説明

車両用ウィンドウガラスの破損検出装置

【課題】取り付け位置の制約を受けにくい車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供する。
【解決手段】付勢部材40は、ばね鋼板よりなり、車体側に配置される車体側配置部41と、ウィンドウガラス5の片面側に配置されるウィンドウガラス側配置部42とが、円弧状アーム部43により連結されている。ウィンドウガラス5を開閉動作させるウィンドウレギュレータにおけるウィンドウガラス5を保持するウィンドウガラスブラケット22に、付勢部材40の車体側配置部41が取り付けられる。付勢部材40は、車両のウィンドウガラス5の片面とウィンドウレギュレータのウィンドウガラスブラケット22とを架設する状態で取り付けられ、ウィンドウガラス5の片面を付勢してウィンドウガラス5の破損に伴って変位する。磁気センサ60は、付勢部材40の変位を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ウィンドウガラスの破損検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において開閉式ウィンドウガラスの破損検出装置が開示されており、当該装置はウィンドウガラスの端部においてクリップによりウィンドウガラスをウィンドウガラスの破損に伴うウィンドウガラスの端部での粉砕を行なう力で挟持してウィンドウガラスの破損に伴うクリップの少なくとも一部の変位をセンサで検出する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−83624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1での開閉式ウィンドウガラスの破損検出装置においてはウィンドウガラスの端部をクリップで挟持する構成であり、取り付けに制約が生じ、車両によっては搭載できないこともあり得る。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、取り付け位置の制約を受けにくい車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、車両のウィンドウガラスの片面と車体とを架設する状態で取り付けられ、前記ウィンドウガラスの片面を付勢して前記ウィンドウガラスの破損に伴って変位する付勢部材と、前記付勢部材の変位を検出する変位検出手段と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、付勢部材が車両のウィンドウガラスの片面と車体とを架設する状態で取り付けられ、ウィンドウガラスの片面を付勢している。そして、ウィンドウガラスの破損に伴って付勢部材が変位し、変位検出手段により、付勢部材の変位が検出される。
【0008】
よって、ウィンドウガラスの端部を挟持する構成である場合には取り付けに制約が生じることもあるが、本発明においては付勢部材が車両のウィンドウガラスの片面と車体とを架設する状態で取り付けられ、取り付け位置の制約を受けにくくすることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記付勢部材は、ばね鋼板よりなり、前記車体側に配置される車体側配置部と、前記ウィンドウガラスの片面側に配置されるウィンドウガラス側配置部とが、円弧状アーム部により連結されているとよい。
【0010】
請求項3に記載のように、請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスを開閉動作させるウィンドウレギュレータにおけるウィンドウガラスを保持するウィンドウガラスブラケットに取り付けられているとよい。
【0011】
請求項4に記載のように、請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置において、前記付勢部材は、ドアのインナパネルに取り付けられているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取り付け位置の制約を受けにくい車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】乗用車における右前ドアでの分解斜視図。
【図2】乗用車における右前ドアでの概略正面図。
【図3】図2のA−A線での縦断面図。
【図4】第1の実施形態における車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の斜視図。
【図5】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を説明するための断面図。
【図6】車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の作用を説明するための断面図。
【図7】第2の実施形態における車両用ウィンドウガラスの破損検出装置の断面図。
【図8】(a)は第3の実施形態における乗用車の後部を示す概略斜視図、(b)は(a)のA−A線に対応する左側の三角窓付近の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、乗用車における右前ドアでの分解斜視図であり、図2は乗用車における右前ドアでの概略正面図である。
【0015】
図1に示すように、車両ドア1はアウタパネル2とインナパネル3を具備している。アウタパネル2とインナパネル3の間に、強化ガラスからなるウィンドウガラス5が配置されている。ウィンドウガラス5の厚さは3.1mm〜5.0mm程度である。車両ドア1のインナパネル3の内側にはドアトリムが取り付けられている。
【0016】
車両ドア1の内部には、ウィンドウガラス5を上下動して開閉動作させるウィンドウレギュレータ10が収納されている。本実施形態においては、ウィンドウレギュレータ10としてXアーム式ウィンドウレギュレータを用いている。インナパネル3にはドア部品組付穴3aが穿設されており、このドア部品組付穴3aを塞ぐようにモジュラーパネル6が設けられている。
【0017】
Xアーム式ウィンドウレギュレータ10は、ベースプレート(固定ベース)11を介して、モジュラーパネル6の室外側の面に支持されている。即ち、モジュラーパネル6の室外側の面に固定するベースプレート11には、Xアーム式ウィンドウレギュレータ10のリフトアーム12の軸13が支持されている。ベースプレート11には電動駆動ユニット14が固定されている。リフトアーム12は、図2に示すように軸13を中心とするセクタギヤ(ドリブンギヤ)15を一体に有しており、図1の電動駆動ユニット14は、このセクタギヤ15と噛み合うピニオン16(図2)及びその駆動モータ(図示せず)を備えている。
【0018】
図2において、リフトアーム12の長さ方向の中間部分には、軸17でイコライザアーム18の中間部分が枢着されている。リフトアーム12とイコライザアーム18の上端部(先端部)にはそれぞれ、ガイドピース(ローラ)19,20が回転及び傾動可能に枢着されており、イコライザアーム18の下端部には、ガイドピース(ローラ)21が枢着されている。
【0019】
このリフトアーム12のガイドピース19と、イコライザアーム18のガイドピース20とは、ウィンドウガラスブラケット22に移動自在に嵌められ、イコライザアーム18のガイドピース21は、図1のモジュラーパネル6の室外側の面に固定するイコライザアームブラケット(姿勢維持レール)23に移動自在に案内される。
【0020】
一方、ウィンドウガラス5の下縁にはその前後においてウィンドウガラスホルダ24が固定されている。このウィンドウガラスホルダ24は、予めウィンドウガラス5の下縁に固定され、このウィンドウガラスホルダ24を有するウィンドウガラス5が、アウタパネル2とインナパネル3の隙間から挿入されて、ボルト25によりウィンドウガラスブラケット22に固定されている。
【0021】
図2に示すように、前後一対のガラスラン26が立設されている。このガラスラン26はゴム材よりなる。レール部材としての前後一対のガラスラン26によりウィンドウガラス5が移動自在に支持されている。即ち、ウィンドウガラス5の前後の端部がガラスラン26に案内されて上下に移動することができるようになっている。
【0022】
図1の電動駆動ユニット14を介してピニオン16を正逆に駆動すると、セクタギヤ15を介してリフトアーム12が軸13を中心に揺動し、その結果、ウィンドウガラスブラケット22(ウィンドウガラス5)が、イコライザアーム18、ガイドピース19,20,21、イコライザアームブラケット23により略水平状態に保持されながら昇降運動する。このようにウィンドウガラス5が昇降され、ウィンドウガラス5により車両の開口部4が開閉自在となっている。
【0023】
図2のA−A線での縦断面を図3に示す。図3において、不正侵入防止用の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30が車両ドア1の内部に配置されている。破損検出装置30は、付勢部材40と、変位検出手段としての磁気センサ60を有している。図4には車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30の斜視図を示す。
【0024】
図3において、アウタパネル2とインナパネル3との間にウィンドウガラス5がウェザーストリップ7によりシールされた状態で配置されている。また、インナパネル3の内側にはドアトリム8が配置されている。付勢部材40は、車体としてのウィンドウガラスブラケット22と、車両のウィンドウガラス5の片面とを架設する状態で取り付けられ、ウィンドウガラス5の片面を付勢してウィンドウガラス5の破損に伴って変位するようになっている。
【0025】
図4において、付勢部材40は、板ばね用鋼板、詳しくは帯板を折り曲げて構成され、車体側配置部41とウィンドウガラス側配置部42と円弧状アーム部43を有している。車体側配置部41は平板状をなし、その上端から円弧状アーム部43が延び、そのアーム部43の上端から平板状のウィンドウガラス側配置部42が延びている。車体側配置部41がウィンドウガラスブラケット(Cチャネル部材)22における室内側の面に固定されている。また、ウィンドウガラス側配置部42がウィンドウガラス5の片面、即ち、室内側の面(裏面5b)に固定され、円弧状アーム部43により車体側配置部41とウィンドウガラス側配置部42とが連結されている。ウィンドウガラス側配置部42には板状の永久磁石50が固定されている。
【0026】
ここで、図5に仮想線で示すように、付勢部材40をウィンドウガラスブラケット(Cチャネル部材)22とウィンドウガラス5の片面(室内側の裏面5b)とを架設する状態で取り付ける前においては、車体側配置部41がウィンドウガラスブラケット22に固定されている状態ではウィンドウガラス側配置部42がウィンドウガラス5の室内側の面(裏面5b)よりも室外側、即ち、図5における左側に位置している。そして、付勢部材40のウィンドウガラス側配置部42を付勢部材40のばね力に抗してウィンドウガラス5の片面にウィンドウガラスブラケット22と架設する状態で取り付ける。すると、図3に示すように付勢部材40は車体側配置部41を固定端としてウィンドウガラス側配置部42が力F1にてウィンドウガラス5の裏面5bを室外側(表面5a側)に付勢する。このようにして付勢部材40はウィンドウガラス5の片面を付勢している。
【0027】
付勢部材40は、ウィンドウガラス側配置部42がウィンドウガラス5の片面においていずれかの場所で付勢するように配置されていればよく、付勢部材40の取り付け位置(ウィンドウガラス側配置部42の配置位置)はウィンドウガラス5の端部でなくてもよい。
【0028】
磁気センサ60が磁石50に対して水平方向において離間して配置されている。磁気センサ60は磁石50による磁気を検出しており、磁気は磁石50との距離に応じて変化する。この磁気センサ60によりウィンドウガラス5の破損に伴う付勢部材40の少なくとも一部の変位が検出される。
【0029】
図3において、磁気センサ60にはコントローラ61が接続されている。コントローラ61には警報装置62が接続されている。
次に、車両用ウィンドウガラスの破損検出装置30の作用を説明する。
【0030】
図3に示す状態から、ウィンドウガラス5が破損すると、ウィンドウガラス5の強度が低下することによって付勢部材40がその付勢力により、図6に示すようにウィンドウガラス5の破損に伴うウィンドウガラス5の一部領域での粉砕を行う。
【0031】
これにより、磁石50が図6において左側に変位(移動)し、磁気センサ60において磁石50との距離Lが大きくなることにより磁石50の変位が検出される。即ち、図3においてウィンドウガラス5が破損される前においては、磁石50と磁気センサ60との距離がL1であったものが、図6に示すようにウィンドウガラス5が破損されると、磁石50と磁気センサ60との距離がL2となり、磁気センサ60で磁気の変化を検出することにより磁石50の変位が検出される。
【0032】
その結果、ウィンドウガラス5の破損を検出することができる。つまり、ウィンドウガラス5の片面において一点に力を付与してウィンドウガラスを粉砕し付勢部材40の動きを検知することによりウィンドウガラスの破損を検出することができる。
【0033】
このようにして、簡素な構成を採用することにより、信頼性、品質の低下を回避することができる。さらに、簡素な構成のためコスト的に有利である。また、ウィンドウガラスにおける特許文献1のクリップが取り付けにくい部分への搭載も可能となる。さらに、強化ガラスは一部が割れると全てひびが入り、強度が著しく低下する特性を生かして、未検知、誤検知を極力少なくすることができる。
【0034】
また、ウィンドウガラス5の破損に伴いウィンドウガラス5が完全に粉砕せずに残るような場合でもウィンドウガラス5の破損を確実に検出することができる。さらに、ウィンドウガラス5が全閉位置にないときも、ウィンドウガラス5の破損を検出することができる。また、ウィンドウガラス5の片面において円弧状アーム部43により連結されたウィンドウガラス側配置部42が、ウィンドウガラス5の片面を付勢しているので、ウィンドウガラス5の破損に伴って(ウィンドウガラス5の強度の低下に伴って)ウィンドウガラス5の一部領域を確実に粉砕してウィンドウガラス5の破損を確実に検出することができる。
【0035】
なお、付勢部材40は、板ばね用鋼板に代わる材料として、他の弾性のある材料、例えば、カーボン製であってもよい。
図3において磁気センサ60によって付勢部材40の変位を検出することによりウィンドウガラス5の破損が検出されると、コントローラ61は警報装置62を作動して警報を発する。
【0036】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)付勢部材40が、車両のウィンドウガラス5の片面と、車体としてのウィンドウガラスブラケット22とを架設する状態で取り付けられ、ウィンドウガラス5の片面を付勢している。ウィンドウガラス5の破損に伴って付勢部材40が変位し、変位検出手段としての磁気センサ60により、付勢部材40の変位が検出される。よって、ウィンドウガラス5の端部を挟持する構成である場合には取り付けに制約が生じることもあるが、本実施形態においては付勢部材40が車両のウィンドウガラス5の片面と車体とを架設する状態で取り付けられ、取り付け位置の制約を受けにくくすることができる。
【0037】
(2)付勢部材40は、ばね鋼板よりなり、車体側に配置される車体側配置部41と、ウィンドウガラス5の片面側に配置されるウィンドウガラス側配置部42とが、円弧状アーム部43により連結されているので、簡素な構造とすることができる。
【0038】
(3)付勢部材40は、ウィンドウガラス5を開閉動作させるウィンドウレギュレータ10におけるウィンドウガラス5を保持するウィンドウガラスブラケット22に取り付けられているので、開閉式ウィンドウガラス5の破損を検出する場合において取り付けが容易となる。
【0039】
本実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・図3では、付勢部材40の車体側配置部41を、ウィンドウガラスブラケット(Cチャネル部材)22の室内側の面に配置したが、これに代わり、車体側配置部41を、ウィンドウガラスブラケット22の上面22aに配置(固定)してもよい。
【0040】
・ウィンドウレギュレータとしてXアーム式ウィンドウレギュレータを用いたが、ケーブル式ウィンドウレギュレータを用いてもよい。
・ウィンドウガラスの駆動手段としてはモータを有するものだけではなく、乗員の手動によるものでもよい。
【0041】
・車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を乗用車における右前ドアに適用したが、他の側部ドアに適用してもよいことは云うまでもなく、また、側部ドアの他にも、後部ドアや屋根に設けられた開閉式ガラスルーフに適用してもよい。
【0042】
・磁気センサ60を用いたが赤外線センサを用い、付勢部材40のウィンドウガラス側配置部42に赤外線センサと対向するように赤外線反射膜を設けてもよい。即ち、図3での磁石50に代わり赤外線反射膜を設けるとともに、磁気センサ60の代わりに赤外線センサを設け、赤外線センサから赤外線を発し、反射膜からの反射光を入射し、反射光の変化により付勢部材40の変位を検出するようにしてもよい。
【0043】
・付勢部材40のウィンドウガラス側配置部42はウィンドウガラス5の下端部に固定したが、これに限ることなく、例えばウィンドウガラス5における端部よりも内方において固定してもよい。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0044】
図3に代わり本実施形態では図7に示す構成となっており、付勢部材70をウィンドウレギュレータのウィンドウガラスブラケットではなくドアのインナパネル3に固定している。即ち、車体としてのインナパネル3に付勢部材70の一端を固定している。
【0045】
図7において、付勢部材70は、板ばね用鋼板、詳しくは帯板を折り曲げて構成され、車体側配置部71とウィンドウガラス側配置部72と円弧状アーム部73を有している。円弧状アーム部73により車体側配置部71とウィンドウガラス側配置部72とが連結されている。車体側配置部71は平板状をなし、インナパネル3の上端部を挟むようにして折り返されている。この折り返し部において付勢部材70がネジ等によりインナパネル3に固定されている。
【0046】
車体側配置部71の下端から円弧状アーム部73が延び、そのアーム部73の下端から平板状のウィンドウガラス側配置部72が延びている。一方、ウィンドウガラス側配置部72はウィンドウガラス5の片面、即ち、ウィンドウガラス5の室内側の面(裏面5b)に接触し、かつ、力F2で室外側に付勢している。つまり、付勢部材70のウィンドウガラス側配置部72を付勢部材70のばね力に抗してウィンドウガラス5の片面にインナパネル3と架設する状態で取り付ける。すると、付勢部材70は車体側配置部71を固定端としてウィンドウガラス側配置部72が力F2にてウィンドウガラス5の片面を室外側に付勢する。ウィンドウガラス5が上下動すると、付勢部材70のウィンドウガラス側配置部72がウィンドウガラス5の裏面5bを摺動する。
【0047】
ウィンドウガラス側配置部72には板状の永久磁石50が固定されている。磁石50に対向するように磁気センサ60がインナパネル3に取り付けられている。
そして、ウィンドウガラス5が破損すると、ウィンドウガラス5の強度が低下することによって付勢部材70がその付勢力により、ウィンドウガラス5の破損に伴うウィンドウガラス5の一部領域での粉砕を行う。これにより、磁石50が変位し、磁石50の変位が磁気センサ60により検出される。その結果、ウィンドウガラス5の破損を検出することができる。
【0048】
以上のごとく、付勢部材70は、ドアのインナパネル3に取り付けられているので、強固に固定することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0049】
本実施形態では図8に示す構成となっており、開閉式ウィンドウガラスではなく固定式ウィンドウガラスの破損を検出する。
図8(a)に示すように、車両80の後部には、左右両側(左側のみ図示)に、自動車用窓としての三角窓81が設けられている。この三角窓81は開閉不能な窓である。また、三角窓81において、一部が破損した場合に全体にひび割れが生じるウィンドウガラス82が使用され、ウィンドウガラス82として、強化ガラスを用いている。
【0050】
図8(b)は図8(a)のA−A線に対応する左側の三角窓81付近の部分断面図である。図8(b)に示すように、三角窓81のウィンドウガラス82は周縁部において接着剤(ガラス接着剤)83を介してボディパネル84に固着されている。
【0051】
図8(b)に示すように、車体としてのボディパネル84にはウィンドウガラス82の周縁部と対応する箇所で、ウィンドウガラス82の周縁部に対して接着剤83よりも内側の位置に、付勢部材90が設けられている。車両用ウィンドウガラスの破損検出装置を構成する付勢部材90は、車両80の内装85によって覆われている。
【0052】
付勢部材90は、板ばね用鋼板、詳しくは帯板を折り曲げて構成され、車体側配置部91とウィンドウガラス側配置部92と円弧状アーム部93を有している。車体側配置部91は平板状をなし、左端から円弧状アーム部93が延び、そのアーム部93の左端から平板状のウィンドウガラス側配置部92が延びている。車体側配置部91がボディパネル84の室外側の面に固定されている。また、ウィンドウガラス側配置部92がウィンドウガラス82の片面、即ち、室内側の面82bに固定され、円弧状アーム部93により車体側配置部91とウィンドウガラス側配置部92とが連結されている。ウィンドウガラス側配置部92はウィンドウガラス82の片面を室外側に力F3で付勢している。ウィンドウガラス側配置部92には板状の永久磁石94が固定されている。
【0053】
ボディパネル84にはブラケット96が固定され、ブラケット96に磁気センサ95が磁石94と対向する状態で配置されている。そして、ウィンドウガラス82が破損すると、ウィンドウガラス82の強度が低下することによって付勢部材90がその付勢力により、ウィンドウガラス82の破損に伴うウィンドウガラス82の一部領域での粉砕を行う。これにより、磁石50が変位し、磁石50の変位が磁気センサ95により検出される。その結果、ウィンドウガラス82の破損を検出することができる。
【0054】
変位検出手段としての磁気センサ95にはコントローラ97が接続されている。コントローラ97には警報装置98が接続されている。磁気センサ95によって付勢部材90の変位を検出することによりウィンドウガラス82の破損が検出されると、コントローラ97は警報装置98を作動して警報を発する。
【0055】
本実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・磁気センサ95を用いたが赤外線センサを用い、付勢部材90のウィンドウガラス側配置部92に赤外線センサと対向するように赤外線反射膜を設けてもよい。
【0056】
なお、第1〜第3の各実施形態において、ウィンドウガラスの種類は限定されることなく、強化ガラスでも合わせガラスでもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…車両ドア、3…インナパネル、5…ウィンドウガラス、10…ウィンドウレギュレータ、22…ウィンドウガラスブラケット、40…付勢部材、41…車体側配置部、42…ウィンドウガラス側配置部、43…円弧状アーム部、60…磁気センサ、70…付勢部材、71…車体側配置部、72…ウィンドウガラス側配置部、73…円弧状アーム部、82…ウィンドウガラス、84…ボディパネル、90…付勢部材、91…車体側配置部、92…ウィンドウガラス側配置部、93…円弧状アーム部、95…磁気センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドウガラスの片面と車体とを架設する状態で取り付けられ、前記ウィンドウガラスの片面を付勢して前記ウィンドウガラスの破損に伴って変位する付勢部材と、
前記付勢部材の変位を検出する変位検出手段と、
を備えたことを特徴とする車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、ばね鋼板よりなり、前記車体側に配置される車体側配置部と、前記ウィンドウガラスの片面側に配置されるウィンドウガラス側配置部とが、円弧状アーム部により連結されていることを特徴とする請求項1の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスを開閉動作させるウィンドウレギュレータにおけるウィンドウガラスを保持するウィンドウガラスブラケットに取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、ドアのインナパネルに取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ウィンドウガラスの破損検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−98602(P2011−98602A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253348(P2009−253348)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】