説明

車両用アンダーカバー

【課題】車体内に導入された冷却風が外部に排出される際の空気抵抗を効果的に低減できるとともに、車体内の被冷却機器を効率的に冷却できる車両用アンダーカバーを提供する。
【解決手段】冷却風取入口14から取り入れられてエンジン20等の被冷却機器を冷却する冷却風Cを排出する排出口32が形成され、車体の下面部に配設される車両用アンダーカバー10において、排出口32の車体前方に配設され、車体前方を頂点として車体後方に向かい徐々に拡開する導風面40を有し、排出口32に配設されて車体前部12の下面部から車体下方向に突出する排気管22に対して、車両の走行により発生する走行風Wを導風面40を介して排出口32から排出される冷却風Cに導き、冷却風Cを車体後方に導くガイド部36を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車体の下面部に配設される車両用アンダーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両では、車体に突出部やくぼみ、隙間等があると、その部分において走行風に乱れが生じ、走行安定性が低下するだけでなく、空気抵抗の増大による燃費の低下が生じる不具合がある。従って、車体は、空気力学的性能を考慮して設計する必要がある。
【0003】
ところで、走行風の乱れは、車体の上側だけでなく、下側においても問題となる。車体の下側には、エンジンの一部やトランスミッション、排気管等の機器が配置されており、これらの機器に直接走行風が当たると、走行風が乱れて空気抵抗が増大する。そのため、車体の下面部には、上記の機器を覆うようにしてアンダーカバーが装着されている。なお、アンダーカバーは、空気抵抗を低減させる目的以外に、エンジンの保護、泥よけ、デザイン性の向上等の目的を兼ねている。
【0004】
一方、エンジン、トランスミッション、排気管等の機器は、発熱部であり、これらを冷却するため、車体の前面に設けられた冷却風取入口から外気である冷却風を取り入れるように構成されている。エンジン等を冷却した冷却風は、例えば、エンジンルームとキャビンとの間に配設されるトーボードに沿って車体下方向に排出される。この場合、車体の下面部にアンダーカバーが装着されていると、アンダーカバーが冷却風の排出を阻害するため、冷却風によるエンジン等の冷却効率が低下してしまう。そこで、通常、アンダーカバーに排出口を形成し、この排出口を介して冷却風を外部に排出するように構成している。
【0005】
しかしながら、冷却風は、上述したように、アンダーカバーに形成した排出口から車体下方向に向かって排出されるため、この冷却風と、車両の走行に伴って発生する路面に沿った走行風とが排出口近傍で干渉し、走行時の空気抵抗(CD値)が増大してしまう。
【0006】
そこで、特許文献1に開示された先行技術では、アンダーカバーを車体後方に延在させ、フロアパネルにオーバラップさせることにより、冷却風の排出口がフロアパネルの下面部と平行となる方向に向くように構成している。この場合、排出口から排出される冷却風の流れが走行風の流れと略平行になるため、冷却風と走行風との干渉が回避され、空気抵抗の増大が抑制されることが期待される。
【0007】
また、エンジンルームに配置された機器の冷却を目的として、特許文献2に開示された先行技術では、車体上方向に凹状となり、車体前方を頂点とする三角形状の凹部をアンダーカバーに形成するとともに、この凹部の一部に導風口を形成し、導風口から走行風をエンジンルームに導くように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−276867号公報
【特許文献2】特開平9−52583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の場合、アンダーカバーをフロアパネルの下まで延在させているため、アンダーカバーが大型化して重量が増加してしまう。重量の増加は、燃費の低下を惹起する。また、フロアパネルの下に配設されるアンダーカバーが路面に接近するため、走行中にアンダーカバーが路面に接触し、損傷することが懸念される。
【0010】
一方、特許文献2の場合、アンダーカバーの凹部を通過する走行風の全てが導風口に導入される構成ではないため、凹部によってむしろ空気抵抗が増大してしまうおそれがある。また、特許文献2は、走行風を導風口からエンジンルームに導入して機器を冷却することのみを目的としており、導入された走行風を外部に排出することまでは配慮していない。従って、エンジンルームから再び外部に排出される走行風と、アンダーカバーの下部を流れる走行風とが干渉し、空気抵抗がさらに増大するおそれがある。
【0011】
本発明は、前記の不具合を解消するためになされたものであって、車体内に導入された冷却風が外部に排出される際の空気抵抗を効果的に低減できるとともに、車体内の被冷却機器を効率的に冷却できる車両用アンダーカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る車両用アンダーカバーは、冷却風取入口から取り入れられてエンジン等の被冷却機器を冷却する冷却風を排出する排出口が形成され、車体の下面部に配設される車両用アンダーカバーにおいて、前記排出口の車体前方に配設され、前記車体前方を頂点として車体後方に向かい徐々に拡開する導風路を有し、前記排出口に配設されて前記車体の下面部から車体下方向に突出する前記被冷却機器に対して、車両の走行により発生する走行風を前記導風路を介して前記排出口に導き、前記冷却風を車体後方に導くガイド部を備えることを特徴とする。
【0013】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記導風路の車体後方の端部には、前記走行風を前記排出口に導く導風口が形成され、前記導風口から導入された前記走行風を前記排出口に導くことを特徴とする。
【0014】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記導風路は、車体後方に向かって車体上方向に傾斜する導風面と、前記導風面の車幅方向の両側部に形成される側壁とを備え、前記側壁間の前記導風面を介して前記走行風を前記導風口から前記排出口に導くことを特徴とする。
【0015】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記ガイド部は、前記導風口と前記排出口との間に形成され、前記導風路よりも車体下方向に突出するガイド面と、前記導風路の車幅方向の両側部に形成され、車体下方向に突出する側壁とを備え、前記側壁間の前記導風路を介して前記走行風を前記導風口から前記排出口に導くことを特徴とする。
【0016】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記導風路は、車体後方に向かって車体下方向に傾斜する導風面と、前記導風面の車幅方向の両側部に形成され、車体下方向に突出する側壁とを備え、前記側壁間の前記導風面を介して前記走行風を前記排出口に導くことを特徴とする。
【0017】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記導風路の車体後方の端部は、車体後方に向かって路面と略平行に設定されることを特徴とする。
【0018】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記導風路は、車体後方に向かって路面と略平行に延在する導風面と、前記導風面の車幅方向の両側部に形成される側壁とを備え、前記側壁間の前記導風面を介して前記走行風を前記導風口から前記排出口に導くことを特徴とする。
【0019】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記被冷却機器は、排気管、トランスミッション、パワーステアリングユニット、エンジン、フロントデフ、リアデフ、モータ、又は、蓄電池の少なくとも1つであることを特徴とする。
【0020】
前記車両用アンダーカバーにおいて、前記ガイド部は、前記被冷却機器の位置、及び/又は、前記排出口の大きさに応じて、所定の位置に複数配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の車両用アンダーカバーによれば、車体内に導入された冷却風が排出される排出口に対して、車体前方から徐々に拡開する車両用アンダーカバーに形成された導風路を介して走行風を導くことにより、路面方向に噴出される冷却風を車体後方に導くことができる。この結果、排出口から排出される冷却風による空気抵抗を低減できるとともに、前記排出口に配設される被冷却機器を効果的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態のアンダーカバーが装着された車体前部を下面側から見た斜視説明図である。
【図2】第1実施形態のアンダーカバーが装着された車体前部の下面説明図である。
【図3】図2に示すIII−III線断面説明図である。
【図4】第1実施形態のアンダーカバーの作用説明図である。
【図5】第1実施形態のアンダーカバーに形成されるガイド部の変形例の断面説明図である。
【図6】第2実施形態のアンダーカバーの斜視説明図である。
【図7】図6に示すVII−VII線断面説明図である。
【図8】第3実施形態のアンダーカバーの斜視説明図である。
【図9】図8に示すIX−IX線断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、第1実施形態のアンダーカバー10が装着された車体前部12を下面側から見た斜視説明図である。図2は、アンダーカバー10が装着された車体前部12の下面説明図である。図3は、図2に示すIII−III線断面説明図である。
【0025】
車体前部12には、車両の走行により発生する走行風Wを冷却風CとしてエンジンルームEに取り入れる冷却風取入口14が配設される。図3に示すように、車体前部12のエンジンルームEには、冷却風取入口14側から、ラジエータパネル16、ファン18、被冷却機器であるエンジン20が順に配置される。また、エンジン20には、被冷却機器である排気管22が連結される。排気管22は、アンダーカバー10側に延在した後、屈曲して車体の下面部に沿って車体後方に延在する。さらに、エンジン20には、エンジン20の回転を所定の回転速度に変換して後輪側に伝達する被冷却機器であるトランスミッション24(図1参照)が連結される。
【0026】
なお、エンジンルームEとキャビンRとの間は、車体フレームの一部を構成するトーボード26により仕切られる。また、アンダーカバー10の両側部には、前輪28a、28bが配設される。
【0027】
アンダーカバー10は、全体が略平板状に構成され、図1及び図3に示すように、路面側に突出する排気管22の屈曲部30の近傍と、路面側に突出するトランスミッション24の近傍とにおいて切り欠かれることで、冷却風C及び走行風Wを外部に排出する排出口32及び34が形成される。
【0028】
アンダーカバー10には、走行風Wを導入して排出口32及び34に導き、エンジンルームE側から排出される冷却風Cの噴出方向を制御するガイド部36及び38が形成される。ガイド部36及び38は、車体前方を頂点とし、車体後方に向かって徐々に拡開しながら車体上方向に傾斜する三角形状の導風路を構成する導風面40と、三角形の斜辺に相当し、導風面40の車幅方向の両側部に形成される側壁42a、42bと、三角形の底辺に相当し、排出口32及び34側の導風面40の端部に形成され、走行風を排出口32に導く導風口44とを備える(図4参照)。なお、導風面40は、車体後方の端部である導風口44の近傍40a(図3参照)が車両の走行する路面と略平行となるように設定される。また、導風口44と排出口32、及び、導風口44と排出口34とは、車体の左右方向の位置がほぼ一致するように配置されていることが望ましい。
【0029】
ガイド部36は、排出口32の車体前方に配置される。図3に示すように、ガイド部36の側壁42a、42b間の導風面40を介して導風口44に導入された走行風Wは、アンダーカバー10のエンジンルームE側を通過した後、排出口32から外部に排出される。また、ガイド部38は、排出口34の車体前方に配置される。ガイド部38の側壁42a、42b間の導風面40を介して導風口44に導入された走行風Wは、ガイド部36と同様に、アンダーカバー10のエンジンルームE側を通過した後、排出口34から外部に排出される。
【0030】
第1実施形態のアンダーカバー10が装着された車体前部12は、基本的には以上のように構成される。次にその作用効果について説明する。
【0031】
車両が車体前方に走行することにより、冷却風取入口14から導入された走行風Wは、図3に示すように、ラジエータパネル16を介して、冷却風Cとしてファン18に供給され、ファン18により冷却風Cの流量が調整されてエンジン20に送風される。エンジン20に送風された冷却風Cは、エンジン20を冷却した後、車体の下面部に装着されたアンダーカバー10の排出口32及び34から外部に排出される。
【0032】
アンダーカバー10の排出口32には、排気管22の屈曲部30が配設されており、エンジン20を冷却した冷却風Cは、排気管22を冷却しながら路面側に排出される。この場合、冷却風Cの一部は、エンジン20や排気管22の屈曲部30に吹き付けられることで、路面側に向う冷却風C′となる。この冷却風C′は、図3に示すように、車体前方からの走行風Wと干渉するため、空気抵抗が増大する。同様に、アンダーカバー10の排出口34から排出される冷却風Cの一部も、車体下方向に突出するトランスミッション24によって路面側に向かうため、走行風Wと干渉して空気抵抗が増大する。
【0033】
一方、アンダーカバー10と路面との間に流れる走行風Wは、アンダーカバー10に形成したガイド部36及び38を介して各排出口32及び34に導かれる。
【0034】
すなわち、車体前方からの走行風Wは、ガイド部36及び38の導風面40を介して導風口44に導入される。この場合、導風面40の両側部には、車体後方に向かって拡開する側壁42a、42bが配設されているため、図4に示すように、導風面40に沿って車長方向に導かれた走行風Wと、側壁42a、42bとの間で渦流46が発生する。渦流46は、走行風Wをガイド部36及び38に吸引するように作用するため、結果的に、ガイド部36及び38に導入される走行風Wの風量が増加することになる。
【0035】
なお、ガイド部36及び38に導入された走行風Wは、導風面40の車体後方端部の車幅方向全域に開口する導風口44に導入されるため、ガイド部36及び38を形成することによる空気抵抗の増大が生じるおそれはない。
【0036】
導風口44から導入された走行風Wは、図3に示すように、エンジンルームE側から送風される冷却風Cに供給される。この場合、ガイド部36及び38に発生した渦流46により、十分な量の走行風Wが冷却風Cに供給されるため、冷却風Cの流れが変更され、走行風Wと冷却風Cが合流して車体後方に導かれる。また、導風口44と排出口32及び34との間であって、アンダーカバー10と路面との間を流れる走行風Wは、排出口32及び34から排出される冷却風C及び走行風Wを車体後方に導く。従って、排出口32及び34から路面方向に向かって冷却風C′が排出されることはなく、冷却風C′による空気抵抗の増大が回避される。
【0037】
なお、導風面40の車体後方端部である導風口44の近傍40aは、車両が走行する路面と略平行となるように設定されている。従って、導風口44から導入された走行風Wの送風方向は、路面側を通る走行風Wの送風方向と略平行になるため、排出口32及び34から排出される冷却風C及び走行風Wを一層確実に車体後方に導くことができる。また、導風口44から導入された走行風Wは、冷却風Cとともに排気管22及びトランスミッション24を冷却するため、排気管22及びトランスミッション24を効果的に冷却することができる。
【0038】
ここで、ガイド部36、38は、図5に示す構成とすることもできる。図5は、第1実施形態のアンダーカバー10に形成されるガイド部36の変形例の断面説明図である。ガイド部38についても同様に構成することができる。
【0039】
変形例であるガイド部36′は、車体前方を頂点とし、車体後方に向かって徐々に拡開しながら路面と略平行に延在する三角形状の導風路を構成する導風面40′と、三角形の斜辺に相当し、導風面40′の車幅方向の両側部に形成される側壁42a′、42b′と、三角形の底辺に相当し、導風面40′の排出口32側の端部に形成され、走行風Wを排出口32に導く導風口44′とを備える。なお、導風口44′と排出口32とは、車体の左右方向の位置がほぼ一致するように配置されていることが望ましい。
【0040】
この場合、アンダーカバー10の前端部から導風口44′に至る導風面40′の全域が路面に略平行となっているため、十分な量の走行風Wを導風口44′から取り込んで排出口32に供給することができる。従って、排出口32に配置されている排気管22を効果的に冷却することができる。また、走行風Wを導風口44′に導入する導風面40′は、路面に略平行であるため、導入される走行風Wも路面に略平行となり、排出口32から排出される冷却風Cを一層確実に車体後方に導くことができる。
【0041】
図6は、第2実施形態のアンダーカバー50の斜視説明図、図7は、図6に示すVII−VII線断面説明図である。排気管22の位置に対応してアンダーカバー50に形成されるガイド部52は、アンダーカバー50の一般面から車体下方向に突出するガイド面54と、アンダーカバー50の一般面から車体下方向に突出し、車体前方を頂点として車体後方に向かって徐々に拡開した後、車体下方向に突出するガイド面54に連結される側壁56a、56bと、側壁56a、56bの間に形成され、車両が走行する路面と略平行な導風面55と、導風面55のガイド面54側端部に形成され、排気管22が突出する排出口57に連通し、走行風を導く導風口58とを備える。この場合、ガイド面54は、導風口58と排出口57との間に形成され、側壁56a、56bは、導風面55の車幅方向に形成される。また、トランスミッション24の位置に対応して、同様の構成からなるガイド部52を形成することができる。なお、導風口58と排出口57とは、車体の左右方向の位置がほぼ一致するように配置されていることが望ましい。
【0042】
ガイド部52の導風面55に導入された走行風Wは、車体後方に向かって徐々に拡開する側壁56a、56bによって発生する渦流により風量が増加した状態で導風口58に流入する。次いで、走行風Wは、図7に示すように、排出口57から排出される冷却風Cに供給され、冷却風Cの流れを変更して車体後方に導く。また、ガイド面54の下部である路面側を流れる走行風Wは、排出口57から排出される冷却風C及び走行風Wを車体後方に導く。この結果、排出口57から路面方向に向って冷却風C′が排出されることはなく、冷却風C′による空気抵抗の増大が回避される。
【0043】
なお、ガイド部52に導入された走行風Wは、側壁56a、56bの車体後方端部の車幅方向全域に開口する導風口58に導入されるため、ガイド部52を形成することによる空気抵抗の増大が生じるおそれはない。
【0044】
図8は、第3実施形態のアンダーカバー70の斜視説明図、図9は、図8に示すIX−IX線断面説明図である。排気管22の位置に対応してアンダーカバー70に形成されるガイド部72は、車体前方を頂点とし、車体後方に向かって徐々に拡開しながら一般面から車体下方向に傾斜する導風路を構成する三角形状の導風面74と、導風面74の車幅方向の両側部に形成される側壁76a、76bとを備える。導風面74は、車体後方の端部である排出口32の近傍74aが、車両が走行する路面と略平行となるように設定される。なお、トランスミッション24の位置に対応して、同様の構成からなるガイド部72を形成することができる。
【0045】
ガイド部72の導風面74に沿って車体後方に導かれた走行風Wは、図9に示すように、導風面74の後方端部に形成された排出口78から排出される冷却風Cに対して、導風面74により車幅方向に広がった状態で供給され、冷却風Cの流れを変更して車体後方に導く。この結果、排出口78から路面方向に向って冷却風C′が排出されることはなく、冷却風C′による空気抵抗の増大が回避される。
【0046】
なお、ガイド部72に導入された走行風Wは、車体下方向に傾斜する導風面74に沿って排出口32に導かれるため、ガイド部72を形成することによる空気抵抗の増大が生じるおそれはない。
【0047】
また、ガイド部72は、導風面74の両側部に側壁76a、76bが形成されているため、走行風Wが導風面74を通過する際に発生する渦流によって十分な量の走行風Wが確保される。従って、空気抵抗を一層効果的に低減させることができる。また、アンダーカバー70から車体下方向に突出し、車体の後方に延在する側壁76a、76bを設けることにより、車両の走行時における直進安定性が向上する効果も得られる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0049】
例えば、ガイド部は、車体の下部に突出する排気管22及びトランスミッション24に対応して設けるだけでなく、車体の下部に突出する他の被冷却機器、例えば、パワーステアリングユニット、エンジン、フロントデフ、リアデフ、モータ、又は、蓄電池に対応して設けてもよい。また、被冷却機器の位置、及び/又は、排出口の大きさに応じた所定の位置に複数のガイド部を設けることもできる。さらに、第1〜第3実施形態の各ガイド部36、36′、38、52、72を適宜組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10、50、60、70…アンダーカバー
12…車体前部
14…冷却風取入口
20…エンジン
22…排気管
24…トランスミッション
32、34、57、78…排出口
36、36′、38、52、72…ガイド部
40、40′、55、74…導風面
42a、42b、56a、56b、76a、76b…側壁
44、44′、58…導風口
46…渦流
54…ガイド面
C、C′…冷却風
W…走行風

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却風取入口から取り入れられてエンジン等の被冷却機器を冷却する冷却風を排出する排出口が形成され、車体の下面部に配設される車両用アンダーカバーにおいて、
前記排出口の車体前方に配設され、前記車体前方を頂点として車体後方に向かい徐々に拡開する導風路を有し、前記排出口に配設されて前記車体の下面部から車体下方向に突出する前記被冷却機器に対して、車両の走行により発生する走行風を前記導風路を介して前記排出口に導き、前記冷却風を車体後方に導くガイド部を備えることを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項2】
請求項1記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記導風路の車体後方の端部には、前記走行風を前記排出口に導く導風口が形成され、前記導風口から導入された前記走行風を前記排出口に導くことを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項3】
請求項2記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記導風路は、車体後方に向かって車体上方向に傾斜する導風面と、前記導風面の車幅方向の両側部に形成される側壁とを備え、前記側壁間の前記導風面を介して前記走行風を前記導風口から前記排出口に導くことを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項4】
請求項2記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記ガイド部は、前記導風口と前記排出口との間に形成され、前記導風路よりも車体下方向に突出するガイド面と、前記導風路の車幅方向の両側部に形成され、車体下方向に突出する側壁とを備え、前記側壁間の前記導風路を介して前記走行風を前記導風口から前記排出口に導くことを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項5】
請求項1記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記導風路は、車体後方に向かって車体下方向に傾斜する導風面と、前記導風面の車幅方向の両側部に形成され、車体下方向に突出する側壁とを備え、前記側壁間の前記導風面を介して前記走行風を前記排出口に導くことを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記導風路の車体後方の端部は、車体後方に向かって路面と略平行に設定されることを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項7】
請求項2記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記導風路は、車体後方に向かって路面と略平行に延在する導風面と、前記導風面の車幅方向の両側部に形成される側壁とを備え、前記側壁間の前記導風面を介して前記走行風を前記導風口から前記排出口に導くことを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記被冷却機器は、排気管、トランスミッション、パワーステアリングユニット、エンジン、フロントデフ、リアデフ、モータ、又は、蓄電池の少なくとも1つであることを特徴とする車両用アンダーカバー。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両用アンダーカバーにおいて、
前記ガイド部は、前記被冷却機器の位置、及び/又は、前記排出口の大きさに応じて、所定の位置に複数配設されることを特徴とする車両用アンダーカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−189770(P2011−189770A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55256(P2010−55256)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】