説明

車両制御システム

【課題】未登録の携帯機の車両側装置への追加登録時におけるセキュリティ性向上を図ることのできる車両制御システムを提供する。
【解決手段】車両制御システムでは、ID追加登録処理を実行する際、携帯機100から車両側装置200へ、イモビ通信を利用してイモビIDを送信することとした。LF帯の電波はRF帯の電波と比較して遠くまで到達しないため、携帯機100から車両側装置200までの電波の伝播経路上で盗聴される可能性が低くなる。したがって、未登録の携帯機の車両側装置へのID追加登録時におけるセキュリティ性の向上を図ることができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに携帯される登録済みの携帯機と車両に搭載される車両側装置との間における無線通信を用いて固有情報を照合し、その照合成立後に未登録の携帯機を車両側装置に登録する車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるワイヤレスリモートコントロールシステムが知られている。このシステムでは、ユーザに携帯される携帯機は、ロックボタンあるいはアンロックボタンが操作されると、施錠指示あるいは解錠指示とともにその携帯機に固有な情報であるキーIDを高周波数帯(RF帯)の電波にて車両側装置に送信する。車両側装置は、携帯機から送信されてくる信号を受信すると、予め登録されているキーIDと照合し、照合が成立する場合には、車両ドアを全て施錠あるいは解錠する。
【0003】
こうしたシステムにおいて、携帯機のキーIDを車両側装置に追加登録するには、一般に、車両に設けられる多重母線に診断ツールを接続し、車両側装置をID追加登録モードに移行させ、キーIDを追加登録する。しかしながら、診断ツールは特殊なツールであることから、実際には、例えばディーラや整備工場等においてのみ、携帯機のキーIDを車両側装置に追加登録することが可能であり、一般ユーザが自身で携帯機のキーIDを車両側装置に追加登録することはできず、利便性に問題があった。
【0004】
そこで、従来、車両側装置に既に登録された登録済みの携帯機を使用して車両側装置をキーID追加登録モードに移行させ、未登録の携帯機のキーIDを車両側装置に追加登録する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。こうした技術によれば、登録済みの携帯機の認証成立を前提としているため、セキュリティ性を確保することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2817108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両側装置にキーIDを追加登録すべく、キーID追加登録モードに移行した車両側装置に対して携帯機からキーIDを送信する場合、高周波数帯(RF帯)の電波が使用される。高周波数帯(RF帯)の電波は、低周波数帯(LF帯)の電波と比較してより遠くまで到達するため、盗聴される可能性が高くなってしまう。そしてひいては、車両側装置に登録されるキーIDが盗聴され、その盗聴されたキーIDを有する携帯機が複製されると、車両が盗難されてしまうことにもなりかねない。
【0007】
なお、こうした状況は、上記ワイヤレスリモートコントロールシステムに限らず、ユーザが携帯機を手に取ることなく車両ドアの施錠や解錠を行なうことのできるいわゆるスマートエントリーシステムにおいても同様に発生する。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、未登録の携帯機の車両側装置への追加登録時におけるセキュリティ性向上を図ることのできる車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ユーザに携帯されるとともに、第1固有情報を記憶する携帯機側記憶部と、その第1固有情報を含む信号を高周波数帯の電波を用いて車両側装置へ送信する携帯機側第1通信部とを有する複数の携帯機と、車両に搭載されるとともに、第1固有情報を記憶する車両側記憶部と、前記高周波の電波を用いて携帯機から送信される信号を受信する車両側第1通信部とを有する車両側装置とを備え、これら携帯機側第1通信部及び車両側第1通信部間における無線通信を用いた前記第1固有情報の照合結果に応じて車両の制御を行なう車両制御システムであって、前記携帯機側記憶部及び前記車両側記憶部は第2固有情報をそれぞれ記憶しており、前記携帯機は、低周波数帯の電波を用いて前記第2固有情報を車両側装置へ送信する携帯機側第2通信部を備え、前記車両側装置は、前記低周波数帯の電波を用いて携帯機から送信される信号を受信する車両側第2通信部を備え、前記車両側第2通信部によって受信される第2固有情報と前記車両側記憶部に記憶されている第2固有情報との照合が成立した後、前記車両側記憶部に記憶されていない第2固有情報を前記車両側第2通信部によって受信することに基づいて、その受信した第2固有情報を前記車両側記憶部に登録する固有情報登録処理を実行することを特徴とする。
【0010】
車両制御システムとしての上記構成では、車両側記憶装置に第2固有情報を追加登録すべく、車両側装置に対して携帯機から第2固有情報を送信する際、高周波数帯の電波ではなく、低周波数帯の電波が使用される。低周波数帯の電波は高周波数帯の電波と比較して遠くまで到達しないため、携帯機側第2通信部から車両側第2通信部へ第2固有情報を送信しても、電波の伝播経路上で盗聴される可能性は低い。したがって、未登録の携帯機の車両側装置への追加登録時におけるセキュリティ性の向上を図ることができるようになる。
【0011】
なお、未登録の携帯機の車両側装置への追加登録はそれほど頻繁に行なわれるものではない。そのため、セキュリティ上、必要に迫られたユーザが当該システムに対し実行指示を与えた場合にのみ固有情報登録処理を実行することが望ましい。なお、そうしたユーザによる実行指示は、車両側装置に与えてもよく、あるいは、上記請求項1に記載の構成において、請求項2に記載の発明のように、前記携帯機側第2通信部及び前記車両側第2通信部は双方向通信可能であり、前記携帯機は、当該携帯機に対し所定操作が行われることに基づいて、前記携帯機側第2通信部から前記車両側第2通信部へ前記固有情報登録処理の実行を要求する要求信号を送信し、前記車両側装置は、前記車両側第2通信部によって前記要求信号を受信することに基づいて、前記固有情報登録処理を実行することとしてもよい。
【0012】
また、上記請求項2に記載の構成において、請求項3に記載の発明のように、前記車両側装置は、前記車両側第2通信部によって受信される第2固有情報と前記車両側記憶部に記憶されている第2固有情報との照合が成立した後、その照合成立時から所定時間が経過する前に、前記車両側第2通信部によって前記要求信号を受信することに基づいて、前記固有情報登録処理を実行してもよい。あるいは、上記請求項2に記載の構成において、車両側装置は、車両側第2通信部によって要求信号を受信した後、その受信時から所定時間が経過する前に、車両側第2通信部によって受信される第2固有情報と車両側記憶部に記憶されている第2固有情報との照合が成立することに基づいて、固有情報登録処理を実行してもよい。いずれの構成であっても、未登録の携帯機の車両側装置への追加登録を可能とする状況が限定されるため、セキュリティ性のさらなる向上を図ることができるようになる。
【0013】
上記請求項1〜3のいずれか一項に記載の構成において、請求項4に記載の発明のように、前記固有情報登録処理では、前記第2固有情報を前記車両側記憶部に追加登録するだけでなく、前記第1固有情報も前記車両側記憶部に追加登録することとしてもよい。これにより、追加登録された携帯機を用いて、第1固有情報の照合成立を前提とする車両制御を行なうこともできるようになる。
【0014】
上記請求項1〜4の項に記載の構成において、請求項5に記載の発明のように、当該車両制御システムを、前記携帯機側第2通信部及び前記車両側第2通信部間における無線通信を用いた前記第2固有情報の照合が成立することに基づいて、車載エンジンの始動が許可されるイモビライザーシステムに適用してもよい。
【0015】
また、上記請求項1〜5のいずれかに記載の構成において、請求項6に記載の発明のように、当該車両制御システムを、前記携帯機に対して所定操作が行われることに基づいて、前記携帯機側第1通信部から第1固有情報を含む信号が送信され、前記車両側第1通信部によって受信される信号に含まれる第1固有情報の照合が成立することに基づいて、車両ドアを施錠または解錠するワイヤレスリモートコントロールシステムに適用してもよい。
【0016】
また、上記請求項1〜5のいずれかに記載の構成において、請求項に記載の発明のように、当該車両制御システムを、前記携帯機側第1通信部によって前記第1固有情報を含む信号を送信するよう要求する信号である要求信号が前記車両側第2通信部から送信され、前記携帯機側第2通信部によってその要求信号が受信されることに基づいて、前記携帯機側第1通信部によって前記第1固有情報を含む信号が送信されるとともに、前記車両側第1通信部によって受信される信号に含まれる第1固有情報の照合が成立した後、車両ドアに対し所定操作が行われることに基づいて、その車両ドアを施錠または解錠するスマートエントリーシステムに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る車両制御システムの一実施の形態について、(a)は、携帯機の構成を示すブロック図であり、(b)は、車両側装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態によって実行される処理について、その処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図2に示す処理中に実行されるID追加登録処理について、その処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両制御システムの一実施の形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0019】
本実施の形態の車両制御システムは、ユーザに携帯される携帯機100及び車両に搭載される車両側装置200を有して構成されており、携帯機100に設けられたスイッチが通常操作されると、携帯機100と車両側装置200との間の無線通信を用いたコード(キーID)の照合が行なわれ、そのキーIDの照合結果に応じて、車両ドアを全て施錠したり解錠したりするいわゆるリモートキーレスエントリー機能、携帯機100が車室内の所定位置にかざされると、携帯機100と車両側装置200との間の無線通信を用いたコード(イモビID)の照合が行なわれ、そのイモビIDの照合結果に応じて車載エンジンの始動が許可されるいわゆるイモビライザー(以下、イモビと略記する)機能、及び携帯機100に設けられたスイッチが特殊操作されると、未登録の携帯機100のイモビID及びキーIDを車両側装置200に追加登録するID追加登録機能を有する。
【0020】
図1(a)は、車両制御システムを構成する携帯機100の構成例を示すブロック図である。この図1(a)を参照して、携帯機100の構成及び機能について説明する。
【0021】
図1(a)に示されるように、携帯機100は、送信制御IC101、LFアンテナ部111、発振子112、整合回路113、RFアンテナ114、電池115、ロックボタン116、アンロックボタン117、ラゲージボタン118、LED(発光素子)119を備える。また、送信制御IC101は、CPU102、イモビ制御部103、メモリ104、発振回路105、PLL回路106、RFアンプ107を有しており、LFアンテナ部111は、アンテナ111a及び可変コンデンサ111bを有している。
【0022】
このうち、CPU102は、図示しない内蔵メモリを備えた公知のコンピュータであり、その内蔵メモリや外部メモリであるメモリ104等に予め記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。なお、CPU102が実行する処理については後述する。
【0023】
イモビ制御部103は、CPU102及びLFアンテナ部111に接続されており、LFアンテナ部111を介して車両側装置200から送信される低周波数帯(LF帯、例えば「30〜300[kHz]」)の所定の周波数の電波を受信したり、LFアンテナ部111を介して車両側装置200に対しLF帯の所定の周波数の電波を送信したりする(双方向通信可能)。
【0024】
また、LFアンテナ部111から送信される電波は、携帯機100を基点とした限られた通信エリア(「60〜100[mm]」)に対して到達し、LFアンテナ部111は、その通信エリア(「60〜100[mm]」)から送信される信号を受信可能である。
【0025】
LFアンテナ部111は、アンテナ111aと、このアンテナ111aの送受信帯域を微調整するためのコンデンサである可変コンデンサ111bが並列に接続されて構成されている。イモビ制御部103は、可変コンデンサ111bに信号を出力することで可変コンデンサ111bの容量を変更することが可能であり、可変コンデンサ111bの容量を変更することで、アンテナ111aの共振周波数を微調整することが可能である。なお、可変コンデンサ111bに変えて可変容量ダイオードを用いてもよく、アンテナ111aの送受信帯域を微調整する必要が無ければ、容量が固定されたコンデンサを用いてもよい。ちなみに、イモビ制御部103及びLFアンテナ部111が特許請求の範囲に記載の携帯機側第2通信部に相当する。
【0026】
メモリ104は、例えばフラッシュメモリ等の適宜のメモリにて構成されており、CPU102に接続されている。メモリ104には、CPU102によって実行されるプログラムが記憶されているほか、携帯機100に固有な情報であり、且つ、車載エンジンの始動を許可するために必要なイモビID(第2固有情報)や、携帯機100に固有な情報であり、且つ、車両ドアを全てロックまたはアンロックするために必要なキーID(第1固有情報)が記憶されている。なお、メモリ104、イモビID、及びキーIDが特許請求の範囲に記載の携帯機側記憶部、第2固有情報、及び第1固有情報にそれぞれ相当する。
【0027】
発振回路105は、公知の発振回路にて構成されており、例えば水晶等からなる発振子112、及び後述のPLL回路106に接続されている。発振回路105は、まず、発振子112に対し電圧を印加する。すると、発振子は、水晶の厚さや結晶方向等によって定まる所定周波数にて発振開始する。発振子112がこのように発振開始すると、発振回路105は、この発振子112の振動に基づいて、所定周波数にて振動する信号を生成し、PLL回路106に出力する。なお、本実施の形態では、発振子112として水晶を採用したが、これに限らない。他に例えばセラミック等を採用して発振子112を構成してもよい。
【0028】
PLL(Phase Lock Loop)回路106は、公知の高周波信号生成回路であり、CPU102、発振回路105、及びRFアンプ107に接続されている。PLL回路106は、まず、発振回路105から入力される信号を用いて、CPU102によって指定される周波数(チャンネル)の信号を生成する。そして、PLL回路106は、こうして生成した信号を用いて、CPU102によって入力される信号を、同じくCPU102によって指定される変調方式にて高周波信号に変換し、RFアンプ107に出力する。
【0029】
具体的には、例えば、発振回路105から入力される信号の周波数が「10[MHz]」であり、CPU102によって「1チャンネル」が指定されると、PLL回路106は、発振回路105から入力される信号の周波数を「72.01[倍]」することで、「720.1[MHz]」の周波数にて振動する信号を生成する。同様に、CPU102によって「5チャンネル」が指定されると、PLL回路106は、発振回路105から入力される信号の周波数を「72.05[倍]」することで、「720.5[MHz]」の周波数にて振動する信号を生成する。なお、本実施の形態では、PLL回路106が出力可能な周波数は、「1チャンネル〜10チャンネル」の計10種とし、これら「1チャンネル〜10チャンネル」に対応する周波数はそれぞれ「720.1[MHz]」〜「721.0[MHz]」とする。ただし、こうしたチャンネル数は任意であり、そのチャンネル番号に応じて生成される周波数は、RF帯(例えば「300[MHz]〜3[GHz]」)に収まる限り任意である。そして、PLL回路106は、こうして生成されたチャンネルの信号を用いて、CPU102によって入力される信号(情報)を、同じくCPU102によって指定される例えばAM方式の変調方式にて高周波信号に変換し、RFアンプ107に出力する。また、本実施の形態では、変調方式はAM方式とするが、これに限らず、変調方式はFM方式としてもよくその他適宜の変調方式を採用することができる。
【0030】
RFアンプ107は、公知の増幅器であり、PLL回路106及び整合回路113に接続されている。RFアンプ107は、PLL回路106から入力される信号の振幅を増幅し、その増幅した信号を整合回路113に出力する。整合回路113は、公知のマッチング回路であり、RFアンプ107及びRFアンテナ114に接続されている。整合回路113は、発振回路105からRFアンテナ114までの信号伝達路(「発振回路105→PLL回路106→RFアンプ107→RFアンテナ114」)のインピーダンスとRFアンテナ114のインピーダンスを整合するように設定されている。
【0031】
RFアンテナ114は、適宜のアンテナにて構成されており、整合回路113に接続されている。この整合回路113からRFアンテナ114に入力される高周波信号は電波として車両側装置200へ送信される。
【0032】
このようにして、携帯機100は、RF帯の互いに異なる複数のチャンネルの電波を選択的に用いて車両側装置200へ信号を送信することが可能である。なお、発振回路105、PLL回路106、RFアンプ107、整合回路113、及びRFアンテナ114が特許請求の範囲に記載の携帯機側第1通信部に相当する。
【0033】
ロックボタン116は、図示しない車両ドアを全て施錠するべくユーザが操作するためのプッシュスイッチであり、アンロックボタン117は、図示しない車両ドアを全て解錠するべくユーザが操作するためのプッシュスイッチであり、ラゲージボタン118は、図示しない車両のトランクを解錠し開扉するべくユーザが操作するためのプッシュスイッチである。これらロックボタン116、アンロックボタン117、及びラゲージボタン118は、送信制御IC101(詳しくCPU102)に接続されている。
【0034】
携帯機100には、例えばリチウムコイン電池等の電池115が内蔵されている。電池115は、CPU102だけでなく、イモビ制御部103やメモリ104等々に電力を供給する。LED119は、公知の発光素子であり、送信制御IC101に接続されている。そして、LED119は、送信制御IC101によって発光制御される。
【0035】
ここで、上記ロックボタン116がワンプッシュ操作されると、CPU102は、メモリ104に記憶されているキーIDとともに車両ドアを全て施錠する指示を示すロック信号を、RF帯の設定されたチャンネルの電波にてRFアンテナ114から送信する。また、上記アンロックボタン117がワンプッシュ操作されると、CPU102は、メモリ104に記憶されているキーIDとともに車両ドアを全て解錠する指示を示すアンロック信号を、RF帯の設定されたチャンネルの電波にてRFアンテナ114から送信する。また、上記ラゲージボタン118がワンプッシュ操作されると、CPU102は、メモリ104に記憶されているキーIDとともに車両トランクを解錠して開扉する指示を示すラゲージオープン信号を、RF帯の設定されたチャンネルの電波にてRFアンテナ114から送信する。
【0036】
また、イモビIDの送信要求であるイモビID要求信号をLFアンテナ部111にて受信すると、CPU102は、メモリ104に記憶されているイモビIDをLFアンテナ部111からLF帯の電波にて送信する。
【0037】
また、イモビIDの照合成立後、その照合成立時から所定時間(例えば「5[分間]」)が経過する前に、上記ロックボタン116及び上記アンロックボタン117双方が同時に所定時間(例えば「5秒」)以上長押しされる等、上記ロックボタン116、上記アンロックボタン117、及びラゲージボタン118を組み合わせた特殊操作が行われると、CPU102は、未登録の携帯機100のイモビIDを車両側装置200に追加登録するID追加登録処理の実行を要求する登録要求信号をLF帯の電波にてLFアンテナ部111から送信する。なお、この登録要求信号及び特殊操作が特許請求の範囲に記載の要求信号及び所定操作にそれぞれ相当する。
【0038】
図1(b)は、車両制御システムを構成する車両側装置200の構成例を示すブロック図である。この図1(b)を参照して、車両側装置200の構成及び機能について説明する。
【0039】
図1(b)に示されるように、車両側装置200は、CPU202、イモビ制御部203、メモリ204、LFアンテナ部211、受信機205、RFアンテナ214を備える。
【0040】
このうち、CPU202は、図示しない内蔵メモリを備えた公知のコンピュータであり、その内蔵メモリや外部メモリであるメモリ204等に予め記憶されたプログラムに従って各種処理を実行する。なお、CPU202が実行する処理については後述し、メモリ204が特許請求の範囲に記載の車両側記憶部に相当する。
【0041】
イモビ制御部203は、CPU202及びLFアンテナ部211に接続されており、LFアンテナ部211を介して携帯機100から送信される低周波数帯(LF帯、例えば「30〜300[kHz]」)の所定の周波数の電波を受信したり、LFアンテナ部211を介して携帯機100に対しLF帯の所定の周波数の電波を送信したりする(双方向通信可能)。
【0042】
LFアンテナ部211は、アンテナ211aと、このアンテナ211aの送受信帯域を微調整するためのコンデンサである可変コンデンサ211bが並列に接続されて構成されている。イモビ制御部203は、可変コンデンサ211bに信号を出力することで可変コンデンサ211bの容量を変更することが可能であり、可変コンデンサ211bの容量を変更することで、アンテナ211aの共振周波数を微調整することが可能である。なお、LFアンテナ部211は、車室内の所定箇所に設置される。そのため、LFアンテナ部211から送信される信号は、その設置箇所を基点とした限られた通信エリア(「60〜100[mm]」)に対してのみ到達する。また、可変コンデンサ211bに変えて可変容量ダイオードを用いてもよく、アンテナ211aの送受信帯域を微調整する必要が無ければ、容量が固定されたコンデンサを用いてもよい。ちなみに、イモビ制御部203及びLFアンテナ部211が特許請求の範囲に記載の車両側第2通信部に相当する。
【0043】
メモリ204は、例えばフラッシュメモリ等の適宜のメモリにて構成されており、CPU202に接続されている。メモリ204には、CPU202によって実行されるプログラムが記憶されているほか、上記イモビIDや上記キーIDが登録されている。なお、メモリ204が特許請求の範囲に記載の車両側記憶部に相当する。
【0044】
受信機205は、例えば車室内に1つ設けられるRFアンテナ214を有しており、携帯機100から高周波数帯(RF帯、例えば「300[MHz]〜3[GHz]」)の複数の周波数(10チャンネル)の電波をそのRFアンテナ214を介して受信可能である。受信機205は、RFアンテナ214の設置箇所を基点としておよそ「30[m]」以内の地点から送信される電波を受信可能であり、LFアンテナ部211よりも広いエリアから送信される電波を受信可能である。なお、本実施の形態では、受信機205はRF帯の「10チャンネル」の電波を受信可能としたが、これに限らない。受信機205の受信可能なチャンネルは、少なくとも携帯機100が送信可能なチャンネルを全て含んでいれば、任意である。
【0045】
また、受信機205は、CPU202に接続されており、RFアンテナ214にて受信した信号をCPU202に出力する。これら受信機205及びRFアンテナ214が特許請求の範囲に記載の車両側第1通信部に相当する。
【0046】
車両ドア制御部220は、CPU202に接続されており、車両ドアを全て施錠する指示を示すロック信号、車両ドアを全て解錠する指示を示すアンロック信号、及び車両トランクを解錠して開扉する指示を示すラゲージ信号をCPU202から受信可能である。車両ドア制御部220は、CPU202からロック信号が入力されると、車両ドアを全て施錠し、CPU202からアンロック信号が入力されると、車両ドアを全て解錠し、CPU202からラゲージ信号が入力されると、車両トランクを解錠し開扉する。
【0047】
イモビ制御部203は、CPU202に接続されており、上記イモビID要求信号をCPU202から受信可能である。イモビ制御部203は、CPU202からイモビID要求信号が入力されると、LFアンテナ部211を介して携帯機100に対しLF帯の所定の周波数の電波を用いてイモビID要求信号を送信する。
【0048】
エンジン始動制御部221は、CPU202に接続されており、図示しない車載エンジンの始動を許可する指示を示すイモビ解除信号をCPU202から受信可能である。エンジン始動制御部221は、CPU202からイモビ解除信号が入力されると、車載エンジンの始動を許可する。
【0049】
受信機205は、CPU202に接続されており、CPU202からチャンネル番号を入力可能である。受信機205は、チャンネル番号が入力されると、そのチャンネル番号に対応するRF帯の周波数の電波を受信する。
【0050】
図2は、車両制御システムによって実行される処理S1の処理手順を示すフローチャートである。この図2を参照して、車両制御システムの動作について説明する。
【0051】
処理S1が実行開始されると、まず、車両側装置200は、ステップS10の判断処理として、携帯機100がLFアンテナ部211の設置箇所にかざされたか否かを判断する。ここで、携帯機100がLFアンテナ部211の設置箇所にかざされていないと判断される場合(ステップS10の判断処理で「No」)、車両側装置200は、このステップS10の判断処理を再度実行する。一方、携帯機100がLFアンテナ部211の設置箇所にかざされたと判断される場合、車両側装置200は、続くステップS20の処理に移行する。換言すれば、車両側装置200は、携帯機100がLFアンテナ部211の設置箇所にかざされるまで待機する。
【0052】
携帯機100がLFアンテナ部211の設置箇所にかざされると、車両側装置200は、続くステップS20の処理として、イモビ通信を実行する。詳しくは、車両側装置200は、まず、LFアンテナ部211からLFアンテナ部111へ、イモビIDの送信を要求するイモビID要求信号をLF帯の電波にて送信する。そして、そのイモビID要求信号をLFアンテナ部111にて受信すると、携帯機100は、メモリ104からイモビIDを読み出すとともに、LFアンテナ部111からLFアンテナ部211へ、その読み出したイモビIDをLF帯の電波にて送信する。
【0053】
LFアンテナ部211によってイモビIDをLF帯の電波にて受信すると、車両側装置200は、続くステップS30の判断処理として、イモビ照合が成立したか否かを判断する。詳しくは、車両側装置200は、LFアンテナ部211によって受信したイモビIDとメモリ204に登録されているイモビIDとが一致するか否かを判断する。
【0054】
ここで、これらイモビIDが一致すると判断されない場合(ステップS30の判断処理で「No」)、かざされた携帯機100が車両側装置200に未だ登録されていない未登録の携帯機であることを意味する。そのため、車両側装置200は、車載エンジンの始動を許可しない。そして、車両側装置200は、先のステップS10〜S30の一連の処理を再度実行する。一方、これらイモビIDが一致すると判断される場合(ステップS40の判断処理で「Yes」)、かざされた携帯機100が車両側装置200に既に登録された登録済の携帯機であることを意味する。そのため、車両側装置200は、車載エンジンの始動を許可する。そして、車両側装置200は、続くステップS40の判断処理に移行する。
【0055】
ステップS40の判断処理では、例えば図示しないエンジンスイッチが押される等、車載エンジンのイグニッションがオンとされたか否かが判断される。ここで、イグニッションがオンとされた場合(ステップS40の判断処理で「Yes」)、車両側装置200は、続くステップS50の処理として、運行処理(車載エンジンの始動制御)を実行する。一方、イグニッションがオンとされない場合(ステップS40の判断処理で「No」)、車両側装置200は、続くステップS60の判断処理として、先のステップS30の判断処理を実行完了時を起点として所定時間(例えば「5分間」)が経過したか否かを判断する。
【0056】
ここで、車両側装置200は、所定時間が経過したと判断される場合(ステップS60の判断処理で「Yes」)、先のステップS40の判断処理を再度実行する一方、所定時間が経過していないと判断される場合(ステップS60の判断処理で「No」)、続くステップS70の判断処理に移行する。
【0057】
車両側装置200は、続くステップS70の判断処理として、携帯機100に対し特殊操作が行われたか否かを判断する。詳しくは、携帯機100は、上記特殊操作が行われたか否かを判断し、その特殊操作が行われたと判断する場合には、上記登録要求信号をLFアンテナ部111から送信する一方、その特殊操作が行われていないと判断する場合には、上記登録要求信号をLFアンテナ部111から送信しない。そのため、車両側装置200は、LFアンテナ部211にて上記登録要求信号を受信するか否かを判断する。ここで、特殊操作が行われていないと判断する場合、すなわち、登録要求信号を受信したと判断されない場合(ステップS70の判断処理で「No」)、車両側装置200は、先のステップS40の判断処理に再度移行する。一方、特殊操作が行われたと判断する場合、すなわち、登録要求信号を受信したと判断する場合(ステップS70の判断処理で「Yes」)、車両側装置200は、続くステップS80のID追加登録処理(図3)を実行する。そして、車両側装置200は、ID追加登録処理S80を実行すると、先のステップS40の判断処理に再度移行する。なお、このID追加登録処理が特許請求の範囲に記載の固有情報登録処理に相当する。
【0058】
図3は、処理S1中に実行されるID追加登録処理S80について、その処理手順を示すフローチャートである。以下、この図3を参照して説明する。
【0059】
先のステップS80の判断処理において、特殊操作が行われたと判断する場合(ステップS80の判断処理で「Yes」)、車両側装置200は、続くステップS801の判断処理及びステップS802の判断処理を通じて、登録済の携帯機に対し特殊操作を行なった時点を起点として所定時間(例えば「1分間」)経過する前に、携帯機がLFアンテナ部211にかざされたか否かを判断する。
【0060】
ここで、所定時間が経過したと判断される場合(ステップS801の判断処理で「Yes」)、あるいは、所定時間が経過する前に携帯機がかざされなかったと判断される場合(ステップS801及びS802の判断処理で双方とも「No」)、車両側装置200は、このID追加登録処理S80を一旦終了して、先のステップS40の判断処理を再度実行する。一方、所定時間が経過する前に、携帯機がLFアンテナ部211にかざされたと判断される場合(ステップS801の判断処理で「No」、且つ、ステップS802の判断処理で「Yes」)、車両側装置200は、続くステップS803の判断処理へ移行する。
【0061】
ステップS803の判断処理では、車両側装置200は、LFアンテナ部211にかざされた携帯機100からイモビ通信にてイモビIDを取得したか否かを判断する。詳しくは、車両側装置200は、まず、LFアンテナ部211から(かざされた携帯機100の)LFアンテナ部111へ、イモビID要求信号をLF帯の電波にて送信する。かざされた携帯機100は、そのイモビID要求信号をLFアンテナ部111にて受信すると、メモリ104からイモビIDを読み出すとともに、LFアンテナ部111からLFアンテナ部211へ、その読み出したイモビIDをLF帯の電波にて送信する。
【0062】
なお、本実施の形態では、かざされた携帯機100は、そのイモビID要求信号をLFアンテナ部111にて受信すると、メモリ104からイモビIDのみを読み出すとともに、LFアンテナ部111からLFアンテナ部211へ、その読み出したイモビIDのみをLF帯の電波にて送信していたが、これに限らない。かざされた携帯機100は、そのイモビID要求信号をLFアンテナ部111にて受信すると、メモリ104からイモビID及びキーIDの双方を読み出すとともに、LFアンテナ部111からLFアンテナ部211へ、その読み出したイモビID及びキーIDの双方をLF帯の電波にて送信してもよい。
【0063】
ここで、例えば通信エラー等に起因して、かざされた携帯機100から送信されるイモビIDを車両側装置200が正常に受信することができない場合(ステップS803の判断処理で「No」)、車両側装置200は、続くステップS804の処理として、図示しない適宜の音声出力部(スピーカ)からその旨を示す警報を出力する。そして、車両側装置200は、このID追加登録処理S80を一旦終了し、先のステップS40の判断処理を再度実行する。一方、かざされた携帯機100から送信されるイモビIDを車両側装置200が正常に受信することができる場合(ステップS803の判断処理で「Yes」)、車両側装置200は、続くステップS805の処理に移行する。
【0064】
ステップS805の判断処理では、車両側装置200は、かざされた携帯機100から送信されたイモビIDがメモリ204に既に登録されているか否かを判断する。ここで、メモリ204に既に登録されていると判断される場合(ステップS805の判断処理で「No」)、新たに追加登録する必要がないことを意味する。そのため、車両側装置200は、ID追加登録処理S80を一旦終了し、先のステップS40の判断処理を再度実行する。一方、メモリ204に未だ登録されていないと判断される場合(ステップS805の判断処理で「Yes」)、新たに追加登録する必要があることを意味する。そのため、車両側装置200は、続くステップS806の処理として、車両側装置200(メモリ204)に新たに追加登録する。そして、車両側装置200は、ID追加登録処理S80を一旦終了し、先のステップS40の判断処理を再度実行する。
【0065】
なお、かざされた携帯機100が、LFアンテナ部111からLFアンテナ部211へ、イモビID及びキーIDの双方をLF帯の電波にて送信する場合には、イモビIDだけでなくキーIDも新たに追加登録してもよい。
【0066】
以上説明した本実施の形態の車両制御システムでは、ID追加登録処理S80を実行する際、携帯機100から車両側装置200へ、イモビ通信を利用してイモビIDを送信することとした。LF帯の電波はRF帯の電波と比較して遠くまで到達しないため、携帯機100から車両側装置200までの電波の伝播経路上で盗聴される可能性が低くなる。したがって、未登録の携帯機の車両側装置へのID追加登録時におけるセキュリティ性の向上を図ることができるようになる。
【0067】
また、車両側装置200は、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証成立後(ステップS30)、ID追加登録処理S80を実行することとした。これにより、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証を前提とするため、セキュリティ性を確保することができる。
【0068】
また、車両側装置200は、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証成立後、登録済みの携帯機100に対し特殊操作が行われると(ステップS70)、ID追加登録処理S80を実行することとした。これにより、ID追加登録処理の実行が必要であるとユーザが判断した場合においてのみ、ID追加登録処理が実行されるようになる。ID追加登録処理が無用に実行されないため、セキュリティ上望ましくなる。
【0069】
また、車両側装置200は、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証成立後、その照合成立時から所定時間が経過する前に(ステップS60)、登録済みの携帯機100に対し特殊操作が行われると、ID追加登録処理S80を実行することとした。これにより、未登録の携帯機100の車両側装置200への追加登録を可能とする状況がさらに限定されるため、セキュリティ性のさらなる向上を図ることができるようになる。
【0070】
なお、本発明に係る車両制御システムは、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記各実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0071】
上記実施の形態では、メカニカルキーを有さない携帯機を採用するとともに、携帯機100に対する特殊操作として、ロックボタン116及びアンロックボタン117双方が同時に所定時間以上長押しされることを採用したが、これに限らない。メカニカルキーを有する携帯機を採用するとともに、携帯機100に対する特殊操作として、携帯機100のメカニカルキーがキーシリンダに挿入されたまま、ロックボタン116及びアンロックボタン117双方が同時に所定時間以上長押しされることを採用してもよい。また、携帯機100のメカニカルキーがキーシリンダに挿入されているか否かにかかわらず、ロックボタン116、アンロックボタン117、及びラゲージボタン118を組み合わせた操作を、携帯機100に対する特殊操作として採用してもよい。さらに、携帯機100に専用のスイッチを新たに設け、この専用スイッチがプッシュ操作されることを、携帯機100に対する特殊操作として採用してもよい。
【0072】
上記実施の形態では、車両側装置200は、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証成立後、その照合成立時から所定時間が経過する前に(ステップS60)、登録済みの携帯機100に対し特殊操作が行われると、ID追加登録処理S80を実行していたが、これに限らない。車両側装置200は、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証成立後、その照合成立時から所定時間が経過するかしないかに関わらず、登録済みの携帯機100に対し特殊操作が行われると、ID追加登録処理S80を実行することとしてもよい。具体的には、ステップS60の判断処理を割愛してもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、車両側装置200は、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証成立後、登録済みの携帯機100に対し特殊操作が行われると(ステップS70)、ID追加登録処理S80を実行していたが、これに限らない。車両側装置200は、登録済みの携帯機100に固有なイモビIDの認証成立後、登録済みの携帯機100に対し特殊操作が行われるか行なわれないかに関わらず、ID追加登録処理S80を実行してもよい。具体的には、ステップS60の判断処理を割愛してもよい。
【0074】
上記実施の形態では、本発明に係る車両制御システムを、イモビライザー機能及びキーレスエントリー機能を有するいわゆるイモビ付キーレスエントリーシステムとして具体化していた。詳しくは、当該車両制御システムでは、LFアンテナ部111及びLFアンテナ部211間におけるイモビ通信を用いたイモビIDの照合が成立することに基づいて、車載エンジンの始動が許可される。また、当該車両制御システムでは、携帯機100に対して所定操作(ロックボタン116のプッシュ操作、アンロックボタン117のプッシュ操作、ラゲージボタン118のプッシュ操作等)が行われることに基づいて、RFアンテナ114からキーIDを含む信号(ロック信号、アンロック信号、ラゲージオープン信号)が送信され、RFアンテナ214によって受信される信号に含まれるキーIDの照合が成立することに基づいて、車両ドアを施解錠や車両トランクの開扉が行なわれる。こうしたイモビ付キーレスエントリーシステムに限らない。キーレスエントリー機能に変えて、スマートエントリー機能を備えることとしてもよい。
【0075】
詳しくは、当該車両制御システムでは、LFアンテナ部111及びLFアンテナ部211間におけるイモビ通信を用いたイモビIDの照合が成立することに基づいて、車載エンジンの始動が許可される。また、当該車両制御システムでは、RFアンテナ114からキーIDを含む信号を送信するよう要求する信号であるリクエスト信号がLFアンテナ部211から送信され、LFアンテナ部211によってそのリクエスト信号が受信されることに基づいて、RFアンテナ114からキーIDを含む信号が送信されるとともに、RFアンテナ214によって受信される信号に含まれるキーIDの照合が成立した後、車両ドアに対し所定操作が行われることに基づいて、その車両ドアを施錠または解錠されることとしてもよい。
【0076】
なお、本実施の形態では、携帯機に固有な情報としてキーID及びイモビIDを用いていたが、これらを統合した1つの固有情報を用いてもよい。
【符号の説明】
【0077】
100…携帯機、101…送信制御IC、102…CPU、103…イモビ制御部、104…メモリ、105…発振回路、106…PLL回路、107…RFアンプ、111…LFアンテナ(携帯機側第2通信部)、111a…アンテナ、111b…コンデンサ、112…発振子、113…整合素子、114…RFアンテナ(携帯機側第1通信部)、115…電池、116…ロックボタン、117…アンロックボタン、118…ラゲージボタン、119…LED(発光素子)、200…車両側装置、202…CPU、203…イモビ制御部、205…受信機、211…LFアンテナ(車両側第2通信部)、214…RFアンテナ(車両側第1通信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに携帯されるとともに、第1固有情報を記憶する携帯機側記憶部と、その第1固有情報を含む信号を高周波数帯の電波を用いて車両側装置へ送信する携帯機側第1通信部とを有する複数の携帯機と、
車両に搭載されるとともに、第1固有情報を記憶する車両側記憶部と、前記高周波の電波を用いて携帯機から送信される信号を受信する車両側第1通信部とを有する車両側装置とを備え、
これら携帯機側第1通信部及び車両側第1通信部間における無線通信を用いた前記第1固有情報の照合結果に応じて車両の制御を行なう車両制御システムであって、
前記携帯機側記憶部及び前記車両側記憶部は第2固有情報をそれぞれ記憶しており、
前記携帯機は、低周波数帯の電波を用いて前記第2固有情報を車両側装置へ送信する携帯機側第2通信部を備え、
前記車両側装置は、前記低周波数帯の電波を用いて携帯機から送信される信号を受信する車両側第2通信部を備え、
前記車両側第2通信部によって受信される第2固有情報と前記車両側記憶部に記憶されている第2固有情報との照合が成立した後、前記車両側記憶部に記憶されていない第2固有情報を前記車両側第2通信部によって受信することに基づいて、その受信した第2固有情報を前記車両側記憶部に登録する固有情報登録処理を実行することを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記携帯機側第2通信部及び前記車両側第2通信部は双方向通信可能であり、
前記携帯機は、当該携帯機に対し所定操作が行われることに基づいて、前記携帯機側第2通信部から前記車両側第2通信部へ前記固有情報登録処理の実行を要求する要求信号を送信し、
前記車両側装置は、前記車両側第2通信部によって前記要求信号を受信することに基づいて、前記固有情報登録処理を実行することを特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両制御システムにおいて、
前記車両側装置は、前記車両側第2通信部によって受信される第2固有情報と前記車両側記憶部に記憶されている第2固有情報との照合が成立した後、その照合成立時から所定時間が経過する前に、前記車両側第2通信部によって前記要求信号を受信することに基づいて、前記固有情報登録処理を実行することを特徴とする車両制御システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両制御システムにおいて、
前記固有情報登録処理では、前記第2固有情報を前記車両側記憶部に追加登録するだけでなく、前記第1固有情報も前記車両側記憶部に追加登録することを特徴とする車両制御システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両制御システムにおいて、
当該車両制御システムは、前記携帯機側第2通信部及び前記車両側第2通信部間における無線通信を用いた前記第2固有情報の照合が成立することに基づいて、車載エンジンの始動が許可されるイモビライザーシステムに適用されることを特徴とする車両制御システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両制御システムにおいて、
当該車両制御システムは、前記携帯機に対して所定操作が行われることに基づいて、前記携帯機側第1通信部から第1固有情報を含む信号が送信され、前記車両側第1通信部によって受信される信号に含まれる第1固有情報の照合が成立することに基づいて、車両ドアを施錠または解錠するワイヤレスリモートコントロールシステムに適用されることを特徴とする車両制御システム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両制御システムにおいて、
当該車両制御システムは、前記携帯機側第1通信部によって前記第1固有情報を含む信号を送信するよう要求する信号である要求信号が前記車両側第2通信部から送信され、前記携帯機側第2通信部によってその要求信号が受信されることに基づいて、前記携帯機側第1通信部によって前記第1固有情報を含む信号が送信されるとともに、前記車両側第1通信部によって受信される信号に含まれる第1固有情報の照合が成立した後、車両ドアに対し所定操作が行われることに基づいて、その車両ドアを施錠または解錠するスマートエントリーシステムに適用されることを特徴とする車両制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−228538(P2010−228538A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77129(P2009−77129)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】