説明

車両情報と引き換えに車両にコンテンツを提供するためのシステム及び方法

送信元から車両にコンテンツを提供するためのシステム及び方法を開示する。コンテンツは、コンテンツが提供される車両からの車両情報に対する少なくとも1つの要件にコンテンツを関連付けることによって制限される。制限されたコンテンツが要求された場合、車両システムは、車両から車両関連情報を得る。車両情報が、送信元から車両システムに転送され、制限されたコンテンツが、送信元から車両システムに転送される。車両システム、送信元、又は双方共、コンテンツを制限する少なくとも1つの要件を車両情報が満たすかどうか判断する。車両情報に対する要件が満たされる限り、制限されたコンテンツの処理が許可される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、車両においてコンテンツを取り扱うためのシステム及び方法に関する。
相互参照関連出願
本出願は、以下の表題の米国特許出願、「車両条件に基づきコンテンツの処理を制御するためのシステム及び方法」(Atty.Dkt.No.CM08861TC)、「車両における区画に基づきコンテンツの処理を制御するためのシステム及び方法」(Atty.Dkt.No.CM08859TC)、「車両条件に基づきコンテンツの処理を変更するためのシステム及び方法」(Atty.Dkt.No.CM08857TC)、及び「車両におけるデバイスの位置及び方向を決定するための方法及び装置」(Atty.Dkt.No.CM08815TC)と同時申請されており、これらは、全て本明細書に参照によって組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
車両は、コンテンツを処理するための幾つかのタイプの装置を有し得る。装置の幾つかの例としては、従来のラジオ放送受信機、衛星ラジオ放送受信機、音声システム、ビデオシステム、エンターテイメントシステム、テレマテックスシステム、及びナビゲーションシステムが挙げられる。これら装置は、製造時に車両に設置されたり、又は車両に後で追加されるアフターマーケットユニットである。これら装置は、媒体、音声、ビデオ、ラジオ放送、衛星放送、テレビ放送、全地球測位システム(GPS)データ、及びナビゲーションデータ等の様々な形態のコンテンツを取り扱うことができる。車両の乗員にコンテンツを出力するために、これら装置は、記憶、描画、符号化、復号化、コード変換、解析、暗号化、暗号解読、ストリーミング、通信、及び再生能力等の一定の処理能力を有する。
【0003】
音楽やビデオ等のデジタル媒体のプロバイダは、幾つかの手法を用いて、デジタル媒体の取り込み、記憶、転送、及び/又は処理の制限や制御を行う。これらの制限手法は、デジタル著作権管理(DRM)方式と称する。制限手法の幾つかの例としては、シリアル・コピー・マネージメント・システム(SCMS)、マクロヴィジョン(Macrovision)、へリックス(Helix)DRM、スティーム(Steam)、iTunes(商標)(アップル社のFairPlay_DRMを組み込み、iTunes(商標)ミュージック・ストアを介してコンテンツをダウンロードする)、ウィンドウズメディアオーディオ又はビデオコンテンツを保護し、ウィンドウズメディアプレーヤに実装されるウィンドウズメディアDRM(WMDRM)、オープン・モバイル・アライアンスが用いるOMA_DRMシステム、リアルネットワークス(Real_Networks)、ソニーのDRM技術OpenMG、MMKセキュアストリーム(Secure_Stream)、デジタル伝送コンテンツ保護規格(DTCP)、記録可能媒体用コンテンツ保護(CPRM)、高帯域幅デジタルコンテンツ保護(HDCP)、及びインターネットプロトコル上でのデジタル伝送複製防止(DTCP−TP)が挙げられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
車両用のコンテンツを取り扱うためのシステム及び方法を開示する。コンテンツを取り扱う1つの手法は、如何にして、コンテンツを取り込み、車両システムに提供するかを制御する段階を伴う。この手法では、コンテンツ又はサービスプロバイダ等の送信元は、車両から送信元に転送される車両情報と引き換えに、コンテンツを車両システムに提供する。これを行うために、コンテンツは、車両関連情報の少なくとも1回の転送を要求することによって制限される。制限されたコンテンツが車両において要求された場合、車両システムは、車両の情報を得る。車両情報は、車両システムから送信元に転送され、また、制限されたコンテンツは、送信元から車両システムに転送され、コンテンツが処理される。送信元及び/又は車両システムは、車両情報が、コンテンツを制限する車両情報の少なくとも1回の転送に対する要件を満たすかどうか判断する。車両関連情報に対する要件が満たされる限り、制限されたコンテンツの処理が許される。
【0005】
車両用のコンテンツを取り扱う他の手法は、車両においてコンテンツを処理し得る条件を制御する段階を伴う。これを行うために、コンテンツは、少なくとも1つの車両条件の要件で制限される。制限されたコンテンツの処理が要求された場合、車両システムは、例えば、車両バスに通信用に結合された車両インターフェイス又は車載診断II(OBD−II)接続を用いて、車両情報を得る。そして、車両システムは、車両情報が、コンテンツを制限する車両条件の要件を満たすかどうか判断する。要件が満たされる場合、コンテンツ処理装置は、制限されたコンテンツの処理を許可される。そうでない場合、コンテンツ処理装置は、制限されたコンテンツの処理を阻止される。
【0006】
車両用のコンテンツを取り扱う他の手法は、車両においてコンテンツを処理できる場所を制御する段階を伴う。これを行うために、コンテンツの処理は、車両内における少なくとも1つの所定の区画に制限される。制限されたコンテンツ処理の要求が受信された場合、車両システムは、車両の区画情報を得て、必要なコンテンツ処理装置が、所定の区画用に指定されているかどうか判断する。例えば、所定の区画としては、車両の前部座席運転者側用の区画A、前部座席乗員側用の区画B、後部座席運転者側用の区画C、及び後部座席乗員側用の区画Dを挙げることができる。コンテンツの処理は、例えば、車両の区画C及びDのみに制限される。ビデオシステム等のコンテンツ処理装置は、車両の後部座席の領域に配置され、区画C及びD用に指定される。従って、車両システムは、必要なコンテンツ処理装置が、所定の区画用に指定されていると判断する。他の選択肢として、車両システムは、所定の区画が、乗員によって占有されているかどうか判断する。例えば、車両のセンサは、所定区画の座席が、占有されているかどうか検出する。コンテンツ処理装置が、所定の区画用に指定されているか又は区画が占有されている場合、コンテンツ処理装置は、制限されたコンテンツの処理を許可される。そうでない場合、コンテンツ処理装置は、制限されたコンテンツの処理を許可されない。
【0007】
車両用のコンテンツを取り扱う更に他の手法は、現在の車両条件に基づき、車両においてコンテンツを処理する方法を修正する段階を伴う。これを行うために、コンテンツの処理は、車両条件に基づき、少なくとも2つの動作モードで可能にされるか又は構成される。動作中、車両システムは、車両情報を得る。そして、車両システムは、車両情報が、車両条件の1つを満たすかどうか判断し、コンテンツは、満たされた車両条件に対応するモードで処理される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本開示の主題は、様々な修正及び他の形態が可能あるが、その特定の実施形態を一例として図面に示し、また本明細書において詳細に記載する。図及び記載した説明は、本発明の概念の範囲を限定しようとするものでは決してない。むしろ、図及び記載した説明は、35USC§112が要求するように、特定の実施形態を参照することによって、当業者に本発明の概念を示すために提供するものである。
【0009】
上記内容は、各潜在的な実施形態又は本開示の全ての態様を要約しようとするものではない。次に、図を参照して、本開示の主題について詳細に記載する。前記したコンテンツを取り扱う様々な手法について説明する前に、まず、本開示による車両システム用のコンテンツを入手可能なネットワーク環境に目を向ける。
【0010】
図1は、本開示の或る教示内容によるネットワーク10及び車両100を示す。車両100は、車両100に組み込まれた又は追加された車両システム110を有する。また、車両100は、エンターテイメントシステム、音声システム、ビデオシステム、ユーザインターフェイス、ナビゲーションシステム、及びテレマテックスシステム等の、車両がコンテンツ処理に利用可能な1つ又は複数の電子システム又は装置102を有する。コンテンツ処理装置102は、車両100の独立構成要素又は車両システム110の構成要素であってよい。
【0011】
ネットワーク10は、車両システム100用のネットワーク環境の幾つかの可能性を表す。ネットワーク10における様々な送信元30、40、及び50は、車両システム110にコンテンツを提供し処理させる。例えば、コンテンツの幾つかの送信元30としては、インターネットコンテンツプロバイダ31、衛星コンテンツプロバイダ32、ケーブルコンテンツプロバイダ(図示せず)、及びラジオコンテンツプロバイダ(図示せず)等のコンテンツプロバイダが挙げられる。コンテンツの他の送信元40としては、携帯電話サービスプロバイダ41、ナビゲーションサービスプロバイダ42、及びテレマテックスサービスプロバイダ43等のサービスプロバイダが挙げられる。コンテンツの更に他の送信元50としては、例えば、音楽サーバ、パソコン、家庭用エンターテイメントシステム、携帯情報端末(PDA)、デジタル音楽プレーヤ、iPod(商標)、又は携帯電話等の個人用装置が挙げられる。
【0012】
これらの様々なコンテンツ送信元30、40、及び50が与えられた場合、本明細書で用いるコンテンツは、デジタルデータ、媒体データ、マルチメディアデータ、音声データ、及びビデオデータだけを指すばかりでなく、インターネットデータ、ケーブル放送データ、ラジオ放送データ、衛星放送データ、テレビ放送データ、GPSデータ、ナビゲーションデータ、ユーザインターフェイスデータ、及びソフトウェアアプリケーションデータ並びに車両システム110によって用いられる他の可能なタイプのデータも指すことを認識されたい。
【0013】
様々なコンテンツ送信元30、40、及び50は、インターネット20、衛星通信22、ホットスポット・ゲートウェイ24、携帯電話ネットワーク26、及び全地球測位システム28等の様々な通信経路を介して、車両システム110にそのコンテンツを提供することができる。更に、他の通信経路としては、WiFi、ブルートゥース(商標)、超広帯域(UWB)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、及び当分野で既知の様々な通信経路が挙げられる。
【0014】
上記車両システム110が利用可能なネットワーク環境を理解した上で、次に、図2において更に詳細に示す車両又はマルチメディアシステム110の説明に移る。車両システム110は、車両100用の客室内の構成要素又はアフターマーケットユニットであってよい。概観すると、車両システム110は、車両100外の外部システムと通信を行うこと、車両100においてコンテンツを処理すること、及び車両100内における他の構成要素と通信を行うことが可能である。
【0015】
車両システム110内には、1つ又は複数のコンテンツ処理装置102及び106に通信用に結合された制御ユニット又はコントローラ120が含まれる。コントローラ120並びに装置102及び106は、システム110の特定の実施例に応じて、それらの動作の特徴を共有又は分割できる。例えば、コンテンツ処理装置102及び106は、コンテンツの独立した記憶及び処理が可能であるが、コントローラ120によって制御される。他の選択肢として、コンテンツ処理装置102及び106は、コンテンツの独立した記憶及び処理が可能でなく、コントローラ120が、コンテンツの処理を取り扱い、処理されたコンテンツを装置102及び106にストリーミングもしくは送信して、車両100において出力又は描画される。
【0016】
上記したコンテンツのネットワーク環境及び送信元に接続するために、コントローラ120は、1つ又は複数の通信インターフェイス130に通信用に結合されている。インターフェイス130としては、これらに限定しないが、携帯電話インターフェイス131、GPSインターフェイス132、ブルートゥース(商標)インターフェイス133、WiFiインターフェイス134、及びUSBインターフェイス135が挙げられる。本車両100は、これらの様々なインターフェイス130の1つ又は複数を有する。インターフェイス130を用いて、コントローラ120は、ネットワークの他の部分と通信を行って、例えば、上記した様々なコンテンツの送信元からコンテンツを取得することができる。
【0017】
車両100に関連した情報を得るために、コントローラ120は、車両100の電子バス140に通信可能に結合されており、電子バス140は、車両100の様々な構成要素(図示せず)に結合されている。他の選択肢として、コントローラ120は、車両構成要素に直接結合される。車両構成要素には、当該技術分野において既知のものが含まれる。車両構成要素の幾つかの例としては、これらに限定しないが、診断システム、車両コンピュータ又は制御ユニット(例えば、エンジン制御ユニット)、トランスミッション、オドメータ、車両モジュール(例えば、パワーステアリング制御モジュール、キーレスエントリモジュール、ドアモジュール等)、及び車両センサ(例えば、差圧フィードバックEGR(DPFE)センサ、タイヤ空気圧センサ、油圧センサ、エンジン温度センサ等)が挙げられる。一例において、車両バスインターフェイス122は、コントローラ120を車両バス140に結合する。そのような車両バスインターフェイス122は、当該技術分野において既知であり、車両バス140を介して、コントローラ120と車両100の構成要素との間の直接通信を可能にする。車両インターフェイス122は、コントローラ120が、車両バス140に直接アクセスする車両100の一体化された構成要素である場合に好適である。
【0018】
車両バス122に対する補足又は他の選択肢として、車載診断接続124、好適には、OBD−II接続が、コントローラ120を車両バス140に結合されるが、これは、コントローラ120が、元々車両100と一体化されていないアフターマーケットユニットである場合に好適である。車両バスインターフェイス122又はOBD−II接続124が、車両100において利用不可能な場合、車両100の他の装置が、コントローラ120に車両情報を提供する。一例において、GPSインターフェイス132は、受信機であってよいが、移動距離、速度、方向、時間、及び他の移動関連情報をコントローラ120に提供する。
【0019】
インターフェイス130に加えて、車両システム110には、様々なネットワーク送信元と間接的に通信を行うためのテレマテックス制御ユニット150が含まれる。テレマテックス制御ユニット150は、2005年4月29日に出願された米国特許出願第11/118,528号、表題「様々な領域の装置間におけるコンテンツを管理するためのシステム及び方法」(Atty.Dkt.No.IS01598TC)に開示されたものと同様であってよく、この特許は、その全体を本明細書に参照によって組み込まれる。簡単に言えば、テレマテックス制御ユニット150には、例えば、上記したネットワークにアクセスするためのネットワークアクセス装置154に結合された通信コントローラ152が含まれる。更に、テレマテックス制御ユニット150には、ネットワークにアクセスする携帯電話等の独立した通信装置と通信を行うための装置インターフェイス156が含まれる。車両バスインターフェイス158は、テレマテックス制御ユニット150を車両バス140に結合する。図2の車両システム110は、通信インターフェイス130及びテレマテックス制御ユニット150を有するものとして示されるが、車両システム110は、任意の実施例において双方を有する必要はない。
【0020】
ネットワーク環境、コンテンツ、送信元、及び車両システムの詳細について記載したが、次に、車両においてコンテンツを取り扱う幾つかの手法に目を向ける。
上記したように、車両100用のコンテンツを取り扱う1つの手法は、如何にして、コンテンツを車両システム110に提供するかを制御する段階を伴う。この手法において、図1の送信元30、40、及び50は、車両100の情報と引き換えに、車両システム110にコンテンツ(例えば、音楽、映像、データ等)を転送する。この構成において、コンテンツは、車両関連情報の少なくとも1回の転送に対する要件によって制限され、車両システム110は、要求された情報を提供するように求められる。従って、制限されたコンテンツを得るために及び/又は制限されたコンテンツを処理できるように、車両システム110は、車両所有者又は運転者が提供を同意した要求された車両情報を提供することによって、要件を実現する。
【0021】
図3において、例えば、車両100にコンテンツを提供する幾つかのコンテンツプロバイダ30及びサービスプロバイダ40を示す。コンテンツプロバイダ30としては、音楽及び映画配給元、ケーブルコンテンツプロバイダ、衛星コンテンツプロバイダ、インターネット音楽プロバイダ等が挙げられる。そのようなプロバイダ30からのコンテンツは、通信インターフェイス130又はテレマテックス制御ユニット150を介して、車両システム110に直接提供する。サービスプロバイダ40としては、携帯電話サービスプロバイダ41、ナビゲーションサービスプロバイダ42、テレマテックスサービスプロバイダ43、オイル交換会社44、自動車修理工場45、自動車販売代理店46、ドライブスルーレストラン47、レンタル店48、ガソリン会社49、又は車両に関連するサービスのあらゆる他のプロバイダが挙げられる。サービスプロバイダ40からのコンテンツは、車両システム110に直接提供したり、又はサービスプロバイダ40の代わりにコンテンツプロバイダ30を通して間接的に提供したりできる。車両システム110からの車両情報と引き換えに、プロバイダ30及び40は、車両所有者や乗員がプロバイダの製品及びサービスを用いる奨励として、無償で又は低価格でコンテンツを提供することができる。そして、車両情報は、プロバイダ30及び40によって、マーケティング及び統計的な目的に用いられる。
【0022】
車両情報と引き換えに車両システム110に制限されたコンテンツを提供する段階についてより詳細に説明するために、図4を参照するが、これは、プロバイダ又は送信元60対車両100、車両システム110、及び他の構成要素を示す。上記したように、プロバイダ60は、通信インターフェイス130又は150を介して、車両システム110にコンテンツ80を転送し、例えば、車両システム110によって記憶及び処理させる。しかしながら、プロバイダ60は、コンテンツ80の提供と引き換えに、車両100から或る情報86を転送するように要求することによって、提供されるコンテンツ80に対して何らかの形態の制御を維持したいと願う。要求された情報86は、プロバイダ60の要件に基づき、車両システム110によって収集され送信される。
【0023】
一例において、要求される情報86には、例えば、車両100の走行距離、サービス記録、GPS情報、状態、部品細目等の車両条件又はパラメータ160を含む。車両条件又はパラメータ160は、車両システム110によって得られ、プロバイダ60に転送される。他の例において、要求される情報86には、車両システム110の詳細、例えば、そのモデル、製造番号、特徴、能力、基本設定、更新等を含む。更に他の例において、要求される情報86には、コンテンツのタイプ、車両所有者の好みのジャンル、基本設定等のシステム110に記憶されたコンテンツに関連する細目を含む。
【0024】
コンテンツ80と情報86の交換は、手動で実施することができ、また、情報86がコンテンツ80と交換されることを車両所有者及び/又は運転者に気付かせるための対応処置を行うこともできる。例えば、通知が、ユーザインターフェイス(例えば、図4のダッシュボード表示装置106)を介して運転者に提供され、ユーザは、コンテンツ80の見返りとしての情報86の交換に対してインターフェイスに承認を入力する。他の選択肢として、コンテンツ80及び情報86の交換は、車両所有者が介在することなく、自動的に実施される。例えば、コンテンツ80をプロバイダ60のサーバ等から車両システム110にダウンロードし、車両システム110は、適切なインターフェイス130を用いて指示されたように、要求された情報86を自動的に転送する。
【0025】
コンテンツ80が情報86と交換される幾つかの状況において、送信元60は、車両情報86が、コンテンツ80を制限する情報の要件を満たすかどうか判断する。これは、コンテンツ80が、車両システム110からの情報86の1回の送信と引き換えに、車両システム110に転送される時の状況である。コンテンツ80が、車両システム110に転送される前に、例えば、プロバイダ60は、車両情報に対する要求を送る。車両システム110は、要求に応じて車両バス140を介して、車両条件又はパラメータ160を得て、情報86をプロバイダ60に転送する。今度は、プロバイダ60は、返された情報86がそれらの要件を満たすかどうか判断する。満たす場合、プロバイダ60は、コンテンツ80を車両システム110に転送し、コンテンツ80は、当分野において既知の従来のDRM方式によってまだ制限されているが、処理の準備が整う。
【0026】
コンテンツ80が情報86と交換される他の状況において、プロバイダ60は、コンテンツ80を車両システム110に転送する。そして、車両システム110は、プロバイダ60に情報86を転送する。情報86が要件を満たすかどうかプロバイダ60に判断させるよりもむしろ、車両システム110は、プロバイダ60に転送される車両情報86が、コンテンツ80を制限する情報に対する要件を満たすかどうか判断する。これは、コンテンツ80が、車両システム110からの情報86の多数回の又は繰り返し送信の要件と引き換えに、車両システム110に転送される時の状況である。
【0027】
提供されたコンテンツ80を制限するために、制限手法を用いて、制約又はDRM方式をコンテンツ80に関連付ける。図4に示すように、制限オブジェクト82が、制約を定義する。制限オブジェクト82は、コンテンツ80に関連付けられ、通常、コンテンツ80と共にメモリ180に記憶されている。一般的に、制限オブジェクト82は、どのように、いつ、どこで、どのような条件で、及び/又は誰によって、制限されたコンテンツ80を記憶、処理及び/又は転送可能か定義する。
【0028】
制限オブジェクト82は、当分野において既知の任意の形態を有する。例えば、制限オブジェクト82は、コンテンツ処理装置がコンテンツ80を描画もしくは処理できるようにする権利又は要件を指定するスクリプトコードを有するファイルである。また、制限オブジェクト82は、関連コンテンツ80を解読するのに必要な解読鍵を有してもよい。制限オブジェクト82において指定された権利又は要件が満たされた場合、解読鍵は、関連コンテンツ80を解読するために、また、解読されたコンテンツ80を処理させるために利用可能である。そうでない場合、解読鍵は、利用不可能である。
【0029】
次に、車両情報86と引き換えに制限されたコンテンツ80を提供する幾つかの例について、図4を参照して説明する。第1例において、ナビゲーションサービスプロバイダ60は、そのナビゲーションソフトウェアの或るバージョン(即ち、コンテンツ)80を、車両100からのGPS情報86と引き換えに提供する。ナビゲーションソフトウェア80は、車両所有者からの参加を確保してナビゲーションサービスプロバイダ60にGPS情報86を与えるための奨励として、無償で又は低価格で提供される。車両システム110からのGPS情報86は、ネットワークに接続された中央サーバ(図示せず)によって受信される。次に、サーバ上のGPS情報86は、リアルタイム交通情報を構築するために用いられ、また、ナビゲーションサービスプロバイダ60の加入者が利用可能なようにできる。
【0030】
車両所有者は、質問票を記入するかもしくは同意して、自分の車両システム110からプロバイダ60の中央サーバにGPS情報86を送信させる。そうすることによって、車両所有者は、ナビゲーションソフトウェア80の低価格の又は無償のバージョンを入手するための要件を満足する。次に、ナビゲーションソフトウェア80は、通信インターフェイス130を用いて、車両システム110にダウンロードされる。一旦、メモリ180にダウンロードされると、ナビゲーションソフトウェア80は、それに関連付けられた制限オブジェクト82における1つ又は複数の要件によって、制限又は保護される。処理イネーブラ170は、ユーザインターフェイス106等のコンテンツ処理装置によるナビゲーションソフトウェア80の処理を可能にするか又は阻止することによって、ナビゲーションソフトウェア80に関連付けられた制約を実施する。処理イネーブラ170については、システム110の構成要素として、ここで概略を説明する。しかしながら、処理イネーブラ170は、コンテンツに関連付けられたDRM方式の制約の下でコンテンツを処理するための、処理ソフトウェア、ハードウェア、DRM情報、及び他の構成要素等の様々な構成要素を伴うことを当業者は認識されたい。
【0031】
一例において、オブジェクト82における制約は、ナビゲーションソフトウェア80を処理するために(即ち、ソフトウェア80のアプリケーションを走らせるために)、車両システム110からのGPS情報86の多数回の又は繰り返しの送信を必要とすることがある。そのような制約を実施するために、処理イネーブラ170は、オブジェクト82から制約を得て、GPS情報86の多数回の又は繰り返しの送信の要件が満たされたかどうか判断する。この文脈において、情報86の送信に関する情報は、メモリ180に記憶するか、又は、この情報は、例えば、車両バス140を介してどこか別の所から取得してよい。
【0032】
送信要件が満たされた場合、ユーザインターフェイス106は、ソフトウェア80を処理すること(即ち、ソフトウェア80のアプリケーションを走らせること)が許可される。用いられる制約に応じて、処理イネーブラ170は、要求された送信が実施されない場合又は車両情報86を監視し送信するためのソフトウェアが車両システム110から除去された場合、好適には、ソフトウェア80が処理されることを阻止する。
【0033】
制限されたコンテンツを提供する第2例において、車両リース又はレンタル特約店60は、特約店から車両をリース又はレンタルする付加的な奨励として媒体80を提供する。顧客が、車両100をリース又はレンタルする場合、媒体80は、レンタル車両100の車両システム110に転送される。媒体80の提供と交換に、特約店60は、顧客による車両100からの情報86の提供を要求でき、媒体80は、車両システム110からの情報86に対する要件によって制限される。情報86に対する要件が満たされる限り、処理イネーブラ170は、音声システム108等のコンテンツ処理装置による媒体80の処理を可能にする。例えば、要求される情報86には、GPS情報、ナビゲーション情報、運転統計値、顧客の基本設定、走行距離、平均速度、又は特約店60にとって有用な又は顧客にとってレンタル又はリース料金を減ずるのに有益な他の情報を含む。また、媒体80は、レンタル又はリース契約の期間によって制限されたり、指定された車両システム110上での処理のみに制限されたり、当分野において既知の従来のDRM方式によって制限される。
【0034】
制限されたコンテンツを提供する第3例において、衛星放送プロバイダ60は、暗号化された衛星放送コンテンツ80へのアクセスを、交通情報調査等に参加したい車両所有者に提供する。衛星放送コンテンツ80は、それを処理するために暗号解読を必要とする。処理イネーブラ170は、車両システム110が車両情報86をプロバイダ60又は他の外部エンティティに送信しているかどうかに基づき、衛星放送コンテンツ80に関連付けられた制限オブジェクト82から解読鍵等を得る。車両情報86には、GPS又はナビゲーション情報を含んでもよい。その結果、送信される情報86は、交通情報等に用いられる。この制約の場合、衛星放送コンテンツ80は、車両システム110からの車両情報86の任意の送信後、所定期間の間処理されるか、又は車両情報86を送信している間だけ処理される。
【0035】
制限されたコンテンツを提供する第4例において、自動車修理サービスプロバイダ60は、自動車修理サービス利用の奨励として、音楽又は他のエンターテイメント等の媒体80を提供する。サービスプロバイダ60は、実際に、所定の仕組みを介して、音楽配給元等の他のプロバイダから媒体80を取得する。媒体80を提供して車両システム110へダウンロードさせるのと引き換えに、サービスプロバイダ60は、車両システム110が、サービスプロバイダ60又は他の宛先に情報86を少なくとも1回送信することを要求する。送信される情報86には、車両100の走行距離、特徴、サービス履歴等の車両情報160を含んでもよい。そして、この車両情報160は、修理工場が、工場の顧客にサービス督促状を送るために用いられる。車両システム110は、そのような車両情報160をメモリに記憶している場合、それをサービスプロバイダ60に直接提供される。そうでない場合、システム110は、車両インターフェイス又はOBD−II接続(図示せず)を用いて、車両バス140から情報160を取得するが、車両バス140は、車両の内部コンピュータ及び車両情報160を有する他の構成要素(図示せず)に接続される。
【0036】
他の例において、プロバイダ60は、ガソリンスタンドからのガソリン購入の奨励として、媒体等のコンテンツ80を提供するガソリンスタンドであってよい。又は、プロバイダ60は、車両所有者に同様な形態の奨励を提供するファーストフード会社又は他のサービス事業体であってよい。更に、プロバイダ60は、速度、走行距離、診断用トラブルコード等の車両情報160と引き換えに自らの顧客にコンテンツ80を提供し得る自動車保険会社や車両部品製造業者であってよい。車両情報160は、そのようなサービス会社が、顧客により良い製品やサービスを提供できるように、マーケティングや統計的な分析のために収集される。
【0037】
如何にしてコンテンツを車両に提供するかを制御する段階に加えて、上記した車両用コンテンツを取り扱う他の手法には、どんな条件の下で車両においてコンテンツを処理(例えば、暗号解読、描画、解析、及びストリーム化)するかを制御する段階を伴う。引き続き図4を参照すると、コンテンツ80は、プロバイダ又は送信元60によって車両システム110に提供される。上記例のように車両100からの情報86の転送を要求するよりもむしろ、コンテンツの処理80は、車両100の1つ又は複数の条件又はパラメータ160に基づき制限される。
【0038】
コンテンツ80を制限する上記説明と同様に、制約又はDRM方式を有する制限オブジェクト82は、コンテンツ80に関連付けられる。制限オブジェクト82は、当該技術分野において既知の任意の形式を有してよく、また、コンテンツ処理装置が、コンテンツ80を処理し得るかどうかに関する1つ又は複数の制約又は権利を指定するスクリプトコードを有するファイルであってよい。また、制限オブジェクト82は、関連コンテンツ80を解読するために必要な解読鍵を有してもよい。制限オブジェクト82において指定された制約に基づき、解読鍵は、関連コンテンツ80を解読するために、また、解読されたコンテンツを処理させるために利用可能にすることができる。
【0039】
オブジェクト82における制約は、当該技術分野において既知のDRM方式と同様であってよく、また、オープン・モバイル・アライアンス(OMA)等によって規定された様々なDRM規格を用いてもよい。制限されたコンテンツ80の処理を制御するために、制約又はDRM方式は、車両システム110又はシステム110に関連するコンテンツ処理装置のコンテンツ処理能力を使用可能にしたり、阻止したり、又は限定したりする。音声及びビデオ等の標準媒体の場合、例えば、コンテンツ処理能力には、媒体コンテンツの或るタイプ、ファイル、又はフォーマットを符号化したり(例えば、音声取り込み用のMP3エンコーダ)、復号化したり(例えば、音声再生用のMP3デコーダ)、描画したり、解析したり、ストリーム化したりする能力が含まれる。また、媒体用のコンテンツ処理能力には、媒体コンテンツの1つのタイプ、ファイル、又はフォーマットを他のタイプ、ファイル、又はフォーマットにコード変換もしくは変換する能力(例えば、MPEG2からMPEG4に変換する機能)を含んでもよい。ソフトウェアデータ及びユーザインターフェイスデータ等の他の形態のコンテンツの場合、コンテンツ処理能力には、アプリケーションを開くか又は走らせることができるかどうか、データベースファイルにアクセスし得るかどうかなど、特定の形態のコンテンツに関連する様々な処理要件が含まれる。
【0040】
本例では、制限オブジェクト82は、コンテンツ80の処理を制限する特定の車両関連条件又はパラメータ160を指定することによって、関連コンテンツ80の処理を阻止又は限定することを可能にする。上記と同様に、制限されたコンテンツ80は、例えば、インターフェイス130を用いて、プロバイダ60から車両システム110にダウンロードされるか、もしくは転送される。制限されたコンテンツ80の処理が要求された場合、処理イネーブラ170は、車両バス140から又は車両100の周辺構成要素を介して、1つ又は複数の車両条件、パラメータ、又は情報160を取得し、また、コンテンツ80に関連するオブジェクト82にある1つ又は複数の制約を取得する。そして、処理イネーブラ170は、車両条件160が、制限オブジェクト82の制約を満たすかどうか判断することによって、制約を実施する。この判断に基づき、処理イネーブラ170は、例えば、ビデオ表示装置102、ユーザインターフェイス106、又は音声システム108等の適切なコンテンツ処理装置を用いて、車両100におけるコンテンツ80の処理や出力を可能にするか又は阻止することができる。
【0041】
システム110は、様々な車両条件160にアクセスすることから、コンテンツ80は、多くの方法で制限される。従って、次に、車両条件160に基づき、コンテンツ80を制限する幾つかの例に注目する。
【0042】
第1例では、コンテンツ80は、車両100における或る総走行距離に制限される。従って、制限車両条件160は、車両100が移動した車両の走行距離又は距離に関連する。車両システム110は、GPSインターフェイス132及びGPSシステム(図示せず)を用いて、車両のオドメータを用いて、又は他の手法もしくは構成要素を用いて、車両100が通過した走行距離を追跡する。走行距離160が、制限されたコンテンツ80に関連する少なくとも或る所定の走行距離値未満である場合、処理イネーブラ170は、コンテンツ80を処理させる。しかしながら、走行距離160が、その所定値を超過する場合、処理イネーブラ170は、コンテンツ80が処理されることを阻止する。
【0043】
車両条件160でコンテンツ80を制限する第2例では、プロバイダ60としてのガソリンスタンドは、顧客によるガソリンスタンドからのガソリン購入の奨励として、顧客に歌80を配信する権利を購入する。歌80を演奏できるようにするために、歌80に関連する制限オブジェクト82における制約は、車両100が、ガソリンスタンドから購入した燃料を消費する時間の間だけ歌80を演奏可能なことを要求する。従って、制限車両条件160は、車両100の燃料消費レベルに関連する。12ガロンの燃料が購入された場合、例えば、制限オブジェクト82の制約は、12ガロンの燃料が消費されるまで、歌80が特定の車両100で演奏できることを示す。
【0044】
処理イネーブラ170は、車両100の燃料消費160を歌80がダウンロードされた時から監視することによって、この制約を実施する。歌80の処理が車両100において要求された場合、処理イネーブラ170は、燃料消費160の監視量を制限オブジェクト82における指定量と比較する。燃料消費の監視量が、指定量より少ない場合、コンテンツ80は、音声システム108等の適切なコンテンツ処理装置を用いて、車両100において、処理及び出力する。しかしながら、一旦、購入された量の燃料が消費されると、制限された歌80を演奏する能力は、もはや有効ではなく、処理イネーブラ170は、歌80の処理を阻止する。
【0045】
他の選択肢として、歌80に関連する制約は、ダウンロード後、特定の総距離の間だけ歌80を処理可能なことを要求する。従って、制限車両条件160は、車両100が移動した車両の走行距離又は距離に関連する。限界走行距離が車両100によって満たされ後、制限された歌80を演奏する能力はもはや有効ではなく、また、処理イネーブラ170は、歌80の処理を阻止する。無効になると、車両システム110は、歌80を配給元から購入するオプションをユーザに与えたり、又は制限された歌80をメモリ180から除去して利用可能なスペースを空けたりできる。ユーザによる歌80の購入を可能にするために、車両システム110は、グラフィカルユーザーインターフェイス106上に、この目的用の表示(図示せず)を提供する。この表示は、歌80の無償使用が終わったことを示して、歌80を購入するオプションをユーザに提供する。ユーザが購入オプションを了承した場合、車両システム110は、システム110上に記憶されたクレジットカード又はアカウント情報を、通信インターフェイス130の1つを用いて、インターネット音楽プロバイダ等のコンテンツプロバイダに伝えることができる。コンテンツプロバイダに関する情報は、歌80が最初に車両システム80に転送された時、メモリ180の歌80に関連付けられる。他の選択肢として、車両システム110は、利用可能なコンテンツプロバイダに関する情報を独立に記憶したり、又は、その情報を別個にダウンロードしたりできる。
【0046】
第3例において、コンテンツ80に関連する制約は、コンテンツ80の処理を所定の車両識別番号(VIN)又は他の車両識別名に限定する。従って、制限車両条件160は、車両100のVIN又は他の識別名に関係する。処理イネーブラ170は、例えば、車両バス140を介して、車両100のコンピュータシステム(図示せず)からVIN又は識別名160を取得する。そして、処理イネーブラ170は、VINが、コンテンツ80を制限する制限オブジェクト82において定義された所定のVINと合致するかどうか判断する。合致する場合、コンテンツ80の処理が許される。そうでない場合、コンテンツ80の処理は、阻止される。
【0047】
第4例において、コンテンツ80に関連する制約は、コンテンツ80の処理を所定の車両構成要素又はシステム(図示せず)の状態に限定する。従って、制限車両条件160は、車両100の構成要素又はシステムの状態に関係する。処理イネーブラ170は、例えば、車両バス140を介して、構成要素の状態160を取得する。そして、処理イネーブラ170は、車両構成要素の現在の状態が、コンテンツ80を制限する制限オブジェクト82において定義された所定の状態と合致するかどうか判断する。合致する場合、コンテンツ80の処理が許可される。そうでない場合、処理は、阻止される。例えば、車両システム110は、車両100のトランスミッションの状態又はオドメータ速度に基づき、車両100のダッシュボードインターフェイス106において、ビデオコンテンツ80の処理を制御し得る。ビデオコンテンツ80の処理は、車両のトランスミッションが“ドライブ”状態である間又は車両100のオドメータ速度が所定の速さを超えている場合、ダッシュボードインターフェイス106では、許可されない。車両100がニュートラル又は駐車状態であるか又は所定の速さ未満である場合、コンテンツ80は、ダッシュボードインターフェイス106において描画する。
【0048】
上記例において、コンテンツ80は、一度に1つだけの車両条件160に基づき、制限される。しかしながら、コンテンツ80は、個別の実施例に応じて、同時に1つ又は複数の車両条件160に基づいて制限される。コンテンツ80の処理を制限し得る車両条件160の幾つかには、これらに限定しないが、総走行距離、燃料消費量、燃料レベル、速さ、タイヤ磨耗量、車両識別番号、車両識別名、GPS情報、車両情報の送信状態、車両構成要素の状態、点火サイクル数、エンジン温度、タイヤ空気圧、油圧レベル、電圧レベル、診断用トラブルコード、及び車両における占有座席の表示が含まれる。
【0049】
上記した車両条件に基づき、車両においてコンテンツを処理する方法を制御する段階に加えて、車両におけるコンテンツを取り扱う更に他の手法は、コンテンツが、車両内の誰に対して処理又は出力し得るかを制御する段階を伴う。例えば、コンテンツは、車両における異なるタイプの潜在的なユーザ、例えば、運転者、前部座席乗員、又は後部座席乗員等に制限される。更に、コンテンツは、車両における特定の場所の潜在的なユーザ及び/又は車両における特定の場所のコンテンツ処理用の装置に制限される。例えば、コンテンツは、ユーザが後部座席乗員であるかどうか、ユーザが窓側の場所にいるかどうか、又はコンテンツを処理用の装置が、車両の前又は後部座席に配置されているかどうかに制限される。
【0050】
車両における場所又はユーザにコンテンツを制限する詳細については、図5を参照して説明する。図5の車両100は、車両100においてコンテンツの処理を制御するために用いられる所定の区画に分割される。この例の所定の区画には、車両の前部座席運転者側用の区画A、前部座席乗員側用の区画B、後部座席運転者側用の区画C、及び後部座席乗員側用の区画Dが含まれる。車両がこれより大きいか又は小さい場合、区画も多かったり少なかったりし、区画は、図5に示したものと異なる組合せで組み合わせたり構成したりされる。
【0051】
車両システム110によるコンテンツ80の処理は、車両100の1つ又は複数の所定の区画に制限されることがある。上記の説明と同様に、コンテンツ80を所定の区画に制限する段階には、1つ又は複数の制約又はDRM方式をコンテンツに関連付ける段階を伴う。例えば、この手法におけるコンテンツ80は、制限オブジェクト82によって、車両100の所定の区画に制限される。車両情報160は、車両バス140を介して得られ、また、処理イネーブラ170は、制限されたコンテンツ80の処理を車両情報160が許すかどうかを制限オブジェクト82から判断する。
【0052】
制限オブジェクト82における制約には、区画関連情報が含まれ、これは、コンテンツ80の処理を車両100における指定区画に制限又は限定する。車両システム110は、コンテンツ80を制限する区画関連情報に基づき、制限されたコンテンツ80の処理を実施する。制限されたコンテンツの処理が要求された場合、例えば、車両システム110は、車両100の区画情報162を取得する。区画情報162は、要求されたコンテンツ80を処理するための装置(例えば、102又は106)がどの区画に配置されているかの表示及び/又はどの座席又は区画が乗員によって現在占有されているかの表示である。そして、車両システム110の処理イネーブラ170は、車両100から得られた区画情報162とコンテンツ80を制限する区画関連情報を比較する。この比較から、処理イネーブラ170は、制限されたコンテンツ80を処理するかどうか判断する。
【0053】
一例において、車両100の区画A、B、C、及びDは、専用のコンテンツ処理装置を有する。例えば、ユーザインターフェイス106は、車両100における区画A及びB専用であり、ビデオ表示装置102は、区画C及びD専用である。コンテンツ80は、車両100内でビデオ表示装置102における処理を要求する。要求されたコンテンツ80は、車両100の運転者の領域である車両100の区画Aでの処理が制限される長編特作映画であるとする。更に、長編特作映画80の処理は、他の区画B、C、及びDのいずれにおいても可能であってよい。長編特作映画80は、区画C及びD用に指定されているビデオ表示装置102で処理するように要求されていることから、車両システム110の処理イネーブラ170は、映画80の処理を可能にする。
【0054】
しかしながら、長編特作映画80は、区画A及びB双方によって共有されるユーザインターフェイス106において、車両100内での処理を要求する。この状況では、車両システム110の処理イネーブラ170は、ユーザインターフェイス106において長編特作映画80が処理されるのを阻止する。この理由は、インターフェイス106は、許可された区画Bに対して指定されているが、区画A用にも指定されており、ここでは、処理が許可されないためである。長編特作映画80は、この状況では処理されないが、処理は、依然として、他の車両条件又は区画情報の判断に基づき、可能にすることができる。例えば、車両のトランスミッションが、“駐車”の位置にある場合、長編特作映画80に関連する制約は、ユーザインターフェイス102における長編特作映画80の処理及び表示を可能にできるが、“ドライブ”の位置にある場合、できない。
【0055】
コンテンツ処理装置が、特定の区画制限されたコンテンツ用に指定されているかどうか判断することに加えて又は他の選択肢として、制限されたコンテンツ80の処理は、車両100の特定の区画が乗員によって現在占有されているかどうかに基づく。コンテンツが長編特作映画80である前の例に続いて、ユーザインターフェイス106は、前部座席の区画A及び区画Bによって共有される。長編特作映画80は、運転者の区画Aにおいて処理が制限されても、処理イネーブラ170は、区画Bが現在占有されているかどうかを判断する。区画が占有されているかどうか判断する段階は、車両100における座席占有を検出するための当該技術分野において既知の手法を用いる。例えば、センサ又は他の装置109により、座席占有が判断される。区画Bが占有されている場合、長編特作映画80は、ユーザインターフェイス106において、それが制限区画Aを共有していても、処理が許可される。しかしながら、区画Bが占有されていない場合、処理イネーブラ170は、ユーザインターフェイス106における長編特作映画80の処理及び表示を許可しない。
【0056】
異なる車両は、異なる区画構成を有することがあり、また、車両は、異なる区画に専用の装置を有してもよい。更に、車両の区画には、1つ又は複数の共有装置があってもよい。従って、コンテンツ80に関連する制約又はDRM方式は、好適には、車両用の複数の潜在的な区画構成を考慮する。車両システム110は、制約における区画の予め構成された配置のどれが、車両100の区画又は座席の配置に対応するか判断する。そして、車両システム110は、与えられたコンテンツ処理装置が所定の区画用に指定されているかどうか又はその区画が占有されているかどうか判断する。対応する区画配置を判断する1つの手法では、車両システム110は、様々なセンサ109を車両100内で用いて、車両100の座席占有を判断する。そして、判断した占有状況は、車両100の区画構成をマッピングして、それをコンテンツ80に関連する異なる区画構成の1つと互いに関係づけるために用いられる。
【0057】
本例において、車両100の特定の区画に関係する区画情報162は、既に分かっていてメモリ180に記憶されており、このため車両システム110は、その情報162に容易にアクセスできる。更に、車両100における図5のビデオ表示装置102及びユーザインターフェイス106等のコンテンツ処理装置の場所に関する区画情報162は、既知であり、既にメモリ180に記憶され、車両システム110は、その情報162に容易にアクセスできる。これは、車両が製造される際、コンテンツ処理装置が、車両システム110と共に車両100に設置される場合の状況である。このことは、また、車両100に設置される装置用の区画関連情報で車両システム110をプログラムする場合の状況である。他の選択肢として、車両システム110は、そのような装置が問い合わせに応答できる場合、区画関連情報に関して装置にそのような問い合わせを直接行うことができる。しかしながら、場合によっては、車両におけるコンテンツを処理するための装置は、その場所を判断することが不可能な後付けの装置であったり又は車両100において利用可能な通信インターフェイスの1つを介して車両システム110からコンテンツを受信する携帯装置であったりする。そのような装置用の区画関連情報を車両システム110が取得する場合、車両システム110は、車両100において装置を特定するための手法、例えば、米国特許出願、表題「車両における装置の場所及び方向を判断するための方法及び装置」(Atty.Dkt.No.CM08815TC)に開示された手法を用いることができる。これは、本明細書に参照により組み込まれる。
【0058】
車両におけるコンテンツを取り扱う上記例に加えて、コンテンツを取り扱う更に他の手法は、現在の車両条件に基づき、車両の動作中、コンテンツが処理される方法を修正する段階を伴う。図6を参照すると、車両システム110は、処理モード判断器200、並びにグラフィカルインターフェイス210、音声インターフェイス220、及びアプリケーションインターフェイス230等の1つ又は複数のコンテンツ処理装置を有する。処理モード判断器200は、別個の構成要素として概略的に図6に示すが、判断器200は、車両システム110及び/又はコンテンツ処理装置210、220、及び230の一部であってもよいことを認識されたい。
【0059】
コンテンツ280は、メモリ180に記憶される。本例において、コンテンツ280は、テレマテックスシステム、エンターテイメントシステム、ナビゲーションシステム、又はユーザインターフェイス用のソフトウェアアプリケーションであってよく、また、コンテンツ280は、コンテンツ処理装置210、220、及び230の1つ又は複数によって処理される。本例のコンテンツ280は、ソフトウェアアプリケーションであるが、コンテンツ280は、本明細書に開示された他の任意の形態のコンテンツであってよいことを認識されたい。処理モード構成方式282は、コンテンツ280に関連付けられ、また、如何にしてコンテンツ280を処理すべきかを判断するために用いられる。図6に別個の要素として概略的に示すが、処理モード構成方式282は、コンテンツ280の一部であったり、又は、コンテンツ280を処理する車両システム110上のオペレーティング・システムの一部であったりしてよいことを認識されたい。
【0060】
処理モード構成方式282は、車両条件に基づき、少なくとも2つの予め構成された動作モードでのコンテンツ280の処理を可能にする。例えば、方式282は、車両100の“通常”動作中用いられるコンテンツ280用第1動作モードを定義する。また、方式282は、特定の車両条件が存在する際に用いられるコンテンツ280用第2変更動作モードを定義する。コンテンツ280用第2即ち変更動作モードは、処理される際、コンテンツ280の低減された又は強化された機能を伴ったり又はコンテンツ280の変更された処理を伴ったりしてよい。
【0061】
車両100の動作中、車両システム110は、車両バス140又は他の場所からの1つ又は複数の車両条件、パラメータ、又は情報を監視する。例えば、車両条件は、車両100の1つ又は複数の構成要素260に関係してもよい。コンテンツ280の処理が要求される場合、又はコンテンツ280が現在処理中である場合、処理モード判断器200は、方式282から、コンテンツ280用のどの予め構成された動作モードが、監視車両情報に対応する車両条件を有するか判断する。この判断に基づき、処理モード判断器200は、決定された動作モードでのコンテンツ280の処理を可能にする。そして、適切なコンテンツ処理装置210、220、又は230が、決定された動作モードに従って、コンテンツ280を処理する。
【0062】
例えば、コンテンツ280は、車両100のグラフィカルユーザーインターフェイス210用のユーザインターフェイスアプリケーションである。ユーザインターフェイスアプリケーション280及び方式282は、それらに関連付けられたユーザインターフェイス(UI)形式284を有する。幾つかのUI形式284は、1つ又は複数の車両条件が存在する(例えば、車両トランスミッション260が“ドライブ”状態である)場合に対して構成され、一方、他のUI形式284は、1つ又は複数の他の車両条件が存在する(例えば、車両トランスミッション260が“駐車”状態である)場合に対して構成される。Linux(R)オペレーティング・システム等のオペレーティング・システムは、車両システム110上で走り、グラフィカルユーザーインターフェイス210動作させるアプリケーションマネージャを有する。オペレーティング・システムのアプリケーションマネージャの一部である処理モード判断器200は、検出された車両条件(例えば、トランスミッション260の状態)に基づき、グラフィカルユーザーインターフェイス210用の適切なUI形式284を選択する。そして、選択されたUI形式284は、グラフィカルユーザーインターフェイス210上におけるユーザインターフェイスアプリケーション280の処理中、用いられる。
【0063】
上記手法の例を示すために、図7A−7Cは、車両構成要素262及び264と共に車両システム110のグラフィカルユーザーインターフェイス210を示す。本例におけるグラフィカルユーザーインターフェイス210は、車両のダッシュボードにおけるタッチスクリーン表示装置であるが、本明細書に開示された手法は、車両の任意の他のインターフェイス又はコンテンツ処理装置に適用することができる。上記開示された手法を用いて、インターフェイス210の機能が、監視される車両条件に基づき、修正される。図7Aにおいて、例えば、インターフェイス210は、車両システム110の様々な機能用の複数のタッチスクリーンボタン214を示す“通常”メニュー212を有する。本例におけるボタン214によって、ラジオボタン、ビデオボタン、ナビゲーションボタン、計算器、電話ボタン、及びシステム基本設定にアクセスされる。全てのボタン214が、この“通常”メニュー212に表示されるため、運転者は、利用可能な機能にアクセスすることができる。
【0064】
インターフェイス210におけるこの“通常”メニュー212は、グラフィカルユーザーインターフェイスアプリケーションの第1又は“通常”動作モードに対応する。“通常”動作モードは、例えば、車両トランスミッション262、オドメータ264、又は他の車両構成要素に関する情報によって要求される1つ又は複数の特定の車両条件用に予め構成される。例えば、車両システム110は、車両バス140を介して、トランスミッション262の状態を検出し、検出された状態に基づくインターフェイス210による“通常”メニュー212の表示を可能にする。換言すれば、インターフェイス210は、トランスミッション262の状態が、“駐車”の時、通常モードにおいて、グラフィカルユーザーインターフェイスアプリケーションを処理する。他の例において、車両システム110は、車両バス140を介して、車両のオドメータ264等から速度を検出し、グラフィカルユーザーインターフェイスアプリケーションは、車両速度が、所定の値未満である時、通常モードで処理される。
【0065】
しかしながら、或る車両条件が存在する場合、処理が修正され、インターフェイス210が、変更された動作モードで動作する。図7Bにおいて、例えば、インターフェイス210は、ラジオボタン、ハンドフリーの電話ボタン、及びナビゲーションボタンにアクセスするために選択されるタッチスクリーンボタン218を示す“変更された”メニュー216を有する。これらのボタン218は、この変更されたメニュー216に表示されるため、運転者は、例えば、トランスミッション262が“駐車”の状態でないかどうかに基づき、又は車両のオドメータ264からの速度が、所定の値にあるか又はそれを超えているかどうかに基づき、これらの様々な機能にアクセスする。
【0066】
変更されたモードで動作する場合、グラフィカルユーザーインターフェイス210に表示されたコンテンツは、好適には、個々のあらゆる画面上の選択肢の数を、運転中の運転者によって要求されるものだけに減ずることによって、運転者用に簡略化される。例えば、“計算器”アプリケーションは、インターフェイス210の変更された動作では、車両が動いている間、アクセス不可能であり、また、システムの動作を構成するためのシステム基本設定もまたアクセス不可能である。更に、変更された動作モードにおいてインターフェイス210に表示されたコンテンツは、表示される文字のサイズを大きくしたり、また、タッチスクリーンボタン218を拡大したりできる。
【0067】
他の例において、グラフィカルユーザーインターフェイス210用のユーザインターフェイスアプリケーション(即ち、コンテンツ280及び方式282)は、車両条件に基づき、異なる背景、異なる彩色方式、及び異なる強調表示を有するように構成される。また、グラフィカルユーザーインターフェイス210のグラフィカル環境は、インターフェイス210のホーム画面に表示された背景壁紙を除去又は変更することによって、又はユーザインターフェイス210上に2又は3次元環境を提供することによって、車両条件に基づき変更される。更に、明暗の影響を吸収するために、車両100が動いている間、グラフィカルユーザーインターフェイス210の背面照光を増大し得る。これらの及び他の修正は、車両条件に基づき変更された動作モードに適する。
【0068】
図7Cは、グラフィカルユーザーインターフェイス210のための変更された動作モードの他の例を示す。再び、車両システム110は、車両バス140を介して、車両の構成要素266、268の条件を監視又は検出し、また、それらの検出された車両条件に基づき、インターフェイス210のソフトウェアアプリケーション用の動作モードを判断する。監視される車両構成要素の幾つかの条件には、これらに限定しないが、総走行距離、速度、電圧レベル、エンジン温度、油圧、燃料レベル、タイヤ空気圧、タイヤ磨耗量、車両整備からの総時間、及び診断用トラブルコードが含まれる。
【0069】
例えば、車両システム110は、車両バス140を介して、車両バッテリ266の電圧レベルを検出する。電圧レベルが或るレベルを下回ると、車両システム110は、低電力状態に入る。従って、インターフェイス210及びシステム110の他の構成要素は、電力節約モードに入り、インターフェイス210におけるメッセージ222によって示されるように、消費電力を減ずる。更に、車両システム110は、車両バス140を介して、車両の診断システム又はコンピュータ268から診断用トラブルコードを検出する。特定の診断用トラブルコードが検出された場合、車両システム110は、インターフェイス210のメッセージ224で示すように、車両システム110の診断アプリケーションによる運転者へのコードに関する情報を自動的に提供することが可能になる。更に、車両システム110は、ナビゲーションアプリケーションによる給油所又は販売代理特約店への移動経路の決定を自動的に可能にできる。例えば、メッセージ226は、ナビゲーションアプリケーションの移動経路にアクセスして、どこで車両の修理ができるか示し得るタッチスクリーンボタンである。
【0070】
図7A−7Cの例は、車両条件に基づき、車両のグラフィカルユーザーインターフェイス用のユーザインターフェイスアプリケーションの処理を修正することに焦点をあてている。しかしながら、車両条件に基づきコンテンツの処理を修正することは、車両の音声インターフェイス用の音声インターフェイスアプリケーションにも適用される。例えば、図6に示す車両システム110は、音声インターフェイス220、及び車両システム110上で動作する音声認識(VR)手法をサポートする音声インターフェイスアプリケーション280を有する。音声インターフェイスアプリケーション280及び音声インターフェイス220用の方式282は、VRツリー286で構成されるが、これは、音声インターフェイス220を動作するための音声命令、オプション、及び応答の階層配置即ちツリー構造を表す。インターフェイス220用の幾つかのVRツリー286は、通常動作モード用に構成され、一方、他のVRツリー286は、変更された動作モード用に構成される。例えば、車両構成要素260のトランスミッション状態、車両速度、電圧レベル、診断用トラブルコード等の車両条件は、監視され、音声インターフェイス220の動作中、どのVRツリー286を使うべきか判断するために用いられる。例えば、音声インターフェイス220は、車両が“ドライブ”状態である場合、又は所定の速度を超えて移動している場合、変更された動作モードにおける音声命令用の異なる又はより少ないオプションを有するVRツリー286を提供する。
【0071】
他の例において、車両システム110は、図6に示すように、グラフィカルユーザーインターフェイス210及び音声インターフェイス220双方を有することができ、また、車両システム110用のソフトウェアアプリケーション又は他のコンテンツ280は、車両条件に基づき、グラフィカルモード又は音声動作モードのいずれかで動作するように構成される。例えば、コンテンツ280のグラフィカルUI形式284は、車両が“駐車”状態であるか又は所定の速度未満で移動中である場合、グラフィカルユーザーインターフェイス210に出力可能であり、また、車両が“ドライブ”状態であるか又は所定の速度を超えて移動中である場合、音声インターフェイス220に出力される。そのような例において、音声インターフェイス220は、変更された動作モードにおける音声命令用の異なるオプションを有するVRツリー286を提供する。VRツリー286におけるこれらの異なるオプションは、変更された動作モード中、グラフィカルユーザーインターフェイス210の修正された又は簡略化されたグラフィカルUI形式284から利用不可能なオプションを補償するように構成される。このように、音声インターフェイス220及びグラフィカルインターフェイス210は、車両条件に基づき、グラフィカルUI形式284及びVRツリー286において代わりの音声又はグラフィカルオプションを提供することによって、ユーザに同じ機能を与える。
【0072】
好適な及び他の実施形態の上記の説明は、出願人によって考えられた発明の概念の範囲又は適用可能性を限定又は制限することを意図するものではない。本明細書に含まれる発明の概念の開示と引き換えに、出願人は、添付の請求項によって与えられる全ての特許権を望むものである。従って、添付の請求項には、以下の請求項又はそれらの等価物の範囲内にある全ての修正及び変更が最大限含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本開示の或る教示内容によるネットワークを示す図。
【図2】本開示の或る教示内容による車両システムを示す図。
【図3】車両対サービス及びコンテンツの複数のプロバイダを示す図。
【図4】コンテンツの処理を可能にするか又は阻止するための所有イネーブラを備えた車両システムを有する車両を示す図。
【図5】車両におけるコンテンツの処理を制限するための区画に分割された車両を示す図。
【図6】コンテンツ処理用動作モードを判断するための所有モード判断器を備えた車両システムを有する車両を示す図。
【図7A】車両システムのグラフィカルユーザーインターフェイスの例を示す図。
【図7B】車両システムのグラフィカルユーザーインターフェイスの例を示す図。
【図7C】車両システムのグラフィカルユーザーインターフェイスの例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを取り扱う方法であって、
第1車両情報の少なくとも1回の転送を要求することによって、コンテンツを制限する段階と、
車両の第2車両情報を取得する段階と、
車両システムから送信元に前記第2車両情報を転送する段階と、
前記第2車両情報の転送が、前記第1車両情報の少なくとも1回の転送の前記要件を満たすかどうか、前記送信元において判断する段階と、
前記判断に基づき、前記車両システムに前記コンテンツを転送する段階と、
を、必ずしも連続である必要の無く備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記送信元から前記車両システムに前記第2車両情報を転送する前記段階には、前記車両システムの通信インターフェイスを使用して前記第2車両情報を送信する段階が含まれる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記送信元から前記車両システムに前記コンテンツを転送する前記段階には、前記車両システムの通信インターフェイスを使用して前記送信元から送信された前記コンテンツを受信する段階が含まれる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記コンテンツは、前記車両システムからの第1車両情報の転送に対する複数の要件によって制限され、前記方法は、
前記第1車両情報の転送に対する前記複数の要件の1つ又は複数が、満たされるかどうか、前記車両システムにおいて判断する段階と、
前記判断に基づき、前記車両システムによる前記コンテンツの処理を可能にするか又は阻止する段階と、
を更に備える、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記第2車両情報を転送する前に、前記車両システムにおける許可を要求する段階を更に備える、方法。
【請求項6】
コンテンツを取り扱う方法であって、
第1車両情報の少なくとも1回の転送を要求することによって、コンテンツを制限する段階と、
車両の車両システムにおいて前記制限されたコンテンツを受信する段階と、
前記車両の第2車両情報を取得する段階と、
前記車両システムから前記第2車両情報を転送する段階と、
前記第2車両情報の転送が、前記第1車両情報の少なくとも1回の転送に対する前記要件を満たすかどうか、前記車両システムにおいて判断する段階と
を、必ずしも連続である必要の無く備える、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記車両システムから前記第2車両情報を転送する前記段階には、前記車両システムの通信インターフェイスを使用して前記第2車両情報を送信する段階が含まれる、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記車両の前記車両システムにおいて前記制限されたコンテンツを受信する前記段階には、前記車両システムの通信インターフェイスを使用して送信元から送信された前記制限されたコンテンツを受信する段階が含まれる、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、
前記第2車両情報の転送が、前記第1車両情報の少なくとも1回の転送に対する前記要件を満たすかどうかに基づき、前記車両システムによる前記コンテンツの処理を可能にするか又は阻止する段階
を更に備える、方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、前記コンテンツは、前記車両システムからの第1車両情報の転送に対する複数の要件によって制限され、前記方法は、
前記第1車両情報の転送に対する前記複数の要件の1つ又は複数が満たされるかどうか、前記車両システムにおいて判断する段階と、
前記判断に基づき、前記車両システムによる前記コンテンツの処理を可能にするか又は阻止する段階と
を更に備える、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記可能にするか又は阻止する段階には、前記第1車両情報の転送に対する前記要件の1つが満たされている間又は満たされた後の所定時間の間、前記車両システムによる前記コンテンツの処理を可能にする段階が含まれる、方法。
【請求項12】
車両システムであって、
1つ又は複数の通信インターフェイスと、
コンテンツを処理するための装置と、
コンテンツを記憶するためのメモリと、
1つ又は複数の通信インターフェイス、前記装置、及び前記メモリに通信可能に結合された車両におけるコントローラであって、
前記車両の第2車両情報を得て、
前記通信インターフェイスの1つを使用して前記第2車両情報を転送し、
制限されたコンテンツを前記通信インターフェイスの1つを使用して受信し、
前記第2車両情報の転送が、前記制限されたコンテンツを制限する第1車両情報の転送に対する少なくとも1つの要件を満たすかどうか判断し、
前記判断に基づき、前記制限されたコンテンツの前記装置による処理を可能にするか又は阻止する
ように構成されたコントローラと
を備える、車両システム。
【請求項13】
請求項12に記載の車両システムであって、前記コンテンツは、デジタルデータ、媒体データ、音声データ、ビデオデータ、マルチメディアデータ、インターネットデータ、ケーブル放送データ、ラジオ放送データ、衛星放送データ、テレビ放送データ、全地球測位システムデータ、ナビゲーションデータ、ユーザインターフェイスデータ、及びソフトウェアアプリケーションデータからなるグループから選択される、車両システム。
【請求項14】
請求項12に記載の車両システムであって、コンテンツを処理するための前記装置は、テレマテックスシステム、エンターテイメントシステム、ビデオシステム、音声システム、ナビゲーションシステム、及びユーザインターフェイスからなるグループから選択される、車両システム。
【請求項15】
請求項12に記載の車両システムであって、前記第1又は第2車両情報には、全地球測位システム情報、ナビゲーション情報、車両状態、車両パラメータ、車両部品細目、車両部品の状態、診断用トラブルコード、サービス記録、特徴、能力、及び基本設定からなるグループから選択される1つ又は複数の情報が含まれる、車両システム。
【請求項16】
請求項12に記載の車両システムであって、前記車両の前記第2車両情報を取得するために、前記コントローラは、車両バスインターフェイス、車載診断接続、車両構成要素、又は車両情報を有する前記メモリに通信可能に結合される、車両システム。
【請求項17】
請求項12に記載の車両システムであって、前記1つ又は複数の通信インターフェイスは、インターネットインターフェイス、衛星通信インターフェイス、ホットスポット・ゲートウェイインターフェイス、携帯電話インターフェイス、全地球測位システムインターフェイス、WiFiインターフェイス、ブルートゥース(商標)インターフェイス、超広帯域インターフェイス、及びユニバーサル・シリアル・バスインターフェイスからなるグループから選択される、車両システム。
【請求項18】
請求項12に記載の車両システムであって、前記コンテンツは、前記車両システムからの第1車両情報の転送に対する複数の要件によって制限され、前記コントローラは、
前記第1車両情報の転送に対する前記複数の要件の1つ又は複数が、満たされるかどうか判断し、
前記判断に基づき、前記制限されたコンテンツの前記装置による処理を可能にするか又は阻止する
ように更に構成されている、車両システム。
【請求項19】
請求項18に記載の車両システムであって、前記制限されたコンテンツの前記装置による処理を可能にするか又は阻止するために、前記コントローラは、前記第1車両情報の転送に対する前記要件の1つが満たされている間又は満たされた後の所定時間の間、前記制限されたコンテンツの前記装置による処理を可能にするように構成される、車両システム。
【請求項20】
請求項12に記載の車両システムであって、前記コントローラは、前記第2車両情報を転送する前に、許可を要求するように更に構成される、車両システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2009−521019(P2009−521019A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543552(P2008−543552)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/060665
【国際公開番号】WO2007/065052
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】