説明

車両制御システム

【課題】減速時にコーストロックアップ及び燃料カット状態の時間を増大させて燃費の向上を図ることができるとともに、加速時にエアコンの作動を停止させることによる冷房性能の悪化を低減することができる車両制御システムを提供する。
【解決手段】エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、減速をともなう走行状態、並びに加速動作を予測し、エアコン作動時に、予測された動作が冷房効率の高い所定の走行条件を満たす場合には、コンプレッサ4の冷媒吐出量を増大させて蓄冷を行うモードに切り換える制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内の冷房を行う空調装置を備え、車両の減速時にエンジンへの燃料供給を停止する車両に搭載される車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の減速時における燃料の消費効率を改善するためには、車両の減速中においてより多くの時間にわたって、エンジンからの燃料噴射を中断すること(燃料カット)が有効であることが知られている。そのため、車両は、エンジンと変速機との間にあるトルクコンバータのクラッチを接続状態にし、燃料噴射がない状態であっても、車輪の回転力によってエンジン出力軸が回転する状態(コーストロックアップ及び燃料カット状態)を作り出し、このコーストロックアップ及び燃料カット状態を長く維持するように制御している(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
具体的には、特許文献1には、車両の減速時にエンジンへの燃料供給を停止する車両に用いられる空調装置が記載されている。特に、この空調装置は、車両が減速している状態で、コンプレッサが作動している時におけるコーストロックアップ及び燃料カット状態を長く維持するために、車両減速度に基づいて、コンプレッサの冷媒吐出量を小さくする制御を行い、エンジンブレーキ力を弱めることにより、燃料カット状態から燃料噴射を再開するという状態に移行するタイミングを遅らせている。また、この空調装置は、車両減速時において、減速度が過多とならず、エンジンストップの可能性が殆どない車速が高い状況の場合には、コンプレッサの冷媒吐出量を増加させておき、減速期間の後半付近からコンプレッサの冷媒吐出量を小さくする制御を行う際の冷房性能を確保する動作としている。
【0004】
また、車両は、動力性能を優先するために、加速時に所定のアクセル開度以上となっている場合には、コンプレッサの作動を停止するような制御(エアコンカット)が行われているの場合がある。
【特許文献1】特開2004−237752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エアコンを使用した状態で、40〜50km/h程度の走行車速で郊外路を走行している際に減速させた場合には、減速中に、上述した特許文献1に開示されているような作動を行う時間を十分に確保することができない。すなわち、例えば車速40km/hから減速した場合には、減速期間の初期に、コンプレッサの冷媒吐出量を増加させ得る時間が殆どない。そのため、コンプレッサの冷媒吐出量を小さくしてエンジンブレーキ力を弱めたとしても、減速開始後に短時間で減速度が過多となり、コーストロックアップ及び燃料カット状態を中止する作動となってしまい、十分に燃料消費改善を行うことができなかった。
【0006】
したがって、このような従来技術による制御を行う場合には、減速が開始されてから蓄冷が開始されるので、蓄冷量が不足するおそれがあるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、減速時にコーストロックアップ及び燃料カット状態の時間を増大させて燃費の向上を図ることができるとともに、加速時にエアコンの作動を停止させることによる冷房性能の悪化を低減することができる車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる車両制御システムは、減速をともなう走行状態、並びに加速動作を予測し、空調装置の作動時に、予測された動作が冷房効率の高い所定の走行条件を満たす場合には、コンプレッサの冷媒吐出量を増大させて蓄冷を行うモードに切り換える制御を行うことで、上述の課題を解決する。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる車両制御システムによれば、減速時にコーストロックアップ及び燃料カット状態の時間を増大させて燃費の向上を図ることができるとともに、加速時に空調装置の作動を停止させることによる冷房性能の悪化を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、本発明にかかる車両制御システムを、車両に搭載されたエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムに適用した例について、具体的に説明する。
【0011】
[エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムの構成]
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、減速時にエンジンへの燃料供給を停止する車両に搭載される。図1に示すように、エンジン1には、気筒毎に燃料インジェクタ2a〜2dが設けられ、気筒毎に、燃料の供給又は停止動作、及び燃料供給量が制御可能とされる。ここでは、4気筒エンジンの場合を図示している。また、自動変速機3は、特に図示しないが、トルクコンバータと、変速機と、ロックアップクラッチとを備える。なお、ここでは、ロックアップクラッチ付き自動変速機を備えた車両を例に挙げて説明するが、本発明は、ロックアップクラッチ付き自動変速機に代えて、ロックアップ機能付きCVT(Continuously Variable Transmission)を備えた車両に対しても適用することができる。
【0012】
エアコンシステム(空調装置)は、蒸気圧縮式冷媒サイクルとして、コンプレッサ4と、コンデンサ5と、レシーバ・ドライヤ6と、エキスパンション・バルブ7と、エバポレータ8とを備える。
【0013】
コンプレッサ4は、例えば傾斜板ピストン式のものである。コンプレッサ4は、回転軸に対して斜め方向に取り付けられた図示しない傾斜板を回転させることによってピストンを駆動し、冷媒を圧縮する。このコンプレッサ4には、斜板コントロールバルブ4aが設けられており、斜板コントロールバルブ4aを制御して傾斜板の傾きを変えることにより、ピストンのストローク量を変化させる。具体的には、傾斜板の傾きを大きくするのにともない、ピストンのストローク量が大きくなり、コンプレッサ4の冷媒吐出量が増加する。逆に、傾斜板の傾きを小さくするのにともない、ピストンのストローク量が小さくなり、コンプレッサ4の冷媒吐出量が減少する。
【0014】
また、コンプレッサ4は、プーリー及びベルト9を介してエンジン1に連結されており、エンジン1によって駆動される。さらに、コンプレッサ4には、クラッチ4bが設けられており、クラッチ4bの開閉によって当該コンプレッサ4の運転と停止とが切り換えられる。
【0015】
なお、傾斜板ピストン式のコンプレッサ4を用いた例を示すが、コンプレッサ4は、傾斜板ピストン式のものに限らず、冷媒吐出量を制御可能な可変容量型コンプレッサであればいかなるものであってもよい。
【0016】
コンデンサ5は、車両前部に取り付けられ、走行風圧に応じてコンプレッサ4によって圧縮された高温・高圧の冷媒を、外気との間で熱交換することによって冷却する車室外熱交換器である。
【0017】
レシーバ・ドライヤ6は、リキッドタンクとも称され、冷媒の気液分離と水分の除去とを行う。このレシーバ・ドライヤ6には、蒸気圧縮式冷媒サイクルの高圧側冷媒圧力を検出するための圧力センサ10が設けられる。
【0018】
エキスパンション・バルブ7は、高圧で液状の冷媒を低圧で霧状の冷媒に気化させる膨張弁である。
【0019】
エバポレータ8は、車室内の空調ダクト11のブロアファン12の下流に設置され、ブロアファン12によって送風された空気を冷却する車室内熱交換器である。このエバポレータ8の下流には、当該エバポレータ8を通過した空調風の温度を検出するための温度センサ13が設けられる。
【0020】
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エアコン・コントローラ20と、デフロスタースイッチ(DEF SW)21と、エンジン・コントローラ22とを備える。
【0021】
エアコン・コントローラ20は、車室内の空調制御を行う制御装置であり、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、A/Dコンバーター等から構成される。このエアコン・コントローラ20には、フロントウィンドウの曇り取りを行うためのデフロスタースイッチ(DEF SW)21、エバポレータ8の通過後の空気温度を検出する温度センサ13、エンジン・コントローラ22、斜板コントロールバルブ4a、クラッチ4b等が接続される。
【0022】
エンジン・コントローラ22は、エンジン1の燃料噴射制御と点火制御とを行い、回転速度と出力トルクとを調節する装置であり、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM、A/Dコンバーター等から構成される。このエンジン・コントローラ22には、エアコン・コントローラ20、エンジン1の回転速度を検出するエンジン回転センサ23、車両の走行速度を検出する車速センサ24、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ25、ブレーキペダルの踏み込み状態を検出するブレーキスイッチ26、変速機コントローラ27、エンジン1を冷却する冷却水の水温を制御する可変サーモスタット28、燃料インジェクタ2a〜2d等が接続される。
【0023】
なお、変速機コントローラ27は、自動変速機3のシフト制御やトルクコンバータのロックアップを行う制御装置であり、図示しないCPU、ROM、RAM、A/Dコンバーター等から構成される。
【0024】
エンジン・コントローラ22は、車速センサ24によって検出した車速の単位時間当たりの変化量に基づいて、車両の加速度及び減速度を算出し、これをエアコン・コントローラ20に通知するように動作する。また、エンジン・コントローラ22は、燃費を向上させるために車両の減速時に燃料カットを行う。トルクコンバータと変速機、あるいはトルクコンバータとCVTとを備えた車両では、例えば25km/h程度の低い車速まで燃料カットを行うためには、ロックアップクラッチによってトルクコンバータをロックアップし、燃料カット中のエンジンストールを防止する。
【0025】
このようなエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、コンプレッサ4から吐出された冷媒を、コンデンサ5、エキスパンション・バルブ7、及びエバポレータ8に循環し、車室内の冷房を行う。
【0026】
[エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムの動作]
ところで、交通流や走行経路が一定である場合には、その走行経路における走行所要時間は略一定であり、さらに、その走行経路をいくつかの区間に区切った区間走行所要時間も略一定であることがわかっている。例えば、通勤において使用経路や走行時間帯が略定まっている場合には、図2に示すように、区間走行時間が略一定となる。このことから、加速や減速、停止といった運転動作を示す走行パターンは略一定であると考えることができる。
【0027】
そこで、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、この使用経路や走行時間帯が略定まっていると区間走行所要時間が略一定である、すなわち、車両の走行パターンが略一定であることを利用する。具体的には、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、例えば自宅出発から会社到着までといった走行距離(トリップ距離)に対して、減速をともなう低車速走行及び停止といった走行状態、また、加速の走行パターン学習を行い、この学習結果に基づいて、将来発生する減速をともなう低車速走行や停止といった走行状態、また、加速動作の予測を行う。
【0028】
そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エアコンの作動時には、車両の減速時におけるコンプレッサ4の冷媒吐出量を減少させる制御作動又はコンプレッサ4の作動停止と、車両の加速時におけるエアコンカット制御作動とを予測し、車両の加速又は減速が発生する事前(数分前)の一定車速走行時からコンプレッサ4の動作を事前蓄冷制御モードに切り換える制御を行う。これにより、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、冷房性能を損なわずに、車両燃費向上の実現を図る。
【0029】
また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エンジン1の冷却水制御温度についてハイ/ローのレベル設定があるものは、将来発生する減速又は一定車速走行からの加速動作を予測し、事前の一定車速等の軽負荷状態のときに、エンジン1の冷却水温度をハイレベル制御からローレベル制御に切り換える。ハイレベル制御は、エンジン1の冷却水温度を所定の第1の温度値となるように制御することであり、ローレベル制御は、エンジン1の冷却水温度を第1の温度値よりも低い所定の第2の温度値となるように制御することである。これにより、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、加速時の点火時期リタードによるエンジン1の熱効率悪化、すなわち、加速性能の低下や、燃料消費の悪化を改善する。
【0030】
具体的には、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エンジン・コントローラ22の制御に従って、以下のような処理を行うことにより、コンプレッサ4やエンジン1の制御を行う。
【0031】
[走行パターン情報の整理]
まず、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、車両の走行パターンの把握を行うために、エンジン・コントローラ22によって収集されている情報を用いて、例えば図3に示すように、車両走行を行った年・月・日・曜日毎に、エンジン1の始動後における累積走行距離に対する、区間走行所要時間、区間平均車速、必要アクセルオフ発生時期情報、必要加速時エアコンカット発生時期情報、エンジン1の冷却水温度のハイレベル制御からローレベル制御への切り換え発生の履歴情報を収集し、図示しないメモリ等に記憶させる。
【0032】
具体的には、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エンジン1の始動後における累積走行距離を、
Σ(単位時間×車速)
という演算を行って求める。
【0033】
また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、区間走行所要時間を、
(累積走行距離ポイントNに達したときの経過時間n)−(累積走行距離ポイントN−1に達したときの経過時間n−1)
という演算を行うことによって求める。このとき、隣接するポイントNとポイントN−1との区間距離は、例えば1km程度とする。
【0034】
さらに、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、区間平均車速を、
{(累積走行距離ポイントN)−(累積走行距離ポイントN−1)}/{(累積走行距離ポイントNに達したときの経過時間n)−(累積走行距離ポイントN−1に達したときの経過時間n−1)}
という演算を行うことによって求める。
【0035】
さらにまた、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、車両の加速度及び減速度を、
単位時間あたりの車速変化/単位時間
という演算を行って求める。
【0036】
また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、例えば車速が40km/h以上、且つ、アクセルオフ時間が5秒以上といった、所定の設定条件を満足した状態が発生した際に、図示しない車載コンピュータ上でフラグを立てることにより、必要アクセルオフ発生時期情報を収集する。
【0037】
さらに、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、例えば車速が40km/h以上、且つ、加速時エアコンカットが発生した際に、図示しない車載コンピュータ上でフラグを立てることにより、必要加速時エアコンカット発生時期情報を収集する。
【0038】
さらにまた、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、車両の加速時に、エンジン1の冷却水温度のハイレベル制御からローレベル制御への切り換えが発生した際に、図示しない車載コンピュータ上でフラグを立てることにより、制御切り換え発生の履歴情報を収集する。
【0039】
[走行パターンの分類]
つぎに、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、走行した実績情報を、エンジン始動時間(24時間)、走行開始(トリップ開始)から終了までの「累積走行距離」に応じてグループ分けする。このとき、グループ区分は、例えば、エンジン始動時間については20分毎の72区分、累積総距離については200メートル毎の250区分とするといったように、予め設定した区分とする。図4に、グループ分けマップの具体例を示す。また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、必要に応じて、このようなグループ分けマップに、エンジン1の始動及び走行開始からエンジン1の停止までの「トリップ時間」を追加し、より詳細な区分けを行ってもよい。このトリップ時間のグループ区分についても同様に、例えば10分毎の12区分といったように、予め設定した区分とする。
【0040】
[グループ分けされた走行パターンの整理]
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、走行パターンをグループ分けすると、各グループ毎に、エンジン1の始動時間、エンジン1の始動からエンジン1の停止までのトリップ距離、車両走行を行った年・月・日・曜日、区間走行所要時間、区間平均車速、必要アクセルオフ発生時期フラグが立ったときの累積走行距離、必要加速時エアコンカット発生時期フラグが立ったときの累積走行距離、エンジン1の冷却水温度のハイレベル制御からローレベル制御への切り換え発生フラグが立ったときの累積走行距離についてデータを蓄積する。
【0041】
そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、蓄積したデータに基づいて、先に図3に示したように、エンジン1の始動後における累積走行距離に対する、区間走行所要時間、区間平均車速、必要アクセルオフ発生時期フラグが立ったときの累積走行距離、必要加速時エアコンカット発生時期フラグが立ったときの累積走行距離、エンジン1の冷却水温度のハイレベル制御からローレベル制御への切り換え発生フラグが立ったときの累積走行距離のそれぞれの平均値とその標準偏差とを算出し、これら平均値及び標準偏差を、一の走行パターンとして、図示しない車載コンピュータに保管する。なお、一の走行パターンは、例えばグループ名ABCを用いて走行パターンNo.ABC等のように識別可能な名称を付す。
【0042】
[走行パターンの判定]
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、このようにして走行パターンを学習し、図示しない車載コンピュータに保管する。そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エンジン1が始動されると、制御に用いる走行パターンを判定する。具体的には、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、以下のような3つの段階において走行パターンを判定する。
【0043】
まず、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、第1段階として、エンジン1の始動時間(24時間時間単位)を参照し、この始動時間帯に属するグループを同一走行パターン候補として選択する。続いて、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、選択したグループの候補のうち、データの蓄積数が最も多いグループの走行パターンを第1位とし、以下、データの蓄積数に応じて候補の順位付けを行う。このとき、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、データの蓄積数が同等であった場合には、累積走行距離が短い候補の順位を上位にする。また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、参照した始動時間帯に属するグループに蓄積されている走行パターン情報がない場合には、参照する時間帯を1区分だけ前の時間帯にずらし、その時間帯に属するグループ群から、データの蓄積がなされているグループを選択する。
【0044】
一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、1区分だけ前にずらした時間帯に属するグループにも蓄積されている走行パターン情報がない場合には、参照する時間帯を1区分だけ後の時間帯にずらし、その時間帯に属するグループ群から、データの蓄積がなされているグループを選択する。さらに、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、1区分だけ後にずらした時間帯に属するグループにも蓄積されている走行パターン情報がない場合には、候補なしと判定し、上述した走行パターン情報の入手及び整理のみを行う。
【0045】
また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、第2段階として、実際に車両が走行を開始し始めてから、走行時に計測集計を行っている区間所要時間について参照を行う。このとき、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、順位の高い候補から参照していく。そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、第1番目にデータが得られる区間所要時間の結果と第1段階にて候補として選択した走行パターン情報の中の第1番目の区間所要時間のデータとを比較する。区間所要時間と候補として選択した走行パターン情報の区間所要時間との差が、例えば標準偏差(σ)といった予め設定した範囲内である場合には、選択した同一走行パターン候補をそのまま残す。一方、当該差が設定した範囲外である場合には、第1段階にて設定した候補順位を最下位に繰り下げ、それよりも下位であった候補の順位を繰り上げる。また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、複数の走行パターンについて設定した範囲を外れた場合には、その設定範囲外となった走行パターン候補の中で、範囲外となる度合いの大きさに応じて順位付けを行う。
【0046】
さらに、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、第3段階として、実際に車両が走行を開始し始めてから、走行時に計測集計を行っている区間所要時間について参照する動作を継続する。エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、この第3段階以降では、第2番目の区間にて計測集計される区間所要時間について、第2段階と同様の処理を行う。また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、第4段階以降においても同様の処理を継続して行う。
【0047】
このような処理をフローチャートによって表現すると、図5及び図6に示すような処理手順になる。
【0048】
すなわち、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、図5に示すように、エンジン1を始動すると、ステップS1において、エンジン1の始動時間帯が同一のグループ群の中に走行パターン情報が蓄積されたグループがあるか否かを判定する。このグループがあると判定した場合には、ステップS2において、そのグループを選択し、ステップS3へと処理を移行する。
【0049】
一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS1において、始動時間帯が同一のグループ群の中に走行パターン情報が蓄積されたグループがない場合には、ステップS4に処理を進める。ステップS4において、始動時間帯を1区分だけ前の時間帯にずらしたときに参照するグループ群の中に走行パターン情報が蓄積されたグループがあるか否かを判定する。ステップS4において、このグループがあると判定した場合には、ステップS5において、そのグループを選択し、ステップS3へと処理を移行する。
【0050】
また、ステップS4において、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、始動時間帯を1区分だけ前の時間帯にずらしたときに参照するグループ群の中に走行パターン情報が蓄積されたグループがないと判定した場合には、ステップS6に処理を進める。
【0051】
ステップS6において、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、始動時間帯を1区分だけ後の時間帯にずらしたときに参照するグループ群の中に走行パターン情報が蓄積されたグループがあるか否かを判定する。ステップS6において、このグループがあると判定した場合には、ステップS7において、そのグループを選択し、ステップS3へと処理を移行する。さらに、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、始動時間帯を1区分だけ後の時間帯にずらしたときに参照するグループ群の中に走行パターン情報が蓄積されたグループもない場合には、候補なしと判定し、ステップS8において、走行パターン情報を収集して蓄積し、ステップS9において、グループ毎のトリップ距離の算出を行い、一連の処理を終了する。
【0052】
また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、グループを選択してステップS3へと処理を移行し、選択されたグループが複数ある場合には、データの蓄積数が多い順に順位付けを行う。そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS10において、エンジン1が稼働状態又は車両が走行状態であると判定した場合には、ステップS11において、候補として選択した走行パターン情報の中の第1番目の区間所要時間のデータが集計可能か否かを判定する。ステップS11において、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、データが集計可能でないと判定した場合には、ステップS10の処理を繰り返す一方で、データが集計可能であると判定した場合には、図6中ステップS12へと処理を移行する。
【0053】
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS12において、第1番目の区間所要時間が、選択された第1位のグループの走行パターン情報の中の第1番目の区間所要時間の平均値に対して、予め設定した範囲内(標準偏差σ以内)の時間であるか否かを判定する。エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、第1番目の区間所要時間が、標準偏差σ以内であった場合には、ステップS13及びステップS14において、選択されたグループの順位を第1位のままとし、第1位の候補を明確化する。この明確化された候補は、後述するコンプレッサ4の事前蓄冷制御モードにおいて用いられる。また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS12の判定の結果、第1番目の区間所要時間が、標準偏差σ以内でなかった場合には、ステップS15に処理を進める。
【0054】
ステップS15においては、第1番目の区間所要時間が、選択された第2位のグループの走行パターン情報の中の第1番目の区間所要時間の平均値に対して、予め設定した範囲内(標準偏差σ以内)の時間であるか否かを判定する。ここで、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、第1番目の区間所要時間が標準偏差σ以内であった場合には、ステップS16において、選択されたグループの第2位の候補の順位を第1位に繰り上げ、第1位であった候補の順位を第2位に繰り下げ、ステップS14において、第1位の候補を明確化する。
【0055】
さらに、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS15の判定の結果、第1番目の区間所要時間が標準偏差σ以内でなかった場合には、ステップS17において、第1番目の区間所要時間が、選択された他の順位のグループの走行パターン情報の中の第1番目の区間所要時間の平均値に対して、予め設定した範囲内(標準偏差σ以内)の時間であるか否かの判定を、順位が高い順に行い、ステップS14において、第1位の候補を明確化する。このとき、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS18において、選択されたグループのいずれについても、第1番目の区間所要時間が予め設定した範囲内(標準偏差σ以内)の時間とならない場合には、グループ群の順位を変更せずに、ステップS14において、第1位の候補を明確化する。
【0056】
そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS19において、エンジン1が稼働状態又は車両が走行状態であると判定した場合には、ステップS20において、候補として選択した走行パターン情報の中の第2番目の区間所要時間のデータが集計可能か否かを判定する。ここで、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、データが集計可能でないと判定した場合には、ステップS19からの処理を繰り返す。エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、このような処理を第n番目の区間所要時間まで同様に行うことにより、第1位の候補を明確化する。
【0057】
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、このような一連の処理を行うことにより、制御に用いる走行パターンを判定することができる。
【0058】
[エアコンコンプレッサの蓄冷制御モード指令]
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、走行パターンを判定すると、その走行パターンに基づいて、車両走行時の数分後に発生する減速をともなう低車速走行や停止といった走行状態、また、加速動作の予測を行うことが可能となる。そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エアコン作動時に、予測した動作が冷房効率の高い所定の走行条件を満たす場合には、コンプレッサ4の動作を事前蓄冷制御モードに切り換える制御を行う。
【0059】
具体的には、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、上述した走行パターンの判定の各段階にて順位が第1位である走行パターンの累積走行距離に対する必要アクセルオフ発生時期フラグ及び必要加速時エアコンカット時期フラグの平均値及び標準偏差(σ)に基づいて、現時点の累積走行距離が、
(必要アクセルオフ発生時期フラグの平均値)−3×(必要アクセルオフ発生時期フラグの標準偏差)
、又は、
(必要加速時エアコンカット時期フラグの平均値)−3×(必要加速時エアコンカット時期フラグの標準偏差)
によって算出される地点になり、且つ、例えば40km/h等、そのときの車速が予め設定された車速以内であり、且つ、一定車速走行であるといった走行条件が満足され、エアコン・コントローラ20からの許可信号を得ている場合には、コンプレッサ4の冷媒吐出量を増加させる蓄冷制御指令を出力する。なお、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、従来から行われている減速時におけるエアコン制御や加速時におけるエアコンカット制御等が行われている場合には、蓄冷制御モードを解除する。
【0060】
このような処理をフローチャートによって表現すると、図7に示すようになる。
【0061】
すなわち、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS31において、ユーザがエアコンのスイッチを操作してエアコンを作動させたか否かを判定する。ここで、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エアコンを作動させていない場合には、ステップS32において、蓄冷制御モードへの切り換えを中止する。
【0062】
一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エアコンを作動させた場合には、ステップS33において、図5中ステップS14にて明確化された第1位のグループの走行パターン情報を読み出し、ステップS34において、現時点の累積走行距離と、候補としている走行パターン情報における加速時エアコンカット発生時期フラグが立ったときの累積走行距離や減速時エアコンカット発生時期フラグが立ったときの累積走行距離(平均値−3σ)とを比較する。
【0063】
そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS35において、現時点の累積走行距離が(平均値−3σ)以内でないと判定した場合には、ステップS40へと処理を移行し、通常のエアコン制御モードに切り換え、ステップS31からの処理を繰り返す。一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、現時点の累積走行距離が(平均値−3σ)以内であると判定した場合には、ステップS36において、現時点の車速が予め設定された車速以内であり、且つ、一定車速走行であるか否かを判定する。エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、この走行条件を満たしていないと判定した場合には、ステップS40へと処理を移行し、通常のエアコン制御モードに切り換え、ステップS31からの処理を繰り返す。
【0064】
一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、走行条件を満たしたと判定した場合には、ステップS37において、エアコン・コントローラ20から蓄冷不許可信号が出力されているか否かを判定し、蓄冷不許可信号が出力されている場合には、ステップS40へと処理を移行し、通常のエアコン制御モードに切り換え、ステップS31からの処理を繰り返す。
【0065】
また、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、蓄冷不許可信号が出力されていない場合には、ステップS38において、温度センサ13によって検出されたエバポレータ8の温度が所定の設定温度以上であるか否かを判定する。エバポレータ8の温度が設定温度未満であった場合には、ステップS40へと処理を移行し、通常のエアコン制御モードに切り換え、ステップS31からの処理を繰り返す。
【0066】
一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、エバポレータ8の温度が設定温度以上であった場合には、ステップS39において、コンプレッサ4の冷媒吐出量を増加させる蓄冷制御指令を出力し、コンプレッサ4の事前蓄冷を行い、ステップS36からの処理を繰り返す。
【0067】
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、このような一連の処理を行うことにより、コンプレッサ4の事前蓄冷を行い、冷房性能を損なわずに、車両燃費向上の実現を図ることができる。
【0068】
[エンジン冷却水温度のハイレベル制御からローレベル制御への切り換え指令]
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、判定した走行パターンに基づいて、将来発生する減速又は一定車速走行からの加速動作を予測し、事前の一定車速等の軽負荷状態のときに、エンジン1の冷却水温度をハイレベル制御からローレベル制御に切り換える制御を行う。
【0069】
具体的には、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、上述した走行パターンの判定の各段階にて順位が第1位である走行パターンの累積走行距離に対するエンジン1の冷却水温度のハイレベル制御からローレベル制御への切り換え発生フラグの平均値及び標準偏差(σ)に基づいて、現時点の累積走行距離が、
(加速時におけるハイレベル制御からローレベル制御への切り換え発生フラグの平均値)−3×(加速時におけるハイレベル制御からローレベル制御への切り換え発生フラグの標準偏差)
によって算出される地点になり、且つ、一定車速走行又は減速走行であるといった走行条件が満足され、エンジン・コントローラ22からの許可信号を得ている場合には、可変サーモスタット28に対して、エンジン1の冷却水温度をハイレベル制御からローレベル制御に切り換える指令を出力する。
【0070】
このような処理をフローチャートによって表現すると、図8に示すようになる。
【0071】
すなわち、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS51において、エンジン1の冷却水温度がハイレベル制御になっているか否かを判定する。ここで、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、既にローレベル制御になっている場合には、ステップS52において、レベル切り換えを中止する。一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ハイレベルになっている場合には、ステップS53において、図5中のステップS14にて明確化された第1位のグループの走行パターン情報を読み出し、ステップS54において、現時点の累積走行距離と、候補としている走行パターン情報におけるエンジン1の冷却水温度のハイレベル制御からローレベル制御への切り換え発生フラグが立ったときの累積走行距離(平均値−3σ)とを比較する。
【0072】
そして、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS55において、現時点の累積走行距離が(平均値−3σ)以内でないと判定した場合には、ステップS58へと処理を移行し、エンジン1の冷却水温度の通常制御モードに切り換え、ステップS51からの処理を繰り返す。
【0073】
一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、現時点の累積走行距離が(平均値−3σ)以内であると判定した場合には、ステップS56において、現時点の走行が一定車速走行又は減速走行であるか否かを判定する。エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、この走行条件を満たしていないと判定した場合には、ステップS58へと処理を移行し、エンジン1の冷却水温度の通常制御モードに切り換え、ステップS51からの処理を繰り返す。
【0074】
一方、エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、ステップS56において走行条件を満たしたと判定した場合には、ステップS57において、エンジン1の冷却水温度をハイレベル制御からローレベル制御へと切り換え、ステップS56からの処理を繰り返す。
【0075】
エアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、このような一連の処理を行うことにより、加速時の点火時期リタードによるエンジン1の熱効率悪化や燃料消費の悪化を改善することができる。
【0076】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示したエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムによれば、減速をともなう走行状態、並びに加速動作を予測し、エアコン作動時に、予測された動作が冷房効率の高い所定の走行条件を満たす場合には、コンプレッサ4の冷媒吐出量を増大させて蓄冷を行うモードに切り換える制御を行う。
【0077】
したがって、このエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、減速時にコーストロックアップ及び燃料カット状態の時間を増大させて燃費の向上を図ることができるとともに、加速時にエアコンの作動を停止させることによる冷房性能の悪化を低減することができる。
【0078】
また、このエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、車両の走行時間帯毎の運転動作を示す走行パターンを学習し、この学習結果に基づいて、将来発生する減速をともなう走行状態、並びに加速動作を予測することから、ナビゲーションシステム、VICS(Vehicle Information and Communication System)、車両間隔検知システムといった高価な交通流検知システムを用いることなく、低廉なコストのもとに車両の将来の走行状態を確実に予測することができる。
【0079】
さらに、このエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムは、車両の走行時間帯毎の運転動作を示す走行パターンを学習し、この学習結果に基づいて、将来発生する減速又は一定車速走行からの加速動作を予測し、予測された動作に基づいて、エンジン1の冷却水温度をハイレベル制御からローレベル制御に切り換えることから、加速時の点火時期リタードによるエンジン1の熱効率悪化、すなわち、加速性能の低下や、燃料消費の悪化を改善することができる。
【0080】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態として示すエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムの構成について示す図である。
【図2】累積走行距離に対する区間走行時間の関係を示す図である。
【図3】走行パターン情報の具体例を示す図である。
【図4】エンジン始動時間とトリップ開始とに応じて走行実績情報をグループ分けしたマップの具体例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態として示すエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムにおいて、走行パターン情報の判定を行う際の一連の処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態として示すエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムにおいて、走行パターン情報の判定を行う際の一連の処理を示すフローチャートであり、図5に示す工程に続く工程を示す図である。
【図7】本発明の実施形態として示すエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムにおいて、エアコンコンプレッサの動作を蓄冷制御モードに切り換える際の一連の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態として示すエアコンシステム及びエンジン冷却水温可変システムにおいて、エンジンの冷却水温度をハイレベル制御からローレベル制御へと切り換える際の一連の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 エンジン
2a〜2d 燃料インジェクタ
3 自動変速機
4 コンプレッサ
4a 斜板コントロールバルブ
4b クラッチ
5 コンデンサ
6 レシーバ・ドライヤ
7 エキスパンション・バルブ
8 エバポレータ
9 ベルト
10 圧力センサ
11 空調ダクト
12 ブロアファン
13 温度センサ
20 エアコン・コントローラ
21 デフロスタースイッチ(DEF SW)
22 エンジン・コントローラ
23 エンジン回転センサ
24 車速センサ
25 アクセル開度センサ
26 ブレーキスイッチ
27 変速機コントローラ
28 可変サーモスタット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容量型のコンプレッサから吐出された冷媒を、外気への放熱を行うコンデンサと、前記冷媒を気化させる膨張弁と、ブロアファンによって送風された空気を冷却するエバポレータとに循環し、車室内の冷房を行う空調装置を備え、車両の減速時にエンジンへの燃料の供給を停止する車両制御システムにおいて、
車両の減速をともなう走行状態、並びに加速走行を含む車両状態を予測する予測手段と、
前記空調装置の作動時に、前記予測手段によって予測された車両状態が冷房効率の高い所定の走行条件を満たす場合には、前記コンプレッサの冷媒吐出量を増大させて蓄冷を行うモードに切り換える蓄冷モード制御手段と
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
前記予測手段は、前記車両の走行時間帯毎の運転動作を示す走行パターンを学習し、この学習結果に基づいて、将来発生する減速をともなう走行状態、並びに加速走行を予測することを特徴とする請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記エンジンの冷却水温度を所定の第1の温度値となるように制御するハイレベル制御から、前記エンジンの冷却水温度を前記第1の温度値よりも低い所定の第2の温度値となるように制御するローレベル制御に切り換える制御を行うレベル制御手段を備え、
前記予測手段は、前記車両の走行時間帯毎の運転動作を示す走行パターンを学習し、この学習結果に基づいて、将来発生する減速又は一定車速走行からの加速動作を予測し、
前記レベル制御手段は、前記予測手段によって予測された加速動作に基づいて、前記エンジンの冷却水温度をハイレベル制御からローレベル制御に切り換えること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両制御システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−29344(P2009−29344A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197668(P2007−197668)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】