説明

車両用の間隔計測装置

【課題】 車両用の間隔計測装置において、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定する場合、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、外周部の周方向と交差する方向(ウェザーストリップの横幅方向)で適切に測定する。
【解決手段】 車体のドア開口部3の外周部又はドア1の外周部4に着脱自在な本体部7と、車体のドア開口部3を閉じる閉じ位置にドア1を操作した状態において車体のドア開口部3の外周部とドア1の外周部4との間隔を測定するもので本体部7に所定間隔を置いて備えられた複数の測定部8とを備えて、間隔計測装置6を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車や商用車、バスやトラック等の車両において、ドアの付近の間隔計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では一般に、ドアの外周部にゴム製のウェザーストリップが取り付けられており、車体のドア開口部を閉じる閉じ位置にドアを操作した状態において、ウェザーストリップが車体のドア開口部の外周部に密着することにより、雨や風切り音の室内への侵入が防止される。
これにより、ドアを閉じ位置に操作した状態で、ウェザーストリップが車体のドア開口部の外周部に適切に密着するようにする為に、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、所定の適切値に維持する必要があり、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定する必要がある。
【0003】
ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定するものとして、例えば特許文献1に開示されているように、車体のドア開口部の外周部(特許文献1の図1の1b)に、間隔計測装置(特許文献1の図1の10)を取り付けて、間隔計測装置により、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定するように構成したものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−311602号公報(図1及び図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウェザーストリップは所定の横幅を備えているので、ウェザーストリップが車体のドア開口部の外周部に適切に密着するようにする為には、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、外周部の周方向に沿って適切な所定値に維持する必要があるのに加えて、外周部の周方向と交差する方向(ウェザーストリップの横幅方向)でも適切な所定値に維持する必要がある。
【0006】
本発明は車両用の間隔計測装置において、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、外周部の周方向と交差する方向(ウェザーストリップの横幅方向)で適切に測定することができるように構成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[I]
(構成)
本発明の第1特徴は車両用の間隔計測装置において次のように構成することにある。
車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部に着脱自在な本体部と、
車体のドア開口部を閉じる閉じ位置にドアを操作した状態において車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定するもので、本体部に所定間隔を置いて備えられた複数の測定部と、
を備えて、車両用の間隔計測装置を構成する。
【0008】
(作用)
本発明の第1特徴によれば、車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定する複数の測定部が、間隔計測装置の本体部に所定間隔を置いて備えられているので、例えば間隔計測装置(本体部)を車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部のある位置に取り付けた場合に、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔が、間隔計測装置の複数の測定部によりある程度の範囲に亘って測定される(複数の異なる位置で測定される)。
【0009】
これにより、間隔計測装置(本体部)を車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部のある位置に取り付けた場合に、間隔計測装置(本体部)を適切な向きに設定することにより、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、外周部の周方向と交差する方向(ウェザーストリップの横幅方向)で適切に測定することができる。
【0010】
本発明の第1特徴によると、間隔計測装置(本体部)が車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部に着脱自在に構成されているので、間隔計測装置(本体部)を車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部のある位置に取り付けて測定を行うと、この後に間隔計測装置(本体部)を取り外し、車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部の別の位置に取り付けて測定を行えばよい。
このように本発明の第1特徴によると、間隔計測装置(本体部)を車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部に沿って移動させ、測定を繰り返していくことにより、車体のドア開口部の外周部(ドアの外周部)に沿って測定を行っていくことができる。
【0011】
(発明の効果)
本発明の第1特徴によると、車両用の間隔計測装置において、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定する場合、間隔計測装置に複数の測定部を備えることによって、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、外周部の周方向と交差する方向(ウェザーストリップの横幅方向)で適切に測定することができるようになった。
これにより、所定の横幅を備えたウェザーストリップに対して、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、適切な所定値に維持することが可能になる。
【0012】
[II]
(構成)
本発明の第2特徴は、本発明の第1特徴の車両用の間隔計測装置において次のように構成することにある。
測定部がスライド自在に本体部に支持されて、車体のドア開口部の外周部とドアの外周部に接触することにより、車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定する接触子である。
【0013】
(作用)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。
本発明の第2特徴によると、間隔計測装置の複数の接触子(測定部)が車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部に直接に接触することによって、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定しており、非接触式の測定部に比べて外乱の影響を受けることが少ない。
【0014】
(発明の効果)
本発明の第2特徴によると、本発明の第1特徴と同様に前項[I]に記載の「発明の効果」を備えており、これに加えて以下のような「発明の効果」を備えている。
本発明の第2特徴によると、非接触式の測定部に比べて外乱の影響を受けることを少なくしながら、ドアを閉じ位置に操作した状態での車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を、適切に測定することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1(イ)(ロ)は乗用車におけるフロントドア1(左の助手席側)において、フロントドア1のドアノブ(図示せず)側の横断面を示しており、Bピラー2の横断面を示している。Bピラー2の前方(紙面右側)に、乗員の乗降用のフロントドア1の開口部3(車体のドア開口部に相当)が位置しており、フロントドア1の外周部4とフロントドア1の開口部3の外周部(この一部にBピラー2の外周部5も含まれる)との間に、ウェザーストリップ(図示せず)が配置される。
【0016】
図1(イ)(ロ)及び図2に示すように、間隔計測装置6が用意されており、本体部7に複数の接触子8(測定部に相当)が備えられて、間隔計測装置6が構成されている。間隔計測装置6の本体部7は底面に磁石9が備えられており、フロントドア1の開口部3の外周部(Bピラー2の外周部5)又はフロントドア1の外周部4の任意の位置に、間隔計測装置6が着脱自在である。
【0017】
図1(イ)(ロ)及び図2に示すように、間隔計測装置6の接触子8が間隔計測装置6の本体部7に所定間隔を置いて千鳥状に8個配置されて、間隔計測装置6の接触子8の先端部に球形状の接触部8aが備えられている。間隔計測装置6の接触子8は間隔計測装置6の本体部7に対して図1(イ)(ロ)の紙面上下方向に各々独立にスライド自在に支持されており、間隔計測装置6の本体部7の内部に備えられたバネ(図示せず)により、間隔計測装置6の接触子8が突出側(図1(イ)(ロ)の紙面上方)に付勢されている。
【0018】
図1(ロ)に示すように、間隔計測装置6の本体部7に対する間隔計測装置6の接触子8の位置を電気的に検出する検出部(図示せず)が、間隔計測装置6の本体部7の内部に備えられている。間隔計測装置6の外部に増幅器10、A/D変換器11、間隔算出制御部12、測定値表示部13及び記憶装置14が備えられており、これらが前述の検出部とハーネス15を介して接続されている。
【0019】
図1(ロ)に示す状態は、間隔計測装置6の本体部7をBピラー2の外周部5のある位置に取り付けた状態であり(フロントドア1の開口部3の外周部(Bピラー2の外周部5)の周方向と交差する方向(ウェザーストリップの横幅方向))、フロントドア1の開口部3を閉じる閉じ位置にフロントドア1を操作した状態である。この状態でフロントドア1の外周部4が間隔計測装置6の接触子8に接当し、間隔計測装置6の接触子8が間隔計測装置6の本体部7に押し込まれている。これによって、作業者が測定信号を発信させると、間隔計測装置6の接触子8の各々により、Bピラー2の外周部5とフロントドア1の外周部4との間隔(フロントドア1の外周部4と間隔計測装置6の本体部7との間隔)が測定され、間隔計測装置6の接触子8の各々に対応した測定値が測定値表示部13に表示されて記憶装置14に記憶される。
【0020】
以上のようにして、間隔計測装置6の本体部7をBピラー2の外周部5のある位置に取り付けた状態での測定が終了すると、フロントドア1を開き位置に操作し、間隔計測装置6の本体部7を取り外しBピラー2の外周部5の別の位置に取り付けて、前述と同様な測定を行えばよい。
【0021】
[発明の実施の別形態]
前述の[発明を実施するための最良の形態]において、図3に示すように構成してもよい。
図3に示すように、間隔計測装置6の本体部7の両端部にマーキング部16(先端にピエゾ素子(圧電セラミック)が使用されている)が備えられており、間隔計測装置6の外部に備えられたポンプ(図示せず)及びインクカートリッジ(図示せず)と、間隔計測装置6のマーキング部16とが、細いチューブ17によって接続されている。
【0022】
これにより、間隔計測装置6の接触子8の各々により、Bピラー2の外周部5とフロントドア1の外周部4との間隔(フロントドア1の外周部4と間隔計測装置6の本体部7との間隔)が測定されると、間隔計測装置6のマーキング部16からインクが噴射され(例えば噴射されるインク滴の最小外径が0.5mm程度で、インクの吐出量が0.07mg程度)、間隔計測装置6の接触子8の各々により測定されたフロントドア1の外周部4の箇所の付近に、2つのマーキングが施される。
【0023】
前述のように、2つのマーキングが施されると、この2つのマーキングの間の部分において、間隔計測装置6の接触子8の各々により測定が行われたことを把握することができる。この場合、間隔計測装置6の本体部7をBピラー2の外周部5のある位置に取り付けて、フロントドア1の開口部3を閉じる閉じ位置にフロントドア1を操作する前、又は測定の終了後にフロントドア1を開き位置に操作した際に、間隔計測装置6の本体部7を取り付けたBピラー2の外周部5の位置に、作業者がペン等によってマーキングを施しておけば、間隔計測装置6の接触子8が測定したフロントドア1の外周部4の箇所の付近(2つのマーキング)、及び間隔計測装置6の本体部7を取り付けたBピラー2の外周部5の位置の両方に、マーキングが施されることになる。
【0024】
前述の[発明を実施するための最良の形態]及び[発明の実施の別形態]において、間隔計測装置6の本体部7をフロントドア1の外周部4に取り付けて測定を行うように構成してもよい。又、本発明はリヤドア(図示せず)にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】間隔計測装置の本体部をBピラーの外周部のある位置に取り付けた状態で、フロントドアを開き位置及び閉じ位置に操作した状態での横断平面図
【図2】間隔計測装置の全体斜視図
【図3】発明の実施の別形態における間隔計測装置の平面図
【符号の説明】
【0026】
1 ドア
3 車体のドア開口部
4 ドアの外周部
7 本体部
8 測定部、接触子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドア開口部の外周部又はドアの外周部に着脱自在な本体部と、
車体のドア開口部を閉じる閉じ位置にドアを操作した状態において車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定するもので、前記本体部に所定間隔を置いて備えられた複数の測定部と、
を備えて構成された車両用の間隔計測装置。
【請求項2】
前記測定部がスライド自在に本体部に支持されて、車体のドア開口部の外周部とドアの外周部に接触することにより、車体のドア開口部の外周部とドアの外周部との間隔を測定する接触子である請求項1に記載の車両用の間隔計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−125929(P2006−125929A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−312414(P2004−312414)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】