説明

車両情報取得装置

【課題】故障診断コネクタに取付けて使用する後付けの車両情報取得装置において、その車両情報取得装置自体で温度を測定できる機構を備え、車両のイグニッションSWがOFFの時でも自動車室内又は当該車両情報取得装置内部の温度を測定し、当該車両情報取得装置内のメモリに記録し、または当該車両情報取得装置に搭載されている無線LANモジュールにて送信できるような機能を有する装置を提供する。
【解決手段】車両情報取得装置は、車両に備えられた故障診断コネクタに接続し、該故障診断コネクタからのデータを受信して、所定の機器、例えば、スマートフォンに無線で送信する機能を備えた後付けの車両情報取得装置であって、前記車両情報取得装置単体で温度を測定する温度測定手段を備え、該温度測定手段で測定された温度データを、記録手段に記録すると共に前記所定の機器に無線で送信することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両情報取得装置に関し、詳しくは、車両のエンジン電子制御装置に装備されている故障診断コネクタへ接続する後付けの電子装置、例えば、コネクタ一体型無線接続タイプの車載端末であり、その電子装置単体で温度を測定出来る機構を搭載し、車両のイグニッションSWがOFFのときでも自動車室内又は当該電子装置内部の温度を測定し、当該電子装置内の記録手段に記録、又は当該電子装置に搭載されている無線LANモジュールにて送信する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における車両情報取得装置として、所謂、故障診断コネクタに取付けて車両から様々なデータを取出して解析することで車両の状態を診断したり或は取出したデータに基づいて燃費を計測するといった手法が一般的に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−109655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術で説明した車両情報取得装置においては、車両のエンジン電子制御装置に備えられた故障診断コネクタに取付けるとしても、その取付けた環境における温度については何ら関与せず、例え自動車室内が異常な高温になっても何ら検出する手段がないという問題がある。
【0005】
従って、故障診断コネクタに取付けて使用する後付けの電子装置において、その電子装置自体で温度を測定できる機構を備え、車両のイグニッションSWがOFFの時でも自動車室内又は当該電子装置内部の温度を測定し、当該電子装置内のメモリに記録し、または当該電子装置に搭載されている無線LANモジュールにて送信できるような機能を有する装置に解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の装置は、次に示す構成にすることである。
【0007】
(1)車両情報取得装置は、 車両に備えられた故障診断コネクタに接続し、該故障診断コネクタからのデータを受信して、所定の機器に無線で送信する機能を備えた後付けの車両情報取得装置であって、
前記車両情報取得装置単体で温度を測定する温度測定手段を備え、該温度測定手段で測定された温度データを、記録手段に記録すると共に前記所定の機器に無線で送信することである。
(2)前記所定の機器は、スマートフォンであることを特徴とする(1)に記載の車両情報取得装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る装置においては、車両のイグニッションSWがOFF時においても、自動車室内や後付けの電子装置内部の温度を測れるようにすることで、如何なるときの温度も提供できるようになる。また、温度が測定できるようになることで、例えば、夏場のサンバイザー取り付け忘れを通知したり、冬場のリモコンエンジンスタ−タ使用を促したり等が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本願発明に係る車両情報取得装置を示す略示的なブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本願発明に係る車両情報取得装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
本発明に係る車両情報取得装置は、図1に示すように、例えば、コネクタと一体型に作成されており、車両のエンジン電子制御装置に備えられた故障診断コネクタ(OBDコネクタ)32に接続して、この故障診断コネクタ32からの様々なデータを受信するというものであるが、特に、自動車の室内の温度或は装置自身の内部の温度を測定する機能を設けると共に、コネクタ42からのバッテリ10直の電源を自身に供給できることを利用して、車両のイグニッションSWがOFFのときでも温度の測定を定常的に行うようにし、且つこの測定した温度データを記録手段に記録させ、さらに外部のスマートフォン等の無線LAN機器61に送信する機能を備えたところに特徴がある。
【0012】
エンジン電子制御装置11は、所謂、ECUであり、インジェクタやイグナイタ等の車載機器の動作を制御するものであり、このエンジン電子制御装置11は、回転数を測定する回転センサ12、空気量を測定するエアフロアセンサ13、冷却水温を測定する水温センサ14、スロットルバルブの開度を測定するスロットルセンサ15、排ガス中の酸素濃度を検出するOセンサ16、スタータモータを始動するスタータスイッチ17等の信号を入出力回路21を経由でマイコン23のI/O24に入力し、これらの入力信号を基に、マイコン23のCPU25がROM27に記憶された各種制御プログラムにしたがって、適宜データをRAM26に一時記憶させながら、エンジンにとって最適な噴射量、噴射タイミング、点火時期を計算し、インジェクタ18、イグナイタ19等の車載機器にI/O24、入出力回路21を経由して出力する。
【0013】
電源回路22は、外部の蓄電池であるバッテリ10とイグニッションSWを介して接続され、イグニッションSWがONされるとバッテリ10からの電源が供給される。
【0014】
また、マイコン23のシリアルI/O28は通信回路31経由でCAN/K−Lineに接続され、このCAN/K−Lineは故障診断コネクタ32に接続されている。
この故障診断コネクタ32には、CAN/K−Lineの接続の他に、バッテリ10からの電源の12V/24Vラインが直に接続されている。
【0015】
故障診断コネクタ32に接続されたコネクタ42を介して様々なデータを受信することができる車両情報取得装置41は、例えば、コネクタ一体型無線接続タイプの車載端末であり、故障診断コネクタ32から出力されるエンジン回転数等の各種データを車両I/F回路43で受けて、その受けた各種データをCPU49で処理する。CPU49で処理された各種のデータは走行データ記録用メモリ51に記録されると同時に無線LANモジュール52を介して外部の無線LAN機器61であるスマートフォンに送信する。
尚、無線LAN機器は、スマートフォンに限定されることなく、例えば、車載AV、ナビゲーション、ドライブレコーダ、デジタルタコグラフ、ゲーム機器、テレマ端末、計測器等でもよく、これらは無線LANモジュールを備え、各種のデータを処理するCPUが搭載されていることが必要である。
【0016】
CPU49は、電源回路44からの電力供給によって動作し、設定記憶用不揮発性メモリ48内の各種設定パラメータに応じてこの車両情報取得装置41の全体動作を制御する。この設定記憶用不揮発性メモリ48には、自動車メーカー、車種、通信方法、温度測定のタイミング、その他車両情報取得装置41の動作に必要な各種パラメータ等が格納されている。
【0017】
無線LANモジュール52は、無線LAN通信機能を構成するもので、アンテナを有し、無線LANに接続されて高速無線通信を行うもので、例えば、使用周波数が2.4GHz帯で通信速度が最大11Mビット/秒の規格のものを使用している。
【0018】
そして、CPU49で処理する一つとして、本願発明の温度を測定する温度測定回路57を備えた構成になっている。
【0019】
温度測定回路57は、装置が設置されている自動車室内の温度を測定するもので、その測定された温度はCPU49内に取込まれ、温度データとして記録手段である走行データ記録用メモリ51に記録すると共に、無線LANモジュール52を介して外部の無線LAN機器61であるスマートフォンに送信することができる。
そして、温度測定回路57から温度データを取り込むタイミングとしてリアルタイムクロック(RTC)47からのトリガを利用して取り込む時期や、取り込む時間の間隔を設定する。例えば、エンジン停止1時間後、2時間後などに、リアルタイムクロック(RTC)47からのトリガでCPU49を起動し、温度を測定・記録したり、同時に定時測定(例えば毎日午前3時とか)の温度を得ることができる。このエンジン停止後(イグニッションSWのOFF後)からの所定時間経過後についての所定時間は自由に設定変更できるのは勿論のことである。
【0020】
一方、このような温度を測定する機能を備えた車両情報取得装置41においては、コネクタ42を故障診断コネクタ32に差込むと、コネクタ42からバッテリ10直の電圧を得ることができる。そのため、故障診断コネクタ32に差込んで設置しておくことのみで装置41に電源が供給され、車両のイグニッションSWがOFFの状態であっても、温度測定を可能にする。即ち、故障診断コネクタ32にコネクタ42を差込んでおくことのみで、自動車の室内或は装置自身内部の温度を車両に電源が供給されていないときでも常時測定することが出来る。
【0021】
無線LAN機器61であるスマートフォンは、通信機能、電子メール機能、インターネット接続機能などのほか、無線LANモジュール63が搭載され、その構成要素であるCPU73は、二次電池を備えた電源部62からの電力供給によって動作し、記憶部67内の各種のプログラムに応じてこのスマートフォンの全体動作を制御する。この記憶部67は、ROM、RAMを有する構成で、そのプログラム領域には、例えば、車両情報取得装置41で得られた様々な走行データを参酌して瞬間燃費、平均燃費、積算距離等を算出するためのプログラムが格納されている。
【0022】
無線通信部66は、アンテナに接続された送受信部の受信側から信号を取込んで受信ベースバンド信号に復調したのちに、スピーカ71から音声出力させる。また、無線通信部66は、マイク69から入力された音声データを取込み、送信ベースバンド信号に符号化したのちに送受信部の送信側に与えられたアンテナから送信出力させる。また、電子メール機能或はインターネット接続機能によって無線通信部66を介して受信取得した表示データは、高品位表示が可能なLCD(液晶表示装置)などの表示部64に与えられて表示出力される。また、無線LANモジュールから得られたデータをパケットデータとしてインターネット等で送信することも出来る。
【0023】
操作部65は、各種の操作キー、ポインティングデバイスなどを有し、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行う。CPU73は、操作部65からの操作入力信号に応じた処理を実行する。RTC(リアルタイムクロックモジュール)68は、時計部を構成するもので、CPU73は、RTC68から現在日時を取得する。報知部72は、スピーカ71、LED(発光ダイオード)、振動モータを備え、電話・メール着信時に駆動されて着信報知を行うほか、アラーム報知時にも駆動される。
【0024】
無線LANモジュール63は、無線LAN通信機能を構成するもので、アンテナを有し、無線LANに接続されて高速無線通信を行うものであり、例えば、使用周波数が2.4GHz帯で通信速度が最大11Mビット/秒の規格のものを使用している。
【0025】
以上のような構成からなる車両情報取得装置41を、エンジン電子制御装置11の故障診断コネクタ32にコネクタ42を差込んで接続する。するとエンジン電子制御装置11で得られた様々な各種のデータを故障診断コネクタ32を介して得ることができる。この各種のデータ、即ち、各種の走行データを無線LANモジュール52を介して無線LAN機器61であるスマートフォン側に送信する。
そして、無線LANモジュール52を備えた後付けの車両情報取得装置41において、その車両情報取得装置41単体で温度を測定できる機構を搭載し、車両のイグニッションSWがOFFの時でも自動車の室内又は当該車両情報取得装置41内部の温度を測定し、当該車両情報取得装置41内の記録手段、実施例においては走行データ記録用メモリ51に記録し、且つ当該車両情報取得装置41に搭載されている無線LANモジュール52にて送信するというものである。
このように、車両のイグニッションSWがOFFのときでも、自動車の室内や当該車両情報取得装置41の内部の温度を測れるようにすることで、如何なる時の温度も提供できるようになる。例えば、夏場においてサンバイザーの取り付け忘れを通知したり、冬場のリモコンエンジンスタータ使用を促したり等が温度を測定することにより行うことができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
故障診断コネクタに取付けて使用する後付けの車両情報取得装置において、その車両情報取得装置自体で温度を測定できる機構を備え、車両のイグニッションSWがOFFの時でも自動車室内又は当該車両情報取得装置内部の温度を測定し、当該車両情報取得装置内のメモリに記録し、または当該車両情報取得装置に搭載されている無線LANモジュールにて送信できるような機能を有する装置を提供する。
【符号の説明】
【0027】
10 バッテリ
11 エンジン電子制御装置
12 回転センサ
13 エアフロセンサ
14 水温センサ
15 スロットルセンサ
16 O2センサ
17 スタータスイッチ
18 インジェクタ
19 イグナイタ
21 入出力回路
22 電源回路
23 CPU
24 I/O
25 演算処理部
26 RAM
27 ROM
28 シリアルI/O
31 通信回路
32 故障診断コネクタ
41 車両情報取得装置
42 コネクタ
43 車両I/F回路
44 電源回路
45 リセット回路
46 保護回路
47 RTC
48 設定記憶用不揮発性メモリ
49 CPU
51 走行データ記録用メモリ
52 無線LANモジュール
57 温度測定回路
61 無線LAN機器
62 電源部
63 無線LANモジュール
64 表示部
65 操作部
66 無線通信部
67 記憶部
68 RTC
69 マイク
71 スピーカ
72 報知部
73 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられた故障診断コネクタに接続し、該故障診断コネクタからのデータを受信して、所定の機器に無線で送信する機能を備えた後付けの車両情報取得装置であって、
前記車両情報取得装置単体で温度を測定する温度測定手段を備え、該温度測定手段で測定された温度データを、記録手段に記録すると共に前記所定の機器に無線で送信することを特徴とする車両情報取得装置。
【請求項2】
前記所定の機器は、スマートフォンであることを特徴とする請求項1に記載の車両情報取得装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−18323(P2013−18323A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151799(P2011−151799)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(391065611)株式会社テクトム (6)
【Fターム(参考)】