説明

車両パネルアセンブリ及び該車両パネルアセンブリの連結方法

【課題】客室の外から客室内に伝わる騒音の量を制限、最小化又は低減するための構造を提供する。
【解決手段】ダッシュパネルなどの騒音を減衰させる車両パネルアセンブリが一以上の溶接継手によって構造部材に連結される。前記車両パネルアセンブリは、メインパネル部材と、騒音減衰パッチと、前記メインパネル部材と前記騒音減衰パッチとの間に配置された騒音減衰接着剤層と、を有する。前記騒音減衰パッチは、前記メインパネル部材の音響的活動領域の少なくとも一部を覆う。車両パネルアセンブリを構造部材に連結する溶接継手は、前記騒音減衰パッチ及び/又は騒音減衰接着剤層内に形成された溶接用開口部に配置されることが好ましく、これにより、追加の排気装置を必要とし溶接継手の品質に影響を及ぼしかねない溶接過程とは異なり、溶接過程中に接着剤を融解及び蒸発させることなく溶接継手を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体的に車両パネルに関し、より詳細には車両のダッシュパネルなどに使用される騒音減衰車両パネルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車は、客室の外から客室内に伝わる騒音の量を制限、最小化又は低減するために、さまざまな異なる構造又は技術を利用している。一つの技術として、ある車両部品から生じる雑音又は音響振動の最小化が挙げられる。例えば、エンジン、変速機、排気システム、タイヤ又はその他の部品は、客室における雑音が低減するよう使用時に比較的静かであるよう設計される。別の技術は、例えば振動エネルギーを吸収及び/又は消散することによって、客室まで到達し得る振動を減衰させる部品を提供する。そのような振動を減衰する部品の音響特性は、その全体的な質量、構成、密度、剛性、厚さ及び位置などを含むさまざまな特性によって影響を受ける。
【発明の概要】
【0003】
一実施例において、メインパネル部材、騒音減衰層及び溶接継手を含む車両パネルアセンブリを提供する。メインパネル部材は、車両の構造部材に連結され、音響的活動領域を有する。騒音減衰層は、メインパネル部材に接着され、一以上の溶接用開口部を有する。溶接継手は騒音減衰層の溶接用開口部内に形成される。また、溶接継手は、騒音減衰層からの材料を含まず、車両の構造部材及びメインパネル部材からの材料を含む。
【0004】
別の実施例において、メインパネル部材、騒音減衰接着剤層、騒音減衰パッチ及び溶接継手を有してもよい車両パネルアセンブリを提供する。メインパネル部材は車両の構造部材と接触する。騒音減衰接着剤層は、メインパネル部材と接触し、第一溶接用開口部を有する。騒音減衰パッチは、騒音減衰接着剤層と接触し、前記第一溶接用開口部と整列した第二溶接用開口部を有する。溶接継手は、騒音減衰層及び騒音減衰パッチ内の第一及び第二溶接用開口部によって少なくとも部分的に囲まれる。
【0005】
別の実施例において、車両パネルアセンブリを車両の構造部材に連結する方法を提供する。この方法は、(a)メインパネル部材、接着剤層及び騒音減衰パッチを有する車両パネルアセンブリを用意するステップと、ここで前記接着剤層と前記騒音減衰パッチとのうちの少なくとも一方が溶接用開口部を有し、(b)前記溶接用開口部が前記構造部材と整列するよう前記車両パネルアセンブリを前記車両の構造部材上に位置決めするステップと、(c)一以上の溶接継手により前記車両パネルアセンブリを前記車両の構造部材に溶接するステップと、ここで前記溶接継手は前記溶接用開口部内に配置されるとともに前記メインパネル部材からの材料と前記構造部材からの材料とから形成される、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】例示の騒音減衰車両パネルアセンブリの斜視図であり、この車両パネルアセンブリが車両の構造部材にどのように連結又は搭載されるかを説明するために車両パネルアセンブリの部分切り取り図が示されている。
【図2】図1の車両パネルアセンブリの一部の拡大図であり、各種の例示の溶接用開口部及び溶接継手を示す。
【図3】図1の車両パネルアセンブリの一部の断面図であり、車両パネルアセンブリが車両の構造部材に溶接されている。
【図4】例えば図1に示す車両パネルアセンブリ及び車両の構造部材において、車両パネルアセンブリを車両の構造部材に連結する方法の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好ましい実施形態について、本明細書に添付された図面を参照して説明する。図面において類似の構成要素には類似の参照符号を付している。
【0008】
車両内の騒音(音)及び/又は振動は、騒音減衰部品を使用することにより低減できる。騒音減衰部品は、騒音及び/又は振動が、騒音及び/又は振動が望ましくない場所、客室内など、に到達する前に低減するよう、振動エネルギーを別の形のエネルギーに変換する材料を有してもよい。例えば、いくつかの粘弾性材は、その粘性及び弾性特性の組み合わせにより振動エネルギーを熱エネルギーに変換することができる。即ち、粘弾性材は、その粘性特性によって流れて力学的エネルギーを効果的に吸収してこの力学エネルギーを熱エネルギー又は熱に変換るとともに、その弾性特性によって振動し且つ固形物となる。勿論、粘弾性材以外の材料を使用して車両内の騒音及び/又は振動を変換又は減衰してもよい。
【0009】
騒音減衰部品の所望位置が騒音減衰部品の連結位置と重なることも可能であり、騒音減衰材と同じ領域内で部品同士が連結することとなる。部品同士の連結に溶接などの接合技術を用いる場合、騒音減衰材の存在によっていくつかの問題が生じる。例えば粘弾性材の層を有する騒音減衰ダッシュパネルを構造横材に溶接する場合、部品間の溶接部が粘弾性材を通過する必要があるかもしれない。通常、粘弾性材の融解温度及び蒸発温度は、一般的に金属製の対応部品のものよりもかなり低い。したがって、粘弾性材は溶接過程中に蒸発して煙及び/又は他の望ましくないガスが発生し、例えば周辺の作業域からガスを除去するための追加の排気装置が必要となる可能性がある。さらに、そのようなガス放出によって溶接材内部に局所的空洞が生じて溶接部の強度又は他の特性に悪影響を及ぼしたりあるいは溶接品質に影響を及ぼしたりする可能性がある。
【0010】
本明細書に記載のように、騒音減衰車両パネルアセンブリの一以上の層内に溶接用開口部を設け、そのような溶接用開口部に溶接継手を配置することにより、追加の排気装置を必要とせずに且つ溶接継手の品質を低下させずに、従来の溶接技術を用いて、騒音減衰車両パネルアセンブリを他の車両部品に連結することができる。騒音及び/若しくは振動の低減、断熱性の提供並びに/又は下層部品の構造的完全性の向上のために、本明細書に記載の車両パネルアセンブリを任意の種々の応用に使用してもよい。以下、車両パネルアセンブリを車両ダッシュパネルとの関連で記載するが、当然ながら車両パネルアセンブリはそれに限定されず、種々の車両及び車両以外の応用に使用できる。いくつかの可能な例は、航空宇宙用途、海洋用途、軍事用途、農業及び建設装置、レクリエーション用車両、家庭用電気製品、及び部品内の騒音又は振動の低減が望ましい任意の他の応用を含む。騒音減衰車両パネルアセンブリの車両応用における他の可能性は、車輪格納部、座席容器、予備車輪容器、プレナム、フロントガード、天井パネル、フロアパン、ボンネット、ラゲージドア、ドア内部、棚、油受け、種々のエンジン及び変速機など用のカバー及びハウジングを含む。
【0011】
図1は、車両の一以上の構造部材14−18に連結された例示の車両パネルアセンブリ10の切り取り図を示す。この特定の実施形態において、車両パネルアセンブリ10は客室とエンジンルームを分離するダッシュボードパネルの一部であり、車両の前方に配置される。図1において矢印Aは車両の前方方向を指す。車両パネルアセンブリ10は、下層の構造部材14、18を描写するために切り取られている(点線で示す)。車両パネルアセンブリ10は、メインパネル部材22、騒音減衰パッチ24、騒音減衰層26、及び車両パネルアセンブリを車両の一以上の構造部材に連結する多数の溶接継手20を有してもよい。騒音減衰層26は、騒音減衰パッチ24をメインパネル部材22に接着するため及び車両パネルアセンブリに所定の騒音減衰特性を与えるために用いられる。騒音減衰パッチ24を用いることによって、部分的でなく全体的に設けられた騒音減衰積層とは反対に、車両パネルアセンブリは許容可能な騒音減衰性能を維持したまま軽量化及び/又は低コスト化される。さらに、騒音減衰パッチ24によって、車両パネルアセンブリ10の他の非騒音減衰特性、アセンブリの構造特性及び/又は熱特性を含む、が向上する。
【0012】
構造横材14は車両シャーシの一部であり、構造部材16、18同士を接続するよう車両の幅に広がる。この場合、構造部材16、18は車両の長さ方向に伸びるサイドレールである。構造横材14はさまざまな機能を果たし、例えば車両構造全体に剛性を与えるとともに、車両パネルアセンブリ10などの他の車両部品用の連結点を提供する。当業者にとって当然のことながら、構造部材14−18は種々の金属又は他の相応に丈夫な材料から形成されてもよく、そして溶接又は種々の適切な連結手段を介して互いにしっかりと連結されてもよい。支持するため又はより大きな負荷に耐えるために、構造部材14−18の材料厚は、車両パネルアセンブリ10又は構造部材と連結した他の部品の材料厚よりも大きくてもよい。当然ながら、図1に示す例は限定を意図しておらず、車両パネルアセンブリ10は任意の数の種々の構造部材に連結されてもよく、本明細書に図示した例示の配置に限定されない。構造部材14−18は車両シャーシ全体の一部である必要はなく、車両パネルアセンブリ10などの部品を支持する特定の目的のために用いられてもよい。
【0013】
メインパネル部材22は車両パネルアセンブリの構造土台の役割を果たす。メインパネル部材22は、打ち抜き、切断、せん断加工又は所望形状に形成されてもよい。メインパネル部材22は、通常、騒音減衰パッチ24よりも大きく、各種鋼(例えば冷延鋼板、融解めっきをした鋼、電気めっきした鋼、ガルバニールなど)及び鋼とアルミニウムの合金を含む任意の数の適切な材料から作成されてもよい。ある実施例において、メインパネル部材22は鋼から作成され、厚さが0.4mm〜3.0mmである。しかしながら、メインパネル部材の厳密な寸法、形状、厚さ及び構成は、形成される具体的な部分に大きく依存し、本明細書に記載及び図示された実施例とは異なってもよい。この特定の実施例において、メインパネル部材22は、車両ダッシュパネルの土台を形成するとともに、一以上の音響的活動領域32及び貫通穴34を有する。この貫通穴34は、ステアリングコラム、ワイヤハーネス、HVAC装置、又は車両パネルアセンブリの一方の側から他方の側へ伸びなければならない他部品などの部品を収容できる。
【0014】
本明細書で用いる「音響的活動領域」なる用語は、広い意味で、騒音及び/又は振動源にさらされるとともにいくつかの種類の騒音減衰から利益を得る、メインパネル部材の任意の部位、部分及び/又は他の領域を含む。わかりやすく説明すると、音響的活動領域32はメインパネル部材22全体を覆ってもよく、あるいはメインパネル部材の一部又は部位のみを覆ってもよい。音響的活動領域32が異なるレベルの騒音及び/又は振動にさらされることも可能であり、一部のサブ領域が他の領域よりも高いレベルにさらされてもよい。例えば、図1の実施例において、ダッシュパネル全体がエンジンルームからの騒音及び/又は振動にさらされるという事実から、音響的活動領域32はメインパネル部材22全体にわたって伸びてもよい。あるいは、音響的活動領域は、エンジンルームからの騒音及び/又は振動による影響を最も受けるメインパネル部材の上側部分にのみ伸びてもよい。音響的活動領域の寸法及び位置は具体的な手動の設置に大きく依存する。しかし、当然ながら、騒音及び/又は振動源の可能性はエンジンルームだけではなく、他の可能性として各種動力伝達部品、車輪やタイヤ、風騒音などがある。
【0015】
騒音減衰パッチ24は、メインパネル部材22に連結されることによりメインパネル部材の音響的活動領域又は複数の領域における騒音及び/又は振動の減衰を助ける。騒音減衰パッチ24は、一以上の音響的活動領域、例えば領域32、の少なくとも一部を覆う又は重なる。以下に詳細に記載するように、騒音減衰パッチ24は一以上の溶接用開口部40を有してもよい。一実施例によれば、騒音減衰パッチ24は、騒音減衰接着剤層26を用いてメインパネル部材22に連結される。騒音減衰パッチ24は、各種鋼(例えば冷延鋼板、融解めっきをした鋼、電気めっきした鋼、ガルバニールなど)及び鋼とアルミニウムの合金を含む任意の数の適切な材料から構成されてもよい。例えば、騒音減衰パッチ24の厚さ又は規格は、下層のメインパネル部材22の厚さ又は規格よりも小さくてもよく、0.2mm〜2.0mmである。しかしながら、騒音減衰パッチの厳密な寸法、形状、厚さ及び構成は、本明細書に記載及び図示された実施例とは異なってもよい。本実施形態において騒音減衰パッチ24はメインパネル部材22よりも小さいが、ある応用では騒音減衰パッチ24はメインパネル部材22と同じ寸法でもよい。メインパネル部材よりも小さい騒音減衰パッチは、一般的にメインパネル部材22の最も音響的に活動的な領域に対応する所望の領域内のみに存在することによって、パネルアセンブリ10全体の音響特性に対して必要性に応じて対処する。そのような騒音減衰パッチを用いることで、重量、材料及び/又はコストが大きく削減され、場合によってさらに車両パネルアセンブリ10の成形性が向上する。図示される騒音減衰パッチ24はメインパネル部材22の客室方向を向く側に連結されているが、騒音減衰パッチはメインパネル部材22のエンジンルームを向く反対側に連結されてもよく、あるいはメインパネル部材22の両側に連結されてもよい。
【0016】
騒音減衰層26はメインパネル部材22と騒音減衰パッチ24の間に配置され、一実施形態において騒音減衰層26は騒音減衰パッチをメインパネルに連結するための騒音減衰接着剤層を含む。好ましくは、騒音減衰層26は、領域32などの一以上の音響的活動領域の少なくとも一部を覆う又は重なり、これにより騒音減衰パッチ24がこれらの領域に取り付けられてもよい。一実施例によれば、騒音減衰層26はアクリル酸系熱硬化性樹脂から構成される粘弾性接着剤層であり、騒音減衰層26の厚さは約0.005mmから0.05mmである。しかしながら、他の接着剤成分及び厚さを用いてもよい。車両パネルアセンブリ10、そしてそのメインパネル部材22、騒音減衰パッチ24及び騒音減衰層26、は、制約された減衰層容量内で動作してもよい。当業者にとって当然のことながら、制約された減衰層構造物は、サンドイッチのような構造内でずれる及び歪むことによって振動を小さな摩擦熱に変換して振動エネルギーを消散又は移動させる。あるいは又はそれに加えて、一以上のスポット溶接部30を設けることによって騒音減衰パッチのメインパネル部材への連結又は積層を強化してもよい。またこの目的のために固定具、圧着、リベットなどの他の手段を用いてもよい。騒音減衰パッチ24と同様に、騒音減衰層26に一以上の溶接用開口部42を設けてもよい。
【0017】
溶接用開口部40、42は、騒音減衰パッチ24及び/又は騒音減衰層26内に設けられた穴、窓、切欠き、ノッチ及び/又は他の開口を有してもよく、また溶接用開口部40、42は一以上の溶接継手20を収容するよう設計されてもよい。図3に示す溶接積層50に最も良く描写されるように、溶接用開口部40は騒音減衰パッチ24内に形成され、溶接用開口部42は騒音減衰層26内に形成され、そしてこれらの溶接用開口部の両方が互いに整列し、これにより、溶接継手20が、騒音減衰パッチ又は層からの材料を含むことなく構造部材14からの材料とメインパネル部材22からの材料とから形成される。もし、溶接継手が騒音減衰層26を通過した場合、例えばヒューム及び他の気体副産物が形成される可能性があり、そしてこれを排気及び除去する必要がある。したがって、溶接用開口部40、42は騒音減衰パッチ24及び騒音減衰層26を溶接積層50から取り除くことを助け、これにより製造工程が向上するとともに溶接継手の品質が向上する。車両パネルアセンブリ10において、溶接用開口部を、騒音減衰パッチ24内のみに、騒音減衰層26のみに、又はそれら両方に設けることが可能である。溶接用開口部が騒音減衰層に形成されるが騒音減衰パッチには形成されない場合、溶接継手は構造部材14、メインパネル部材22及び騒音減衰パッチ24からの材料を含んでもよい。溶接用開口部40、42は、騒音減衰パッチ24及び/又は層28の内部に配置された(つまり、溶接用開口部が対応する溶接継手を完全に囲むようパッチの外周の内側に配置された)開口であってもよい。あるいは、溶接用開口部40、42は、騒音減衰パッチ24及び/又は層28の縁又は外周に沿って配置されたノッチ又は他の凹凸であってもよい(例えば、溶接用開口部52参照)。溶接用開口部40、42は、全体的に円形状でもよく、細長形状又は楕円形状でもよく(例えば溶接用開口部40’、42’参照)、あるいは他の構造形状に基づいて設けられてもよい(例えば、全体的にL字状の溶接用開口部40”、42”参照)。参照符号40、42は溶接用開口部の全ての形状を参照するのに用いられ、一つの特定の形状に限定することは意図していない。
【0018】
溶接継手20は、車両パネルアセンブリの二以上の層間、通常は構造部材14−18とメインパネルアセンブリ22との間、の連結である。溶接継手20は、材料同士が融合するよう、一以上の材料の局所化融解により及び/又は追加の材料の導入(例えば消耗電極を用いるろう付け又は溶接の場合)により形成されてもよい。一般的な溶接継手は、二つの金属片の一部を加熱して融解状態にし、押し合わせてから冷却することによって溶接継手が両方の金属片からの金属の混合を含むようにすることにより形成される。加熱は、二つ例を挙げると、外部の熱源(レーザーなど)を用いることにより又は片と片の間に電流を流すことにより行われる。各溶接継手20は、スポット溶接部、連続的溶接部又は他の種類の溶接継手を含んでもよい。スポット溶接部は通常円形であり、電気抵抗溶接、レーザー溶接、ドローンアークスタッド溶接又は周知の他の適切な方法により形成されてもよい。連続的溶接部は通常細長く(例えば直線的又は曲線を有する)、レーザー溶接、MIG若しくはTIG溶接又は当業者に周知の他の適切な方法により形成されてもよい。当然ながら、溶接継手20は特定の種類の溶接継手又は技法に限定されない。
【0019】
図1の実施例において、複数の溶接用開口部40、42はパターン60に配列され、このパターンは構造部材14の形状に沿う又は並ぶ。これにより、構造部材の幅方向の範囲に沿う一連の溶接継手又は接続点を介して、車両パネルアセンブリ10が構造部材14に確実に連結される。パターン60内の各溶接用開口部40、42は、騒音減衰層26からの材料を含まず構造部材14からの材料とメインパネル部材22からの材料とから形成された溶接継手20を収容する。パターン60は、溶接用開口部間の間隔が等間隔となるよう均一に伸びる必要はなく、溶接用開口部のパターン又は配列は、特定の応用における構造上の要求及び連結の要求を満たすよう手動で細かく設計してもよい。
【0020】
図2を参照すると、車両パネルアセンブリ10の一部がより詳細に示され、種々の異なる溶接用開口部及び同じ場所に配置された溶接継手の実施形態が示される。一つの可能な実施形態において、溶接用開口部40、42は全体的に円形状であってスポット溶接部20を収容する。別の実施形態において、溶接用開口部40’、42’は全体的に細長の形状であって、例えば直線的又は曲線を有する連続溶接部20’を収容する。溶接用開口部の具体的な形状及び寸法は、この溶接用開口部が収容すべき所望の数及び/又は種類の溶接継手にカスタマイズ又は合わせて形成されてもよく、本明細書に示される実施形態のものとは異なってもよい。例えば、図1のL字状の溶接用開口部40”、42”は図示される三つのスポット溶接部を収容することができ、あるいは溶接用開口部40”、42”はスポット及び/又は連続溶接部の他の組み合わせを収容するように修正可能である。さらに別の実施形態において、溶接用開口部40’’’、42’’’は多数の溶接継手を単一の溶接用開口部内に収容するよう設計されており、円形、細長又は他の形状であってもよい。
【0021】
溶接用開口部の寸法及び形状は、溶接継手の形成に使用される溶接装置の寸法を含むさまざまな要因に依存してもよい。通常、各溶接用開口部の大きさは、使用される特定の溶接装置を収容できる程度に可能な限り小さくなるよう、そして音響的活動領域内の騒音減衰材の量が最大限となるよう設計される。溶接用開口部40、42は、対応する溶接装置の寸法に関連する又は縛られる所定の寸法を有する。例えば、溶接用開口部40、42は、1.2以上5.0以下の間の寸法比により定義されてもよい。この寸法比は、溶接用開口部の内寸法Wを、対応する溶接電極の外寸法W’で割り算したものである。例示の内寸法Wが図2及び図3に示され、これらは通常、溶接用開口部の最小内幅又は寸法を表わす。言い換えれば、内寸法Wは、溶接用開口部40、42の外周内に完全に収まる最大の円の直径に等しい。溶接用開口部52のように溶接用開口部が外周に沿うノッチである場合、内寸法Wはこのノッチ内に収まる最大の円の直径に等しい。円形の溶接用開口部40、42の場合、内寸法Wは単純に溶接用開口部の内径に等しい。細長の溶接用開口部40’、42’の場合、図示されるように、内径Wはその溝幅に等しく、溝内に収まる最大の円の直径に対応する。溶接電極の外寸法W’は溶接電極の最大外寸法であり、以下に詳細に述べる。
【0022】
図3は車両パネルアセンブリ10の断面図であり、例示の溶接継手20、溶接用開口部40、42及び溶接継手の形成に使用される溶接装置を示す。この例では、溶接装置は、抵抗スポット溶接による溶接継手20の形成に使用される第一及び第二溶接電極44、46を有する。例示の各溶接電極44、46は外寸法W’を有し、この外寸法は電極の溶接継手を形成する加工端での最大幅である。溶接電極は通常円形の断面形状を有し、したがって外寸法W’は単純に溶接端の位置又はその付近の直径に等しいが、他の断面形状を有していてもよい。溶接継手20が抵抗溶接電極によって形成されるような場合、寸法比は約1.2以上約5.0以下であってもよく、好ましくは約1.5から約3.0である。例えば、外寸法W’が10mmである特定の溶接電極については、対応する溶接用開口部の幅は約12mm以上約50mm以下であってもよい。正確な寸法比は、溶接装置の被加工物上の位置に対する繰り返し性及び精度などの要因の影響を受け得る。一実施例によれば、外寸法が約10mmから12mmの溶接電極を収容するためには、溶接用開口部40、42の内寸法は約25mmである。したがって、十分な騒音減衰性能が確保され且つ溶接処理中に溶接電極が溶接用開口部の側壁と接触しないよう、製造公差のための十分な間隙が溶接電極に与えられるように、溶接継手が溶接用開口部によって囲まれる。
【0023】
図4を参照すると、パネルアセンブリ10などの車両パネルアセンブリを車両の構造部材に連結する方法100の実施例が示される。例示の方法100は、通常、車両パネルアセンブリを用意するステップと、車両パネルアセンブリを構造部材上に位置決めするステップと、車両パネルアセンブリを構造部材に溶接するステップと、を含む。
【0024】
ステップ110は、メインパネル部材、接着剤層及び騒音減衰パッチを有する車両パネルアセンブリを用意することを含む。接着剤層及び/又は騒音減衰パッチは、上記した溶接用開口部のような溶接用開口部を有する。無論、複数の溶接用開口部を接着剤層及び/又は騒音減衰パッチに設けてもよく、また車両パネルアセンブリは複数の騒音減衰パッチ及び/又は接着剤層を有してもよい。騒音減衰パッチ及び接着剤層の各々に溶接用開口部を設けてもよく又は設けなくてもよい。実施例によれば、ステップ110において、メインパネル部材22、接着剤層26及び騒音減衰パッチ24を有する車両パネルアセンブリ10を用意し、ここで図3に示すように接着剤層と騒音減衰パッチの両方が互いに整列した溶接用開口部を有している。
【0025】
図4に示すように、ステップ110は、任意で、例示のサブステップであるメインブランク材及び騒音減衰ブランク材を用意するステップと、これらのブランク材同士を連結するための接着剤層を適用するステップと、これらのブランク材と接着剤層とを一体に形成して車両パネルアセンブリを形成するステップとを含んでもよい。例えば、サブステップ112は、メインブランク材と騒音減衰ブランク材とを用意することを含む。騒音減衰ブランク材は、メインブランク材よりも小さくてもよく、実施形態に依っては一以上の溶接用開口部を予め有していてもよい。騒音減衰ブランク材及びメインブランク材はそれぞれ最終的に騒音減衰パッチ及びメインパネル部材となる。各ブランク材を従来のスタンピング加工又は他の技法を用いて製造してもよく、これにより所望の形状及び寸法を有するブランク材が製造され、騒音減衰ブランク材の場合には所望の形状、寸法、位置、パターン及び数の溶接用開口部を有するブランク材が製造される。
【0026】
サブステップ114は、溶接用開口部の領域内に接着剤が存在しないよう、接着剤層を騒音減衰ブランク材の裏面に適用するステップを含む。接着剤層はその後、騒音減衰ブランク材をメインブランク材の所望位置、該所望位置は通常メインパネル部材の音響的活動領域に対応する、に連結するために用いてもよい。接着剤層は、以下に限定されないが、スプレー加工、コーティング、圧延、溶媒鋳造、元の状態で適用する方法又は他の接着剤適用方法などの各種技法を用いて適用することができる。一以上の溶接用開口部を有する騒音減衰ブランク材の実施形態において、騒音減衰ブランク材の裏面に接着剤層が適用されると(例えばスプレー加工又は圧延によって適用される)、自動的に、騒音減衰ブランク材と接着剤層の両方に、互いに整列した溶接用開口部が設けられることとなる。また、接着剤層は、メインブランク材に適用又は両ブランク材に適用してもよい。接着剤層が適用された後、各種技法を用いて、騒音減衰ブランク材及びメインブランク材が互いに押し合わされ、接着剤層が硬化される。
【0027】
サブステップ116は、メインブランク材、接着剤層及び騒音減衰ブランク材を一体形成して車両パネルアセンブリを形成することを含む。本実施例において、サブステップ116はサブステップ114の後に完了し、これにより、騒音減衰ブランク材が騒音減衰パッチへと形成されるのと同時にメインブランク材がメインパネル部材へと形成される。この形成過程は、従来のスタンピング加工、引き伸ばし加工又は他の金属成形技法を用いて実施されてもよい。ステップ110は単なる例であり、図4に示すサブステップよりも多い又は少ないサブステップを含んでもよいことが認識される。例えば、一以上のスポット溶接部(例えば図1に示されるスポット溶接部30)を騒音減衰パッチの外周又は縁の近くに形成してもよく、これにより、形成サブステップ116中に各ブランク材の位置が互いに対して維持されるよう、メインブランク材と騒音減衰ブランク材を互いに連結することを助ける。また、サブステップ112−116を別の順序で実施してもよい。例えば、個別のブランク材は、一つのアセンブリとして一体形成される場合とは反対に、互いに接着又は連結される前に別々に形成されてもよい。
【0028】
ステップ120は、溶接用開口部が車両の構造部材と整列するように車両パネルアセンブリを車両の構造部材上に位置決めすることを含む。複数の溶接用開口部を有する場合、複数の溶接用開口部は構造部材と整列してもよい。一実施例において、接着層及び/又は騒音減衰パッチに設けられた溶接開口部の全てが、一以上の構造部材と整列してもよい。このことは図1に示され、溶接用開口部のパターン60が構造部材の形状に沿うよう、車両パネルアセンブリ10が構造部材14と整列している。位置決めステップ120は、車両パネルアセンブリの他の補完的又は係合構造を構造部材と整列させることによって達成されてもよく、及び/又は溶接用開口部と構造部材とが互いに整列する所定位置にパネルアセンブリを位置決めするようプログラムされた当該分野に周知の自動組み立て装置の助けを借りて達成されてもよい。別の言い方をすれば、溶接用開口部を実際には整列用構造として用いてもよい。溶接継手の形成を容易にするために、ステップ120が完了した後に、メインパネル部材が、溶接用開口部位置若しくは複数の溶接用開口部位置で構造部材と接触する又は構造部材の近くに配置されることが好ましい。
【0029】
ステップ130は、一以上の溶接継手を用いて車両パネルアセンブリを車両の構造部材に溶接することを含む。溶接継手は、溶接用開口部内に位置し、メインパネル部材及び構造部材からの材料を用いて形成される。接着剤層は溶接用開口部を有する一方で騒音減衰パッチが溶接開口部を有していないような所定の実施形態では、溶接継手は騒音減衰パッチからの材料をも含む。しかしながら、多くの場合、図3に示すように、騒音減衰パッチと接着剤層の両方が、互いに整列した一以上の溶接用開口部を有する。任意の数及び種類の溶接継手を各溶接用開口部内に設けてもよく、数々のそのような例が本明細書に記載される。
【0030】
図4には二つの限定を意図しない例示の溶接ステップ130が示されており、溶接ステップ130は任意のサブステップ132、134及び132’、134’を含む。一例は抵抗溶接継手を形成するためのサブステップ132及び134を含み、別の例はレーザー溶接継手を形成するためのサブステップ132’及び134’を含む。第一実施形態において、溶接ステップ130は整列サブステップ132を含む。この整列サブステップ132において、溶接電極が騒音減衰パッチと接触することなくメインパネル部材と接触するよう、溶接電極が溶接用開口部と一直線上に整列して配置される。この説明は図3に示される。溶接電極の断面形状は円形であってもよい。溶接電極の中心は、溶接用開口部の中心(溶接用開口部が円形の場合)又は溶接用開口部の長手方向中心(溶接用開口部が例えば細長又は溝形状の場合)と全体的に整列するよう配置されてもよい。溶接用開口部内の溶接電極の位置合わせは、通常、溶接電極がメインパネル部材と接触する前に行われる。溶接電極は、その後、溶接電極とメインパネル部材が互いに接触するよう、メインパネル部材の方向に動かされる。溶接電極を用いてメインパネル部材に力を加えてもよく、これによりメインパネル部材と構造部材とが溶接継手の意図する位置で押し合わされる。その後、サブステップ134において、電流が騒音減衰パッチには流れずにメインパネル部材と構造部材とに流れることにより、抵抗溶接継手が形成される。当業者にとって当然のことながら、力及び電流の大きさは各応用で異なる。
【0031】
例示のステップ132及び134を含む一実施例について、再び図3を参照して説明する。図3は、溶接継手形成後の車両パネルアセンブリの一部を示す。この実施例において、溶接電極44が溶接用開口部40、42と整列するよう配置される。陽極電極44はメインパネル部材22と接触するよう配置され、そして陽極電極46は、反対方向から構造部材14と接触するよう配置され、これにより構造部材及びパネル部材14、22が共に挟まれる。その後、電流が、陽極電極44、46に流され、即ち構造部材及びメインパネル部材14、22の各々に流される。しかしながら、電流は騒音減衰パッチ24又は接着剤層26には流れない。したがって、燃焼や蒸発を生じることなく、あるいは接着剤層26からガス放出を引き起こすことなく、溶接用開口部40、42内に抵抗スポット溶接継手20が形成される。
【0032】
例示のステップ132及び134を用いて、溶接される材料の加熱に電流が用いられるような他の溶接継手を記述してもよい。例えば、別の実施形態によれば、ドローンアーク技法において単一の溶接電極を使用して溶接継手が形成される。この例では、溶接電極を溶接用開口部の位置でメインパネル部材と接触させる。ドローンアーク技法では構造部材が電気的アースとして機能し、溶接電極が電気的に陽性となる。抵抗スポット溶接と同様に、陽性の溶接電極がメインパネル部材から離れるにつれメインパネル部材及び構造部材に電流が流れてアーク放電が生じ、これにより溶接用開口部の位置で陽極とアース間で電流フローが局所化して、溶接継手が形成される。抵抗溶接継手形成に関するこの記載は、抵抗スポット溶接及びある種の連続的な又は細長の溶接継手に当てはまる。例えば、溶接電極又は複数の溶接電極を、電流が流れている間にメインパネル部材の表面に沿って溶接用開口部内で動かしてもよい。
【0033】
溶接ステップ130の別の実施形態において、サブステップ132’及び134’を含む方法を用いてレーザー溶接継手を形成してもよい。これらのサブステップは、サブステップ132及び134に加えて又はその代わりに使用してもよい。一つの特定の実施形態は、溶接ステップ130は、サブステップ132’において溶接用開口部にレーザービームを当てることを含む。レーザービームは、騒音減衰パッチ又は接着剤層に接触することなく、メインパネル部材に作用する。レーザービームは、所望の材料を融解するのに十分な出力を有する当該分野で周知の一般的なレーザー溶接ビームであってもよい。本明細書において、「レーザービーム」なる用語は、溶接継手の意図する位置に焦点が合わされた時にメインパネル部材の材料と構造部材の材料とを融解させるレーザー光の柱の一部を指す。当業者は、レーザービームの幅にわたって出力密度が変化するレーザー光の柱を提供できること、そして低出力又は焦点の合っていないレーザー光が騒音減衰パッチ及び/又は接着剤層に接触したとしてもこれらをあまり融解させないことを認識する。このような溶接には不十分な無関係のレーザー光は、本明細書で使用される「レーザービーム」には含まれない。
【0034】
一般的に、レーザービームは、メインパネル部材の構造部材とは反対の側から、溶接用開口部に照射される。換言すれば、メインパネル部材は、レーザービームの光路上でレーザービームが照射又は作用する最初の部品である。しかしながら、レーザービームを反対側から溶接用開口部に照射して、レーザービームの光路上でレーザービームが照射される最初の部品が構造部材となるようにしてもよい。一実施例において、レーザービームは両側から溶接用開口部に照射される。例示のサブステップ134’は、騒音減衰パッチを融解させずにメインパネル部材の部分と構造部材の部分とを一緒に融解させてレーザー溶接継手を形成することを含む。所定のレーザービーム出力密度が与えられたレーザービームが、メインパネル部材、構造部材及び/又はメインパネル部材と構造部材との間の接合部分で、十分な期間、焦点が合わされたときに、各部材が融解する。
【0035】
上記の例示のステップ132’及び134’を用いて各種レーザー溶接継手を記述してもよい。例えば、一実施例において、メインパネル部材の間の接合部にレーザービームの焦点を合わせ、溶接継手形成のために一つの位置に維持することにより、レーザースポット溶接を形成してもよい。別の実施例において、連続的な又は細長の溶接部(図2に示す溶接部20’など)を形成するために、溶接継手の形成中に、レーザービーム及びメインパネル部材を側面に沿って互いに対して動かしてもよい。通常、メインパネル部材と構造部材が一つの場所にとどまっている間にレーザービームが動くよう構成されるが、レーザービームが一つの場所に固定されている間にメインパネル部材と構造部材とが動くよう構成されてもよく、あるいはレーザービーム、メインパネル部材及び構造部材が動くよう構成されてもよい。
【0036】
無論、溶接ステップ130に関する上記記載は単なる例でしかない。異なる実施形態から取り出した個別の方法ステップからなる多数の組み合わせが可能である。例えば、方法100は、抵抗溶接継手とレーザー溶接継手の両方の形成を含む種々の溶接ステップ130を含んでもよい。また当業者は、各溶接用開口部の位置で溶接継手を形成するために、複数の溶接用開口部の位置で同じ溶接電極又は複数の溶接電極を複数回連続して用いてもよいことを認識する。例えば、一つの溶接用開口部で溶接継手を形成し、別の溶接用開口部と整列させ、別の溶接用開口部で一以上の溶接継手を形成する、などによって、一対の抵抗スポット溶接電極を用いて、図1に示す溶接用開口部のパターン60に含まれる各溶接用開口部で溶接継手を形成してもよい。
【0037】
一般的な自動組立工程では、例えば、一対の対向スポット溶接電極をロボットアーム又は他のコンピュータ制御装置に取り付けてもよく、ここでスポット溶接電極が一つの所定溶接継手位置から別の溶接継手位置に素早く動きながら多数の溶接継手を所定位置で形成するようプログラムされる。そのような溶接継手の位置の精度は、溶接される部品間の位置の再現性に大きく依存する。例えば、複数回所定位置に移動するようプログラムされたロボットアームは、非常に高い精度と再現性でそれを達成する。しかしながら、自動車のシャーシなどの大きな部品はそれ自体が固有の公差を有するので、組立ライン上の全てのシャーシが、ロボット溶接ステーションに到達する間に厳密に同じ位置にあるとはならない。アセンブリの一以上の層内に形成された溶接用開口部を有する車両パネルアセンブリを提供することにより、溶接装置が溶接用開口部を位置決め補助手段として用いることができ、これにより溶接継手の位置の再現性が向上する。
【0038】
例えば、自動溶接装置は、溶接電極又はレーザーを予めプログラムされた溶接継手座標に動かすよりも、センサ(例えば近接センサ、視覚システム又は他のリアルタイムフィードバック装置)を有するフィードバックシステムを用いて、溶接用開口部の縁又は他の特徴部に基づいて、溶接継手の位置を細かく調節して、溶接電極又はレーザーを適宜位置決めしてもよい。車両パネルアセンブリの一つの溶接用開口部を、フィードバックシステム内の溶接継手位置決め基準として用いてもよい。さらに、手動のスポット溶接又は他の溶接装置が採用される場合であっても、騒音減衰パッチ内に溶接用開口部を含むことにより生じる上記のいくつかの車両パネルアセンブリにおける局所厚さのばらつきは、有用である。例えば、スポット溶接電極の先端の寸法及び構成は、溶接用開口部内に収まるよう設計され、これにより溶接電極の先端即ち対応する溶接継手が積極的に機械的に位置決めされる。
【0039】
本明細書の記載は本発明の定義ではなく、本発明の一以上の好ましい実施例の説明である。本発明は本明細書に開示される特定の(複数の)実施形態に限定されず、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義される。さらに、本明細書に含まれる記載は具体的な実施形態に関するものであり、用語又は表現が本明細書内で明確に定義されている場合を除いては本発明の範囲又は特許請求項の範囲に使用される用語に対する限定として解釈されるべきではない。さまざまな他の実施形態並びに記載された(複数の)実施形態に対する種々の変更及び修正は当業者に明らかとなる。例えば、特定の組み合わせ及びステップの順番は単に一つの可能性であり、本発明の方法は、本明細書に記載のものより少ない、多いステップ又は異なるステップの組み合わせを含んでもよい。そのような他の実施形態、変更及び修正は全て本明細書に添付された特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
【0040】
本明細書及び特許請求の範囲の中で使用される場合、用語「例えば」、「など」、「場合によって」及び「のような」並びに動詞「有する」、「含む」、「設けられた」及び他の動詞形態は、各々、一以上の構成要素又は他の部品のリストと共に使用された場合には追加可能であり、即ちリストは他の追加の構成要素又は部品を排除するものではない。他の用語は、異なる解釈が要求される内容で使用されていない限り、それらの最も広い適切な意味を用いて解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の構造部材に連結されたメインパネル部材と、前記メインパネル部材に接着された騒音減衰層と、溶接継手と、を有する車両パネルアセンブリであって、
前記メインパネル部材は、騒音及び/又は振動源にさらされた音響的活動領域を有し、
前記騒音減衰層は、一以上の溶接用開口部を有し、且つ前記メインパネル部材の前記音響活動領域を少なくとも部分的に覆うよう構成され、
前記騒音減衰層の前記溶接用開口部内に前記溶接継手が形成され、
前記溶接継手は、前記騒音減衰層からの材料を含むことなく前記車両の前記構造部材及び前記メインパネル部材からの材料を含み、
前記溶接継手が、前記車両パネルアセンブリを前記車両の前記構造部材に連結する
ことを特徴とする車両パネルアセンブリ。
【請求項2】
前記車両パネルアセンブリは、前記メインパネル部材に連結された騒音減衰パッチを有し、
前記騒音減衰パッチは、前記騒音減衰層内の前記溶接用開口部と整列した溶接用開口部を有し、
前記騒音減衰パッチは、前記メインパネル部材の前記音響的活性領域の少なくとも一部を覆うよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両パネルアセンブリ。
【請求項3】
前記メインパネル部材及び前記騒音減衰パッチは剛性金属部品であり、
前記騒音減衰層は、前記騒音減衰パッチを前記メインパネル部材に接着する粘弾性の騒音減衰接着剤を含む
ことを特徴とする請求項2に記載の車両パネルアセンブリ。
【請求項4】
前記騒音減衰層及び/又は前記騒音減衰パッチは、前記車両の前記構造部材の形状に沿うパターンに配列された複数の溶接用開口部を有することを特徴とする請求項2に記載の車両パネルアセンブリ。
【請求項5】
前記騒音減衰層及び/又は前記騒音減衰パッチには、複数の溶接継手を収容する一つの溶接用開口部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両パネルアセンブリ。
【請求項6】
前記騒音減衰層及び/又は前記騒音減衰パッチには、スポット溶接部を収容する全体的に円形状の溶接用開口部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両パネルアセンブリ。
【請求項7】
前記騒音減衰層及び/又は前記騒音減衰パッチには、連続的な溶接部を収容する全体的に細長い形状の溶接用開口部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両パネルアセンブリ。
【請求項8】
前記構造部材は前記車両の構造横材であり、前記車両パネルアセンブリはダッシュパネルの一部であることを特徴とする請求項1に記載の車両パネルアセンブリ。
【請求項9】
車両の構造部材と接触するメインパネル部材と、前記メインパネル部材と接触する騒音減衰接着剤層と、前記騒音減衰接着剤層と接触する騒音減衰パッチと、溶接継手と、を有する車両パネルアセンブリであって、
前記メインパネル部材は、騒音及び/又は振動源にさらされた音響的活動領域を有し、
前記騒音減衰接着剤層は、第一溶接用開口部を有し、
前記騒音減衰パッチは、前記第一溶接用開口部と整列した第二溶接用開口部を有し、且つ前記音響活動領域を少なくとも部分的に覆うよう構成され、
前記溶接継手は、前記騒音減衰接着剤層の前記第一溶接用開口部及び前記騒音減衰パッチの前記第二溶接用開口部によって、少なくとも部分的に囲まれ、
前記溶接継手が、前記車両パネルアセンブリを前記車両の前記構造部材に連結する
ことを特徴とする車両パネルアセンブリ。
【請求項10】
車両の構造部材に車両パネルアセンブリを連結する方法において、
(a)メインパネル部材、接着剤層及び騒音減衰パッチを有する車両パネルアセンブリを用意するステップと、ここで前記接着剤層及び/又は前記騒音減衰パッチには溶接用開口部が設けられており、
(b)前記溶接用開口部が前記構造部材と整列するよう、前記車両の前記構造部材上に前記車両パネルアセンブリを位置決めするステップと、
(c)前記メインパネル部材及び前記構造部材からの材料により形成され且つ前記溶接用開口部内に配置された一以上の溶接継手により、前記車両パネルアセンブリを前記車両の前記構造部材に溶接するステップと、を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記ステップ(a)が、
(i)メインブランク材と、前記メインブランク材よりも小さく且つ前記溶接用開口部を有する騒音減衰ブランク材と、を用意するステップと、
(ii)前記溶接用開口部の周囲に接着剤が存在しないよう前記騒音減衰ブランク材の裏面に前記接着剤層を適用し、前記接着剤層により前記騒音減衰ブランク材を前記メインブランク材に連結するステップと、
(iii)前記メインブランク材、前記接着剤層及び前記騒音減衰ブランク材を一体形成して前記車両パネルアセンブリを形成するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(c)が、
(i)フィードバックシステムにおいて、前記溶接継手を位置決めするための基準として前記溶接用開口部を使用するステップと、
(ii)前記溶接継手を用いて前記車両パネルアセンブリを前記車両の前記構造部材に溶接するステップと、を含む
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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