説明

車両制御装置

【課題】バッテリの容量や車両の走行状態によらず、コンプレッサの運転開始、停止時のドライバビリティを良くすることができる車両制御装置を提供する。
【解決手段】発電機6は、エンジン1の回転力により発電を行い、バッテリ8は発電機6の電力を蓄える。インバータ9は、発電機6、あるいは、バッテリ8から電気が供給され、モータ7aはインバータ9から電気が供給される。コンプレッサ7は、発電機6の発電、あるいは、モータ7aの駆動により動作を行う。コントローラ11は、コンプレッサ7の動作を開始させる時、バッテリ8の充電率が閾値より大きい場合は、インバータ9か羅の電力によりモータ7aを駆動し、バッテリ8の充電率が閾値より小さい場合は、発電機6のトルクを漸増して発電し、バッテリ8の充電率が閾値より大きくなったときに、インバータ9からの電力によりモータ7aを駆動してコンプレッサ7を作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドシステムの自動車において、車室内空調のために搭載されるコンプレッサの運転開始、終了時にドライバビリティを確保できる車両制御装置に関するものである。ドライバビリティとは、運転者が感じる車両の運転のしやすさであるが、特に、車両の前後方向に生じる加速度の変化に違和感がなく、快適に運転できる状態を表すものとする。
【背景技術】
【0002】
従来技術の車両制御装置として、バッテリ容量が低い場合、エアコンスイッチのONを検出したら、発電機で発電した後にクラッチ(エンジン出力をコンプレッサに伝達するクラッチ)を締結し、コンプレッサ非駆動を検出したら、クラッチ切断後に発電機で発電を行う。一方、バッテリ容量が高い場合、コンプレッサ駆動を検出したら、クラッチ締結した後にモータを駆動し、コンプレッサ非駆動を検出したら、モータ駆動後にクラッチを切断する。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−99824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術においては、バッテリ容量が低いとき、発電機で発電した後にクラッチ締結しても、発電によりエンジントルクが減少している上に更にクラッチ締結でエンジントルクが下がるため、締結した瞬間にエンジンに大きな負荷がかかり、車両の前後方向の加速度が変化するため、ドライバビリティが良くないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、バッテリの容量や車両の走行状態によらず、コンプレッサの運転開始、停止時のドライバビリティを良くすることができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両制御装置は、発電機、バッテリ、インバータ、クラッチに接続されている制御手段を備えており、前記制御手段は、前記コンプレッサの動作を開始させる時、前記バッテリの充電率が閾値より大きい場合は、前記インバータからの電力によりモータを駆動して前記コンプレッサを作動し、前記バッテリの充電率が閾値より小さい場合は、前記発電機のトルクを漸増して発電し、前記バッテリの充電率が閾値より大きくなったときに、前記インバータからの電力により前記モータを駆動して前記コンプレッサを作動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、制御手段がコンプレッサの動作を開始させる時、バッテリの充電率が閾値より大きい場合は、インバータからの電力によりモータを駆動してコンプレッサを作動し、バッテリの充電率が閾値より小さい場合は、発電機のトルクを漸増して発電し、バッテリの充電率が閾値より大きくなったときに、インバータからの電力によりモータを駆動してコンプレッサを作動するので、バッテリの容量や車両の走行状態によらず、コンプレッサの運転開始時のドライバビリティを良くすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態における車両制御装置の構成を示すブロック図
【図2】同装置の動作を説明するフロー図
【図3】同装置のバッテリのSOCが閾値よりも大きいときに冷房運転を開始する場合の動作を説明するタイミング図
【図4】同装置のバッテリのSOCが閾値よりも小さいときに冷房運転を開始する場合の動作を説明するタイミング図
【図5】同装置のモータでコンプレッサを駆動中に冷房運転を終了する場合の動作を説明するタイミング図
【図6】同装置のエンジンでコンプレッサを駆動中に冷房運転を終了する場合の動作を説明するタイミング図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態の車両制御装置について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態における車両制御装置の構成を示すブロック図である。図1において、エンジン1は車両に搭載されており、エンジン1の出力軸には、エンジンプーリ2が接続されており、プーリベルト3を介してエンジン1の回転力を補機類に伝達している。補機類としては、発電機6、車室内空調用のコンプレッサ7に加え、図示しないがエンジン冷却水を循環させるためのウォーターポンプ、エンジンオイルポンプ、パワーステアリングオイルポンプなどがある。発電機6は、プーリベルト3と、発電機6の出力軸に接続された発電機プーリ4を介して伝達されるエンジンの回転力にもとづき、運動エネルギーを電気エネルギーに変換した後、バッテリ8へ蓄電する。発電機6は、ロータ、ステータからなる回転部、ロータの界磁コイルに流す電流量を制御するレギュレータ部、ステータからの三相交流出力を直流出力に変換する整流部からなるオルタネータである。コントローラ11からの指令にもとづき、界磁コイルに流す電流量を変えることによってロータの磁束密度を変化させ、出力電圧を所望の値に調整する。コンプレッサ7は、車室内を冷房するために形成される冷凍サイクルにおいて、冷媒を圧縮するためのデバイスである。コンプレッサ7は、プーリベルト3と、コンプレッサ7の出力軸に接続されたコンプレッサプーリ5を介して伝達されるエンジン1の回転力に基づいて冷媒を圧縮する。コンプレッサプーリ5とコンプレッサ7の間には、コンプレッサクラッチ10が備えられており、ユーザの冷房要求に対して冷媒の圧縮が必要な場合は、コンプレッサクラッチ10を締結して、エンジン1によりコンプレッサ7を動作させ、冷媒を圧縮する。逆に冷媒の圧縮が不要な場合は、コンプレッサクラッチ10を開放してコンプレッサ7の動作を停止する。コンプレッサ7は、上記のようなエンジン1による駆動に加え、コンプレッサ駆動モータ7aを内蔵しており、電気によっても駆動する、2ウェイタイプのコンプレッサである。発電機6、あるいは、バッテリ8の直流電流を入力として、インバータ9がコンプレッサ駆動モータ7aの駆動に必要な三相交流電流を生成し、それをコンプレッサ駆動モータ7aに供給することでコンプレッサ7を作動して冷媒を圧縮する。コントローラ11は、装置全体を制御し、エンジン1、発電機6、バッテリ8、インバータ9、エアコンスイッチ12、車速センサ13からの入力信号にもとづき、発電機6、インバータ9、コンプレッサクラッチ10を制御する。
【0011】
次に、以上のように構成された車両制御装置について、以下にその動作を説明する。本実施形態の車両制御装置の特徴は、空調用のコンプレッサとして2ウェイコンプレッサを適用し、コンプレッサ駆動源(エンジン駆動、バッテリ駆動)の切替え、コンプレッサ駆動モータのトルク制御、発電機の発電トルク、コンプレッサクラッチの締結手順を工夫することにより、コンプレッサの運転開始・終了時に伴うエンジン1のトルク変化を軽減し、ドライバビリティの悪化を回避することにある。以下、図面を用いて説明する。
【0012】
図2は、車両制御装置の動作を説明するフロー図である。まずステップ201では、エアコンスイッチ12の状態を検知する。エアコンスイッチ12がONであれば、ステップ202に進み、エアコンスイッチ12がOFFであればそのまま処理を終了する。ステップ202では、バッテリ8のSOC(State Of Charge:バッテリの全容量に対する充電率)と予め設定した閾値SOCth1の比較を行う。ここで、SOCth1は、コンプレッサ7をコンプレッサ駆動モータで駆動するに際して、少なくともコンプレッサ駆動モータ7aを1回始動するのに必要な電気エネルギー量に基づき決定しておく。バッテリ8のSOCがSOCth1よりも大きい場合はステップ203に進み、コンプレッサ駆動モータ7aでコンプレッサ7を始動する。具体的には、バッテリ8の直流電流を、インバータ9で三相交流電流に変換し、それをコンプレッサ駆動モータ7aに供給することによってコンプレッサ7を始動する。一方、バッテリ8のSOCがSOCth1よりも大きくない場合はステップ204に進む。ステップ204では、発電機6の発電トルクを徐々に増加させる。具体的には、発電機6の界磁コイルに流す電流量を徐々に増加させて発電機6の出力電圧を上昇させ、バッテリ8への充電電流を徐々に増加させることで、結果として発生する発電トルクが漸増することとなる。次にステップ205では、発電した電気エネルギーをバッテリ8に充電する。ステップ206では、ステップ202同様、バッテリ8のSOCとSOCth1との比較を行い、SOCがSOCth1よりも大きければステップ203に進む。そうでなければステップ205に戻り、引き続き発電と充電を行う。以上のように制御することにより、エアコンスイッチ12がONされた時点でのバッテリ8の充電状態に関わらず、コンプレッサ駆動モータ7aによってコンプレッサ6を始動させるので、エンジン1でコンプレッサ7を始動するときのようなエンジン1のトルク変動が発生しない。また、ステップ204で発電動作を行うが、発電機6の発電トルクを徐々に増加させることで、エンジン1の急激なトルク変動を回避する。よって、エアコンスイッチ12がONとなり冷房を開始する際にドライバビリティを損なうことがない。
【0013】
ステップ207からステップ212までは、コンプレッサ7の始動後、継続して冷房運転を行うときのコントローラ11の制御である。車両発進時、低速走行時を含むエンジン低回転時はエンジン1の運転効率が悪いので、コンプレッサ駆動モータ7aでコンプレッサ7を駆動し、高回転時はエンジン1の運転効率が良く、またコンプレッサ駆動モータ7aを駆動するバッテリ8の蓄電量は有限であるため、エンジン1の回転力でコンプレッサ7を駆動する。ステップ207では、車速センサ13で検出した車速が予め設定した閾値Vthより小さく、かつバッテリ8のSOCが予め設定した閾値SOCth2より大きければ、ステップ208に進み、コンプレッサ駆動モータ7aでコンプレッサ7を駆動する。車速が予め設定した閾値Vthより大きい、あるいは、バッテリ8のSOCが予め設定した閾値SOCth2より小さい場合はステップ209に進む。ステップ209では、コンプレッサクラッチ10がすでにコンプレッサ7へ締結されているか否かを判断する。締結されていない場合、ステップ210に進み、コンプレッサクラッチ10をコンプレッサ7へ締結する。この時点ではコンプレッサ駆動モータ7aによりコンプレッサ7を駆動しており、かつエンジン1の回転数も高い状態なので、コンプレッサクラッチ10の締結がもたらすエンジン1のトルク変動は小さい。次に、ステップ211において、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクを漸減させて最終的にはゼロとし、コンプレッサ7をエンジン1の回転力のみによって駆動するようにする。駆動トルクを徐々に減少させることで、エンジン1の急激なトルク変動を回避する。一方、ステップ209において、コンプレッサクラッチ10がすでにコンプレッサ7へ締結されている場合は、ステップ212に進み、引き続きプーリベルト3を介してエンジン1の回転力でコンプレッサ7を駆動する。以上のように制御することで、コンプレッサ7をコンプレッサ駆動モータ7aによる駆動からエンジン1による駆動に切り替える際においてもドライバビリティを損なうことがない。
【0014】
ステップ213からステップ218では、エアコンスイッチ12がOFFとなり冷房運転を終了するときのコントローラ11の制御である。ステップ213では、エアコンスイッチ12の状態を検知する。エアコンスイッチ12がONのままであればステップ218に進み、エンジン1が停止されればそのまま処理を終了するが、そうでなければステップ207に戻って処理を継続する。一方、ステップ213でエアコンスイッチがOFFであれば、ステップ214に進む。ステップ214では、コンプレッサ7をコンプレッサ駆動モータ7aで駆動していればステップ215に進み、コンプレッサ駆動モータ7aで駆動しているコンプレッサ7の運転を停止して処理を終了する。一方、ステップ214において、エンジン1でコンプレッサ7を駆動している場合は、ステップ216に進む。ステップ216では、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクを徐々に増加させ、次にステップ217でコンプレッサクラッチ10を開放する。これにより、コンプレッサ7はバッテリ8のみで駆動されることになる。さらにステップ215で、コンプレッサ駆動モータ7aのみで駆動しているコンプレッサ7の運転を停止し、処理を終了する。以上のような制御にもとづいて冷房運転の停止を行うことによって、コンプレッサ7をコンプレッサ駆動モータ7aのみで駆動している場合はそもそもエンジン1に対するトルクの影響はないし、コンプレッサ7をエンジン1のみで駆動している場合でも、いったんコンプレッサ駆動モータ7aでも駆動した後にコンプレッサクラッチ10を開放することにより、クラッチ開放に伴うドライバビリティの悪化を回避することができる。
【0015】
図3から図6は、車両制御装置を図2のフロー図のように制御したときのタイミングチャートである。以下、それぞれの図について説明する。
【0016】
図3は、バッテリ8のSOCが閾値SOCth1よりも大きいときに冷房運転を開始する場合(ステップ202で判定がYESの場合)におけるタイミング図である。コンプレッサ7をコンプレッサ駆動モータ7aで始動する電気エネルギーがバッテリ8にあるため、エアコンスイッチ12がONになったとき(時刻T1)に、インバータ9によりコンプレッサ駆動モータ7aを始動してコンプレッサ7の運転を開始する。このとき、バッテリ8のSOCが低下し、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクが発生する。一方、コンプレッサクラッチ10は開放されたままであり、エンジン1のトルクに変化はなく、発電機6の発電トルクはゼロのままである。その後、車速が上昇して閾値Vthを超えると(時刻T2)、コンプレッサ7の運転をバッテリ8による駆動からエンジン1による駆動に切り替える。エンジン1とコンプレッサ7をコンプレッサクラッチ10で締結した後、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクを漸減することによって、エンジン1のトルクも漸減するため、ドライバビリティを損なうことがない(時刻T2〜T3)。
【0017】
図4は、バッテリ8のSOCが閾値SOCth1より小さいときに冷房運転を開始する場合(ステップ202で判定がNOの場合)におけるタイミング図である。コンプレッサ7をコンプレッサ駆動モータ7aで始動するだけの電気エネルギーがバッテリ8にないため、エアコンスイッチ12がONになったとき(時刻T1)に、まず発電機6を作動させ、発電された電気エネルギーをバッテリ8に蓄電する。このとき、コントローラ11は発電機6の発電トルクが所定値まで漸増するように発電機6の出力電圧を制御することによって、バッテリ8のSOCは漸増、エンジン1のトルクは漸減する。その後も一定の発電トルクで、発電機6の発電とバッテリ8の充電を継続し(時刻T2〜T3)、バッテリ8のSOCが閾値SOCth1よりも大きくなったとき(時刻T3)、インバータ9によりコンプレッサ駆動モータ7aを始動してコンプレッサ7の運転を開始する。このとき、バッテリ8のSOCが低下し、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクが発生する。一方、コンプレッサクラッチ10は開放されたままであり、エンジン1のトルク、発電機6の発電トルクは時刻T2の時点のまま変化はない。その後、車速が上昇して閾値Vthを超えると(時刻T4)、コンプレッサ7の運転をコンプレッサ駆動モータ7aによる駆動か
らエンジン1による駆動に切り替える。エンジン1とコンプレッサ7をコンプレッサクラッチ10で締結した後、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクを漸減することによって、エンジン1のトルクも漸減するため、ドライバビリティを損なうことがない(時刻T4〜T5)。
【0018】
図5は、冷房運転を行っている最中にエアコンスイッチ12がOFFとなって冷房運転を終了する処理において、コンプレッサ駆動モータ7aでコンプレッサ7を駆動している場合(ステップ214で判定がYESの場合)におけるタイミング図である。図5において、エアコンスイッチ12がONからOFFに切り替わると、コントローラ11がインバータ9に対してコンプレッサ駆動モータ7aの運転停止を指示することにより、コンプレッサ7は運転を停止する(時刻T1)。これに伴い、バッテリ8は放電がなくなりSOCは一定に保たれ、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクもゼロになる。コンプレッサクラッチ10は開放のまま変化がなく、エンジン1のトルク、発電機6の発電トルクにも変化がないため、ドライバビリティを損なうことがない
図6は、冷房運転を行っている最中にエアコンスイッチ12がOFFとなって冷房運転を終了する処理において、エンジン1でコンプレッサ7を駆動している場合(ステップ214で判定がNOの場合)におけるタイミング図である。図6において、エアコンスイッチ12がONからOFFに切り替わると、コントローラ11はインバータ9に対してコンプレッサ駆動モータ7aの始動を指示し(時刻T1)、さらにコンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクを漸増させる(時刻T1〜T2)。このとき、コンプレッサ7の負荷はコンプレッサ駆動モータ7aによっても駆動されることとなり、これに伴いエンジン1のトルクはコンプレッサ7の負荷が漸減した分だけ漸増する。そして、エンジン1によって駆動されるコンプレッサ7の回転数とコンプレッサ駆動モータ7aの回転数が略同一になったらコンプレッサクラッチ10を開放する(時刻T3)。これによって、コンプレッサ7はバッテリ8のみによって駆動された状態となる。次に、コントローラ11はインバータ9に対してコンプレッサ駆動モータ7aの運転停止を指示することにより、コンプレッサ7は運転を停止する(時刻T4)。これに伴い、バッテリ8は以降の放電がなくなりSOCは一定に保たれ、コンプレッサ駆動モータ7aの駆動トルクもゼロになる。コンプレッサクラッチ10は開放のまま変化がなく、エンジン1のトルク、発電機6の発電トルクにも変化がないため、ドライバビリティを損なうことがない
以上のように、本実施の形態の車両制御装置によれば、コントローラ11がコンプレッサ7の動作を開始させる時、バッテリ8の充電率が閾値より大きい場合は、モータ7aを駆動し、バッテリ8の充電率が閾値より小さい場合は、発電機6のトルクを漸増して発電し、バッテリ8の充電率が閾値より大きくなったときに、インバータ9からの電力によりモータ7aを駆動してコンプレッサ7を作動する制御を行うので、バッテリの容量や車両の走行状態によらず、コンプレッサの運転開始時のドライバビリティを良くすることができる。また、コンプレッサ7の動作を停止させる時、コンプレッサクラッチ10が締結され、コンプレッサ7がエンジン1の回転力によって動作している場合、モータ7aのトルクを漸増させた後にコンプレッサクラッチ10を開放し、コンプレッサ7の動力源をエンジン1の回転力からモータ7aへ切り替えた後、モータ7aの駆動を停止してコンプレッサ7の動作を停止させるので、バッテリの容量や車両の走行状態によらず、コンプレッサの停止時のドライバビリティを良くすることができる。
【0019】
なお、以上の説明では、発電機を、発電機能のみをもつデバイスとしたが、これを駆動機能も兼ね備えた電動機、所謂モータジェネレータとした場合についても同様に実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0020】
以上のように、本発明は、制御手段がコンプレッサの動作を開始させる時、バッテリの充電率が閾値より大きい場合は、インバータからの電力によりモータを駆動してコンプレ
ッサを作動し、バッテリの充電率が閾値より小さい場合は、発電機のトルクを漸増して発電し、バッテリの充電率が閾値より大きくなったときに、インバータからの電力によりモータを駆動してコンプレッサを作動するので、バッテリの容量や車両の走行状態によらず、コンプレッサの運転開始時のドライバビリティを良くすることができるという効果を有し、車両制御装置として有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 エンジン
6 発電機
7 コンプレッサ
7a コンプレッサ駆動モータ
8 バッテリ
9 インバータ
10 コンプレッサクラッチ
11 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの出力軸に接続され前記エンジンの回転力により発電を行う発電機と、
前記発電機の電力を蓄えるバッテリと、
前記発電機または前記バッテリから電力が供給されるインバータと、
前記インバータから電力が供給されるモータと、
前記エンジンの出力軸に接続され、前記エンジンの回転力により、あるいは、前記モータの駆動により動作を行うコンプレッサと、
前記エンジンの出力軸と前記コンプレッサの間に設置され、前記エンジンの回転力を前記コンプレッサへ伝達および切断を行うクラッチと、
前記発電機、前記バッテリ、前記インバータ、前記クラッチに接続されている制御手段とを備えた車両制御装置において、
前記制御手段は、前記コンプレッサの動作を開始させる時、前記バッテリの充電率が閾値より大きい場合は、前記インバータからの電力により前記モータを駆動して前記コンプレッサを作動し、前記バッテリの充電率が閾値より小さい場合は、前記発電機のトルクを漸増して発電し、前記バッテリの充電率が閾値より大きくなったときに、前記インバータからの電力により前記モータを駆動して前記コンプレッサを作動することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記インバータからの電力により前記モータで前記コンプレッサを駆動した後、前記バッテリの充電率が閾値より小さくなった場合、または、車両の速度が閾値より大きくなった場合、前記クラッチを締結した後に、前記モータのトルクを漸減することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記コンプレッサの動作を停止させる時、前記クラッチが締結され、前記コンプレッサが前記エンジンの回転力によって動作している場合、前記モータのトルクを漸増させた後に前記クラッチを開放し、前記コンプレッサの動力源を前記エンジンの回転力から前記モータへ切り替えた後、前記モータの駆動を停止してコンプレッサの動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−207395(P2011−207395A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78386(P2010−78386)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】