説明

車両用の融雪装置

【課題】積もった雪を均一に融雪する。降雪量に対して最適な発熱量に調整する。
【解決手段】車両用の融雪装置は、車両の屋根に沿う形状の熱伝導プレート3の下面に電気ヒータ1を熱結合状態で積層している。電気ヒータ1は、可撓性を有するシート状である複数の帯状ヒータ素子6Aからなる面状ヒータ6である。帯状ヒータ素子6Aは、両面の絶縁シート7の間に、可撓性と導電性を有する一対の編み線8を平行に配設し、一対の編み線8に橋渡しするように複数枚の可撓性発熱シート9を電気接続して、可撓性発熱シート9と編み線8の両方の表面を絶縁シート7で絶縁している。可撓性発熱シート9は、実質的にカーボンを含まず、含有する導電性金属でもって所定の電気抵抗に設定している。帯状ヒータ素子6Aは、編み線8を介して各々の可撓性発熱シート9に通電されて発熱し、発熱する可撓性発熱シート9が熱伝導プレート3を加熱して融雪する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の屋根に積もった雪を融雪する融雪装置に関し、とくに、屋根に積もった雪を夜間に融雪する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長時間停車している間に車両の屋根、とくに、貨物トラックのウイングボディの屋根やミニバンの屋根に積もった雪を除く作業は危険であり、そのままにして走行すれば、道路上に落下して交通事故の原因となる。この弊害は、車両の屋根に融雪装置を設置して解消できる。路面や屋根の融雪装置は開発されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−293312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、加熱手段の上部を覆うように表面プレートを設けて、この表面プレートを脱着できる構造としている。この融雪装置は、ヒータなどの加熱手段の発熱を表面プレートで均一化する。ただ、ニクロム線などのヒータは、線状に発熱するので、これを表面プレートで均一化しても、ヒータのある部分とない部分とで融雪に差ができる欠点がある。
【0004】
とくに、ニクロム線などのヒーターは、単位面積に対する発熱量のコントロールが難しく、降雪量の多い地域や少ない地域において、発熱量を最適な値に調整するのが難しい欠点があった。また、発熱領域のコントロールも難しく、特定の領域の発生熱量を多く、あるいは少なく調整するのが難しい欠点もあった。
【0005】
本発明の第1の目的は、この弊害を防止すること、すなわち積もった雪を均一に融雪でき、さらに、降雪量に対して最適な発熱量に調整でき、しかも発熱領域のコントロールも最適な状態に調整できる車両用の融雪装置を提供することにある。
【0006】
ところで、車両用の融雪装置は、車両を使用しない夜間に通電して融雪して便利に使用できる。また昼間料金の約1/3と安価な夜間電力を有効に利用して融雪できることから経済的でもある。とくに、融雪するには、雪を溶かすために大きな融解熱を必要とすることから電力消費が大きく、いかに経済的に融雪できるかは大切である。
【0007】
電気のエネルギーによる発熱量(Q)[cal]は、消費電力(W)[W]と時間(T)[sec]の積から以下の式で演算される。
Q=0.24WT
この式から、たとえば1kWのヒータが1時間(3600秒)に発生する熱量は864kcalとなる。
ヒータの発生熱量が特定されると、ある積雪重量の雪が積もっている時、それを融かすために必要な時間は、ヒーターの消費電力に反比例する。したがって、ヒータの消費電力をコントロールして、融雪時間を調整できる。融雪時間は、深夜電力の時間帯に設定するのが理想である。深夜電力は、夜の11時から次の朝の7時までの8時間であるから、融雪時間を8時間とするのが理想である。積雪量は毎日変化するが、例えば、ある地域において1日の積雪量が、たとえば95%の確率で30cm以下、言い換えると30cmを超える日が5%であるとすれば、この地域では30cmの積雪を8時間で融雪するようにヒータの消費電力を設定して好ましい状態で使用できる。この融雪装置は、30cmの積雪を朝の7時までに融雪できることになるので、ほとんど毎日、正確には95%の日は朝の7時までに融雪できることになる。
【0008】
ただ、積雪量は毎日変化し、毎日30cmの雪が積もるのではない。積雪量が30cmよりも少ない日は、7時よりも前に融雪される。融雪された後は、氷の融解熱による温度上昇の制限がなくヒータの温度が上昇する。ヒータは、温度をコントロールしているので、温度のコントロールが正常に動作する限り安全に動作するが、温度コントロールが故障すると、ヒータ温度が異常に上昇して発火するなどの弊害がある。この弊害は、ヒータにニクロム線などの金属線を使用する構造では問題とならないが、このヒータでは均一に融雪できない。均一に融雪するために、カーボンなどの導電性粉末をバインダーで結合している面状ヒータを使用すると、異常に高温になるとカーボンが発火するなどの弊害が発生する。
【0009】
本発明の第2の目的は、さらにこの欠点を解決すること、すなわち、積もった雪を均一に融雪しながら、積雪量が少なく、また、ヒータの温度制御が動作しない状態においても、発火することなく安全に車両の屋根に積もった雪を融雪できる融雪装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の車両用の融雪装置は、前述の目的を達成するために以下の構成を備える。
車両用の融雪装置は、車両の上に設置されて、車両に積もった雪を融雪する。融雪装置は、車両の屋根に沿う形状の熱伝導プレート3と、この熱伝導プレート3の下面に熱結合状態で積層されてなる電気ヒータ1とを備える。この電気ヒータ1は以下の全ての構成を備えている。
(a)電気ヒータ1は、所定の間隔で同一面に配置してなる複数の帯状ヒータ素子6Aからなる面状ヒータ6である。
(b)帯状ヒータ素子6Aは、可撓性を有するシート状であって、所定の幅の帯状である。
(c)帯状ヒータ素子6Aは、両面の絶縁シート7の間に、多数の細線を網状に集合している可撓性と導電性を有する一対の編み線8を平行に配設し、かつ、一対の編み線8に橋渡しするように、複数枚の可撓性発熱シート9の両側部を一対の編み線8に電気接続して、複数枚の可撓性発熱シート9を編み線8に沿って連結しており、この可撓性発熱シート9も両面の絶縁シート7の間に配設して、可撓性発熱シート9と編み線8の両方の表面を絶縁シート7で絶縁している。
(d)可撓性発熱シート9は、実質的にカーボンを含まず、かつ導電性金属を含むプラスチックシートであって、含有する導電性金属でもって所定の電気抵抗に設定している。
(e)帯状ヒータ素子6Aが、編み線8を介して各々の可撓性発熱シート9に通電してジュール熱で発熱させ、発熱する可撓性発熱シート9が熱伝導プレート3を加熱して融雪するようにしている。
【0011】
本発明の請求項2の車両用の融雪装置は、可撓性発熱シート9の導電性金属を、錫と鉛を含む金属としている。
【0012】
本発明の請求項3の車両用の融雪装置は、可撓性発熱シート9を、酸化錫と、酸化鉛と、塩化鉛との混合物を有機溶剤に溶解した溶解物と還元剤とを加熱し、さらにこの加熱混合物に、合成樹脂を素材とするバインダーを混合してシート状に成形したものとしている。
【0013】
本発明の請求項4の車両用の融雪装置は、絶縁シート7をポリイミド樹脂とシリコン樹脂のいずれかとしている。
【0014】
本発明の請求項5の車両用の融雪装置は、帯状ヒータ素子6Aの幅を、5mmよりも広く、20mmよりも狭い帯状とし、さらに、本発明の請求項6の車両用の融雪装置は、帯状ヒータ素子6Aを3cmよりも広く10cmよりも狭い間隔で平行に配列している。
【0015】
さらに、本発明の請求項7の車両用の融雪装置は、熱伝導プレート3を、アルミニウム板と銅板と鉄板とこれらの合金板のいずれかの金属板としている。
【0016】
また、本発明の請求項8の車両用の融雪装置は、面状ヒータ(6)の単位面積当たりの消費電力を100W/mないし500W/mとしている。
【0017】
さらにまた、本発明の請求項9の車両用の融雪装置は、面状ヒータ6を断熱基板2の上面に固定している。
【発明の効果】
【0018】
本発明の車両用の融雪装置は、積もった雪を均一に融雪しながら、しかも降雪量に対して最適な発熱量に調整して電力を効率よく利用して融雪し、さらに、発熱領域のコントロールを最適な状態として、車両の積雪を理想的な状態で融雪できる特徴がある。それは、本発明の融雪装置が、熱伝導プレートを下から加熱する電気ヒータを、複数列の帯状ヒータ素子で構成し、さらにこの帯状ヒータ素子を、両面の絶縁シートの間に、多数の細線を網状に集合している可撓性と導電性を有する一対の編み線を平行に配設して、この一対の編み線に橋渡しするように、複数の可撓性発熱シートの両側部を編み線に電気接続して、複数枚の可撓性発熱シートを編み線に沿って連結する構造とし、さらにこの可撓性発熱シートと編み線の両方の表面を絶縁シートで絶縁し、全体を可撓性があって帯状とし、さらに可撓性発熱シートには、実質的にカーボンを含まず、かつ導電性金属を含むプラスチックシートとして、含有する導電性金属で電気抵抗を最適値としており、この帯状ヒータ素子の各々の可撓性発熱シートに編み線から通電し、可撓性発熱シートをジュール熱で発熱させて、熱伝導プレートを加熱して融雪する独特の構造とするからである。
【0019】
とくに、本発明の融雪装置は、平行に配設する一対の編み線に、複数枚の可撓性発熱シートの両側部を電気接続して帯状ヒータ素子とし、この帯状ヒータ素子を平行に熱伝導プレートの表面に配設することから、車両の屋根に沿う形状の熱伝導プレートの下面に沿って自由に変形して、熱伝導プレートに広い面積で確実に面接触状態で熱結合される。とくに、帯状ヒータ素子の可撓性発熱シートを熱伝導プレートに好ましい状態で熱結合して、可撓性発熱シートの発熱を効率よく熱伝導プレートに熱伝導して、熱伝導プレートで効率よく、しかも均一に融雪できる特徴がある。
【0020】
また、本発明の融雪装置は、編み線に連結する可撓性発熱シートの幅、長さ、個数、間隔等を調整して、帯状ヒータ素子の単位面積あたりの発熱量を最適値に設定して、使用する地域に最適な発熱量として電力を有効に利用して融雪できる。
【0021】
さらに、本発明の融雪装置は、積雪量が少なく、またヒータの温度制御が正常に動作しない状態においても、発火することなく安全に車両の屋根に積もった雪を融雪できる特徴がある。それは、本発明の融雪装置が、熱伝導プレートを加熱する帯状ヒータ素子の発光素子として、実質的にカーボンを含まず、含有する金属で電気抵抗を調整している可撓性発熱シートを使用するからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車両用の融雪装置を例示するものであって、本発明は融雪装置を以下のものに特定しない。
【0023】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0024】
図1の平面図と図2の断面図に示す車両用の融雪装置は、断熱基板2と、この断熱基板2の上面に固定している電気ヒータ1と、この電気ヒータ1の上に固定している熱伝導プレート3とを備える。
【0025】
断熱基板2は、合板からなる基板4の上に断熱材5を固定している。合板は、厚さを1cm〜2cmとするコンパネ4Aである。ただ、基板には、合板に代わって合成樹脂板なども使用できる。断熱材5は、プラスチックを発泡成形したもので、好ましくは独立気泡を有する発泡ウレタンである。ただ、断熱材には、無機繊維を所定の厚さに集合しているガラスウールやロックウールも使用できる。断熱材5を積層している断熱基板2は、断熱材5でもって、電気ヒータ1の熱が基板側に伝導するのを遮断できる。このため、電気ヒータ1の発熱で効率よく熱伝導プレート3を加温して融雪する効率を高くできる。断熱材5は、厚くして断熱特性を向上できる。したがって、断熱材5の厚さは、好ましくは5mm以上、たとえば1cmとする。
【0026】
電気ヒータ1は、通電してジュール熱で発熱する。この電気ヒータ1は、所定の間隔で同一面に平行に配置している複数の帯状ヒータ素子6Aからなる面状ヒータ6である。帯状ヒータ素子6Aは、可撓性を有するシート状であって、所定の幅の帯状である。さらにこの帯状ヒータ素子6は、図3と図4に示すように、両面にある絶縁シート7の間に、多数の細線を網状に集合している可撓性と導電性を有する一対の編み線8を平行に配設している。絶縁シート7には、ポリイミド樹脂やシリコン樹脂等が使用できる。一対の編み線8に橋渡しするように、複数枚の可撓性発熱シート9の両側部を一対の編み線8に電気接続して、複数枚の可撓性発熱シート9を編み線8に沿って連結している。この可撓性発熱シート9も両面の絶縁シート7の間に配設されて、可撓性発熱シート9と編み線8の両方の表面を絶縁シート7で絶縁している。可撓性発熱シート9は、実質的にカーボンを含まず、かつ導電性金属を含むプラスチックシートであって、含有する導電性金属でもって所定の電気抵抗に設定している。可撓性発熱シート9が実質的にカーボンを含まないとは、原料としてカーボンが添加されず、仮にカーボンが含まれるとしても、混合する原料に不純物として含まれる程度を意味する。カーボンは、導電性があることから面状ヒータの導電性粉末として使用されるが、加熱されると発火するので、本発明の融雪装置の電気ヒータは、可撓性発熱シートにカーボンを添加せず、可撓性発熱シートをノンカーボンの不燃性としている。帯状ヒータ素子6Aは、編み線8を介して各々の可撓性発熱シート9に通電してジュール熱で発熱させて、発熱する可撓性発熱シート9が熱伝導プレート3を加熱して融雪する。
【0027】
可撓性発熱シート9は、導電性金属である酸化錫と酸化鉛と塩化鉛の混合物を有機溶剤に溶解してなる溶解物に還元剤を添加して加熱し、この加熱混合物に合成樹脂を素材とするバインダを混合してシート状に成形して製作される。バインダの合成樹脂には、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂などが使用できる。
【0028】
可撓性発熱シート9の導電性をコントロールする金属には、錫、鉛、銀、銅、鉄や鉄合金、アルミニウム、金属化合物などが使用でき、これを単独で、あるいは複数種を混合して電気抵抗をコントロールすることができる。帯状ヒータ素子6Aは、可撓性発熱シート9自体の電気抵抗と、一対の編み線8の間に接続する可撓性発熱シート9の枚数とで消費電力、すなわち発熱量をコントロールできる。可撓性発熱シートの電気抵抗を小さくし、また一対の編み線の間に接続する可撓性発熱シートの枚数を多くして、帯状ヒータ素子の電気抵抗を小さく、消費電力を大きく、発熱量を大きくできる。帯状ヒータ素子6Aの消費電力は、面状ヒータ6の単位面積に対する消費電力が最適値となるように調整される。
【0029】
たとえば、電気ヒータ1である面状ヒータ6は、帯状ヒータ素子6Aの幅を1cmとし、この帯状ヒータ素子6Aを5cm間隔で平行に断熱基板2に格子状に固定して制作して、単位面積の消費電力が100W/mないし500W/mとなるように帯状ヒータ素子6Aの消費電力を調整する。たとえば、面状ヒータ6の消費電力を約200W/mとする融雪装置は、積雪量を30cm(密度100kg/m)とする雪を5時間で融雪できる。雪は、積雪量のみでなく密度により融雪に要する熱エネルギーが異なり、密度が高くなると、融雪に要する熱エネルギーは大きくなる。したがって、面状ヒータ6の単位面積に対する消費電力は、使用する地域の積雪量と雪の密度を考慮して最適値に設定される。積雪量が多く、また密度の高い雪が降る地域にあっては、面状ヒータの消費電力を大きくし、積雪量が少なく、また密度の低い地域にあっては、消費電力を小さくする。すなわち、深夜電力でもって積雪をほぼ完全に融雪できる消費電力に設定される。また、面状ヒータ6の消費電力は、帯状ヒータ素子6Aを固定する間隔によって異なり、帯状ヒータ素子6Aを狭い間隔で固定すると面積当たりの消費電力は大きくなる。したがって、帯状ヒータ素子6Aの消費電力は、断熱基板2に接近して、すなわち狭い間隔で固定するものにあっては小さく、反対に断熱基板2に固定される間隔が広くなると大きくする。帯状ヒータ素子6Aの幅は、狭すぎると熱伝導プレート3との熱結合面積が小さくなって、熱伝導プレート3を均一に加温するのが難しくなる。したがって、帯状ヒータ素子6Aの幅は、好ましくは5mmよりも広くする。ただ、帯状ヒータ素子の幅が広くなると制作コストが高くなるので、好ましくは、帯状ヒータ素子6Aの幅は、10cmよりも狭く、最適には約1cmとして、熱伝導プレート3の裏面に広い面積で熱結合する。
【0030】
面状ヒータ6は、帯状ヒータ素子6Aを断熱基板2の上面に接着して固定し、さらに帯状ヒータ素子6Aの上に熱伝導プレート3を接着して制作される。熱伝導プレート3は、車両の屋根に沿う形状に成形している。熱伝導プレート3は、アルミニウム板である。ただ、熱伝導プレートには、アルミニウム板に代わって銅板も使用でき、さらに、鉄やこれらの合金板も使用できる。アルミニウム板は、熱伝導に優れることから、薄くて表面を均一に加温できる特徴がある。熱伝導プレート3は、面状ヒータ6の上に熱伝導ペーストを介して熱結合して固定される。熱伝導プレート3は、面状ヒータ6の表面に熱結合して固定され、さらに面状ヒータ6のない部分は絶縁性の接着剤10を介して断熱基板2の表面に接着して固定される。
【実施例1】
【0031】
図5は、以下の融雪装置の温度変化を示すグラフである。ただし、帯状ヒータ素子6Aからなる面状ヒータ6は、設定温度を30℃に設定している。
断熱基板2は、12mmのコンパネ4Aに、断熱材5として、10mmのウレタン発泡体を固定している。
電気ヒータ1は、幅を1cmとする帯状ヒータ素子6Aを、6cm間隔に平行に固定して面状ヒータ6としている。
熱伝導プレート3は、0.5mmのアルミニウム板としている。
断熱基板2の上に帯状ヒータ素子6Aを接着して固定し、さらに、この帯状ヒータ素子6Aの上に熱伝導プレート3を接着して固定している。
【0032】
温度センサの測定点は、図2に示すように、熱伝導プレート3の上面であって帯状ヒータ素子6Aの直上(A)と、熱伝導プレート3の上面であって帯状ヒータ素子6Aの中間(B)と、帯状ヒータ素子6Aと熱伝導プレート3との間(C)と、コンパネ4Aと断熱材5との間(D)としている。
【0033】
この図から、明らかなように、熱伝導プレート3の表面は、帯状ヒータ素子6Aとその中間の温度差がほとんどなく、熱伝導プレート3の上の雪を均一に融雪できることがわかる。また、帯状ヒータ素子6Aの表面温度は、設定温度の30℃となるが、断熱材5とコンパネ4Aとの間の温度はきわめて低く、断熱材5で帯状ヒータ素子6Aの熱が確実に遮断されていることが明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例にかかる車両用の融雪装置の平面図である。
【図2】図1に示す融雪装置のA−A線断面図である。
【図3】帯状ヒータ素子の一例を示す平面図である。
【図4】図3に示す帯状ヒータ素子の断面斜視図である。
【図5】図2に示す融雪装置の温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0035】
1…電気ヒータ
2…断熱基板
3…熱伝導プレート
4…基板 4A…コンパネ
5…断熱材
6…面状ヒータ 6A…帯状ヒータ素子
7…絶縁シート
8…編み線
9…可撓性発熱シート
10…接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根に設置されて、車両に積もった雪を融雪する融雪装置であって、車両の屋根に沿う形状の熱伝導プレート(3)と、この熱伝導プレート(3)の下面に熱結合状態で積層されてなる電気ヒータ(1)とを備える車両の融雪装置であって、
前記電気ヒータ(1)が以下の全ての構成を有する車両用の融雪装置。
(a)前記電気ヒータ(1)は、所定の間隔で同一面に配置してなる複数の帯状ヒータ素子(6A)からなる面状ヒータ(6)である。
(b)前記帯状ヒータ素子(6A)は、可撓性を有するシート状であって、所定の幅の帯状である。
(c)前記帯状ヒータ素子(6A)は、両面の絶縁シート(7)の間に、多数の細線を網状に集合している可撓性と導電性を有する一対の編み線(8)が平行に配設され、かつ、一対の編み線(8)に橋渡しするように、複数枚の可撓性発熱シート(9)の両側部を一対の編み線(8)に電気接続して、複数枚の可撓性発熱シート(9)を編み線(8)に沿って連結しており、この可撓性発熱シート(9)も両面の絶縁シート(7)の間に配設されて、可撓性発熱シート(9)と編み線(8)の両方の表面を絶縁シート(7)で絶縁している。
(d)前記可撓性発熱シート(9)は、実質的にカーボンを含まず、かつ導電性金属を含むプラスチックシートであって、含有する導電性金属でもって所定の電気抵抗に設定している。
(e)前記帯状ヒータ素子(6A)が、編み線(8)を介して各々の可撓性発熱シート(9)に通電してジュール熱で発熱させ、発熱する可撓性発熱シート(9)が熱伝導プレート(3)を加熱して融雪するようにしてなる。
【請求項2】
前記可撓性発熱シート(9)の導電性金属が錫と鉛を含む請求項1に記載される車両用の融雪装置。
【請求項3】
前記可撓性発熱シート(9)が、酸化錫と、酸化鉛と、塩化鉛との混合物が有機溶剤に溶解された溶解物と還元剤とが加熱され、さらにこの加熱混合物に、合成樹脂を素材とするバインダーが混合されてシート状に成形されたものである請求項2に記載される車両用の融雪装置。
【請求項4】
前記絶縁シート(7)がポリイミド樹脂、シリコン樹脂のいずれかである請求項1に記載される車両用の融雪装置。
【請求項5】
前記帯状ヒータ素子(6A)の幅が、5mmよりも広く、20mmよりも狭い帯状である請求項1に記載される車両用の融雪装置。
【請求項6】
前記面状ヒータ(6)が、前記帯状ヒータ素子(6A)を3cmよりも広く10cmよりも狭い間隔で平行に配列している請求項1又は5に記載される車両用の融雪装置。
【請求項7】
前記熱伝導プレート(3)が、アルミニウム板と銅板と鉄板とこれらの合金板のいずれかの金属板である請求項1に記載される車両用の融雪装置。
【請求項8】
前記面状ヒータ(6)の単位面積当たりの消費電力が100W/mないし500W/mである請求項1に記載される車両用の融雪装置。
【請求項9】
前記面状ヒータ(6)が断熱基板(2)の上面に固定されてなる請求項1に記載される車両用の融雪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−259643(P2009−259643A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108152(P2008−108152)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者・・社団法人北海道開発技術センター 刊行物名・・寒地技術論文・報告集 Vol.23 発行年月日・・平成19年12月12日
【出願人】(597059247)株式会社佐藤運送 (6)
【出願人】(501138231)独立行政法人防災科学技術研究所 (29)
【Fターム(参考)】