説明

車両玩具用走行制御装置

【課題】交差部においての車両玩具の走行を実際に近い形で実現可能な車両玩具用走行制御装置を提供すること。
【解決手段】交差部を構成する一方の軌道に、第1のストッパと第2のストッパとを配設し、第1のストッパに車両玩具が係止されているとき、第2のストッパを作動させて後続する車両玩具を係止し、1台ずつ交差部に車両玩具を進入させるとともに、他方の軌道において交差部に車両玩具が接近するときには、他方の軌道における車両玩具をして優先的に交差部に進入させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両玩具用走行制御装置に関し、詳しくは、第1の軌道と第2の軌道が互いに交わる交差部を有する車両玩具用走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの軌道を互いに交差させた軌道装置が知られている(例えば、特許文献1)。この軌道装置は、踏切における自動車玩具を、電車玩具が通過する際に、踏切手前で一旦停止させるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−275525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の玩具用の軌道装置では、踏切に進入する電車玩具の重量を利用して自動車玩具の踏切への進入を阻止するようにしている。そのため、電車玩具が踏切に進入しない限り自動車玩具は踏切手前で停止せず、一旦停止しないまま踏切を通過してしまう。これに対して、実際の踏切では、電車が来ない場合でも自動車は一旦停止をした後に踏切を通過する。このように、玩具用の軌道装置によって実現される踏切での情景と、実際の踏切での情景とはかけ離れたものとなっている。
また、道路同士が交わる、実際の交差点においても、優先道路と一般道路とが交わる場合には一般道路を走行する自動車は交差点手前で一旦停止し、優先道路を走る自動車が交差点を通過してから、発進する。
したがって、玩具用の軌道装置においても、このような情景を可能な限り実現することが望まれている。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、交差部においての車両玩具の走行を実際に近い形で実現可能な車両玩具用走行制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、
第1の軌道と、
前記第1の軌道と交わって該第1の軌道との間で交差部を構成する第2の軌道と、
前記第1の軌道における前記交差部の手前の場所に設けられて係止位置と係止解除位置とを取り得る第1のストッパを有し、該第1のストッパによって車両玩具を該交差部の手前で係止すると共に係止解除によって該車両玩具の前記交差部への進入を許容する第1の係止手段と、
前記第1の軌道において前記交差部への車両玩具の接近を検知する第1の検知手段と、
前記第2の軌道において前記交差部への車両玩具の接近を検知する第2の検知手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1のストッパに係止位置を取らせて前記第1の軌道において前記交差部に接近する車両玩具を係止させ、
前記第1の検知手段が車両玩具の接近を検知した際に前記第2の検知手段が車両玩具の接近を検知しない状況では、前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の前記交差部への進入を許容し、
前記第1の検知手段が車両玩具の接近を検知した際に前記第2の検知手段が車両玩具の接近を検知した状況では、前記第2の軌道における車両玩具を優先的に前記交差部に進入させ該交差部を通過させてから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容する、
ことを特徴とする車両玩具用走行制御装置である。
「車両玩具の接近を検知する」方法としては、ストッパによって係止されている車両玩具を検知する方法と、交差部に向けて走行している車両玩具を検知する方法とがある。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両玩具用走行制御装置において、
前記制御手段は、
前記第1のストッパに常態で係止位置を取らせ、
前記第1のストッパで係止されている車両玩具の前記交差部への進入を許容した後に、前記第1のストッパを係止位置に復帰させる、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の車両玩具用走行制御装置において、
前記第1の軌道において前記第1のストッパより少なくとも車両玩具1台分手前の場所に設けられて係止位置と係止解除位置とを取り得る第2のストッパを有し、走行してきた車両玩具を係止すると共に係止解除によって前記第1のストッパ側への車両玩具の走行を許容する第2の係止手段を備え、
前記第1の検知手段は、前記第1のストッパで係止されている車両玩具の有無を検知することで、前記第1の軌道において前記交差部への車両玩具の接近を検知するものであり、
前記制御手段は、
前記第2のストッパに常態で係止解除位置を取らせ、
前記第1の検知手段が車両玩具を検知した時に前記第2のストッパに係止位置を取らせて前記第1のストッパを係止位置に復帰させた後に該第2のストッパを係止解除位置に復帰させる、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置において、
前記第2の軌道における車両玩具を優先的に前記交差部に進入させ該交差部を通過させてから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容するにあたり、前記制御手段は、前記第2の検知手段が車両玩具の接近を検知した時点から該車両玩具が前記交差部を通過するに必要な時間が経過してから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容することを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から3いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置において、
前記第2の軌道における前記交差部の先の場所で車両玩具の通過を検知する第3の検知手段を備え、
前記第2の軌道における車両玩具を優先的に前記交差部に進入させ該交差部を通過させてから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容するにあたり、前記制御手段は、前記第3の検知手段が車両玩具の通過を検知してから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から5いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置において、
前記第1の軌道において前記交差部の先の場所で車両玩具の有無を検知する第4の検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第4の検知手段が車両玩具を検知している間は前記第1のストッパに係止解除位置を取らせず、その後は、状況に従った制御を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1から6いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置において、
前記第1の軌道を走行する車両玩具は動力を持たない車両玩具であって、前記第1の軌道には下り坂が形成され、該第1の軌道においては該下り坂によって車両玩具が走行するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載の車両玩具用走行制御装置において、
前記第2の軌道を走行する車両玩具は動力を持たない車両玩具であって、前記第2の軌道には下り坂が形成され、該第2の軌道においては該下り坂によって車両玩具が走行するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1から8の発明によれば、第1の軌道において車両玩具は交差部の手前で停止した後に交差部を通過する。そして、第1の軌道において車両玩具が交差部の手前で止まっているときに第2の軌道において車両玩具が交差部に接近すると、第1の軌道における車両玩具は第2の軌道における車両玩具を優先的に通過させてから発進する。したがって、交差部においての車両玩具の走行を実際に近い形で制御可能な車両玩具用走行制御装置を実現できる。
【0015】
請求項4の発明によれば、第1の軌道において車両玩具が交差部の手前で止まっているときに第2の軌道において車両玩具の交差部への接近を検知すると、その検知手段が車両玩具を検知した時点から該車両玩具が交差部を通過するに必要な時間が経過した後に第1の軌道における車両玩具を発進させるので、第2の軌道における車両玩具が交差部を通過したことを検知する検知手段が不要となる。したがって、その分、部品点数を少なくすることができる。
【0016】
請求項6の発明によれば、第1の軌道において車両玩具が交差部の先で止まっているときに第1のストッパに係止解除位置を取らせないので、第1の軌道において交差部に車両玩具が停止するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る車両玩具用走行制御装置の全体を概念的に示した斜視図である。
【図2】図1に示した車両玩具用走行制御装置の要部を概念的に示した斜視図である。
【図3】タワーの作動機構を示した模式図である。
【図4】第1の係止手段の作動機構を示した模式図である。
【図5】第2の係止手段の作動機構を示した模式図である。
【図6】第3の係止手段の作動機構を示した模式図である。
【図7】遮断機の作動機構を示した模式図である。
【図8】第1及び第3の検知手段の構造を示した模式図である。
【図9】第2の検知手段の構造を示した模式図である。
【図10】制御手段を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両玩具用走行制御装置の一実施形態について図面を用いて説明する。
この車両玩具用走行制御装置は軌道装置に組み込まれている。この実施形態の軌道装置は、自動車玩具用軌道装置と電車玩具用軌道装置とから構成されている。
【0019】
軌道装置1は、車両玩具である自動車玩具2が走行するループ状の軌道3と、車両玩具である電車玩具4が走行するループ状の軌道5とを備えている。自動車玩具2は動力を持たない所謂手押し式の自動車玩具であり、電車玩具4はモータ動力によって走行する自走式の電車玩具である。そして、軌道3と軌道5とは交差し、その交差部は踏切6として構成されている。
【0020】
軌道3は平面的に見て長円形となっている。この軌道3は、踏切6の先を起点とする上り坂軌道3aを備えている。また、軌道3は、上り坂軌道3aの頂点を起点とする下り坂軌道3bを備えている。下り坂軌道3bは上り坂軌道3aの起点まで続いている。
【0021】
軌道装置1はタワー7を備えている。タワー7は鉛直軸を中心に回転自在となっている。このタワー7は駆動手段8によって回転する。駆動手段8は、図2及び図3に示すように、タワー7の全周に亘って形成されたラック歯8aと、ラック歯8aに噛合するピニオン8bを含む歯車機構と、モータM1とによって構成されている。そして、タワー7は、後述の検知手段26が自動車玩具2を検出する毎にモータM1の動力によって3/4回転する。この回転は、自動車玩具用軌道装置のモードに限らず、検知手段26が自動車玩具2を検出する毎に実行される。
タワー7の外周部には、上下方向に延在する案内ロッド9がタワー7の円周方向に90度の角度間隔で計4本立設されている。各案内ロッド9には、基端部が案内ロッド9に嵌合され、先端部がタワー7の外周面から突出する掻上げ用の羽根部材10が上下動自在に付設されている。この羽根部材10は、タワー7の一方向の回転に伴って、その先端部が螺旋状の上り坂軌道3aの路面に摺接して案内ロッド9に沿って上動し、上り坂軌道3aの頂点を過ぎた場所で重力によって案内ロッド9に沿って下動する。そして、この羽根部材10によって掻き上げられた自動車玩具2は、上り坂軌道3aを上がって上り坂軌道3aの頂点に至り、そこから重力で下り坂軌道3bを下って再び上り坂軌道3aの起点まで戻るようになっている。
なお、検知手段26が自動車玩具2を検出する毎にモータM1の動力によってタワー7を3/4回転させることとした理由は、タワー7を3/4回転させることで羽根部材10によって上り坂軌道3aの起点にあった自動車玩具2を上り坂軌道3aの頂点まで掻き上げるためである。
【0022】
図2及び図4に示すように、軌道3には、踏切6の手前にストッパ21bが配置されている。このストッパ21bを含んで構成される係止手段21は、自動車玩具2の係止・係止解除をするためのものである。この係止手段21は、軌道3の幅方向中央に位置し、軌道3の幅方向に延在する軸21aを中心に回動して起倒するストッパ21bと、該ストッパ21bを起立状態に維持するスプリング21cと、ストッパ21bをスプリング21cの付勢力に抗して転倒させるモータM2とを備えている。ストッパ21bの起立状態のときが係止位置であり、転倒状態のときが係止解除位置である。ストッパ21bの転倒方向は自動車玩具2の走行方向である。
このストッパ21bは、自動車玩具用軌道装置がオートモードのときには後述の検知手段25が自動車玩具2を検知する毎に一時的に転倒する。また、ストッパ21bは、自動車玩具用軌道装置がマニュアルモードのときにはアクションスイッチSW4を操作しない限り一時的に転倒しない。
なお、図4においてはモータM2で直接ストッパ21bを動作させるように記載されているが、その間に歯車機構その他の動力伝達機構が介在していてもよい。
【0023】
図2及び図5に示すように、軌道3におけるストッパ21bのさらに手前には、他のストッパ22aが設けられている。このストッパ22aを含んで構成される係止手段22は、自動車玩具2の係止・係止解除をするためのものである。この係止手段22は、軌道3の側壁の孔から軌道3内に対して進退するストッパ22aと、ストッパ22aを退避方向へ付勢するスプリング22bと、ラック歯22cと、該ラック歯に噛合するピニオン22dを含む歯車機構と、ピニオン22dを駆動するモータM3とによって構成されている。そして、ストッパ22aが軌道3へ進入した状態のときに自動車玩具2の係止位置となり、退避した状態のときに係止解除位置となる。このストッパ22aは、自動車玩具2が連続して走行している場合には、ストッパ21bに係止された自動車玩具2に突き当たった直ぐ後ろの自動車玩具2をガードレールとの間で挟み込んで係止するものであるが、自動車玩具2が連続して走行していない場合には、軌道3に進入した状態のストッパ22aに突き当たって自動車玩具2が係止される。
このストッパ22aは、自動車玩具用軌道装置のモードに限らず、ストッパ21bが一時的に係止解除位置を取って係止位置に復帰した後に、一時的に係止解除位置を取って係止位置に復帰する。
【0024】
図2及び図6に示すように、軌道5の駅舎部分の線路には昇降台23aが設けられている。この昇降台23aを含んで構成される係止手段23は、電車玩具4の係止・係止解除をするためのものである。係止手段23は、昇降台23aと、該昇降台23aを上昇させるカム23bと、カム23bを回転させるモータM4とを備えている。そして、カム23bによって昇降台23aが上昇し、該昇降台23aが電車玩具4の底面に当接し、電車玩具4を軌道5から離反させることによって電車玩具4が係止され、昇降台23aが下降されると、再び電車玩具4が軌道5に戻されて係止が解除される。
昇降台23aは、電車玩具側軌道装置がオートモードのときには、常態で上昇した位置にあり、後述の検知手段27,28の一方が電車玩具4を検知した時点から所定時間経過(例えば3秒経過)した時に降下する。また、昇降台23aは、電車玩具用軌道装置がマニュアルモードのときには、後述のアクションスイッチSW3を操作する毎に上昇と降下を交互に行う。
なお、図2及び図5においてはモータM4で直接カム23bを動作させるように記載されているが、その間に歯車機構その他の動力伝達機構が介在していてもよい。
【0025】
図2及び図7に示すように、軌道5における踏切6近くに、遮断機24が設けられている。遮断機24の遮断棒24aは重り24bによって常態では上昇した状態となり、電磁コイル24cと永久磁石24dとの間に作用する磁力によって降下した状態となる。
遮断機24の遮断棒24aは、電車玩具側軌道装置がオートモードのときには、電車玩具4が右回りの場合には後述の検知手段27が電車玩具4を検知した時点、電車玩具4が左回りの場合には後述の検知手段28が電車玩具4を検知した時点で降下し、それから所定時間経過した後に上昇する。ただし、電車玩具4が右回りの場合には一旦駅舎で停車することから、踏切通過までの時間は長くかかるので、降下維持時間は長く(例えば5秒)、電車玩具4が左回りの場合には踏切通過までの時間は短いので、降下維持時間は短い(例えば2秒)。
一方、遮断機24の遮断棒24aは、電車玩具側軌道装置がマニュアルモードのときには、電車玩具4が右回りの場合には検知手段27が電車玩具4を検知した時点、電車玩具4が左回りの場合には検知手段28が電車玩具4を検知した時点で降下する。また、遮断棒24aは、電車玩具4が右回りの場合には検知手段28が電車玩具4を検知した時点、電車玩具4が左回りの場合には検知手段27が電車玩具4を検知した時点で上昇する。しかし、電車玩具4が左回りの場合には電車玩具4が左回りの場合には検知手段28が電車玩具4を検知した時点で降下し、それから所定時間経過した後に上昇するようにしてもよい。このようにしたのは、電車玩具用軌道装置がマニュアルモードのときには、昇降台23aは遊戯者によって操作されるので、どのくらいの時間、駅舎部分で停車するか分からないからである。
なお、電車玩具側軌道装置がオートモードのときにも、マニュアルモードのときと同じ構成としてもよい。
【0026】
図2に示すように軌道3,5には検知手段25,26,27,28が設けられている。以下、これらの検知手段について説明する。
図2及び図8に示すように、検知手段25は、軌道3における踏切6の手前の場所P1に設けられている。検知手段25は、係止手段21のストッパ21bによって係止させられている自動車玩具2の有無を検知するためのものである。この検知手段25は、自動車玩具2の検知に向けられた部品の統合体である。検知手段25は、具体的には、スプリング(板ばね)25aと、踏板25bと、センサS1とを備える。そして、検知手段25においては、スプリング(板ばね)25aによって踏板25bが軌道3から僅かに上方に突出した状態に維持され、踏板25bに自動車玩具2が載った際の重みで踏板25bが降下し、その踏板25bによってセンサS1が作動させられる。
【0027】
検知手段26は、検知手段25と同じ構造をしている。この検知手段26は、図2及び図8に示すように、軌道3における踏切6の先の場所P2に設けられている。検知手段26は、上り坂3aの起点となる場所に停車している自動車玩具2の有無を検知するためのものである。この検知手段26は、検知手段26は、スプリング(板ばね)26aと、踏板26bと、センサS2とを備える。そして、検知手段26においては、スプリング(板ばね)26aによって踏板26bが軌道3から僅かに上方に突出した状態に維持され、該踏板26bに自動車玩具2が載った際の重みで降下され、踏板26bによってセンサS2が作動される。
【0028】
図2及び図9に示すように、軌道5には、踏切6を挟んだ場所に検知手段27及び検知手段28が設けられている。検知手段27,28は、電車玩具4の接近等を検知するためのものである。この検知手段27,28は、電車玩具4の検知に向けられた部品の統合体である。検知手段27,28は、具体的には、支柱27b,28bに回動自在に支持された検知板27a,27bと、検知板27a,28aを中立位置に保持する板ばね27c,27c、28c,28cと、センサS3,S4とを備えている。そして、検知手段27,28においては、電車玩具4の衝突によって検知板27a,28aが動作すると、センサS3,S4によって電車玩具4が検知される。
【0029】
次に、軌道装置1の制御構成について図10を用いて説明する。
符号30は制御装置である。制御装置30の入力側は検知手段25〜28のセンサS1〜S4、モード切替スイッチSW1,SW2、アクションスイッチSW3,SW4、電源スイッチSW5に接続されている。制御装置30の出力側は、駆動手段8のモータM1と、係止手段22〜23のモータM2〜M4と、遮断機24の電磁コイル24cとに接続されている。制御装置30は、全体の制御を行うCPUと、制御プログラム等が記憶されているROMと、ワークエリアを有するRAMと、モータ駆動回路及びコイル通電回路と、を含んで構成されている。なお、図示はしないが、制御装置30はスピーカに接続され、適宜に、効果音をスピーカから出力させるように構成されている。例えば、電車玩具側軌道装置がオートモードの場合にはアクションスイッチSW3の操作によって電車の走行音、,自動車玩具側軌道装置がオートモードの場合にはアクションスイッチSW4の操作によって自動車の走行音がスピーカから出力される。
以下、軌道装置1の動作を制御装置30の働きと共に説明する。
【0030】
(自動車玩具側軌道装置及び電車玩具側軌道装置がオートモードの場合)
モード切替スイッチSW1,SW2の操作によって自動車玩具側軌道装置及び電車玩具側軌道装置がオートモードのときである。
【0031】
(1)常態
制御装置30は、ストッパ21bに起立状態(係止位置)を取らせると共にストッパ22bに退避状態(係止解除位置)を取らせ、軌道3を走行する自動車玩具2のストッパ21bまでの走行を許容する。
【0032】
(2)検知手段25が車両玩具2を検知している間に検知手段が車両玩具の接近を検知しない状況
制御装置30は、ストッパ21bに転倒状態(係止解除位置)を取らせてストッパ21bによって停止させられていた自動車玩具2の踏切6への進入を許容する。その後、制御装置30は、ストッパ21bに起立状態(係止位置)を取らせ、さらに、ストッパ22bに進入状態(係止解除位置)を取らせて後続する自動車玩具2のストッパ21bまでの走行を許容する。
【0033】
(3)検知手段25が自動車玩具2を検知している間に検知手段が電車玩具4を検知した状況
制御装置30は、電車玩具4を優先的に踏切6に進入させ該踏切6を通過させる。その後、制御装置30は、ストッパ21bに転倒状態(係止解除位置)を取らせてストッパ21bによって停止させられていた自動車玩具2の踏切6への進入を許容する。その後、制御装置30は、ストッパ21bに起立状態(係止位置)を取らせ、さらに、ストッパ22bに進入状態(係止解除位置)を取らせて後続する自動車玩具2のストッパ21bまでの走行を許容する。
なお、制御装置30は、電車玩具4が踏切6を通過したか否かの判断を次のようにして行う。
電車玩具4が軌道5を右回りで走行する場合には、検知手段27が電車玩具4を検知した時点からの経過時間に基づいて行われる。実施形態の場合、右回りの電車玩具4は駅舎部分で昇降台23aによって一旦留められ、踏切6の通過までに5秒程度の時間を要する。したがって、この場合には、実施形態では、検知手段27が電車玩具4を検知した時点から5秒程度の時間が経過すると電車玩具4が踏切6を通過したものと取り扱っている。
一方、電車玩具4が軌道5を左回りで走行する場合には、検知手段28が電車玩具4を検知した時点からの経過時間に基づいて行われる。実施形態の場合、左回りの電車玩具4は踏切6の通過までに1秒程度の時間を要する。したがって、この場合には、実施形態では、検知手段28が電車玩具4を検知した時点から1秒程度の時間が経過すると電車玩具4が踏切6を通過したものと取り扱っている。
【0034】
(4)検知手段26が自動車玩具2を検知している状況
制御装置30は、検知手段26が自動車玩具2を検知している間はストッパ21bに転倒状態(係止解除位置)を取らせない。
検知手段26が自動車玩具2を検知している状況とは、自動車玩具2が上り坂軌道3aの起点にあり未だ羽根部材10によって掻き上げられていない状態である。この状態で、ストッパ21bによる自動車玩具2の係止解除を行うと、登り坂軌道3aの起点に自動車玩具2が縦列状態で並び、踏切6に自動車玩具2がはみ出してしまうので、好ましくない。そこで、この場合には、自動車玩具2が上り坂軌道3aの起点にある自動車部材2が掻き上げられてから、ストッパ21bによる自動車玩具2の係止解除を行うこととした。
【0035】
(自動車玩具側軌道装置がオートモード・電車玩具側軌道装置がマニュアルモードの場合)
電車玩具側軌道装置がマニュアルモードのときには、アクションスイッチSW3の操作によって昇降台23aを昇降させることができる。
【0036】
(1)常態
制御装置30は、ストッパ21bに起立状態(係止位置)を取らせると共にストッパ22bに退避状態(係止解除位置)を取らせ、軌道3を走行する自動車玩具2のストッパ21bまでの走行を許容する。
【0037】
(2)検知手段25が自動車玩具2を検知し検知手段が電車玩具4を検知しない状況
制御装置30は、ストッパ21bに転倒状態(係止解除位置)を取らせてストッパ21bによって停止させられていた自動車玩具2の踏切6への進入を許容する。その後、制御装置30は、ストッパ21bに起立状態(係止位置)を取らせ、さらに、ストッパ22bに進入状態(係止解除位置)を取らせて後続する自動車玩具2のストッパ21bまでの走行を許容する。
【0038】
(3)検知手段25が自動車玩具2を検知・検知手段が電車玩具4を検知した状況
制御装置30は第3の態様の制御を行う。
なお、制御装置30は、電車玩具4が踏切6を通過したか否かの判断を次のようにして行う。電車玩具4が軌道5を右回りで走行する場合には、検知手段27で電車玩具4の踏切6への接近を検知した後に、検知手段28で電車玩具4の踏切通過を検知した時に電車玩具4が踏切6を通過したものとして取り扱う。電車玩具4が軌道5を左回りで走行する場合には、検知手段28で電車玩具4の踏切6への接近を検知した後に、検知手段27で電車玩具4の踏切通過を検知した時に電車玩具4が踏切6を通過したものとして取り扱う。
【0039】
(4)検知手段26が自動車玩具2を検知している状況
制御装置30は、検知手段26が自動車玩具2を検知している間はストッパ21bに転倒状態(係止解除位置)を取らせない。
【0040】
(自動車玩具側軌道装置がマニュアルモードの場合)
自動車玩具側軌道装置がマニュアルモードのときには、スイッチSW4の操作によってストッパ21bを一時的に転倒させることができる。自動車玩具用軌道装置は他の点では同じ動作を行う。この場合には、遊戯者は電車玩具4の走行状態を見ながら、スイッチSE4を操作することが必要となる。自動車玩具2と電車玩具4とが衝突する可能性もあるからである。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、常態でストッパ21bに係止位置を取らせるようにしたが、踏切6に近づく自動車玩具2の有無を検知して、踏切6に近づく自動車玩具2がある場合にストッパ21bに係止位置を取らせるようにしてもよい。
また、自動車玩具側軌道装置で1台の自動車玩具2を走行させる場合には、ストッパ22bは不要である。
【0042】
また、上記実施形態では、ストッパ21bにより係止された自動車玩具2の有無を検知手段26で検知するようにしたが、踏切6に向けて走行している自動車玩具26を検知するようにしてもよい。この場合には、自動車玩具26がストッパ21bまで到達する時間と、ストッパ21bによって係止される時間とを加味して、通常の場合のストッパ21bが係止解除されるまでの時間を決定すればよい。
【符号の説明】
【0043】
1 軌道装置
2 自動車玩具
3 軌道
3a 上り坂軌道
3b 下り坂軌道
4 電車玩具
5 軌道
6 踏切
7 タワー
10 羽根部材
21 係止手段(第1の係止手段)
21b ストッパ
22 係止手段(第2の係止手段)
22a ストッパ
23 係止手段(第3の係止手段)
23a 昇降台
24 遮断機
24a 遮断棒
25 検知手段(第1の検知手段)
26 検知手段(第4の検知手段)
27,28 検知手段(第2及び第3の検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の軌道と、
前記第1の軌道と交わって該第1の軌道との間で交差部を構成する第2の軌道と、
前記第1の軌道における前記交差部の手前の場所に設けられて係止位置と係止解除位置とを取り得る第1のストッパを有し、該第1のストッパによって車両玩具を該交差部の手前で係止すると共に係止解除によって該車両玩具の前記交差部への進入を許容する第1の係止手段と、
前記第1の軌道において前記交差部への車両玩具の接近を検知する第1の検知手段と、
前記第2の軌道において前記交差部への車両玩具の接近を検知する第2の検知手段と、
制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記第1のストッパに係止位置を取らせて前記第1の軌道において前記交差部に接近する車両玩具を係止させ、
前記第1の検知手段が車両玩具の接近を検知した際に前記第2の検知手段が車両玩具の接近を検知しない状況では、前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の前記交差部への進入を許容し、
前記第1の検知手段が車両玩具の接近を検知した際に前記第2の検知手段が車両玩具の接近を検知した状況では、前記第2の軌道における車両玩具を優先的に前記交差部に進入させ該交差部を通過させてから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容する、
ことを特徴とする車両玩具用走行制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1のストッパに常態で係止位置を取らせ、
前記第1のストッパで係止されている車両玩具の前記交差部への進入を許容した後に、前記第1のストッパを係止位置に復帰させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両玩具用走行制御装置。
【請求項3】
前記第1の軌道において前記第1のストッパより少なくとも車両玩具1台分手前の場所に設けられて係止位置と係止解除位置とを取り得る第2のストッパを有し、走行してきた車両玩具を係止すると共に係止解除によって前記第1のストッパ側への車両玩具の走行を許容する第2の係止手段を備え、
前記第1の検知手段は、前記第1のストッパで係止されている車両玩具の有無を検知することで、前記第1の軌道において前記交差部への車両玩具の接近を検知するものであり、
前記制御手段は、
前記第2のストッパに常態で係止解除位置を取らせ、
前記第1の検知手段が車両玩具を検知した時に前記第2のストッパに係止位置を取らせて前記第1のストッパを係止位置に復帰させた後に該第2のストッパを係止解除位置に復帰させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両玩具用走行制御装置。
【請求項4】
前記第2の軌道における車両玩具を優先的に前記交差部に進入させ該交差部を通過させてから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容するにあたり、前記制御手段は、前記第2の検知手段が車両玩具の接近を検知した時点から該車両玩具が前記交差部を通過するに必要な時間が経過してから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容することを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置。
【請求項5】
前記第2の軌道における前記交差部の先の場所で車両玩具の通過を検知する第3の検知手段を備え、
前記第2の軌道における車両玩具を優先的に前記交差部に進入させ該交差部を通過させてから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容するにあたり、前記制御手段は、前記第3の検知手段が車両玩具の通過を検知してから前記第1のストッパに係止解除位置を取らせて該第1のストッパで係止されている車両玩具の該交差部への進入を許容することを特徴とする請求項1から3いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置。
【請求項6】
前記第1の軌道において前記交差部の先の場所で車両玩具の有無を検知する第4の検知手段を備え、
前記制御手段は、前記第4の検知手段が車両玩具を検知している間は前記第1のストッパに係止解除位置を取らせず、その後は、状況に従った制御を行うことを特徴とする請求項1から5いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置。
【請求項7】
前記第1の軌道を走行する車両玩具は動力を持たない車両玩具であって、前記第1の軌道には下り坂が形成され、該第1の軌道においては該下り坂によって車両玩具が走行するように構成されていることを特徴とする請求項1から6いずれか一項に記載の車両玩具用走行制御装置。
【請求項8】
前記第2の軌道を走行する車両玩具は動力を持たない車両玩具であって、前記第2の軌道には下り坂が形成され、該第2の軌道においては該下り坂によって車両玩具が走行するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の車両玩具用走行制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−252851(P2010−252851A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103086(P2009−103086)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】