説明

車両ドア開閉装置

【課題】車両の安全走行及び確実な全閉が維持された状態の効果を向上させることが可能な車両ドア開閉装置を提供する。
【解決手段】本発明の車両ドア開閉装置は、フォーク9がハーフラッチ位置にあることをロータリースイッチ41が検出することにより、作動機構30を駆動してフォーク9をフルラッチ位置に揺動させる。フォーク9を揺動可能に支持する揺動軸7周りには、フォーク9より小径であり、フォーク9と一体に揺動可能な作動ギヤ9fが設けられている。ロータリスイッチ41は、ベースプレート1とバックプレート3との間でバックプレート3に固定され、揺動軸芯7aと平行な回動軸42を回転可能に有するスイッチ本体41aと、回動軸42に固定され、作動ギヤ9fと噛み合う受動ギヤ44とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ドアを車体に対して施錠及び開錠可能であるとともに、車両ドアを半閉状態から全閉状態とすることが可能な従来の車両ドア開閉装置が知られている。この車両ドア開閉装置では、ベースプレートとバックプレートとが間隔を有して対向しており、ベースプレートにはストライカが進入する進入口が形成されている。ベースプレートとバックプレートとの間には揺動軸が揺動可能に設けられており、揺動軸にはベースプレートの進入口内においてストライカを係止するフォークが一体に設けられている。また、ベースプレートにはフォークの揺動を固定又は開放可能なポールも設けられている。
【0003】
特許文献1に開示されている車両ドア開閉装置では、フォーク及びポールを作動可能なピニオンギヤ、セクターギヤ、クローズレバー等の作動機構が設けられているとともに、フォークの揺動位置を検出するスイッチも設けられている。また、この車両ドア開閉装置では、クローズレバーを駆動してフォークをフルラッチ位置に揺動させたり、オープンレバーを駆動してフォークをアンラッチ位置に揺動させたりするモータも設けられている。
【0004】
この車両ドア開閉装置では、使用者が開放状態にある車両ドアの閉操作を行うことにより、進入口内に進入したストライカとフォークとが当接する。これにより、フォークは揺動してストライカを係止するフルラッチ位置となり、車両ドアが全閉状態となる。フルラッチ位置のフォークはポールによって固定され、全閉が維持された状態となる。
【0005】
一方、使用者が全閉状態にある車両ドアの開操作を行うことにより、ポールはフォークを開放し、フルラッチ位置にあったフォークが揺動される。これにより、フォークは、ストライカを進入口から開放するアンラッチ位置となり、車両ドアは使用者によって全開状態となり得る。
【0006】
また、この車両ドア開閉装置では、車両ドアがウェザーストリップ等の抵抗力によって半閉状態にあれば、フォークがハーフラッチ位置にあることをスイッチが検出し、モータはスイッチの検出信号に基づいて作動機構を駆動し、フォークをフルラッチ位置に揺動させる。このため、車両ドアが半閉状態から全閉状態となる。フルラッチ位置のフォークはポールによって固定され、全閉が維持された状態となる。
【0007】
こうして、この車両ドア開閉装置では、車両ドアを車体に対して施錠及び開錠可能であるとともに、車両ドアが半閉状態であることを防止し、車両の安全走行及び確実な全閉が維持された状態を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−250162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のような安全走行及び確実な全閉が維持された状態の効果をより向上させたいという要求がある。このため、上記従来のような車両ドア開閉装置において、スイッチをロータリースイッチとし、フォークの揺動位置を正確に検出させることが考えられる。
【0010】
しかし、その場合、フォークの揺動軸上にロータリースイッチを配置するのでは、フォークの揺動位置をロータリースイッチに正確に検出させることが難しくなるおそれがあり、現状以上に車両の安全走行及び確実な全閉が維持された状態の効果を向上させることが困難となる。
【0011】
すなわち、車両ドアを開閉操作する際、フォークは、ストライカの反力等によって揺動軸の中心である揺動軸芯に対して不可避的に傾く。この一方、フォークの揺動軸上にロータリースイッチを配置すると、フォークとロータリースイッチとが軸方向に離れることとなる。このため、フォークとロータリースイッチとの間にコンタクトピンを介在せざるを得ず、フォークが傾斜した際にフォークは自己の揺動位置を正確にロータリースイッチに伝達し難く、フォークの揺動位置がロータリースイッチによって正確に把握され難くなってしまう。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、車両の安全走行及び確実な全閉が維持された状態の効果を向上させることが可能な車両ドア開閉装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の車両ドア開閉装置は、ストライカが進入する進入口が形成されたベースプレートと、
前記ベースプレートと間隔を有して対向するバックプレートと、
前記ベースプレートと前記バックプレートとの間で揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、前記進入口内において前記ストライカを係止するフルラッチ位置、前記ストライカを前記進入口から開放するアンラッチ位置、又は前記アンラッチ位置と前記フルラッチ位置との間で前記ストライカが前記進入口から出ることを規制するハーフラッチ位置に切り替わるフォークと、
前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
前記フォーク及び前記ポールを作動可能な作動機構と、
前記フォークの前記揺動位置を検出するスイッチとを備える車両ドア開閉装置であって、
前記スイッチはロータリースイッチであり、
前記揺動軸芯周りには、前記フォークより小径であり、前記フォークと一体に揺動可能な作動ギヤが設けられ、
前記ロータリスイッチは、前記ベースプレートと前記バックプレートとの間で固定され、前記揺動軸芯と平行な回動軸を回転可能に有するスイッチ本体と、前記回動軸に固定され、前記作動ギヤと噛み合う受動ギヤとを有することを特徴とする(請求項1)。
【0014】
本発明の車両ドア開閉装置では、ロータリースイッチのスイッチ本体がフォークの揺動軸とは別の回動軸を有している。このため、車両ドアを開閉操作する際、フォークが不可避的に傾いたとしても、フォークの傾斜がロータリースイッチの回動軸には伝わらない。また、作動ギヤはフォークと一体に揺動可能であるため、フォークの揺動位置は作動ギヤが正確に表している。そして、揺動軸の中心である揺動軸芯と回動軸の中心とは平行であり、作動ギヤが受動ギヤと噛合しているため、作動ギヤの揺動位置が受動ギヤに正確に伝わる。作動ギヤがフォークとともに傾いても、その傾きは作動ギヤと同一面内で揺動する受動ギヤに影響を及ぼさない。そして、受動ギヤは回動軸に固定されているため、受動ギヤの揺動位置が回動軸に伝わり、回動軸の揺動位置がスイッチ本体に伝わる。このため、フォークの揺動位置がロータリースイッチによって正確に伝達される。
【0015】
したがって、本発明の車両ドア開閉装置によれば、車両の安全走行及び確実な全閉が維持された状態の効果を向上させることが可能である。
【0016】
また、この車両ドア開閉装置では、作動ギヤと受動ギヤとが同一面で作動することにより、揺動軸芯に対するフォークのガタ付きを吸収することもできるため、車両ドア開閉装置の製造も容易となる。
【0017】
作動ギヤはフォークの一面に一体に設けられていることが好ましい(請求項2)。この場合、フォークと作動ギヤとの間で位相差がなくなり、フォークの揺動位置がロータリースイッチによってより確実に正確に把握されることとなる。
【0018】
作動ギヤ及び受動ギヤは平歯車であることが好ましい(請求項3)。この場合には、例え、フォークが揺動軸芯に対して傾いたとしても、作動ギヤ及び受動ギヤは位相差を生じることなく噛み合う状態を維持することができる。このため、ロータリースイッチにおけるフォークの揺動位置の検出精度の低下を確実性高く抑制できる。
【0019】
作動ギヤ及び受動ギヤはギヤ比が1:1であることが好ましい(請求項4)。この場合には、フォークの揺動角度とロータリースイッチの回転角度とが等しくなるため、ロータリースイッチの検出信号の扱いが容易となる。
【0020】
作動ギヤ及び受動ギヤの一方は、作動ギヤ及び受動ギヤの他方の構成材料よりも軟質の材料により構成されていることが好ましい(請求項5)。この場合には、作動ギヤと受動ギヤとを接近させてバックラッシを小さくしても、作動ギヤ及び受動ギヤが好適な噛み合い状態を維持することができる。このため、この車両ドア開閉装置では、フォークの揺動位置が好適にロータリースイッチに伝達されることとなる。
【0021】
フォークは、ストライカと係合する金属部と、金属部を覆うようにインサート成形される樹脂部とからなり得る。そして、作動ギヤは樹脂部に一体成形されていることが好ましい(請求項6)。この場合には、フォークと作動ギヤとが精度良く一体化可能となる。これらのため、車両ドア開閉装置の製造コストの削減が可能となる。
【0022】
作動ギヤはフォークの揺動角度分だけ設けられていることが好ましい(請求項7)。この場合には、作動ギヤは、ロータリースイッチにフォークの揺動位置を伝達するために必要な部分以外が形成されなくなる。このため、作動ギヤから不要な部分を省いて小型化することができるため、車両ドア開閉装置の製造コストを削減することも可能となる。受動ギヤも同様にフォークの揺動角度分だけ設けられていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例の車両ドア開閉装置の斜視図である。
【図2】実施例の車両ドア開閉装置の正面図である。
【図3】実施例の車両ドア開閉装置に係り、図2のIII−III矢視断面の一部を示す断面図である。
【図4】実施例の車両ドア開閉装置に係り、フォーク、ポール及び作動機構の模式構造図である。
【図5】実施例の車両ドア開閉装置に係り、図2のV−V矢視断面を示し、フォークがアンラッチ位置にある状態の断面図である。
【図6】実施例の車両ドア開閉装置に係り、図2のV−V矢視断面を示し、フォークがハーフラッチ位置にある状態の断面図である。
【図7】実施例の車両ドア開閉装置に係り、図2のV−V矢視断面を示し、フォークがフルラッチ位置にある状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例)
実施例の車両ドア開閉装置は、ワンボックス型の車両のバックドアに取り付けられる。この車両ドア開閉装置は、図1〜3に示すように、横方向から見てL字状に屈曲されたベースプレート1を有している。ベースプレート1の下端で水平に延びる部分の上方にはバックプレート3が間隔を有して対向している。
【0026】
ベースプレート1の下端で水平に延びる部分には、図5〜7に示すように、ストライカ5が進入する進入口1aが形成されている。ストライカ5は車体に固定されている。図3に示すように、ベースプレート1には軸孔1bが貫設され、バックプレート3には軸孔1bと同軸の軸孔3bが貫設され、軸孔1b、3bには揺動軸7が揺動可能に設けられている。揺動軸7の中心が揺動軸芯7aである。揺動軸7のベースプレート1側にはフォーク9が一体に設けられている。揺動軸7には、図4〜7に示すように、平面視でフォーク9を左回りに付勢するねじりコイルばね11が巻かれている。
【0027】
フォーク9は、金属部9aと、金属部9aを覆うようにインサート成形された樹脂部9bとからなる。フォーク9には、ストライカ5(図5〜7参照)を揺動軸芯7aに近づけるU字溝9cが形成されており、U字溝9c内では金属部9aが剥き出しになっている。また、フォーク9には、U字溝9cの隣にフルラッチ用凹部9dが形成され、フルラッチ用凹部9dの隣にハーフラッチ用凹部9eが形成されている。フォーク9を平面視した場合、U字溝9c、フルラッチ用凹部9d及びハーフラッチ用凹部9eは、揺動軸芯7a周りに右周りに順次存在している。フルラッチ用凹部9dでは金属部9aが剥き出しになっているが、ハーフラッチ用凹部9eでは金属部9aが樹脂部9bに覆われている。
【0028】
また、ベースプレート1とバックプレート3との間には、揺動軸7と同様に揺動軸13が揺動可能に設けられている。揺動軸13のベースプレート1側にはポール15が一体に設けられている。揺動軸7には、平面視でポール15を右回りに付勢する図示しないねじりコイルばねが巻かれている。
【0029】
ポール15も、金属部15aと、金属部15aを覆うようにインサート成形された樹脂部15bとからなる。ポール15には、フォーク9のフルラッチ用凹部9d又はハーフラッチ用凹部9eと係合する凸部15cが形成されており、凸部15cは金属部15aが剥き出しになっている。
【0030】
また、この車両ドア開閉装置では、図1及び図2に示すように、ピニオンギヤ17、セクターギヤ19、オープンレバー21、クローズレバー23等からなる作動機構30が設けられている。図4に示すように、ピニオンギヤ17はアクチュエータとしてのモータ25により正転又は反転で回転駆動するように構成されている。セクターギヤ19は、ピニオンギヤ17と噛み合っており、ピニオンギヤ17の正転によりフォーク9が平面視で右回転するようにクローズレバー23を作動し、ピニオンギヤ17の反転によりポール15が平面視で左回転するようにオープンレバー21を作動するように構成されている。
【0031】
また、この車両ドア開閉装置では、図3〜7に示すように、揺動軸7周りのフォーク9の一面に作動ギヤ9fが設けられている。作動ギヤ9fは、フォーク9より小径であり、樹脂部9bに一体に成形されている。
【0032】
一方、バックプレート3にはロータリースイッチ41が固定されている。ロータリスイッチ41は、ベースプレート1とバックプレート3との間でバックプレート3に固定されたスイッチ本体41aを有している。スイッチ本体41aは、揺動軸芯7aと平行な回動軸42を回転可能に有している。回動軸42の中心が回動軸芯42aである。回動軸42には作動ギヤ9fと噛み合う受動ギヤ44が固定されている。図3に示すように、スイッチ本体41aは3個の端子41b〜41dを有しており、ロータリースイッチ41は、回動軸42の回動により、フォーク9がアンラッチ位置とハーフラッチ位置との間にあるか、ハーフラッチ位置とフルラッチ位置との間にあるかという検出信号を端子41b〜41dから送信可能に構成されている。
【0033】
作動ギヤ9f及び受動ギヤ44は平歯車である。また、作動ギヤ9f及び受動ギヤ44はギヤ比が1:1である。受動ギヤ44は硬質樹脂製であるため、樹脂部9bによって成形された作動ギヤ9fは受動ギヤ44よりも軟質である。図4〜7に示すように、作動ギヤ9f及び受動ギヤ44はフォーク9の揺動角度分だけ設けられている。
【0034】
また、この車両ドア開閉装置には、図1及び図2に示すように、マイクロスイッチ43が設けられている。マイクロスイッチ43はセクターギヤ19とオープンレバー21とが所定位置にあるときに検出信号を送出する。
【0035】
モータ25はコネクタ45と接続されており、コネクタ45はリード線47によってコネクタ49に接続されている。また、ロータリースイッチ41の端子41b〜41dにはリード線51が接続され、マイクロスイッチ43にはリード線53が接続され、これらのリード線51、53もコネクタ49に接続されている。コネクタ49は車両のバッテリ及び制御装置に接続される。
【0036】
この車両ドア開閉装置では、使用者が開放状態にあるバックドアのハンドルに手を掛け、バックドアの閉操作を行った場合、図5〜7に示すように、進入口1a内に進入したストライカ5とフォーク9とが当接する。そして、フォーク9は、U字溝9c内で金属部9aによってストライカ5の押圧力を受けて揺動し、図6の状態を経て、図7に示すように、ストライカ5を係止するフルラッチ位置となる。このため、バックドアが全閉状態となる。フルラッチ位置のフォーク9は、フルラッチ用凹部9dにポール15の凸部15cが係合し、全閉が維持された状態となる。
【0037】
一方、使用者が全閉状態にあるバックドアのハンドルに手を掛け、開操作を行えば、ハンドルに設けられている図示しないスイッチにより、モータ25が駆動される。このため、ピニオンギヤ17が反転し、図7において、オープンレバー21の作動によってポール15が平面視で左回転する。このため、ポール15の凸部15cがフルラッチ用凹部9dから外れ、フルラッチ位置にあったフォーク9は、ねじりコイルばね11の付勢力により、図6、そして図5に示すように揺動する。これにより、フォーク9は、ストライカ5を進入口1aから開放するアンラッチ位置となる。フォーク9の揺動角度は作動ギヤ9f、受動ギヤ44及び回動軸42を通じてスイッチ本体41aに伝達され、フォーク9がアンラッチ位置にあることがローラリースイッチ41によって検出される。モータ25はロータリースイッチ41の検出信号に基づいて停止する。このため、バックドアは使用者によって全開状態となり得る。
【0038】
また、図6に示すように、バックドアはウェザーストリップ等の抵抗力によって半閉状態になる場合がある。この場合、この車両ドア開閉装置では、フォーク9はハーフラッチ用凹部9eにポール15の凸部15cが係合している。ロータリースイッチ41は、作動ギヤ9f、受動ギヤ44及び回動軸42を通じ、フォーク9がハーフラッチ位置にあることを検出し、モータ25はロータリースイッチ41の検出信号に基づいて駆動される。このため、ピニオンギヤ17が正転し、クローズレバー23の作動によってフォーク9が平面視で右回転する。このため、フォーク9は図7に示すフルラッチ位置に揺動する。フォーク9がフルラッチ位置になれば、ロータリースイッチ41はそれを検出し、モータ25はロータリースイッチ41の検出信号に基づいて停止する。このため、バックドアが半閉状態から全閉状態となる。フルラッチ位置のフォーク9は、フルラッチ用凹部9dにポール15の凸部15cが係合し、全閉が維持された状態となる。
【0039】
こうして、この車両ドア開閉装置では、バックドアが半閉状態であることを防止し、車両の安全走行及び確実な全閉が維持された状態を実現している。
【0040】
これらの間、フォーク9は、U字溝9c内で金属部9aによってストライカ5の押圧力を受けることから、ストライカ5の反力等によって揺動軸芯7aに対して不可避的に傾く。しかしながら、この車両ドア開閉装置では、ロータリースイッチ41のスイッチ本体41aがフォーク9の揺動軸7とは別の回動軸42を有している。このため、フォーク9が不可避的に傾いたとしても、フォーク9の傾斜がロータリースイッチ41の回動軸42には伝わらない。また、作動ギヤ9fはフォーク9と一体に揺動可能であるため、フォーク9の揺動位置は作動ギヤ9fが正確に表している。そして、揺動軸7の中心である揺動軸芯7aと回動軸42の中心である回動軸芯42aとは平行であり、作動ギヤ9fが受動ギヤ44と噛合しているため、作動ギヤ9fの揺動位置が受動ギヤ44に正確に伝わる。特に、この車両ドア開閉装置では、作動ギヤ9fがフォーク9の一面に一体に設けられているため、フォーク9と作動ギヤ9fとの間には位相差がなく、フォーク9の揺動位置がロータリースイッチ41によってより確実に正確に把握される。
【0041】
作動ギヤ44がフォーク9とともに傾いても、作動ギヤ9fと受動ギヤ44とが同一面内で揺動するため、その傾きは受動ギヤ44に影響を及ぼさない。そして、受動ギヤ44は回動軸42に固定されているため、受動ギヤ44の揺動位置が回動軸42に伝わり、回動軸42の揺動位置がスイッチ本体41aに伝わる。このため、フォーク9の揺動位置がロータリースイッチ41によって正確に伝達される。特に、この車両ドア開閉装置では、作動ギヤ9f及び受動ギヤ44が平歯車であるため、作動ギヤ9f及び受動ギヤ44は位相差を生じることなく噛み合う状態を維持する。このため、ロータリースイッチ41におけるフォーク9の揺動位置の検出精度の低下を確実性高く抑制できる。また、この車両ドア開閉装置では、作動ギヤ9f及び受動ギヤ44のギヤ比が1:1であるため、フォーク9の揺動角度とロータリースイッチ41の回転角度とは等しく、ロータリースイッチ41の検出信号の扱いは容易である。
【0042】
したがって、この車両ドア開閉装置によれば、車両の安全走行及び確実な全閉が維持された状態の効果を向上させることが可能である。
【0043】
また、この車両ドア開閉装置では、作動ギヤ9fと受動ギヤ44とが同一面で作動することにより揺動軸7に対するフォーク9のガタ付きを吸収することもできるため、車両ドア開閉装置の製造も容易である。
【0044】
さらに、この車両ドア開閉装置では、フォーク9が金属部9aと樹脂部9bとからなり、作動ギヤ9fが樹脂部9bに一体成形されている。そして、作動ギヤ9fが受動ギヤ44よりも軟質である。このため、作動ギヤ9fと受動ギヤ44とを接近させてバックラッシを小さくしても、作動ギヤ9f及び受動ギヤ44が好適な噛み合い状態を維持することができる。このため、この車両ドア開閉装置では、フォーク9の揺動位置が好適にロータリースイッチ41に伝達されることとなる。また、この場合には、フォーク9と作動ギヤ9fとが精度良く一体化可能となっている。これらのため、車両ドア開閉装置の製造コストの削減が可能となる。
【0045】
また、この車両ドア開閉装置では、作動ギヤ9fがフォーク9の揺動角度分だけ設けられているため、作動ギヤ9fは、ロータリースイッチ41にフォーク9の揺動位置を伝達するために必要な部分以外が形成されない。このため、作動ギヤ9fから不要な部分を省いて小型化することができるため、車両ドア開閉装置内に配置し易く、製造コストを削減することも可能となっている。
【0046】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0047】
例えば、本発明の車両ドア開閉装置はバックドアに取り付けられるだけでなく、サイドドアに取り付けられてもよい。また、作動機構としては、フォーク及びポールを作動可能であれば、種々のものを採用することが可能である。さらに、マイクロスイッチによって受動ギヤの回転角度を検出してもよい。また、本車両ドア開閉装置内に作動機構30を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は乗用車等の車両に利用可能である。
【符号の説明】
【0049】
5…ストライカ
1a…進入口
1…ベースプレート
3…バックプレート
7a…揺動軸芯
9…フォーク
15…ポール
30…作動機構
41…スイッチ、ロータリースイッチ
25…アクチュエータ(モータ)
9f…作動ギヤ
42…回動軸
41a…スイッチ本体
44…受動ギヤ
9a…金属部
9b…樹脂部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカが進入する進入口が形成されたベースプレートと、
前記ベースプレートと間隔を有して対向するバックプレートと、
前記ベースプレートと前記バックプレートとの間で揺動軸芯周りに揺動可能に支持され、前記進入口内において前記ストライカを係止するフルラッチ位置、前記ストライカを前記進入口から開放するアンラッチ位置、又は前記アンラッチ位置と前記フルラッチ位置との間で前記ストライカが前記進入口から出ることを規制するハーフラッチ位置に切り替わるフォークと、
前記フォークの揺動を固定又は開放可能なポールと、
前記フォーク及び前記ポールを作動可能な作動機構と、
前記フォークの前記揺動位置を検出するスイッチとを備える車両ドア開閉装置であって、
前記スイッチはロータリースイッチであり、
前記揺動軸芯周りには、前記フォークより小径であり、前記フォークと一体に揺動可能な作動ギヤが設けられ、
前記ロータリスイッチは、前記ベースプレートと前記バックプレートとの間で固定され、前記揺動軸芯と平行な回動軸を回転可能に有するスイッチ本体と、前記回動軸に固定され、前記作動ギヤと噛み合う受動ギヤとを有することを特徴とする車両ドア開閉装置。
【請求項2】
前記作動ギヤは前記フォークの一面に一体に設けられている請求項1記載の車両ドア開閉装置。
【請求項3】
前記作動ギヤ及び前記受動ギヤは平歯車である請求項1又は2記載の車両ドア開閉装置。
【請求項4】
前記作動ギヤ及び前記受動ギヤはギヤ比が1:1である請求項1乃至3のいずれか1項記載の車両ドア開閉装置。
【請求項5】
前記作動ギヤ及び前記受動ギヤの一方は、前記作動ギヤ及び前記受動ギヤの他方の構成材料よりも軟質の材料により構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の車両ドア開閉装置。
【請求項6】
前記フォークは、前記ストライカと係合する金属部と、前記金属部を覆うようにインサート成形された樹脂部とからなり、
前記作動ギヤは前記樹脂部に成形されている請求項1乃至5のいずれか1項記載の車両ドア開閉装置。
【請求項7】
前記作動ギヤは前記フォークの揺動角度分だけ設けられている請求項1乃至6のいずれか1項記載の車両ドア開閉装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−46867(P2012−46867A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186721(P2010−186721)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(591038587)株式会社アンセイ (48)
【Fターム(参考)】