説明

車両室内浄化装置

【課題】車両室内に配置されたシートを脱臭する性能が優れた車両室内浄化装置を提供する。
【解決手段】乗員が着座するシートが配置されている車両室内に脱臭機能を有する帯電物質としての帯電粒子水を供給する車両室内浄化装置であって、乗員が降車している状態にあるか否かを判定し(S2)、少なくとも乗員が降車したと判定された場合、帯電粒子水を前記車両室内に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の車両室内の空気を殺菌するために、空調エアを車両室内へ吹き出す空調装置の内部にプラズマクラスタ発生器を配置して、該プラズマクラスタ発生器に空調装置内において吹出口に向けて流れる空気へ殺菌作用を有する荷電粒子を放出させることが行われている(特許文献1)。
【0003】
近年、水に電圧を印加して生成されるナノメータサイズの帯電粒子水は、臭気成分に付着すると臭気成分を不活性化させて消臭できることが明らかになっている。そこで、この原理を応用して、車両室内の脱臭を行う車両室内浄化装置が車両に設けられるようになってきた。
【0004】
例えば特許文献2には、車両に設けられた空調装置内で吹出口に向けて流れる空気に上記帯電粒子水を混入させることにより、該空調装置の吹出口から上記帯電粒子水を車両室内に放出して、車両室内の消臭を行う車両室内浄化装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、上記帯電粒子水を外部へ放出する車両室内浄化装置であって、車両室内の壁面やシート等に付着している臭気成分を除去すべく、インパネ上部やフロントピラーやセンターピラーに取り付け可能に形成されたものが開示されている。
【特許文献1】特開2004−122843号公報
【特許文献2】特開2006−151046号公報
【特許文献3】特開2006−111227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2又は3において、乗員の搭乗時に帯電粒子水等が車両室内に放出されたとしても、乗員が着座するシートは該乗員と接触しているため、シート表面に該帯電粒子水は直接吹き付けられない。このため、乗員の乗車時のみに、帯電粒子水等が車両室内に放出されたのでは、シートに付いた臭いを十分除去することができない。
【0007】
また、上記特許文献1では、車両の駐車時、すなわち乗員の降車時に、荷電粒子が車両室内に放出されることが開示されているが、シートに付いた臭いを効果的に除去することはできない。
【0008】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両室内に配置されたシートを脱臭する性能が優れた車両室内浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、乗員の降車時に、脱臭機能を有する帯電物質が、シートが配置されている車両室内に供給されるようにしたものである。
【0010】
具体的には、乗員が着座するシートが配置されている車両室内に脱臭機能を有する帯電物質を供給する浄化手段を備えた車両室内浄化装置において、乗員が降車している状態にあるか否かを判定する乗員降車判定手段を備え、前記浄化手段は、少なくとも前記乗員降車判定手段によって乗員が降車したと判定された場合、前記帯電物質を前記車両室内に供給するものである。
【0011】
本発明によれば、乗員の降車時に、前記帯電物質が車両室内に放出されるので、該帯電物質をシート表面に作用させて、シートに付いた臭気成分を効果的に除去することができる。
【0012】
請求項2の発明は、乗員が降車した直後において、前記帯電物質を車両室内に供給するようにしたものである。
【0013】
具体的には、前記乗員降車判定手段は、乗員の降車直後の状態を判定し、前記浄化手段は、前記乗員降車判定手段によって乗員の降車直後の状態が判定された時点から少なくとも所定時間、前記帯電物質を前記車両室内に供給するものである。
【0014】
乗員降車時には、シート表面は比較的高温高湿度の状態になっているため、シートに付いた臭気成分が放出されやすい状態にあるが、本発明によれば、この状態にあるシートの表面に帯電物質が作用するため、よりシートの脱臭効果が向上する。
【0015】
請求項3の発明は、前記車両は、車両室内に空調エアを供給することで該車両室内を所定温度に調整可能な空調手段を備え、前記浄化手段は、車両室内の空気中へ放電することによって該空気中の水分に帯電させて前記帯電物質としての帯電粒子水を生成するものである。
【0016】
本発明によれば、乗員の乗車時に前記空調装置が作動された場合には、乗員降車直後における車両室内は、比較的高温高湿度の状態になっているため、浄化手段による帯電物質の生成が充分可能な状態となっている。このため、上記乗員の乗車時に前記空調装置が作動された場合には、確実に帯電物質が生成されて、シートの脱臭効果が維持される。
【0017】
請求項4の発明は、前記空調手段は、送風部の作動により前記車両室内に冷風又は暖風を供給可能であり、前記浄化手段は、前記車両室内に供給される冷風又は暖風に帯電物質を混合することにより、該帯電物質を前記車両室内に供給可能であり、前記送風部は、少なくとも前記所定時間の一部の時間において作動するものである。
【0018】
本発明によれば、少なくとも前記一部の時間において、車両室内に帯電物質が混合された空調エアが車両室内に供給される。これにより、帯電物質が確実に車両室内に放出されるために、帯電物質は、より効果的にシート表面に作用する。このため、シートの脱臭効果がより向上する。
【0019】
請求項5の発明は、前記車両室内浄化装置は、前記車両室内に供給される冷風又は暖風の風向を制御可能な風向制御手段をさらに備え、前記風向制御手段は、少なくとも前記所定時間の一部の時間において、前記空調エアがシートの着座面に向かうように制御するものである。
【0020】
本発明によれば、少なくとも前記一部の時間において、車両室内に供給される前記冷風又は暖風の風向がシートの着座面に向かうように制御されるために、帯電物質が確実にシート表面に接触する。このため、シートの脱臭効果がより一層向上する。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、乗員の降車時に、前記帯電物質が車両室内に放出されるので、該帯電物質をシート表面に作用させて、シートに付いた臭気成分を効果的に除去することができる。
【0022】
請求項2の発明によれば、比較的高温高湿度の状態にあるシートの表面に帯電物質が作用するため、よりシートの脱臭効果が向上する。
【0023】
請求項3の発明によれば、乗員の乗車時に前記空調装置が作動された場合には、確実に帯電物質が生成されて、シートの脱臭効果が維持される。
【0024】
請求項4の発明によれば、帯電物質が確実に車両室内に放出されるために、帯電物質は、より効果的にシート表面に作用する。このため、シートの脱臭効果がより向上する。
【0025】
請求項5の発明によれば、帯電物質が確実にシート表面に接触する。このため、シートの脱臭効果がより一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態における車両室内浄化装置1を搭載した自動車の断面図を示している。
【0028】
車両室内浄化装置1は、車両の空調装置10内に配置された帯電粒子水(帯電物質)発生器2と、エンジンの停止及び車両のドアの開閉を検知するセンサ3と、制御装置としてのECU4とを備えており、帯電粒子水発生器2とセンサ3とはECU4に電気的に接続されている。
【0029】
なお、センサ3は、エンジンの停止及び車両のドアの開閉を検知した場合には、直ちに検知信号をECU4へ送信することが可能に設けられている。
【0030】
図2は、帯電粒子水発生器2の概略構成を示すブロック図である。
【0031】
帯電粒子水発生器2は、例えば特許文献3に開示されたものを適用でき、放電極2aと、放電極2aと対向する対向電極2bと、放電極2aの先端に結露水を生成するペルチェユニット2cと、放電極2aの先端と対向電極2bとの間に高電圧を印加する電圧印加部2dとを具備している。この帯電粒子水発生器2において、電圧印加部2dにより放電極2a先端と対向電極2bとの間に高電圧が印加されることで、ペルチェユニット2cにより放電極2a先端に生成された結露水が放電極2a先端で静電霧化されて、ナノメータサイズの帯電粒子水が生成される。
【0032】
なお、ペルチェユニット2cは、放電極2a先端の周囲の空気を結露点以下にまで冷却することで、放電極2a先端の外面に結露水を生成する。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係る空調装置10が装着された車両のインストルメントパネル6を車室内から見た斜視図であり、図4は、空調装置10の内部構造を示す断面図である。
【0034】
なお、以下の説明では特に説明しない場合、「前」及び「後」はそれぞれ「車両前後方向前」及び「車両前後方向後」を意味しており、「左」及び「右」は、それぞれ車体を基準とした「車幅方向左」及び「車幅方向右」を意味している。
【0035】
インストルメントパネル6の略中央部には、左右一対の縦長のベンチレータ8Aが設けられており、ここから車両室内の中央寄りに空調エアを吹き出すようになっている。また、インストルメントパネル6の左右両端部にも、略中央部のものと同様の縦長のベンチレータ8Bが設けられており、それぞれ車両室内の運転席側及び助手席側に空調エアを吹き出すようになっている。さらに、インストルメントパネル6の上面の最奥部(前端部)にはフロントウインド71用のデフロスタ9が設けられている。
【0036】
インストルメントパネル6の内部における車幅方向の略中央部位には、空調装置10の空調ユニット20が収容されており、その上部に接続されたベント導出通路30A,30B及びデフロスト導出通路31を介してベンチレータ8A,8B及びデフロスタ9に空調エアを送り出すようになっている。
【0037】
空調ユニット20は、ケーシング21の内部にブロアユニット22(送風部)を収容していて、該ブロアユニット22により車両室外又は車両室内から空気を吸い込むとともに吸い込んだ空気を車両室内に吹き出すように構成されている。なお、ブロアユニット22は、図5に示されるように、ECU4に電気的に接続されており、その駆動がECU4により制御可能に設けられている。
【0038】
ブロアユニット22の周りには吹き出した空気の流れを集合させて下方へ送る空気送り通路25が形成され、その下流端に前記エバポレータ23が配設されている。
【0039】
前記エバポレータ23の下流側で空気流の経路は上下に分岐し、該エバポレータ23を通過した空気を前記ヒータコア24に導く下側通路26と、該ヒータコア24をバイパスして上方に向かう上側通路27とに分かれている。
【0040】
そして、前記下側通路26及び上側通路27の下流端(上端)は、それぞれ、ケーシング21の上部後側に形成されたエアミックス空間28に連通している。すなわち、エアミックス空間28の下端(上流端)は、前記下側通路26及び上側通路27の上端(下流端)に繋がっており、そこには暖風と冷風の混合割合を調整するエアミックスダンパ29が設けられている。
【0041】
一方、エアミックス空間28の上部には、ベンチレータ8A,8Bに接続されるベント導出通路30A,30Bと、デフロスタ9に接続されるデフロスト導出通路31とが配置され、それら導出通路30A,3OBと導出通路31との分岐部には通路開口面積を調節するための切換えドア32,33が配設されている。この切換えドア32,33の開度調節機構34は、図5に示されるように、ECU4に電気的に接続されており、その開閉がECU4により制御可能となっている。なお、便宜のため、図3には、デフロスト導出通路31の図示を省略している。
【0042】
空調ユニット20においては、ブロアユニット22により空気送り通路25に送られた空気が、仮想線の矢印で示すように流れ、エバポレータ23を通過することによって冷却されて冷風になる。この冷風は、エアミックスダンパ29の回動位置によって決まる風量の分配割合に応じて下側通路26側と上側通路27側とに分岐し、下側通路26側に向かった冷風はヒータコア24を通過することによって温められる。そうして一旦、下側通路26及び上側通路27に分かれた空気はエアミックス空間28で合流するとともに混合されて、所定の温度及び湿度の冷風又は暖風となる。
【0043】
そして、前記冷風又は暖風は、切換ドア32,33のそれぞれの開度が調整されるのに応じてベント導出通路30A,30Bとデフロスト導出通路31とのいずれかを通過した後、ベンチレータ8A,8B又はデフロスタ9から車両室内へと供給されるようになる。そうして、この冷風又は暖風が、車両室内に供給されることで、車両室内は所定の温度に調整される。
【0044】
また、ベンチレータ8A,8Bには、ルーバ8a,8bが設けられ、空調ユニット20内には、ルーバ8a,8bを揺動するルーバ駆動装置8c(図3,4には図示せず)が配置されている。このルーバ駆動装置8cは、図5に示されるように、ECU4に電気的に接続され、ECU4により駆動制御されるようになっている。
【0045】
帯電粒子水発生器2は、インストルメントパネル6の左右両端部のベンチレータ8A,8Bの近傍に配置されており、帯電粒子水の生成部は、導入部40を介して、該ベンチレータ8Bに接続するベント導出通路30Bに連通している。
【0046】
以上により、車両室内浄化装置1は、ブロアユニット22を駆動させて、空調ユニット20内に冷風又は暖風の空気流を生じさせるとともに、切換えドア32,33の開閉を切換えることで、該冷風又は暖風をベンチレータ8Bから車両室内に吹き出させることが可能になっている。さらに、車両室内浄化装置1は、帯電粒子水発生器2に帯電粒子水を生成させて、ベント導出通路30Bを通過する冷風又は暖風に帯電粒子水を混合することにより、該帯電流水水をベンチレータ8Bから車両室内へ供給することが可能になっている。さらに、車両室内浄化装置1は、ルーバ駆動装置8cに、ベンチレータ8Bのルーバ8bの角度を調節させることで、図1の矢印に示すように、帯電粒子水が混合された冷風又は暖風を、ベンチレータ8Bからシート50,51の着座面へ向けて吹き出させることが可能になっている。
【0047】
なお、乗員の乗車時には、切換ドア32,33の開度調整やエアミックスダンパ29の回動位置及びブロアユニット22の運転は、乗員による操作ダイヤル7の操作により設定されたモードに基づいて、前記空調ユニット20のコントローラ(図示せず)により行われる。
【0048】
次に、上記のように構成された車両室内浄化装置1の動作について図6を用いて説明する。なお、図6に示されるフローチャートは、ECU4によって実行される。
【0049】
はじめに、センサ3から送信されたデータが受信される(ステップS1)。
【0050】
次いで、受信されたデータに基づいて、乗員が降車したか否かが判定される(ステップS2)。具体的には、センサ3から受信したデータに基づき、エンジンが停止した後、車両のドアの開閉動作がされたか否かが判断される。
【0051】
次いで、エンジンが停止した後、車両のドアの開閉動作がされたことにより、乗員が降車したと判定された場合には(ステップS2でYES)、車両室内が帯電粒子水の生成条件を満たす状態にあるか否かが判断される(ステップS3)。具体的には、車両室内が帯電粒子水を生成するのに適した温度及び湿度になっているか否かが判断される。この処理は、車両室内が低温もしくは低湿の状態にあるときには、帯電粒子水発生器2において、放電極2a先端と対向電極2bとの間に電圧が印加されても、放電極2a周囲の空気の冷却が進まず、帯電粒子水を放電極2aの外面に生成することができないことに基づき実行される。なお、帯電粒子水の生成に適した車両の室内温度は、5度以上60度以下である。
【0052】
また、ステップS3以降の処理は、センサ3がエンジンの停止等を検知したときには検知データを直ちにECU4へ送信することから、乗員の降車直後に実行される。
【0053】
ステップS3において、帯電粒子水の作動条件が満たされていないと判断された場合(ステップS3でNO)、図6に示す処理は終了する。
【0054】
一方、帯電粒子水の生成条件が満たされていると判断された場合(ステップS3でYES)、帯電粒子水が車両室内に供給される(ステップS4)。具体的には、ECU4は、ブロアユニット22を作動して、切換えドア32を開、切換えドア33を閉にするとともに、帯電粒子水発生器2に帯電粒子水を生成させる。これにより、ベント導出通路30Bを通過する冷風又は暖風に帯電粒子水が混合され、該帯電粒子水が混合された冷風又は暖風が、ベンチレータ8Bから車両室内へ吹き出される。
【0055】
次いで、ベンチレータ8Bから車両室内に吹き出される冷風又は暖風の風向きが制御される(ステップS5)。
【0056】
具体的には、ECU4は、該冷風又は暖風がシート50,51の着座面に向かって流れるようにルーバ駆動装置8cにベンチレータ8Bのルーバ8bの角度を調節させる。そうして、一定の時間が経過した後には、車両室内全体に冷風又は暖風が行きわたるように、ルーバ駆動装置8cにルーバ8bを揺動させる。
【0057】
次いで、帯電粒子水の車両室内への供給が開始されてから、所定時間が経過したか否かが判断され(ステップS5)、所定時間が経過したと判断された場合には(ステップS5でYES)、帯電粒子水の車両室内への供給が停止されて(ステップS6)、図5に示す処理は終了する。
【0058】
以上、本実施形態によれば、乗員の降車時に、前記帯電粒子水が車両室内に放出されるので、該帯電粒子水をシート50,51表面に作用させて、シート50,51に付いた臭気成分を効果的に除去することができる。
【0059】
また、乗員降車時には、シート50,51表面は比較的高温高湿度の状態になっているため、シート50,51に付いた臭気成分は放出されやすい状態にあるが、この状態にあるシート50,51の表面に帯電粒子水が作用するため、よりシート50,51の脱臭効果が向上する。
【0060】
また、乗員の乗車時に空調装置10が作動された場合には、乗員降車直後における車両室内は、比較的高温高湿度の状態になっているため、帯電粒子水の生成が充分可能な状態となっている。このため、上記乗員の乗車時に空調装置10が作動された場合には、確実に帯電物質が生成されて、シート50,51の脱臭効果が維持される。
【0061】
また、車両室内に帯電粒子水が混合された冷風又は暖風が車両室内に供給される。これにより、帯電粒子水が確実に車両室内に放出されるために、帯電粒子水は、より効果的にシート50,51表面に作用する。このため、シート50,51の脱臭効果がより向上する。
【0062】
また、帯電粒子水が車両室内に供給される時間のうち、一部の時間においては、車両室内に供給される前記冷風又は暖風の風向がシート50,51の着座面に向かうように制御されるために、帯電粒子水が確実にシート50,51表面に接触する。このため、シート50,51の脱臭効果がより一層向上する。
【0063】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0064】
例えば、上記センサ3に代えて、エンジンの停止等を検知してから所定の時間をおいて検知データをECU4へ送信するセンサが車両室内浄化装置に設けられても良い。このようなセンサが設けられる場合であっても、乗員降車時に帯電粒子水を車両室内に供給することが可能である。
【0065】
また、図6に示すステップS2で、乗員が降車したか否かを判断するために、エンジンが停止された後に、車両のドアの施錠がされたか否かが判断されてもよい。また、ステップS2において、イグニッションスイッチがオフ状態になった後に、車両のドアの開閉動作がされたか否か、あるいは車両のドアの施錠がされたか否かが判断されてもよい。なお、このようにステップS2の処理が変更される場合には、上記機器(エンジン、イグニッションスイッチ、車両のドア)の状態を検知可能なセンサが車両室内浄化装置に設けられる。
【0066】
また、ステップS3において、車両室内が浄化システムの作動条件を満たす状態にあるか否かを判断するために、ステップS2で乗員が降車したと判定される直前において空調装置が作動していたか否かが判断されてもよい。これは、乗員の降車直前に空調装置が作動していた場合には、乗員降車直後における車両室内は、帯電粒子水を生成するのに適した温度又は湿度にあることによる。
【0067】
また、図に示すステップS3は、車両に空調装置を搭載した場合には、乗員が必然的に空調装置を作動させる可能性が高いため、車両室内が常に帯電粒子水が生成するのに適した温度又は湿度に維持されるして、省略することができる。
【0068】
また、図に示すステップS5において、ECU4は、はじめに該冷風又は暖風が車両室内全体に向かって流れるようにルーバ駆動装置8cにルーバ8bを揺動させ、一定の時間が経過した後に、シート50,51の着座面に冷風又は暖風が行きわたるように、ルーバ駆動装置8cにベンチレータ8Bのルーバ8bの角度を調節させてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、空調ユニット20のブロアユニット22を作動させることにより、シート50,51又は車両室内へ向けて帯電粒子水が含まれる冷風又は暖風を生じさせることとしたが、別途ファンを設けて、このファンの作動により生じる空気流に帯電粒子水を混合させて、該帯電粒子水を車両室内に吹き出させることとしてよい。この場合、図7に示すごとく、車幅方向外側のサイドベント導出通路30B内において、導入部40よりも上流側の位置に、ベンチレータ8Bに向かう空気流を生じさせることが可能なファン60が配置される。また、この場合には、ファン60の駆動装置が空調ユニット20内に設けられるとともに、該駆動装置は、ECU4と電気的に接続されて、ECU4によりその駆動が制御される。
【0070】
さらに、上記ファンが設けられる場合には、帯電粒子水を車両室内に供給するために、ECU4は、該ファンのみを作動したり、あるいは、ブロアユニットとファンとを交互に作動することとしてもよい。ブロアユニットとファンとが交互に作動される場合には、帯電粒子水が車両室内に供給される時間(図6でS2の実行後、S6でYESと判断されるまでの時間)のうち、一部の時間のみにおいて、ブロアユニットは作動する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態における車両室内浄化装置1を搭載した自動車の断面図を示している。
【図2】帯電粒子水発生器2の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る空調装置が装着された車両のインストルメントパネル6を車室内から見た斜視図である。
【図4】空調装置の内部構造を示す断面図である。
【図5】ECUに接続される機器を示すブロック図である。
【図6】ECUにより実行される処理を示すフローチャートである。
【図7】ベント導出通路にファンが形成された状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 車両室内浄化装置、
10 空調装置(空調手段)、
22 ブロアユニット送風部、
50,51 シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が着座するシートが配置されている車両室内に脱臭機能を有する帯電物質を供給する浄化手段を備えた車両室内浄化装置において、
乗員が降車している状態にあるか否かを判定する乗員降車判定手段を備え、
前記浄化手段は、少なくとも前記乗員降車判定手段によって乗員が降車したと判定された場合、前記帯電物質を前記車両室内に供給することを特徴とする車両室内浄化装置。
【請求項2】
前記乗員降車判定手段は、乗員の降車直後の状態を判定し、
前記浄化手段は、前記乗員降車判定手段によって乗員の降車直後の状態が判定された時点から少なくとも所定時間、前記帯電物質を前記車両室内に供給することを特徴とする請求項1に記載の車両室内浄化装置。
【請求項3】
前記車両は、車両室内に空調エアを供給することで該車両室内を所定温度に調整可能な空調手段を備え、
前記浄化手段は、車両室内の空気中へ放電することによって該空気中の水分に帯電させて前記帯電物質としての帯電粒子水を生成することを特徴とする請求項2に記載の車両室内浄化装置。
【請求項4】
前記空調手段は、送風部の作動により前記車両室内に空調エアを供給することが可能であり、
前記浄化手段は、前記車両室内に供給される空調エアに前記帯電物質を混合することにより、該帯電物質を前記車両室内に供給することが可能であり、
前記送風部は、少なくとも前記所定時間の一部の時間において作動することを特徴とする請求項2に記載の車両室内浄化装置。
【請求項5】
前記車両室内浄化装置は、前記車両室内に供給される空調エアの風向を制御可能な風向制御手段をさらに備え、
前記風向制御手段は、少なくとも前記所定時間の一部の時間において、前記空調エアがシートの着座面に向かうように制御することを特徴とする請求項4に記載の車両室内浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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