされた火薬式点火装置(28)とを含む。本発明の火薬式ガス発生器は、さらに、上記燃焼室(14)と上記エアバッグ(12)との間のガス流路(16,18)と、第1流動断面を画定する第1の位置からこの第1流動断面よりも大きい第2流動断面を画定する第2の位置へ、またはその逆に移動するようになされた少なくとも1つの弁(34)とを含む。詳細には、弁(34)は、火薬式点火装置(28)が第1検出システム(30)によって作動した場合に大きい方の流動断面を画定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエアバッグを膨張させるために使用される、火薬を含む火薬式ガス発生器に関する。より詳細には、本発明は、2つの動作速度を有しており衝撃前の指令または衝撃時の指令によってトリガされるよう構成された、火薬式ガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
この20年にわたって、自動車業界では、衝突の際に車両の乗員を保護するための数々のエアバッグシステムが開発されてきた。このようなエアバッグは、通常、火薬式ガス発生器により供給される高温のガスによって展開される。衝突の際、エアバッグは迅速に展開しなければならず、衝撃後十分な時間にわたって膨張した状態を維持しなければならない。したがって、火薬式ガス発生器は、数十ミリ秒程度の極めて短時間で動作するように設計されている。
【0003】
現在、多くの車両にエアバッグ型の安全システムが装備されており、その多くは、車両が障害となる物体に実際に接触した瞬間、すなわち実際の衝突時にトリガされるものである。
【0004】
このトリガは、車両の構成体(保護体、側部部品)に取り付けられ電子制御部に事故を知らせる働きをする複数の加速度計を利用して行われる。電子制御部は、確認とフィードバックを行った後、エアバッグの火薬式システムに電気的トリガ信号を送信する。
【0005】
安全システムはこれを受けて極めて短時間で展開する必要があり、必然的にエアバッグは急激に(約30ミリ秒から40ミリ秒の間に約50リットルから100リットル)膨張する。これにより、乗員は、車両内で適切に位置していない場合、有害な影響を受ける可能性がある。
【0006】
近年、非接触型検出器(ビデオカメラ、または、赤外線センサもしくはマイクロ波センサ等)に基づく新規な検出システムによって、衝突を予測することが可能になっている。このような衝突システムは、コンピュータによる信号処理と連動することで、衝突が間もなく起こることを信頼性の高い方法で判断可能にしている。現在の技術水準では、このような検出システムは、誤作動の危険性を伴わずに、衝突の約100ミリ秒前に安全システムを作動させることができるとされている。上述の従来のシステムで可能であったより早い時点で各種の安全システム、とりわけ一または複数のエアバッグをトリガできるようにすることで、これらの新規の検出システムは、約150ミリ秒というより長い時間にわたってエアバッグを膨張可能にし、これにより、エアバッグが急激に動作することが抑制され、衝撃時に車両内で適切に位置していない乗員に対する危険を軽減することができる。
【0007】
しかしながら、迫りくる衝突を検出するこのような新規のシステムはまだ十分に完成されていないため、自動車メーカー各社は現在、検出の種類に応じて異なる動作が可能な、すなわち、実際の衝突が検出された場合には従来通りエアバッグを高速(たとえば約30ミリ秒から40ミリ秒以内)で膨張させ、迫りくる衝突が検出された場合には「低速」で膨張させる(この場合、膨張の持続時間は120ミリ秒から150ミリ秒前後)、デュアル火薬式システムが利用可能になることを望んでいる。
【0008】
検出の種類と各種センサから送信された情報に基づいて、電子制御ユニットが適切な動作モードを選択する。
【0009】
車両エアバッグ内の圧力を制御するための技術的解決手段はすでに提案されている。たとえば、米国特許第5234229号および欧州特許第1661766号は、ガスの進路がエアバッグから逸れるように開孔を制御可能な火薬式ガス発生器を備えるエアバッグに関する。このようなシステムでは、燃焼室からの「漏出」が所望の動作モードに応じて調整される。これには、衝突の検出の時点に応じて火薬式ガス発生器自体を制御することは含まれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、検出システムが迫りくる衝突を検出したか、実際の衝突を検出したかに応じて、自動車両のエアバッグを膨張させる速度を変えることができる火薬式ガス発生器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
より詳細には、本発明は、
燃焼室に配置され、迫りくる衝突状態を検出する第1検出システムおよび/または実際の衝突状態を検出する第2検出システムによって作動するようになされた火薬式点火装置と、
前記燃焼室と車両エアバッグとの間のガス流路と、
第1流動断面を画定する第1の位置から前記第1流動断面よりも大きい第2流動断面を画定する第2の位置へ、またはその逆に移動するようになされており、前記火薬式点火装置が前記第1検出システムによって作動した場合大きい方の前記第2流動断面を画定するように構成された、少なくとも1つの弁とを備えることを特徴とする、火薬を含む、車両エアバッグ用火薬式ガス発生器を提供する。
【0012】
ガス発生器の燃焼室から流出するガスの流量が増大すると、車両エアバッグの膨張の速度が速くなる。ガスの流量は燃焼室内の圧力に応じて変動し、この圧力は、燃焼室からエアバッグの内部に至るガス流路の面積と、火薬の燃焼表面積とに応じて変化するものである。本発明は、燃焼室から流出するガスの流量を調整するために、移動可能な弁を用いて燃焼室からエアバッグ内部に至るガス流動部の断面を変更することを提案する。すなわち、衝突検出の種類(予測かそうでないか)に応じて、エアバッグを「低速で」膨張可能にする第1流動断面とエアバッグを「高速で」膨張可能にする第2流動断面のいずれかを画定することが可能である。迫りくる衝突を検出するシステムによって衝突が検出された場合、ガス発生器は、指令に基づき衝撃がくる前にトリガされ、衝突の予測により活用できる余剰時間を利用して、従来の検出システムと比較して「低速で」かつ緩やかに膨張が行われるように、ガス流動断面が調整される。つまりこの弁は、迫りくる衝突状態を検出するシステムによって火薬式点火装置が作動させられると大きい方の流動断面を画定するように、構成されている。一方、検出システムによって検出された衝突が実際の衝突である場合は、衝撃の最中および衝撃後に車両の乗員を保護可能な速い速度でエアバッグが膨張するよう、ガス流動断面が調整される。つまりこの弁は、実際の衝突を検出するシステムによって火薬式点火装置が作動させられると小さい方の流動断面を画定するように、構成されている。
【0013】
本発明の火薬式ガス発生器に組み込まれた火薬は、衝突検出の種類(予測かそうでないか)に応じて、「低速」での燃焼または「高速」での燃焼に対応する必要がある。仏国特許出願公開第2915746号には、このような2つの動作モードに対応する火薬組成物が記載されている。
【0014】
前記ガス流路は、たとえば前記燃焼室に形成された少なくとも2つのオリフィスによって構成され、前記弁は、前記少なくとも2つのオリフィスのうち少なくとも1つを閉塞するようになされてよい。
【0015】
たとえば、前記弁は、火薬式作動用点火装置によって点火される火薬により放出されるガスの作用により、第1の位置から第2の位置へ、またはその逆に移動してよい。
【0016】
一例として、前記弁は、直線経路に沿って移動するようになされた摺動部であってよい。また、前記弁は、前記燃焼室の前記オリフィスの少なくとも1つと位置合わせして配置されるようになされた少なくとも1つの開口と、少なくとも1つのガイド傾斜部とを有する回転可能な摺動部で、前記回転可能な摺動部は、前記火薬式作動用点火装置によって点火される火薬により放出されるガスにより作動し前記ガイド傾斜部と協働するピストンの作用により、移動するようになされてよい。前記弁は、ニードル弁の形をとってもよい。
【0017】
本発明の別の実施形態では、前記弁が、初期状態では圧縮されており減速閾値到達時点で起動される慣性装置により解放されるバネで、付勢されている。
【0018】
さらに別の実施形態では、前記弁が、初期状態では圧縮されており電気回路に接続された温度ヒューズにより解放されるバネで、付勢されている。
【0019】
さらに別の実施形態では、前記弁が、初期状態では圧縮されており電磁トリガにより解放されるバネで、付勢されている。
【0020】
また本発明は、車両エアバッグと、前記車両エアバッグが連結される上記に記載の火薬式ガス発生器との組み合わせを提供する。
【0021】
また本発明は、上記に記載の火薬式ガス発生器と、迫りくる衝突状態を検出する第1検出システムと、実際の衝突状態を検出する第2検出システムとを備える、車両エアバッグを膨張させる安全システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1Aおよび図1Bは、本発明のガス発生器の第1実施形態を示す。
【図2】図2Aから図2Cは、本発明のガス発生器の第2実施形態を示す。
【図3】図3Aおよび図3Bは、本発明のガス発生器の第3実施形態を示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、本発明のガス発生器の第4実施形態を示す。
【図5】図5Aおよび図5Bは、本発明のガス発生器の第5実施形態を示す。
【図6】図6Aおよび図6Bは、本発明のガス発生器の第6実施形態を示す。
【図7】図7Aおよび図7Bは、本発明のガス発生器の第8実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
限定を意図しない例として提示する実施形態についての以下の詳細な説明を読むことにより、本発明はよりよく理解され、その利点がより明らかになる。以下の説明では、添付の図面を参照する。
【0024】
図1Aおよび図1Bに、車両エアバッグ12を膨張させるための火薬式ガス発生器10を示す。ガス発生器10は、ガス流路を構成する複数のオリフィス16および18を介してエアバッグ12の内部と連通する燃焼室14を備える。
【0025】
以下の説明において、ガス発生器10の軸方向外側の方向は、エアバッグ12が、燃焼室14から到来するガスの作用により膨張するときの膨張の方向と定義する(この方向を図1Aに矢印Dで示す)。一方、軸方向内側の方向は、このガス発生器が取り付けられている構造体(たとえばダッシュボード)に向かう方向と定義する。
【0026】
同様に、エアバッグの「高速」膨張および「低速」膨張は以下のように定義する。エアバッグ12の膨張が、迫りくる衝突が検出されたことを受けて開始される場合、その膨張を「低速」とする。この検出の時点では、衝撃はまだ発生していない。したがって、衝突を予測することによって活用できる余剰時間を最大限に利用して、膨張はより緩やかに行われる。これに対し、実際の衝突が検出されてからエアバッグの膨張が開始される場合、その膨張が高速であるとする。
【0027】
図示の実施形態では、燃焼室14は軸Aを中心とした環状である。エアバッグ12に対向する、燃焼室14の軸方向外側端壁20は、中央部分22と、それを取り囲む周辺部分24とを備える。この中央部分22は、燃焼室14の軸Aに直交する平面を画定し、周辺部分24よりもガス発生器10の内側方向に若干後退するように配置されている。図示の実施形態では、軸方向外側端壁20の周辺部分と中央部分とは、互いに平行である。一変形例として、燃焼室の端壁20の周辺部分24は、中央部分22からガス発生器10の外側方向に張り出す、略円錐形の形状を呈することも可能である。
【0028】
図1Aおよび図1Bに示すガス発生器には、直径方向に対向する2つのオリフィス18が周辺部分24に設けられ、1のオリフィス16が中央部分22に形成されている。一変形例では、燃焼室14の軸方向外側端壁20の周辺部分24に、複数のオリフィスを周方向に分散配置することもできる。また、燃焼室14の中央部分22に複数のオリフィスが分散配置されるように構成することもできる。
【0029】
燃焼室14は、たとえば塊状固体推進剤または小球状装填物である火薬26を収容する。火薬26は、燃焼室14内に配置された火薬式点火装置28の作用によって点火されるようになされている。
【0030】
図1Aに示すように、火薬式点火装置28は、2つの衝突検出システム30および32に接続されており、これら2つのシステムのうち先に動作した方のシステムによってトリガされるようになされている。以下の説明では、第1検出システム30がビデオカメラまたは赤外線センサ型の非接触型検出器によって迫りくる衝突を検出するよう機能し、第2検出システム32が実際の衝突を検出するよう機能することとする。一例として、複数の加速度計(図示せず)を車両の構造体に設けてもよい。これらの加速度計が電子制御部に衝突を報知し、電子制御部がトリガ用電子信号28を火薬式点火装置に送信する。
【0031】
図1Aに示すように、ガス発生器10は、燃焼室14内に配置されその内部を直線状の経路に沿って、詳細には軸Aに沿って移動するようになされた少なくとも1つの弁型摺動部(valve−forming slider)34を含む。この移動のために、摺動部34は、高さh1が燃焼室14の高さh2よりも低く燃焼室14の周壁38に沿って摺動するようになされたスカート36を備える。摺動部34のスカート36は、その軸方向内側端部に、摺動部34の内側に向かって90度曲げられた環状縁部40を含む。図1Aに示すように、この環状縁部40は、燃焼室14の軸方向内側端壁44に形成された相補的形状の環状溝部42に受容されるようになされている。
【0032】
上記の構成によって、摺動部34は、火薬26の周囲において、燃焼室14の軸方向内側端壁44に当接する図1Aに示す第1の位置と、燃焼室14の軸方向外側端壁20の中央部分に接近して当接し、それによりこの中央部分22に設けられたオリフィス16を閉塞する、図1Bに示す第2の位置との間を移動可能である。燃焼室14内の摺動部34の位置がいずれであっても、火薬26から摺動部34の外側へ、その後エアバッグ12の内部に向かって進むガスの流れは、摺動部34の軸方向外側壁部46に設けられた複数の開口48を介して行われる。有利には、これらの開口48は、燃焼室14の軸方向外側端壁20の周辺部分24の複数のオリフィス18に対向して配置される。以下の説明を読めば、これらの開口48は、中央部分22と位置合わせして配置すべきではないことが理解できよう。摺動部34が第1の位置にあるときは、燃焼室14の軸方向外側端壁20のオリフィス16および18が共同で第1流動断面を形成する。摺動部34が第2の位置にあるときは、第1流動断面よりも小さい第2流動断面が、燃焼室14の軸方向外側端壁20の周辺部分24に形成されたオリフィス18のみによって画定される。
【0033】
塊状固体推進剤または小球状装填物からのガスの質量流量は、燃焼室14内の圧力Pが増大するにつれて増加する。ここで、圧力Pは、塊状固体推進剤または小球状装填物の燃焼表面積に対する、ガス排出オリフィス16および18の面積の割合に応じて変化するものである。燃焼室14内に所与の塊状固体推進剤が配置された場合、ガス流動断面が小さいと、燃焼室14内の圧力Pが大きくなるため、エアバッグ12に向かうガスの流量は増大する。したがって、摺動部34が第1の位置にある場合よりも、安全摺動部34が第2の位置にある場合の方が、エアバッグ12は速く膨張する。
【0034】
図1Aは、初期状態の火薬式ガス発生器10を示す。摺動部34が第1の位置にあり、燃焼室14とエアバッグ12の間のガス流動断面が最大である。
【0035】
上述のように、火薬式点火装置28は、第1検出システム30および第2検出システム32の両方に接続されている。最初に動作するのが第1検出システム30である場合、すなわち、迫りくる衝突が予測方式で検出された場合、火薬式点火装置28は衝撃前に火薬26に点火し、それにより発生して燃焼室14のオリフィス16および18から流出するガスの作用により、エアバッグ12は「低速で」膨張する。
【0036】
ここで、第1検出システム30が動作しなかった場合を検討する。より信頼性の高い第2検出システム32が衝撃時に衝突を検出し、火薬26を点火する火薬式点火装置28を即座に作動させる。このとき、ガス発生器10が図1Aの初期状態のままであれば、燃焼室14から流出するガスの流量が少なすぎ、エアバッグ12を時間内に十分に膨張させることができない。エアバッグ12は十分に膨張せず、車両の乗員を衝撃の破壊力から保護できない。
【0037】
したがって、本発明のガス発生器10では、実際の衝突が第2検出システム32によって検出された場合には、弁型摺動部34を第1の位置(図1A)から第2の位置(図1B)に移動可能にしている。このため、第2検出システム32に接続され、これにより単独で作動するようになされた火薬式作動用点火装置50が、燃焼室14内に配置されている。火薬式作動用点火装置50が作動すると、燃焼室14の環状溝部42および摺動部34の環状縁部40により形成される空間にガスが放出される。ガスは、環状縁部40に力を加えて、摺動部34を第1の位置から第2の位置に向けて移動させる。この第2の位置では、初期状態では燃焼室の全オリフィス16および18が共同で構成していたガス流動断面が(中央部分22のオリフィス16の断面の分だけ)縮小し、その結果、燃焼室14から流出するガスの流量が増大する。このように、実際の衝突が検出された場合は、ガス発生器10は確実にエアバッグ12を「高速で」膨張させて車両の乗員を保護する。
【0038】
第1検出システム30が先に正常に動作したとしても火薬式作動用点火装置50が第2検出システム32によってトリガされるように構成することもできる。この場合、エアバッグ12の膨張が2段階で、すなわち、第2検出システム32が動作するまでは「低速で」、動作後は高速で行われる。
【0039】
図2Aから図2Cは、本発明の第2実施形態のガス発生器を示す。以下の説明では、第1実施形態と共通の要素には同じ参照符号を付することとする。
【0040】
第2実施形態では、燃焼室14は、軸方向外側端壁20に直径方向に分散配置された4つのオリフィス18,18’を有する。当然ながら、本発明の別の実施形態では、燃焼室はこれ以外の数のオリフィスを、他の配置態様で有することができる。
【0041】
燃焼室14の内部には、弁型摺動部54が、軸Aに沿って延在する軸56を中心に回転するように取り付けられている。
【0042】
摺動部54を回転させるために、ガス発生器10は火薬式作動用点火装置66を含む。衝突検出器から送信されるトリガ信号を受けて、火薬式作動用点火装置66は、ピストン70が移動するよう働くガスを放出する火薬を点火するようになされている。図2Cに示すように、ピストン70は、回転可能な摺動部54のガイド傾斜部72に対向して位置している。したがって、火薬式作動用点火装置66がトリガされると、ピストンが摺動部54のガイド傾斜部72を押圧し、摺動部54を燃焼室14内で回転させる。
【0043】
摺動部54は、その軸方向外側端部に、燃焼室14の軸方向外側端壁20に当接する環状縁部58を含む。さらに摺動部54の端壁60は、燃焼室14の軸方向内側端壁44に当接する。摺動部54の端壁60に1の開口62が設けられ、火薬式点火装置28と、燃焼室14の内部に配置され摺動部54に囲まれた火薬26との間の接続部となっていることが分かる。
【0044】
摺動部54の環状縁部58は2つの開口64を有し、そのそれぞれが、燃焼室14のオリフィス18と位置合わせできるようになされている。環状縁部58の径方向長さL1は、径方向に関して燃焼室14の中心側に配置された2つのオリフィス18’を環状縁部58が覆わないように設定される。
【0045】
このように、燃焼室の複数のオリフィス18および摺動部54の複数の開口64は、摺動部54が燃焼室14内で第1角度位置にあるときに燃焼室14とエアバッグ12との間に第1ガス流動断面が画定されるように配列されている。ここで説明する例では、この第1ガス流動断面は、燃焼室14の全オリフィス18,18’の断面の合計に等しい。径方向に関して中心側に配置された2つのオリフィス18’は、環状縁部58と接触していないため、開放状態である。径方向に関して燃焼室14の中心から離れて配置された残りの2つのオリフィス18は、摺動部54の複数の開口64とそれぞれ連通しているため、ガスが流動可能である。
【0046】
回転可能な摺動部54は、燃焼室14内を角度的に移動することにより、上述のように画定された第1ガス流動断面よりも小さい第2ガス流動断面が画定される第2の位置を取ることができる。摺動部54が第2の位置にあるとき、摺動部54の環状縁部58と位置合わせして配置された燃焼室14の2つのオリフィス18は、この環状縁部58によって閉塞されるが、残りの2つのオリフィス18’は、依然として燃焼室14からエアバッグ12内部へのガスの移動を可能にしている。
【0047】
図2Aは、初期状態のガス発生器10を示す。摺動部54は第1角度位置にあり、ガス流動断面は最大である。第1実施形態と同様に、火薬式点火装置が衝突検出システム30および32の両方に接続されており、火薬式作動用点火装置66が第2検出システム32だけに接続されている。第1検出システム30が迫りくる衝突を検出すると、火薬式点火装置28がトリガされ、これにより火薬26が点火される。ガス流動断面は最大のままであり、エアバッグ12は「低速で」膨張する。
【0048】
第2検出システム32が動作すると、それにより火薬式点火装置28および火薬式作動用点火装置66の両方が作動する。次いで、火薬式作動用点火装置66が、ピストン室76にガスを放出する火薬に点火する。摺動部54のガイド傾斜部72に対向して配置されたピストンは、火薬によって放出されたガスの作用により、軸方向Aの外側方向に移動する。ピストン70は、ガイド傾斜部72を介して摺動部54に回転運動をさせる。その結果ガス流動断面が縮小し、それにより燃焼室14内の圧力が増大し、ガス送出流量が増加して、エアバッグ12の膨張の速度が速くなる。すなわち、「高速で」膨張する。
【0049】
図3Aおよび図3Bは、火薬式本発明のガス発生器の第3実施形態を示す。上述の2つの実施形態と同様に、火薬式ガス発生器10は、第1検出システム30および第2検出システム32に接続されこれら2つの検出システム30および32のうち先に動作した方のシステムによってトリガされるようになされた火薬式点火装置28を含む。
【0050】
図3Aに示すように、燃焼室14は、図1Aおよび図1Bを参照して説明した第1実施形態と同様に、2つの排出オリフィス18が形成された周辺部分24と、1のガス排出オリフィス16が形成された中央部分22とを有する、軸方向外側端壁20を含む。当然ながら、本発明の別の実施形態では、燃焼室はこれ以外の数の排出オリフィスを他の配置態様で有することができる。
【0051】
第2検出システムに接続された火薬式作動用点火装置80が、燃焼室14の外側端壁20の中央部分22に形成されたオリフィス16に対向して設けられており、その上には終端が弁型ニードル(valve−forming needle)84となっている円筒形のロッド82が載置されている。この円筒形のロッドは、燃焼室14内に設けられた円筒形のガイド軸受面86内を摺動するようになされている。火薬式作動用点火装置80は、装填物に点火することで円筒形のロッド82の内部にガスを放出させる。放出されたガスの作用により、このロッドはガイド軸受面86内を軸方向Aに、すなわちガス発生器10の外側方向に摺動し、その結果、ニードル84が燃焼室14のオリフィス16を閉塞する。
【0052】
上述の2つの実施形態と同様に、ガス発生器10は、初期状態では、ガスが燃焼室14の全オリフィス16および18を通じてエアバッグ12に向かって流動し、これらの全オリフィスが共同で第1ガス流動断面を画定するように、構成されている。第1ガス流動断面は、第2検出システム32が作動した場合には縮小される。この作動は、第1検出システム30が正常に動作しなかった場合、または、第1検出システム30がすでにエアバッグ12の「低速」膨張をトリガしていたとしても衝撃時に第2検出システム32が動作するようにガス発生器10が設計されている場合に、行われ得る。後者の場合、膨張は、衝撃の前の「低速」段階と、それに続く、衝撃後の「高速」段階との2段階で行われる。
【0053】
図4Aおよび図4Bは、本発明の第4実施形態を示す。
【0054】
図4Aに示すように、ガス発生器10は、中央部分22に形成されたオリフィス16を閉塞するよう燃焼室14の外側端壁20の外側面に当接するようになされた弁90を含む。一変形例では、弁90は、燃焼室14に設けられた他のオリフィスを閉塞するよう設計することができる。
【0055】
弁90は、その中央部が、燃焼室14のオリフィス16を貫通するピストンロッド92に接続されている。このロッド92は、ガス発生器の燃焼室内に設けられてピストン室98を形成する環状ハウジング96内を摺動するようになされたピストン94に、接続されている。
【0056】
ガス発生器は、本実施形態では第1検出システム30によってトリガされるようになされ、かつ、ピストンを軸方向Aに移動させるためにピストン室98内にガスを放出すべく火薬に点火するように設計された、火薬式作動用点火装置100を含む。
【0057】
ガス発生器の動作は、上述の複数の実施形態とは逆になる。
【0058】
弁90は、初期状態では、燃焼室14の中央部分22のオリフィス16を閉塞してエアバッグの「高速」膨張に適した制限されたガス流動断面を画定する位置にある。
【0059】
上述のように、火薬式点火装置28は2つの検出システム30および32に接続されており、火薬式作動用点火装置100は、迫りくる衝突を検出する第1検出システム30だけに接続されている。
【0060】
第1検出システム30は、迫りくる衝突を検出すると、火薬式点火装置28および火薬式作動用点火装置100の両方を同時にトリガする。火薬式点火装置28は、燃焼室14に配置された火薬26の燃焼を開始させ、これによりエアバッグ12の膨張がトリガされる。同時に、火薬式作動用点火装置100は、ピストン室98に配置された火薬に点火し、それにより、ピストン94を移動させて、ガス発生器10の外側方向、すなわち矢印Dで示す方向に弁90を移動させる。したがって、中央部分22に形成されたオリフィス16が開放され、燃焼室14の排出ガス流動断面が拡大する。このようにして、予測方式で衝突が検出された際にエアバッグ12の「低速」膨張を行うことができる。
【0061】
第1検出システム30が動作しなかった場合、第2検出システム32が火薬式点火装置28を作動させるが、弁90はオリフィス16を閉塞する初期位置のままであるため、エアバッグの「高速」膨張が確実に行われる。
【0062】
図5Aおよび図5Bは、本発明のガス発生器10の第5実施形態を示す。
【0063】
第4実施形態と同様に、ガス発生器10は、初期設定ではエアバッグ12が「高速」膨張するようガス流動断面が調整されるように構成されている。
【0064】
図5Aは、初期状態のガス発生器10を示す。1のオリフィス102が、燃焼室14の軸方向外側端壁20に形成されている。初期状態では、このオリフィス102は、燃焼室の軸Aに直交する軸Bを中心にヒンジにより回動するようになされた弁108によって、一部閉塞されている。このヒンジは、単に、燃焼室の軸方向外側端壁に形成された切り欠きによって構成されてよく、燃焼室14内に放出されたガスに対してある程度の抵抗力を弁に付与するものである。
【0065】
ガス発生器10はさらに、第1の衝突検出システム30および第2の衝突検出システム32に接続されこれら2つのシステムのうち先に動作した方のシステムによって作動するようになされた火薬式点火装置28を備える。
【0066】
また、ガス発生器10は、第1検出システム30に接続された火薬式作動用点火装置104を有し、その上には、燃焼室14の軸方向外側端壁20の弁108へ続く円筒形チムニー106が載置されている。図5Aに示すように、この弁の幅L2は、円筒形チムニー106の直径D1よりも大きい。
【0067】
弁108は、火薬式作動用点火装置104により点火される火薬によって円筒形チムニー106内に放出されるガスの作用により、軸Bを中心にガス発生器10の外側方向に回動するようになされている。弁108は円筒形チムニー106より幅が広いため、燃焼室14から流出するガスの流動断面が拡大する。
【0068】
弁108のヒンジが単に燃焼室14の軸方向外側端壁20に形成された切り欠きにすぎないという上記構成では、弁108に付与された抵抗力は、火薬式作動用点火装置104がトリガされることによりチムニー106内に放出されるガスの作用だけで持ち上がるほどのものである。
【0069】
第1検出システム30は、衝突が間もなく起こることを検出すると、火薬式点火装置28および火薬式作動用点火装置104を共に作動させ、まずエアバッグ12の膨張を開始し、次いで、円筒形チムニー106内に放出されたガスの作用により弁108を回動させてガス流動断面を拡大する。このようにして燃焼室14内の圧力が低下し、ガスの排出流量が減少し、エアバッグ12が「低速で」膨張する。
【0070】
第1検出システム30が動作しなかった場合、第2検出システム32は、火薬式点火装置28だけを作動させ、これによりガスを放出し、ガスはオリフィス102からエアバッグに向かって流出するが、このとき流動断面は最小である。したがって、エアバッグは「高速で」膨張する。
【0071】
図6Aおよび図6Bは、本発明の第6実施形態を示す。
【0072】
本実施形態では、燃焼室14の中央部分22に設けられたガス流動オリフィス16は、初期状態では、燃焼室14の軸方向外側端壁20の外側面に当接する弁110によって閉塞されている。弁110は、燃焼室14を貫通するロッド112に接続され、燃焼室の外にあるロッド112の弁と反対側の終端は、アンカーハウジング116が形成されたヘッド114となっている。図6Aおよび図6Bに示す例では、アンカーハウジング116は、周方向の溝部の形をとる。
【0073】
ヘッド114の内側端面120と、この内側端面120に対向する、ガス発生器10の壁部122とに当接する圧縮バネ118によって、弁110は、軸方向Aに関しガス発生器10の外側方向に付勢される。
【0074】
ガス発生器10が初期状態であるとき、図6Aに示すように、燃焼室のオリフィス16は、弁110により閉塞されている。弁110は、これを外側方向に付勢するバネ118の戻り力に反して、弁110のロッド112に対して直角に延在し初期状態ではヘッド114のアンカーハウジング116に受容されているアンカーロッド124によって、この位置に保持されている。
【0075】
このアンカーロッド124は、ガス発生器10内に設けられた固定支持体127に貫挿されている。また、アンカーロッド124は、戻りバネ126と協働する当接部125を含み、戻りバネ126は、固定支持体127および当接部125に当接して、ヘッド114のアンカーハウジング116内にアンカーロッド124を付勢する。
【0076】
アンカーロッド124は、たとえば軟鉄などの磁化可能な材料から作製される。図6Aに示すように、アンカーロッド124には、迫りくる衝突を検出するよう働く第1検出システム30に接続された電磁コイル130が巻回されている。
【0077】
電磁コイル130は、電気パルスの作用により、バネ126の戻り力に反してアンカーロッドを径方向外側に移動させることができる。
【0078】
アンカーロッド124およびアンカーハウジング116により形成される機構が、電磁トリガを構成する。
【0079】
ガス発生器10は、以下のように動作する。初期状態では、弁110が燃焼室のオリフィス16を閉塞している。この状態では、ガス流動断面は、軸方向外側端壁20の周辺部分24に形成された複数のオリフィス18の断面の合計に等しい。この状態のガス発生器10は、エアバッグ12が「高速」膨張することが必要である、実際の衝突が検出された場合に適合している。
【0080】
電磁コイル130は、迫りくる衝突を検出するようになされた第1検出システム30に接続された定電流源から供給を受けている。第1検出システム30が動作すると、火薬26の燃焼を開始するために火薬式点火装置28がトリガされ、同時に、電気パルスが電磁コイル130に伝達される。電磁コイル130は、磁化されて、アンカーロッド124を図6B中矢印Fで示す径方向に移動させる。径方向に移動すると、アンカーロッド124はアンカーハウジング116から係合解除され、それにより弁110が解放されて、バネ118の推進力を受けてガス発生器10の軸方向外側に向かって軸A方向に移動する。ロッド112のストロークは、燃焼室14の軸方向内側端壁44に接近して当接するヘッド114によって制限される。このとき、弁110が燃焼室14のオリフィス16から離隔してガス流動断面が拡大しており、その結果、エアバッグ12は「低速」膨張することができる。
【0081】
図4Aから図6Bに対応する上述の3つの実施形態では、一旦ガス発生器10がエアバッグ12の「低速」膨張用に展開されると、その後に、第2検出システムが動作したことを受けてエアバッグを高速膨張させることができないことが理解されよう。これらの3つの実施形態では、第1検出システム30が適切に動作した場合、エアバッグの膨張が「低速」でのみ行われ得る。
【0082】
上述の第6実施形態に類似した第7実施形態では、第6実施形態の電磁トリガが、電気回路に接続された温度ヒューズに置換されている。この温度ヒューズによって、図6Aおよび図6Bのロッドと同様に、ヘッド114のアンカーハウジング116への挿入を通じて弁110のロッド112が退避位置に保持されている。差し迫る衝撃が検出されると、第1検出システムが電気パルスを電気回路に伝送し、それにより、温度ヒューズが高温になり溶解して、弁110のロッド112が解放される。弁110は、初期状態では圧縮していたバネ118によって付勢されているので、ガス発生器10の外側に向かって即座に展開し、燃焼室14のオリフィス16を開放する。
【0083】
図7Aおよび図7Bは、本発明のガス発生器の第8実施形態を示す。
【0084】
図7Aおよび図7Bに示す第8実施形態では、ガス発生器は、燃焼室14の軸方向外側端壁20に形成された1のオリフィス16を閉塞するようになされた弁130を含む。この弁は、アンカーハウジング136が形成されたヘッド134が終端をなすロッド132によって伸張されている。上述の第6実施形態と同様に、ヘッド134の内側端面140と、この内側端面140に対向するガス発生器10の支持壁142とに当接する、初期状態では圧縮されたバネ138によって、弁130は、ガス発生器10の外側方向に付勢されている。
【0085】
図7Aに示すように、この例の弁130は、ニードルの形をとる。
【0086】
弁130は、静止状態では、燃焼室14のオリフィス16が開放されている位置に保持されている。この位置では、ガス発生器10は、燃焼室14から流出するガスの流動断面が最大であるので、エアバッグの「低速」膨張に適合している。
【0087】
弁130は、一端が弁130のロッド134のアンカーハウジング136に挿入されたアンカーロッド144によって、適切な位置に保持されている。アンカーロッド144の終端は、錘146となっており、錘146は、ガス発生器10の壁部142に形成された凹部150内に位置する球体148によって支持されている。これらの要素は、減速閾値に達すると起動される慣性装置(inertial device)を構成する。
【0088】
衝撃の際には、車両の急激な減速による慣性力の作用により、球体148は、収容されていた凹部150から追い出される。ロッド144に連結された錘146の作用により、このロッドは回動軸Jを中心に回動し、それによりその端部152が、ロッド132のヘッド134に設けられたアンカーハウジング136から解放される。
【0089】
弁130は、圧縮バネ138によって軸方向Aに関してガス発生器の外側方向に付勢されているため、オリフィス16を閉塞するまで燃焼室内部を移動する。閉塞された状態では、ガス流動断面が縮小して燃焼室内の圧力が増大し、その結果、ガスの排出流量が増加してエアバッグの膨張が高速で行われる。
【0090】
図示のように、火薬式点火装置28は2つの検出システム30および32に接続されている。第1検出システム30が動作すると、第1段階では膨張は「低速」で開始されてよい。その後、衝突が起こると、慣性装置が弁130を解放し、膨張が速度を速めて継続される。第1検出システム30が動作しなかった場合、第2検出システム32は、衝撃時に火薬式点火装置28をトリガすることになり、慣性装置は、エアバッグが十分高速で膨張するようにガス発生器を調整するよう働く。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】

【図6A】

【図6B】

【図7A】

【図7B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室(14)に配置され、迫りくる衝突状態を検出する第1検出システム(30)および/または実際の衝突状態を検出する第2検出システム(32)によって作動するようになされた火薬式点火装置(28)と、
前記燃焼室(14)と車両エアバッグ(12)との間のガス流路(16,18,18’,102)と、
第1流動断面を画定する第1の位置から前記第1流動断面よりも大きい第2流動断面を画定する第2の位置へ、またはその逆に移動するようになされており、前記火薬式点火装置(28)が前記第1検出システム(30)によって作動した場合、大きい方の前記第2流動断面を画定するように構成された、少なくとも1つの弁(34,54,84,90,108,110,130)とを備えることを特徴とする、火薬を含む、前記車両エアバッグ(12)用の火薬式ガス発生器(10)。
【請求項2】
前記ガス流路(16,18,18’,102)が、前記燃焼室(14)に形成された少なくとも2つのオリフィスによって構成され、前記弁(34,54,84,90,108,110,130)が、前記オリフィスのうち少なくとも1つを閉塞するようになされている、請求項1に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項3】
前記弁(34,54,84,90,108)が、火薬式作動用点火装置(50,66,80,100,104)によって点火される火薬により放出されるガスの作用により移動するようになされている、請求項1または2に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項4】
前記弁(34)が、直線経路に沿って移動するようになされた摺動部である、請求項1から3のいずれか1項に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項5】
前記弁(54)が、前記燃焼室(14)の前記オリフィス(18)の少なくとも1つと位置合わせして配置されるようになされた少なくとも1つの開口(64)と、少なくとも1つのガイド傾斜部(72)とを有する、回転可能な摺動部であり、前記回転可能な摺動部(54)が、前記火薬式作動用点火装置(66)で点火される火薬により放出されるガスによって作動し前記ガイド傾斜部(72)と協働する、ピストン(70)の作用により移動するようになされている、請求項1から3のいずれか1項に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項6】
前記弁(84,130)がニードル弁の形をとる、請求項1から3のいずれか1項に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項7】
前記弁(130)が、初期状態では圧縮されており減速閾値到達時点で起動される慣性装置(146,148)により解放されるバネ(138)で付勢されている、請求項1または2に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項8】
前記弁が、初期状態では圧縮されており電気回路に接続された温度ヒューズにより解放されるバネで付勢されている、請求項1または2に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項9】
前記弁(110)が、初期状態では圧縮されており電磁トリガ(116,124)により解放されるバネ(118)で付勢されている、請求項1または2に記載の火薬式ガス発生器。
【請求項10】
車両エアバッグ(12)と、前記車両エアバッグ(12)が取り付けられる請求項1から9のいずれか1項に記載の火薬式ガス発生器(10)との組み合わせ。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか1項に記載の火薬式ガス発生器(10)と、
迫りくる衝突状態を検出する第1検出システム(30)と、
実際の衝突状態を検出する第2検出システム(32)とを備えることを特徴とする、車両エアバッグを膨張させる安全システム。

【公表番号】特表2012−521921(P2012−521921A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501363(P2012−501363)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050558
【国際公開番号】WO2010/109153
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(506100082)エスエムウー (24)
【氏名又は名称原語表記】SME
【住所又は居所原語表記】2,boulevard du General Martial,Valin 75015 Paris,FRANCE
【Fターム(参考)】